JP2009057121A - カードリーダ・ライタ - Google Patents
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Abstract
【課題】 常に加えられる張力に対する切断や伸びに強い、実使用環境に耐え得る機械的強度を有し、低コストで、かつ長期的に高いカード搬送位置精度を制御・維持できるカード搬送機構を備えたカードリーダ・ライタを提供する。
【解決手段】 搬送用ベルト7は、その断面形状をT字形の凸部7bを設け、ポリエステル繊維を複数撚り束ねた長尺状の集合体を芯体10として、ベルトの回転方向と同一方向に複数埋設した構造とする。また、該芯体とベルトの母材であるゴム弾性体とを溶剤系接着剤を用いて加熱処理して固着・成形する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、IDカード、会員証、プリペイドカード、キャッシュカード、定期券などに用いられる情報記録媒体である磁気カードやICカードに好適なカードリーダ・ライタに関するものである。
カードリーダ・ライタは、磁気カードやICカード(以下「カード」と総称する)の電子情報を読み書きする基本的機能のほか、カード表面に使用履歴、残額、日付け等の履歴情報を印刷や刻印したり、パンチで穴開け表示したりする機能も備えており、そのため、例えばカードの送り量のような搬送位置精度が高く要求されている。
図1は、従来のカードリーダ・ライタのカード搬送機構を説明する概略図である。
芯体を埋設した搬送用ベルト7で挿入されたカード1を搬送する。搬送の送り量は駆動プーリ3と結合する駆動モータ8の回転量で制御を行い、磁気ヘッド2で所定の記録密度の磁気データの書き込みを行い、パンチユニット6で所定の位置にパンチ穴を開ける。従動プーリ4と前記駆動プーリ3の3点で搬送用ベルトを支持している。従動ローラ5と磁気ヘッド対向ローラ9はカード1が搬送用ベルト7から外れない様に押える役目をしている。
図2は、カードの送り量の制御方法を説明する簡易原理図である。
図1に示した駆動モータ8の回転量とカード1の送り量は、駆動プーリ3に巻き付けた搬送用ベルト7のピッチ円直径で決まる。そのピッチ円直径は、駆動プーリの半径と搬送用ベルト7の厚さの半分寸法とを加算した寸法の2倍の大きさとなる。
また、搬送用ベルト7には常に張力が加わっており、芯体に汎用的なポリエステル繊維集合体を用いた場合、経時的に芯体のポリエステル繊維が伸び、最終的には搬送用ベルト7自体が伸びてしまう。その結果、搬送用ベルト7の下面と芯体までの距離が短くなり、前記ピッチ円直径が変化することで、カード搬送量の制御に障害を及ぼすことになる。従って、従来は一般的に伸びが非常に少ないと言われている、アラミド繊維質のケブラー(デュポン社商標名)を芯体に用いていた。
しかしながら、材料特性上、ケブラーは伸びは少ないが、一方では脆くてせん断応力に劣り、切れ易いという欠点がある。特に、経時的な劣化が懸念されるため装置の長期保障という観点からは、その搬送量制御を長期的に維持するには充分とは言えない。
また、前記搬送用ベルトは、次のような工程で作製される。すなわち、ベルトの中央部に埋設する芯体のケブラーを複数本、少し間隔を空けて水平に並べ、母材の弾性ゴム材を金型に流し込んで封止成形する。
図3は従来のカード搬送用ベルトを説明する断面図である。搬送用ベルト7の中央部に埋設した芯体10にはケブラー(アラミド繊維集合体)やポリエステル等の有機繊維束を用いており、また、カード状物に限らず大型荷物の搬送用コンベア等でも、有機繊維束を芯体として埋設したベルトを用いた搬送方式が一般的に使用されている。このようなベルトは、例えば特許文献1、特許文献2に開示されている。
一般的に、前述のケブラー等の有機繊維束を芯体に用いた従来の搬送用ベルトではベルトの引っ張り強度は前記繊維束の撚り数に比例するので、ベルトのサイズが大きくなれば繊維束の撚り数も多くでき、強度を高めることができる。しかしながら、カードリーダ・ライタに用いる場合のベルトのサイズは薄く小さいので芯体の外径も細くなり繊維束数を上げることができなくなるため、引っ張り強度には限界がある。従って、少ない撚り数で、より強度を上げる対策が必要であった。
なお、ケブラー(アラミド繊維集合体)を芯体に用いたベルトでは、ポリエステル繊維を芯体に用いた場合よりは経時的伸びの進行は遅いが、結果的に伸びが発生し、ベルトの下面と芯体までの距離が短くなってピッチ円直径が変動し、カード搬送量の制御に障害を起こすことがあった。
また、ケブラーを用いた場合は、カード搬送時の正送・逆送などのような急激な変速動作によって切れるという欠点があると同時に、汎用性のポリエステル樹脂繊維より高価であり、コスト面でも問題があった。
従って、本発明は常に加えられる張力に対する切断や伸びに強い、実使用環境に耐え得る機械的強度を有し、低コストで、かつ長期的に高いカード搬送位置精度を制御・維持できるカード搬送機構を備えたカードリーダ・ライタの提供を目的とする。
本発明は、汎用的で比較的安価なポリエステル繊維を複数撚り束ねた長尺状の集合体をベルトの回転方向と同一方向に埋設する芯体として用いると共に、ベルトを一体成形する際は、溶剤系接着剤を用いて加熱処理を行うことで、ポリエステル繊維集合体の内部まで溶剤が染み込み、繊維間同士および繊維と母材であるゴム材間同士を強固に接着させ、引っ張り強度や非伸延性を高めることができる。
また、ベルトの幅方向の断面形状をT字形にすることで、上記引っ張り強度や非伸延性を更に高めることができると同時に、ベルトの横ずれも抑えることができる。
本発明によれば、少なくとも搬送用ベルトと、駆動プーリと、駆動モータとを有するカード搬送機構を備えたカードリーダ・ライタであって、前記搬送用ベルトは、ゴム製の弾性体からなる母材にポリエステル繊維集合体を用いた芯体が埋設された構造であることを特徴とするカードリーダ・ライタが得られる。
本発明によれば、前記芯体は長尺体であり、前記芯体の長手方向と前記搬送用ベルトの回転方向が同一方向に埋設されていることを特徴とするカードリーダ・ライタが得られる。
本発明によれば、前記搬送用ベルトは、前記母材と前記芯体を溶剤系接着剤を用いて加熱処理して成ることを特徴とするカードリーダ・ライタが得られる。
本発明によれば、前記搬送用ベルトは、幅方向の断面がT字形の形状を有することを特徴とするカードリーダ・ライタが得られる。
以上述べたように本発明により、カードリーダ・ライタのカード搬送量を高精度に制御・維持できると共に、長期的な使用環境にも耐え、長寿命でかつ高品質の搬送機構を有するカードリーダ・ライタを提供することができる。
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図4は本発明のカード搬送用ベルトを説明する図で、図4(a)はベルトの断面図を、図4(b)は駆動プーリの拡大図をそれぞれ示す。
駆動プーリ3にはい回される搬送用ベルト7は、カードが当接する平面部7aと横ずれ防止の凸部7bを有するT字形断面となるよう形成され、かつ前記平面部7aの中央部には強化したポリエステル繊維集合体を使用した芯体10を複数本埋設した構造となっている。このようなベルトは、芯体のポリエステル繊維集合体を複数本を水平に並べ、母材となる弾性ゴム材料と溶剤系接着材(図示せず)とを同時に流し込み、加熱処理して一体成形する。前記溶剤系接着剤がポリエステル繊維集合体の内部隅々まで浸透し加熱・固着されることで、ゴム材料とポリエステル繊維とが強固に接着され、引っ張り強度を高めることができる。
搬送用ベルト7の母材となるゴム材料は弾性を有するものであればどんな材料でもよく、ウレタンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム等の材料を使用できるが、耐摩耗性と適度な硬度を共有するものを選定するのが好ましい。硬度は10〜90程度のものが好ましいが、伸びを少なくするためには硬い方がより好ましい。
また、搬送用ベルト7の幅方向の断面形状はT字形として、その凸部7bの幅はベルト全幅の1/3〜1/2程度とするのが好ましい。さらに、ベルト全体の寸法は幅5〜10mm、厚さ1〜3mm程度が好適である。
また、搬送用ベルト7の幅方向の断面形状はT字形として、その凸部7bの幅はベルト全幅の1/3〜1/2程度とするのが好ましい。さらに、ベルト全体の寸法は幅5〜10mm、厚さ1〜3mm程度が好適である。
強化したポリエステル繊維集合体は、引っ張り、せん断応力に強いプラスチック繊維を多数撚り束ねた長尺状の繊維集合体であって、繊維の撚り束ね数は約300〜500程度で、前記ベルト厚さの約20〜40%程度の外径寸法に束ねることができる最大数として適宜調整するのが好ましい。また、上記芯体となるポリエステル繊維集合体の埋設数は3〜7本程度が好ましく、ベルトの幅、厚みにより適宜調整するのが好ましい。埋設方向は芯体の長手方向とベルトの回転方向とが同一となるように、また埋設位置はベルトの中央部またはプーリ当接面側が強度の面から好ましい。更に、ポリエステル繊維集合体はベルト全長に亘る長尺体で輪状の連続体が最も好適であるが、短尺体に分断されたものでもよい。但し、短尺体の場合は間隔を空けず、隣同士を交互にずらして配置した状態で埋設するのがよい。
搬送用ベルト7の成形時に使用する溶剤系接着剤(図示せず)は、一般的な有機系接着剤であればどんな材質でもよく、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系、フェノール系など何れでもよい。しかし、より強固に接着させるために、溶解度パラメータ(Solubility Parameter:SP値)が、搬送用ベルト7の母材である弾性ゴム材や芯体であるポリエステル樹脂のそれとほぼ同等または近い数値を示す、例えば、シリコーン系やポリエステル系の接着剤を用いるのがより好ましい。
溶剤系接着剤の熱処理方法は、加熱温度100〜120℃、放置時間1〜2時間程度が好ましく、選定した接着剤により適宜調整することが好ましい。
駆動プーリ3は、ベルトの当接外周部3aに、T字形の搬送用ベルト7の凸部7bと勘合するよう、凹状の溝3bを形成した構造となっている。また材質は、使用環境で変形・磨耗しにくい材質であればどんなものでもよく、ステンレス、アルミニウム等の金属材料や、PBT、エポキシ等の高耐熱性・高耐磨耗性の樹脂材料を用いるのが好ましい。更に、ベルトとの摩擦力低下やベルトの空回りを防ぐため、ベルトとの当接外周部3aを粗面加工や表面処理を施すのがよい。
以下、実施例を用いて詳述する。
搬送用ベルトの母材として、ウレタンゴムを使用し、芯体のポリエステル繊維集合体は、ポリエステル材単繊維を350本束ねた外径φ0.3mmのものを6本用意し、ベルト成形時は、溶剤系接着剤をエポキシ系接着剤(ワニス)TVB2024(東芝ケミカル製)とし、加熱条件を温度120℃、放置2hにて熱処理を行った。上記の要領により、幅5mm×厚さ2mm、凸部は幅2mm×高さ1mm、輪状周長220mmの図4(a)に示した構造の搬送用ベルト7を得た。
搬送用ベルトの母材として、ウレタンゴムを使用し、芯体のポリエステル繊維集合体は、ポリエステル材単繊維を350本束ねた外径φ0.3mmのものを6本用意し、ベルト成形時は、溶剤系接着剤をエポキシ系接着剤(ワニス)TVB2024(東芝ケミカル製)とし、加熱条件を温度120℃、放置2hにて熱処理を行った。上記の要領により、幅5mm×厚さ2mm、凸部は幅2mm×高さ1mm、輪状周長220mmの図4(a)に示した構造の搬送用ベルト7を得た。
次に、図4(b)に示した、ベルトとの当接外周部3aに凹状の溝3bを配設した駆動プーリ3に上記ベルトを装着し、このような搬送機構を備えたカードリーダ・ライタを得た。
上記の要領で作製した、本発明の搬送用ベルトを装着したカード搬送機構による、カード搬送耐久試験を実施した。以下にその試験内容と結果を説明する。なお、搬送試験用の磁気カードは、大きさ54mm×86mm、厚さ0.25mmのものを用いた。比較例として、同一母材(ウレタンゴム)を用い、図3に示した構造の凸部がない平状ベルトで、幅5mm×厚さ1mmで芯体の繊維材質のみがケブラーの場合(比較例1)とポリエステル繊維の場合(比較例2)で、共に溶剤系接着剤と熱処理を施さない搬送用ベルトを使用した搬送機構を有するカードリーダ・ライタを用意した。
実施した試験内容は、図1の駆動モータ8の所定の回転数でのカード送り量を測定した。測定間隔は初期状態、30万パス後、及び60万パス後とし、初期状態でのカード送り量に対する耐久回数後のカード送り量の変動率を算出し、グラフ化した。なお、試料数は各水準毎にn=10とし、その平均値をプロットした。
図5は、本発明のベルトと、比較例1、2のベルトとのカード送り量の変動率の比較結果を示す。
図5に示す通り、カード送り量の変動は、比較例1のケブラー芯体では60万パスで約0.5%減少し、比較例2のポリエステル芯体では30万パスで約0.5%減少したのに対し、本発明の接着剤で強化したポリエステル芯体では60万パスでも減少は見られず、大幅に機械的強度が向上していることが確認できた。
以上、実施例を用いて、この発明の実施の形態を説明したが、この発明は、これらの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば、当然なしえるであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれる。
本発明のリーダ・ライタにより、カードの搬送位置精度の経時的劣化を防ぎ、長期的に精度維持と実使用条件に耐え得る、高品質のカードリーダ・ライタの提供が可能となり、会員証、プリペイドカード、キャッシュカード、定期券などを用いたセキュリティ向上に寄与できるカードシステムの構築が可能となる。
1 カード
2 磁気ヘッド
3 駆動プーリ
3a 当接外周部
3b 溝
4 従動プーリ
5 従動ローラ
6 パンチユニット
7 搬送用ベルト
7a 平面部
7b 凸部
8 駆動モータ
9 磁気ヘッド対向ローラ
10 芯体
2 磁気ヘッド
3 駆動プーリ
3a 当接外周部
3b 溝
4 従動プーリ
5 従動ローラ
6 パンチユニット
7 搬送用ベルト
7a 平面部
7b 凸部
8 駆動モータ
9 磁気ヘッド対向ローラ
10 芯体
Claims (4)
- 少なくとも搬送用ベルトと、駆動プーリと、駆動モータとを有するカード搬送機構を備えたカードリーダ・ライタであって、前記搬送用ベルトは、ゴム製の弾性体からなる母材にポリエステル繊維集合体を用いた芯体が埋設された構造であることを特徴とするカードリーダ・ライタ。
- 前記芯体は長尺体であり、前記芯体の長手方向と前記搬送用ベルトの回転方向が同一方向に埋設されていることを特徴とする請求項1記載のカードリーダ・ライタ。
- 前記搬送用ベルトは、前記母材と前記芯体を溶剤系接着剤を用いて加熱処理して成ることを特徴とする請求項1または2記載のカードリーダ・ライタ。
- 前記搬送用ベルトは、幅方向の断面がT字形の形状を有することを特徴とする請求項1ないし3記載のカードリーダ・ライタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007223431A JP2009057121A (ja) | 2007-08-30 | 2007-08-30 | カードリーダ・ライタ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2007223431A JP2009057121A (ja) | 2007-08-30 | 2007-08-30 | カードリーダ・ライタ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=40553231
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2007223431A Pending JP2009057121A (ja) | 2007-08-30 | 2007-08-30 | カードリーダ・ライタ |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2009057121A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015151306A1 (ja) * | 2014-03-31 | 2015-10-08 | サトーホールディングス株式会社 | Icタグ発行装置およびシールド板 |
JP2018136955A (ja) * | 2018-03-14 | 2018-08-30 | サトーホールディングス株式会社 | Icタグ発行装置およびシールド板 |
US10242238B2 (en) | 2014-03-31 | 2019-03-26 | Sato Holdings Kabushiki Kaisha | IC tag issuing apparatus |
-
2007
- 2007-08-30 JP JP2007223431A patent/JP2009057121A/ja active Pending
Cited By (6)
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JP2015194815A (ja) * | 2014-03-31 | 2015-11-05 | サトーホールディングス株式会社 | Icタグ発行装置およびシールド板 |
CN106164928A (zh) * | 2014-03-31 | 2016-11-23 | 佐藤控股株式会社 | Ic标签发行装置以及屏蔽板 |
US10242238B2 (en) | 2014-03-31 | 2019-03-26 | Sato Holdings Kabushiki Kaisha | IC tag issuing apparatus |
US10255542B2 (en) | 2014-03-31 | 2019-04-09 | Sato Holdings Kabushiki Kaisha | IC tag issuing apparatus and shield plate |
JP2018136955A (ja) * | 2018-03-14 | 2018-08-30 | サトーホールディングス株式会社 | Icタグ発行装置およびシールド板 |
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