JP2009056320A - 流体噴射装置および手術器具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】流体噴射装置10は、ポンプ室132を備え、ポンプ室132の容積を変更して流体の吐出動作を行うマイクロポンプ100と、マイクロポンプ100の出口流路に一方の端部が接続され、他方の端部が出口流路の直径よりも縮小された開口部211が設けられた接続流路201と、接続流路201が穿設され、マイクロポンプ100から流動される流体の脈動を開口部211に伝達し得る剛性を有する接続流路管200とが、備えられている。流体は、脈動波群と休止部との繰り返しで流動され、高速で開口部211から噴射される。
【選択図】図1
Description
また、流体の流量が多いために、処置部に気泡が発生しやすく、しかも、連続流であることから、この気泡が消滅しにくいので、術野の視界を妨げるというような課題もある。
また、蒸気発生の際、チャンバー(マイクロ液体チャンバー)が微小であるために、流体の温度が上昇し、切開部周辺の熱組織変化や流体自体の変質が考えられ、安全性にも課題がある。
ここで、流体としては、水や生理的食塩水等の液体が採用できる。
また、接続流路管の材料としては、ステンレス鋼、チタン合金、アルミニウム合金等を採用することができる。
ここで、流体抵抗要素は、流体を流入または流出する逆止弁であり、イナータンス増加要素は、ポンプ室から接続流路に至る出口流路のイナータンスを増加するための高剛性で断面積が小さい管路を示す。
本発明では、接続流路の長さは、100mm以下でも、200mm以上でもマイクロポンプの適切な設定で要求される性能の流体噴射装置が得られるが、先述の理由から100mm〜200mmの範囲が最も好ましい。
このことは、流体の流動量、前述した脈動の確保等から接続流路の直径の範囲と、接続流路管の剛性から選択される壁の厚みの範囲で、任意に組み合わせの選択をすることができる。
この発明によれば、接続流路の直径が、イナータンス増加要素、つまり、ポンプ室から接続流路に至る出口流路の直径よりも大きい。即ち、接続流路には、出口流路との接続部と先端の開口部とにできる段差によって、流体の流体抵抗要素となる壁が形成される。このことから、前述した流体の脈動による圧力波は、ポンプの出口流路から接続流路を流通して開口部まで達すると、開口部の段差によって反射される。この圧力波の反射が出口流路との間で繰り返されることによって、接続流路内の圧力振幅が大きくなり、開口部に伝達される圧力脈動が大きくなるため、開口部から噴射される流体がより高速となり、生体組織の切開能力が高められるという効果がある。
接続流路は、開口部が前記出口流路の直径よりも縮小されているが、この際、接続流路が穿設されている接続流路管の先端を細く絞り込んで開口部を一体で形成することができるが、先端形状が製造上制約されることが考えられるため、別にノズルを備えることがより望ましい。ノズルは、例えば、処置部に合わせた形状にすることができる他、例えば、直径が縮小されている開口部の流体導入部を設けることで噴射された流体が分散することなく所定の部位に正確に集中噴射させることができるという効果もある。
この際、接続流路の長さL、流体の音速Q、ポンプ室容積の変更周波数(圧電素子の駆動周波数)fとの関係をn・2L=Q/fもしくは2L/n=Q/fにする、即ち、圧電素子の駆動周波数と流体の接続流路内の往復伝播の周期を共鳴関係に条件設定することによって、開口部から噴射される流体がより高速となり、生体組織の切開能力が高められるという効果がある。
ここで、脈動波群と休止部との繰り返しによる流動とは、流体が噴射、停止の間歇的繰り返しによって流体が流動されることであり、即ち、圧電素子の駆動(脈動波群の駆動時間)、停止(休止部の時間)が間歇的に行われることで、脈動波群による駆動時に生体組織の切開が行われる。詳しくは後述するが、流体の噴射が脈動することによって、その脈動の衝撃圧が大きくなる。従って、所定の周期で噴射圧力を高めることで、連続流の切開に比べ切開能力を高めることができる。
さらに、流体の噴射が停止する時間を設けることで生体組織の切開部に気泡が残存することが少なく、この気泡が術野の視野を妨げることを防止できるという効果がある。
なお、この際、前述したように、脈動波群の駆動時間に対する休止部の時間の比が1〜5の範囲に設定されることがより好ましい。
また、このカバーは着脱が自在であるために、流体噴射装置からカバーを外して洗浄することができ、さらに、マイクロポンプはそのままに、処置部によって異なった形状のカバーを用意して交換して使用すれば、操作性をより一層高めることができる。
本発明の流体噴射装置は、手で握って操作されることが想定される。前述したように、流体噴射装置は、圧電素子で駆動されるので、例えば、圧電振動子の振動にマイクロポンプを構成する筐体が共振して、その振動が手に伝達することが考えられる。従って、カバーが振動吸収材で構成されることで、マイクロポンプの振動を吸収できるので,振動が手に伝わることがなく微細な部分の施術を行うことができる。
ここで、振動吸収材としては、シリコン系ゴム、ウレタン系ゴムなどの他、硬度が低い合成樹脂等が採用できる。
図1〜図4は本発明の実施例1の流体噴射装置と駆動方法、図5は、実施例2の流体噴射装置、図6は、実施例3の流体噴射装置、図7〜図9は、実施例4の流体噴射装置、表1は、この流体噴射装置を用いた生体組織の切開実験の評価結果が示されている。
図1は、本実施例1の流体噴射装置10の縦断面図を示す。図1において、流体噴射装置10は、大きくは、マイクロポンプ100とマイクロポンプ100に接続する出口流路接続管300と出口流路接続管300に接続する接続流路管200から構成されている。
また、出口流路接続管300には、ポンプ室体側出口流路301に連通し、同径の接続管側出口流路302が穿設されている。これらの、ポンプ室体側出口流路301と接続管側出口流路302を併せて出口流路という。さらに、この出口流路がイナータンス増加要素であり、従って出口流路側流体制御要素となっている。
なお、入口流路体120とポンプ室体130との接合は、圧入固定に限らず、接着や、螺合によって固定することができる。
ポンプ室体130のダイアフラム131側には、アクチュエータユニット150が装着されている。
さらに、開口部211の外側周縁は面取りや、円弧等で滑らかに丸められている。
また、接続流路管200の端部と出口流路接続管300との当接部から開口部211の入口までの距離を接続流路とし、この長さをLとしたとき、Lは100mm〜200mmの範囲に設定される。
図2は、ポンプ室132内の圧力とダイアフラム131の変位の関係を示すグラフである。図1も参照して説明する。まず、アクチュエータ151に脈動する駆動電圧が供給されることによってダイアフラム131が振動して、ポンプ室132の容積が連続して変化する。この際、マイクロポンプ100の負荷圧力を1.5気圧としてマイクロポンプを運転して、動作流体の吐出流量が多い状態の時のダイアフラム131の変位(μm)、ゲージ圧で示したポンプ室132内圧力(気圧)の波形を示す。ダイアフラム131の変位波形において、波形の傾きが正の領域は、アクチュエータ151が伸びてポンプ室132内の容積が減少している過程である。一方、波形の傾きが負の領域は、アクチュエータ151が収縮してポンプ室132内の容積が増大していく過程である。
まず、ポンプ室132の容積変化により出口流路から脈動として接続流路201に流出された流体は、接続流路201内の接続管路側出口流路302側に高圧を発生する。これは開口部211が極めて小さな口径であることによる。発生した高圧は、接続流路201内を接続流路201内の流体の音速で伝播し、この高圧により開口部211より流体が高速で噴射される。圧力波の一部は流体導入路212の壁面で反射し、再び出口流路側に伝播していく。
さらに、n・2L=Q/fもしくは2L/n=Q/fの条件下でも、接続管路側出口流路302との接合面にできる段差部分の壁による圧力波の反射と、出口流路から接続流路201内への流体の吐出が同期するので効率の良い噴射が可能になる。
従って、接続流路管200は、この圧力波によって変形、または、共鳴に影響が出ない程度の剛性が備えられている。
また、ここで言う接続流路201内の流体の音速とは、接続流路201の剛性の影響も加味した音速である。
図4は、圧電素子から成るアクチュエータ151の駆動周波数と開口部211に圧力センサーを対向させ、噴射した流体のよどみ圧力波形を測定した結果を示すグラフである。
図4において、上段のグラフは、アクチュエータ(圧電素子)151の駆動波形で、図中左側の脈動した波形が出ている期間が脈動波群の駆動時間を示す。
また、図中、下段のグラフが、開口部211における流体のよどみ圧力波形を示す。
横軸は、経過時間(単位、秒)を示す。
アクチュエータ151の駆動周波数は、図4(a)が2.2kHz、図4(b)が3.7kHz、図4(c)が5kHzである。アクチュエータ151の駆動電圧は100Vとし、ON期間に6パルス出力している。
図4(b)では、よどみ圧力の最高値は2気圧を超えているが、その後不安定となる。
図5(c)では、最も高いよどみ圧力を示している。駆動周期2周期に1回のよどみ圧力の上昇が見られるのは、出口流路側流体制御要素としてイナータンス増加要素を用いているためで、イナータンス増加要素により、出口流路内での流動が駆動電圧1周期より長い間継続していることを示している。これは、効率よくポンプが流体を吐出していることを示し、また、この5kHzは接続流路内の流体の共鳴周波数にあたるため、相乗効果でよどみ圧力が上昇するのである。生体組織の切開能力はよどみ圧力と相関があるため本要件の流体噴射装置では、5kHzで駆動することが好ましい。
表1は、アクチュエータ151の脈動波群の駆動時間と休止部の時間を変えて、肝臓組織の切開状態、出血量、切開時の気泡発生について実験したときの評価結果を示す。
アクチュエータ151の駆動周波数は5kHz、100Vで駆動とした。
なお、評価結果は、×は不可、△は許容できる範囲、○は良好、◎は最も良好というように表示している。
休止部の時間1msecについてはデータがないが、実験番号7が0.4msecで不可評価のデータがあり、実験番号6が2msecで最もよい評価結果がでているので、1msecまでは許容できる範囲と推測した。
さらに、接続管側出口流路302と開口部211とは、接続流路201との接続部に流体の流動方向に段差の壁が形成されているので、前述の圧力波が接続流路201内のこの壁の間でより効率よく反射され、適当な駆動周波数時には共鳴によって圧力を高めることができる。また、出口流路側の壁は、逆止弁よりも構造的強度が高いため破壊される心配がないという効果もある。
本発明では、接続流路の長さは、100mm以下でも、200mm以上でもマイクロポンプの適切な設定で要求される性能の流体噴射装置が得られるが、先述の理由から100mm〜200mmの範囲が最も好ましい。
なお、ノズル210は、接続流路管200に圧入しているが、ノズル210と接続流路管200に螺子を螺設して螺合固定すれば、処置部の部位によって適当なノズルを選択して使用することが容易に行うことができる。
ここで、出口流路301との境から開口部211の流体入口までを接続流路とし、その長さLが100mm〜200mmの範囲に設定されている。
なお、接続流路管200は、実施例1と同程度の剛性を有している。
また、接続流路管200は、金属製のパイプの先端部を絞り込みのような加工手段で開口部211を形成することができるので、構造が簡単でコストを低減することができる。
図6は、実施例3の流体噴射装置の縦断面図を示す。図6において、流体噴射装置10は、入口流路122と接続流路201とポンプ室132を備えるポンプ室体130と、アクチュエータ151とアクチュエータ151が固着された筐体152を備えるアクチュエータユニット150とから構成されている。
接続流路201側にも接続流路逆止弁142が備えられている。
出口流路側流体制御要素としての接続流路逆止弁142とノズル210の開口部211の入口側との間の接続流路の長さLを100mm〜200mm、接続流路201の直径を1mm〜3mmで、接続流路管200の外殻の厚さを0.1mm〜1mmの範囲で設定する。
なお、一般のマイクロポンプは、実施例3のようにポンプ室の流入側及び流出側に逆止弁を備えることか多いが、このようなマイクロポンプにも、前述した本実施例の要件を満たせば、同様な効果を得ることができる。
図7は、実施例4のカバー付き流体噴射装置11の縦断面図、図8はカバー160の縦断面図、図9は、図7で示されたカバー付き流体噴射装置11の平面図である。図7、図8において、流体噴射装置10は、カバー160によってマイクロポンプ100と、接続流路管200及び入口接続管121に接続されるチューブ143の一部の周囲を覆われている。
図7に示すように、流体噴射装置10は、カバー160で覆われるが、マイクロポンプ100は、カバー160とは接触しないように空間が設けられている。
特に接続流路管側の固定部168には、パイプ状のシール部材169を挿着することで、密閉性が高められる。
なお、カバー160の材質としては、握っても変形しない程度の剛性があり、振動吸収性が高く、また断熱性が高い材料が選択されるが、シリコン系ゴム、ウレタン系ゴムや、硬度が低い他の剛性樹脂等を採用することができる。しかし、カバー160を握ったときに変形しない程度の剛性を有する。
また、流体噴射装置10がカバー160で覆われているために、噴射された流体や、生体組織切開時に血液等がマイクロポンプ100に付着することを防止することができる。
例えば、前述の実施例では、流体噴射装置は、生体組織の切開を例にあげ説明したが、その他に、結石等の破砕や、生体細胞に液体を導入したり、血管内塞栓の除去等にも応用できる。
さらに、医療分野以外でも、前述の噴流を動力源とする動力装置や冷却装置に応用することができる。
Claims (12)
- ポンプ室を備え、前記ポンプ室の容積を変更して流体の吐出動作を行うマイクロポンプと、
前記マイクロポンプの出口流路に一方の端部が接続され、他方の端部が前記出口流路の直径よりも縮小された開口部が設けられた接続流路と、
前記接続流路が穿設され、前記マイクロポンプから流動される前記流体の脈動を前記開口部に伝達し得る剛性を有する接続流路管と、
が、備えられていることを特徴とする流体噴射装置。 - 請求項1に記載の流体噴射装置において、
前記マイクロポンプが、前記接続流路の前記出口流路側に流体抵抗要素またはイナータンス増加要素を出口流路側流体制御要素として備えていることを特徴とする流体噴射装置。 - 請求項1または請求項2に記載の流体噴射装置において、
前期出口流路側流体制御要素と前記開口部との間の接続流路の長さが100mm〜200mmであることを特徴とする流体噴射装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の流体噴射装置において、
前記接続流路の直径が1mm〜3mmで、前記接続流路管の外殻の厚さが0.1mm〜1mmであることを特徴とする流体噴射装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の流体噴射装置において、
前記接続流路の直径が前記イナータンス増加要素の直径よりも大きいことを特徴とする流体噴射装置。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の流体噴射装置において、
前記接続流路の先端にノズルが備えられていることを特徴とする流体噴射装置。 - 接続流路内の流体の音速をQとし、出口流路側流体制御要素と前記開口部との間の接続流路の長さをL、ポンプ室容積の変更周波数をf、nを正の整数としたとき、n・2L=Q/fもしくは2L/n=Q/fを満たすように前記ポンプ室容積の変更を行うことを特徴とした流体噴射装置の駆動方法。
- ポンプ室を備え、前記ポンプ室の容積を変更して流体の吐出動作を行うマイクロポンプと、前記マイクロポンプの出口流路に一方の端部が接続され、他方の端部に開口部が設けられた接続流路と、が備えられている流体噴射装置の駆動方法であって、
前記流体が脈動波群と休止部との繰り返しで流動されることを特徴とする流体噴射装置の駆動方法。 - 請求項8に記載の流体噴射装置の駆動方法において、
前記脈動波群の駆動時間に対する前記休止部の時間が1〜5であることを特徴とする流体噴射装置の駆動方法。 - 請求項8または請求項9に記載の流体噴射装置の駆動方法において、
前記休止部の時間が1msec〜10msecであることを特徴とする流体噴射装置の駆動方法。 - ポンプ室を備え、前記ポンプ室の容積を変更して流体の吐出動作を行うマイクロポンプに、着脱自在のカバーが装着されていることを特徴とする流体噴射装置。
- 請求項11に記載の流体噴射装置において、
前記カバーが、振動吸収材または断熱材で形成されていることを特徴とする流体噴射装置。
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