以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は本発明の食器洗い機の概略構成を示す縦断側面図、図2は本発明の食器洗い機の概略構成を示す縦断正面図、図3は本発明の食器洗い機の概略構成を示す平面図である。
本発明の食器洗い機は、筐体1と、筐体1内に配され、その前面に開口部2aを有する洗浄槽2と、洗浄槽2内に収容され、洗浄すべき食器が載せられるあみ籠形状の食器保持具3と、食器保持具3の下側に回転自在に配され、食器保持具3で保持される食器の位置に向けて水を噴射する回転可能な第1ノズル4及び第2ノズル5とを備える。また本発明の食器洗い機は、第1ノズル4及び第2ノズル5に加圧水を供給するポンプ7と、ポンプ7から第1ノズル4及び第2ノズル5への連通路を開閉し、ポンプ7が発生した加圧水を第1ノズル4又は第2ノズル5に選択的に供給する開閉弁(切換手段)8と、洗浄槽2内を乾燥させるヒータ10とを備える。また本発明の食器洗い機は、開口部2aの上下を閉じ、上下方向へ回動自在に筐体1に枢支された上部扉11及び下部扉12を備え、下部扉12の下側に、LCD等の表示手段及び押しボタンスイッチ等の入力手段を有する操作パネル26を備えている。更に本発明の食器洗い機は、食器洗い機の各部の動作を制御する制御装置9を備えている。
洗浄槽2の底部には、蛇口等の水源に接続される給水弁13と、給水弁13に給水通路を介して連通し、洗浄槽2内に開口する給水口14と、給水口14と対角する位置に配され、給水口14から給水された水を貯水する貯水部15とが設けられている。ポンプ7は、貯水部15に吸い込みダクトを介して連通しており、貯水部15内の水を吸い込んで加圧することにより、開閉弁8を介して第1ノズル4及び第2ノズル5へ水を供給する。また給水口14と貯水部15との間の流水路には、ヒータ10が配置され、水の汚れ度を測定するための濁度センサ28が設けられている。
洗浄槽2内の後部には、洗浄槽2内の空気を吸込んで加圧する送風機18と、送風機18が加圧した加圧空気を洗浄槽2内に吹き出す吹出口19とが設けられている。第1ノズル4及び第2ノズル5は夫々に複数の噴射口4a及び5aを有する。開閉弁8の二つの出側ポートの夫々に連通した二つの連通管が、洗浄槽2の内底に上方へ突設されており、第1ノズル4及び第2ノズル5は、二つの連通管に回転自在に嵌合される基管部を有し、基管部の回転中心線と直交する位置に複数の噴射口4a及び5aが設けられている。第1ノズル4及び第2ノズル5は、洗浄槽2内の両側に並置され、洗浄槽2の上方に向けて水を噴射するように構成されている。
食器保持具3は、食器の形状に合わせた仕切りを多数設けてあり、仕切りに食器を立てかける形で使用者が食器を食器保持具3に載置することにより、食器保持具3は食器を保持する。食器保持具3の仕切りは、茶碗、大皿、小皿及び湯飲み等、複数種類の食器の夫々の形状に合わせて形成されており、食器の形状に合った仕切りの位置に使用者が食器を載置することにより、食器は夫々の形状に応じた位置で食器保持部3に保持されることとなる。図中のAは、食器保持部3に保持された食器を示す。茶碗又は大皿等の食器Aは種類別に形状が異なっており、食器Aが形状に応じた位置で保持されることにより、複数種類の食器Aは種類別に洗浄槽2内に配置されることとなる。
第1ノズル4及び第2ノズル5は、ノズル別に所定の形状の食器Aが食器保持具3で保持される位置へ水を噴射できる位置に配置されてある。食器Aは形状に応じた位置に種類別に配置されるので、所定の形状の食器Aが保持される位置へ水を噴射することにより、各ノズルは、ノズルに対応した種類の食器Aに対して水を噴射することとなる。図2には、茶碗が食器保持具3で保持される位置の下側に第1ノズル4が配置され、大皿が食器保持具3で保持される位置の下側に第2ノズル5が配置された例を示す。図2の例では、第1ノズル4は食器Aの内で主に茶碗に対して水を噴射し、第2ノズル5は食器Aの内で主に大皿に対して水を噴射する。また第1ノズル4及び第2ノズル5は、制御装置9によって制御される図示しない電動モータによって回転する構成となっている。
開閉弁8は、電動モータ22の出力軸に連動連結された弁体を有しており、弁体が一回転する間に第1ノズル4及び第2ノズル5と各出側ポートとが連通する時間を異ならせ、第1ノズル4及び第2ノズル5から水を噴射する噴射時間を異ならせるように構成されている。電動モータ22は制御装置9によって制御される。
濁度センサ28は、互いに対向するように流水路に配設された発光部28aと受光部28bとを有し、夫々制御装置9に接続されている。制御装置9の制御により、発光部28aから光を出射し、発光部28aと受光部28bとの間を通過する水を透過した光が受光部28bで受光される。受光した光量は制御装置9に送られ、制御装置9は、受光部28bが受光した光の光量に基づいた演算を行う。
図4は、本発明の食器洗い機の制御装置9の構成を示すブロック図である。制御装置9は、CPU91、ROM92、RAM(記憶手段)93、時間経過を計時するためのクロック94及び入出力ポート95を備え、これらは互いに内部バスによって接続されている。入出力ポート95には、操作パネル26、濁度センサ28、第1ノズル4及び第2ノズル5を駆動する電動モータ、ポンプ7、電動モータ22等が接続されている。ROM92は、CPU91が食器洗い機の動作を制御するための制御プログラムを記憶しており、CPU91は、RAM93をワーキングエリアとして、ROM92に記憶された制御プログラムを実行することにより、食器洗い機内の各部を制御し、食器Aの洗浄及びすすぎを順次実行する。
本発明の食器洗い機は、以上の構成でなる。使用者によって、洗浄すべき食器Aが食器保持具3に載置され、必要量の洗剤が洗浄槽2内に供給される。上部扉11及び下部扉12が閉じられ、操作パネル26で洗浄開始の指示を受け付けた場合、CPU91は、給水弁13を開閉させることにより、水を洗浄槽2へ供給する。供給された水は、貯水部15に貯水される。CPU91は、次に、第1ノズル4及び第2ノズル5、ポンプ7、並びに電動モータ22を駆動させることにより、食器Aを洗浄する。このとき、ポンプ7は開閉弁8を介して貯水部15内の水を第1ノズル4及び第2ノズル5へ供給し、第1ノズル4及び第2ノズル5は回転しながら交互に水を噴射する。噴射された水は、食器Aに衝突することによって食器Aを洗浄し、洗浄槽2内を落下して再び貯水部15に貯水され、ポンプ7によって再び第1ノズル4及び第2ノズル5へ供給される。このようにして、食器洗い機は水を循環させながら食器Aを洗浄する。CPU91は、次に、図示しない排水口から洗浄後の水を排水させ、新たに水を給水弁13から供給させ、第1ノズル4及び第2ノズル5から水を噴射させることにより、すすぎを行う。またCPU91は、必要に応じて、洗浄又はすすぎ中にヒータ10への通電を行うことにより、水温の調整を行う。
またCPU91は、受光部28bが受光した光量に基づいて、食器Aに対して噴射された後で落下して流水路を流れる水の汚れを測定する。即ち、食器Aの洗浄又はすすぎにより水が汚れると、水が濁って光の透過率が低下し、受光部28bでの受光量が低下するので、受光量に応じて水の汚れを測定することができる。受光部28bは、受光した受光量に対応した電圧値の信号を出力し、CPU91は、受光部28bから出力された信号の電圧値に基づき、水の汚れを測定することができる。CPU91が濁度センサ28を用いて水の汚れを測定する処理は、本発明における測定手段に対応する。ノズルから水を噴射する前後で測定した水の汚れを比較することにより、水を噴射するノズルを切り換えて以降に発生した水の汚れを取得することができる。
水の汚れを取得する方法を具体的に説明する。水の汚れの値としては、受光部28bから出力された信号の電圧値、又は電圧値に対応した受光部28bでの受光量を用いる。受光量は、受光部28bから出力された信号に基づいてCPU91で計算する。第1ノズル4及び第2ノズル5から交互に水を噴射することとし、最初に水を噴射するノズルは第1ノズル4であるとする。まずノズルから水を噴射する前に、水の汚れの初期値f00を測定する。次に、第1ノズル4から1回目の水の噴射を行い、噴射を停止した後に、水の汚れf11を測定する。第1ノズル4からの1回目の水の噴射により発生する水の汚れF11は、水の噴射前後で水の汚れを比較して、F11=f11/f00により取得できる。第1ノズル4からの水の噴射による水の汚れの累計F1total は、この時点でF1total =F11である。次に、第2ノズル5から1回目の水の噴射を行い、噴射を停止した後に、水の汚れf21を測定する。第2ノズル5からの1回目の水の噴射により発生する水の汚れF21は、水の噴射前後で水の汚れを比較して、F21=f21/f11により取得できる。第1ノズル4からの水の噴射による水の汚れの累計F2total は、この時点でF2total =F21である。
次に、水を噴射するノズルは第1ノズル4に戻り、第1ノズル4から2回目の水の噴射を行い、噴射を停止した後に、水の汚れf12を測定する。第1ノズル4からの2回目の水の噴射により発生する水の汚れF12は、水の噴射前後で水の汚れを比較して、F12=f12/f21により取得できる。第1ノズル4からの水の噴射による水の汚れの累計F1total は、前回までの噴射による累計をF1total (前)として、F1total =F1total (前)+F12である。次に、第2ノズル5から2回目の水の噴射を行い、噴射を停止した後に、水の汚れf22を測定する。第2ノズル5からの2回目の水の噴射により発生する水の汚れF22は、水の噴射前後で水の汚れを比較して、F22=f22/f12により取得できる。第2ノズル5からの水の噴射による水の汚れの累計F2total は、前回までの噴射による累計をF2total (前)として、F2total =F2total (前)+F22である。以上のように、ノズルを切り換え、水を噴射して停止した後、次にノズルを切り換える前に水の汚れを測定し、直前に測定した水の汚れとの比を取ることによって、ノズルを切り換えて以降に発生した水の汚れを取得することができる。また各ノズルについて取得した水の汚れを積算することによって、各ノズルからの水の噴射により発生した水の汚れの累計を取得することができる。
またROM92は水の汚れの基準値を記憶しており、CPU91は、取得した水の汚れを基準値と比較することによって、食器Aの汚れ具合を表す食器汚れ度を判定する処理を行う。図5は、ROM92が記憶する基準値の例を示す概念図である。ROM92は、夫々に洗浄及びすすぎの条件を定めた複数の動作手順を記憶している。動作手順では、洗浄及びすすぎの条件として洗浄時間及びすすぎ回数を定めており、動作手順で定められた条件に従った洗浄及びすすぎを実行することにより、特定の洗浄時間持続される洗浄、及び特定のすすぎ回数だけ繰り返されるすすぎからなる一連の洗浄コースが実行される。図5には、三種類の動作手順がROM92に記憶された例を示す。図5には、三種類の動作手順に夫々対応する「標準」、「軽め」及び「念入り」の三種の洗浄コースが示されており、夫々に洗浄時間及びすすぎ回数が定められている。なお、動作手順として一回のすすぎ時間、又は洗浄時の水温等、洗浄及びすすぎに関するその他の条件を記憶していても良い。更に図5では、第1ノズル4及び第2ノズル5の夫々に関連付けた互いに異なる基準値が各洗浄コース即ち動作手順に対応付けられている。x=1,2,3として、第1ノズル4には基準値axが関連付けられ、第2ノズル5には基準値bxが関連付けられており、ax<bxとなっている。CPU91は、取得した水の汚れを基準値と比較し、水の汚れが基準値以上である場合は食器汚れ度が大であると判定し、水の汚れが基準値未満である場合は食器汚れ度が小であると判定する処理を行う。ax<bxであるので、第1ノズル4から水を噴射される食器Aについては、より少ない水の汚れで食器汚れ度が大であると判定される。第1ノズル4は、ご飯粒等の落ちにくい汚れが付着する茶碗に対して水を噴射する位置に配置されているので、汚れが落ちにくいために水の汚れが比較的小さい場合でも正しく食器汚れ度を判定できるように、基準値をより小さく設定してある。
また洗浄コース別に、洗浄及びすすぎの条件と基準値とが異なっている。「標準」の洗浄コースに比べて、「軽め」の洗浄コースでは洗浄時間が短くすすぎ回数が少なくなっており、「念入り」の洗浄コースでは洗浄時間が長くすすぎ回数が多くなっている。また「標準」,「軽め」,「念入り」の各洗浄コースには、第1ノズル4について基準値a1,a2,a3が関連付けられ、第2ノズル5について基準値b1,b2,b3が関連付けられている。洗浄コース間での基準値の値は、a3<a1<a2及びb3<b1<b2の関係となっており、「軽め」の洗浄コースでは食器汚れ度が大であると判定され難く、「念入り」の洗浄コースでは食器汚れ度が大であると判定され易くなっている。
図6は、操作パネル26の一部の構成例を示す模式図である。操作パネル26には、洗浄コースを選択する指示を受け付けるためのコースボタンが設けられている。コースボタンの付近には、「標準」、「軽め」及び「念入り」の各コース名が記載され、各コース名にはランプが付随しており、いずれかのランプが点灯することにより、いずれの洗浄コースが選択されているかが表示される。使用者がコースボタンを押下する都度、選択された洗浄コースは切り替わり、所望の洗浄コースが選択されるまで使用者がコースボタンを押下することにより、操作パネル26は、洗浄コースを選択する指示を受け付ける。このようにして操作パネル26は本発明における受付手段として機能する。洗浄コースが選択されることにより、ROM92が記憶しているように洗浄及びすすぎの条件が決定される。操作パネル26には、決定された洗浄時間及びすすぎ回数を表示する表示部が設けられている。また同様に、洗浄コースが選択されることにより、洗浄コースに関連付けられていた各ノズルについての基準値が変更される。更に操作パネル26には、スタートボタンが設けられている。
次に、本発明の食器洗い機が実行する処理を説明する。図7〜図11は、本発明の食器洗い機が実行する洗浄及びすすぎの処理の手順を示すフローチャートである。CPU91は、ROM92が記憶する制御プログラムに従って、以下の処理を実行する。CPU91は、使用者が制御パネル26のコースボタンを押下することによる、洗浄コースを選択する指示の受付を待ち受ける(S1)。洗浄コースが選択されることにより、洗浄コースを実現するための動作手順が選択されることとなる。洗浄コースを選択する指示の受付がない場合は(S1:NO)、洗浄コースを選択する指示の受付の待ち受けを続行する。洗浄コースを選択する指示を制御パネル26で受け付けた場合は(S1:YES)、CPU91は、選択された洗浄コースに対応付けてROM92に記憶してある洗浄及びすすぎの条件、並びに第1ノズル4及び第2ノズル5の夫々に関連付けられた水の汚れの基準値をRAM93に読み出すことにより、洗浄時間、すすぎ回数、並びに第1ノズル4及び第2ノズル5の夫々に係る水の汚れの基準値を決定する(S2)。決定された洗浄時間及びすすぎ回数はRAM93に記憶され、決定された水の汚れの基準値は第1ノズル4及び第2ノズル5の夫々に関連付けてRAM93に記憶される。なお、水温等の他の条件をも洗浄コースに対応付けて記憶している場合は、それらの条件も決定する。CPU91は、次に、決定した洗浄時間及びすすぎ回数を制御パネル26に表示させる(S3)。
CPU91は、次に、使用者が制御パネル26のスタートボタンを押下することによる、スタートの指示の受付を待ち受ける(S4)。スタートの指示の受付がない場合は(S4:NO)、CPU91は、スタートの指示の受付の待ち受けを続行する。スタートの指示を制御パネル26で受け付けた場合は(S4:YES)、CPU91は、給水弁13を制御して、洗浄槽2への給水を行う(S5)。このとき、CPU91は、給水弁13を開放させ、図示しない水位センサが所定値に達した場合に給水弁13を閉鎖させることにより、給水処理を行う。洗浄槽2へ供給された水は、貯水部15に貯水される。またCPU91は、必要に応じて、ヒータ10に通電することにより水温を調整する処理を行う。CPU91は、次に、濁度センサ28の受光部28bから出力された信号を受け付け、水の汚れの初期値f00を測定する(S6)。CPU91が測定した水の汚れは、RAM93に記憶される。CPU91は、次に、電動モータ22を制御して開閉弁8を動作させることにより、実際に水を噴射するノズルを第1ノズル4へ切り換える(S7)。
CPU91は、図示しない電動モータを制御して第1ノズル4を回転させ、ポンプ7を制御することにより、第1ノズル4から水を噴射開始させる(S8)。第1ノズル4は、回転しながら水を噴射する。第1ノズル4からの水は、第1ノズル4に対応する食器Aである茶碗に対して主に噴射され、主に茶碗が洗浄される。CPU91は、次に、水を噴射するノズルを第1ノズル4へ切り換えてから第1ノズル4が水を噴射する時間である第1噴射時間が経過したか否かを判定する(S9)。なお、第1噴射時間の初期値は、予め定められている。第1噴射時間がまだ経過していない場合は(S9:NO)、CPU91は、第1ノズル4からの水の噴射を続行させる。水を噴射するノズルを第1ノズル4へ切り換えてから第1噴射時間が経過した場合は(S9:YES)、CPU91は、ポンプ7を制御して第1ノズル4からの水の噴射を停止させる(S10)。
CPU91は、次に、濁度センサ28の受光部28bから出力された信号を受け付け、水の汚れを測定する(S11)。なお、CPU91は、特定のタイミングで水の汚れの測定を行うのではなく、水の汚れの測定を常時行っており、ステップS11のタイミングで測定結果を得る処理を行ってもよい。CPU91は、次に、前述のように、測定した水の汚れを直前に測定した水の汚れで除することによって、実際に水を噴射するノズルを第1ノズル4へ切り換えて以降に発生した水の汚れを取得する(S12)。例えば、第1ノズル4からの水の噴射が1回目である場合は、測定した水の汚れを水の汚れの初期値で除し、第1ノズル4からの水の噴射がn回目(nは2以上の整数)である場合は、測定した水の汚れを(n−1)回目の第2ノズル5からの水の噴射時に測定した水の汚れで除すればよい。CPU91は、次に、前述のように、第1ノズル4からの前回までの噴射による水の汚れの累計に、ノズルを第1ノズル4へ切り換えて以降に発生した水の汚れを足すことによって、第1ノズル4からの水の噴射による水の汚れの累計F1total を取得する(S13)。またCPU91は、取得した水の汚れを第1ノズル4に関連付けてRAM93に記憶させる(S14)。CPU91は、繰り返し取得される水の汚れを順に記憶させることにより、第1ノズル4について取得した水の汚れの履歴をRAM93に記憶させる。
CPU91は、次に、ノズルの切り換え後に発生した水の汚れと第1ノズル4に関連付けてRAM93に記憶する水の汚れの基準値とを比較することによって、取得した水の汚れが基準値以上であるか否かを判定する(S15)。例えば、選択された洗浄コースが「標準」である場合は、取得した水の汚れと基準値a1とを比較する。取得した水の汚れが基準値以上である場合は(S15:YES)、CPU91は、第1ノズル4から水を噴射される食器Aの食器汚れ度が大であると判定する(S16)。取得した水の汚れが基準値未満である場合は(S15:NO)、CPU91は、第1ノズル4から水を噴射される食器Aの食器汚れ度が小であると判定する(S17)。ステップS16又はS17が終了した後は、CPU91は、判定結果をRAM93に記憶させ、電動モータ22を制御して開閉弁8を動作させることにより、実際に水を噴射するノズルを第2ノズル5へ切り換える(S18)。
CPU91は、図示しない電動モータを制御して第2ノズル5を回転させ、ポンプ7を制御することにより、第2ノズル5から水を噴射開始させる(S19)。第2ノズル5は、回転しながら水を噴射する。第2ノズル5からの水は、第2ノズル5に対応する食器Aである大皿に対して主に噴射され、主に大皿が洗浄される。CPU91は、次に、水を噴射するノズルを第2ノズル5へ切り換えてから第2ノズル5が水を噴射する時間である第2噴射時間が経過したか否かを判定する(S20)。なお、第2噴射時間の初期値は予め定められている。第2噴射時間がまだ経過していない場合は(S20:NO)、CPU91は、第2ノズル5からの水の噴射を続行させる。水を噴射するノズルを第2ノズル5へ切り換えてから第2噴射時間が経過した場合は(S20:YES)、CPU91は、ポンプ7を制御して第2ノズル5からの水の噴射を停止させる(S21)。
CPU91は、次に、濁度センサ28の受光部28bから出力された信号を受け付け、水の汚れを測定する(S22)。CPU91は、次に、前述のように、測定した水の汚れを直前に測定した水の汚れで除することによって、実際に水を噴射するノズルを第1ノズル4へ切り換えて以降に発生した水の汚れを取得する(S23)。例えば、第2ノズル5からの水の噴射がn回目である場合は、測定した水の汚れをn回目の第1ノズル4からの水の噴射時に測定した水の汚れで除すればよい。CPU91は、次に、前述のように、第2ノズル5からの前回までの噴射による水の汚れの累計に、ノズルを第2ノズル5へ切り換えて以降に発生した水の汚れを足すことによって、第2ノズル5からの水の噴射による水の汚れの累計F2total を取得する(S24)。またCPU91は、取得した水の汚れを第2ノズル5に関連付けてRAM93に記憶させる(S25)。CPU91は、繰り返し取得される水の汚れを順に記憶させることにより、第2ノズル5について取得した水の汚れの履歴をRAM93に記憶させる。
CPU91は、次に、ノズルの切り換え後に発生した水の汚れと第2ノズル5に関連付けてRAM93に記憶する水の汚れの基準値とを比較することによって、取得した水の汚れが基準値以上であるか否かを判定する(S26)。例えば、選択された洗浄コースが「標準」である場合は、取得した水の汚れと基準値b1とを比較する。取得した水の汚れが基準値以上である場合は(S26:YES)、CPU91は、第2ノズル5から水を噴射される食器Aの食器汚れ度が大であると判定する(S27)。取得した水の汚れが基準値未満である場合は(S26:NO)、CPU91は、第2ノズル5から水を噴射される食器Aの食器汚れ度が小であると判定する(S28)。ステップS27又はS28が終了した後は、CPU91は、判定結果をRAM93に記憶させる。
CPU91は、次に、第1ノズル4及び第2ノズル5を用いた食器Aの洗浄を開始してから、ステップS2で決定した洗浄時間が経過したか否かを判定する(S29)。洗浄時間がまだ経過していない場合は(S29:NO)、CPU91は、第1ノズル4について判定した食器汚れ度が大であるか否かを判定する(S30)。第1ノズル4について判定した食器汚れ度が大である場合は(S30:YES)、CPU91は、第2ノズル5について判定した食器汚れ度が大であるか否かを判定する(S31)。第2ノズル5について判定した食器汚れ度が大である場合は(S31:YES)、CPU91は、第1噴射時間及び第2噴射時間を初期値に設定する(S32)。この場合、第1ノズル4及び第2ノズル5について判定した食器汚れ度が共に大であるので、いずれかの噴射時間を短くすることができず、第1噴射時間及び第2噴射時間を初期値のままとする。
ステップS31で第2ノズル5について判定した食器汚れ度が小である場合は(S31:NO)、CPU91は、第1噴射時間及び第2噴射時間の内、第1噴射時間が占める割合をより長く設定する(S33)。この場合、第1ノズル4について判定した食器汚れ度が大であり、第2ノズル5について判定した食器汚れ度が小であるので、第1ノズル4に水を噴射される食器Aの方がより汚れており、第2ノズル5よりも第1ノズル4を用いた洗浄の方がより必要性が高い。従って、第1噴射時間の長さを相対的により長く設定することにより、第1ノズル4に水を噴射される食器Aを重点的に洗浄する。
ステップS30で第1ノズル4について判定した食器汚れ度が小である場合は(S30:NO)、CPU91は、第2ノズル5について判定した食器汚れ度が大であるか否かを判定する(S34)。第2ノズル5について判定した食器汚れ度が小である場合は(S34:NO)、CPU91は、処理をステップS32へ進める。この場合、第1ノズル4及び第2ノズル5について判定した食器汚れ度が共に小であるので、いずれかの噴射時間を長くする必要がなく、第1噴射時間及び第2噴射時間を初期値のままとする。
ステップS34で第2ノズル5について判定した食器汚れ度が大である場合は(S34:YES)、CPU91は、第1噴射時間及び第2噴射時間の内、第2噴射時間が占める割合をより長く設定する(S35)。この場合、第1ノズル4について判定した食器汚れ度が小であり、第2ノズル5について判定した食器汚れ度が大であるので、第2ノズル5に水を噴射される食器Aの方がより汚れており、第1ノズル4よりも第2ノズル5を用いた洗浄の方がより必要性が高い。従って、第2噴射時間の長さを相対的により長く設定することにより、第2ノズル5に水を噴射される食器Aを重点的に洗浄する。
例えば、第1噴射時間及び第2噴射時間の夫々について、大中小の3つの値を予め定め、中の値を初期値としておき、ステップS32では第1噴射時間及び第2噴射時間を共に中の値に設定し、ステップS33では、第1噴射時間を大の値、第2噴射時間を小の値に設定し、ステップS35では、第1噴射時間を小の値、第2噴射時間を大の値に設定すればよい。以上のようにステップS32、S33又はS35で第1噴射時間及び第2噴射時間の値を設定することにより、CPU91は、開閉弁8でノズルに切り換えるタイミングを調整する。なお、CPU91は、最新の水の汚れに限らず、記憶してある水の汚れの履歴に基づいて、第1噴射時間及び第2噴射時間の値を設定する処理を行っても良い。
ステップS32、S33又はS35が終了した後は、CPU91は、処理をステップS7へ戻す。CPU91は、洗浄時間が経過するまで、以上のステップS7〜S35の処理を繰り返し、第1ノズル4及び第2ノズル5から噴射する水で食器Aを洗浄する。
ステップS29で食器Aの洗浄を開始してから洗浄時間が経過した場合は(S29:YES)、CPU91は、第1ノズル4及び第2ノズル5の夫々に関連付けてRAM93に記憶した水の汚れの履歴を参照し、第1ノズル4及び第2ノズル5に関連付けて記憶した最後の所定数の水の汚れの内に、基準値以上の水の汚れが含まれているか否かを判定する(S36)。例えば所定数を3とし、第1ノズル4及び第2ノズル5の夫々について最後の3回の繰り返し処理で取得した水の汚れの内、いずれかが基準値以上である場合等、最後の所定数の水の汚れの内に基準値以上の水の汚れが含まれている場合は(S36:YES)、CPU91は、洗浄時間を予め定められた時間だけ延長する(S37)。CPU91は、次に、すすぎ回数を1回追加し(S38)、新たな洗浄時間及びすすぎ回数をRAM93に記憶して設定する。CPU91は、次に、制御パネル26に表示した洗浄時間及びすすぎ回数の表示を変更し(S39)、処理をステップS7へ戻す。CPU91は、食器汚れ度が十分に洗浄されるまで、以上のステップS7〜S39の処理を繰り返す。
ステップS36で第1ノズル4及び第2ノズル5に関連付けて記憶した最後の所定数の水の汚れの内に基準値以上の水の汚れが含まれていない場合は(S36:NO)、CPU91は、洗浄処理を終了し、図示しない排水口から水を排水させる(S40)。CPU91は、次に、給水弁13を制御して、給水を行い(S41)、図示しない電動モータ及びポンプ7を制御して、第1ノズル4及び第2ノズル5から水を噴射させることにより、すすぎを行う(S42)。一回のすすぎが終了した後、CPU91は、設定されたすすぎ回数のすすぎを実行したか否かを判定する(S43)。設定されたすすぎ回数のすすぎをまだ実行していない場合は(S43:NO)、CPU91は、処理をステップS40へ戻し、ステップS40〜S43の処理をすすぎ回数だけ繰り返す。ステップS43で設定されたすすぎ回数のすすぎを実行している場合は(S43:YES)、CPU91は、図示しない排水口から水を排水させ(S44)、洗浄及びすすぎの処理を終了する。洗浄及びすすぎの処理が終了した後は、食器洗い機は必要に応じて食器Aを乾燥させる処理を行う。
以上詳述した如く、本発明においては、第1ノズル4及び第2ノズル5の夫々に関連付けて水の汚れの基準値を記憶しておき、水を噴射するノズルを切り換えた以降に発生した水の汚れと切り換え後のノズルに関連付けられた基準値とを比較することにより、切り換え後のノズルに水を噴射される食器の食器汚れ度を判定する。第1ノズル4は、ご飯粒等の落ち難い汚れが付着する茶碗に対して主に水を噴射する位置に配置されており、第2ノズル5は、ソース汚れ等の比較的落ち易い汚れが付着する大皿に対して主に水を噴射する位置に配置されている。水の汚れの基準値は、第2ノズル5に関連付けられた基準値に比べ、第1ノズル4に関連付けられた基準値の方がより小となっている。第1ノズル4が水を噴射する食器の汚れは、第2ノズル5が水を噴射する食器の汚れに比べて落ち難いので、食器汚れ度が同程度であったとしても、第1ノズル4の水の噴射によって発生した水の汚れは、第2ノズル5の水の噴射によって発生した水の汚れに比べて小さくなる。そこで、第2ノズル5に関連付けられた基準値に比べ、第1ノズル4に関連付けられた基準値をより小としておくことにより、水の汚れに基づいて食器汚れ度が大きめに判定され、食器Aから汚れが落ち難いために水の汚れが小さい場合でも正しく食器汚れ度を判定することができる。即ち、汚れが落ち難い種類の食器Aに対応するノズルにはより小さい基準値を関連付け、汚れが落ちやすい種類の食器Aに対応するノズルにはより大きい基準値を関連付けておくことにより、汚れの落ちにくさをも考慮にいれた食器汚れ度を正しく判定することが可能となる。
また本発明においては、各ノズルについて判定した食器汚れ度に基づき、ノズルを切り換えるタイミングを調整する。一方のノズルについて判定した食器汚れ度が大であり、他方のノズルについて判定した食器汚れ度が小である場合に、大の食器汚れ度に対応するノズルから水を噴射する時間を長くし、小の食器汚れ度に対応するノズルから水を噴射する時間を短くすることにより、より汚れた食器を重点的に洗浄し、洗浄の効率を向上させることができる。食器汚れ度は、汚れの落ちにくさをも考慮にいれて正しく判定されているので、食器汚れ度が大きい食器Aを重点的に洗浄することにより、茶碗に付着したご飯粒等の比較的落ち難い汚れをも食器Aから確実に落とすことが可能となる。
また本発明においては、各ノズルについて取得した水の汚れの履歴をノズルに関連付けて記憶し、記憶した履歴に基づき、洗浄時間及びすすぎ回数等の洗浄及びすすぎの条件を調整する。例えば、洗浄時間の終了間際まで水の汚れが大きいままであった場合に、洗浄時間を延長し、すすぎ回数を増加することにより、食器Aの汚れを確実に落とせるような洗浄及びすすぎを実行することができる。このように、食器の汚れの落ち具合に応じ、必要な条件で洗浄及びすすぎを行うことができる。
また本発明においては、洗浄時間及びすすぎ回数等、洗浄及びすすぎの条件を定めた複数の動作手順を記憶し、各動作手順に対応付けて各ノズル毎の基準値を記憶しておき、一の動作手順を選択し、選択した動作手順に従った洗浄コースを実行する際に、選択した動作手順に対応付けられた基準値を用いて食器汚れ度を判定する。動作手順に対応付けた基準値を小さくしておけば、その動作手順に従った洗浄コースを実行する際、食器汚れ度が大きく判定され易くなり、食器汚れ度に応じてより強めに洗浄を行うこととなる。例えば、「軽め」の洗浄コースでは基準値を大きくすることにより、食器汚れ度が小さめに判定されて軽めに洗浄及びすすぎが行われ、「念入り」の洗浄コースでは基準値を小さくすることにより、食器汚れ度が大きめに判定されて念入りに洗浄及びすすぎが行われる。このように、食器を洗浄すべく選択された動作手順に必要な感度で食器汚れ度を判定し、必要な強度で洗浄及びすすぎを実行することが可能となる。
なお、本実施の形態において説明したノズルと食器の種類及び基準値との対応付けは一例であって、本発明の食器洗い機はその他の対応付けをしてあってもよい。また本実施の形態においては、水の汚れが基準値以上であるか又は基準値未満であるかに対応して食器汚れ度を判定する処理を示したが、これは一例であって、本発明の食器洗い機はその他の方法で食器汚れ度を判定しても良い。例えば、複数の基準値をノズルに関連付けておき、食器汚れ度を多段階で判定しても良い。また本実施の形態においては、第1ノズル4及び第2ノズル5の水の噴射時間を、直前に判定した食器汚れ度に基づいて設定する処理を示したが、これに限るものではなく、本発明の食器洗い機は食器汚れ度の履歴を記憶しておき、食器汚れ度の履歴に基づいて第1ノズル4及び第2ノズル5の水の噴射時間を設定する処理を行っても良い。また本実施の形態においては、交互に水を噴射するノズルによる各回の水の噴射によって発生した水の汚れに基づいて食器汚れ度の判定及び各ノズルの噴射時間の調整を行う処理を示したが、本発明の食器洗い機は各ノズルからの水の噴射による水の汚れの累計に基づいて処理を行う形態であってもよい。例えば、食器洗い機は、水の汚れの累計に対応する基準値を予め記憶しておき、取得した水の汚れの累計と基準値とを比較することによって食器汚れ度を判定し、判定した食器汚れ度に基づいて各ノズルの噴射時間の調整を行う形態であってもよい。
また本実施の形態において説明した洗浄及びすすぎの条件を調整する処理は一例であって、本発明の食器洗い機は水の汚れの履歴に基づいてその他の方法で洗浄及びすすぎの条件を調整する処理を行っても良い。例えば、本発明の食器洗い機は、水の汚れの履歴中で基準値以上の水の汚れが含まれる割合が所定以上である場合に洗浄時間を延長する処理を行っても良い。また本発明の食器洗い機は、洗浄時間が経過した後に洗浄及びすすぎの条件を調整する処理を行うものに限らず、洗浄時間の途中で洗浄及びすすぎの条件を調整する処理を行うものであってもよい。例えば、本発明の食器洗い機は、水の汚れの履歴を監視し、水の汚れが基準値未満となった状態が所定回数連続した場合に、洗浄時間が残っていても洗浄を終了する処理を行っても良い。このように洗浄時間の途中で洗浄及びすすぎの条件を調整する場合は、食器Aの汚れを確実に落とせるような洗浄及びすすぎを実行すると共に、十分な洗浄が行われているときには洗浄を打ち切り、洗浄時間を短縮することが可能となる。また本発明の食器洗い機は、水の汚れの累計の変化率が所定値未満となった場合に洗浄を打ち切る等、水の汚れの累計の履歴に基づいて洗浄及びすすぎの条件を調整する処理を行う形態であってもよい。
また本実施の形態においては、洗浄コースを選択することで水の汚れの基準値を決定する処理を行う形態を示したが、これに限るものではなく、本発明の食器洗い機は、使用者の操作により直接に基準値の指定を受け付ける形態であってもよい。この形態の場合は、使用者が基準値を細かく指定することにより、食器汚れ度を判定するための感度を詳細に設定し、使用者にとって所望の強度で洗浄及びすすぎを行うことが可能となる。
また本実施の形態においては、濁度センサ28からの信号に基づいてCPU91で水の汚れを求める形態を示したが、これに限るものではなく、本発明の食器洗い機は、濁度センサ28を用いて水の汚れを測定する単独の測定手段を備え、CPU91が測定手段からの測定結果を受け付ける形態であってもよい。また本発明の食器洗い機は、光センサである濁度センサ28ではなく、水の電導度を測るセンサ等、光センサ以外のセンサを用いて水の汚れを測定する形態であってもよい。
また本実施の形態においては、二個のノズルを備えた形態を示したが、これに限るものではなく、本発明の食器洗い機は三個以上のノズルを備えた形態であってもよい。この形態の場合は、食器洗い機は、各ノズルに関連付けて基準値を記憶しておき、実際に水を噴射するノズルを交互に切り換え、各ノズルからの水の噴射による水の汚れを取得し、食器汚れ度を判定し、各ノズルについて取得した水の汚れ又は判定した食器汚れ度に基づいて、ノズルの切換のタイミング並びに洗浄及びすすぎの条件を調整する。