JP2009054834A - 油入電気機器用吸湿呼吸装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】容器の下部室内に落下した吸湿剤の粉や欠片により排気弁及び吸気弁の密閉機能が喪失するのを防ぎ、信頼性を向上させた油入電気機器用吸湿呼吸装置を提供する。
【解決手段】内部が上部室709と下部室710とに仕切られ、上部室内に吸湿剤10が収容された容器7と、上部室内に連通させるようにして容器の蓋板703に取り付けられた通気管8と、容器7の底板に取り付けられて容器内の圧力と外気の圧力との差に応じて排気または吸気を行わせる呼吸用弁機構9とを備えた吸湿呼吸装置6において、容器7の底板702に下方に開口した凹部からなる空気室720を形成し、一端が底板702側に開口し、他端が空気室720内に開口した呼吸管11を下部室710内に配置する。空気室720を下方から塞ぐ状態で底板702の下面に呼吸用弁機構9を着脱可能に取り付けて、空気室720と呼吸管11とを通して排気または吸気を行わせる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、油入変圧器、油入リアクトル等の油入電気機に用いる吸湿呼吸装置に関するものである。
電気機器本体を絶縁油とともにタンク内に収容した油入電気機器においては、機器の温度変化や周囲温度の変化により絶縁油が膨張収縮してタンク内の圧力が変動するため、タンク内の圧力を調整するために呼吸を行なわせる必要がある。呼吸に伴ってタンク内に空気を流入させると、水分の混入や、酸化により絶縁油が劣化し、絶縁性能が低下する。そのため、通常は、タンクの上部にコンサベータを取り付けて、絶縁油の油面を該コンサベータ内に位置させることにより、タンク内の絶縁油に直接空気が接触するのを防ぎ、油面レベルの変化に伴うコンサベータ内の圧力変動を一定の範囲内に収めるため、コンサベータに吸湿呼吸装置を接続して呼吸を行なわせている。
吸湿呼吸装置は、コンサベータ内の絶縁油に湿気が到達するのを防ぐために、吸湿剤を通して呼吸を行わせるものであるが、常時外気が吸湿剤に触れていると、吸湿剤が早期に劣化してしまう。そのため、コンサベータ内の圧力が規定の範囲内にあって、呼吸が行われない状態では、吸湿呼吸装置内と外気との間での空気の流通を断っておく必要がある。そのため、従来広く用いられていた吸湿呼吸装置では、吸湿剤が収容された容器内と外気との間での空気の流通を、シール油が収容されたオイルポットを通して行わせるようにして、呼吸が行われない状態では、シール油により吸湿剤を外気から遮蔽するようにしていた。
ところが、オイルポットを用いた場合には、その内部のシール油の量の点検を定期的に行う必要があるだけでなく、オイルポット内のクリーニングやシール油の交換を定期的に行う必要があるため、保守点検が面倒になるのを避けられなかった。
そこで、最近では、オイルポットを用いずに、排気弁と、吸気弁とを備えた呼吸用弁機構を用いて呼吸を行わせるようにした吸湿呼吸装置が用いられるようになった。この種の吸湿呼吸装置は、上部及び下部がそれぞれ蓋板及び底板により閉じられ、内部が通気性を有する仕切り板で上部室と下部室とに仕切られた筒状の容器と、上部室内に連通させるようにして容器の蓋板に取り付けられた通気管と、容器の底板に取り付けられて容器内の圧力と外気の圧力との差に応じて排気または吸気を行わせる呼吸用弁機構と、容器内の上部室内に収容された吸湿剤とを備えており、容器の蓋板に取り付けられた通気管が油入電気機器のタンクにコンサベータを介して接続される。
この種の呼吸装置で用いられている呼吸用弁機構においては、呼吸装置内の圧力が外気の圧力よりも第1の設定レベル以上高くなったときに排気弁を開いて呼吸装置内の圧力を開放させ、呼吸装置内の圧力が外気圧よりも第2の設定値以上低くなったときに吸気弁が開いて外気を呼吸装置内に流入させるようにしている。この種の呼吸用弁機構を用いた吸湿呼吸装置は、特許文献1や特許文献2に記載されている。特許文献2には、オイルポットを備えた吸湿呼吸装置についても記載されている。
実開昭59−4620号公報 特開平11−260650号公報
呼吸用弁機構を用いた吸湿呼吸装置においては、容器内を上部室と下部室とに仕切る仕切り板に、金網などを用いて通気性を持たせているため、その容器の上部室内に充填した吸湿剤の粉や欠片(かけら)が仕切り板を通して下部室内に落下するのを避けられない。そのため、吸湿剤の粉や欠片が排気弁及び吸気弁内に侵入するおそれがあり、これにより、排気弁及び吸気弁の密閉機能が喪失して、容器の密閉状態が維持されなくなるおそれがあった。
また呼吸用弁機構を用いた従来の吸湿呼吸装置では、排気弁及び吸気弁がそれぞれ外気に直接連通していたため、外部から排気弁及び吸気弁に粉塵が侵入して、前記と同様に、排気弁及び吸気弁の密閉機能が失われるおそれがあった。
そのため、呼吸用弁機構を用いた吸湿呼吸装置においても、弁機構の保守点検を定期的に行うことが好ましいが、特許文献1に記載された吸湿呼吸装置においては、容器の下部に設けられた室内に排気弁及び吸気弁を配置しており、これらの弁機構の保守点検を容易に行うための配慮がなされていなかった。
また特許文献2に記載された吸湿呼吸装置においては、容器に溶接された底板の内側に呼吸用弁機構の主要部が取り付けられていたため、その保守点検を行う際には、容器をコンサベータから取り外し、容器の蓋板を外して内部の吸湿剤を抜き取った後、更に仕切り板を外す必要があり、保守点検に多くの手間と長い時間とがかかるという問題があった。
本発明の目的は、容器の下部室内に落下した吸湿剤の粉や欠片により排気弁及び吸気弁の密閉機能が喪失するのを防ぐことができるようにして、信頼性を向上させた吸湿呼吸装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、容器の下部室内に落下した吸湿剤の粉や欠片により排気弁及び吸気弁の密閉機能が喪失するのを防ぐとともに、外部から侵入する粉塵により排気弁及び吸気弁の密閉機能が喪失するのをも防ぐことができるようにして、信頼性を向上させた吸湿呼吸装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、容器の下部室内に落下した吸湿剤の粉や欠片により排気弁及び吸気弁の密閉機能が喪失するのを防ぐとともに、排気弁及び吸気弁の点検を簡単に行うことができるようにした吸湿呼吸装置を提供することにある。
本発明は、上部及び下部がそれぞれ蓋板及び底板により閉じられ、内部が通気性を有する仕切り板で上部室と下部室とに仕切られた筒状の容器と、上部室内に連通させるようにして容器の蓋板に取り付けられた通気管と、排気弁及び吸気弁を有し、容器の底板に取り付けられて容器内の圧力と外気の圧力との差に応じて排気または吸気を行わせる呼吸用弁機構と、上部室内に収容された吸湿剤とを備えて、通気管が油入電気機器のタンクにコンサベータを介して接続される油入電気機器用吸湿呼吸装置を対象とする。
本発明においては、容器の底板内に下方に開口した凹部からなる空気室が形成される。また、一端が下部室内に開口し、他端が空気室内に開口した呼吸管が下部室内に配置されて底板に支持される。上記呼吸管の他端側の開口部は底板側にのみ開口するように設けられている。呼吸用弁機構は、空気室を下方から塞ぐ状態で底板の下面に着脱可能に取り付けられて、空気室と呼吸管とを通して排気または吸気を行わせるように構成されている。
上記のように、容器の底板側にのみ開口した開口部を有する呼吸管を容器の下部室内に配置して、該呼吸管を通して下部室内と呼吸用弁機構とを連通させるようにすると、容器の下部室内に落下した吸湿剤の粉や欠片が呼吸用弁機構側に侵入するのを防ぐことができるため、吸湿剤の粉や欠片の侵入により排気弁及び吸気弁の密閉機能が喪失して、容器の密閉状態が維持されなくなるおそれを無くすことができ、信頼性を向上させることができる。
また、上記のように、呼吸用弁機構を、容器の底板の下面に着脱可能に取り付けるようにすると、呼吸用弁機構の着脱を簡単に行うことができるため、その保守点検を容易にすることができる。
上記呼吸用弁機構は、空気室を下方から塞ぐように配置されて底板の下面に着脱可能な状態で接続されたフレームと、空気室内を外部に連通させるようにしてフレーム内に形成された排気通路及び吸気通路と、フレームに支持されて空気室内の圧力が外部の圧力よりも高くなったときに排気通路を開き、空気室内の圧力が外部の圧力よりも低くなったときに排気通路を閉じる排気弁と、フレームに支持されて空気室内の圧力が外部の圧力よりも高くなったときに吸気通路を閉じ、空気室内の圧力が外部の圧力よりも低くなったときに吸気通路を開く吸気弁とを備えた構成とすることができる。
この場合、排気通路と外気との間及び吸気通路と外気との間に介在して空気室内に外部から粉塵が侵入するのを阻止する通気性のフィルタを設けておくのが好ましい。
上記のようにフィルタを設けると、外部から到来する粉塵が排気弁及び吸気弁に侵入するのを防ぐことができるため、外部から到来する粉塵によりが排気弁及び吸気弁の密閉機能が喪失するのを防いで、信頼性を向上させることができる。
本発明の好ましい態様では、上記呼吸用弁機構が、空気室を下方から塞ぐように配置されて底板の下面に着脱可能な状態で接続されたフレームと、上端が空気室内に開口するようにしてフレームの上部に並べて形成された排気弁収容凹部及び吸気弁収容凹部と、排気弁収容凹部の底部及び吸気弁収容凹部の底部にそれぞれ固定された排気用弁座及び吸気用弁座と、排気用弁座及び吸気用弁座の上にそれぞれ載置されて、該排気用弁座及び吸気用弁座とともに排気弁及び吸気弁をそれぞれ構成する排気用弁体及び吸気用弁体と、排気弁収容凹部の上端の開口部を気密に閉じて排気弁収容凹部と空気室との間を仕切る蓋体と、排気弁収容凹部内の排気用弁体よりも下方の空間をフレーム内を通して空気室内に連通させるように設けられた第1の排気孔と、排気用弁体の周囲の空間をフレーム内を通して外部に連通させるように設けられた第2の排気孔と、吸気弁収容凹部内をフレーム内を通して外部に連通させるように設けられた吸気孔とを備えている。この場合、空気室内の圧力が外気の圧力よりも第1の設定値以上高くなったときに排気弁が開き、空気室内の圧力が外気の圧力よりも第2の設定値以上低くなったときに吸気弁が開くように、排気用弁体及び吸気用弁体の質量が設定される。
本発明の好ましい態様では、上記吸気孔の吸気弁収容凹部と反対側の開口部及び第2の排気孔の排気弁収容凹部と反対側の開口部がともに下方に開口するように設けられ、吸気孔の下方に開口した開口部及び第2の排気孔の下方に開口した開口部をそれぞれ塞ぐ第1のフィルタ及び第2のフィルタがフレームに取り付けられる。
上記第2のフィルタは、第1のフィルタよりも下方に配置されて、該第1のフィルタを覆うように設けられる。
本発明の好ましい態様では、上記吸気孔の吸気弁収容凹部と反対側の開口部及び第2の排気孔の排気弁収容凹部と反対側の開口部がともに下方に開口するように設けられ、吸気孔及び第2の排気孔の下方に開口した開口部を塞ぐフィルタがフレームに取り付けられる。
上記呼吸管は、逆L字形または逆J字形のパイプからなっていることが好ましい。
以上のように、本発明によれば、容器の底板側にのみ開口した開口部を有する呼吸管を容器の下部室内に配置して、該呼吸管を通して下部室内と呼吸用弁機構とを連通させるようにしたので、容器の下部室内に落下した吸湿剤の粉や欠片が呼吸用弁機構側に侵入するのを防いで、吸湿剤の粉や欠片の侵入により排気弁及び吸気弁の密閉機能が喪失するおそれを無くすことができ、信頼性を向上させることができる。
また、本発明によれば、呼吸用弁機構を、容器の底板の下面に着脱可能に取り付けるようにしたので、呼吸用弁機構の着脱を簡単にして、その保守点検を容易にすることができる。
本発明において、呼吸用弁機構の排気通路と外気との間及び吸気通路と外気との間に介在して空気室内に外部から粉塵が侵入するのを阻止する通気性のフィルタを設けた場合には、外部から到来する粉塵が排気弁及び吸気弁に侵入するのを防ぐことができるため、外部から到来する粉塵によりが排気弁及び吸気弁の密閉機能が喪失するのを防いで、信頼性を向上させることができる。
以下図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1ないし図6は同実施形態を示したもので、図1は本発明の実施形態に係わる吸湿呼吸装置を油入変圧器のタンクにコンサベータを介して接続した状態を、吸湿呼吸装置を断面して示した側面図、図2は同吸湿呼吸装置の正面図、図3は同吸湿呼吸装置の要部の拡大断面図、図4は同吸湿呼吸装置の呼吸用弁機構の上面図、図5は同吸湿呼吸装置の排気弁が動作した状態を示した拡大断面図、図6は同吸湿呼吸装置の吸気弁が動作した状態を示した拡大断面図である。
図1において、1は油入変圧器のタンク、2はタンク1の上部に接続管3を介して接続されたコンサベータである。タンク1内には変圧器本体が絶縁油4とともに収容されている。この変圧器では、タンク1内が絶縁油4で完全に満たされるとともに、その油面4aがコンサベータ2内に位置するように、絶縁油4の量が設定されている。コンサベータ2の上部には逆J字形の接続管5の一端が接続され、下方に開口した接続管5の他端に吸湿呼吸装置6が接続されている。
吸湿呼吸装置6は、上部及び下部がそれぞれ蓋板703及び底板702により閉じられ、内部が通気性を有する仕切り板708で上部室709と下部室710とに仕切られた筒状の容器7と、上部室709に連通させるようにして容器の蓋板に取り付けられた通気管8と、容器7の底板702に取り付けられて容器内の圧力と外気の圧力との差に応じて排気または吸気を行わせる呼吸用弁機構9と、上部室内に収容されたシリカゲル等の吸湿剤10とを備えて、通気管8が接続管5を通してコンサベータ2に接続されている。
更に詳細に説明すると、図示の容器7は、筒状の容器本体701と、容器本体701の下端よりも僅かに上方に寄った部分の内側に配置されて該容器本体の内周に溶接された底板702と、容器本体701の上端の開口部を閉じる蓋板703とを備えている。本明細書では、容器7のタンク1に面する部分を容器7の背面とし、容器7のタンク1と反対側に面する部分を容器7の正面とする。
蓋板703は、容器本体701の上端寄りの外周部に溶接されたフランジ704にパッキン705を介して当接されて、蓋板703とパッキン705とフランジ704とを貫通したボルト706と、このボルトに螺合されたナット707とにより容器本体701に締結されている。
容器本体701内には、容器の背面側から正面側に向って斜め下方に向くように容器の軸線に対して傾斜させて配置された仕切り板708が取り付けられ、この仕切り板708により、容器7内が上部室709と下部室710とに仕切られている。図示してないが、仕切り板708の中央部には金網で塞がれた通気孔が形成され、この通気孔を通して上部室709と下部室710とが連通させられている。
蓋板703には、吸湿剤投入孔712が設けられていて、この吸湿剤投入孔の周縁部に吸湿剤投入管713の下端が溶接され、吸湿剤投入管713を通して容器の上部室709内に吸湿剤10が充填されるようになっている。吸湿剤投入管713の上端は、該投入管にネジ結合された着脱可能なキャップ714により気密に閉じられている。
容器の前面には、縦長の窓が設けられていて、この窓を塞ぐように、容器の前面に覆い板715がネジ止めされている。覆い板715には、ガラス板716で閉じられた覗き窓715aが設けられ、この覗き窓を通して上部室709内の吸湿剤10の量を確認することができるようになっている。
容器内の吸湿剤の交換時に、吸湿剤10を外部に排出するため、容器本体の正面の下部に吸湿剤排出孔が設けられ、この排出孔の周縁に斜め下方に傾斜した吸湿剤排出管718の一端が溶接されている。吸湿剤排出管718の他端は、該排出管にネジ結合されたキャップ719により閉じられている。
蓋板703にはまた、上部室709内に連通させるようにして通気管8の一端が接続され、通気管8の他端に設けられたフランジ8aが接続管5の他端に設けられたフランジ5aに接続されている。
図3に示したように、本発明においては、容器の底板702に、下方に開口した凹部からなる空気室720が形成されている。また一端が下部室710内に開口し、他端が空気室720内に開口した呼吸管11が下部室710内に配置されて、底板702に支持されている。図示の呼吸管11は、一端11aが下方に開口し、他端に継ぎ手部11bが設けられた逆J字形の管からなっていて、その一端の開口部11aを下部室710内で底板702側に(下方に)開口させ、継ぎ手部11bに形成されたネジ部11b1を、空気室720内に連通させて底板702の中央部に設けられたネジ孔に螺合させることにより、底板702に接続されている。
呼吸用弁機構9は、空気室720を下方から塞ぐ状態で底板702の下面に着脱可能に取り付けられて、空気室720と呼吸管11とを通して排気または吸気を行わせるように構成される。
図示の呼吸用弁機構9は、空気室720を下方から塞ぐように配置されて底板の下面に着脱可能な状態で接続されたフレーム901と、空気室720内を外部に連通させるようにしてフレーム901内に形成された排気通路902及び吸気通路903と、フレーム901に支持されて空気室720内の圧力が外部の圧力よりも高くなったときに排気通路902を開き、空気室720内の圧力が外部の圧力よりも低くなったときに排気通路902を閉じる排気弁904と、フレーム901に支持されて空気室720内の圧力が外部の圧力よりも高くなったときに吸気通路903を閉じ、空気室720内の圧力が外部の圧力よりも低くなったときに吸気通路903を開く吸気弁905とを備えている。
更に詳細に説明すると、フレーム901は、板厚方向を上下方向に向けた円板状の部材からなっていて、その上端側の外周部にはフランジ910が形成され、このフランジには、4個の取付け孔911が等角度間隔で設けられている。フレーム901の上端の端面には、円形の溝912が形成され、この溝内にパッキン913が収容されている。
フレーム901の空気室720に臨む上部には、該フレームの上端面に開口させて断面が円形を呈する排気弁収容凹部915と吸気弁収容凹部916とが並べて形成されている。排気弁収容凹部915の底部には排気用弁座917が取り付けられ、この弁座の上に円柱状の金属ブロックからなる排気用弁体918が載置されている。また吸気弁収容凹部916の底部に吸気用弁座919が取り付けられ、この弁座の上に円柱状の金属ブロックからなる吸気用弁体920が載置されている。
フレーム901にはまた、排気弁収容凹部915内の側方の位置でフレーム901の上端に開口した第1の縦孔部922aと、この縦孔部922aの下端から排気弁収容凹部915の真下の位置まで延びる横孔部922bと、横孔部922bの縦孔部922aと反対側の端部から直角に立ち上がって排気弁収容凹部915内に開口した第2の縦孔部922cとが形成され、縦孔部922aと横孔部922bと縦孔部922cとにより、排気弁収容凹部915内の排気用弁体918よりも下方の空間をフレーム901内を通して空気室720内に連通させる第1の排気孔922が構成されている。またフレーム901内には、排気用弁体の周囲の空間をフレーム901内を通して外部に連通させる第2の排気孔923が形成され、第1の排気孔922と、排気弁収容凹部915と、第2の排気孔923とにより、フレーム901内を通して空気室720内を外部に連通させる前記排気通路902が構成されている。第2の排気孔923の排気弁収容凹部915と反対側の開口部は下方に開口している。
フレーム901内にはまた、吸気弁収容凹部916の真下で該フレームの下端に開口したフィルタ収容凹部925が設けられ、フィルタ収容凹部925の下方への開口部の周辺に環状のフィルタ押え板収容凹部927が形成されている。フィルタ収容凹部925と吸気弁収容凹部916との間に、吸気弁収容凹部916内をフレーム901内を通して外部に連通させる吸気孔926が形成され、吸気孔926の吸気弁収容凹部916と反対側の開口部は下方に開口させられている。この例では、吸気孔926と吸気弁収容凹部916とにより、フレーム901内を通して空気室720内を外部に連通させる吸気通路903が構成されている。
フレーム901の上端の端面にはまた、排気弁収容凹部915の開口部を囲むようにして、フレーム901の上面に開口した溝930が形成され、この溝内にパッキン931が収容されている。そしてパッキン931の上に配置された蓋体932(図3、図4参照)がネジ933によりフレーム901に締結され、この蓋体932により、排気弁収容凹部915の上端の開口部が気密に閉じられて、排気弁収容凹部915と空気室720との間が仕切られている。
この例では、排気用弁座917と排気用弁体918とにより排気弁が構成され、吸気用弁座919と吸気用弁体920とにより吸気弁が構成されている。そして、空気室720内の圧力が外気の圧力よりも第1の設定値以上高くなったときに排気弁が開き、空気室720内の圧力が外気の圧力よりも第2の設定値以上低くなったときに吸気弁が開くように、排気用弁体918及び吸気用弁体920の質量が設定されている。ここで、第1の設定値及び第2の設定値は異なっていてもよいが、通常は等しく設定しておくのが好ましい。
外部から呼吸用弁機構内に塵埃が侵入するのを防ぐため、フィルタ収容凹部925内に通気性を有する第1のフィルタ935が収容されている。フィルタ収容凹部925を下方から塞ぐことができる大きさを有して中央に通気孔936aが形成された第1のフィルタ押え板936が凹部927内に配置され、このフィルタ押え板936が、ネジ937によりフレーム901に締結されて、第1のフィルタ935が押えられている。
また第2の排気孔923の下端の開口部と凹部927とを下方から覆うように通気性を有する第2のフィルタ940が配置され、この第2のフィルタを下方から押えるように、通気孔941aを有する第2のフィルタ押え板941が配置されている。第2のフィルタ押え板941は、ネジ942によりフレーム901に締結され、このフィルタ押え板941によりフィルタ940が下方から押えられて、フレーム901に固定されている。
フレーム901に第1及び第2のフィルタ935及び940を取り付け、排気弁収容凹部915内及び吸気弁収容凹部916内にそれぞれ弁体918及び920を収容した後、フレーム901を、空気室720を下方から塞ぐ状態で底板702の下面に当接させ、取り付け孔911に挿入したボルト20を底板702に設けられたネジ穴702aにねじ込むことにより、フレーム901を底板702に締結する。
上記の吸湿呼吸装置6において、コンサベータ2内の圧力と大気圧との差が設定値以下のときには、排気用弁体918及び吸気用弁体920がそれぞれ自重により排気用弁座917及び吸気用弁座919に接触している(排気弁904及び吸気弁905が共に閉じている)ため、呼吸用弁機構9による呼吸は行われず、容器7内は密閉状態に保たれる。
油入変圧器のタンク1内の絶縁油の温度が上昇して該絶縁油が膨張し、コンサベータ2内の油面レベルが上昇すると、容器7内の圧力が上昇する。容器7内の圧力が大気圧よりも第1の設定値以上高くなると(容器内の圧力と大気圧との差圧が第1の設定値以上になると)、図5に示すように排気用弁体918が上方に押し上げられて排気弁904が開き、容器7内の空気が呼吸管11と空気室720と排気弁904とを通して外部に流出して容器7内の圧力が開放される。容器7内の圧力と大気圧との差が第1の設定値未満になると図3に示すように排気用弁体918が自重により排気用弁座917に接触して、排気弁904が閉じ、容器7内を密閉する。
またタンク1内の絶縁油の温度が低下してコンサベータ2内の油面レベルが下降すると、容器7内の圧力が低下する。容器7内の圧力が大気圧よりも第2の設定値以上低くなると、図6に示すように、吸気用弁体920が上方に押し上げられて吸気弁905が開き、外部から吸気弁905と空気室720と呼吸管11とを通して容器7内に空気が流入する。これにより容器7内の圧力が上昇する。容器7内の圧力と大気圧との差が第2の設定値未満になると図3に示すように吸気用弁体920が自重により吸気用弁座919に接触して吸気弁905が閉じ、容器7内を密閉する。
本発明においては、容器7の底板702側にのみ開口した開口部11aを有する呼吸管11を容器の下部室710内に配置して、呼吸管11を通して下部室710内と呼吸用弁機構9とを連通させるようにしたので、容器7の下部室710内に落下した吸湿剤10の粉や欠片が呼吸用弁機構9側に侵入するのを防ぐことができる。従って、吸湿剤の粉や欠片の侵入により排気弁904及び吸気弁905の密閉機能が喪失して、容器7の密閉状態が維持されなくなるおそれを無くすことができ、信頼性を向上させることができる。
また本発明においては、呼吸用弁機構9を、容器7の底板702の下面に着脱可能に取り付けるので、呼吸用弁機構9の着脱を簡単に行うことができ、その保守点検を容易に行なうことができる。
更に、上記のように、排気通路と外気との間及び吸気通路と外気との間に介在して空気室内に外部から粉塵が侵入するのを阻止する通気性のフィルタ935及び940を設けておくと、外部から到来する粉塵が排気弁904及び吸気弁905に侵入するのを防ぐことができるため、外部から到来する粉塵によりが排気弁904及び吸気弁905の密閉機能が喪失するのを防いで、信頼性を向上させることができる。
外部からの粉塵の侵入は、特に吸気弁が開いた際に起こりやすい。上記の実施形態では、第2の排気孔923の開口部を塞ぐ第2のフィルタ940を吸気孔903の開口部を塞ぐ第1のフィルタ935よりも下方に配置して、該第2のフィルタ940で第1のフィルタ935を覆うことにより、吸気孔を二重に覆うようにしている。このように構成した場合には、吸気弁内に外部から粉塵が侵入するのを確実に防ぐことができる。
しかし本発明は、上記のように第1のフィルタ及び第2のフィルタを配置する場合に限定されるものではない。例えば、第2のフィルタ940を、第2の排気孔923の開口部のみを覆うように設けることができる。また吸気孔926の下方に開口した開口部及び第2の排気孔の下方に開口した開口部を塞ぐ一つのフィルタ(吸気孔及び排気孔に共通なフィルタ)を、フレームに取り付けるようにしてもよい。
本発明では、呼吸用弁機構9が、底板702に設けられた空気室720を下方から塞ぐように取り付けられるので、容器7内から吸湿剤10を回収することなく、また蓋703を外すことなく、吸湿呼吸装置6をコンサベータ2に接続したままの状態で、容器7の下方から呼吸用弁機構9の着脱を簡単に行なうことができる。従って、呼吸用弁機構の保守点検を容易に行なうことができる。
上記の実施形態では、呼吸管11として逆J字形のパイプを用いているが、呼吸管11は、容器7の下部室内に開口する開口部が底板702側にのみ開口するように構成された管であれば良く、逆J字形のパイプに限定されない。
例えば、図7に示すように、下端に継ぎ手部11A1を有し、上端寄りの部分に通気孔11A2を有して、継ぎ手部11A1に設けられたネジ部11A3が底板702に設けられたネジ孔にねじ込まれて空気室720に連通させられたI字形のパイプ11Aと、頂部の内側に設けられたボス部11B1に設けられた雌ネジ部がパイプ11Aの上端部の外周に形成された雄ネジ部11A4に螺合されてパイプ11Aの上端に取り付けられた傘11Bとを備えて、傘11Bの下端とパイプ11Aとの間に底板702側に開口した開口部11aを形成した呼吸管11を用いることもできる。
上記の実施形態では、呼吸管11を容器の底板702にネジ結合して取り付けているが、呼吸管11を底板702に溶接により取り付けるようにしてもよい。
本発明の実施形態に係わる吸湿呼吸装置を油入変圧器のタンクにコンサベータを介して接続した状態を、吸湿呼吸装置を断面して示した側面図である。 同吸湿呼吸装置の正面図である。 同吸湿呼吸装置の要部の拡大断面図である。 同吸湿呼吸装置の呼吸用弁機構の上面図である。 同吸湿呼吸装置の排気弁が動作した状態を示した拡大断面図である。 同吸湿呼吸装置の吸気弁が動作した状態を示した拡大断面図である。 本発明の他の実施形態の要部を示した拡大断面図である。
符号の説明
1 油入変圧器のタンク
2 コンサベータ
6 吸湿呼吸装置
7 容器
701 容器本体
702 底板
703 蓋板
708 仕切り板
709 上部室
710 下部室
720 空気室
8 通気管
9 吸気弁
901 フレーム
902 排気通路
903 吸気通路
904 排気弁
905 吸気弁
915 排気弁収容凹部
916 吸気弁収容凹部
917 排気用弁座
918 排気用弁体
919 吸気用弁座
920 吸気用弁体
922 第1の排気孔
923 第2の排気孔
926 吸気孔
935 第1のフィルタ
940 第2のフィルタ
10 吸湿剤
11 呼吸管
11a 開口部

Claims (8)

  1. 上部及び下部がそれぞれ蓋板及び底板により閉じられ、内部が通気性を有する仕切り板で上部室と下部室とに仕切られた筒状の容器と、前記上部室内に連通させるようにして前記容器の蓋板に取り付けられた通気管と、排気弁及び吸気弁を有し、前記容器の底板に取り付けられて前記容器内の圧力と外気の圧力との差に応じて排気または吸気を行わせる呼吸用弁機構と、前記上部室内に収容された吸湿剤とを備えて、前記通気管が油入電気機器のタンクにコンサベータを介して接続される油入電気機器用吸湿呼吸装置において、
    前記容器の底板内に下方に開口した凹部からなる空気室が形成され、
    一端が前記下部室内に開口し、他端が前記空気室内に開口した呼吸管が前記下部室内に配置されて前記底板に支持され、
    前記呼吸管の前記他端側の開口部は前記底板側にのみ開口するように設けられ、
    前記呼吸用弁機構は、前記空気室を下方から塞ぐ状態で前記底板の下面に着脱可能に取り付けられて、前記空気室と前記呼吸管とを通して前記排気または吸気を行わせるように構成されていること、
    を特徴とする油入電気機器用吸湿呼吸装置。
  2. 前記呼吸用弁機構は、
    前記空気室を下方から塞ぐように配置されて前記底板の下面に着脱可能な状態で接続されたフレームと、
    前記空気室内を外部に連通させるようにして前記フレーム内に形成された排気通路及び吸気通路と、
    前記フレームに支持されて前記空気室内の圧力が外部の圧力よりも高くなったときに前記排気通路を開き、前記空気室内の圧力が外部の圧力よりも低くなったときに前記排気通路を閉じる排気弁と、
    前記フレームに支持されて前記空気室内の圧力が外部の圧力よりも高くなったときに前記吸気通路を閉じ、前記空気室内の圧力が外部の圧力よりも低くなったときに前記吸気通路を開く吸気弁とを備えていること、
    を特徴とする請求項1に記載の油入電気機器用吸湿呼吸装置。
  3. 前記排気通路と外気との間及び吸気通路と外気との間に介在して前記空気室内に外部から粉塵が侵入するのを阻止する通気性のフィルタが設けられている請求項2に記載の油入電気機器用吸湿呼吸装置。
  4. 前記呼吸用弁機構は、
    前記空気室を下方から塞ぐように配置されて前記底板の下面に着脱可能な状態で接続されたフレームと、
    上端が前記空気室内に開口するようにして前記フレームの上部に並べて形成された排気弁収容凹部及び吸気弁収容凹部と、
    前記排気弁収容凹部の底部及び吸気弁収容凹部の底部にそれぞれ固定された排気用弁座及び吸気用弁座と、
    前記排気用弁座及び吸気用弁座の上にそれぞれ載置されて、該排気用弁座及び吸気用弁座とともに排気弁及び吸気弁をそれぞれ構成する排気用弁体及び吸気用弁体と、
    前記排気弁収容凹部の上端の開口部を気密に閉じて前記排気弁収容凹部と前記空気室との間を仕切る蓋体と、
    前記排気弁収容凹部内の前記排気用弁体よりも下方の空間を前記フレーム内を通して前記空気室内に連通させるように設けられた第1の排気孔と、
    前記排気用弁体の周囲の空間を前記フレーム内を通して外部に連通させるように設けられた第2の排気孔と、
    前記吸気弁収容凹部内を前記フレーム内を通して外部に連通させるように設けられた吸気孔と、
    を備え、
    前記空気室内の圧力が外気の圧力よりも第1の設定値以上高くなったときに前記排気弁が開き、前記空気室内の圧力が外気の圧力よりも第2の設定値以上低くなったときに前記吸気弁が開くように、前記排気用弁体及び吸気用弁体の質量が設定されていること、
    を特徴とする請求項1に記載の油入電気機器用吸湿呼吸装置。
  5. 前記吸気孔の前記吸気弁収容凹部と反対側の開口部及び前記第2の排気孔の前記排気弁収容凹部と反対側の開口部はともに下方に開口するように設けられ、
    前記吸気孔の下方に開口した開口部及び前記第2の排気孔の下方に開口した開口部をそれぞれ塞ぐ第1のフィルタ及び第2のフィルタが前記フレームに取り付けられている請求項4に記載の油入電気機器用吸湿呼吸装置。
  6. 前記第2のフィルタは、前記第1のフィルタよりも下方に配置されて、該第1のフィルタを覆うように設けられている請求項5に記載の油入電気機器用吸湿呼吸装置。
  7. 前記吸気孔の前記吸気弁収容凹部と反対側の開口部及び前記第2の排気孔の前記排気弁収容凹部と反対側の開口部はともに下方に開口するように設けられ、
    前記吸気孔及び前記第2の排気孔の下方に開口した開口部を塞ぐフィルタが前記フレームに取り付けられている請求項4に記載の油入電気機器用吸湿呼吸装置。
  8. 前記呼吸管は、逆L字形または逆J字形のパイプからなっている請求項1ないし7のいずれか一つに記載の油入電気機器用吸湿呼吸装置。
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