JP2009052263A - 貯水ユニット及び保水性舗装 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、外気温が高く、それ故保水性ブロックを冷却したい時期に保水性ブロックに水を供給し、秋や冬のように冷却の必要のない場合には、保水性ブロックへの給水を止めることのできる貯水ユニットや保水性舗装を提供することにある。
【解決手段】 本発明の貯水ユニット4は、上部に開口部を有する貯水ボックス2と、貯水ボックス2の開口部を覆い貯水ボックス2に通じる通水孔9を有する天板3と、天板3の通水孔9に装着され、貯水ボックス2内の水を毛細管現象を利用して揚水する導水性部材10とを有する貯水ユニット4において、導水性部材10はその上端部に所定温度以上では水分を給排水し、所定温度以下では水分をその内部に保持する給排水樹脂を含む感温性給排水部11を有していることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、舗道や屋上あるいは公園内等に布設される貯水ユニット及び保水性舗装に関するものである。
都市部の舗道やビルの屋上、あるいは公園内の一部は、通常、アスファルトやコンクリートで固められている。そのため夏季の日中においては温度上昇が激しく、舗道を歩いたり、屋上等で過ごすにはとても厳しい状況にある。特に温暖化現象が顕著になってきた昨今においては、日中のみならず夜間においても、この熱がアスファルトやビルの屋上から放熱されて、いわゆるヒートアイランド現象を引き起こす要因の一つにもなっている。
このヒートアイランド現象を緩和しようと、道路の脇に木を植えたり、ビルの屋上に芝生や木を植えたり、あるいは種々の草花を植える試みも成されているが、それだけでは十分でなく、さらなる工夫が求められている。
この一環として、特許文献1にあるように保水性舗装ブロック本体(以下単に保水性ブロックという)の下に容器状の保水タンクを設置し、この保水タンクに降った雨水を溜めておき、これを高温時には不織布を介して毛細管現象により上方に吸い上げ、これを保水性ブロックから蒸発させて、その蒸発潜熱により保水性ブロックを冷やそう、との試みも成されている。
すなわち、降雨時には雨水を保水タンクに貯水し、雨水が一挙に河川に流れ込むのを防止し、高温時には貯水した雨水で保水性ブロックを冷やしてヒートアイランド現象の緩和に寄与しようとするものである。
特許第2885085号公報(特開平8‐85907号)
しかしながら特許文献1に開示されている保水性ブロックの場合、夏季以外でも保水タンク内に溜められている雨水が不織布からなる導水性部材を介して保水性ブロックに供給される。そのため、保水タンク内に水がある場合には、いつも保水性ブロック表面が濡れた状態になっていることが多く、例えば秋になると街路樹等から落ちた枯葉や落ち葉が保水性ブロック表面に張り付き易く、保水性ブロックが汚れ易い、また掃除もやり難い、と言う問題がある。加えて冬季にあっては保水性ブロックに供給されている水が凍結して歩行者が滑り易く怪我をし易いとか、保水性ブロック内部に沁み込んでいる水の凍結により保水性ブロックが破損し易い、という問題もある。
前述の問題に鑑み本発明の目的は、外気温が高く、それ故保水性ブロックを冷却したい時期には保水性ブロックに水を供給し、秋や冬のように冷却の必要のない場合には、保水性ブロックへの給水を止めることのできる貯水ユニット、あるいは保水性舗装を提供することにある。
前記目的を達成すべく本発明の請求項1記載の貯水ユニットは、上部に開口部を有する貯水ボックスと、該貯水ボックスの開口部を覆い前記貯水ボックスに通じる通水孔を有する天板と、前記天板の通水孔に装着され、前記貯水ボックス内の水を毛細管現象を利用して揚水する導水性部材とを有する貯水ユニットにおいて、前記導水性部材はその上端部に所定温度以上では水分を給排水し、所定温度以下では水分をその内部に保持する給排水樹脂を含む感温性給排水部を有していることを特徴とするものである。
また請求項2記載の保水性舗装は、路床上方に平面状に複数個敷き詰められた請求項1記載の貯水ユニットと、該貯水ユニットの上方に形成された透水性クッション層と、該透水性クッション層上に敷き詰められた保水性ブロックとを有することを特徴としている。
このようにしてなる請求項1、請求項2記載の貯水ユニット及び保水性舗装によれば、導水性部材の上端に所定温度以上では水分を給排水し、所定温度以下では水分をその内部に保持する給排水樹脂を含む感温性給排水部を有しているため、夏季等外気温が高い場合には、前記感温性給排水部が水分を給排水する、すなわち保水性ブロックを浸透して下方に下りてきた雨水等を導水性部材に導き貯水ボックス内の貯水空間に溜めたり、逆に貯水空間から導水性部材を介して保水性ブロックへ水を供給する。
一方、秋から冬の外気温が低くなった場合には、水分を自身の内部に取り込み保持し、雨水等の移動を止める。
その結果、外気温が高い場合には、保水性ブロックと貯水ボックスの貯水空間との間の水の移動を可能にして雨水の貯水、及び貯水した雨水の保水性ブロックへの給水による保水性ブロックの冷却を助け、秋や冬のように外気温が下がったら水の移動を止めて、保水性ブロックの濡れや氷結による割れを防止することができる。
また請求項3記載の保水性舗装は、請求項2記載の保水性舗装において、前記貯水ユニットと前記透水性クッション層との間に透水性防砂部材を敷き詰めたことを特徴としている。
このようにしてなる請求項3記載の保水性舗装によれば、仮に貯水ユニット上に形成されている透水性クッション層を構成する土砂等の粒径が、天板に形成されている通水孔の孔径より小さくとも、この透水性防砂部材があればそのような土砂の通水孔から貯水ボックスへの侵入を防止することができる。それ故、長期に亘って貯水ボックス内への土砂の侵入、堆積を防止することができる。
さらに請求項4記載の保水性舗装は、上部に開口部を有する貯水ボックスと該貯水ボックスの開口部を覆い前記貯水ボックスに通じる通水孔を有する天板と前記天板の通水孔に装着され前記貯水ボックス内の水を毛細管現象を利用して揚水する導水性部材とを有し平面状に複数個敷き詰められた貯水ユニットと、少なくとも前記導水性部材の上端上に所定温度以上では水分を給排水し、所定温度以下では水分をその内部に保持する給排水樹脂を含む感温性給排水部が配置された感温性給排水層と、該感温性給排水層の上方に形成された透水性クッション層と、該透水性クッション層上に敷き詰められた保水性ブロックとを有することを特徴とするものである。
また請求項5記載の保水性舗装は、路床上方に敷き詰められた遮水シートと、該遮水シート上に形成された貯水層と、該貯水層上に形成され所定温度以上では水分を給排水し所定温度以下では水分をその内部に保持する給排水樹脂を含む感温性給排水層と、該感温性給排水層上に設けられた透水性クッション層と、該透水性クッション層上に敷き詰められた複数の保水性ブロックとを有することを特徴としている。
さらにまた請求項6記載の保水性舗装は、請求項5記載の保水性舗装において、前記貯水層と前記感温性給排水層との間に、前記貯水層内の水を毛細管現象を利用して揚水する導水層を設けたことを特徴としている。
前記請求項4〜請求項6記載の保水性舗装によっても、貯水ユニットの導水性部材上に、あるいは貯水層や導水層上に各々所定温度以上では水分を給排水し、所定温度以下では水分をその内部に保持する給排水樹脂を含む感温性給排水層を有しているため、この感温性給排水層が夏季等外気温が高い場合には水分を給排水する。
すなわち、保水性ブロックを浸透して下方に下りてきた雨水等を導水性部材に導き貯水ボックス内の貯水空間に溜める。また貯水空間から導水性部材により揚水された雨水を保水性ブロック側に給水する。
一方、秋から冬の外気温が低くなった場合には、水分を自身の内部に取り込み保持して雨水の移動を止める。
その結果、外気温が高い場合には、保水性ブロックと貯水ボックスの貯水空間との間の水分の移動を可能にして雨水の貯水、及び貯水した雨水の保水性ブロックへの給水による保水性ブロックの冷却を助け、秋や冬のように外気温が下がったら水の移動を止めて、保水性ブロックの濡れや氷結による割れを防止することができる。
以上のように本発明によれば、外気温が高く、それ故保水性ブロックを冷却したい時期には保水性ブロックに水を供給し、秋や冬のように冷却の必要のない場合には、保水性ブロックへの給水を止めることのできる貯水ユニット、あるいは保水性舗装を提供することができる。
以下に図を用いて本発明の貯水ユニット及び保水性舗装の一実施形態例を詳細に説明する。
図1は本発明の保水性舗装を舗道に適用した例を示す概略断面図である。図1に示すように、まず地面を所定深さ掘って、これを整地して固めた路床の上に、必要なら砕石や砂を所定厚さ(図では省略)敷き詰めて下地1を形成する。尚、下地1としてその中に、具体的には下地1の最上層に、後述する貯水ユニット4に対する不陸を調整する作業を容易にするため、砂を所定厚さ敷き詰めたクッション層を設けておくと便利である。
続いてこの下地1の上に本発明に係る貯水ユニット4を各々のユニットの上面がおおよそ面一になるように平面状に複数個敷き詰め、かつ貯水ユニット4、4を固定するため貯水ユニット4、4間の隙間には、砕石や砂等からなる充填材13を詰め込む。
この貯水ユニット4は、内部に雨水等を貯水する貯水空間8を有し、かつ上部に開口部を有する貯水ボックス2と、この貯水ボックス2の上部の開口部を覆い、貯水ボックス2内の貯水空間8に通じる通水孔9を有する天板3とを有している。さらに前記通水孔9を介してその下端が貯水ボックス2の底面にほぼ接触する程度まで垂下した導水性部材10をも有している。
因みに、天板3に複数個の通水孔9が形成されている場合には、少なくともそのうちの1個の通水孔9に導水性部材10を装着しておけばよい。ところで天板3に複数個の導水性部材10を装着する場合には、各導水性部材10から揚水する水の量ができるだけ均一になるように各導水性部材10を配置するのが望ましい。尚、導水性部材10は、シリカ等を円柱状あるいは円筒状に成形した多孔質体からなるもの、あるいは不織布等を帯状あるいはパイプ状等に加工したものなどからなっている。
そして貯水ユニット4を敷き詰めたら、貯水ユニット4の天板3上に、例えば、数mm程度の厚さを有する不織布等からなるシート状の透水性防砂部材5を、必要に応じて必要枚数重ねて敷き詰める。敷き詰める枚数は設置場所の条件等に応じて1枚でも複数枚でもよい。この透水性防砂部材5は、土砂等が天板3の通水孔9から貯水ボックス3内に侵入し、堆積するのを防止する防砂部材として作用する。もちろんこの透水性防砂部材5は、雨水等の水はよく透過させる。
次に透水性防砂部材5の上に、例えば砂礫等を所定厚さ敷き詰めて透水性クッション層6を形成し、最後にこの透水性クッション層6上に、例えば、この例のように舗道用の保水性舗装であれば、インターロッキングブロックからなる複数個の保水性ブロック7を平面状におおよそ面一に敷き詰める。ここで前記透水性クッション層6は保水性ブロック7を平面状に敷き詰める際に不陸作業、すなわち保水性ブロック7を面一に並べる作業を容易にする役割も果している。
そして図1に示す本発明の保水性舗装の特徴は、前記導水性部材10の上端に所定温度以上では水分を給排水し、所定温度以下では水分をその内部に保持する給排水樹脂を含む感温性給排水部11を設けた点にある。この感温性給排水部11は、例えば、架橋ポリイソプロピルアクリルアシド等を主成分とする樹脂を不織布等に含有せしめたものである。これを導水性部材10の上端に取り付けてある。
前記導水性部材10の上端に設ける感温性給排水部11は通水孔9を完全に覆うように、通水孔9の孔径よりも大きな寸法にしておくのが望ましい。また、感温性給排水部11は導水性部材10の上に載置するだけでもよいが、両者の構成が不織布等の布同士の場合は、通水性を阻害しない範囲で、感温性給排水部11の感温性給排水部材と導水性部材10とを接着材等で両者を固定することもできる。さらにまた、通水孔9を上段の孔径が大きく下段の孔径が小さくなるように厚さ方向に2段の段付き孔形状に形成して、上段に感温性給排水部11を配置し、下段には導水性部材10の上端が来るように配置し、導水性部材10の先端部に感温性給排水部11で栓をするようにすることもできる。
このようにしてなる図1に示す本発明の保水性舗装によれば、降った雨は、保水性ブロック7を透過して下方に浸透していき、さらに透水性クッション層6を抜け透水性防砂部材5に至る。
透水性防砂部材5に到達した雨水は、透水性防砂部材5内を水平方向にも拡散しながら貯水ユニット4の天板3の通水孔9から覗いている導水性部材10の上端にある感温性給排水部11に到達する。
この感温性給排水部11は、導水性部材10の上端にあって、夏季等の外気温が高い場合、例えば30℃前後の場合には水分を給排水する。すなわち、保水性ブロック7からこの感温性給排水部11に下りてきた水分を導水性部材10に供給し、貯水ボックス3内の貯水空間8に溜める。同時に晴れて暑くなった日には、貯水ボックス3の貯水空間8から導水性部材10により揚水された水を透水性防砂部材5へと供給し、供給された水は透水性クッション層6をさらに上昇して保水性ブロック7に至り、その表面から蒸発潜熱を奪いながら外気中へと拡散し、保水性ブロック7を含む周囲を冷却する。
一方、晩秋から冬、外気温が低くなった場合には、水を感温性給排水部11自身の内部に取り込み保持し、水の移動を止める。すなわち、降った雨は保水性ブロック7、透水性クッション層6そして透水性防砂部材5へと浸透して来るが、感温性給排水部11では取り込んだ雨水を自身の内部に保持して、導水性部材10への雨水の供給を止める。そのため雨水の一部は導水性部材10が装着されていない通水孔9から貯水ボックス2内の貯水空間8に落ちて溜まったり、また一部は透水性クッション層6や透水性防砂部材5において水平方向に拡散して舗道部以外の地中へ浸透し逃げていく。
そして雨が降らない日、貯水ボックス2の貯水空間8に溜まっている雨水が導水性部材10内を毛細管現象によって上昇しようとしても、導水性部材10の上端にある感温性給排水部11が上昇してきた水分を自身の内部に保持してしまって、透水性防砂部材5側に給水(排水)しない。すなわち、水分は感温性給排水部11の部分でその移動を遮断されてしまう。
その結果、秋から冬にあって外気温が、例えば20℃以下になると、感温性給排水部11の存在により、貯水ボックス2の貯水空間8に溜まっている水は、保水性ブロック7に給水されることがないから、従来のように雨が降らないにも係わらず、貯水ボックス2内に溜まっていた水の上昇によって保水性ブロック7の表面が濡れ、その表面に枯葉等を付着し易くなったり、その表面が凍結して滑り易くなったり、あるいは氷結によって保水性ブロック7自体が割れる、といった事故を大幅に低減することができる。
ところで前記実施形態例の説明では、天板3には複数個の通水孔9が形成されていて、その1つに、上端に感温性給排水部11が装着された導水性部材10を取り付ける旨説明したが、特に寒冷地にあっては貯水ボックス2内に雨水を一杯に溜めておくと、この雨水が凍結して貯水ボックス2を割ってしまう恐れがある。そのような恐れがある寒冷地にあっては、各天板3に一個のみ通水孔9を設け、これに感温性給排水部11付きの導水性部材10を装着するか、通水孔9を複数個設けてあるならその全てに感温性給排水部11付きの導水性部材10を装着するようにして、雨水が貯水ボックス2へと移動するのを防止すればよい。
また前記実施形態例では、貯水ユニット4と透水性クッション層6との間に透水性防砂部材5を敷き詰めているが、もしこの透水性クッション層6を構成する土砂等として、その粒径が天板3に形成されている通水孔9の孔径よりも大きなものが用いられている場合には、あえて透水性防砂部材5を敷き詰める必要はない。なぜならば、通水孔9の孔径よりも粒径の大きな透水性クッション層6を構成する土砂等は通水孔9を通過することができないからである。
図2は本発明の保水性舗装の別の実施形態例を示す概略断面図で、図1との相違点部分のみを取り出して示している。
図2に示す実施形態例の特徴は、図1に示すものと違い、その上端に感温性給排水部11が装着されていない導水性部材10を有する貯水ユニット4を平面状に複数個敷き詰めた上に、例えば、架橋ポリイソプロピルアクリルアシド等を主成分とする樹脂を不織布等の全体に含有せしめたシートを敷き詰めて感温性給排水層12を形成した点にある。
このようにしておけば、図1に示した実施形態例のものよりも感温性給排水用の樹脂をより多く使用しなければならない、という価格的な問題はあるものの、仮に天板3に導水性部材10を装着しない通水孔9が何個あろうとも気にすることなく、図1に示した感温性給排水部11と同様の作用効果を感温性給排水層12により得ることができる。加えてこの感温性給排水層12が前述した透水性防砂部材5の役割も果し、透水性クッション層6側から土砂等の一部が通水孔9を介して貯水ボックス2内に侵入するのを防止できる利点もある。
図3は本発明のさらに別の実施形態例を示す概略断面図である。
図3に示すように、まず図1に示したものと同様にして、舗道における地面を所定深さ掘って、これを整地して固めた路床の上に、必要なら砕石や砂を所定厚さ(図では省略)敷き詰めて下地1を形成する。この上にゴムや合成樹脂からなる遮水シート14を敷き詰める。尚、図3では省略しているが側面部も後述する貯水層15の高さに相当する部分まで遮水シート14で覆う。
しかる後、遮水シート14で覆った部分に、図1や図2における貯水ユニット4を敷き詰める代わりに、この実施形態例では砕石等で貯水層15を形成する。具体的には、貯水効率を高めるために比較的粒径の大きな砕石等を積層して貯水層15を形成する。
この貯水層15上に、例えば、架橋ポリイソプロピルアクリルアシド等を主成分とする樹脂を不織布等に含有せしめた厚さ数ミリ程度のシートを敷き詰めて感温性給排水層12を形成する。因みに、この感温性給排水層12は、図2に示すものと同じものである。しかる後、この感温性給排水層12上に透水性クッション層6、そして最後に保水性ブロック7を平面状に複数個敷き詰める。
このようにして得た保水性舗装においても、貯水層15と透水性クッション層6との間に設けた感温性給排水層12が、夏季等の暑い季節には、保水性ブロック7側から貯水層15に浸透してくる雨水等の水に対して、及び貯水層15から保水性ブロック7側に移動する水に対しては給排水作用で水の移動を可能にする。一方、晩秋や冬の季節には、水を自身の内部に取り込んで水の移動を止め、保水性ブロック7への給水を止める。その結果、保水性ブロック7の表面が濡れ難く、また凍結し難くなり、かつ水の凍結による保水性ブロック7の割れも効果的に防止することができる。
また図3における感温性給排水層12を、図4に示すような、例えばゴム製の孔開きシート16を用いて形成することもできる。因みに、図4において、孔が均一に複数個形成されている、例えばゴムまたは合成樹脂製のシート16、最適には孔開きの遮水シート16を貯水層15上に敷き詰め、しかる後各孔内に、例えば、前述した各実施形態例同様に、架橋ポリイソプロピルアクリルアシド等を主成分とする樹脂を不織布等に含有せしめた円形の感温性給排水部材17を差し入れ、あとはその上に、図3に示すように砂等で透水性クッション層6を形成し、その上に保水性ブロック7を敷き詰める。
このようにすれば、高価な感温性樹脂の使用量を大幅に少なくすることができる。
このような孔開き遮水シート16は貯水ユニット4を用いた保水性舗装にも使用できる。例えば、図2において、層全体が感温性給排水樹脂を含んでいる感温性給排水層12の代わりに、この孔開き遮水シート16を敷き詰めればよい。但し、この場合には、予め孔の位置が貯水ユニット4の天板3から顔を覗かせている導水性部材10の上端位置とできるだけ一致するような遮水シート16を用意しておく必要がある。孔開き遮水シート16の孔と導水性部材10の上端面を一致させて孔開き遮水シート16を敷き詰めたら、その各孔内に架橋ポリイソプロピルアクリルアシド等を主成分とする樹脂を不織布等に含有せしめた円形の感温性給排水部17を差し込めばよい。もちろん、予め孔開き遮水シート16の各孔に感温性給排水部17を装着したものであってもよいことはいうまでもない。
また図3に示す実施形態例において、貯水層15と感温性給排水層12との間に導水層を形成して、貯水層15から感温性給排水層12への水の上昇をより高めることもできる。
具体的には、貯水層15よりもより粒径の小さな土砂を貯水層15上に数ミリ〜数十ミリ程度積層させる。このように粒径の小さな土砂は、粒径の大きなものより毛細管現象が起こり易いため、貯水層15から感温性給排水層12への揚水がより効率的に行われるようになる。
尚、貯水層15上にこのような導水層を設けないで済ますには、貯水率と毛細管現象の両方を適度に備える粒径の土砂で貯水層15を形成すればよい。このような効果を期待できる粒径の土砂としては、粒径50μm〜600μmの範囲の土砂が好ましい。
以上に説明したように、貯水ユニット4の導水性部材10の上端に直接装着した感温性給排水部11、あるいは貯水ユニット4の上に敷き詰めた感温性給排水層12、さらには貯水層15上に直接あるいは導水層を介して設けた感温性給排水層12、孔付き遮水シート16に設けた孔内に差し入れた感温性給排水部材17のいずれもが同様の作用効果を示す。
具体的には、夏季の如く外気温が高い場合には、保水性ブロック7と貯水ボックス2の貯水空間8、あるいは貯水層15との間の水分の移動を可能にして雨水等の貯水ボックス2への貯水、及び貯水ボックス2内に貯水した水の保水性ブロック7への移動による保水性ブロック7の冷却を助け、秋や冬のように外気温が下がったら自身でその内部に抱え込んで水の移動を止め、保水性ブロック7の表面の濡れや凍結を防ぎ、かつ保水性ブロック7内部の水の氷結による割れを効果的に防止することができる。
ところで前記各実施形態例では、本発明の貯水ユニットあるいは保水性舗装を舗道に適用した例のみ示しているが、これらは舗道に限らず、例えば、ビルの屋上緑化用にも適用できる。また公園内等の人が多く集まる場所において、特に夏季に周囲温度を下げたいような場所にも適用可能である。それ故、路床といった場合には、例えば、ビルの屋上のコンクリート面を指す場合もある。
以上説明したように本発明の貯水ユニット及び保水性舗装によれば、外気温が高く、それ故保水性ブロックを冷却したい時期に保水性ブロックに水を供給し、秋や冬のように冷却の必要のない場合には、保水性ブロックへの給水を止めることのできる貯水ユニットや保水性舗装を提供することができる。
本発明の貯水ユニット及び保水性舗装の一実施形態例を示す概略断面図である。 本発明の保水性舗装の別の実施形態例を示す一部概略断面図である。 本発明のさらに別の実施形態例を示す概略断面図である。 本発明の実施形態例に用いる感温性給排水部材付き孔付き遮水シートの一例を示す平面図である。
符号の説明
1 下地
2 貯水ボックス
3 天板
4 貯水ユニット
5 透水性防砂部材
6 透水性クッション層
7 保水性ブロック
8 貯水空間
9 通水孔
10 導水性部材
11 感温性給排水部材
12 感温性給排水層
13 充填材
14 遮水シート
15 貯水層
16 孔開き遮水シート
17 円形の感温性給排水部材

Claims (6)

  1. 上部に開口部を有する貯水ボックスと、該貯水ボックスの開口部を覆い前記貯水ボックスに通じる通水孔を有する天板と、前記天板の通水孔に装着され、前記貯水ボックス内の水を毛細管現象を利用して揚水する導水性部材とを有する貯水ユニットにおいて、前記導水性部材はその上端部に所定温度以上では水分を給排水し、所定温度以下では水分をその内部に保持する給排水樹脂を含む感温性給排水部を有していることを特徴とする貯水ユニット。
  2. 路床上方に平面状に複数個敷き詰められた請求項1記載の貯水ユニットと、該貯水ユニットの上方に形成された透水性クッション層と、該透水性クッション層上に敷き詰められた保水性ブロックとを有することを特徴とする保水性舗装。
  3. 前記貯水ユニットと前記透水性クッション層との間に透水性防砂部材を敷き詰めたことを特徴とする請求項2記載の保水性舗装。
  4. 上部に開口部を有する貯水ボックスと該貯水ボックスの開口部を覆い前記貯水ボックスに通じる通水孔を有する天板と前記天板の通水孔に装着され前記貯水ボックス内の水を毛細管現象を利用して揚水する導水性部材とを有し平面状に複数個敷き詰められた貯水ユニットと、少なくとも前記導水性部材の上端上に所定温度以上では水分を給排水し、所定温度以下では水分をその内部に保持する給排水樹脂を含む感温性給排水部が配置された感温性給排水層と、該感温性給排水層の上方に形成された透水性クッション層と、該透水性クッション層上に敷き詰められた保水性ブロックとを有することを特徴とする保水性舗装。
  5. 路床上方に敷き詰められた遮水シートと、該遮水シート上に形成された貯水層と、該貯水層上に形成され所定温度以上では水分を給排水し所定温度以下では水分をその内部に保持する給排水樹脂を含む感温性給排水層と、該感温性給排水層上に設けられた透水性クッション層と、該透水性クッション層上に敷き詰められた複数の保水性ブロックとを有することを特徴とする保水性舗装。
  6. 前記貯水層と前記感温性給排水層との間に、前記貯水層内の水を毛細管現象を利用して揚水する導水層を設けたことを特徴とする請求項5記載の保水性舗装。
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