JP2009051919A - 有機無機複合体の製造方法、および有機無機複合体 - Google Patents

有機無機複合体の製造方法、および有機無機複合体 Download PDF

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Abstract

【課題】
透明で着色の無い、無機金属化合物と有機重合体を含む有機無機複合体の製造方法、及び有機無機複合体を提供する。
【解決手段】
水溶性、又はASTM−D−570準拠の吸水率が0.07〜0.29重量%の有機重合体と、II族、III族、IV族(但し、チタンを除く。)、及びランタノイドから選ばれた少なくとも一種の金属元素からなる有機金属化合物とを用い、以下の工程(1)、(2)及び(3)により製造することを特徴とする、無機金属化合物と有機重合体を含む、有機無機複合体の製造方法。
工程(1):有機重合体と溶媒、及び有機金属化合物を含む、有機重合体溶液を調製する工程。
工程(2):工程(1)で得られた溶液から溶媒を除去し、有機金属化合物を含む有機重合体混合物を得る工程。
工程(3):工程(2)で得られた混合物中の有機金属化合物を加水分解して無機金属化合物とする工程。
【選択図】 なし

Description

本発明は、無機金属化合物と有機重合体とを含む有機無機複合体の製造方法、及び有機無機複合体に関する。詳しくは、透明性に優れ、着色が無いか、極めて無色透明に近い、光学材料として有用な、無機金属化合物と有機重合体を含む有機無機複合体の製造方法、および有機無機複合体に関する。
芳香族ポリカーボネート樹脂や、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂に代表される有機重合体は、軽量で衝撃強度が高く、更に透明性、成形加工性等にも優れていることから、自動車、機械、電気、電子、建材等、多くの用途に使用されている。しかしこれらの有機重合体は、高屈折率化や高アッベ数化が困難であるばかりでなく、表面硬度が低い為に耐擦傷性が低く、光学材料としての用途が限定されていた。
一方、無機金属化合物は硬度が高く、光学特性には優れている反面、高比重で脆性である為に、成形加工が困難であるという問題がある。そこで有機重合体中に、この様な無機物質を分散、混合させて得られる有機無機複合体(以下、単に「有機無機複合体」と言うことがある。)によって、有機物質のみ、又は無機物質のみでは達成し難い性能を発現させる方法が提案されている。
特に近年、金属アルコキシドの加水分解・縮重合を溶媒中で行う際に、有機重合体を共存させるゾルゲル法を用いて、無機金属化合物と有機重合体を含む、有機無機複合体の合成検討が数多く行われており、有機重合体中で無機金属化合物がナノレベルの微粒子状態で分散した、透明な有機無機複合体が提案されている(例えば非特許文献1、2、及び特許文献1、2参照)。
しかし、この様な有機無機複合体の製造方法は、有機重合体と無機金属化合物間に強い相互作用を必要とし、有機重合体のみならず、無機金属化合物として特定の金属アルコキシドを用いる必要があった。更に、用いる溶媒がアルコール系や水素結合受容性の高い特殊な溶媒を用いている為に、有機重合体としては、これらの溶媒に溶解するものに限られるので、有機重合体と無機金属化合物の組み合わせには、大きな制限があった。
これに対して、芳香族ポリカーボネート樹脂とチタニウムアルコキシドと、N,N,N’,N’−tetraphenyl benzidineをハロゲン化溶媒中で均一溶解後、キャストフィルムを作成し、これを加水分解・縮合して、ナノサイズの金属無機化合物が分散したフィルムの製造方法が提案されている(例えば非特許文献3参照)。しかし、芳香族ポリカーボネート樹脂とチタニウムアルコキシドの反応で作成されるフィルムは着色してしまい、光学材料としての使用には大きな制限があった。
Y.Chujo et al, Adv. Poly. Sci.,100,11,(1992) R.Tamaki et al Chem. Commun. 1131 (1998) π−π T.Yokozumi et al Thin Solid Films 449 (2004) 173−179 特開2003−277509号公報 特開2005−264038号公報
本発明は、上述した様な問題を解決するものであり、有機重合体と、金属アルコキシド等の有機金属化合物とを、特殊な有機溶媒を用いずとも、透明で着色を抑えた、有機無機複合体を製造する方法、および有機無機複合体を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。そして用いる有機重合体の吸水率に着目した。その結果、特定の吸水率を有する有機重合体と、特定の金属種からなる、金属アルコキシド等の有機金属化合物を用いること、そして無機金属化合物と有機重合体を含む有機無機複合体を製造する際に、有機金属化合物、具体的には金属アルコキシドを、一旦、有機重合体と金属アルコキシドからなる有機重合体溶液とした後、溶媒を除去してから、有機重合体中の金属アルコキシドを加水分解することによって、無色透明な、無機金属化合物と有機重合体を含む有機無機複合体を製造できることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明の要旨は、水溶性、又はASTM−D−570準拠の吸水率が0.07〜0.29重量%の有機重合体と、II族、III族、IV族(但し、チタンを除く。)、及びランタノイドから選ばれた少なくとも一種の金属元素からなる有機金属化合物とを用い、以下の工程(1)、(2)及び(3)により製造することを特徴とする、無機金属化合物と有機重合体を含む、有機無機複合体の製造方法、及び有機無機複合体に関する。
工程(1):有機重合体と溶媒、及び有機金属化合物を含む、有機重合体溶液を調製する工程。
工程(2):工程(1)で得られた溶液から溶媒を除去し、有機金属化合物を含む有機重合体混合物を得る工程。
工程(3):工程(2)で得られた混合物中の有機金属化合物を加水分解して無機金属化合物とする工程。
本発明によれば、透明性、色相、表面外観、製膜性、表面硬度、低線膨張性等の諸物性に優れた有機無機複合体を、容易に提供することができる。 更に本発明の有機無機複合体は、これらを更に、通常の樹脂成形方法に用いる樹脂原料として適用し、具体的には例えば、射出成形の様な従来公知の任意の方法により、任意の形状の樹脂成形体とすることも期待できる。
本発明の有機無機複合体は、レンズ、位相差フィルム等の機能性フィルム、反射防止膜、ハードコート等の機能性膜、ヘッドランプレンズ、樹脂窓材(グレージング部材)、表示装置等に用いる導光板等の光学部材の他、屋根材や防音板等の建設資材への適用も期待できる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
[有機重合体]
本発明に用いる有機重合体は、ASTM−D−570に準拠して測定される吸水率、具体的には、24時間浸漬後の吸水率(a)が0.07〜0.29重量%か、又は水溶性である。吸水率が0.07重量%未満または0.29重量%より大きいと、有機無機複合体とした際に、透明性が低下する場合がある。
有機重合体として水溶性樹脂を用いると、吸水による、体積及び強度の変化は大きくなるが、水溶性であるためにクラック発生が抑制され、均一な有機無機複合体を生成できる。本発明においては中でも、樹脂成形体として任意の形状とすることが可能であり、また有る程度の強度を有するために、用いる有機重合体としては、水溶性でないものが好ましい。
本発明に用いる有機重合体の上述した吸水率が0.07重量%未満では、有機重合体と金属アルコキシドとの親和性もしくは、有機重合体と金属アルコキシド等の有機金属化合物を加水分解する水分との親和性が不十分となる。具体的には例えば、有機金属化合物として金属アルコキシドを用いる際、これと有機重合体との均一混合溶液とすることが困難となる。
また均一混合溶液が得られても、溶媒を除去する工程(2)において均一状態を維持することが困難となり、溶媒除去後に均一状態を維持していても、工程(3)における加水分解が均一に進行し難くなり、得られた有機無機複合体の表面性や透明性が低下する場合がある。
一方、吸水率が0.29重量%より大きいと、金属アルコキシドの加水分解時に有機重合体中への吸水量が多く、有機重合体の強度低下や、体積変化等によりクラックが発生し易くなり、有機無機複合体の透明性が低下する場合がある。
本発明に用いる具体的な有機重合体としては、熱可塑性樹脂が好ましく、具体的には例えばポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール、ポリケトン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエーテル樹脂、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド、塩化ビニル、スチレン−アクリロニトリル共重合体やスチレン−無水マレイン酸共重合体等のビニル芳香族系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチルペンテン、環状オレフィン系樹脂、環状オレフィン−エチレン共重合体等が挙げられる。
これらは、ASTM−D−570に準拠して測定される吸水率、具体的には、24時間浸漬後の吸水率(a)が0.07〜0.29重量%か、又は水溶性となれば、2種以上を任意の割合で併用してもよく、更にはエポキシ基等の官能基で変性されたものでもよい。
本発明に用いる有機重合体の吸水率は、中でも0.1〜0.27であることが好ましい。この様な有機重合体としては、具体的には例えば、ポリカーボネート樹脂及び/又はポリエステル樹脂が、特に好ましい。
ポリエステル樹脂としては、従来公知の任意の熱可塑性ポリエステル樹脂を用いることができる。具体的には例えば、ヒドロキシカルボン酸またはその誘導体からなるポリエステル樹脂や、ジカルボン酸またはその誘導体とジオールとからなるポリエステル樹脂が挙げられる。
ジカルボン酸またはその誘導体とジオールからなるポリエステル樹脂において、原料となるジカルボン酸またはその誘導体としては、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、および脂肪族ジカルボン酸、並びにこれらの低級アルキルまたはグリコールのエステルが好ましい。中でも芳香族ジカルボン酸またはこの低級アルキル(例えば、炭素原子数1〜4の)エステルや、グリコールのエステルが好ましく、特にテレフタル酸またはこの低級アルキルエステルが好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、好ましい例として、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
脂環式ジカルボン酸としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が、好ましい例として挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸およびセバシン酸等が、好ましい例として挙げられる。これらのジカルボン酸やそのその誘導体は、単独で、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。
ジオールとしては、脂肪族ジオール、脂環式ジオールおよび芳香族ジオールが好ましい。脂肪族ジオールとしては、中でも炭素原子数2〜20の脂肪族ジオールが好ましく、具体的には例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ジブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールおよび1,8−オクタンジオールが好ましい例として挙げられる。
脂環式ジオールとしては、炭素原子数2〜20の脂環式ジオールが好ましく、具体的には例えば、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロールおよび1,4−シクロヘキサンジメチロールが好ましい例として挙げられる。
芳香族ジオールとしては、炭素原子数6〜14の芳香族ジオールが好ましく、具体的には例えば、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよびビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンが好ましい例として挙げられる。尚、これらのジオールは、単独で、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。
ヒドロキシカルボン酸またはその誘導体からなるポリエステル樹脂としては、乳酸、グリコール酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸およびp−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸またはその誘導体からなるものが挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂は、更に、ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、ジオール等の他の単量体を共重合したものであってもよく、また単官能成分および/または三官能以上の多官能成分を有していてもよい。
単官能成分としては、アルコキシカルボン酸、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、安息香酸、tert−ブチル安息香酸およびベンゾイル安息香酸等が、好ましい例として挙げられる。
三官能以上の多官能成分としては、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロールおよびペンタエリスリトール等が、好ましい例として挙げられる。
本発明に用いるポリエステル樹脂としては、中でも、ポリエチレンテレフタレート樹脂、1,4−シクロヘキサンジメチロールをジオール成分として含有するポリエステル樹脂が好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族−脂肪族ポリカーボネートのいずれも用いることができる。中でも芳香族ポリカーボネートが好ましく、さらに芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させることによって得られる、芳香族ポリカーボネート樹脂又はその共重合体が好ましい。
ポリカーボネート樹脂の原料として用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノ−ルA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=テトラブロモビスフェノ−ルA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1−トリクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等で例示されるビス(ヒドロキシアリ−ル)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等で例示されるビス(ヒドロキシアリ−ル)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等で例示されるカルド構造含有ビスフェノ−ル類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル等で例示されるジヒドロキシジアリ−ルエ−テル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等で例示されるジヒドロキシジアリ−ルスルフィド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等で例示されるジヒドロキシジアリ−ルスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等で例示されるジヒドロキシジアリ−ルスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。
これらの中でも、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノ−ルA]が好ましい。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。更に上記ジヒドロキシ化合物に、分岐化剤を併用してもよく、または難燃性が高い組成物を調製する目的で、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物、又はシロキサン構造を有する両末端フェノール性OH基含有のポリマーもしくはオリゴマー等を用いてもよい。
本発明に用いる有機重合体としては、特に、芳香族ジヒドロキシ化合物として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノ−ルA]を原料として用いたポリカーボネート樹脂が好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度20℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、10000〜30000であることが好ましく、中でも15000〜28000、特に16000〜26000であることが好ましい。粘度平均分子量が前記範囲であると、機械的強度がより良好となる。またポリカーボネート樹脂の末端基におけるOH基の含有量(末端OH基含有量)が50〜1500重量ppmであること、成形性がより良好となるので好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂の製造方法は特に限定されるものではなく、従来公知の任意のものを使用できる。具体的には例えば、ホスゲン法(界面重合法)、溶融法(エステル交換法)等、いずれの方法で製造したポリカーボネート樹脂も用いることができる。また一般的な溶融法の製造工程を経た後に、末端基のOH基量を調整する工程を経て製造された、末端OH基含有量が50〜1500重量ppmとしたポリカーボネート樹脂を用いてもよい。
更に、本発明に用いる有機重合体は、バージン原料としての有機重合体のみならず、使用済みの製品から再生された有機重合体、いわゆるマテリアルリサイクルされた有機重合体であってもよい。使用済みの製品としては、光学ディスクなどの光記録媒体、導光板、自動車窓ガラスや自動車ヘッドランプレンズ、風防などの車両透明部材、水ボトルなどの容器、メガネレンズ、防音壁やガラス窓、波板などの建築部材などが好ましく挙げられる。また、再生有機重合体の形態についても特に制限されず、製品の不適合品、スプルー、又はランナーなどの粉砕品、及びそれらを溶融して得たペレットなどいずれも使用可能である。
[金属アルコキシド]
本発明に用いる有機金属化合物は、金属元素として、II族、III族、IV族(但し、チタンを除く。)、及びランタノイドから選ばれた少なくとも一種の金属元素を有するものである。中でも金属元素としては、Si、Zr、Sn、Al、In、La、NdおよびCeが好ましく、特にZrが好ましい。
II族、III族、IV族(但しチタンを除く。)、及びランタノイド以外の金属元素を用いた場合には、有機金属化合物として例えば金属アルコキシドや、これを加水分解して得られる金属酸化物が着色物質であったり、または金属酸化物による着色が無いか、僅かであっても、チタンの様に有機重合体との組み合わせによって、無機金属化合物と有機重合体を含む有機無機複合体が、着色してしまう場合がある。
本発明に用いる有機金属としては、従来公知の任意のものを使用できるが、中でも金属アルコキシド類が好ましい。金属アルコキシドとしては、上記の金属元素からなるものであれば、任意のものを用いることが出来る。中でも以下の一般式(1)で表されるものが好ましい。
M (1)
(式中、Rは水素か炭素数1〜12、好ましくは1〜5の有機基を示し、Xは炭素数1〜8、好ましくは1〜4のアルコキシ基を示し、MはII族、III族、IV族(但し、チタンを除く。)、及びランタノイドから選ばれた少なくとも一種の金属元素を示し、nは0〜4の整数、mは2〜6の整数を示す。)
一般式(1)で表される化合物としては、具体的には例えば、n=0の化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、テトラn−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のテトラアルコキシジルコニウム類、およびトリブトキシアルミニウム等が挙げられる。
n=1以上の化合物として、Siを例に示すと、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリn−プロポキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジイソプロポキシシラン、モノメトキシシラン、モノエトキシシラン、モノブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジイソプロピルイソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリn−プロポキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジブチルジブトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルエトキシラン、トリn−プロピルn−プロポキシシラン、トリブチルブトキシシラン、フェニルトリメトキシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等の(アルキル)アルコキシシラン等が挙げられる。Siだけでなく、他の金属元素においても同様の化合物が挙げられる。
これらの金属アルコキシドは、単独で、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。またMg[Al(iso−OCや、Ba[Zr(OC、(CO)Zr[Al(OC等の様に、1分子内に2種以上の金属元素が含まれている金属アルコキシド化合物や、テトラメトキシシランオリゴマーやテトラエトキシシランオリゴマー等の様に、1分子内に2個以上の繰り返し単位を有するオリゴマータイプの金属アルコキシド化合物をも用いることが出来る。更には、アルコキシ基がアセトキシ基やアセチルアセトキシ基であってもよい。
金属アルコキシドの中でも、テトラn−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のテトラアルコキシジルコニウムが特に好ましい。
[工程(1):有機重合体と有機金属化合物(金属アルコキシド)の均一混合溶液]
本発明では、有機重合体と有機金属化合物から、無機金属化合物と有機重合体を含む有機無機複合体を製造するにあたり、有機金属化合物と有機重合体を溶媒の存在下で混合し、混合溶液を製造する工程を有する。以下、有機金属化合物として金属アルコキシドを例にして説明する。
工程(1)で用いる溶媒としては、有機重合体と金属アルコキシドを溶解するものであれば特に制限はなく、従来公知の任意のものから適宜選択して決定すればよい。具体的には例えば、ベンゼン、トルエン、n−ヘキサン等の炭化水素系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
これらの溶媒の中でも、有機重合体の溶解性からアルコール系溶媒以外を用いることが好ましく、特に有機重合体への溶解性から、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましい。例えば有機重合体としてポリカーボネート樹脂を用いる際には、その溶解性に優れるハロゲン化炭化水素系溶媒が特に好ましい。これらの溶媒に、有機重合体と金属アルコキシドを溶解し、混合溶液を製造する方法は特に制限はなく、従来公知の任意の方法により、具体的には例えば、加温、攪拌、超音波処理等により調製すればよい。
本発明の有機無機複合体は、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、種々の添加剤から選ばれる一種又は二種以上を含有していてもよい。添加剤を添加する工程は特に制限はないが、添加剤を均一に分散させるために、工程1において、有機重合体と金属アルコキシドの混合溶液に添加する事が好ましい。この工程で添加される添加剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤からなる群から選ばれる添加剤が好ましい。
熱安定剤:
熱安定剤としては、亜リン酸エステル、リン酸エステル等のリン系熱安定剤が好ましい。亜リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、モノブチルジフエニルホスファイト、モノオクチルジフエニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2.6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の亜リン酸のトリエステル、ジエステル、モノエステル等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、2−エチルフェニルジフェニルホスフェート、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフエニレンホスフォナイト等が挙げられる。
リン系熱安定剤の中では、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2.6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましく、中でもビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイトやトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ましい。なお、熱安定剤は、単独で、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。
熱安定剤の含有量は、熱安定性の観点から、有機重合体100重量部に対して、通常0.005〜0.2重量部であり、中でも0.01〜0.1重量部であることが好ましい。
酸化防止剤:
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤が好ましく、より具体的には、2,6−ジ−オブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4―ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、及び3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
中でも、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好ましく、これら酸化防止剤は、単独で、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。酸化防止剤の含有量は、有機重合体に対して200〜5000重量ppmとすることが、本発明の効果を阻害せずに、酸化防止性を改善できるので好ましい。
紫外線吸収剤:
本発明の有機無機複合体に紫外線吸収剤を添加することで、太陽光や蛍光灯の様な光線下に長期間曝された際、黄変を抑制することが出来る。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、ヒンダードアミン系等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例としては、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルメチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラブチル)フェノール、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラブチル)フェノール]等が挙げられる。
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤の具体例としては、フェニルサルチレート、2,4−ジターシャリーブチルフェニル−3,5−ジターシャリーブチル−4一ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。ヒンダードアミン系紫外線吸収剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、有機重合体100重量部に対して0.01〜10重量部であることが好ましい。紫外線吸収剤の含有量がこの範囲であると、有機無機複合体表面へのブリードアウト発生を抑制し、耐候性改善効果が期待できるので好ましく、中でも0.05〜1.5重量部、特に0.1〜1重量部であることが好ましい。
難燃剤:
難燃剤としては、組成物の難燃性を向上させるものであれば特に限定されないが、リン酸エステル化合物及び有機スルホン酸金属塩が好適である。前記リン酸エステル化合物としては、例えば以下の一般式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2009051919
(式中、R、R、R及びRは互いに独立して、置換されていてもよいアリール基を示し、Xは他に置換基を有していても良い2価の芳香族基を示す。nは0〜5の数を示す。)
一般式(2)においてR〜Rで示されるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。またXで示される2価の芳香族基としては、フェニレン基、ナフチレン基や、例えばビスフェノールから誘導される基等が挙げられる。これらの置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基等が挙げられる。nが0の場合はリン酸エステルであり、nが0より大きい場合は縮合リン酸エステル(混合物を含む)である。
具体的には、ビスフェノールAビスホスフェート、ヒドロキノンビスホスフェート、レゾルシンビスホスフェート、レゾルシノール−ジフェニルホスフェート、あるいはこれらの置換体、縮合体などを例示できる。かかる成分として好適に用いることができる市販の縮合リン酸エステル化合物としては、たとえば、大八化学工業社製 CR733S(レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート))、CR741(ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)や、旭電化工業社製 FP500(レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)等が挙げられる。
本発明の有機無機複合体における難燃剤用のリン酸エステル化合物の含有量は、有機重合体100重量部に対して1〜50重量部とすることで、難燃性と耐熱性の双方を良好なものとすることができるので好ましく、中でも3〜40重量部、特に5〜30重量部であることが好ましい。
本発明において使用可能な難燃剤用の有機スルホン酸金属塩としては、好ましくは脂肪族スルホン酸金属塩及び芳香族スルホン酸金属塩等が挙げられる。有機スルホン酸金属塩を構成する金属としては、好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属などが挙げられ、アルカリ金属及びアルカリ土類金属としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム等が挙げられる。有機スルホン酸金属塩は、2種以上の塩を混合して使用することもできる。
該脂肪族スルホン酸塩としては、好ましくは、フルオロアルカン−スルホン酸金属塩、より好ましくは、パーフルオロアルカン−スルホン酸金属塩が挙げられる。フルオロアルカン−スルホン酸金属塩としては、好ましくはフルオロアルカン−スルホン酸のアルカリ金属塩、フルオロアルカン−スルホン酸のアルカリ土類金属塩などが挙げられる。
中でも炭素数4〜8のフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が好ましい。該フルオロアルカン−スルホン酸金属塩の具体例としては、パーフルオロブタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタン−スルホン酸カリウム、パーフルオロメチルブタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロメチルブタン−スルホン酸カリウム、パーフルオロオクタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタン−スルホン酸カリウムなどが挙げられる。
芳香族スルホン酸金属塩としては、具体的には例えば、芳香族スルホン酸アルカリ金属塩、芳香族スルホン酸アルカリ土類金属塩、芳香族スルホンスルホン酸アルカリ金属塩、芳香族スルホンスルホン酸アルカリ土類金属塩などが好ましいものとして挙げられる。芳香族スルホンスルホン酸アルカリ金属塩、芳香族スルホンスルホン酸アルカリ土類金属塩は重合体であってもよい。
該芳香族スルホン酸金属塩の具体例としては、3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカリウム塩、4,4’−ジブロモジフェニル−スルホン−3−スルホン酸のナトリウム塩、4,4’−ジブロモジフェニル−スルホン−3−スルホン酸のカリウム塩、4−クロロ−4’−ニトロジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカルシウム塩、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸のジナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸のジカリウム塩などが挙げられる。
難燃剤用の有機スルホン酸金属塩の含有量は、適宜選択して決定すればよいが、通常、有機重合体100重量部に対して0.01〜5重量部であり、中でも0.02〜3重量部、特に0.03〜2重量部であることが好ましい。
本発明においては、その効果を損ねない範囲で、工程(1)で得られる有機重合体溶液に必要に応じて、上記成分の他に、無機フィラー、帯電防止剤、防曇剤、滑剤・アンチブロッキング剤、防菌剤、着色剤などを配合してもよく、これらは単独で、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。
[工程2:均一混合溶液から溶媒除去する工程]
本発明の工程(2)においては、工程(1)で製造された、有機重合体溶液から溶媒の除去を行う。溶媒を除去する方法は特に制限はないが、具体的には例えば、工程(1)で得られた混合溶液を基板等へ塗布し、溶媒が沸騰しない温度・圧力条件下で乾燥を行う事が好ましい。
乾燥は窒素または空気の気流下で行う事もできる。基板への塗布方法は特に制限はなく、バンド流延法、ドラム流延法、ガラス板流延法、ディップコーティング法、スピンコーティング法などが挙げられる。基板材質は、無ガラスやセラミックス等の無機材料、ステンレス鋼等の金属材料、有機重合体等を用いる事ができるが、光学材料として用いる場合には透明基板への塗布が好ましい。
本発明における工程(2)は、有機重合体溶液から溶媒除去を行うことによって、有機金属化合物を含む有機重合体混合物を得る。これは工程(1)で得られた溶液中の有機重合体と金属アルコキシドの分散状態を固定化することを目的としている。この工程(2)において固定化された分散構造は、この後に続く金属アルコキシドの加水分解・縮重合反応においても保たれ、この事によって均一で透明な有機無機複合材料が形成されると思われる。
[工程(3):金属アルコキシドの加水分解]
本発明における工程(3)は、工程(2)で得られた有機重合体混合物中の金属アルコキシド等の有機金属化合物を水と反応させて加水分解し、金属水酸化物等の、無機金属化合物とする工程である。
加水分解を行う方法は特に制限は無く、工程(2)で得られた有機重合体混合物を水中に放置する方法、大気中の水分を吸湿させる方法等が挙げられる。中でも、水蒸気を用いて、大気中加湿条件下で加水分解を行う方法が好ましい。加水分解の反応条件は、具体的には例えば室温〜100℃、相対湿度が50%以上である。
また金属アルコキシド等の有機金属化合物の加水分解を行う際には、塩酸、硫酸、酢酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の酸性触媒や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミン、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)等の塩基性触媒を用いてもよい。
[無機金属化合物と有機重合体を含む、有機無機複合体]
工程(3)により得られた、加水分解物は、その後加熱処理により金属水酸化物の縮重合反応を進め、金属酸化物化をさらに進行させることが好ましい。加熱処理は有機重合体を直接オーブン等で加熱する事もできるが、マイクロウエーブ加熱してもよい。
工程(2)において、有機重合体溶液を基板へ塗布した際には、加熱処理後に形成される、無機金属化合物と有機重合体とを含む有機無機複合体は、透明フィルムとして得ることができる。この有機無機複合体の厚みは特に制限はないが、通常、2〜200μmであり、着色がなく、透明性に優れているので、液晶表示素子、タッチパネル、有機EL素子などの画像表示素子の透明電極用基板等に好適に使用できることが期待される。
更に工程(2)においてポリカーボネート樹脂成形体等の有機重合体上に、有機重合体溶液を塗布する際には、その後、工程(2)、(3)を経ることにより、反射防止膜、ハードコート等の機能性膜、ヘッドランプレンズ、窓材等のグレージング部材等の光学部材としての利用が期待できる。
本発明の、無機金属化合物と有機重合体を含む有機無機複合体は、更に表面に無機化合物膜、紫外線吸収層、ハードコート等を形成し機能性を高めてもよい。更に、本発明の有機無機複合体を、必要に応じて前記添加剤と共に、熱可塑性樹脂と溶融混練を行い、射出成形や押し出し成形等を行い、樹脂成形体としてもよい。
以下実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例、比較例に於いて用いた原料は、以下の通りである。
[有機重合体]
有機重合体1:芳香族ポリカーボネート 三菱エンジニアリングプラスチックス社製品 ユーピロン(登録商標)E−2000 吸水率0.2重量%
有機重合体2:ポリビニルピロリドン 日本触媒社製 k−85 水溶性
有機重合体3:ポリスチレン PSジャパン社製 HF77 吸水率0.06重量%
有機重合体4:ポリメチルメタクリレート 三菱レイヨン社製 アクリペットMD 吸水率0.3重量%
尚、これら有機重合体の吸水率は、ASTM−D−570に準拠して測定されたものであり、24時間浸漬後の吸水率である。
[金属アルコキシド]
TPT:チタニウムテトライソプロポキシド Sigma−aldrich社製
TBZ:ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド 和光純薬工業社製
(実施例1〜4、比較例1、2)
表1に示した配合比率(重量%)で、有機重合体100mgを1,2−ジクロロエタン1.0mlに加え溶解後、金属アルコキシドを添加し攪拌し溶液を得た。次いでスピンコーティング法を用いて、この溶液のフィルムを作成した。
作成したフィルムを室温で乾燥後、40℃の飽和水蒸気中で2時間加水分解処理を行い、更に120℃で2時間乾燥を行い、無機金属化合物と有機重合体を含む、有機無機複合体を製造した。尚、TPT及びTBZの添加量は、処理後の無機金属化合物と有機重合体を含む、有機無機複合体中の無機酸化物換算量を重量%で表示した値である。
得られた無機金属化合物と有機重合体を含む、有機無機複合体は、透明性、色相を目視で評価後、キーエンス社製デジタルスコープ(VH−Z450)により、倍率1000倍で表面を観察し、クラックの有無を確認した。更にセキテキノトロン社製 2010プリズムカプラを用いて、フィルムの屈折率測定を行った。結果を表1に示す。
透明性の評価基準は、○:透明、△:少し濁りあり、×:不透明を示し、表面外観の評価基準は、○:クラックなし、×:クラックありを示す。
Figure 2009051919
表1の結果から明らかな通り、本発明(実施例1乃至4)は、透明性、色相、表面外観、製膜性、表面硬度、低線膨張性等に優れた、無機金属化合物と有機重合体を含む、有機無機複合体の製造方法および無機金属化合物と有機重合体を含む、有機無機複合体となることが明白である。この無機金属化合物と有機重合体を含む、有機無機複合体は、レンズ、位相差フィルム等の機能性フィルム、反射防止膜、ハードコート等の機能性膜、ヘッドランプレンズ、窓材等のグレージング部材等の光学部材に好適に用いられることが判る。

Claims (6)

  1. 水溶性、又はASTM−D−570準拠の吸水率が0.07〜0.29重量%の有機重合体と、II族、III族、IV族(但し、チタンを除く。)、及びランタノイドから選ばれた少なくとも一種の金属元素からなる有機金属化合物とを用い、以下の工程(1)、(2)及び(3)により製造することを特徴とする、無機金属化合物と有機重合体を含む、有機無機複合体の製造方法。
    工程(1):有機重合体と溶媒、及び有機金属化合物を含む、有機重合体溶液を調製する工程。
    工程(2):工程(1)で得られた溶液から溶媒を除去し、有機金属化合物を含む有機重合体混合物を得る工程。
    工程(3):工程(2)で得られた混合物中の有機金属化合物を加水分解して無機金属化合物とする工程。
  2. 工程(3)での加水分解に水蒸気を用いることを特徴とする、請求項1に記載の有機無機複合体の製造方法。
  3. 有機重合体が、ポリカーボネート樹脂、及び/又はポリエステル樹脂であることを特徴とする、請求項1または2に記載の、有機無機複合体の製造方法。
  4. 有機金属化合物が金属アルコキシドであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の有機無機複合体の製造方法。
  5. 金属アルコキシドがジルコニウムアルコキシドであることを特徴とする、請求項4に記載の有機無機複合体の製造方法。
  6. 有機重合体中に、II族、III族、IV族(但し、チタンを除く。)、及びランタノイドから選ばれた少なくとも一種の金属元素からなる無機金属化合物を分散させた有機重合体組成物であって、該無機金属化合物が有機重合体中で有機金属化合物を加水分解して得られたものであることを特徴とする、無機金属化合物と有機重合体を含む有機無機複合体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016084409A (ja) * 2014-10-24 2016-05-19 国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 水酸化マグネシウムとポリオレフィンとを含むナノ複合体およびその製造方法

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