JP2009051911A - 軽油燃料組成物 - Google Patents

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頼子 坂本
Nobuhiro Okabe
伸宏 岡部
Tsuyoshi Yoshida
強 吉田
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Abstract

【課題】軽油燃料として使用できる程度に腐食性の低いFT軽油ベースの軽油燃料組成物用基材と、FT軽油をベースとしながら腐食性の低い軽油燃料組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係る軽油燃料組成物は、FT軽油に、金属不活性剤を添加したものであり、酸化防止剤が添加されていてもよい。金属不活性剤の好ましい添加量は、600〜800ppm、酸化防止剤が添加されている場合は、200〜800ppmである。酸化防止剤の好ましい添加量は200〜400ppmである。また、本発明に係る軽油燃料組成物は、他の基材と組合わせて使用することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ディーゼルエンジン等に使用される軽油燃料組成物に関するものである。
近年、フィッシャー・トロプシュ燃料(以下、FT燃料という)をわが国における自動車燃料として利用するための様々な研究がなされている。なお、FT燃料とは、天然ガス、石炭、バイオマス等の原料を一酸化炭素と水素の合成ガスを経由して、フィッシャー・トロプシュ法により合成して得られる燃料であり、原料に応じた呼び名が使用されることが多い。例えば、天然ガスを原料とするものはGTL、石炭を原料とするものはCTL、バイオマスを原料とするものはBTLと呼ばれることが多い。一方、GTLという語が、フィッシャー・トロプシュ法により得られた燃料の総称として使用される場合もあるが、本発明においては、FT燃料という語を、フィッシャー・トロプシュ法により得られた燃料の総称として使用するものとし、GTL、CTL、BTL等はFT燃料に含まれるものとする。
このFT燃料は、上記のように、天然ガス、石炭、バイオマス等を原料として合成されるため、石油代替燃料としての利用が、また、硫黄や芳香族炭化水素を含まないため、エンジンからの硫黄酸化物や粒子状物質(PM)の排出を抑える環境に優しい軽油燃料としての利用が期待されている。
その一方で、FT燃料を軽油燃料として日本国内で利用するにはいくつかの問題が指摘されている。例えば、2001年に発行された自動車技術Vol55、No.5の中の「GTL燃料利用技術の研究開発動向」では、FT軽油(FT燃料のなかで、軽油留分に相当するもの)が、潤滑性能に劣る問題やゴム材料へ悪影響を及ぼす問題を抱えている旨が指摘されている。
そこで、そのようなFT軽油の抱える問題を解決する多くの研究もなされており、例えば、特開2004−051964号には、潤滑性を向上させることができる組成物が、特開2006−169279号には流動性や目詰まり点を改善できる組成物が、また、特開2007−031673号にはスモーク発生量や二酸化炭素の発生量を削減できる燃料油が提案されている。
特開2004−051964号 特開2006−169279号 特開2007−031673号 「GTL燃料利用技術の研究開発動向」自動車技術Vol.55、No.5、2001
しかしながら、これまで、FT軽油の腐食性については、その研究成果が発表された実績はない。それは、硫黄分や芳香族分などの不純物を含まないFT軽油が、腐食を起こすという発想がなかったためと考えられるが、本出願人は、FT軽油が、ディーゼルエンジン車両などの燃料系統に用いられる部材に使用されている亜鉛メッキ部材の腐食をひき起こす事実を見出した。
そこで、本発明は、FT軽油ベースでありながら、或いはFT軽油を基材として含みながら、軽油燃料として使用できる程度に腐食性の低い、軽油燃料組成物を提供することを目的とする。
本発明に係る軽油燃料組成物は、FT軽油に、金属不活性剤を添加したものである。
また、本発明に係る軽油燃料組成物は、酸化防止剤が添加されていてもよい。
本発明においてFT軽油とは、例えば天然ガス又は石炭、バイオマス等から得られたガスを原料としてフィッシャー・トロプシュ法によって合成された燃料のうち、軽油相当の留分を有するものをいう。FT軽油の蒸留性状90%留出温度は335℃以下、炭素数20以上の炭化水素化合物含有量が30質量%以下である。蒸留性状90%留出温度が335℃,炭素数20以上の炭化水素化合物含有量が30質量%よりも高くなると、ディーゼルエンジン車両等の燃料系統に用いられている亜鉛メッキ部材に対する腐食性が強くなり、金属不活性剤および酸化防止剤の効果が低くなるために好ましくない。金属不活性剤および酸化防止剤の効果をより高める観点から、蒸留性状90%留出温度は320℃以下、炭素数20以上の炭化水素化合物の含有量は20質量%以下が好ましく、蒸留性状90%留出温度が310℃以下、炭素数20以上の炭化水素化合物の含有量が10質量%以下であることがより好ましい。また、上記の性状を満たす限りFT軽油の他の性状については任意であるが、例えば蒸留性状10%留出温度が240℃以下であり、炭素数12以下の炭化水素含有量が5質量%以上である。
ここで、蒸留性状90%留出温度および10%留出温度は、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法 4.常圧法蒸留試験方法」により測定される蒸留性状で、留出量90容量%および留出量10容量%における留出温度を意味する。また、炭素数20以上の炭化水素含有量および炭素数12以下の炭化水素含有量は、ASTM D 2887「Standard Test Method for Boiling Range Distribution of Petroleum Fraction by Gas Chromatography」に準拠したガスクロマトグラフ法を用い、得られたクロマトグラムから各炭素数毎の炭化水素含有量を算出することによって得ることができる。
なお、ガスクロマトグラフ法におけるカラムの種類は、HP5(長さ:30m,内径:0.32mm,液層厚さ:0.25μm)であり、各分析条件は以下のとおりである。
カラム槽昇温条件:35℃(5分)→10℃/分(昇温)→320℃(11.5分)
試料気化室昇温条件:320℃ スプリット比150:1
検出器部:320℃
本発明において金属不活性剤とは、金属イオンなどの金属溶解物と反応して、金属イオンによる酸化触媒作用を不活性化するものをいい、炭化水素より金属イオンに強く配位するものであればよい。添加量は600〜800ppmであることが好ましく、酸化防止剤が併せて添加されている場合は、200〜800ppmであることが好ましい。なお、本発明において、金属不活性剤及び酸化防止剤の添加量として用いられる単位「ppm」はFT軽油100万容量部あたりの質量部を意味し、以下、その他添加剤について用いる場合も同じとする。
本発明の金属不活性剤として、例えば、サリチリデン誘導体(N,N’‐ジサリチリデン‐1,2‐ ジアミノプロパンなど)、チオカーバメート類(ジエチルジチオカーバメートなど)、サルチル酸系、ピペリジン系、チオホスフェート系、N‐C‐(N)系化合物(ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、インダゾールなど)、N‐C‐S系化合物(2‐(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾールなど)、アリザリン系、ジメルカプトチアジアゾール誘導体(メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトトリメチルチアジンなど)、など、又はこれらの任意の組合せを含むものを好適に使用できる。
本発明において酸化防止剤とは、軽油の主成分となる炭化水素の酸化を抑制する作用を備えるものをいい、炭化水素よりも強い還元力を有するものであればよい。
本発明の酸化防止剤として、例えば、アミン類では、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ第二ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N ’─ジトリル─p─フェニレンジアミン、N ─トリル─N ’─キシリル─p─フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンなど、又はこれらの任意の組合せを含むものを、フェノール類では3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,6−ジ第三ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−第三ブチルフェノール、2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェノール、混合第三ブチルフェノールなど、又はこれらの任意の組合せを含むものを好適に使用できる。
本発明の軽油燃料組成物は、他の基材と組合わせて使用することができる。ここで、他の基材とは、最終的に得られる軽油燃料組成物が軽油のJIS規格であるJIS K 2204に要求される性状を満たす限り任意であるが、例えば直留灯油留分、直留軽油留分、分解軽油留分、分解灯油留分およびこれらの水素化脱硫物より成る群から選択される1種以上を使用することができる。直留灯油留分及び直留軽油留分は原油を常圧蒸留して得ることができる。分解軽油留分、分解灯油留分は重質油を接触分解や熱分解、水素化分解等することにより得ることができる。また、前記分解軽油留分、分解灯油留分の硫黄分を予め低減しておくことを目的に、重質油を接触分解や熱分解、水素化分解等する前に予め間接脱硫法や直接脱硫法等の水素化脱硫処理を行うことができる。加えて、前記脱硫反応に伴い生成する軽質炭化水素留分も、分解軽油留分、分解灯油留分として使用することができる。通常はこれらの留分を所望の密度,蒸留性状となるように配合して使用する。
本発明の軽油燃料組成物には、必要に応じて、低温でのワックス分の析出による輸送トラブルや車両の燃料系統に設置されるフィルターの閉塞等を防止する点から低温流動性向上剤を添加することができる。低温流動性向上剤としては、FT軽油と相溶性であればどのような公知の低温流動性向上剤でも使用できる。代表的な低温流動性向上剤としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アルキルアクリレート共重合体、アルケニルコハク酸アミド、塩素化ポリエチレン、ポリアルキルアクリレートなどの市販の低温流動性向上剤である。これらの化合物は単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。この中でも特に、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびアルケニルコハク酸アミドが好ましい。低温流動性向上剤の含有量としては、例えば軽油のJIS規格であるJIS K 2204に規定された流動点および目詰まり点を満たすように適宜配合することができるが、通常50〜1000ppmである。ここで、流動点は、JIS K 2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」によって得られる流動点を意味し、目詰まり点は、JIS K 2288「石油製品−軽油−目詰まり点試験方法」によって得られる目詰まり点を意味する。
本発明の軽油燃料組成物には、必要に応じて、燃料供給ポンプ部品等の磨耗を防止するため潤滑性向上剤を添加することができる。潤滑性向上剤としては、FT軽油と相溶性であればどのような公知の潤滑性向上剤でも使用できる。代表的な潤滑性向上剤としては、脂肪酸を主成分とする酸系およびグリセリンモノ脂肪酸エステルを主成分とするエステル系などの市販の潤滑性向上剤である。これらの化合物は単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。これら潤滑性向上剤に用いられる脂肪酸としては、炭素数が12〜22程度、好ましくは炭素数が18程度の不飽和脂肪酸、即ちオレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の混合物を主成分とするのが好ましい。潤滑性向上剤は、潤滑性向上剤の添加後の軽油燃料組成物のHFRR(High Frequency Reciprocating Rig)におけるWS1.4値の磨耗痕跡が500μm以下、好ましくは460μm以下となるように添加すれば良く、その濃度は通常50〜1000ppmである。ここで、HFRRにおけるWS1.4値は、石油学会規格JPI−5S−50−98「軽油−潤滑性試験方法」により得られる値を意味する。
本発明によれば、FT軽油に、金属不活性剤を添加することにより、FT軽油の亜鉛メッキ部材への適合性を一般軽油と同等にできる。そのため、このFT軽油に金属不活性剤を添加したものは、軽油燃料として使用できる程度に腐食性の低いFT軽油ベースの軽油燃料組成物となり、或いはこれを基材として調合した軽油燃料組成物は、FT軽油を基材としながら腐食性の低いものとなる。
なお、本発明は、本出願人の新たな発見に基づくものである。すなわち、FT軽油は硫黄分や芳香族分などの不純物を含まず腐食性はないと考えられていたところ、本出願人の実験により、FT軽油が亜鉛メッキ部材を腐食させる性質を有する事実が見出された。亜鉛メッキ部材は車両の燃料系統で多く使用されている材料であるため、FT軽油を車両に使用する場合、腐食の問題が生じる可能性があり、車両トラブルの原因になるために材料や設計の変更が必要となってしまう。しかしながら、本発明に係る軽油燃料組成物は、FT軽油をベースとしながら、腐食性が極めて低いため、車両に使用されている材料の変更や設計変更を伴うことなく、従来の車両にそのまま使用することが可能となる。
FT軽油は、蒸留性状90%留出温度や炭素数20以上の炭化水素化合物含有量が高くなると、亜鉛を腐食させる傾向が高くなる場合があるので、蒸留性状90%留出温度は335℃以下、炭素数20以上の炭化水素化合物含有量が30質量%以下であることが好ましい。
金属不活性剤の添加量は600〜800ppmであることが好ましく、600ppmより少ないと、腐食防止効果が得られない場合がある一方、コストや軽油燃料性状への影響を考慮すると、上限として800ppm程度が適当である。
また、酸化防止剤を添加することにより、腐食防止効果を得るために必要となる金属不活性剤の添加量を低くすることができる。酸化防止剤の添加量は、200〜400ppmであることが好ましく、この場合、金属不活性剤の添加量を200ppmとしても、腐食防止効果を得ることが可能となる。なお、腐食防止効果を得るために必要となる金属不活性剤の添加量を低くすることができる添加剤の種類には制限があり、例えば、防錆剤は、その添加により金属不活性剤の腐食防止効果を阻害する場合があるので、本発明の軽油燃料組成物の添加剤として不適当である。
本発明に係る軽油燃料組成物の実施例の説明に先立ち、まず、FT軽油が亜鉛メッキ部材の腐食をひき起こす事実を示す実験(以下、腐食確認実験という)の結果について説明する。
この腐食確認実験では、表1に示す、蒸留範囲の異なる3種類のFT軽油A、B、C及び比較用としてJIS2号軽油を使用した。
Figure 2009051911
表1において、密度(@15℃)は、JIS K 2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」により測定される15℃における密度であり、動粘度(@30℃)は、JIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」により測定される30℃における動粘度である。
セタン価は、JIS K 2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法 7. セタン価試験方法」により測定されるセタン価を意味する。ただし、FT軽油については標準試料(セタン価15)を40容量%混合したものを測定し、得られた結果から試料のセタン価を計算により算出した。
硫黄分は、JIS K 2541−2「原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第2部:微量電量滴定式酸化法」によって得られる硫黄分であり、総芳香族分は、IP391「Petroleum Products−Determination of aromatic hydrocarbon types in middle distillates−High performance liquid chromatography method with refractive index detection」で測定される、一環芳香族分,二環芳香族および三環以上の芳香族分の総和より求めることができる。
そして、これらの試料に、液温120℃の条件で亜鉛メッキされた試験片(以下、試験片と言う)を浸漬し、浸漬による試験片の質量変化および試料中の亜鉛(Zn)濃度を測定した。試験片の質量変化は、試験片を研精工業株式会社製「電磁式はかりGR−200」を用いて測定し、浸漬前後の質量の差より求めた。また、試料中の亜鉛濃度は、石油学会規格JPI−5S−38−2003「潤滑油−添加元素試験方法−誘導結合プラズマ発光分光分析法 8.1 発光強度法」によって測定される値であり、試料の亜鉛濃度が測定範囲である0.005質量%よりも低い場合には、「8.1.1 検量線作成用溶液の調整」における亜鉛濃度をそれぞれ1mg/L,5mg/Lとし、さらに「8.1.2 試料溶液の調整」における試料の採取量を10gとして測定した結果であることを意味する。
なお、試験片は、それぞれの試料に対し3片ずつ用意し、3片のそれぞれを同量の試料に同じ条件で浸漬した。浸漬条件は、表2に示す通り、経済産業省によるエタノール許容値検証試験(ゴム材料影響試験)で用いられた試験方法をベースに、より厳しい120℃1008時間の条件に変更したものである。
Figure 2009051911
この実験結果を表3に示す。なお、表3に示す値は、平均値である。(以下に示す表においても同様に、質量変化及び資料中のZn濃度は平均値である。)
Figure 2009051911
表3に示すように、3種類のFT軽油に浸漬させた試験片は、浸漬開始から1008時間後にその質量が減少していることが確認された。この減少は、試験後燃料中に亜鉛が確認されたことから、亜鉛の溶出によるものと考えられる。一方、通常のJIS2号軽油では、このような質量の減少が起こらないことから、亜鉛を腐食させる性質はFT軽油に特有のものであることも確認された。
次に、上記3種類のFT軽油に酸化防止剤及び金属不活性剤を添加したものについて、上記腐食確認実験と同じ条件で亜鉛メッキ部材に対する腐食性を調べた。その結果を表4に示す。なお、添加剤とその添加量は以下の通りである。
「実施例1」
FT軽油Aに酸化防止剤としてIonol CP(製品名、シェルケミカルズ ジャパン株式会社製)を400ppm、 金属不活性剤としてDAILUBE G−25(製品名、大日本インキ化学工業株式会社製)を400ppm添加した。なお、Ionol CPにおける酸化防止剤の有効成分は2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェノールであり、その含有量は100%である。一方、DAILUBEにおける、金属不活性の有効成分はN,N’−ジサリチリデン‐1,2‐ジアミノプロパンであり、その含有量は55〜65容積%である。また、添加剤の添加量にいうppmとはFT軽油100万容量部あたりの酸化防止剤および金属不活性剤の質量部を意味する。(以下、同じ。)
「実施例2」
FT軽油Bに酸化防止剤としてIonol CPを400ppm、 金属不活性剤としてDAILUBE G−25を400ppm添加した。
「比較例1」
FT軽油Cに酸化防止剤としてIonol CPを400ppm、 金属不活性剤としてDAILUBE G−25を400ppm添加した。
「比較例2」
FT軽油Aに酸化防止剤としてIonol CPを400ppm添加した。
「比較例3」
FT軽油Bに酸化防止剤としてIonol CPを400ppm添加した。
「比較例4」
FT軽油Cに酸化防止剤としてIonol CPを400ppm添加した。
Figure 2009051911
表4に示すように、FT軽油A、Bに酸化防止剤と金属不活性剤の双方を添加した場合に、試験片の質量は減少することなく、また、浸漬試験後の燃料から亜鉛が検出されることもなかった。一方、FT軽油Cは、酸化防止剤と金属不活性剤の双方を添加した場合であっても、試験片の質量が減少することが確認された。更に、酸化防止剤のみを添加した場合、A、B、CいずれのFT軽油であっても、試験片の質量が減少することが確認された。この結果、特定の性状を満たすFT軽油に酸化防止剤と金属不活性剤の双方を添加することで亜鉛の腐食を防止し、FT軽油の亜鉛メッキ部材への適合性を一般軽油と同等にできることが確認できた。また、この効果は、酸化防止剤のみを添加することでは得ることができず、酸化防止剤と金属不活性剤の双方を添加することにより得られること、及びFT軽油の性状によっては得られない場合があることも確認できた。
次に、FT軽油Aに酸化防止剤と金属不活性剤以外の添加剤を添加したものについて、上記腐食確認実験と同じ条件で試験片に対する腐食性を調べた。その結果を図5に示す。なお、添加剤とその添加量は以下の通りである。
「比較例5」
FT軽油Aに酸化防止剤としてIonol CPを400ppm、防錆剤としてルブリゾ−ル(R)541(製品名、日本ルブリゾ−ル株式会社製)を400ppm添加した。
「比較例6」
FT軽油Aに酸化防止剤としてIonol CPを400ppm、清浄剤としてNEMO2000(製品名、イノスペック社製)を500ppm添加した。なお、NEMO2000は、有効成分としてポリオレフィンアミドフェニレンアミンを15〜30容量%含有している。
「比較例7」
FT軽油Aに酸化防止剤としてIonol CPを400ppm、防錆剤としてルブリゾ−ル(R)541を400ppm添加した。また、金属不活性剤としてDAILUBE G−25を400ppm添加した。
Figure 2009051911
表5に示すように、FT軽油Aに酸化防止剤とその他の添加剤の双方を添加した場合であっても、その添加剤が金属不活性剤でなければ、試験片の質量は減少することが確認された。この結果より、FT軽油の亜鉛メッキ部材への適合性を一般軽油と同等にするためには、酸化防止剤と金属不活性剤を組み合わせて添加する必要があることが確認できた。また、酸化防止剤と金属不活性剤を組み合わせて添加した場合であっても、更に別の添加剤が加えられると、その添加剤の性質によっては亜鉛の腐食を防止できなくなることも確認できた。
次に、酸化防止剤と金属不活性剤が相互に与える影響を確認するため、酸化防止剤と金属不活性剤の添加量を変えたものについて、上記腐食確認実験と同じ条件で亜鉛メッキ部材に対する腐食性を調べた。その結果を表6に示す。なお、添加剤とその添加量は以下の通りである。
「実施例3」
FT軽油Aに酸化防止剤としてIonol CPを200ppm、 金属不活性剤としてDAILUBE G−25を400ppm添加した。
「比較例8」
FT軽油Aに、酸化防止剤を添加することなく、 金属不活性剤としてDAILUBE G−25を400ppm添加した。
「実施例4」
FT軽油Aに酸化防止剤としてIonol CPを400ppm、 金属不活性剤としてDAILUBE G−25を200ppm添加した。
「実施例5」
FT軽油Bに酸化防止剤としてIonol CPを400ppm、 金属不活性剤としてDAILUBE G−25を200ppm添加した。
「比較例9」
FT軽油Aに酸化防止剤としてIonol CPを400ppm、 金属不活性剤としてDAILUBE G−25を150ppm添加した。
「比較例10」
FT軽油Bに酸化防止剤としてIonol CPを400ppm、 金属不活性剤としてDAILUBE G−25を150ppm添加した。
Figure 2009051911
表6に示すように、金属不活性剤の添加量が同じであっても、酸化防止剤の添加が無いと試験片の質量が減少する場合があることが確認できた。また、酸化剤防止剤と金属不活性剤の双方を添加した場合であっても、適切な量の金属不活性剤を添加しなければ、亜鉛の腐食を防止することができないことが確認できた。
次に、金属不活性のみの効果を確認するため、酸化防止剤を添加することなく金属不活性剤の添加量を変えたものについて、上記腐食確認実験と同じ条件で亜鉛メッキ部材に対する腐食性を調べた。その結果を表7に示す。なお、添加剤とその添加量は以下の通りである。また、表7には、その結果を明確にするために、表6の実施例8が併せて記載されている。
「実施例6」
FT軽油Aに金属不活性剤としてDAILUBE G−25を600ppm添加した。
「実施例7」
FT軽油Bに金属不活性剤としてDAILUBE G−25を600ppm添加した。
「実施例8」
FT軽油Aに金属不活性剤としてDAILUBE G−25を800ppm添加した。
「実施例9」
FT軽油Bに金属不活性剤としてDAILUBE G−25を800ppm添加した。
「比較例11」
FT軽油Bに金属不活性剤としてDAILUBE G−25を400ppm添加した。
Figure 2009051911
表7に示すように、適切な量の金属不活性剤を添加しなければ腐食防止機能を得ることができず、また、腐食防止機能を得るために必要な添加量は、酸化防止剤を併せて添加した場合よりも多くなることも確認できた。


Claims (6)

  1. FT軽油に、金属不活性剤を添加したことを特徴とする軽油燃料組成物。
  2. 該金属不活性剤の添加量が600〜800ppmである請求項1に記載の軽油燃料組成物。
  3. 酸化防止剤が添加されている請求項1又は2に記載の軽油燃料組成物。
  4. 該金属不活性剤の添加量が200〜800ppmであり、該酸化防止剤の添加量が200〜400ppmである請求項3に記載の軽油燃料組成物。
  5. 該FT軽油の蒸留性状90%留出温度が335℃以下であり、かつ炭素数20以上の炭化水素含有量が30質量%以下である請求項1〜4のいずれか一つの項に記載の軽油燃料組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一つの項に記載の軽油燃料組成物を基材として含むことを特徴とする軽油燃料組成物。
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