JP2009051841A - 癌の処置のための方法および組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】腫瘍負荷をさらに減少することによって、生命を脅かす腫瘍の発症を延長し得、そして/または生活の質を改善する、処置方法を提供する。
【解決手段】a)活性成分として、β−ラパコンまたはその誘導体を含む、有効量の第1の化合物を該哺乳動物に投与する工程;およびb)有効量のG2/M期薬物を該哺乳動物に投与する工程、を包含する、固体腫瘍(または腫瘍)を有する哺乳動物を処置するための方法。タキサン誘導体(例えば、パクリタキセル)のようなG2/M薬物と組み合わせて、β−ラパコンのようなG1期および/またはS期薬物の投与が、これらの薬剤単独の投与と比較した場合、腫瘍の数(および腫瘍の容積)において、相乗的な減少を生じる。さらに、毒性または体重減少の兆候は、観察されなかった。
【選択図】なし
【解決手段】a)活性成分として、β−ラパコンまたはその誘導体を含む、有効量の第1の化合物を該哺乳動物に投与する工程;およびb)有効量のG2/M期薬物を該哺乳動物に投与する工程、を包含する、固体腫瘍(または腫瘍)を有する哺乳動物を処置するための方法。タキサン誘導体(例えば、パクリタキセル)のようなG2/M薬物と組み合わせて、β−ラパコンのようなG1期および/またはS期薬物の投与が、これらの薬剤単独の投与と比較した場合、腫瘍の数(および腫瘍の容積)において、相乗的な減少を生じる。さらに、毒性または体重減少の兆候は、観察されなかった。
【選択図】なし
Description
(発明の背景)
これまで、癌の処置は問題があることが判明してきた。「癌」は、多くの共通の特性を共有する一方、各々の特定の癌は、それ自体の特定の性質を有する。遺伝的因子および環境的因子は、重篤度および処置の予後において複雑な相互作用を有する。従って、処置は注意深く適応させなければならない。
これまで、癌の処置は問題があることが判明してきた。「癌」は、多くの共通の特性を共有する一方、各々の特定の癌は、それ自体の特定の性質を有する。遺伝的因子および環境的因子は、重篤度および処置の予後において複雑な相互作用を有する。従って、処置は注意深く適応させなければならない。
特定の薬学的処置は、癌の1つの型に有用であるが、しかし他の癌には有用でないことが判明した(非特許文献1:HolladおよびFreiら、Cancer Medicine,第4版、Publisher Williams & Wilkens)。他の処置(例えば、放射線治療)は、一定の範囲の癌については部分的に有用であるが、代表的には完全な治癒を生じない。確かに、多くの癌の重篤度および死亡率が与えられると、薬物は、例えば、腫瘍の増殖を遅延させること、または寿命を延長すること(実際に症状を治癒することなく)によって、それが生活の質を改善する場合には、成功したと見なされ得る。従って、多くの状況において、90〜95%の悪性細胞を除去し得る化合物または処置の組み合わせを用いて、個体は処置されるが、残存している細胞は再増殖および転移し得、究極的には死をもたらす。癌の中で特に乏しい最終的な予後を有するものは、卵巣癌である。
組み合わせ治療は、所望されているが、運任せの計画である。処置は、代表的には、依存性ではない。多くの場合において、交差効果および処置の負荷は、処置のいずれか単独の場合よりも、組み合わせについてより低い有効性を生じ得る。直面する問題には、多剤耐性(MDR)が含まれ、ここでは悪性細胞は、本質的に、細胞毒性化合物および他の化合物を細胞外にくみ出し、それによって有用な癌の処置の継続を妨害する。
現在、癌の処置のために使用されているか、またはそのために研究されている多数の細胞毒性因子が存在する。これらのうちの1つであるパクリタキセル(TAXOL(登録商標)ともまた呼ばれる)は、米国癌学会の植物抽出物のスクリーニングプログラムの後で、Waniおよび共同研究者によって1971年に最初に同定された(非特許文献2:Wani MCら、1971 J.Am.Chem.Soc.,98:2325−2327)。この複合体ジテルペンは、いくつかの型の腫瘍に対して細胞毒性活性を示し、そしていくつかの癌(例えば、卵巣癌および乳癌)において現在使用されている。臨床的研究は、TAXOL(登録商標)が、最終的に、ヒトの癌の70%を超える処置において使用され得ることを示唆する。
パクリタキセルは、その独特の作用の機構によって他の細胞毒性薬物とは異なっている。これは、細胞周期の分子的調節を操作することによって細胞分裂を妨害する。パクリタキセルは、すべての真核細胞に存在する微小管の主要な構造成分であるチューブリンに結合する。他の抗有糸分裂薬剤(例えば、ビンカアルカロイドおよびコルヒチン(colcichine)(これらは、チューブリンの重合を阻害する))と異なって、パクリタキセルは、チューブリンのこのアセンブリを促進し、そして得られる微小管を安定化する。この事象は、細胞分裂の中断をもたらし、そして究極的には細胞死をもたらす。
タキソイド化合物の抗腫瘍特性もまた、タキサン由来の新規な抗癌剤の生成をもたらした。タキソテールTM(Rhone−Poulene Rorerにより市販されている)は、10−deacetylbaccatin IIIから産生され、これは、卵巣癌および乳癌の処置において現在使用されている。
例えば、TAXOL(登録商標)およびタキソテールのような薬剤が転移性卵巣細胞および転移性乳癌の進行の処置がなされる一方、これらの大部分は、なおこれらの疾患に究極的には屈服する。
β−ラパコン(β−lapachone)はキノンであり、ラパコール(ナフトキノン)に由来し、これは、キササゲ科(Bignoniaceae)のメンバーである、ラパコの木(Tabebuia avellanedae)から単離され得る。カンプトテシンおよびトポテカン(topotecan)と同様に、β−ラパコンは、DNAトポイソメラーゼIを阻害する(Li,C.J.ら、J.Biol.Chem.1993)。この化合物は、いくつかの型の癌細胞(肺癌、乳癌、結腸癌、および前立腺癌ならびに悪性メラノーマを含む)に対して、インビトロで有効であることが見出されてきた(非特許文献3:Li,C.J.ら、Cancer Research 55:3712−3715(1995)および未公開データ)。
β−ラパコンは、DNA複製を破壊することによって機能する。トポイソメラーゼIは、染色体を構成するDNAをほどく酵素である。この染色体は、細胞が遺伝的情報を使用して、タンパク質を合成するためにほどかれていなければならないが;β−ラパコンは、染色体を堅く巻いた状態に保ち、それゆえに、細胞はタンパク質を作ることができない。結果として、細胞は増殖を停止する。癌細胞は定常的に複製を行っており、そして複製を制限する多くの機構を回避するので、正常細胞と同様に、癌細胞はトポイソメラーゼ阻害に対して、正常細胞よりもより脆弱である。しかし、これらの化合物を用いる処置はまた、悪性細胞の増殖を阻害および遅延して、部分的にのみ成功する。
単一の薬物または薬物の組み合わせは、進行した転移性の癌のために治療効果がなく、患者は、代表的には、数年間で癌に対して屈服する。従って、腫瘍負荷をさらに減少することによって、生命を脅かす腫瘍の発症を延長し得、そして/または生活の質を改善する新規な薬物および組み合わせが非常に重要である。
HolladおよびFreiら、Cancer Medicine,第4版、Publisher Williams & Wilkens Wani MCら、1971 J.Am.Chem.Soc.,98:2325−2327 Li,C.J.ら、Cancer Research 55:3712−3715(1995)
HolladおよびFreiら、Cancer Medicine,第4版、Publisher Williams & Wilkens Wani MCら、1971 J.Am.Chem.Soc.,98:2325−2327 Li,C.J.ら、Cancer Research 55:3712−3715(1995)
(発明の要旨)
本発明者らは、驚くべきことに、G1および/またはS期の細胞を標的化する化合物(例えば、トポイソメラーゼIインヒビター(例えば、β−ラパコン))を、G2/M期でこのような細胞を標的化する化合物(例えば、タキサン誘導体(例えば、パクリタキセル))と組み合わせる投与が、これらの薬剤単独の投与と比較して、腫瘍の数(および転移性の腫瘍を有する哺乳動物における腫瘍の体積)の相加的な(すなわち、相乗作用的な)減少よりも予想外に大きな減少を生じることを発見した。さらに、腫瘍は、数ヶ月間の観察において、再び増殖することはなかった。さらに、そのように処置された哺乳動物中では、毒性の徴候または体重の減少は観察されなかった。
本発明者らは、驚くべきことに、G1および/またはS期の細胞を標的化する化合物(例えば、トポイソメラーゼIインヒビター(例えば、β−ラパコン))を、G2/M期でこのような細胞を標的化する化合物(例えば、タキサン誘導体(例えば、パクリタキセル))と組み合わせる投与が、これらの薬剤単独の投与と比較して、腫瘍の数(および転移性の腫瘍を有する哺乳動物における腫瘍の体積)の相加的な(すなわち、相乗作用的な)減少よりも予想外に大きな減少を生じることを発見した。さらに、腫瘍は、数ヶ月間の観察において、再び増殖することはなかった。さらに、そのように処置された哺乳動物中では、毒性の徴候または体重の減少は観察されなかった。
従って、本発明は、G2/M期薬物(以下を含むがこれらに限定されない:タキサン、その誘導体およびアナログ、より好ましくはパクリタキセル)と、G1および/またはS期薬物(好ましくは、β−ラパコンまたはその誘導体またはアナログ)との組み合わせを使用する、哺乳動物腫瘍を処置するための方法に関する。
2つの代表的な化合物のリストは、以下の表1に記載される。本発明の組み合わせは、化学療法的に屈折した転移性の癌を有する患者の処置において、特に有利である。本発明の方法は、哺乳動物に、G1期およびS期の薬物、G1期の薬物、S期の薬物の有効量を、G2/Mの薬物と組み合わせて投与する工程を包含する。好ましくは、その組み合わせは、(1)トポイソメラーゼインヒビター(例えば、β−ラパコールまたはその誘導体、その誘導体もしくはアナログ;および(2)タキサン、その誘導体またはアナログおよびその薬学的に受容可能な塩。
本明細書中で使用される場合、句「タキサン誘導体」は、その抗新生物特性に起因して、癌の化学療法において使用されるか、または使用され得る任意のタキサンを意味する。TAXOL(登録商標)は、好ましいタキサン誘導体である。
本明細書中でさらに使用される場合、句「β−ラパコン」は、ラパコン(3,4−ジヒドロ−s,3−ジメチル−2H−ナフトール[1,3−b]ピラン−5,6−クローン)ならびにその誘導体およびアナログを意味する。好ましい誘導体およびアナログは以下に議論される。
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1) 固体腫瘍(または腫瘍)を有する哺乳動物を処置するための方法であって、該方法は、以下:
a)活性成分として、β−ラパコンまたはその誘導体を含む、有効量の第1の化合物を該哺乳動物に投与する工程;および
b)有効量のG2/M期薬物を該哺乳動物に投与する工程、
を包含する、方法。
(項目2) 前記G2/M薬物が、微小管標的化薬物およびトポイソメラーゼ毒性薬物からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目3) 前記微小管標的化薬物が、タキソール、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポチロンおよびナベルビンからなる群より選択される、項目2に記載の方法。
(項目4) 項目2に記載の方法であって、前記トポイソメラーゼ毒性薬物が、テニポシド、エトポシド、アドリアマイシン、カンプトセシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、アムサクリン、エピルビシンおよびイダルビシンからなる群より選択される、方法。
(項目5) 前記G2/M薬物が、タキソールおよびタキサン誘導体である、項目1または2に記載の方法。
(項目6) さらに、前記G2/M薬物が、前記β−ラパコンが投与された後、24時間以内に投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目7) 前記G2/M薬物が前記第1の化合物の後に投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目8) 前記タキサン誘導体が、パクリタキセルである、項目5に記載の方法。
(項目9) 前記タキサン誘導体が、パクリタキセルであり、そして静脈内に投与される、項目5に記載の方法。
(項目10) 前記タキサン誘導体が、パクリタキセルであり、そして前記β−ラパコンの投与後に静脈内に投与される、項目5に記載の方法。
(項目11) 哺乳動物の腫瘍を処置するためのキットであって、該キットは、β−ラパコンの最初の投与のための使用説明書と共に、β−ラパコンまたはその誘導体もしくはアナログおよびタキサン誘導体を含む、別個のバイアルを備える、キット。
(項目12) 前記タキサン誘導体が、パクリタキセルである、項目11に記載のキット。
(項目13) β−ラパコンまたはその誘導体もしくはアナログおよびタキサン誘導体および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
(項目14) 前記タキサン誘導体がパクリタキセルである、項目13に記載の薬学的組成物。
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1) 固体腫瘍(または腫瘍)を有する哺乳動物を処置するための方法であって、該方法は、以下:
a)活性成分として、β−ラパコンまたはその誘導体を含む、有効量の第1の化合物を該哺乳動物に投与する工程;および
b)有効量のG2/M期薬物を該哺乳動物に投与する工程、
を包含する、方法。
(項目2) 前記G2/M薬物が、微小管標的化薬物およびトポイソメラーゼ毒性薬物からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目3) 前記微小管標的化薬物が、タキソール、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポチロンおよびナベルビンからなる群より選択される、項目2に記載の方法。
(項目4) 項目2に記載の方法であって、前記トポイソメラーゼ毒性薬物が、テニポシド、エトポシド、アドリアマイシン、カンプトセシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、アムサクリン、エピルビシンおよびイダルビシンからなる群より選択される、方法。
(項目5) 前記G2/M薬物が、タキソールおよびタキサン誘導体である、項目1または2に記載の方法。
(項目6) さらに、前記G2/M薬物が、前記β−ラパコンが投与された後、24時間以内に投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目7) 前記G2/M薬物が前記第1の化合物の後に投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目8) 前記タキサン誘導体が、パクリタキセルである、項目5に記載の方法。
(項目9) 前記タキサン誘導体が、パクリタキセルであり、そして静脈内に投与される、項目5に記載の方法。
(項目10) 前記タキサン誘導体が、パクリタキセルであり、そして前記β−ラパコンの投与後に静脈内に投与される、項目5に記載の方法。
(項目11) 哺乳動物の腫瘍を処置するためのキットであって、該キットは、β−ラパコンの最初の投与のための使用説明書と共に、β−ラパコンまたはその誘導体もしくはアナログおよびタキサン誘導体を含む、別個のバイアルを備える、キット。
(項目12) 前記タキサン誘導体が、パクリタキセルである、項目11に記載のキット。
(項目13) β−ラパコンまたはその誘導体もしくはアナログおよびタキサン誘導体および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
(項目14) 前記タキサン誘導体がパクリタキセルである、項目13に記載の薬学的組成物。
(詳細な説明)
本発明は、G1および/またはS期の化合物を、G2/M期の化合物と組み合わせる投与を利用する方法を使用する、癌(乳癌、卵巣癌、および前立腺癌を含むがこれらに限定されない)の治療のための有利な組み合わせを提供する。
本発明は、G1および/またはS期の化合物を、G2/M期の化合物と組み合わせる投与を利用する方法を使用する、癌(乳癌、卵巣癌、および前立腺癌を含むがこれらに限定されない)の治療のための有利な組み合わせを提供する。
1つの実施形態において、本発明は、G1および/またはS期のチェックポイントで悪性細胞を標的化する化合物を、G2/Mのチェックポイントで作用する薬物を使用することと同時に、またはそれに先だって使用することによって、このような悪性細胞を有する被験体を処置するため、またはこのような悪性細胞のさらなる増殖を阻害するための方法に関する。この判断基準を満たす個々の化合物は、当該分野で公知である。例えば、β−ラパコンおよびその誘導体は、G1およびS期薬物である。ところが、タキソール(taxol)およびその誘導体は、G2/M薬物である。代表的な化合物のリストを、以下の表1に示す:
好ましくは、GIおよび/またはS期の化合物は、G2/M期のチェックポイントにおいて、細胞を標的化する化合物より前、またはそれと同時に投与される。より好ましくは、この化合物は、G2/M期のチェックポイントにおいて、細胞を標的化する化合物より前に、投与される。
好ましいGIおよび/またはS期のチェックポイント標的化(targeting)化合物としては、GIおよび/またはS期の薬物(例えばβ−ラパコン)、GI期の薬物(例えば、ロバスタチン、ミモシン、タモキシフェンなど)ならびにS期の薬物(例えば、ゲムシタビン、5−FU、MTXなど)が挙げられる。β−ラパコン、その誘導体およびアナログが、より好ましい。
さらに、GIおよび/またはS期のチェックポイント標的化薬物としては、還元型β−ラパコンの誘導体が挙げられる。β−ラパコンの還元は、β−ラパコン活性の必須の成分であることが示された(J.J.Pinkら(2000)J Biol.Chem.275:5416−5424を参照のこと)。好ましくは、GIおよび/またはS期のチェックポイントの標的化薬物としては、さらに、還元型β−ラパコン(すなわち還元型β−ラパコン誘導体もしくはアナログ)および/またはβ−ラパコン誘導体もしくはアナログ(キニーネ形態)と還元型β−ラパコン誘導体またはアナログ(ヒドロキニーネ形態)との組み合わせが挙げられ得る。最も好ましくは、還元型β−ラパコン、その誘導体またはアナログとしては、以下の式Iaに示される還元型β−ラパコンの修飾ヒドロキニーネ基が挙げられ、ここでR’および/またはR”基は、例えば、スクシネート、アミノ酸などに変換される。
エポチロン(エポチロンポリケチド)は、タキソールと同じ機構によて微小管を安定化する、微小管標的化薬物である(Litangら(2000) Science 287, 640−642を参照のこと)。エポチロンは、タキソール−耐性腫瘍に対して有効である場合および十分に水溶性である場合に利点がある。エポチロンAおよびBは、天然において最も豊富であり、そして12,13−デオキシ−エポチロンB(エポチロンD)は、最も高い治療インデックスを有する。エポチロン(A、B、C、Dまたはその混合物)は、β−ラパコンと組み合わせて使用され、これは、前記のようなβ−ラパコンとタキソールとの組み合わせに類似した、悪性細胞のアポトーシスの相乗作用誘導において使用され得る。本発明の目的ために、エポチロンは、エポチロンA、B、CまたはD(デオキシ−エポチロン)を参照する。
好ましい組み合わせとしては、以下が挙げられる:
β−ラパコンとタキソール;β−ラパコンとドセタキセル;β−ラパコンとビンクリスチン;β−ラパコンとビンブラスチン;β−ラパコンとノコダゾール;β−ラパコンとテニポシド;β−ラパコンとエトポシド;β−ラパコンとアドリアマイシン;β−ラパコンとエポチロン;β−ラパコンとナベルビン;β−ラパコンとカンプトセシン;β−ラパコンとダウノルビシン;β−ラパコンとダクチノマイシン;β−ラパコンとミトキサントロン;β−ラパコンとアムサクリン;β−ラパコンとエピルビシン;またはβ−ラパコンとイダルビシン。
β−ラパコンとタキソール;β−ラパコンとドセタキセル;β−ラパコンとビンクリスチン;β−ラパコンとビンブラスチン;β−ラパコンとノコダゾール;β−ラパコンとテニポシド;β−ラパコンとエトポシド;β−ラパコンとアドリアマイシン;β−ラパコンとエポチロン;β−ラパコンとナベルビン;β−ラパコンとカンプトセシン;β−ラパコンとダウノルビシン;β−ラパコンとダクチノマイシン;β−ラパコンとミトキサントロン;β−ラパコンとアムサクリン;β−ラパコンとエピルビシン;またはβ−ラパコンとイダルビシン。
還元型β−ラパコンとタキソール;還元型β−ラパコンとドセタキセル;還元型β−ラパコンとビンクリスチン;還元型β−ラパコンとビンブラスチン;還元型β−ラパコンとノコダゾール;還元型β−ラパコンとテニポジド;還元型β−ラパコンとエトポシド;還元型β−ラパコンとアドリアマイシン;還元型β−ラパコンとエポチロン;還元型β−ラパコンとナベルビン;還元型β−ラパコンとカンプトセシン;還元型β−ラパコンとダウノルビシン;還元型β−ラパコンとダクチノマイシン;還元型β−ラパコンとミトザントロン;還元型β−ラパコンとアムサクリン;還元型β−ラパコンとエピルビシン;または還元型β−ラパコンとイダルビシン。
ロバスタチンとタキソール;ロバスタチンとドセタキセル;ロバスタチンとビンクリスチン;ロバスタチンとビンブラスチン;ロバスタチンとノコダゾール;ロバスタチンとテニポシド;ロバスタチンとエトポシド;ロバスタチンとアドリアマイシン;ロバスタチンとエポチロン;ロバスタチンとナベルビン;ロバスタチンとカンプトセシン;ロバスタチンとダウノルビシン;ロバスタチンとダクチノマイシン;ロバスタチンとミトキサントロン;ロバスタチンとアムサクリン;ロバスタチンとエピルビシン;またはロバスタチンとイダルビシン。
ミモシンとタキソール;ミモシンとドセタキセル;ミモシンとビンクリスチン;ミモシンとビンブラスチン;ミモシンとノコダゾール;ミモシンとテニポシド;ミモシンとエトポシド;ミモシンとアドリアマイシン;ミモシンとエポチロン;ミモシンとナベルビン;ミモシンとカンプトセシン;ミモシンとダウノルビシン;ミモシンとダクチノマイシン;ミモシンとミトキサントロン;ミモシンとアムサクリン;ミモシンとエピルビシン;またはミモシンとイダルビシン。
タモキシフェンとタキソール;タモキシフェンとドセタキセル;タモキシフェンとビンクリスチン;タモキシフェンとビンブラスチン;タモキシフェンとノコダゾール;タモキシフェンとテニポシド;タモキシフェンとエトポシド;タモキシフェンとアドリアマイシン;タモキシフェンとエポチロン;タモキシフェンとナベルビン;タモキシフェンとカンプトセシン;タモキシフェンとダウノルビシン;タモキシフェンとダクチノマイシン;タモキシフェンとミトキサントロン;タモキシフェンとアムサクリン;タモキシフェンとエピルビシン;またはタモキシフェンとイダルビシン。
ゲムシタビンとタキソール;ゲムシタビンとドセタキセル;ゲムシタビンとビンクリスチン;ゲムシタビンとビンブラスチン;ゲムシタビンとノコダゾール;ゲムシタビンとテニポシド;ゲムシタビンとエトポシド;ゲムシタビンとアドリアマイシン;ゲムシタビンとエポチロン;ゲムシタビンとナベルビン;ゲムシタビンとカンプトセシン;ゲムシタビンとダウノルビシン;ゲムシタビンとダクチノマイシン;ゲムシタビンとミトキサントロン;ゲムシタビンとアムサクリン;ゲムシタビンとエピルビシン;またはゲムシタビンとイダルビシン。
5−FUとタキソール;5−FUとドセタキセル;5−FUとビンクリスチン;5−FUとビンブラスチン;5−FUとノコダゾール;5−FUとテニポシド;5−FUとエトポシド;5−FUとアドリアマイシン;5−FUとエポチロン;5−FUとナベルビン;5−FUとカンプトセシン;5−FUとダウノルビシン;5−FUとダクチノマイシン;5−FUとミトキサントロン;5−FUとアムサクリン;5−FUとエピルビシン;または5−FUとイダルビシン。
MTXとタキソール;MTXとドセタキセル;MTXとビンクリスチン;MTXとビンブラスチン;MTXとノコダゾール;MTXとテニポシド;MTXとエトポシド;MTXとアドリアマイシン;MTXとエポチロン;MTXとナベルビン;MTXとカンプトセシン;MTXとダウノルビシン;MTXとダクチノマイシン;MTXとミトキサントロン;MTXとアムサクリン;MTXとエピルビシン;またはMTXとイダルビシン。
本発明の組み合わせにより、驚くべき相乗効果が得られ、これは、腫瘍の苦しい負荷を減少させそして/または腫瘍の増殖(特に、患者の転移性疾患)を退行させる利点がある。
好ましくは、処置される癌は、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、肺癌、結腸癌、および黒色腫である。より好ましくは、この癌は、卵巣癌である。
上記化合物は、当該分野で公知の任意の手段によって投与され得る。このような型としては、経口、直腸、経鼻、局所(頬および舌下を含む)または非経口(皮下、筋肉内、動脈内、および皮内を含む)投与が挙げられる。
容易さのために、患者に対して経口投与が好ましい。しかし、代表的な経口投与は、静脈内投与よりも高い用量を必要とする。従って、状況に応じて(当業者は、どの投与形態が特定の場合において最適かを決定しなければならない)、1ヶ月当たりの投与回数に対して必要とされる、バランスのとれた用量が必要である。
化合物の投与の際、各化合物の通常の用量が、個々に使用され得る。しかし、好ましくは、低レベル(代表的に、75%以下の個々の量、より好ましくは50%以下、さらにより好ましくは40%以下)を使用する。
個々の成分は、以下により詳細に記載される。
記載される組み合わせ治療の1つの好ましい成分は、タキサン誘導体である。このタキサンは、テルペンのファミリーであり、パクリタキセルおよびドセタキセル(Taxatere)を含むが、これらに限定されない。これは、Pacific常緑針葉樹(Taxus brevifollia(これは、特定の癌(特に乳癌および卵巣癌)に対して活性を有する))から主に誘導された。パクリタキセルが、好ましいタキサンである。これは、チューブリンダイマーからの微小管の構築を促進し、そして脱重合化を防ぐことによって微小管を安定にする、抗微小管(antimicrotubule)剤と考えられる。この安定性は、重要な静止期および有糸分裂細胞機能に必要不可欠な微小管のネットワークの通常の動的再構築の阻害を生じる。用語”パクリタキセル”は、天然から誘導される形態および関連した形態、ならびに抗腫瘍性特性を有する化学的に合成された化合物またはその誘導体の両方を含み、これには、脱酸素化したパクリタキセル化合物(例えば、米国特許第5,440,056号(本明細書中で参考として援用さる)に記載される化合物)が挙げられ、TAXOL(登録商標)としてBristol−Myers Oncologyにより市販されている。パクリタキセル用の化学処方物は、公知であり、米国特許第5,440,056号に開示される。TAXOL(登録商標)に加えて、他の誘導体が周知であり、例えば、これらは、”Synthesis and Anticancer Activity of TAXOL(登録商標) other Derivatives,”D.G.I.Kingstonら、Studies in Organic Chemistry,26巻、表題”New Trends in Natural Products Chemistry”(1986),Atta−ur−Rahman,P.W.le Queene編(Elvesier,Amsterdam 1986),219頁に記載される。さらに別のタキサン誘導体が、当該分野で公知であり、例えば、米国特許第5,773,461号;同5,760,072号;同5,807,888号;および同第5,854,278号に開示されるタキサンが挙げられる。
タキサン(taxane)誘導体のようなG2/M化合物は、医師により適切と認められた任意の様式で、一般的に受け入れられた有効な用量範囲(例えば、パクリタキセルについてPhysician Desk Reference,第53版(1999),Publisher Edward R.Barnhart,New Jersey(「PDR」)に記載される)で投与され得る。
一般的に、タキサン誘導体のようなG2/M化合物は、静脈内に、約135〜約300mg/m2、好ましくは約135〜約175mg/m2、そして最も好ましくは約175mg/m2の用量で投与される。用量が、約1〜約24時間、代表的には約3時間にわたる期間にわたって投与されることが好ましい。用量は、1〜約4週間以上、好ましくは約2〜約3週間繰り返され得る。
この薬物は、注射または経口形態のような任意の形態で投与され得る。例えば、リポソーム処方物が記載される。例えば、本明細書中に参考として援用される米国特許第5,424,073号を参照のこと。
前述のように、G2/M薬物(例えば、タキサン誘導体、好ましくはパクリタキセル)は、G1および/またはSフェーズの薬物(例えば、β−ラパコンまたはその誘導体)と同様のレジメンで投与されるが、量は、好ましくは通常与えられる量より減らされる。例えばタキサンが、例えばβ−ラパコンと同時に投与されるか、またはβ−ラパコンが患者に投与された後、代表的にはβ−ラパコンが患者に投与された約24時間後に投与されることは、好ましい。
記載される組み合わせ治療の他の構成要素は、β−ラパコンまたはその誘導体もしくはアナログである。
β−ラパコン(3,4−ジヒドロ−s,3−ジメチル−2H−ナフトール[1,3−b]ピラン−5,6−クローン)は、現在使用される抗癌剤と異なる化学構造を有する単純な植物産物である。これは、天然に存在するラパコールの硫酸処理により得られ、このラパコールは、主にブラジルで生長するTabebuia avellanedaeから容易に単離されるか、またはオーストラリアで生長したロマチア(lomatia)の種子から単離されるロマチオール(lomatiol)から容易に合成される。(Hooker,S.ら, J. Am.Chem.Soc.,58:1181−1190(1936);Goncalves de Lima, O.ら,Rev.Inst.Antibiot.Univ.Recife.,4:3−17(1962))。
β−ラパコンは、種々の薬学的効果を有することが示されてきた。β−ラパコンは、トポイソメラーゼIインヒビターであるが、カンプトセシンと異なる機構で作用する(Li,C.J.ら,J.Biol.Chem.,268:22463−22468(1993))。多くのβ−ラパコン誘導体は、抗ウイルス剤および抗寄生生物剤として合成および試験されてきた。(Goncalves,A.M.ら,Mol.Biochem.Parasitology,1:167−176(1980);Schaffner−Sabba,K.ら,J.Med.Chem.,27:990−994(1984);Li,C.,ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:1842(1993))。β−ラパコンおよびその誘導体(例えば、3−アリル−β−ラパコン)は、抗トリパノソーマ効果を示し(Goncalves,A.M.ら,前述)、その機構は明白でない。β−ラパコンはまた、細胞をDNA損傷因子に対して敏感にするDNA修復インヒビターであることが示された(Boorstein,R.J.ら,Biochem.Biophys.Res.Commun.,118:828−834,(1984);Boothman,D.A.,ら,J.Cancer Res.,49:605−612(1989))。β−ラパコンは、イヌ、ラット、マウス、およびニワトリにおいて充分耐性である。1ヶ月間手術後(p.o.)毎日与えられる場合、最大の耐性用量は、ラットにおいて200mg/kg、およびイヌにおいて100mg/kgである。より高い用量は、胃潰瘍および赤血球の損失を引き起こすが、骨髄抑制(bone marrow supression)の徴候は引き起こさない(Chiba−Geigy、個人的な情報)。
β−ラパコン誘導体およびアナログは、当該分野で公知であり、そして例えば、米国特許第5,828,700号;WO97/08162;および米国特許第5,703,625号に開示される。好ましい誘導体およびアナログとしては、以下の式IおよびII
ここでRおよびR1は、水素、ヒドロキシ、チオ(SH)、ハロゲン(例えば、フルオロ、クロロおよびブロモ)、置換アリールおよび無置換のアリール、置換および無置換のアルケニル、置換および無置換のアルキル、ならびに置換および無置換のアルコキシからなる群から各々独立して選択され、ここでRおよびR1が結合される環炭素の間の点線の二重結合は、任意の環二重結合を表す。アルキル基は、好ましくは1〜15個の炭素原子を有し、より好ましくは1〜10個の炭素原子を有し、なおより好ましくは1〜6個の炭素原子を有する。本明細書中で使用される場合、用語アルキルは、他で変更されない限り、環式基および非環式基の両方をいうが、当然のことながら環式基は少なくとも3つの炭素環員を含む。直鎖または分岐鎖の非環式アルキル基は、一般的には環式基より好ましい。直鎖アルキル基は、一般的には分岐鎖より好ましい。アルケニル基は、好ましくは2〜15個の炭素原子を有し、より好ましくは2〜約10個の炭素原子を有し、なおより好ましくは2〜約6個の炭素原子を有する。特に好ましいアルケニル基は、3個の炭素原子を有し(すなわち、1−プロペニルまたは2−プロペニル)、アリル部分は特に好ましい。フェニルおよびナフチルは、一般的に好ましいアリール基である。アルコキシ基は、1つ以上の酸素連結を有するアルコキシ基を含み、そして好ましくは1〜15個の炭素原子を有し、より好ましくは1〜約6個の炭素原子を有する。前述の置換されたRおよびR1基は、1つ以上の適切な基(例えば、アルキル基(例えば、1〜10個の炭素原子または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基)、アルケニル基(例えば、2〜10個の炭素原子または2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基)、6〜10個の炭素原子を有するアリール基、ハロゲン(例えば、フルオロ、クロロおよびブロモ))、ならびにN、OおよびSによって1つ以上の利用可能な位置で置換され得、ヘテロアルキル(例えば、1つ以上の前述のヘテロ原子連結(従ってアルコキシ、アミノアルキルおよびチオアルキルを含む)ならびに1〜10個の炭素原子または1〜6個の炭素原子を有するヘテロアルキル)を含む。
式IおよびIIの化合物は、容易に作製され得るかまたは得られ得る。(Pardee,A.ら,Cancer Research,49,1−8(1989);Schaffner−Sabba,K.ら,Journal of Medicinal Chemistry,27,第8号990−994(1984);S.Hooker,58,1181−1197(1936)。
式Iの好ましい化合物としては、β−ラパコン、3−アリル−β−ラパコン、3−ブロモ−β−ラパコンおよび3−OH−β−ラパコンが挙げられる。3−アリル−β−ラパコンおよび3−ブロモ−β−ラパコンがより好ましい。
式IIの好ましい化合物としては、3−ブロモ−α−ラパコンが挙げられる。
式IIIのβ−ラパコンアナログ(以下に示す)はまた、本発明の組成物および方法において使用され得る。
ここでnは、0〜10の整数であり、そしてR1は、水素、アルキル、アリール、複素芳香族、複素環式、脂肪族、アルコキシ、ヒドロキシ、アミン、チオール、アミド、またはハロゲンの側基である。
式IIIの好ましいアナログとしては、3−エトキシカルボニルメチル−β−ラパコン、3−(2’−ヒドロキシエチル)−β−ラパコン、3−メチル−β−ラパコン、3−(2’−アミノエチル)−β−ラパコン、3−メトキシ−β−ラパコン、3−ベンジルオキシ−β−ラパコン、3−エトキシカルボニルメトキシ−β−ラパコンおよび3−アリルオキシ−β−ラパコンが挙げられる。
式IIIのアナログは、米国特許第5,763,625号に開示される方法により生成され得る。
式IVおよびVのβ−ラパコン誘導体(以下に示される)は、本発明の組成物および方法においてさらに使用され得る。
好ましい式IVおよびVのアナログとしては、3−(β−アラニル)−β−ラパコンおよび3−マロニル−β−ラパコンが挙げられる。
式IVおよびVのアナログは、米国特許第5,824,700号に開示される方法により生成され得る。
本明細書に記載される組合せ治療下で、β−ラパコンまたはその誘導体もしくはアナログは、患者に少なくとも1回の用量で、1日あたりレシピエントの体重1キログラムあたり10〜500,000μgの範囲、より好ましくは1日あたり体重1キログラムあたり1000〜50,000μgの範囲、最も好ましくは1日あたり体重1キログラムあたり5000〜25,000μgの範囲で投与される。所望の用量は、適切に1度に投与されるか、もしくは1日を通して適切な間隔で数回より多くの副用量(sub−dose)で投与されるか、または他の適切なスケジュールで投与される。これらの副用量は、例えば、単位用量形態あたり1〜20,000μg、好ましくは10〜10,000μgを含む単位用量形態として投与され得る。
他の化学療法薬物の使用を伴う場合、個々の患者は、処置医師により適切であると考えられる様式でモニターされる。代表的には、例えば、患者の好中球数が少なくとも1500細胞/mm2になるまで、さらなる薬物処置は行わない。投薬量はまた、国立癌研究所(National Cancer Institute)の共通毒性基準(Common Toxicity Criteria)を使用して、重篤な好中球減少または重篤な末梢神経障害が生じる場合、あるいはムコシティス(mucositis)のグレードIIまたはそれより高いレベルが観察される場合に減少されうる。
ここで記載される組合わせ治療薬剤は、1回で投与され得るか、あるいは両薬剤または他の治療薬剤とともに薬剤のうちの1つを含有するカクテル(cocktail)において投与されうる。これらの治療薬剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:免疫抑制剤、増強剤および副作用軽減剤(side effect relieving agent)。上述のように、逐次的に投与されれば、この治療組合わせは、β−ラパコン成分がタキサン誘導体の前に投与される場合により効率的である。治療薬剤は、好ましくは。静脈内または他の方法では筋肉内、皮下、髄腔内(intrathecally)、または腹腔内の注射により全身的に投与される。
組合わせで見出された本発明の薬学的組成物は、固体、半固体、または液体(例えば、懸濁液、エアロゾルなど)の投薬形態であり得る。好ましくは、この組成物は、正確な投与量の1回の投与に適切な単位投薬形態で投与される。この組成物はまた、所望の処方に依存して、薬学的に受容可能な非毒性キャリアもしくは希釈剤を含みうる。これは、動物またはヒトの投与のための薬学的組成物を処方するために一般に使用されるビヒクルとして規定される。この希釈剤は、生物学的活性の組み合わせに影響を及ぼさないように選択される。このような希釈剤の例は、蒸留水、生理食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液、およびハンクス溶液である。さらに、薬学的組成物または処方物はまた、以下を含み得る:他のキャリア、アジュバント、または非毒性の、非治療的、非免疫原性安定化剤など。このような希釈剤またはキャリアの有効量は、成分の溶解性または生物学的活性などの点において、薬学的に受容可能な処方物を得るために有効な量である。
本発明の目的のために、本明細書中に記載のG1および/またはS期化合物、誘導体もしくはアナログ、ならびにG2/M化合物、誘導体もしくはアナログは、以下を含みうる:その薬学的に受容可能な塩(好ましくはナトリウム);ハロゲン置換を含むアナログ(好ましくは、塩素またはフッ素);アンモニウムまたは置換されたアンモニウム塩を含むアナログ(好ましくは二級アンモニウム塩もしくは三級アンモニウム塩);アルキル、アルケニル、アリールもしくはそれらのアルキル、アルケニル、アリール、ハロ、アルコキシ、アルケニルオキシで置換された誘導体を含むアナログ(好ましくは、メチル、メトキシ、エトキシ、またはフェニルアセテート);ならびに天然のアナログ(例えば、ナフチルアセテート)。さらに、本明細書中に記載のGおよび/またはS期化合物、誘導体もしくはアナログならびにG2/M化合物、誘導体もしくはアナログは、水溶性ポリマーに結合体化され得るか、あるいは水溶性キレート化剤もしくは放射性核種で誘導体化されうる。水溶性ポリマーの例は、以下であるが、これらに限定されない:ポリグルタミン酸ポリマー、ポリカプロラクトンとのコポリマー、ポリグリコール酸、ポリ酢酸(polyactic acid)、ポリアクリル酸、ポリ(2−ヒドロキシエチル1−グルタミン)、カルボキシメチルデキストラン、ヒアルロン酸、ヒト血清アルブミン、ポリアルギン酸またはそれらの組合わせ。水溶性キレート化剤の例は、以下であるが、これらに限定されない:DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、EDTA、DTTP、DOTAまたはそれらの水溶性塩など。放射性核種の例は、以下であるが、これらに限定されない。111In、90Y、166Ho、68Ga、99mTcなど。
治療的適用において、本発明に従って使用される薬剤の投薬量は、選択された投薬量に影響を及ぼす他の因子のうち、薬剤、レシピエント患者の年齢、体重、および臨床状態、ならびに治療を施す臨床医もしくは開業医の経験および判断に依存して変化する。一般に、投薬は、腫瘍増殖の遅延、および好ましくは退行、そしてまた、好ましくは、癌の完全な退行を生じるに充分であるべきである。薬剤の有効量は、臨床医または他の資格がある観察者により注目される客観的に識別可能な改善を提供する量である。患者における腫瘍の退行は、代表的には、腫瘍の直径を参照して測定される。腫瘍の直径の減少は、退行を示す。退行はまた、腫瘍が処置をやめた後に再発しないことにより示される。
本発明はさらに、上記で提供されるように、タキサン誘導体および一定用量のβ−ラパコンまたはその誘導体もしくはアナログを含む薬学的組成物、ならびにタキサン誘導体のバイアルおよびβ−ラパコンまたはその誘導体もしくはアナログのバイアルを、上記に提供された用量で含む癌患者を処置するためのキットを含む。好ましくは、このキットは、組合わせでのそれらの使用を記載する説明書を含む。
本明細書中に言及される文献は、本明細書中に参考として援用される。
前述の詳細な説明および以下の実施例は、単なる例示であり、そして本発明の範囲に対する限定として見なされるべきでないことが理解される。開示された実施形態に対する種々の変更および改変は、当業者に明らかであり、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく行われうる。さらに、本明細書中に引用される全ての特許、特許出願および刊行物は、本明細書中に参考として援用される。
(実施例)
(インビボ試験)
(実験1)
腫瘍モデルの簡単な説明(Cannistraモデル,Cannistraら,Cancer Res.,57:1228−1232(1997))−卵巣癌は、非常に致死的な疾患である。腹腔全体の広範な着床(implantation)により、顕著に転移が生じる。β−ラパコン単独およびタキソール(登録商標)との組合わせでの効果を試験するために、本発明者らは、そもそも悪性腹水を有する患者に由来するヒト卵巣癌細胞(36M2)を使用した。これらの細胞の雌性ヌードマウスへの接種は、患者において観察されたように転移プロセスを再現する。これは、高度に転移性かつ悪性の癌細胞モデルである。一般に、腹膜上の腫瘍小節および悪性腹水は、10×106細胞を接種して4〜5週間後に発生する。転移性病巣は、接種して1週間後から認められ得る。
(インビボ試験)
(実験1)
腫瘍モデルの簡単な説明(Cannistraモデル,Cannistraら,Cancer Res.,57:1228−1232(1997))−卵巣癌は、非常に致死的な疾患である。腹腔全体の広範な着床(implantation)により、顕著に転移が生じる。β−ラパコン単独およびタキソール(登録商標)との組合わせでの効果を試験するために、本発明者らは、そもそも悪性腹水を有する患者に由来するヒト卵巣癌細胞(36M2)を使用した。これらの細胞の雌性ヌードマウスへの接種は、患者において観察されたように転移プロセスを再現する。これは、高度に転移性かつ悪性の癌細胞モデルである。一般に、腹膜上の腫瘍小節および悪性腹水は、10×106細胞を接種して4〜5週間後に発生する。転移性病巣は、接種して1週間後から認められ得る。
(動物)−無胸腺雌性ヌードマウス(nu/nu)を実験全体を通して用いた。 (薬物)−β−ラパコンを臨床で使用した媒体薬剤であるリピドール(lipidol)を用いて溶液に処方した。この処方薬剤(リピドール)での本発明者らの成功は、β−ラパコンが不溶性であるという長年の問題を解決した。
あるいは、本発明者らはまた、β−ラパコンがクレムフォア(cremphor)+エタノール[2(クレムフォア):1(エタノール)]中に処方されうることを見出す。20mg/mlの溶液は、室温で調製されうる。
溶液に処方したタキソール(登録商標)(Ciba−Geigy)(患者用途標準)を、薬局から購入し、そしてリピドール(Sumitome Pharmaceuticals,Osaka)を用いてマウス実験のために希釈した。
β−ラパコンおよびタキソール(登録商標)溶液の両方を、腹腔内または静脈内のいずれかで投与し得る。両方の薬物について腹腔内経路を使用した。β−ラパコンのリピドール処方物を使用した。
(動物治験の設計:)
一群あたり6匹のマウスである。
一群あたり6匹のマウスである。
群1,コントロールビヒクルで処置(群4と同様)
群2,50mg/kgのβ−ラパコンで処置
群3,0.1mg/kgのタキソール(登録商標)で処置
群4,最初に50mg/kgのβ−ラパコン、続いて0.1mg/kgのタキソールで次の日に処置。2日後にこのサイクルを繰り返す。
群2,50mg/kgのβ−ラパコンで処置
群3,0.1mg/kgのタキソール(登録商標)で処置
群4,最初に50mg/kgのβ−ラパコン、続いて0.1mg/kgのタキソールで次の日に処置。2日後にこのサイクルを繰り返す。
全ての処置を腫瘍接種して1週間後に開始した。マウスを合計10サイクルに渡り処置した。そして薬物処置を停止して2週間後(50日目)に腫瘍小節を係数するために屠殺した。
屠殺時、腹腔における腫瘍小節の数を係数し、腫瘍の直径を測定し、腹水の容量を測定し、そして腫瘍が誘導した血管新生の程度の指標として腹腔壁の色を定性的に観察することにより、各群における抗腫瘍活性を評価した。
屠殺する前にマウスの様相および行動の定性的観察、ならびに処置の過程の間に種々の期間でそれらの体重を測定することにより毒性を評価した。
この実験の結果は図1Aおよび1Bに示す。認められ得るように、β−ラパコンとタキソール(登録商標)の組合わせは、未処置コントロール群および各薬剤単独で処置した群と比較すると、腫瘍着床の数を劇的に減少させた。毒性は観察されなかった。
(実験2)
腫瘍モデルおよび薬物処方は、実験1と同一であった。再び、6匹のマウスを各群に使用した。実験設計は、以下を改変した:1)タキソール(登録商標)用量を10倍まで増加した;2)マウスを薬物処置を中止した後4週間観察した。
腫瘍モデルおよび薬物処方は、実験1と同一であった。再び、6匹のマウスを各群に使用した。実験設計は、以下を改変した:1)タキソール(登録商標)用量を10倍まで増加した;2)マウスを薬物処置を中止した後4週間観察した。
群1,コントロールビヒクルで処置(群4と同様)
群2,50mg/kgのβ−ラパコンで処置
群3,1mg/kgのタキソール(登録商標)で処置
群4,最初に50mg/kgのβ−ラパコン、続いて1mg/kgのタキソールで次の日に処置。2日後にこのサイクルを繰り返す。
群2,50mg/kgのβ−ラパコンで処置
群3,1mg/kgのタキソール(登録商標)で処置
群4,最初に50mg/kgのβ−ラパコン、続いて1mg/kgのタキソールで次の日に処置。2日後にこのサイクルを繰り返す。
全ての処置を腫瘍接種して1週間後に開始した。マウスを合計10サイクルに渡り処置した。そして62日目に腫瘍を係数するために屠殺した。この実験の結果を図2Aおよび2Bに示す。実験1のように、β−ラパコンおよびタキソールの組合わせは、未処置コントロール群および各薬剤単独で処置した群と比較すると、腫瘍着床の数を劇的に減少した。毒性は観察されなかった。
図3〜6は、各群において見られる結果を、視覚的に表す。図3〜5において、腹膜内層は、腫瘍で刺激された血管増殖または血管新生を示す赤色(色は示されていない)である。
未処置の哺乳動物は、数百の腫瘍モジュールを含む。小結節のいくつかは、一緒に融合して、そして大きい腫瘍塊を形成した(図3)。
β−ラパコン(図4)またはTAXOL(登録商標)(図5)のいずれかを用いた処置は、腫瘍の減少を生じた。しかし、両方の領域において、肉はまだ赤色であり、腫瘍に関連する実質的な新管形成がまだ続くことを示した。いくつかの腫瘍小結節は、単一の治療的セグメントを用いて処置された両方の群においてまだ存在した。
組み合わせの治療を受けた群において、肉の色は、もはや明るい赤色ではないが、健康なマウスに見られる赤色と類似している(図6)。これは、腫瘍が、単一の処置群において見られる新管形成を誘導する腫瘍が、実質的に阻害されるかまたは存在しないことを示す。1つまたは2つの小結節を、視覚的に観察したが、写真では可視化されない。
(実験3)
(β−ラパコンおよびタキソールによるインビボでの前立腺腫瘍増殖の強力な阻害)雄のSCID(ICR)マウスに、アンドロゲン独立ヒト前立腺癌細胞(DU145;8×106s.c.)を接種した。薬物の投与を、腫瘍小結節が直径〜0.5cmに届く場合、開始した。1群あたり4個体のマウスを、この実験において用いた。このコントロールの群(図7)を、ビヒクル単独で処理した。β−ラパコン単独の群を、50mg/kg(腹腔内に(i.p.))で処理し、そしてタキソール単独の群を、1mg/kg(腹腔内に)を用いて処理し、引き続き24時間後にビヒクルの(腹腔内に)注射をした。この組み合わせた群において(図7B)、マウスを、β−ラパコン単独で処理し、引き続き24時間後に、1mg/kgのタキソールで処理した。各サイクルの間には、1日の休止が存在した。マウスを、総計6サイクルの間処理した。写真を、処理の6サイクル後、3週間撮った。
(β−ラパコンおよびタキソールによるインビボでの前立腺腫瘍増殖の強力な阻害)雄のSCID(ICR)マウスに、アンドロゲン独立ヒト前立腺癌細胞(DU145;8×106s.c.)を接種した。薬物の投与を、腫瘍小結節が直径〜0.5cmに届く場合、開始した。1群あたり4個体のマウスを、この実験において用いた。このコントロールの群(図7)を、ビヒクル単独で処理した。β−ラパコン単独の群を、50mg/kg(腹腔内に(i.p.))で処理し、そしてタキソール単独の群を、1mg/kg(腹腔内に)を用いて処理し、引き続き24時間後にビヒクルの(腹腔内に)注射をした。この組み合わせた群において(図7B)、マウスを、β−ラパコン単独で処理し、引き続き24時間後に、1mg/kgのタキソールで処理した。各サイクルの間には、1日の休止が存在した。マウスを、総計6サイクルの間処理した。写真を、処理の6サイクル後、3週間撮った。
1群あたり4個体のマウスを用いた予備実験において、アンドゲン独立DU145前立腺癌細胞を、免疫無防備状態のマウス中に異種移植した(図7A)。再び、ストリジェンシーを増大するため、そしてほとんどの抗腫瘍実験とは異なり、処置は、腫瘍が直径〜0.5cmに届くまで遅らせた。β−ラパコンまたはタキソール単独いずれかが、腫瘍増殖の阻害の緩和を示した(データは、示さない)。タキソールを加えたβ−ラパコンは、劇的な抗腫瘍活性を示した(図7B)。さらに、処置されたマウスにおける腫瘍は、処置後6週間の追跡で、もとに戻らなかった。
(実験4)
(細胞培養)この研究において使用される全ての細胞株を、他に特定しない限り、American Type Culture Collectionから得た。細胞を、完全湿度において5%CO2中37℃で維持した。ヒト乳癌細胞株、MCF−7、21 MT、21 PT、および21 NT(R.Sagerによりご好意で提供された、DanaFarber Cancer Institute)を、MEM−α(Liffe Technologies,Grand Island,NY)において培養し、10%(vol/vol)FCS、2mM L−グルタミン、および1mg/mlインスリンを補充した。ヒト卵巣癌腫細胞株AD2780およびAD2780DDP(K.J.Scanlonからの寛大な贈り物)(City of Hope Medical Center,Duarte,CA);ヒト結腸腺癌細胞株(SW1116、HT−29、およびDLD;ヒト肺癌腫細胞株G480;G.Dranoffによりご好意で提供された、ヒトメラノーマ細胞株Skmel−28(Dana−Farber Cancer Institute);およびヒト前立腺腫瘍細胞株PC−3、DU145、およびLNCaPを、10%(vol/vol)FCSおよび2mMのL−グルタミンで補充されたDMEM(Life Technologies)中で培養した。ヒト膵臓癌細胞株ASPC−1を、20%(vol/vol)FCSを補充したRPMI培地1640中で培養した。
(細胞培養)この研究において使用される全ての細胞株を、他に特定しない限り、American Type Culture Collectionから得た。細胞を、完全湿度において5%CO2中37℃で維持した。ヒト乳癌細胞株、MCF−7、21 MT、21 PT、および21 NT(R.Sagerによりご好意で提供された、DanaFarber Cancer Institute)を、MEM−α(Liffe Technologies,Grand Island,NY)において培養し、10%(vol/vol)FCS、2mM L−グルタミン、および1mg/mlインスリンを補充した。ヒト卵巣癌腫細胞株AD2780およびAD2780DDP(K.J.Scanlonからの寛大な贈り物)(City of Hope Medical Center,Duarte,CA);ヒト結腸腺癌細胞株(SW1116、HT−29、およびDLD;ヒト肺癌腫細胞株G480;G.Dranoffによりご好意で提供された、ヒトメラノーマ細胞株Skmel−28(Dana−Farber Cancer Institute);およびヒト前立腺腫瘍細胞株PC−3、DU145、およびLNCaPを、10%(vol/vol)FCSおよび2mMのL−グルタミンで補充されたDMEM(Life Technologies)中で培養した。ヒト膵臓癌細胞株ASPC−1を、20%(vol/vol)FCSを補充したRPMI培地1640中で培養した。
(結腸形成アッセイ)指数関数的に増殖する細胞を、6ウェルプレートにおいて1ウェルあたり1,000細胞で播種し、そして48時間の付着を可能にした。薬物を、5μlに満たない(less that 5μl)濃縮した溶液で、皿に直接添加した(0.1%に満たない、最終のDMSO濃度に対応)。コントロールプレートは、DMSO単独の同じ容量を受けた。1〜4時間後、細胞をリンスして、そしてフレッシュ培地に添加した。培養物を、10〜20日間毎日観察して、次いで固定し、そして修飾されたWright−Giemsa stain(Sigma)を用いて染色した。30細胞より大きいコロニーを、生存細胞として記録した。
(細胞死アッセイ)細胞死を、示されるように、MTT(Thiazolyl blue)アッセイによりまたはトリパンブルーの独占(exclusion)により決定した。簡潔には、細胞を、1ウェルあたり10,000細胞で96ウェルプレートにプレーティングし、完全増殖培地で48時間培養し、次いで4時間β−ラパコンを用いて処理し、そして24時間薬物無添加培地で培養した。MTT溶液を、培養培地に添加し、そして2時間後に光学濃度を、ELISAリーダーを用いて読み取った。トリパンブルー独占アッセイのために、細胞を培養し、そして同じ方法で処理した。それらを回収し、そしてトリパンブルー色素溶液を細胞懸濁液に添加した。総細胞数および生存可能な細胞数を、血球計を用いて決定した。
(アポトーシスアッセイ)アポトーシスを、3つの独立したアッセイにより決定した。記載されるように、プロピジウムヨウ化物染色核のサブG1画分を決定した[Li,Y.−Zら、Mol.Med.5:232−239(1999);Li,C.J.ら、Science 268:429−431(1995);Li,CJ.ら、Cancer Res.55:3712−3715(1995)]。アネキシンアッセイが、ホスファチジルエリン(phosphatidylerine)の具体化(externalization)により決定される膜の変化を測定した(Fadok,V.A.ら、J.Immunol.148:2207−2216(1992))。第3のアッセイ、DNAのラダリング(laddering)の分析を、Li,Y.−Z(前出)により記載されるように実行した。
(β−ラパコンおよびタキソールによる細胞死の相乗誘導)コロニー形成を、上記のように実行した。代表的な実験で、ウェル1においてコントロールDU145細胞を、1日目および2日目に、溶媒を用いて処理した。ウェル2において細胞を、1日目4時間、4μMのβ−ラパコンを用いて処理し、薬物無添加培地で20時間インキュベートし、次いで2日目にコントロール溶媒で処理した。ウェル3のタキソール単独(taxol−along)を、1日目4時間コントロール溶媒を用いて処理し、そして2日目に4時間、0.02μMのタキソールで処理した。ウェル4において細胞を、1日目β−ラパコンを用いて処理し、そして2日目タキソールを用いて処理した。ウェル5において、細胞を1日目タキソールを用いて、そして2日目β−ラパコンを用いて処理した。ウェル6において、細胞を、2日目にβ−ラパコンおよびタキソールを用いて処理した。
(薬物の組み合わせの相乗作用)コントロール皿(ウェル1)におけるDU145細胞のコロニー形成は、タキソールおよびβ−ラパコンの両方を適用した場合、消滅した。タキソール単独(ウェル2)またはβ−ラパコン単独(ウェル3)を適用した場合、部分的にだけ減少した。薬物添加の順序が、この観察された、細胞殺傷の強力な相乗作用に影響するか否かを決定するために、本発明者らは、処理計画を変更した。細胞を、タキソールおよびβ−ラパコンを用いて同時に処理した場合(ウェル6)、またβ−ラパコンに続いてタキソール(ウェル4)を用いて処理した場合、類似の相乗作用を観察した。タキソールを、β−ラパコン処理前に添加した場合(ウェル5)、相乗作用を観察しなかった。この計画の依存性を、すべての細胞株において観察した。これらの結果は、人為的なチェックポイントを課す順序が、相乗作用の機構にとって重要であることを示唆する。
(β−ラパコンおよびタキソールの組み合わせによる、ヒト癌腫細胞の広範囲のインビトロコロニーの切除)異なる組織型のヒト癌腫細胞株が、コロニー形成アッセイにおける細胞生存を決定するために使用された(表2)。β−ラパコンおよびタキソールの組み合わせは、種々のヒト癌細胞(卵巣癌細胞株、乳癌細胞株、前立腺癌細胞株、メラノーマ癌細胞株、肺癌細胞株、および膵臓癌細胞株を含む)における細胞生存を劇的に減少させた。用いられた濃度で、β−ラパコン単独またはタキソール単独は、癌細胞のコロニー形成を減少させるのに、ほとんど有効ではなかった。この減少した細胞生存を、MTT(Thiazolyl blue)およびトリパンブルーアッセイにより決定されるように、細胞死の誘導により達成した。細胞死は、DANラダリング形成により、およびアネキシン染色により決定されるので、アポトーシスによるものであった(データは示されていない)。タキソールは、IC50で測定されるように、β−ラパコンの存在において少なくとも10倍以上強力であった(データは示されていない)。
(表2.β−ラパコンおよびタキソールによる癌細胞生存の阻害)
先行発明が、理解を明確にする目的のために、例示および実施例としていくらか詳細に記載されているが、当業者は、特定の変更および修飾を、係属する請求の範囲の精神および範囲から離れることなく実施し得る。
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- 本明細書に記載される発明。
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