JP2009046236A - マンコンベア用のポスト - Google Patents

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隆司 安達
Masumi Ishida
真澄 石田
Yukiomi Mizuno
幸臣 水野
Shunji Yoshida
俊治 吉田
Shinichi Sakai
新一 酒井
Kentaro Yasutake
憲太郎 安武
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Abstract

【課題】有害な音を減衰するとともに、音圧を上げて可聴音の届く範囲を長くすることができる超指向性のスピーカを備えたマンコンベア用のポストを得る。
【解決手段】この発明のマンコンベア用のポスト20は、中空の柱部材22と、この柱部材22の内部に設けられ、超音波を放射するとともに、自己復調する可聴音の音圧を高める超指向性音響装置の超指向性のスピーカ36と、柱部材22の前記乗場口側に設けられ、通過する超音波のうち可聴音の超音波の領域を減衰するフィルタ装置70とを備えたものである。
【選択図】図3

Description

この発明は、マンコンベアの乗場口に設けられ、超指向性のスピーカを備えたマンコンベア用のポストに関するものである。
従来のマンコンベアであるエスカレータに用いられたポストは、下記特許文献1に記載されているように、エスカレータの乗場口の両側に対向して一対立設されている。一方のポストには、光電装置の発光部と共に、エスカレータが上昇又は下降運転を示す表示部が設けられている。
同様に、他方のポストには、光電装置の受光部と共に、エスカレータが上昇又は下降運転を示す表示部が設けられている。利用者がエスカレータの乗場口に進入した場合に、ポストに設けられたスピーカを通じて運転を開始する旨のアナウンスを流すことが行われている。
一方、超指向性のスピーカを備えた音響装置として、下記特許文献2では、可聴音信号を生成する音源と、超音波帯域に属する搬送波を利用して前記可聴音信号の音響放射特性を制御する音響放射制御器と、この音響放射制御器によって前記音響放射特性が制御された可聴音信号が入力されて可聴音を放射するスピーカとを備えたものが記載されている。この音響装置によれば、可聴音の聞き取りを妨げることのない超音波を利用して可聴音を指向性放射することができるようになり、利用者に対して適切な可聴音を提供することができるものである。
特開2004−83207号公報 特開2002−204492号公報
このように、エスカレータにおいては、乗客にアナウンスをする必要があり、乗客とは無関係な人に、アナウンスをすることは、その人にとっては単なる騒音となるので、好ましくない。このため、ポストから超指向性のスピーカを用いて乗客にアナウンスをすることが望まれる。
しかしながら、超指向性のスピーカは、超音波を利用して可聴音を指向性放射しているので、ポストの可聴音照射口に幼児などがよじ登ると、幼児の耳に直接超音波が放射される。このため、幼児が気分を害する恐れがある。
これを防止するために、超指向性のスピーカの音圧を低下すると、可聴音の届く範囲が短くなるという問題点があった。
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするもので、有害な音を減衰するとともに、音圧を上げて可聴音の届く範囲を長くすることができる超指向性のスピーカを備えたマンコンベア用のポストを得ることを目的とするものである。
この発明のマンコンベア用のポストは、マンコンベアの乗場口に設けられたマンコンベア用のポストにおいて、中空の柱部材と、この柱部材の内部に設けられ、超音波を放射するとともに、自己復調する可聴音の音圧を高める超指向性音響装置の超指向性のスピーカと、前記柱部材の前記乗場口側に設けられ、通過する前記超音波のうち前記可聴音の前記超音波の領域を減衰するフィルタ装置とを備えたものである。
この発明に係るマンコンベア用のポストによれば、有害な音を減衰するとともに、音圧を上げて可聴音の届く範囲を長くすることができる。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態について、図に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については、同一符号を付して説明する。
図1は、この発明の一実施の形態による超指向性のスピーカを備えたポストをエスカレータの乗場口に取付けた正面図、図2は図1に示すエスカレータの乗場口付近の側面図、図3は図1に示すポストの縦断面図、図4は図1による超指向性のスピーカを備えたポストの電気回路を示すブロック図、図5は図1に示す反射部材の角度調整機構の分解斜視図、図6は図1に示すフィルタ装置の分解斜視図である。
図1において、マンコンベアであるエスカレータ1は、踏み段3と手摺5と下部トラス6とを有し、踏み段5に乗客7が乗っている。エスカレータ1の乗場口の両側面部には、乗客7の進入防止柵10が対向して一対設けられている。
乗場口の両側には、一対のポスト20が対向して設けられている。このポスト20は、中空の柱部材22と、この柱部材22の内部に設けられた超指向性のスピーカ36とを備えている。
エスカレータ1のトラス6内には、超指向性音響装置30の本体が設けられている。
この超指向性音響装置30は、図4に示すように、可聴音信号を生成する音声生成手段である音源32と、超音波帯域に属する搬送波を利用して可聴音信号の音響放射特性を制御する音響放射制御器34と、この音響放射制御器34によって音響放射特性が制御された可聴音信号が入力されて可聴音を放射する超指向性のスピーカ36とを備えている。
柱部材22の内部では、トラス6の基台24に超指向性のスピーカ36が取り付けられている。スピーカ36の上方には、スピーカ36から発生した可聴音を反射する反射部材38が設けられている。この反射部材38は、ほぼ45度傾斜しており、スピーカ36からの可聴音を90度反射するようになっている。柱部材22の乗客7側の側面部には、聴音の超音波領域を減衰させるフィルタ装置70が取り付けられており、このフィルタ装置70に反射部材38で反射された可聴音が入射するようになっている。
また、ポスト20の上部には、仕切り板40を介して、エスカレータの運転を表示する表示装置60が設けられている。
表示装置60は、電源62と、電源62から供給された電流により発光ダイオードを駆動する駆動部64と、表示部66とを備えている。
一方のポスト20の中間部には、乗客7の有無を検出する光線を発生する第1投光器82及び第2投光器84が設けられている。他方のポスト20には、光線を受光する第1受光器182及び第2受光器184が設けられている。
反射部材38は、柱部材22の内壁側面に角度調整機構50を介して取り付けられている。
角度調整機構50は、図5に示すように、反射部材38に立設された、玉59qを有する玉付き腕59と、柱部材22の内側に立設されたネジ51と、略U形状で、一端部に孔54aを有し他端部に半球状の窪み54e及びネジ孔54bを有する取付け腕54と、端部に半球状の窪み58eを有する押さえ板56とを備えている。取付け腕54は、ナット52によりネジ51と螺合して柱部材22に取付けられている。押さえ板56の窪み54e及び押さえ板56の窪み56eは、蝶ネジボルト58を用いて玉付き腕59の玉59qを挟持しており、反射部材38は、玉59qを中心に全方向に傾斜可能である。
フィルタ装置70は、図6に示すように、取付ネジ孔22aにネジ79を螺着して、柱部材22の側部に形成された角形の孔22eに取り付けられている。このフィルタ装置70は、四角形状の格子部材72と、超音波領域を減衰させるフィルタ部材74と、網部材76と、四つの孔78eを有する枠部材78とを備えており、ネジ79が孔22eに螺着することで、格子部材72、フィルタ部材74、網部材76及び枠部材78は一体化されている。
上記超指向性音響装置30は、可聴音声を示す音声信号を生成する音声生成手段である音源32、音響放射制御器34及び超指向性のスピーカ36とを備えている。
この超指向性音響装置30は、超指向性のスピーカ36の複数の共振周波数を搬送波に使用することにより放射される超音波から自己復調する可聴音声の音圧増大を図るものである。
以下、この超指向性音響装置30について図7−図10を用いて詳述する。
図7は、超指向性音響装置30の構成を示すブロック図である。可聴音声を示す音声信号を出力する音源32は、変調信号を生成する振幅変調器102へ接続されている。増幅器103は、振幅変調器102から変調信号を入力し、増幅した変調信号を超指向性のスピーカ36へ出力するように接続されている。
振幅変調器102は、搬送波として使用する超音波を発生する搬送波生成部111、及び搬送波生成部111の出力信号と音源32から入力した音声信号とを合成する乗算部112を備えている。また、超音波帯域の搬送波を発生する搬送波生成部113、及び搬送波生成部113の出力信号と音声生成器31からの音声信号とを合成する乗算部114を備えている。さらに、乗算部112の出力信号と乗算部114の出力信号とを加算する加算部115を備えている。増幅器103は、振幅変調器102から出力された変調信号を増幅するもので、超指向性のスピーカ36は、圧電セラミック素子を使用しているパラメトリックスピーカである。
なお、図4において示したブロック図において示された音響放射制御器34は、図7における振幅変調器102及び増幅器103から構成されたものに相当する。
次に、この超指向性音響装置30の動作について説明する。
図8は、超指向性のスピーカ36の音圧周波数特性を示す説明図である。
この図は、スピーカ36が超音波を発生するときの音圧と周波数との関係、即ちスピーカ36の音圧周波数特性を示したグラフで、図中縦軸は出力音圧レベル[dB]を表し、横軸はスピーカ36が発生する超音波の周波数[Hz]を表している。圧電セラミック素子を超音波振動子として備えたスピーカ36は、図8に示したように音圧ピークが生じる複数の共振周波数を有する。
ここでは、前述のように二つの搬送波生成部111,113を振幅変調器102に備え、スピーカ36の複数の共振周波数の中から図8に示した二つの周波数f1,f2を用いる動作を例示して説明する。
なお、この超指向性音響装置30を構成する搬送波生成部及び乗算部の数、即ち搬送波として使用する超指向性のスピーカの共振周波数は二つに限定されない。
図7の音源1は、前述のように可聴音声を示す音声信号を生成して振幅変調器102へ出力する。振幅変調器102は、この音声信号を自ら備える乗算部112及び乗算部114へ入力する。
搬送波生成部11は、例えば図8に示した周波数f1の超音波を示す搬送波信号を生成する。周波数f1は、前述のように超指向性のスピーカ36の音圧周波数特性における共振周波数のひとつで、図8に示したように当該特性の中で最も大きな出力音圧が得られる、即ち最大の音圧ピークが生じる共振周波数である。乗算部112は、搬送波生成部111から搬送波信号を入力し、この搬送波信号と音源32から入力した音声信号との乗算処理を行って、周波数f1の超音波を可聴音声で振幅変調した、即ち周波数f1の超音波を搬送波とした可聴音声を表す乗算信号S1を生成する。
搬送波生成部113は、図8に示した周波数f2の超音波を示す搬送波信号を生成する。周波数f2は、超指向性のスピーカ36の音圧周波数特性において、図8に示したように二番目に大きな出力音圧が得られる、即ち二番目に大きな音圧ピークが生じる共振周波数である。乗算部114は、搬送波生成部113からの搬送波信号を入力し、この搬送波信号と音源32からの音声信号とを乗算処理して、周波数f2の超音波を可聴音声で振幅変調した、即ち周波数f2の超音波を搬送波とした可聴音声を表す乗算信号S2を生成する。
なお、上記の周波数f1は周波数f2よりも低い周波数である。以下の説明で使用する周波数f1,f2も同様の関係を有する。
振幅変調器102の加算部115は、乗算部112から出力された乗算信号S1と乗算部114から出力された乗算信号S2とを加算処理し、同一可聴音声によって振幅変調された周波数f1と周波数f2の二つの搬送波を表す変調信号を生成する。即ち、加算部115によって生成されている変調信号は、超指向性のスピーカ36を用いて超音波を発生させたとき複数の超音波帯域の搬送波成分から同一の可聴音声成分が復調するように生成したものである。
図9は、超指向性音響装置30の動作を示す説明図である。
この図は、超指向性のスピーカ36から放射された周波数f1の超音波から復調する可聴音声成分の復調波a1と、周波数f2の超音波から復調する可聴音声成分の復調波a2とを示したもので、横軸方向に周波数[Hz]、縦軸方向に音圧レベル[dB]を表している。
前述のように生成された変調信号を増幅器103によって増幅して超指向性のスピーカ36へ入力すると、スピーカ36は周波数f1と周波数f2、またこれらの周波数の側波帯からなる超音波を発生する。上記のように変調信号は振幅変調によって生成されていることから、超指向性のスピーカ36の発生した超音波は、空気中を伝搬する際に可聴音声へ自己復調し、周波数f1を中心としてその両側波帯に復調波a1が生じ、また、周波数f2を中心としてその両側波帯に復調波a2が生じる。
超指向性音響装置30で取り扱う可聴音声帯域の上限周波数を、即ち音源32からの音声信号が表す周波数の上限をfaとしたとき、図9に示したように周波数f1の上側波帯及び下側波帯の各々に周波数faの値を有する帯域幅の復調波a1が生じる。同様に、周波数f2の上側波帯及び下側波帯の各々に周波数faの値を有する帯域幅の復調波a2が生じる。
なお、復調波a1と復調波a2は同一の可聴音声成分からなり、上記の搬送波などの超音波成分は人の耳には聴こえないことから、超指向性のスピーカ36から放射された復調波a1,a2は一つの音声となって高い音圧で聴こえるようになる。
周波数f1と周波数f2の間隔は、超指向性のスピーカ36から放射された超音波が、正確に聴取することのできる可聴音声へ自己復調するように、少なくとも可聴音声の上限周波数faの値よりも離間して、即ち可聴帯域よりも広い帯域幅を確保するように設定し、搬送波生成部111,113に上記のような周波数f1,f2の搬送波を表す信号を生成させる。可聴帯域は、概ね20〜20000[Hz]なので上限周波数faは最大でも20[kHz]程度になる。そこで、周波数f1と周波数f2の間隔、即ち、f2−f1の値が20[kHz]以上となるように各周波数f2,f1を設定する。また、当該超指向性音響装置30で取り扱う可聴音声の帯域幅を狭くして動作する場合、即ち音源32から出力される音声信号の上限周波数が上記の値よりも低くなる場合には、例えば10[kHz]を上限周波数とする場合には、周波数faは10[kHz]となって周波数f1と周波数f2の間隔が10[kHz]以上となるように設定する。
図10は、超指向性音響装置30の動作を示す説明図である。
この図は、搬送波の周波数f1と周波数f2とを、前述の周波数faの2倍の値以上に離間して設定し、動作させたときに超指向性のスピーカ36から放射される超音波、さらに当該超音波から復調する可聴音声成分を示したものである。横軸方向は周波数[Hz]を示し、縦軸方向は音圧レベル[dB]を示している。図10に示した周波数f1と周波数f2は、その間隔即ちf2−f1の値が上記の可聴音声の上限周波数faを2倍にした値よりも大きくなるように設定されている。
このように周波数f1と周波数f2とを離間すると、各搬送波から自己復調する可聴音声、即ち各搬送波の両側波帯に生じる復調波a1と復調波a2が重なり合うことがなくなり、可聴音声の復調が正常に行われる。図9に示した帯域fbのように、復調波a1と復調波a2が重なる部分が生じた場合でも聴取可能な音声が発生するが、不要な復調も含まれる。図10に示したように周波数f1と周波数f2との間を周波数faの2倍よりも離間して設定することにより、各搬送波の両側波帯に生じる復調波a1と復調波a2が重なることがなくなり、最も効率よく可聴音声を放射することができる。また、周波数f1と周波数f2には、前述のように超指向性のスピーカ36の固有の共振周波数を用いている。そのため必ず上記のような間隔をおいて搬送波の周波数を設定することが困難な場合もある。搬送波の周波数f1,f2は、上記のように少なくとも可聴音声の上限となる周波数faよりも離間して、好ましくは周波数faの2倍の値よりも離間させ、なおかつ上記の超指向性のスピーカ36の共振周波数と概ね同様な、好ましくは同一の周波数f1,f2を設定し、このような条件を満たす周波数f1の搬送波を搬送波生成部11に生成させ、また周波数f2の搬送波を搬送波生成部13に生成させる。
以上のように、この搬送波生成部111で生成した超音波帯域の周波数f1を音源32からの音声信号で振幅変調し、また搬送波生成部113で生成した超音波帯域の周波数f2を上記の音声信号で振幅変調し、これらの振幅変調によって生成した乗算信号S1,S2を加算部115で加算して超指向性のスピーカ36を駆動する変調信号を生成するようにしたので、当該変調信号を超指向性のスピーカ36に入力して超音波を発生させると、複数の超音波帯域の搬送波から同一の可聴音声が復調し、狭いエリアに超指向性放射した可聴音声の音圧を増大させることができるという効果がある。
図11は、超指向性音響装置30の他の例を示すブロック図である。
図7に示したものと同一あるいは相当する部分に同じ符号を使用し、その説明を省略する。
図11に示した超指向性音響装置30は、図1に示した振幅変調器102に替えて、振幅変調器102aと振幅変調器102bとを備え、またさらにこれらの振幅変調器102a,102bの出力信号を加算して変調信号を生成する加算器125を備えて構成したものである。
音源32、増幅器103、及び超指向性のスピーカ36は、図7に示した超指向性音響装置30と同様なものである。
上記の振幅変調器102a,102bは、音源32から同一の音声信号を入力するように接続されている。また、振幅変調器102a,102bから各々出力された信号は加算器125へ入力するように接続されている。加算器125は、出力信号が増幅器103へ入力するように接続されている。また、図7で説明したものと同様に、増幅器103の出力信号が超指向性のスピーカ36
へ供給されるように接続されている。
振幅変調器102aは、搬送波として使用する例えば前述の周波数f1の超音波を発生する搬送波生成部121、及び、搬送波生成部121から出力された搬送波信号と音源32から入力した音声信号とを乗算処理する乗算部122を備えている。
振幅変調器102bは、搬送波として使用する例えば前述の周波数f2の超音波を発生する搬送波生成部123、及び、搬送波生成部123から出力された搬送波信号と音源32から入力した音声信号とを乗算処理する乗算部124を備えている。
また、上記の加算器125は、振幅変調器102aの乗算部122から出力される乗算信号T1と振幅変調器102bの乗算部124から出力される乗算信号T2とを入力し、これらの加算処理を行うもので、図7に示した加算部115と同様な機能を有するように構成されている。
次に、図11に示した超指向性音響装置30の動作について説明する。
図7で説明した超指向性音響装置30と同様な動作について重複説明を省略し、図11による超指向性音響装置30の特徴となっている動作を説明する。
前述のように音源32が生成した音声信号は、振幅変調器102aと振幅変調器102bへ入力される。振幅変調器102aは、搬送波生成部121が生成した周波数f1の搬送波を示す搬送波信号と、音源32からの音声信号とを乗算部122へ入力して乗算処理を行う。この演算処理により周波数f1の搬送波が音声信号によって振幅変調される。乗算部122から演算結果の乗算信号T1が加算器125へ出力される。
また、振幅変調器102bは、搬送波生成部123が生成した周波数f2の搬送波を示す搬送波信号と、音源32からの音声信号とを乗算部124へ入力して乗算処理を行う。この演算処理により周波数f2の搬送波が音声信号によって振幅変調される。乗算部124から演算結果の乗算信号T2が加算器125へ出力される。
加算器125は、振幅変調器102aから出力された乗算信号T1と振幅変調器102bから出力された乗算信号T2とを加算し、この演算処理によって周波数f1及び周波数f2の各搬送波によって搬送される可聴音声を示す変調信号を生成する。この変調信号は、増幅器103へ入力されて超指向性のスピーカ36を駆動できるように増幅され、当該超指向性のスピーカ36から前述のような周波数の異なる複数の搬送波から自己復調した可聴音声が放射される。
なお、ここで説明した搬送波の周波数f1と周波数f2は、図7で説明したものと同様な間隔を有しており、また、超指向性のスピーカ36固有の複数の共振周波数の中のいずれかと概ね同様な周波数で、好ましくは同一周波数である。
ここで説明した図11による超指向性音響装置30は、二つの振幅変調器102a,102bを備えて周波数が異なる二つの搬送波を用いるようにしているが、音源32と加算器125との間に並列に備えられる振幅変調器の数、即ち搬送波の数は二つに限定されるものではない。
以上のように図11による超指向性音響装置30によれば、振幅変調器102a,102bと、振幅変調器102aの出力信号と振幅変調器102bの出力信号とを加算する加算器125とを備えたので、効率よく超指向性のスピーカを動作させることができ、当該超指向性のスピーカ36の放射した超音波から自己復調する可聴音声の音圧を大きくすることができるという効果がある。
図12は、超指向性音響装置30のさらに他の構成を示すブロック図である。
図示した超指向性音響装置30は、可聴音を示す音声信号を生成する音源32、音声信号を入力して振幅変調信号を生成する振幅変調器202、振幅変調信号を増幅する増幅器203、増幅器203によって増幅された振幅変調信号を入力して超音波を発生するスピーカ204によって構成されている。
振幅変調器202は、超音波帯域のキャリア波を示す信号を生成する高周波生成器221、高周波生成器221からのキャリア波信号と音源232からの音声信号とを入力し、これらの信号の掛算処理を行う掛算器222によって構成されている。超音波を放射するスピーカ204は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛即ちPZTなどの有機系の硬い圧電素材から成る超音波振動子を備えたものである。
図13は、図12の超指向性音響装置30に備えられる振幅変調器202の構成を示すブロック図である。図12に示したものと同一部分に同じ符号を使用し、その説明を省略する。
この図は、図12に示した超指向性音響装置30が、比較的効率よく処理できるSingle Side Band(以下、SSBと記載する)変調を行う装置である場合の、振幅変調器202の概略構成を示すものである。SSB変調を行う振幅変調器202は、図12に示した音源32からの音声信号と高周波生成器221からのキャリア波信号とを掛算処理する掛算器222、掛算器222で処理した信号の周波数成分についてフィルタリングを施すフィルタ223、高周波生成器221からキャリア波信号を入力して当該信号のレベル調整を行うアッテネータ224、及びフィルタ223の出力信号とアッテネータ224の出力信号とを加算して振幅変調信号を出力する加算器225によって構成されている。
フィルタ223は、例えば上側波帯を有するSSB変調を行う場合は、キャリア波とキャリア波よりも低い周波数帯域のサイドバンドとを抑制し、キャリア波よりも高い周波数帯域のサイドバンドを通すフィルタ特性を有するものである。また、下側波帯を有するSSB変調を行う場合は、キャリア波よりも低い周波数帯域のサイドバンドを通すフィルタ特性を有するものが使用される。
次に、図12による超指向性音響装置30の動作について説明する。
図12に示した音源32は、可聴帯域の音声を示す音声信号を生成する。この音声信号は振幅変調器202の掛算器222へ入力される。振幅変調器202では、高周波生成器221が超音波帯域のキャリア波を示すキャリア波信号を生成している。ここで生成されるキャリア波信号は、後述するようにスピーカ204の共振周波数とは異なる、即ちスピーカ共振周波数からずれた周波数の超音波を表すものである。このキャリア波信号も前述の音声信号と同様に掛算器222へ入力される。掛算器222は、音声信号とキャリア波信号との掛算処理を行い、キャリア波信号を音声信号にて振幅変調した振幅変調信号を生成する。なお、変調率を100%とするためには、振幅変調によって生じるサイドバンドのレベルがキャリア波のレベルに対して“−6dB”となるように、例えば図示されない音声信号を入力する加算器などの処理動作によって音声信号のレベルを調整して上記の掛算処理を行う。
振幅変調器202から振幅変調信号を入力した増幅器203は、スピーカ204を駆動することが可能なレベルまで当該振幅変調信号を増幅する。スピーカ204は、増幅器203から入力した振幅変調信号に応じて超音波を発生する。スピーカ204から放射された超音波は、空気中を伝搬するときの非線形相互作用によって前述の音声信号の表す可聴音声へ自己復調する。
このようにして、超音波が放射された例えばビーム状の限られたエリア内のみで聴取することのできる可聴音声が放射される。
図12に示した超指向性音響装置が、例えばSSB変調を行って動作するものである場合には、図13に示した振幅変調器202によって変調が行われる。この振幅変調器202は、音源32から出力された音声信号と、高周波生成器221から出力された前述の説明と同様にスピーカ共振周波数feからずれている周波数を有するキャリア波信号とを、掛算器222へ入力して掛算処理を行う。次に掛算器222の出力信号をフィルタ223へ入力する。
例えば上側波帯を有するSSB変調を行う場合には、前述のようにフィルタ223はハイパスフィルタとして作用し、掛算器222の出力信号からキャリア波と当該キャリア波の下側帯域のサイドバンドとを減衰させ、上側帯域のサイドバンド成分を通過させる。
一方、高周波生成器221から出力されたキャリア波信号をアッテネータ224へ入力する。アッテネータ224は、入力したキャリア波信号のレベルを減衰させ、上記のフィルタ223から出力される信号レベルと適合するように、即ち、高い変調率を確保すると共に変調による歪が生じないようにレベル調整を行う。
フィルタ223の出力信号と、アッテネータ224の出力信号とを加算器225へ入力し、これらの信号の加算処理を行って上側帯域のサイドバンドとキャリア波とから成る変調信号を生成する。このように上側波帯を有するSSB変調を施した変調信号を増幅器203へ入力して、スピーカ204を駆動可能なレベルまで増幅する。スピーカ204を駆動させてSSB変調による超音波を放射する。
図14は、Double Side Band(以下、DSBと記載する)変調を行う超指向性音響装置の動作を示す説明図である。また、図15は、SSB変調を行う超指向性音響装置の動作を示す説明図である。これらの図において、同一あるいは相当する部分に同じ符号を使用して説明する。
スピーカ204は、前述のように有機系の硬い圧電素材の超音波振動子を用いて超音波を発生させるもので、音圧周波数特性として一般的には複数の音圧ピークを有している。ここで例示するスピーカ204は、二つの音圧ピークを有する音圧周波数特性を備えたもので、この特性は図14や図15などに示した特性曲線の音圧周波数特性Aのように表されるものである。なお、図示した音圧周波数特性Aの中で、最も音圧が高くなる部分を第1ピークとし、また図中スピーカ共振周波数feよりも高い周波数の音圧ピークを第2ピークとする。ここでは、第1ピークの周波数をスピーカ共振周波数feと記載する。図14及び図15に示したグラフは、縦軸が放射器即ちスピーカ4から放射される超音波の音圧[dB]、横軸が周波数[Hz]を表すもので特に超音波帯域の周波数を表している。
振幅変調にはDSB変調とSSB変調があり、図14及び図15に示したものは、いずれもスピーカ共振周波数feをキャリア波Bの周波数として振幅変調を行ったときの動作を表している。
DSB変調を行った場合には、図14に示したようにキャリア波Bを中心にして上下両側の周波数帯域にサイドバンドCが生じる。
SSB変調を行った場合には、キャリア波Bよりも高い周波数帯域あるいは低い周波数帯域のいずれかにサイドバンドCが存在し、例えば上側波帯即ちUSBを有する振幅変調を行った場合には図15に示したようにキャリア波Bよりも高い周波数帯域にサイドバンドCが生じる。また、下側波帯即ちLSBを有する振幅変調を行った場合にはキャリア波Bよりも低い周波数帯域にサイドバンドCが生じる。
なお、SSB変調は、DSB変調に比べて変調に要するデータ処理量を抑えることができ、デジタルデータの音声信号やキャリア波信号を処理する際に有利である。また、SSB変調は理論上では二次高調波歪が発生せず高調波歪を低減することができるため変調効率を改善することも可能である。
スピーカ204から超音波をキャリア波として可聴音声を放射したとき、キャリア波の周波数成分とサイドバンドの周波数成分の相互作用により超音波から可聴音声へ自己復調する。即ち、スピーカ204から放射されたサイドバンド成分が自己復調した可聴音声の音圧レベルに影響する。そのため、図15に例示したように、スピーカ共振周波数feをキャリア波Bの周波数としてSSB変調を行って超指向性を有する音響放射を行うと、一般的なスピーカ204を用いた場合にはサイドバンドCの音圧レベルがキャリア波Bの音圧レベルに比べて相当低くなり、スピーカ204の音圧周波数特性Aの中でキャリア波Bの音圧レベルとサイドバンドCの音圧レベルとの積が小さな値になって超音波から復調した可聴音声の音圧レベルが低くなる。図14及び図15に示したようにスピーカ共振周波数feをキャリア波Bの周波数として設定した場合、特にSSB変調を用いたときには上記のスピーカ4の音圧周波数特性Aに依存するキャリア波Bの音圧とサイドバンドCの音圧との積が小さな値になる。
そこで、高い音圧で可聴音声を出力するように、振幅変調器202は、キャリア波Bの周波数をスピーカ共振周波数feよりも高い、あるいは低い周波数に設定して、詳しくは、スピーカ204の音圧周波数特性Aに依存するキャリア波Bの音圧レベルとサイドバンドCの音圧レベルとの積を求めたとき、この値が少なくともキャリア波Bの周波数としてスピーカ共振周波数feを用いたときの音圧周波数特性Aにおけるキャリア波Bの音圧とサイドバンドCの音圧との積よりも大きくなるようにキャリア波Bの周波数を設定して振幅変調を行う。このような動作は特にSSB変調を行う場合に有効である。なお、サイドバンドCは、振幅変調が可聴音声帯域を取り扱う場合、例えば上側波帯を有するSSB変調ではキャリア波Bの周波数から概ね“+20kHz”の帯域になる。また、下側波帯を有するSSB変調では、サイドバンドCはキャリア波Bの周波数から概ね“−20kHz”の帯域になる。
図16は、図12による超指向性音響装置30の動作を示す説明図である。また、図17は、振幅変調の動作を示す説明図である。これらの図は、図15に示したものと同一あるいは相当する部分に同じ符号を使用し、その説明を省略する。
図16及び図17に示した縦軸はスピーカ204から放射される超音波の音圧[dB]を表し、横軸は周波数[Hz]を表すもので特に超音波帯域の周波数を表している。図16はスピーカ204の音圧周波数特性Aと、振幅変調器202が上側波帯を有するSSB変調を行ったときのキャリア波B及びサイドバンドCとの関係の一例を表している。また、図17は、SSB変調を行ったとき、可聴音声の音圧を高めることができない音圧周波数特性Aとキャリア波B及びサイドバンドCとの関係の一例を表している。
図12及び図13に示した高周波生成器221は、スピーカ204の音圧周波数特性Aの中で音圧のピークを成すスピーカ共振周波数feよりも高い周波数、あるいは低い周波数の超音波を示すキャリア波信号を生成する。このキャリア波信号は、スピーカ共振周波数feから当該スピーカ共振周波数feの概ね20%までの範囲に含まれる周波数を有するものである。
スピーカ204は、前述のようにスピーカ共振周波数feにおいて音圧ピークが生じることから、振幅変調器202が、例えばスピーカ共振周波数feよりも高い周波数のキャリア波Bを振幅変調に使用するときには下側波帯即ちLSBを有するSSB変調を行う。こうすると、キャリア波Bの周波数とサイドバンドCの周波数帯域はスピーカ共振周波数feを挟むことになり、キャリア波Bの音圧とサイドバンドCの音圧は、音圧周波数特性Aの中において音圧ピークの両側方の音圧になって、当該音圧周波数特性Aにおけるキャリア波Bの音圧とサイドバンドCの音圧との積を大きな値にすることができる。
また、スピーカ共振周波数feよりも低い周波数のキャリア波Bを使用するときには、上側波帯即ちUSBを有するSSB変調を行うようにする。このようにした場合も、上記の説明と同様にキャリア波Bの音圧とサイドバンドCの音圧は音圧周波数特性Aの中において音圧ピークの両側方の音圧になり、音圧周波数特性Aの中においてキャリア波Bの音圧とサイドバンドCの音圧の積を大きな値にすることができる。
高周波生成器221が生成するキャリア波信号の周波数は、当該超指向性音響装置30に備えられているスピーカ204の音圧周波数特性Aに応じて設定される。音圧周波数特性Aの特性曲線の傾斜が、スピーカ共振周波数feよりも高い帯域において緩やかな場合には、キャリア波Bの周波数をスピーカ共振周波数feよりも高く設定する。このように設定して、前述のようにLSBを有するSSB変調を行うと、サイドバンドCの音圧レベルが音圧周波数特性Aにおいて相対的に高くなり、キャリア波Bの音圧とサイドバンドCの音圧との積が大きな値になる。
また、音圧周波数特性Aの特性曲線の傾斜が、スピーカ共振周波数feよりも低い帯域において緩やかな場合には、キャリア波Bの周波数をスピーカ共振周波数feよりも低く設定する。このように設定して、前述のようにUSBを有するSSB変調を行うと、サイドバンドCの音圧レベルが音圧周波数特性Aにおいて相対的に高くなり、キャリア波Bの音圧とサイドバンドCの音圧との積が大きな値になる。
例えば、スピーカ204の音圧周波数特性Aがスピーカ共振周波数feの上下周波数帯域において同様に変化する、即ち音圧周波数特性Aの特性曲線がスピーカ共振周波数feの両側方で概ね同様な傾斜を有する場合には、図13に示したフィルタ223の特性を外部からの設定に応じて切り替え可能に構成し、また、この切り替え設定に連動してキャリア波Bの周波数をスピーカ共振周波数feよりも高い周波数、あるいは低い周波数のいずれかに設定してキャリア波信号を生成するように高周波生成器221を構成し、USBを用いる変調とLSBを用いる変調のいずれかを選択させて動作するように振幅変調器202を構成してもよい。
また、前述のようにキャリア波Bの周波数は、スピーカ共振周波数feから概ね20%までの範囲において移動させた値に設定しているが、これ以上大きくスピーカ共振周波数feから移動させると、音圧周波数特性Aの中においてキャリア波Bの音圧レベルが低くなり、キャリア波Bの音圧レベルとサイドバンドCの音圧レベルの積も小さな値になって、スピーカ204から放射された超音波が自己復調して可聴音声になったときの音圧レベルも低くなる。そのためキャリア波Bの周波数を、スピーカ共振周波数feの20%よりも小さな範囲で移動した周波数、即ちスピーカ共振周波数feから当該スピーカ共振周波数feの概ね20%までの範囲に含まれる周波数に設定する。
図18は、上記構成の超指向性音響装置30の動作を示す説明図である。この図は、振幅変調器202の生成した振幅変調信号を増幅器203で増幅してスピーカ204から超音波を放射させ、空気中において自己復調した可聴音声の音圧周波数特性を示したグラフで、縦軸は音圧[dB]、横軸は周波数[Hz]を表すもので特に可聴音声帯域の周波数を表している。図中一点破線で示した特性曲線Dは、スピーカ共振周波数feのキャリア波Bを用いたときに自己復調する可聴音声の音圧周波数特性を表したものである。図中破線で示した特性曲線Eは、スピーカ共振周波数feよりも低い周波数のキャリア波Bを用いたときに自己復調する可聴音声の音圧周波数特性を示したものである。図中実線で示した特性曲線Fは、スピーカ共振周波数feよりも高い周波数のキャリア波Bを用いたときに自己復調する可聴音声の音圧周波数特性を示したものである。
図18の特性曲線Dは、図15に示したキャリア波BとサイドバンドCから成る超音波がスピーカ204から放射されたときの可聴音声の音圧周波数特性を表したもので、特性曲線Eは、前述の図17に示したキャリア波BとサイドバンドCから成る超音波がスピーカ204から放射されたときの可聴音声の音圧周波数特性である。図17のキャリア波Bの音圧とサイドバンドCの音圧の積は、図15に示したものに比べて小さい値になるもので、そのため特性曲線Eは概ね全ての可聴音声帯域において特性曲線Dを下回っており、超音波から自己復調した可聴音声の音圧レベルが低くなっている。
特性曲線Fは、前述の図16に示したキャリア波BとサイドバンドCから成る超音波がスピーカ204から放射されたときに自己復調した可聴音性の音圧周波数特性を表したものである。図15に示したキャリア波Bの音圧ならびにサイドバンドCの音圧と比べて、図16に示したキャリア波Bの音圧レベルは低くなっているが、サイドバンドCの音圧レベルは高くなっていることから、図16のキャリア波Bの音圧とサイドバンドCの音圧との積は上記の図15ならびに図17に示したものに比べて大きな値になる。図161に示した周波数のキャリア波B及びサイドバンドCの超音波をスピーカ204から放射したとき、この超音波から復調する可聴音声の音圧レベル即ち特性曲線Fは、特性曲線Dや特性曲線Eが示す音圧レベルよりも、特に低中音域から高音域にかけて高い値となる。
また、スピーカ共振周波数feをキャリア波として使用した場合にはスピーカ204のインピーダンスが低くなるが、ここまで説明したスピーカ共振周波数feからずれている周波数のキャリア波を用いると、スピーカ204のインピーダンスが上記の場合に比べて高くなり、当該スピーカ204を駆動している増幅器203の負担を軽減することができる。
以上のように上記構成の超指向性音響装置30によれば、キャリア波Bの周波数を、スピーカ204の音圧周波数特性Aに基いてスピーカ共振周波数feから20%よりも小さな範囲でずらした周波数とし、かつ、音圧周波数特性Aの中でキャリア波Bの音圧とサイドバンドCの音圧との積が大きな値となる周波数に設定して高周波生成器222がキャリア波信号を生成し、振幅変調器202は当該キャリア波信号を用いて振幅変調信号を生成するようにしたので、振幅変調信号に基いてスピーカ204が超音波を放射したとき、当該超音波から自己復調した可聴音声の音圧を向上させることができるという効果がある。
また、高周波生成器222が生成するキャリア波信号の周波数の設定をスピーカ204の音圧周波数特性Aに適応させて振幅変調信号を生成するようにしたので、構成を複雑にすることなくスピーカ204から放射される可聴音声の音圧を高めることができるという効果がある。
次に、上記のように構成された可聴音声の音圧を高めることができる超指向性音響装置30の超指向性のスピーカ36が柱部材22の内部に設けられたマンコンベア用のポスト20の動作について説明する。
いま、音源32から可聴音信号を生成し、音響放射制御器34は超音波帯域に属する搬送波を利用して可聴音信号の音響放射特性を制御し、スピーカ36は、音響放射制御器34によって音響放射特性が制御された可聴音信号が入力されて音を放射する。
この音は、反射部材38により、約90度方向を転換し、フィルタ装置70を通過する。フィルタ装置70では、超音波が減衰され、減衰された音がポスト20の側面から乗客7の方向に放射され、ポスト20に近づいた乗客7は、スピーカ36からのメッセージを聴くことができる。
また、同時に、表示装置60の表示部66には印方向が表示され、乗客7は、視覚によりエスカレータ1の運転方向を認識することができる。
乗客7が進み、ポスト20,20間を通過すると、第1及び投光器82,84からの光線が遮断され、この光線の遮断によりエスカレータ1が起動する。
上記実施形態のマンコンベア用のポスト20は、柱状の柱部材22と、この柱部材22内の下部に設けられると共に、超音波帯域に属する搬送波を利用して可聴音信号の音響放射特性を制御する音響放射制御器34によって音響放射特性が制御された音源32からの可聴音信号が入力されて可聴音を含む音を放射する超指向性のスピーカ36と、柱部材22内に設けられると共に、前記可聴音を反射して柱部材22の側面部から放射する反射部材38と、該反射部材38から放射された前記可聴音の超音波を減衰させるフィルタ装置70とを備えたものである。
このポスト20によれば、超音波がフィルタ装置70により減衰されるので、有害な音が減衰されると共に、超指向性音響装置30により音圧を上げたので、可聴範囲を広く維持できる。
また、柱部材22の上部には、表示装置60が設けられているので、音声のみでなく、視覚によって情報を乗客7に伝達できる。
また、一方の柱部材22の中間部には、光電ビームを発生する、第1投光器82及び第2投光器84が設けられ、他方の柱部材22の中間部には、投光部82,84からの光電ビームを受光する、第1受光部182及び第2受光部184が設けられているので、乗客7がマンコンベアであるエスカレータ1に乗り込むことを容易に検出できる。
また、超指向性音響装置30の本体である、音源32及び音響放射制御器34は、エスカレータ1のトラス6内に設けられているので、トラス6内のスペースは有効利用されるとともに、超指向性音響装置30の本体はトラス6内に簡単に収納される。
また、反射部材38は、角度方向の変更が自在の角度調整機構50を介して柱部材22の内壁面に取り付けられているので、スピーカ36からの音を任意の方向に簡単に転換することができる。
なお、超指向性のスピーカ36からフィルタ装置70に向けて可聴音声を直接放射することができるポスト20の場合には、反射部材38を削除してもよい。
この発明の実施の形態1によるポストをエスカレータの乗場口に取付けた正面図である。 図1に示すエスカレータの乗場口付近の側面図である。 図1に示すポストの縦断面図である。 図1による超指向性のスピーカを備えたポストの電気回路を示すブロック図である。 図1に示す反射部材の角度調整機構の分解斜視図である。 図1に示すフィルタ装置の分解斜視図である。 超指向性音響装置の構成を示すブロック図である。 図7の超指向性のスピーカの音圧周波数特性を示す説明図である。 図7に示す超指向性音響装置の動作を示す説明図である。 図7に示す超指向性音響装置の動作を示す説明図である。 超指向性音響装置の他の構成を示すブロック図である。 指向性音響装置のさらに他の構成を示すブロック図である。 図12の超指向性音響装置に備えられる振幅変調器の構成を示すブロック図である。 DSB変調を行う超指向性音響装置の動作を示す説明図である。 SSB変調を行う超指向性音響装置の動作を示す説明図である。 図12の超指向性音響装置の動作を示す説明図である。 振幅変調の動作を示す説明図である。 図12の超指向性音響装置の動作を示す説明図である。
符号の説明
1 エスカレータ(マンコンベア)、6 トラス、7 乗客、20 ポスト、22 柱部材、30 超指向性音響装置、32 音源(音声生成手段)、34 音響放射制御器、36 スピーカ、38 反射部材、50 角度調整機構、60 表示装置、70 フィルタ装置、74 フィルタ、82 第1投光器、84 第2投光器、182 第1受光器、184 第2受光器。

Claims (8)

  1. マンコンベアの乗場口に設けられたマンコンベア用のポストにおいて、
    中空の柱部材と、
    この柱部材の内部に設けられ、超音波を放射するとともに、自己復調する可聴音の音圧を高める超指向性音響装置の超指向性のスピーカと、
    前記柱部材の前記乗場口側に設けられ、通過する前記超音波のうち前記可聴音の前記超音波の領域を減衰するフィルタ装置と
    を備えたことを特徴とするマンコンベア用のポスト。
  2. 前記超指向性音響装置は、可聴音声を示す音声信号を生成する音声生成手段から入力した音声信号で超音波帯域の搬送波を変調する変調手段と、前記変調手段の生成した変調信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段の増幅した変調信号に基づいて超音波を発生する超指向性の前記スピーカとを含み、
    前記変調手段に、
    周波数の異なる複数の搬送波信号を生成する搬送波生成手段と、
    前記音声生成手段からの音声信号と前記搬送波生成手段からの各搬送波信号とを各々乗算して各乗算信号を生成する乗算手段と、
    前記乗算手段が生成した全ての乗算信号を加算して変調信号を生成する加算手段と、
    を備えていることを特徴とする請求項1に記載のマンコンベア用のポスト。
  3. 前記超指向性音響装置は、可聴音声を示す音声信号を生成する音声生成手段と、超音波帯域のキャリア波を示すキャリア波信号を生成し前記音声生成手段から入力した音声信号で当該キャリア波信号を振幅変調して振幅変調信号を生成する振幅変調手段と、前記振幅変調信号を増幅する増幅手段と、前記増幅器からの振幅変調信号に基いて超音波をキャリア波とする可聴音声を放射する前記スピーカとを含み、
    前記振幅変調手段は、前記スピーカの音圧周波数特性の中でキャリア波の音圧と当該キャリア波を音声信号で振幅変調したときのサイドバンドの音圧との積が大きくなる周波数を有するキャリア波信号を生成することを特徴とする請求項1に記載のマンコンベア用のポスト。
  4. 前記柱部材の内部には、前記スピーカから放射された前記超音波を前記フィルタ装置に反射する反射部材が設けられていることを特徴とする請求項1−3の何れか1項に記載のマンコンベア用のポスト。
  5. 前記柱部材の上部には、マンコンベアの運転を示す表示装置が設けられ、この表示装置は、半導体素子からなる表示部と、この表示部を駆動する駆動部と、この駆動部に電源を供給する電源部とを備えていることを特徴とする請求項1−4の何れか1項に記載のマンコンベア用のポスト。
  6. 対向した一対の前記柱部材の一方には、光電ビームを発生する投光部が設けられ、前記柱部材の他方には、前記投光部からの光電ビームを受光する受光部が設けられ、前記乗場口での乗客の有無が前記光電ビームの遮断の有無により検出されることを特徴とする請求項1−5の何れか1項に記載のマンコンベア用のポスト。
  7. 前記超指向性音響装置の本体は、前記マンコンベアのトラス内に設けられていることを特徴とする請求項1−6の何れか1項に記載のマンコンベア用のポスト。
  8. 前記反射部材は、角度方向の変更が自在の角度調整機構を介して前記柱部材の内壁面に取り付けられていることを特徴とする請求項1−7の何れか1項に記載のマンコンベア用のポスト。
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