JP2009043752A - 熱電変換モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】熱源あるいは冷却部において湾曲部を有する箇所でも密着させることができ、熱効率の高い熱電変換モジュールを提供する。
【解決手段】本発明の熱電変換モジュール(1)は、複数の熱電変換素子(3)が可撓性のある素材(2)を介して前記可撓性のある素材の両側に配置され、前記複数の熱電変換素子のうちの前記可撓性のある素材が配置されている面の反対側の面に電極(4)が配置されている。可撓性のある素材は耐熱性を有するものが好ましく、また電極は絶縁処理が施された平編線からなり、複数の熱電変換素子に弛みを設けて配置されるようにしてもよい。さらに、本発明の熱電変換モジュールはシート状あるいはワイヤ状として用いることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、発電若しくは冷却に使用可能な熱電変換モジュールに係り、特に熱源若しくは冷却部が湾曲しているような箇所に設置できる熱電変換モジュールに関する。
従来からゼーベック効果あるいはペルチェ効果を利用する熱電変換モジュールが知られているが、この熱電変換モジュールは、絶縁熱伝導板(基板)の間に電極とP型及びN型の半導体からなる熱電変換素子を直列になるように配置し、これらの熱電変換素子に温度差を付けて発電させたり(ゼーベック効果)、若しくは電流を流すことにより冷却したり(ペルチェ効果)するものである(例えば、特許文献1〜3参照)。
また、熱電変換モジュールには基板としてセラミックスや金属が用いられていることもよく知られている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
このような熱電変換モジュールは、効率よく発電、冷却を行うために熱源若しくは冷却部に熱電変換モジュールが密着して設置されていることが望ましい。
特開平5−29667号公報 特開2005−302783号公報 特開2000−164941号公報
上記したように、従来の熱電変換モジュールは、基板と基板の間に電極、熱電変換素子が配置されている。通常熱電変換モジュールには基板としてセラミックス板や金属が用いられていることから、可撓性が悪く、効率よく発電、冷却を行うためには熱源若しくは冷却部が水平な箇所でしか用いられなかった。
従って、熱源若しくは冷却部が湾曲しているような箇所では熱源若しくは冷却部に熱電変換モジュールを密着させることが困難なため、効率よく発電、冷却を行うことが難しかった。
また、基板として用いられているセラミックス板は熱膨張率が小さく、一方金属は熱膨張率が大きいものが多いため、熱電変換素子や電極との間の熱膨張率の違いにより熱電変換モジュールに熱応力が加わり破損が生じる虞もあった。
さらに、従来の熱電変換モジュールを熱源若しくは冷却部に用いた場合は、熱源若しくは冷却部と電極、熱電変換素子の間に基板が介されているので、熱効率が低いという問題もあった。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、熱源若しくは冷却部が湾曲しているような箇所であっても密着させることができ、しかも熱効率の高い熱電変換モジュールを提供するものである。
この目的を達成するために本発明の熱電変換モジュールの第1の態様は、熱電変換素子及び電極から構成される熱電変換モジュールにおいて、複数の熱電変換素子が可撓性のある素材を介して可撓性のある素材の両側に配置され、複数の熱電変換素子のうちの可撓性のある素材が配置されている面の反対側の面に電極が配置されていることを特徴とする。
また本発明の熱電変換モジュールの第2の態様は、第1の態様において、可撓性のある素材は耐熱性を有するゴムまたは樹脂からなることを特徴とする。
さらに本発明の熱電変換モジュールの第3の態様は、第2の態様において、可撓性のある素材は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン・アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン・アクリルゴム、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂の何れか一つからなることを特徴とする。
また本発明の熱電変換モジュールの第4の態様は、第1から第3の態様において、電極は平編線からなることを特徴とする。
さらに本発明の熱電変換モジュールの第5の態様は、第1から第4の態様において、電極は熱電変換素子に跨って設けられ、熱電変換素子間において弛みが設けられていることを特徴とする。
また本発明の熱電変換モジュールの第6の態様は、第1から第5の態様において、電極に絶縁処理が施されていることを特徴とする。
さらに本発明の熱電変換モジュールの第7の態様は、第1から第6の態様において、熱電変換モジュールがシート状であることを特徴とする。
また本発明の熱電変換モジュールの第8の態様は、第1から第6の態様において、熱電変換モジュールがワイヤ状であることを特徴とする。
本発明の熱電変換モジュールの第1の態様では、可撓性のある素材を介して熱電変換素子が配置されているので、熱電変換モジュールを熱源若しくは冷却部が湾曲している箇所に設置する場合でも密着させて設置できるので熱効率の高い熱電変換モジュールを提供することができる。
本発明の熱電変換モジュールの第2の態様では、可撓性のある素材として耐熱性を有するゴムまたは樹脂を用いるので、熱源からの熱や冷却すべき高温の対象物に対しても本来の機能を損なうことがない熱電変換モジュールを提供することができる。
本発明の熱電変換モジュールの第3の態様では、可撓性のある素材として種々の耐熱性を有するゴムまたは樹脂を選択することができるので、目的に合わせた適切な熱電変換モジュールを提供することができる。
本発明の熱電変換モジュールの第4の態様では、電極として伸縮性のある平編線を用いるので、熱電変換モジュールが湾曲されて設置されるような場合でもその湾曲部の形状に合わせて電極も伸縮可能となり、熱電変換モジュールの湾曲部に対する密着性が高くなる。
本発明の熱電変換モジュールの第5の態様では、電極が熱電変換素子間に弛みを設けて配置されるので、熱電変換モジュールが湾曲されて設置されるような場合でも電極の伸縮性がより高くなり、熱電変換モジュールの湾曲部に対する密着性がさらに向上する。
本発明の熱電変換モジュールの第6の態様では、電極に絶縁処理が施されているので、熱源や冷却部が導電性のある材料から構成されている場合であっても電極が接することにより回路が短絡するようなことがない熱電変換モジュールを提供することができる。
本発明の熱電変換モジュールの第7の態様では、熱電変換モジュールをシート状に形成しているので、面的な広がりのある湾曲した熱源や冷却部の箇所に設置可能な熱電変換モジュールを提供することができる。
本発明の熱電変換モジュールの第8の態様では、熱電変換モジュールをワイヤ状に形成しているので、パイプのような湾曲した熱源や冷却部に螺旋状に熱電変換モジュールを巻き付けて使用することができる。
以下、本発明の熱電変換モジュールの好ましい実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の熱電変換モジュールの構成を表した斜視図である。図1において、本発明の熱電変換モジュール1は、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン・アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン・アクリルゴム、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂などからなる可撓性のある素材2を介して、P型半導体及びN型半導体からなる熱電変換素子3が複数個配置されている。
なおここで、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン・アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン・アクリルゴム、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂などは150℃程度の耐熱性を有しており、またシリコーンゴム、フッ素ゴムなどは300℃程度の耐熱性を有しているが、本発明は特にこれらのゴムあるいは樹脂に限定されるものではなく、本発明の目的にかなうものならば他のゴム若しくは樹脂であっても差し支えない。
このように可撓性のある素材を介して熱電変換モジュールを配置すると、例えば図1に模式的に示すように湾曲させることが可能となるので、熱源や冷却部が湾曲しているような場合でも、その形状に合わせて熱電変換モジュールを密着させることができる。なお、可撓性のある素材2は、ゼーベック効果により温度差を利用して発電する場合は、熱源からの熱が可撓性のある素材2を介して伝わるために耐熱性を有しているものが好ましく、また、ペルチェ効果を利用して冷却する場合も冷却すべき対象物が高温の場合には耐熱性を有しているものが好ましい。
また熱電変換素子3には、可撓性のある素材2と接している面と反対側の面に電極4が配置されている。この電極4は、その目的が達成されるならば特に用いられる材料、形状等に制限はないが、平編線を用いると熱電変換モジュールが湾曲されて設置されるような場合に、その湾曲部の形状に合わせて電極も伸縮可能となるので好ましい。
このような構成の熱電変換モジュールは、可撓性のある素材2上に熱電変換モジュールが配置されているので、矢印で示すように図における上下どちらの方向にも湾曲させることが可能である。
特に、複数の熱電変換素子に跨って電極を配置するような場合には熱電変換素子間に弛みを設けて配置すると、より伸縮性が向上する。図2は複数の熱電変換素子に跨って電極を配置した例を表す図であり、熱電変換素子3、3に跨って電極4が弛みを設けて配置されている状況を示している。図2において、図2(a)は熱電変換素子3の面のうち可撓性のある素材2と反対側の面に電極4が弛みを設けて配置されている例であり、図2(b)は図2(a)の図を可撓性のある素材を省略して下方から見た図である。
なお、電極4には絶縁皮膜を被覆するなどの処理を施してもよい。このような処理を行うと、例えば熱源や冷却部が導電性のある材料により構成されているような場合には、熱源や冷却部と電極が接することにより回路が短絡するようなことがなくなるので好ましい。
絶縁処理としては、エナメル被覆、シリカコーティング(ホーロー等)、耐熱テープ(マイカ、ガラス等)の貼り付け、高温セラミックスの接着剤やペーストでのコーティングなどを行うとよい。
ここで、本発明の熱電変換モジュールは熱源や冷却部の形状に合わせて、シート状若しくはワイヤ状とすることができる。図3は本発明の熱電変換モジュールを熱源や冷却部の形状に合わせて設置する場合の例を示したものであり、図3(a)は面的な広がりのある湾曲した熱源や冷却部の一部の箇所にシート状の熱電変換モジュールを設置した例であり、熱源若しくは冷却部、例えばパイプ5のような湾曲した形状に合わせて熱電変換モジュール1を密着させることが可能である。
一方、図3(b)は例えばパイプ5のような筒状の熱源や冷却部の周囲に螺旋状にワイヤ状の熱電変換モジュール1を巻き付けた例であり、やはり湾曲した熱源や冷却部に熱電変換モジュールを密着して設置することが可能である。
次に、本発明の具体的な例として、本発明の熱電変換モジュールを温度差のある箇所に設置して出力(発電量、単位:W)を測定した実施例を従来の基板を用いた比較例とともに示す。
<実施例1>
可撓性のある素材としてシリコーンゴムを用い、このシリコーンゴムを介して熱電変換素子として酸化物系のP型半導体であるCaCoとN型半導体であるLaNiOを交互に配置し、電極としてガラス耐熱テープにより絶縁処理を施した平編線を用いたシート状の熱電変換モジュールを準備した。
なお、シート状の熱電変換モジュールのサイズは縦×横が235.5mm×204.5mmであり、可撓性のある素材として厚さ2mmのシリコーンゴムを用い、熱電変換素子は、P型半導体のサイズとして縦×横×高さが7mm×7mm×6mm、N型半導体のサイズとして縦×横×高さが5mm×5mm×6mmである。
このようなシート状の熱電変換モジュールを高温側として加熱した直径200mmのSUS管上に湾曲部に密着するように貼り付け、一方低温側としてアクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物と水を使用した保冷剤を熱電変換モジュール形状に凍らして、熱電変換モジュールを覆うように設置した。
なお、SUS管の温度は約150℃及び約300℃とし、保冷剤の温度は約50℃及び約100℃とした。また、熱電変換素子は、P型半導体とN型半導体の結合を1対とし、縦方向に10対、横方向に9対並べ、すべて直列に結合して合計180対の熱変換モジュールとして構成した。
測定結果を表1に示す。
Figure 2009043752
<実施例2>
可撓性のある素材としてシリコーンゴムを用い、このシリコーンゴムを介して熱電変換素子として酸化物系のP型半導体であるCaCoとN型半導体であるLaNiOを交互に配置し、電極としてガラス耐熱テープにより絶縁処理を施した平編線を用いたワイヤ状の熱電変換モジュールを準備した。
このようなワイヤ状の熱電変換モジュールを高温側として加熱した直径200mmのSUS管上に螺旋状に巻き付け、一方低温側としては冷風を用いた。なお、SUS管の温度は300℃とし、冷風の温度は270℃とした。
ワイヤ状の熱電変換モジュールのサイズは、P型半導体とN型半導体の結合を1対とし、180対結合した長さ1.2mの熱電変換素子を1本とし、これを10本直列になるように巻き付け、合計で1000対が直列になるようにして測定を行った。
測定結果を表2に示す。
Figure 2009043752
<実施例3>
可撓性のある素材としてフッ素樹脂を用い、このフッ素樹脂を介して熱電変換素子として酸化物系のP型半導体であるCaCoとN型半導体であるLaNiOを交互に配置し、電極としてガラス耐熱テープにより絶縁処理を施した平編線を用いたシート状の熱電変換モジュールを準備した。
なお、シート状の熱電変換モジュールのサイズは縦×横が70mm×70mmであり、熱電変換素子は、P型半導体のサイズとして縦×横×高さが7mm×7mm×6mm、N型半導体のサイズとして縦×横×高さが5mm×5mm×6mmである。
このようなシート状の熱電変換モジュールを高温側として加熱した直径200mmのSUS管上に湾曲部に密着するように貼り付け、一方低温側としてアクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物と水を使用した保冷剤を熱電変換モジュール形状に凍らして、熱電変換モジュールを覆うように設置した。
なお、SUS管の温度は約300℃とし、保冷剤の温度は約100℃とした。また、熱電変換素子は、P型半導体とN型半導体の結合を1対とし、2枚のシート状の熱電変換モジュールを縦方向に直列に接続して合計36対となるようにして測定した。
測定結果を表3に示す。
Figure 2009043752
<比較例>
可撓性のある素材を用いず、縦×横×厚さが40mm×50mm×1mmのセラミックス基板上に熱電変換素子として酸化物系のP型半導体であるCaCoとN型半導体であるLaNiOを交互に配置し、電極として銀テープを用いた熱電変換モジュールを準備した。
このような熱電変換モジュールを高温側として加熱した直径200mmのSUS管上の湾曲部に貼り付け、一方低温側としては冷風を用いた。なお、SUS管の温度は225℃とし、冷風の温度は200℃とした。また、熱電変換素子は、P型半導体とN型半導体の結合を1対とし、基板サイズに合わせて1個の熱電変換モジュールにつき8対配置して、この熱電変換モジュールを直列に25個接続して図4に示すようにSUS管の湾曲部に貼り付け、測定した。図4において、SUS管40の湾曲部に熱電変換素子8対を配置した熱電変換モジュール41を25個直列に接続した例を示している(図では熱電変換モジュールの接続個数を便宜的に5個で表している)。
測定結果を表4に示す。
Figure 2009043752
上記実施例及び比較例から、SUS管の湾曲部に密着して貼り付けることができる本発明の熱電変換モジュールは出力(W)、即ち発電量が多いのに対して、比較例ではSUS管と熱電変換モジュールとの間に隙間ができるために十分に熱が伝わらず、極めて低い発電量しか得られなかった。
以上より、従来の基板を用いた熱電変換モジュールに比べて本発明の可撓性のある熱電変換モジュールは湾曲部のある箇所においても高い熱効率が得られることが明らかである
本発明の熱電変換モジュールの構成の一実施の形態を示す斜視図である。 複数の熱電変換素子に跨って電極を配置した例を示す図である。 本発明の熱電変換モジュールを熱源や冷却部の形状に合わせて設置する場合の例を示す図である。 基板を用いた熱電変換モジュールを湾曲部に設置した例を示す図である。
符号の説明
1 熱電変換モジュール
2 可撓性のある素材
3 熱電変換素子
4 電極
5 パイプ

Claims (8)

  1. 熱電変換素子及び電極から構成される熱電変換モジュールにおいて、複数の熱電変換素子が可撓性のある素材を介して前記可撓性のある素材の両側に配置され、前記複数の熱電変換素子のうちの前記可撓性のある素材が配置されている面の反対側の面に電極が配置されていることを特徴とする熱電変換モジュール。
  2. 前記可撓性のある素材は耐熱性を有するゴムまたは樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の熱電変換モジュール。
  3. 前記可撓性のある素材は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン・アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン・アクリルゴム、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂の何れか一つからなることを特徴とする請求項2記載の熱電変換モジュール。
  4. 前記電極は平編線からなることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか1項記載の熱電変換モジュール。
  5. 前記電極は前記熱電変換素子に跨って設けられ、前記熱電変換素子間において弛みが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4までの何れか1項記載の熱電変換モジュール。
  6. 前記電極に絶縁処理が施されていることを特徴とする請求項1から請求項5までの何れか1項記載の熱電変換モジュール。
  7. 前記熱電変換モジュールはシート状であることを特徴とする請求項1から請求項6までの何れか1項記載の熱電変換モジュール。
  8. 前記熱電変換モジュールはワイヤ状であることを特徴とする請求項1から請求項6までの何れか1項記載の熱電変換モジュール。
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