JP2009042824A - 飲酒運転防止装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ドライバに飲酒運転の危険性を認識させ、ドライバに飲酒運転をさせないようにする飲酒運転防止装置を提供することを課題とする。
【解決手段】飲酒運転防止装置1であって、車両のドライバの飲酒を検知する飲酒検知手段10,31aと、飲酒検知手段10,31aで飲酒を検知した場合、ドライバに注意を喚起する仮想情報をドライバに報知する報知手段20,31c,31eとを備えることを特徴とし、仮想情報としては仮想的な障害物(歩行者など)、警察情報、緊急車両の接近情報などが好適である。
【選択図】図1
【解決手段】飲酒運転防止装置1であって、車両のドライバの飲酒を検知する飲酒検知手段10,31aと、飲酒検知手段10,31aで飲酒を検知した場合、ドライバに注意を喚起する仮想情報をドライバに報知する報知手段20,31c,31eとを備えることを特徴とし、仮想情報としては仮想的な障害物(歩行者など)、警察情報、緊急車両の接近情報などが好適である。
【選択図】図1
Description
本発明は、飲酒運転防止装置に関する。
人は、飲酒によって、判断力、注意力、運動能力などが低下する。そのため、飲酒状態で車両を運転すると、危険性が増し、事故を起こす可能性が高くなる。しかし、飲酒運転を行うドライバが存在する。そこで、飲酒運転を防止するための装置が各種開発されている。例えば、特許文献1に記載の装置では、運転席のアルコールセンサでの検出値が所定値を超えた場合に、車両の走行機能を停止させる。
特開2004−249847号公報
上記した従来の装置では、ドライバが飲酒している場合に走行機能を停止させることによって飲酒時の危険運転を防止することができるが、ドライバに対して飲酒運転の危険性を十分に認識させることはできない。そのため、ドライバが、再度、飲酒運転を行う可能性がある。
そこで、本発明は、ドライバに飲酒運転の危険性を認識させ、ドライバに飲酒運転をさせないようにする飲酒運転防止装置を提供することを課題とする。
本発明に係る飲酒運転防止装置は、車両のドライバの飲酒を検知する飲酒検知手段と、飲酒検知手段で飲酒を検知した場合、ドライバに注意を喚起する仮想情報をドライバに報知する報知手段とを備えることを特徴とする。
この飲酒運転防止装置では、飲酒検知手段によりドライバが飲酒しているか否かを検知する(実際には、センサの検出精度などを考慮すると、ドライバが飲酒している可能性があるか否か、あるいは、どの程度の可能性があるかの判定になる)。飲酒検知手段でドライバが飲酒していると検知した場合、飲酒運転防止装置では、報知手段により仮想情報をドライバに報知する。この仮想情報は、飲酒状態のドライバに対して通常より危険な環境を擬似体験させるための仮想的な情報であり、この危険な環境によってドライバに注意を喚起させるための情報である。仮想情報としては、例えば、歩行者などの運転に障害となるもの、飲酒運転時にドライバが警戒しているもの(警察など)である。このように、飲酒運転防止装置では、飲酒運転中には仮想情報の報知により、飲酒運転による危険性をドライバに認識させることができる。これによって、飲酒運転中にドライバの注意を喚起し、より慎重な運転をさせることができる(車速低下など)。さらに、ドライバに自主的な車両停止を促すことができる。また、飲酒運転は危険性が高いことを認識したドライバが次回から飲酒運転しないように、飲酒運転の予防をすることができる。
本発明の上記飲酒運転防止装置では、車両の周辺画像を表示する表示手段を備え、仮想情報は、仮想的な障害物であり、報知手段は、表示手段で仮想的な障害物を重畳表示する構成としてもよい。
この飲酒運転防止装置では、飲酒検知手段でドライバが飲酒していると検知した場合、表示手段で仮想的な障害物を重畳表示する。障害物は、車両の走行中の道路上に存在する可能性があり、走行に障害となるものであり、例えば、歩行者、自転車、落下物である。このように、飲酒運転防止装置では、飲酒運転中に擬似的な障害物をドライバに見せることにより、危険性をドライバに認識させることができ、ドライバの注意をより喚起することができる。なお、表示手段としては、車両の周辺全体を表示するものでもよいし、あるいは、車両の周辺における一部(例えば、歩行者、他車両)だけを表示するものでもよい。
本発明の上記飲酒運転防止装置では、仮想情報は、警察情報及び/又は緊急車両の接近情報としてもよい。
この飲酒運転防止装置では、飲酒検知手段でドライバが飲酒していると検知した場合、報知手段により仮想的な警察情報(警察官、パトカー、白バイなど)や緊急車両(パトカー、消防車、救急車など)の接近情報を報知する。飲酒運転中のドライバにとっては、最も警戒し、注意しているのは警察である。また、一般に、ドライバは、緊急車両が接近してくるとその接近に対して注意を傾ける。したがって、飲酒運転防止装置では、飲酒運転中に警察情報や緊急車両の接近情報を報知することにより、ドライバの注意をより喚起することができる。
本発明の上記飲酒運転防止装置では、車両の周辺の物体を検出する物体検出手段と、車両の周辺画像を表示する表示手段とを備え、報知手段は、物体検出手段で物体を検出した場合、表示手段で物体検出手段で検出した物体に警察のパターン画像を重畳表示する構成としてもよい。
この飲酒運転防止装置では、飲酒検知手段でドライバが飲酒していると検知した場合、物体検出手段で物体を検出しているときにはその検出物体に対して警察のパターン画像を重畳表示する。警察のパターン画像としては、例えば、警察官のユニフォーム画像、パトカーのパターン画像、白バイに乗っている警察官のユニフォーム画像及び白バイのパターン画像である。物体検出手段で検出される物体としては、警察のパターン画像を重畳表示しても違和感のない物体であり、例えば、歩行者、自動車、オートバイ、自転車である。このように、飲酒運転防止装置では、飲酒運転中に警察関係のものをドライバに擬似的に見せることにより、ドライバの注意をより喚起することができ、ドライバによって自主的に車両を停止させることができる。
本発明の上記飲酒運転防止装置では、車両の停止を検知する車両停止検知手段と、車両停止検知手段で車両の停止を検知した場合に車両の走行機能を停止させる走行機能停止手段とを備える構成としてもよい。
上記したように、この飲酒運転防止装置では、飲酒検知手段でドライバが飲酒していると検知した場合、仮想情報をドライバに報知する。これによって、ドライバが、飲酒運転の危険性を認識し、車両を停止させる場合がある。この場合、飲酒運転防止装置では、車両停止検知手段により車両が停止しているか否かを検知する。車両停止検知手段で車両が停止していることを検知した場合、飲酒運転防止装置では、走行機能停止手段により車両の走行機能を停止させる。このように、飲酒運転防止装置では、ドライバが自主的に停止させたときに車両をインタロックすることにより、飲酒運転を防止できるとともに、車両側で車両制御によって車両を停止させる場合より車両を安全に停止させることができる。
本発明は、ドライバが飲酒している場合にドライバに対して仮想情報を報知することにより、ドライバに飲酒運転の危険性を認識させることができ、飲酒運転を防止することができる。
以下、図面を参照して、本発明に係る飲酒運転防止装置の実施の形態を説明する。
本実施の形態には、報知する仮想情報の違いにより3つの形態があり、第1の実施の形態が仮想情報として歩行者(仮想的な障害物)を重畳表示する形態であり、第2の実施の形態が仮想情報として警察のパターン画像を重畳表示する形態であり、第3の実施の形態が仮想情報として緊急車両の接近情報を報知する形態である。
図1を参照して、第1の実施の形態に係る飲酒運転防止装置1について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る飲酒運転防止装置の構成図である。
飲酒運転防止装置1は、注意喚起機能を備えた歩行者検知装置に適用された場合の飲酒運転防止装置である。飲酒運転防止装置1は、飲酒運転を検知した場合、ドライバの注意力を喚起させるために、擬似的な歩行者を重畳表示する。そのために、飲酒運転防止装置1は、アルコール検知センサ10、カメラセンサ11、顔向きカメラセンサ12、重畳表示用ディスプレイ20及びECU[ElectronicControl Unit]31を備えている。なお、飲酒運転防止装置1は、注意喚起機能を備えない歩行者検知装置にも適用可能である。
なお、第1の実施の形態では、アルコール検知センサ10及びECU31の飲酒判定部31aが特許請求の範囲に記載する飲酒検知手段に相当し、重畳表示用ディスプレイ20及びECU31の擬似歩行者作成部31c、重畳表示制御部31eが特許請求の範囲に記載する報知手段に相当し、重畳表示用ディスプレイ20が特許請求の範囲に記載する表示手段に相当する。
アルコール検知センサ10は、運転席周辺に配置され、ドライバのアルコール濃度を検知するセンサである。アルコール検知センサ10は、例えば、半導体式、電気化学式、化学反応式、光学式のセンサである。アルコール検知センサ10では、ドライバの呼気からアルコール濃度を計測し、その計測したアルコール濃度をECU31に送信する。
カメラセンサ11は、車両の周辺(ドライバが車両が見ることができる景色)を撮影するカメラであり、夜間などの周辺が暗いときでも撮影可能な近赤外線カメラである。撮影対象の車両周辺は、少なくとも車両前方が対象であり、車両側方や車両後方も対象としてもよい。したがって、カメラセンサ11は、1台のカメラあるいは複数のカメラからなる。カメラセンサ11は、車両周辺の近赤外線を取り込み、その近赤外線の強弱に応じた濃淡によって近赤外線映像を生成する。この近赤外線映像は、一定時間(例えば、1/30秒)毎のフレームの近赤外線画像からなる。そして、カメラセンサ11では、一定時間毎に、各フレームの近赤外線画像をECU31に送信する。なお、カメラは、近赤外線以外の不可視カメラあるいは可視カメラでもよい。また、カメラは、ステレオカメラでもよいし、あるいは、単眼カメラでもよい。
顔向きカメラセンサ12は、ドライバの顔を十分に含む領域を撮影するカメラである。顔向きカメラセンサ12では、ドライバの顔周辺を撮影し、一定時間毎に、各フレームの撮影画像をECU31に送信する。
重畳表示用ディスプレイ20は、ウインドウを介してドライバが見ている景色に、映像(一定時間毎の画像)をウインドウ上に重ねて表示(つまり、重畳表示)するディスプレイである。重畳表示する映像としては、カメラセンサ11で撮影した車両周辺の景色の映像、歩行者などの障害物の検知結果、飲酒運転を検知した場合の擬似的な画像などである。重畳表示用ディスプレイ20では、一定時間毎に、ECU31から重畳表示用画像を受信し、その重畳表示用画像をウインドウ上に表示する。なお、重畳表示用ディスプレイ20は、ウインドウ以外に、ルームミラーなどのミラー類にも重畳表示するものであってもよい。
ECU31は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]などからなり、飲酒運転防止装置1を統括制御する。ECU31では、ROMに格納されるアプリケーションプログラムがRAMにロードされ、CPUで実行されることによって飲酒判定部31a、歩行者検知部31b、擬似歩行者作成部31c、顔位置計算部31d、重畳表示制御部31eが構成される。
飲酒判定部31aでは、アルコール検知センサ10で検知したアルコール濃度が閾値以上か否かを判定し、ドライバの飲酒の可能性を判定する。飲酒の可能性は、例えば、0〜100%の数値で示してもよいし、可能性の有/無を2値で示してもよい。閾値は、ドライバが飲酒している可能性を判定するための閾値であり、実験などによって予め決められた値である。飲酒の可能性を数値で示す場合には閾値が複数用意され、2値で示す場合には閾値が1つだけ用意される。
歩行者検知部31bでは、カメラセンサ11で撮影した画像中に存在する歩行者を検知する。この検知方法としては、どのような方法でもよく、例えば、歩行者のテンプレートが予め用意され、このテンプレートを用いたパターンマッチングによって歩行者を検知する方法、ニューラルネットワークによる方法、サポートベクタマシンによる方法がある。
擬似歩行者作成部31cでは、飲酒判定部31aでドライバが飲酒の可能性があると判定している場合、歩行者検知部31bで歩行者を検知できたか否かを判定する。歩行者を検知できた場合、擬似歩行者作成部31cでは、一定時間毎に、予め設定している数(0〜N人)の範囲内で重畳表示する擬似歩行者の数を乱数などを用いてランダムに決定する。そして、擬似歩行者作成部31cでは、検知できた歩行者を用いて(あるいは、予め用意してある歩行者のテンプレートを用いて)、決定した数分の擬似歩行者の画像を生成する。この場合、重畳表示によって、実際の歩行者と擬似歩行者が混在した状況あるいは実際の歩行者だけが存在する状況をつくる。そして、擬似歩行者作成部31cでは、カメラセンサ11で撮影した車両の周辺の画像中に生成した擬似歩行者の画像を重畳した画像を生成する。
一方、歩行者を検知できなかった場合、擬似歩行者作成部31cでは、一定時間毎に、予め設定している数(0〜M人)の範囲内で重畳表示する擬似歩行者の数を乱数などを用いてランダムに決定する。そして、擬似歩行者作成部31cでは、予め用意してある歩行者のテンプレートの中からピックアップし、決定した数分の擬似歩行者の画像を生成する。この場合、重畳表示によって、一人以上の擬似歩行者が存在する状況あるいは擬似歩行者が存在しない状況をつくる。そして、擬似歩行者作成部31cでは、カメラセンサ11で撮影した車両の周辺の画像中に生成した擬似歩行者の画像を重畳した画像を生成する。
擬似歩行者の数は、時々刻々と変化させ、0人の場合もある。擬似歩行者の数を変化させるのは、絶えず歩行者の数が変化する実環境に近づけ、できるだけドライバに擬似歩行者を実際の歩行者と思わせるためである。ドライバから見える歩行者の数が変化しないと、ドライバが不信に思ってしまう。また、重畳表示する擬似歩行者は、大人、子供、老人、男性、女性など、歩行者の種類がランダムに選択される。また、重畳表示する擬似歩行者は、時間の経過に伴って、映像内での位置が移動させられる。このようにすることによっても、できるだけドライバに擬似歩行者を実際の歩行者と思わせるためである。
顔位置計算部31dでは、顔向きカメラセンサ12で撮影した画像からドライバの顔部分を抽出し、その顔部分の画像からドライバの顔の位置及び顔の向き(視線方向)を計算する。
重畳表示制御部31eでは、注意喚起機能がある場合、検知した歩行者を囲む歩行者検知枠を生成するとともに画像全体を囲む注意喚起刺激枠を生成し、カメラセンサ11で撮影した車両の周辺の画像中に生成した歩行者検知枠及び注意喚起刺激枠を重畳した画像を生成する。さらに、擬似歩行者を重畳表示する場合、重畳表示制御部31eでは、擬似歩行者を囲む歩行者検知枠を生成し、カメラセンサ11で撮影した車両の周辺の画像中に生成した歩行者検知枠を重畳した画像を生成する。特に、飲酒判定部31aでドライバが飲酒の可能性があると判定している場合、重畳表示制御部31eでは、歩行者検知枠及び注意喚起刺激枠の刺激を強くする(例えば、輝度を高くする。枠の太さを太くする。枠を点滅させる。)。飲酒している場合、視野の狭窄や視力の低下が発生するので、通常より注意喚起刺激を強くする必要がある。また、重畳表示制御部31eでは、一定時間毎に、顔位置計算部31dで求めたドライバの顔の位置及び顔の向きに応じて重畳表示する画像を視点変換及び幾何変換する。そして、重畳表示制御部31eでは、一定時間毎に、重畳表示用画像情報を重畳表示用ディスプレイ20に送信する。
図1を参照して、飲酒運転防止装置1における動作について説明する。ここでは、飲酒の可能性のある場合の動作について説明する。特に、ECU31における処理については図2のフローチャートに沿って説明する。図2は、図1のECUにおける処理の流れを示すフローチャートである。
アルコール検知センサ10では、一定時間毎に、ドライバのアルコール濃度を検知し、その検知したアルコール濃度をECU31に送信している。カメラセンサ11では、車両の周辺を撮影し、その撮影した映像をECU31に送信している。顔向きカメラセンサ12では、ドライバの顔を含む領域を撮影し、その撮影した映像をECU31に送信している。
ECU31では、アルコール検知センサ10から検知したアルコール濃度を受信する(S10)。そして、ECU31では、そのアルコール濃度に基づいて、ドライバが飲酒の可能性があるか否かを判定する(S11)。S11で飲酒の可能性がないと判定している場合(S12)、ECU31では、今回の処理を終了し、飲酒していない場合の重畳表示の処理に移行する。
S11で飲酒の可能性があると判定している場合(S12)、ECU31では、カメラセンサ11から撮影した車両周辺の映像を受信する(S13)。そして、ECU31では、その車両周辺の映像から歩行者を検知する(S14)。また、ECU31では、顔向きカメラセンサ12から撮影したドライバの顔を含む領域の映像を受信する(S15)。そして、ECU31では、その映像からドライバの顔の位置と顔の向きを検知する(S16)。
ECU31では、S14で歩行者を検知できたか否かを判定する(S17)。S17で歩行者を検知できたと判定した場合、ECU31では、検知した歩行者を元に擬似歩行者を0〜N人でランダムに作成する(S18)。一方、S17で歩行者を検知できなかったと判定した場合、ECU31では、予め用意してある擬似歩行者(歩行者のテンプレート)を元に擬似歩行者を0〜M人でランダムに作成する(S19)。そして、ECU31では、作成した擬似歩行者を車両周辺の映像に重畳する(S20)。
ECU31では、歩行者検知装置に注意喚起機能があるか否かを判定する(S21)。S21にて注意喚起機能があると判定した場合、ECU31では、歩行者検知枠及び注意喚起刺激枠を飲酒者用に刺激を強くして車両周辺の映像に重畳する(S22)。
ECU31では、ドライバの顔の位置及び顔の向きに応じてウインドウ上に重畳表示する映像を視点変化及び幾何変換する(S23)。さらに、ECU31では、重畳表示用映像(一定時間毎の画像)情報を重畳表示用ディスプレイ20に送信する(S24)。重畳表示用ディスプレイ20では、その重畳表示用映像をウインドウ上に表示する。
ECU31では、処理を継続するか否か(飲酒運転防止装置1の作動/停止)を判定する(S25)。S25で継続すると判定した場合、ECU31では、S10に戻って、次回の処理を行う。一方、S25で終了すると判定した場合、ECU31では、処理を終了する。
この飲酒運転防止装置1によれば、ドライバが飲酒の可能性がある場合には擬似的は歩行者を重畳表示することにより、飲酒状態のドライバにヒヤリハットを体験させ、飲酒状態での危険性を体感させることができる。これによって、ドライバは、より注意深く運転するようになる。さらに、ドライバが、車両の速度を自主的に低下させて走行することを期待でき、車両を自主的に停止させる場合もある。その結果、飲酒運転時の車速超過や暴走運転を防止でき、次回の飲酒運転を予防できる。ドライバは飲酒しているので、擬似歩行者が本物の歩行者か否か見分けがつき難い状況にあり、歩行者の数を増やすことによって車両の速度を低下させる可能性が高くなる。
また、飲酒運転防止装置1では、ドライバの顔の位置や向きに応じて重畳する映像を変換することにより、ドライバに違和感のない映像を見せることができる。また、飲酒運転防止装置1では、歩行者がいるかどうか分からない環境や歩行者が実際よりも多く存在する環境など、実際よりもヒヤリとするような様々な環境をドライバに擬似体験させることができる。また、飲酒運転防止装置1では、ドライバが飲酒の可能性がある場合には注意喚起刺激を通常より強くすることにより、飲酒していないときのように歩行者の存在を認識させることができ、危険性を認識させることができる。
図3〜図6を参照して、第2の実施の形態に係る飲酒運転防止装置2について説明する。図3は、第2の実施の形態に係る飲酒運転防止装置の構成図である。図4は、ドライバから見た景色(カメラセンサの撮影画像)の一例である。図5は、図4のカメラセンサの撮影画像への警察官のユニフォーム及びパトカーのパターンの重畳表示の一例である。図6は、歩行者/自動車の検知結果の重畳表示の一例であり、(a)が図4のカメラセンサの撮影画像への重畳表示の一例であり、(b)が図5の画像への重畳表示の一例である。なお、飲酒運転防止装置2では、第1の実施の形態に係る飲酒運転防止装置1と同様に構成について同一の符号を付し、その説明を省略する。
飲酒運転防止装置2は、歩行者や自動車などを検知する物体検知装置に適用された場合の飲酒運転防止装置である。飲酒運転防止装置2は、飲酒運転を検知した場合、ドライバの注意力を喚起させるために、検知した歩行者や自動車に対して警察のパターンを重畳表示する。そのために、飲酒運転防止装置2は、アルコール検知センサ10、カメラセンサ11、重畳表示用ディスプレイ20及びECU32を備えている。
なお、第2の実施の形態では、アルコール検知センサ10及びECU32の飲酒判定部32aが特許請求の範囲に記載する飲酒検知手段に相当し、重畳表示用ディスプレイ20及びECU32の歩行者/自動車位置・サイズ・姿勢計算部32c、歩行者服装/自動車パターン位置・サイズ・姿勢計算部32d、重畳表示ON/OFF切替部32eが特許請求の範囲に記載する報知手段に相当し、カメラセンサ11及びECU32の歩行者/自動車検知部32bが特許請求の範囲に記載する物体検出手段に相当し、重畳表示用ディスプレイ20が特許請求の範囲に記載する表示手段に相当する。
ECU32は、CPU、ROM、RAMなどからなり、飲酒運転防止装置2を統括制御する。ECU32では、ROMに格納されるアプリケーションプログラムがRAMにロードされ、CPUで実行されることによって飲酒判定部32a、歩行者/自動車検知部32b、歩行者/自動車位置・サイズ・姿勢計算部32c、歩行者服装/自動車パターン位置・サイズ・姿勢計算部32d、重畳表示ON/OFF切替部32eが構成される。なお、飲酒判定部32aは、第1の実施の形態に係る飲酒判定部31aと同様の処理を行うので、説明を省略する。
歩行者/自動車検知部32bでは、カメラセンサ11で撮影した画像中に存在する歩行者及び自動車を検知する。この検知方法としては、第1の実施の形態で示した歩行者検地と同様の方法などを用いる。例えば、図4には、カメラセンサ11で撮影した画像(ドライバから見た景色に相当)の一例を示しており、この撮影画像から歩行者W1や自転車に乗っている人W2、前方からの自動車A1が検知される。なお、検知する歩行者については、自転車に乗っている人も含む。
歩行者/自動車位置・サイズ・姿勢計算部32cでは、歩行者/自動車検知部32bで歩行者及び/又は自動車を検知した場合、検知した歩行者や自動車の三次元での位置、サイズ、姿勢を導出する。この導出方法としては、どのような導出方法でもよく、例えば、オプティカルフロー導出、移動ステレオを利用した導出、複数台のカメラを利用したステレオ測距による導出、あるいは、これらを組み合わせによる導出がある。
歩行者服装/自動車パターン位置・サイズ・姿勢計算部32dでは、歩行者/自動車検知部32bで歩行者を検知した場合、歩行者/自動車位置・サイズ・姿勢計算部32cで導出した位置、サイズ、姿勢に応じて、その歩行者の服装に適合するように警察官のユニフォームの三次元での位置、サイズ、姿勢を計算する。また、歩行者服装/自動車パターン位置・サイズ・姿勢計算部32dでは、歩行者/自動車検知部32bで自動車を検知した場合、歩行者/自動車位置・サイズ・姿勢計算部32cで導出した位置、サイズ、姿勢に応じて、その自動車に適合するようにパトカーのパターンの三次元での位置、サイズ、姿勢を計算する。
重畳表示ON/OFF切替部32eでは、歩行者/自動車検知部32bで歩行者及び/又は自動車を検知した場合、飲酒判定部32aでドライバが飲酒の可能性があると判定している否かを判定する。飲酒判定部32aでドライバが飲酒の可能性があると判定している場合、重畳表示ON/OFF切替部32eでは、警察パターンの重畳表示をONする。一方、飲酒判定部32aでドライバが飲酒の可能性がないと判定している場合、重畳表示ON/OFF切替部32eでは、警察パターンの重畳表示をOFFする。警察パターンの重畳表示をONするのは、ドライバが飲酒の可能性が高い場合に常時ONするようにしてもよいし、あるいは、ONする頻度を可変にしてもよい(ランダムの間隔でONする)。ドライバに対して、歩行者が警察官に常時見えるより、警察官がたまに見える方が効果的かもしれない。また、検知した全ての歩行者や自動車に警官パターンを重畳表示するのではなく、検知した歩行者や自動車の中から重畳表示するものをランダムに選択するようにしてもよい。
警察パターンの重畳表示がONの場合、重畳表示ON/OFF切替部32eでは、歩行者を検知している場合には予め保持している警察官のユニフォームの基本画像に基づいて歩行者服装/自動車パターン位置・サイズ・姿勢計算部32dで導出した位置、サイズ、姿勢に応じて車両の周辺の画像中の歩行者に警察官のユニフォーム画像を重畳し、自動車を検知している場合には予め保持しているパトカーのパターン(白黒ツートン、パトランプなど)の基本画像に基づいて歩行者服装/自動車パターン位置・サイズ・姿勢計算部32dで導出した位置、サイズ、姿勢に応じて車両の周辺の画像中の自動車にパトカーのパターン画像を重畳する。例えば、図5に示すように、図4の歩行者W1や自転車に乗っている人W2が警察官のユニフォームを着た人W1’,W2’となり、自動車A1がパトカーのパターンに覆われた自動車A1’となる。
なお、重畳する警察官のユニフォームについては、実際のユニフォームのデザインと全く同じようにしてもよいし、あるいは、腕章、反射帯、ヘルメットなどの警察官の象徴となる一部分だけとしてもよい。重畳するパトカーのパターンについても、実際のパトカーのデザインと全く同じようにしてもよいし、あるいは、パトランプなどのパトカーの象徴となる一部分だけとしてもよい。
重畳表示ON/OFF切替部32eでは、注意喚起機能がある場合、歩行者/自動車位置・サイズ・姿勢計算部32cで導出した位置、サイズ、姿勢に応じて検知できた歩行者や自動車を囲む検知枠を生成し、カメラセンサ11で撮影した車両の周辺の画像中に生成した検知枠を重畳した画像を生成する。そして、重畳表示ON/OFF切替部32eでは、一定時間毎に、重畳表示用画像情報を重畳表示用ディスプレイ20に送信する。例えば、図6には、図4の歩行者W1や自転車に乗っている人W2及び自動車A1の検知結果を検知枠で示した場合を示しており、特に、(a)が歩行者W1や自転車に乗っている人W2及び自動車A1をそのまま表示した場合であり、(b)が警察パターンの重畳表示をONして、警察官のユニフォームを着た人W1’,W2’及びパトカーのパターンに覆われた自動車A1’を表示した場合である。なお、飲酒運転防止装置2でも、第1の実施の形態のように、顔向きカメラセンサを備え、ドライバの顔位置及び顔向きに応じて重畳する映像を視点変換及び幾何変換して重畳表示するようにするとよい。また、飲酒判定部32aでドライバが飲酒の可能性があると判定している場合、検知枠の刺激を強くするとよい。
図3を参照して、飲酒運転防止装置2における動作について説明する。特に、ECU32における処理については図7のフローチャートに沿って説明する。図7は、図3のECUにおける処理の流れを示すフローチャートである。
アルコール検知センサ10では、一定時間毎に、ドライバのアルコール濃度を検知し、その検地したアルコール濃度をECU32に送信している。カメラセンサ11では、車両の周辺を撮影し、その撮影した映像をECU32に送信している。
ECU32では、アルコール検知センサ10から検知したアルコール濃度を受信する(S30)。そして、ECU32では、そのアルコール濃度に基づいて、ドライバが飲酒の可能性があるか否かを判定する(S31)。
ECU32では、カメラセンサ11から撮影した車両周辺の映像を受信する(S32)。そして、ECU32では、その車両周辺の映像から歩行者及び自動車を検知する(S33)。さらに、ECU32では、歩行者及び/又は自動車を検知できたか否かを判定する(S34)。S34で歩行者及び自動車を検知できなかったと判定した場合、ECU32では、S40の処理に移行する。この場合、カメラセンサ11で撮影した周辺の映像がウインドウ上にそのまま重畳表示される。
一方、S34で歩行者及び/又は自動車を検知できたと判定した場合、ECU32では、検知できた歩行者及び/又は自動車の位置、サイズ、姿勢を計算する(S35)。さらに、ECU32では、歩行者を検知できた場合には歩行者の服装に対しては警察官のユニフォームの位置、サイズ、姿勢を計算し、自動車を検知できた場合には自動車のパターンに対してパトカーのパターンの位置、サイズ、姿勢を計算する(S36)。
ECU32では、S31の飲酒判定でドライバが飲酒の可能性があると判定されたか否かを判定する(S37)。S37でドライバが飲酒の可能性があると判定した場合、ECU32では、歩行者を検知できた場合には歩行者に警察官のユニフォームを重畳し、自動車を検知できた場合には自動車にパトカーのパターンを重畳する(S38)。
ECU32では、歩行者を検知できた場合にはその歩行者検知枠を車両周辺の映像に重畳し、自動車を検知できた場合にはその検知枠を車両周辺の映像に重畳する(S39)。
そして、ECU32では、重畳表示用映像(一定時間毎の画像)情報を重畳表示用ディスプレイ20に送信する(S40)。重畳表示用ディスプレイ20では、その重畳表示用映像をウインドウ上に表示する。
ECU32では、処理を継続するか否か(飲酒運転防止装置2の作動/停止)を判定する(S41)。S41で継続すると判定した場合、ECU32では、S30に戻って、次回の処理を行う。一方、S41で終了すると判定した場合、ECU32では、処理を終了する。
この飲酒運転防止装置2によれば、ドライバが飲酒の可能性がある場合には検知できている歩行者や自動車に対して警察パターンを重畳表示することにより、飲酒状態のドライバにヒヤリハットを体験させ、飲酒状態での危険性を体感させることができる。これによって、ドライバは、飲酒運転のときに最も警戒している警察官やパトカーを見ることにより、車両の速度を自主的に低下させて走行することを期待でき、車両を自主的に停止させる可能性も高い。その結果、飲酒運転時の車速超過や暴走運転を防止でき、次回の飲酒運転を予防できる。
図8を参照して、第3の実施の形態に係る飲酒運転防止装置3について説明する。図8は、第3の実施の形態に係る飲酒運転防止装置の構成図である。なお、飲酒運転防止装置3では、第1の実施の形態に係る飲酒運転防止装置1と同様に構成について同一の符号を付し、その説明を省略する。
飲酒運転防止装置3は、緊急車両電波受信可能車載レーダ探知機を備えている車両に搭載される。飲酒運転防止装置3は、飲酒運転を検知した場合、ドライバの注意力を喚起させるために緊急車両の接近情報を報知し、ドライバが自主的に車両停止させたときには車両をインタロックする。そのために、飲酒運転防止装置3は、アルコール検知センサ10、ナビゲーションシステム13、ウインカスイッチ14、シフト装置15、車速センサ16、緊急車両電波受信可能車載レーダ探知機21、スピーカ22、スタータカットリレー23及びECU33を備えている。
なお、第3の実施の形態では、アルコール検知センサ10及びECU33の飲酒判定部33aが特許請求の範囲に記載する飲酒検知手段に相当し、緊急車両電波受信可能車載レーダ探知機21、スピーカ22及びECU33の緊急車両接近擬似信号生成部33b、接近方向教示部33cが特許請求の範囲に記載する報知手段に相当し、シフト装置15、車速センサ16及びECU33の車両制御判断部33dが特許請求の範囲に記載する車両停止検知手段に相当し、スタータカットリレー23及びECU33の車両制御判断部33dが特許請求の範囲に記載する走行機能停止手段に相当する。
ナビゲーションシステム13は、自車両の現在位置や走行方向の検出及び目的地までの経路案内などを行うシステムである。特に、ナビゲーションシステム13では、現在走行中の道路の情報をECU33に送信する。
ウインカスイッチ14は、左右のウインカを点灯/消灯するためのスイッチである。特に、ウインカスイッチ14では、ドライバによって操作されたスイッチ情報(消灯、右ウインカ点灯、左ウインカ点灯)をECU33に送信する。
シフト装置15は、オートマチック車のトランスミッションの走行レンジを選択するための装置である。特に、シフト装置15では、ドライバによって操作された走行レンジ情報(パーキング、リバース、ニュートラル、ドライブ、セカンド、ローなど)をECU33に送信する。
車速センサ16は、車速を検出するセンサである。車速センサ16では、検出した車速情報をECU33に送信する。
緊急車両電波受信可能車載レーダ探知機21は、自動車の速度取り締まりのためのレーダ波を探知し、探知できた場合にはドライバに警報などで知らせる装置である。また、緊急車両電波受信可能車載レーダ探知機21は、各種緊急車両(パトカー、救急車、消防車など)が発している電波を探知し、探知できた場合にはドライバに警報や音声などで知らせる装置である。特に、緊急車両電波受信可能車載レーダ探知機21では、ECU33から緊急車両接近擬似信号を受信すると、緊急車両の接近を知らせるための警報を出力する。
スピーカ22は、車両に備えられるスピーカであり、他の装置と共用される。スピーカ22では、ECU33から音声信号(電気信号)が送信されると、その音声信号を機械振動に変えて音声出力する。
スタータカットリレー23は、スタータ線をカットするためのリレーである。スタータカットリレー23をオフすることによってセルモータを回せなくなり、エンジンを始動できなくなる。スタータカットリレー23では、ECU33からリレーオフ信号を受信すると、リレーをオフする(リレーを開く)。また、スタータカットリレー23では、ECU33からリレーオン信号を受信すると、リレーをオンする(リレーを閉じる)。
ECU33は、CPU、ROM、RAMなどからなり、飲酒運転防止装置3を統括制御する。ECU33では、ROMに格納されるアプリケーションプログラムがRAMにロードされ、CPUで実行されることによって飲酒判定部33a、緊急車両接近擬似信号生成部33b、接近方向教示部33c、車両制御判断部33dが構成される。なお、飲酒判定部33aは、第1の実施の形態に係る飲酒判定部31aと同様の処理を行うので、説明を省略する。
緊急車両接近擬似信号生成部33bでは、飲酒判定部33aでドライバが飲酒の可能性があると判定している場合、緊急車両接近擬似信号を生成し、その緊急車両接近擬似信号を緊急車両電波受信可能車載レーダ探知機21に送信(無線でも、有線でもよい)する。
接近方向教示部33cでは、飲酒判定部33aでドライバが飲酒の可能性があると判定している場合、ナビゲーションシステム13から現在走行中の道路の情報を受信するとともに、ウインカスイッチ14からスイッチ情報を受信する。
スイッチ情報で右ウインカ点灯の場合(すなわち、自車両が右折する場合)、接近方向教示部33cでは、「前方右側から緊急車両が接近中」と音声出力するための音声信号を生成し、その音声信号をスピーカ22に送信する。スイッチ情報で左ウインカ点灯の場合(すなわち、自車両が左折する場合)、接近方向教示部33cでは、「前方左側から緊急車両が接近中」と音声出力するための音声信号を生成し、その音声信号をスピーカ22に送信する。ドライバが飲酒している場合、ドライバは、警察を警戒しており、顔や運転行動を見られたくない。そこで、右左折すると自車両と対向する側(ドライバの顔などを確認できる側)から緊急車両(特に、パトカー)が接近していると報知することにより、ドライバに減速や車両停止行動を促す。また、右左折先の道路に緊急車両が存在していることを報知することにより、右左折するまでドライバに擬似情報であることがばれない。
スイッチ情報で消灯の場合(すなわち、自車両が右左折しない場合)、接近方向教示部33cでは、現在走行中の道路の情報から車両前方の道路のカーブRを計算し、カーブRが一定値未満か否かを判定する。この一定値は、車両前方がドライバが対向車両を見ることができる程度のカーブか否かを判定するための値であり、予め実験などによって設定される。カーブRが一定値以上の場合(直進又は緩やかなカーブの場合)、ドライバが前方の対向車両を確認できるので、接近方向教示部33cでは、「後方から緊急車両が接近中」と音声出力するための音声信号を生成し、その音声信号をスピーカ22に送信する。この場合、前方に緊急車両が存在すると報知するとドライバに擬似情報であることがばれるので、後方に緊急車両が存在すると報知することにより、ドライバに擬似情報でなることをばれ難くする。カーブRが一定値未満の場合(ある程度以上急なカーブの場合)、ドライバが前方の対向車両を確認できないので、接近方向教示部33cでは、「前方から緊急車両が接近中」と音声出力するための音声信号を生成し、その音声信号をスピーカ22に送信する。この場合、前方のブラインドカーブの先に緊急車両が存在していることを報知することにより、ドライバに擬似情報であることがばれない。
なお、ナビゲーションシステムを備えない車両の場合、スイッチ情報で消灯のときには、接近方向教示部33cでは、「後方から緊急車両が接近中」と音声出力するための音声信号を生成し、その音声信号をスピーカ22に送信する。スイッチ情報が右ウインカ点灯または左ウインカ点灯の場合には、接近方向教示部33cでは、上記と同じ処理を行う。
車両制御判断部33dでは、飲酒判定部33aでドライバが飲酒の可能性があると判定している場合、シフト装置15から走行レンジ情報を受信するとともに、車速センサ16から車速情報を受信する。そして、車両制御判断部33dでは、走行レンジ情報又は車速情報に基づいて車両が停止したか否かを判定する。ここでは、車速が0km/h又は走行レンジがパーキングとなった場合に車両停止と判定する。車両停止と判定した場合、車両制御判断部33dでは、スタータカットリレー23にリレーオフ信号を送信する。
図8を参照して、飲酒運転防止装置3における動作について説明する。特に、ECU33における処理については図9のフローチャートに沿って説明する。図9は、図8のECUにおける処理の流れを示すフローチャートである。
アルコール検知センサ10では、一定時間毎に、ドライバのアルコール濃度を検知し、その計測したアルコール濃度をECU33に送信している。車速センサ16では、一定時間毎に、車速を検出し、その検出した車速情報をECU33に送信している。
ECU33では、アルコール検知センサから検知したアルコール濃度を受信する(S50)。そして、ECU33では、そのアルコール濃度に基づいて、ドライバが飲酒の可能性があるか否かを判定する(S51)。S51で飲酒の可能性がないと判定している場合(S52)、ECU33では、今回の処理を終了する。
S51で飲酒の可能性があると判定している場合(S52)、ECU33では、緊急車両接近擬似信号を生成し、その信号を緊急車両電波受信可能車載レーダ探知機21に送信する(S53)。この緊急車両接近擬似信号を受信すると、緊急車両電波受信可能車載レーダ探知機21では、緊急車両の接近を知らせる警報を出力する。
ECU33では、ナビゲーションシステムを搭載しているか否かを判定する(S54)。S54にてナビゲーションシステムを搭載していないと判定した場合、ECU33では、ウインカスイッチ14からスイッチ情報を受信し、スイッチ情報が消灯、右ウインカ点灯、左ウインカ点灯かを判定する(S55)。S55にて右ウインカ点灯と判定した場合、ECU33では、右折先接近用の音声信号を生成し、その音声信号をスピーカ22に送信する(S57)。この音声信号を受信すると、スピーカ22では、「前方右側から緊急車両が接近中」と音声出力する。S55にて左ウインカ点灯と判定した場合、ECU33では、左折先接近用の音声信号を生成し、その音声信号をスピーカ22に送信する(S58)。この音声信号を受信すると、スピーカ22では、「前方左側から緊急車両が接近中」と音声出力する。S55にて消灯と判定した場合、ECU33では、後方接近用の音声信号を生成し、その音声信号をスピーカ22に送信する(S59)。この音声信号を受信すると、スピーカ22では、「後方から緊急車両が接近中」と音声出力する。
S54にてナビゲーションシステム13を搭載していると判定した場合、ECU33では、ウインカスイッチ14からスイッチ情報を受信し、スイッチ情報が消灯、右ウインカ点灯、左ウインカ点灯かを判定する(S56)。S56にて右ウインカ点灯又は左ウインカ点灯と判定した場合、ECU33では上記と同様の処理を行う(S57,S58)。S56にて消灯と判定した場合、ECU33では、ナビゲーションシステム13から現在走行中の道路の情報を受信し、車両前方の道路のカーブRを計算する(S60)。そして、ECU33では、カーブRが一定値未満か否かを判定する(S61)。S61にてカーブRが一定値未満と判定した場合、ECU33では、前方接近用の音声信号を生成し、その音声信号をスピーカ22に送信する(S62)。この音声信号を受信すると、スピーカ22では、「前方から緊急車両が接近中」と音声出力する。S61にてカーブRが一定値以上と判定した場合、ECU33では、後方接近用の音声信号を生成し、その音声信号をスピーカ22に送信する(S59)。この音声信号を受信すると、スピーカ22では、「後方から緊急車両が接近中」と音声出力する。
さらに、ECU33では、一定時間毎に、車速センサ16から車速情報を受信するとともに(S63)、シフト装置15から走行レンジ情報を受信する(S64)。そして、ECU33では、走行レンジ情報と車速情報に基づいて車両が停止したか否かを判定する(S65)。S65にて車両が停止していないと判定した場合、ECU33では、S63に戻って、車両が停止したか否かを再度判定する。S65にて車両が停止したと判定した場合、ECU33では、スタータカットリレー23にリレーオフ信号を送信する(S66)。このリレーオフ信号を受信すると、スタータカットリレー23ではリレーをオフし、車両をインタロックする。
この飲酒運転防止装置3によれば、ドライバが飲酒の可能性がある場合には擬似的に緊急車両の接近情報をドライバに通知することにより、飲酒状態のドライバにヒヤリハットを体験させ、飲酒状態での危険性を体感させることができる。これによって、ドライバには、「警察に見つからないようにしなければならない」あるいは「一旦停止して、休んでいるように見せよう」などの心理が働く。この心理状態により、車両の速度を自主的に低下させて走行すること、さらには、車両を自主的に停止させることも期待できる。その結果、飲酒運転時の車速超過や暴走運転を防止でき、次回の飲酒運転を予防できる。
さらに、飲酒運転防止装置3では、走行環境(ナビ情報)やドライバの走行意志(右左折情報)に応じて緊急車両の接近方向を通知することにより、ドライバに擬似情報であることを見破られ難くできるとともに、上記した心理状態をより促進できる。
また、飲酒運転防止装置3では、ドライバに車両停止するように促し、ドライバが自主的に駐停車させた場合に車両をインタロックするので、ドライバが飲酒の可能性がある場合に車両側で車両を停止させる必要ない。そのため、車両を停止させるための周辺監視系のセンサ(カメラ、レーダなど)及び周辺監視用のECU、車両制御(路肩に安全に寄せる、前後左右の状況を見て安全に停止させるなど)用のECUを必要とせず、コストを抑えることができる。
また、飲酒運転防止装置3では、ドライバによる意志によって車両を停止させるので、車両を安全に停止させることができる。ちなみに、ドライバが飲酒の可能性がある場合に、直ぐに、車両を停止させるために車両制御すると、ドライバが慌てたり、パニックになる虞がある。そのため、安全性が低下する。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、本実施の形態では本発明に係る飲酒運転防止装置を歩行者検知装置、物体検知装置、緊急車両電波受信可能車載レーダ探知機を備える車両に適用する場合について説明したが、他の装置にも適用可能である。
また、第1の実施の形態では擬似歩行者を重畳表示する構成としたが、自転車、落下物などの他の仮想的な障害物を重畳表示する構成としてもよい。
また、第2の実施の形態では歩行者や自動車に対して警察官のユニフォームやパトカーのパターンを重畳表示する構成としたが、警察官の服装かパトカーのパターンかの一方だけを重畳表示する構成としてもよいし、あるいは、オートバイとそのドライバに白バイのパターンや白バイ警察官の服装を重畳表示したり、建物に警察署や交番のパターンを重畳表示するなどの他の警察のパターン画像を重畳表示する構成としてもよい。
また、第1及び第2の実施の形態では車両の周辺全体の映像もウインドウ上に重畳表示する構成としたが、検知した歩行者や自動車、擬似的な歩行者、警察官のユニフォームやパトカーのパターン、検知枠の画像だけをウインドウ上に重畳表示する構成としてもよい。また、ウインドウ上やミラー上に重畳表示するのではなく、画面上に表示するものでもよい。
また、第3の実施の形態ではドライバが飲酒している場合には緊急車両接近警報を出力させ、その緊急車両の仮想的な接近方向をドライバに報知し、さらに、ドライバが自主的に車両を停止させたときに車両をインタロックする構成としたが、緊急車両接近警報を出力させるだけでもよいし、緊急車両の仮想的な接近方向をドライバに報知するだけでもよいし、あるいは、緊急車両接近警報の出力と接近方向の報知だけでもよい。
また、第3の実施の形態ではスタータカットリレーを用いてインタロックする構成としたが、シフト装置などの他の手段を用いてインタロックするようにしてもよい。
また、第1の実施の形態に係る飲酒運転防止装置や第2の実施の形態に係る飲酒運転防止装置において、第3の実施の形態に係る飲酒運転防止装置のように、ドライバが自主的に車両を停止させたときに車両をインタロックする構成としてもよい。
1,2,3…飲酒運転防止装置、10…アルコール検知センサ、11…カメラセンサ、12…顔向きカメラセンサ、13…ナビゲーションシステム、14…ウインカスイッチ、15…シフト装置、16…車速センサ、20…重畳表示用ディスプレイ、21…緊急車両電波受信可能車載レーダ探知機、22…スピーカ、23…スタータカットリレー、31,32,33…ECU、31a,32a,33a…飲酒判定部、31b…歩行者検知部、31c…擬似歩行者作成部、31d…顔位置計算部、31e…重畳表示制御部、32b…歩行者/自動車検知部、32c…歩行者/自動車位置・サイズ・姿勢計算部、32d…歩行者服装/自動車パターン位置・サイズ・姿勢計算部、32e…重畳表示ON/OFF切替部、33b…緊急車両接近擬似信号生成部、33c…接近方向教示部、33d…車両制御判断部
Claims (5)
- 車両のドライバの飲酒を検知する飲酒検知手段と、
前記飲酒検知手段で飲酒を検知した場合、ドライバに注意を喚起する仮想情報をドライバに報知する報知手段と
を備えることを特徴とする飲酒運転防止装置。 - 車両の周辺画像を表示する表示手段を備え、
前記仮想情報は、仮想的な障害物であり、
前記報知手段は、前記表示手段で仮想的な障害物を重畳表示することを特徴とする請求項1に記載する飲酒運転防止装置。 - 前記仮想情報は、警察情報及び/又は緊急車両の接近情報であることを特徴とする請求項1に記載する飲酒運転防止装置。
- 車両の周辺の物体を検出する物体検出手段と、
車両の周辺画像を表示する表示手段と
を備え、
前記報知手段は、前記物体検出手段で物体を検出した場合、前記表示手段で前記物体検出手段で検出した物体に警察のパターン画像を重畳表示することを特徴とする請求項3に記載する飲酒運転防止装置。 - 車両の停止を検知する車両停止検知手段と、
前記車両停止検知手段で車両の停止を検知した場合に車両の走行機能を停止させる走行機能停止手段と
を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載する飲酒運転防止装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007204314A JP2009042824A (ja) | 2007-08-06 | 2007-08-06 | 飲酒運転防止装置 |
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JP2007204314A JP2009042824A (ja) | 2007-08-06 | 2007-08-06 | 飲酒運転防止装置 |
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Country | Link |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011138855A1 (ja) * | 2010-05-07 | 2011-11-10 | パナソニック株式会社 | 覚醒状態維持装置および覚醒状態維持方法 |
JP2013120551A (ja) * | 2011-12-08 | 2013-06-17 | Denso It Laboratory Inc | 車両用運転支援装置 |
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-
2007
- 2007-08-06 JP JP2007204314A patent/JP2009042824A/ja active Pending
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KR101985597B1 (ko) * | 2017-10-13 | 2019-06-03 | 이화여자대학교 산학협력단 | 가상 운전 게임 장치 및 그 동작 방법 |
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