JP2009041456A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】パティキュレートフィルタにおける差圧センサの上流側導圧管から排気ガスの漏れが生じた場合に、これを検出でき、さらに漏れ量を推定してパティキュレートフィルタへの粒子状物質堆積量の推定値を補正できる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】所定時間内に取得された2つの排気流量と粒子状物質堆積量推定値とから、排気流量が大きい方の堆積量推定値と排気流量が小さい方の堆積量推定値との差を求め、この差が所定の閾値よりも大きい場合はディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)6の上流側導圧管10から排気ガスが漏れていると判定手段により判定する。また漏れ量の推定も行い、漏れ量の大きさに応じて警告灯14の点灯やEGRバルブ13によるEGR量の変更なども行う。
【選択図】図1
【解決手段】所定時間内に取得された2つの排気流量と粒子状物質堆積量推定値とから、排気流量が大きい方の堆積量推定値と排気流量が小さい方の堆積量推定値との差を求め、この差が所定の閾値よりも大きい場合はディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)6の上流側導圧管10から排気ガスが漏れていると判定手段により判定する。また漏れ量の推定も行い、漏れ量の大きさに応じて警告灯14の点灯やEGRバルブ13によるEGR量の変更なども行う。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
近年の環境保護を重要視する傾向のなかで、自動車等に搭載された内燃機関からの排気を浄化する技術は必須である。例えばディーゼルエンジンにおいては、排出されるパティキュレートマター(PM,粒子状物質)を排気から除去することが必要である。この目的のために通常、排気管の途中にディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)が装備される。
DPFの多くはいわゆるハニカム構造のフィルタであり、このフィルタによってエンジンから排出されたPMの大部分が捕集されて、排気浄化の目的が果たされる。しかしDPFを使用する際には、DPFにPMがある程度捕集された毎に、捕集されたPMを燃焼することによりDPFを再生しなければならない。
適切な時期にDPFを再生するためには、DPFにおけるPMの堆積量が精度よく推定でき、その推定値が所定値を越えたらDPF再生をおこなうこととすることが望ましい。DPFのPM堆積量推定の方法としては、DPFの入口側と出口側の排気圧の差である差圧(あるいはDPF差圧)と排気流量とからPM堆積量を推定する方法がある。この方法のためにDPFの差圧を計測する場合、DPFの入口側と出口側とから導圧用の配管(以下、導圧管)を差圧センサまで形成して、差圧センサで両導圧管内の圧力の差を計測する。
導圧管は耐熱性の金属管やゴムホースなどであるが、使用環境によって亀裂や外れなどの破損が生じると、排気が外部に漏れてしまう。導圧管から漏れが発生すると、差圧の検出値が低下し、PM堆積量推定値が真値よりも低下するため、DPF再生のタイミングが遅れて再生時に過昇温する危険性もある。このため導圧管からの漏れの発生を検出し、適切に対処する必要がある。
例えば下記特許文献1には、DPFの導圧管破損の検出方法として、DPF差圧の脈動幅が所定値以上となったときに導圧管に破損が発生したと判定する技術が開示されている。
上記特許文献1の破損判定技術は、差圧センサに対するDPF下流側の導圧管の破損を検出することに適していた。一方DPF上流側導圧管における破損は、DPFによりPMが捕集される前の排気が外部に漏れるので、排気浄化の観点でより問題である。
さらに、漏れが発生していても漏れ量が小さい場合には内燃機関を運転しつづけなければならない状況もあり得る。そうした場合に漏れ量を推定しながら、漏れ量に応じてDPFのPM堆積量推定値を補正すれば、漏れがあるにも関わらず適切な時期にDPF再生を行えて好適である。
そこで本発明が解決しようとする課題は、上記問題点に鑑み、パティキュレートフィルタにおける差圧センサの上流側導圧管から排気ガスの漏れが生じた場合に、これを検出でき、さらに漏れ量を推定してパティキュレートフィルタへの粒子状物質堆積量の推定値を補正できる内燃機関の制御装置を提供することにある。
上記課題を達成するために、第1の本発明に係る内燃機関の制御装置は、排気通路に、排気中の粒子状物質を捕集するパティキュレートフィルタと、そのパティキュレートフィルタの入口部分から形成された配管である上流側導圧管と、そのパティキュレートフィルタの出口部分から形成された配管である下流側導圧管と、その上流側導圧管と下流側導圧管との内部の圧力の差である差圧を計測するための差圧センサとを備えた内燃機関の制御装置であって、前記内燃機関から排出される排気流量を検出する検出手段と、前記差圧センサにより計測された前記差圧と、前記検出手段により検出された前記排気流量とから前記パティキュレートフィルタに堆積した前記粒子状物質の堆積量を推定する第1の推定手段とを備え、前記内燃機関が運転中の2つの異なる時刻を第1の時刻と第2の時刻とし、前記第1の時刻と前記第2の時刻との間隔は所定時間内にあり、前記第1の時刻において、前記検出手段によって検出された前記排気流量を第1の流量とし、前記推定手段によって推定された前記堆積量を第1の推定値として、前記第2の時刻において、前記検出手段によって検出された前記排気流量を第2の流量とし、前記推定手段によって推定された前記堆積量を第2の推定値として、前記第2の流量が前記第1の流量よりも大きいとして、前記第1の推定値と第2の推定値との差が所定の閾値よりも大きい場合に、前記上流側導圧管からガスの漏れがあると判定する判定手段とを備えたことを特徴とする。
これにより所定時間内に取得された2つの排気流量と粒子状物質堆積量推定値とから、排気流量が大きい方の堆積量推定値と排気流量が小さい方の堆積量推定値との差を求め、この差が所定の閾値よりも大きい場合はパティキュレートフィルタの上流側導圧管から排気ガスが漏れていると判定手段により判定できる。上流側導圧管から漏れがある場合にはパティキュレートフィルタに粒子状物質が捕集される前に外部に排気が排出されてしまうので、上流側導圧管から漏れているかどうかは排気浄化にとって有用な情報である。本発明によってこの有用な情報を得ることができる。
また前記内燃機関の運転状態から、前記パティキュレートフィルタの前記粒子状物質の堆積量を推定する第2の推定手段と、その第2の推定手段による推定値が大きいほど前記所定の閾値を大きくする変更手段とを備えたとしてもよい。
これにより第2の推定手段でパティキュレートフィルタへの粒子状物質の堆積量を推定して、その推定値が大きいほど、変更手段により所定の閾値を大きくするので、所定の閾値が一定の場合と比較してより精密に上流側導圧管の破損判定を行うことができる。特に第2の推定手段による推定値が大きいほど、第2の推定値と第1の推定値との差は大きくなる傾向があるので、そのような場合に所定の閾値を大きくすることによって上流側導圧管を誤って破損していると判定する可能性を低減することができる。
また前記判定手段が前記上流側導圧管からガスの漏れがあると判定した以後は、前記第2の推定手段のみを用いて前記堆積量を推定する推定方法選択手段を備えたとしてもよい。
これにより、判定手段により上流側導圧管からガスの漏れがあると判定された以後は第2の推定手段のみを用いて堆積量を推定するので、漏れの影響をうけることなく堆積量を推定することができる。よって堆積量の推定の精度が上がるので、パティキュレートフィルタ再生時期を適切に決定することができる。
また、前記内燃機関の運転状態から、前記パティキュレートフィルタの前記粒子状物質の堆積量を推定する第2の推定手段を備え、前記所定時間は、前記第2の推定手段により推定された堆積量の推定値が所定堆積量増加する時間であるとしてもよい。
これにより、第2の推定手段により推定された堆積量の推定値が所定堆積量増加する時間を所定時間とするので、所定時間を一定とする場合と比較してより精度のよい上流側導圧管の破損判定が行える。低速度運転時など堆積量増加速度が遅い場合は所定時間が長くなるので、所定時間が短かすぎて第2の推定値と第1の推定値との差が小さいので誤って破損が検知されない可能性が低減できる。また高速運転時など堆積量増加速度が速い場合は所定時間が短くなるので、所定時間が長すぎて第2の推定値と第1の推定値との差が大きくなり誤って破損と判定される可能性が低減される。
また第2の本発明に係る内燃機関の制御装置は、排気通路に、排気中の粒子状物質を捕集するパティキュレートフィルタと、そのパティキュレートフィルタの入口部分から形成された上流側導圧管と、そのパティキュレートフィルタの出口部分から形成された下流側導圧管と、その上流側導圧管と下流側導圧管との圧力の差である差圧を計測するための差圧センサとを備えた内燃機関の制御装置であって、前記内燃機関から排出される排気流量を検出する検出手段と、前記差圧センサにより計測された前記差圧と、前記検出手段により検出された前記排気流量とから前記パティキュレートフィルタに堆積した前記粒子状物質の堆積量を推定する第1の推定手段とを備え、前記内燃機関が運転中の2つの異なる時刻を第1の時刻と第2の時刻とし、前記第1の時刻と前記第2の時刻との間隔は所定時間内にあり、前記第1の時刻において、前記検出手段によって検出された前記排気流量を第1の流量とし、前記推定手段によって推定された前記堆積量を第1の推定値として、前記第2の時刻において、前記検出手段によって検出された前記排気流量を第2の流量とし、前記推定手段によって推定された前記堆積量を第2の推定値として、前記第2の流量が前記第1の流量よりも大きいとして、前記第1の流量と、前記第2の流量と、前記第2の推定値と第1の推定値との差とから、前記上流側導圧管からのガスの漏れ量を推定する漏れ量推定手段を備えたことを特徴とする。
これにより漏れ量推定手段によって、前記第1の流量と、前記第2の流量と、前記第2の推定値と第1の推定値との差とから上流側導圧管からのガスの漏れ量を推定する。上流側導圧管から漏れがある場合にはパティキュレートフィルタに粒子状物質が捕集される前に外部に排気が排出されてしまうので、上流側導圧管からどれだけ漏れているかは排気浄化にとって有用な情報である。本発明によってこの有用な情報を得ることができる。
また前記内燃機関の運転状態から、前記パティキュレートフィルタの前記粒子状物質の堆積量を推定する第2の推定手段と、前記第2の流量と、前記漏れ量推定手段により推定された前記漏れ量とから、前記第2の推定手段により推定された前記堆積量の推定値を補正する補正手段とを備えたとしてもよい。
これにより第2の推定手段によって得られた堆積量推定値を、補正手段によって、第2の流量と、漏れ量推定手段により推定された漏れ量とから補正するので、より精度の高い堆積量推定値を求めることができる。したがってより高精度な堆積量推定値を用いて、より適切にパティキュレートフィルタの再生時期を決定できる。
また警告のための警告灯と、排気の還流のためのEGRと、前記漏れ量推定手段により推定された前記漏れ量が第1の所定漏れ量より大きい場合は前記警告灯の点灯、前記EGR量の変更、または前記内燃機関の噴射圧の変更のうちの少なくとも1つを行う第1の制御手段とを備えたとしてもよい。
これにより漏れ量推定手段により推定された漏れ量が第1の所定漏れ量より大きい場合は、警告灯による警告、あるいはEGR量の変更、または内燃機関の噴射圧の変更を行う。したがって警告灯による警告では、運転者に漏れの発生を警告でき、運転者に適切な対処を促すことができる。またEGR量の変更では、上流側導圧管から粒子状物質を含んだ排気が漏れている状況下で、EGR量を変更して内燃機関からの粒子状物質の排出量を抑制することができる。これにより漏れによる排気浄化性能の低減を抑制できる。また内燃機関の噴射圧の変更でも、内燃機関からの粒子状物質の排出を低減できる。したがって、漏れによる排気浄化性能の低減を抑制できる。
また第2の所定漏れ量は第1の所定漏れ量よりも大きく、漏れ量推定手段により推定された前記漏れ量が第2の所定漏れ量より大きい場合は前記内燃機関の回転数、吸気圧、吸気量、排気圧、排気温度、排気の漏れ量の少なくとも1つを所定値以下とする、または前記パティキュレートフィルタの再生を禁止するとしてもよい。
これにより漏れ量推定手段により推定された漏れ量が第2の所定漏れ量よりも大きい場合は、漏れ量が極めて大きいと判断して、内燃機関の回転数、吸気圧、吸気量、排気圧、排気温度、排気の漏れ量の少なくとも1つを所定値以下とする、または前記パティキュレートフィルタの再生を禁止する。したがって内燃機関の回転数、吸気圧、排気圧、排気温度、排気の漏れ量の少なくとも1つを所定値以下とすることにより、内燃機関からの排気量が抑えられ、その結果粒子状物質の排出量も抑えられるので、漏れの影響による排気の悪化が抑制される。またパティキュレートフィルタの再生を禁止することにより、同再生によって高温化された状態でさらに漏れが進展することが回避できる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。まず図1は、本発明に係る内燃機関の制御装置1の実施例1の概略図である。
制御装置1は、4気筒のディーゼルエンジン2(以下では単にエンジンと称する)に対して構成されているとする。エンジン2に吸気管3が接続されており、吸気管3からエンジン2に空気が供給される。またエンジン2に接続された排気管5へ排気が排出される。電子制御装置9(ECU)によりエンジン2の燃料噴射を始めとする多様な制御が行われる。吸気管3にはエアフローメータ4が装備されて、吸気量(単位時間あたりの流量)が計測される。
排気管5の途中にディーゼルパティキュレートフィルタ6(DPF)が配置されている。DPF6の入口側と出口側における排気圧の差である差圧を計測する差圧センサ7も装備されている。差圧センサ7のためにDPF6の入口側から差圧センサ7へ向けて形成された上流側導圧管10(導圧管)によって排気が導かれ、DPF6の出口側からも差圧センサ7へ向けて下流側導圧管11(導圧管)が形成されて排気が導かれている。差圧センサ7では両導圧管10,11内の排気の圧力の差を計測する。差圧センサ7、エアフローメータ4の計測値はECU9へ送られる。
DPF6は例えば代表的な構造として、いわゆるハニカム構造において入口側と出口側を交互に目詰めした構造とする。エンジン2の運転中に排出される排気には粒子状物質(PM)が含まれ、このPMはDPF6の上記構造のフィルタ壁を排気が通過するときに、このフィルタ壁の内部あるいは表面に捕集される。DPF6に堆積したPMの堆積量が十分大きくなった度ごとに、堆積したPMを燃焼することによって除去し、DPF6を再生しなければならない。DPF6の再生のための方法としては、エンジン2においてメイン噴射後のタイミングで燃料噴射を行うポスト噴射等がある。
エンジン2には排気を吸気管3へ還流するEGR(Exhaust Gas Recirculation)通路12が装備されている。同通路12上にはEGRバルブ13が配置されて、その開度によりEGR量が増減する。また吸気管3には吸気スロットルバルブ15が配置され、その開度により吸気量が増減する。EGRバルブ13と吸気スロットルバルブ15との開度はECU9により制御される。また運転者に対して後述する排気ガスの漏れ等を報知する警告灯14も装備されている。
本発明の目的は、上述のとおり、DPF6の上流側導圧管10が破損してガスが漏れた場合に、これを検知することである。そのための基本的手順は、所定時間内に異なる排気流量のもとで、DPF6におけるPM堆積量の推定を(少なくとも)2回行い、その堆積量の差が大きすぎた場合に上流側導圧管10に破損があってガス漏れがあると判定することである。
以下でDPF6におけるPM堆積量の推定を2種類行うが、ひとつはDPF6の差圧から推定する方法であり、これを以下でPM堆積量推定A、推定方法A、方法Aなどとし、この方法での推定値をPM堆積量推定値Aなどとする。もうひとつの方法はエンジン2の運転履歴から推定するものでこれをPM堆積量推定B、推定方法B,方法Bなどとし、この方法での推定値をPM堆積量推定値Bなどとする。
方法Aをより具体的に説明する。一般に、DPF6におけるPMの堆積量は、DPF6の差圧と、DPF6に流入する排気ガス流量(単位時間あたりの流量)によって定まる。この様子が図15に示されている。DPF差圧と排気ガス流量とを座標軸とする平面上に、PM堆積量が等しい点をプロットしていくと図15のような等堆積量線が得られる。
方法Aでは、DPF差圧を差圧センサ7で計測する。そしてDPF6に流入する排気ガス量はエンジン2に供給される吸気量と等しいとみなしてエアフローメータ4の計測値を排気ガス流量の値とする。そしてこれらの計測値からなる点が図15の平面上でどの等堆積量線上にあるかをみる。これによりPM堆積量の推定値を得る。実際には図15の平面を細かくメッシュ状に分割しておき、個々の領域ごとにPM堆積量を求めておけばよい。
次に方法Bを説明する。方法Bではエンジン2の運転状態の履歴によってPM堆積量を算出する。エンジン2の運転状態は、図16のように回転速度と負荷(あるいは燃料噴射量)とを座標軸とする平面上のどの点にあるかによって表される。方法Bでは、この平面を図16のように細かいメッシュに分割し、個々の領域にエンジン2から単位時間あたりに排出されるPM量を実験などで求めて記憶しておく。そして、運転開始からの運転状態の変化に従い、この平面上を辿っていき、通過した領域のPM量を積算していく。方法Bではエンジン2から排出されたPMはDPF6に全て捕集されるとみなし、この積算値をDPF6におけるPM堆積量の推定値とする。
DPF導圧管破損検知処理のフローチャートが図2に示されている。図2の処理手順は、後述する図3のフローチャートの一部(S310)に組み込まれる。
まず図2を説明する。なお以下でnという変数が用いられるが、これは、上で述べた所定時間内での2回のPM堆積量の推定のうち、1回目なのか2回目なのかを示す変数である。この処理の最初の手順として、ECU9はS10で変数nの値が1であるか否かを判断する。つまり1回目のPM堆積量推定なのか否かの判断である。
1回目の推定のときは(S10:YES)、S20に進み、2回目のときは(S10:NO)、S30へ進む。S20ではタイマーをリセットしてスタート(あるいは再スタート)させる。このタイマーはECU9に内蔵されているとする。このタイマーによって、上述のように所定時間内であるかどうかを判定する。予め所定時間は定めておく。
次にS30で所定時間内であるかどうかが判断される。所定時間内のときは(S30:YES)、S40へ進み、所定時間を過ぎている場合は(S30:NO)、S110へ進む。S110では変数nの値を1として、この処理を終了する。
S40では排気流量を計測する。本実施例においては、排気流量はエンジン2への吸気量で置き換える。そして吸気量はエアフロメータ4で計測する。つまりS40ではエアフロメータで計測した吸気量をECU9へ送る。次にS50ではDPF6におけるPM堆積量を上で述べた方法Aで推定する。
次にS60では変数nが1であるか否かが判断される。変数nが1の場合、つまりその時点が上記所定時間内における1回目の推定の場合は(S60:YES)、S40で計測された排気流量がS70で変数VEX1に格納され、S50で推定されたPM堆積量推定値AがS90で変数PM1に格納される。
一方変数nが2の場合、つまりその時点が上記所定時間内における2回目の推定の場合は(S60:NO)、S40で計測された排気流量がS80で変数VEX2に格納され、S50で推定されたPM堆積量推定値AがS100で変数PM2に格納される。
S90が終了したら、1回目の推定にかかる処理が終了したので、S120で変数nの値を2に変更して、この一連の処理を終了する。またS100が終了したらS130に進む。S130に進む時点は、2回目の推定であり(したがってnの値は2)、既に上記VEX1、VEX2,PM1,PM2が全て求められている。
S130及びS140,S150では、基本的に上で求めたPM1とPM2との差を求めるが、その際にPM1とPM2とのうちで、排気流量が小さい方に対応する値から排気流量が大きい方に対応する値を引く。そしてその差が所定値より大きいとDPF6の上流側導圧管10(以下では単に導圧管とする)が破損してガス漏れがあると判定する。厳密には、S130でVEX1とVEX2の大きさを比較し、VEX2の方が大きい場合には(S130:YES)、S140でPM1−PM2が所定値Δ1以下であるかが判断される。
Δ1以下の場合(S140:YES)は、この処理を終了する。Δ1より大きい場合(S140:NO)は、S160へ進む。VEX1がVEX2以上の場合には(S130:NO)、S150でPM2−PM1がΔ1以下であるかが判断される。Δ1以下の場合(S150:YES)は、この処理を終了する。Δ1より大きい場合(S150:NO)は、S160へ進む。S160ではDPF6の導圧管が破損していると判定する。
以下で図2の処理手順の意味を図8、図9を用いて説明する。まず図8には、DPF6の導圧管10に漏れがある場合とない場合とにおける、エンジン2へ供給される吸気量とDPF6を通過するガス流量との関係が示されている。漏れがない場合には、点線のとおり吸気量とDPF通過ガス流量とは略等しいとみなせる。
導圧管に漏れが存在する場合は、漏れの影響でDPF通過ガス流量が吸気量よりも小さくなり、実線のとおり、漏れが大きくなるほど図示下方の実線となる。発明者が得ている知見では、任意の漏れ量に対し、吸気量あるいはDPFガス流量が大きいほど漏れによる減少分が大きくなる傾向がある。図8における漏れによる減少分v2が減少分v1より大きいことがそれを示している。
こうした漏れの傾向が、PM堆積量の推定に及ぼす影響を図9で説明する。図9には、異なるPM堆積量ごとのDPF6の差圧と排気ガス流量との関係が示されている。図9にはPM堆積量が10、9,5グラムを示す実線110,120,130が例示されている。以下の説明をわかり易くするために、本実施例における所定時間内でPM堆積量は10グラムで不変であるとする。そして導圧管10から漏れがあるとする。
上記実施例における1回目のPM堆積量の推定における真値は点101であり、2回目のPM堆積量の推定における真値は点102であるとする。つまり1回目の推定時ではDPF差圧はΔP1であり、DPF6へ流入する排気ガス流量はVEX3である。そして2回目の推定時ではDPF差圧はΔP2であり、DPF6へ流入する排気ガス流量はVEX4である。
しかし上で述べたとおり本実施例においてはDPF6へ流入する排気ガス流量を直接計測しておらず、エンジン2の上流側にあるエアフロメータ4による吸気量の計測値でそれを置き換えている。したがってその漏れを図8から引き継いでv1、v2で示すと、図示のとおり真値が点101の場合、エアフロメータ4によって計測される吸気量はVEX1であり、したがって計測値は点103となる。
同様に真値が点102の場合、エアフロメータ4によって計測される吸気量はVEX2であり、したがって計測値は点104となる。点103はPM堆積量が9グラムである実線120上にあるので、1回目のPM堆積量推定値PM1は、(真値である10グラムではなく)9グラムとなる。また点104はPM堆積量が5グラムである実線130上にあるので、2回目のPM堆積量推定値PM2は、(真値である10グラムではなく)5グラムとなる。本実施例では上記9グラムと5グラムの差である4グラムが所定値(Δ1)よりも大きいと導圧管10が破損と判定する。
以上述べたことをまとめると、排気ガス流量が異なる2時刻でPM堆積量を推定すると、図8で示された漏れ量の違い(v1とv2の違い)により、図9において2時刻の真値が同じPM堆積量(10グラム)上の点であっても、推定値はそれぞれの時刻で異なる(5グラムと9グラム)。当然漏れがない場合は両時刻でPM堆積量推定値はともに10グラムとなり、差はない。上記図2のフローチャートではこうした性質を利用して2時刻のPM堆積量推定値の差を求め、これが所定の閾値より大きいか否かで漏れがあるかないかを判定している。以上が図2の処理の意味である。
上では簡単化のために所定時間内でPM堆積量の真値が一定であるとして議論したが、一般には時々刻々PMは堆積していくので厳密にはこの仮定は成立しない。しかし本発明では、2時刻を所定時間内に限定しており、所定時間内ではPMの新規堆積量の増加に上限がある。したがって、この上限を考慮して上記閾値Δ1を設定すれよい。その場合、この上限から考えて不可能なほどPM堆積量が変動していれば、DPF6の導圧管10に破損があると判定できる。つまりPM堆積量の真値が一定ではない場合にも図2のフローチャートは有効である。
またS130でVEX1とVEX2の大小を判定して、その後の処理をS140とS150とに場合分けしている理由は、上で説明した漏れの大小の傾向から、VEX1がVEX2より大きい場合は漏れによりPM2がPM1よりも大きくなる傾向があり、VEX2がVEX1より大きい場合は漏れによりPM1がPM2よりも大きくなる。したがって、S140,S150では大きい方の値から小さい方の値を引いている。
先に述べたように、図2のフローチャートは図3のフローチャートのS310で用いられる。以下で図3のフローチャートを説明する。
エンジン2の運転に伴ない、DPF6にPMが堆積していくので、堆積量が所定値をこえたら堆積したPMを燃焼させてDPF6を再生する。図3のフローチャートは、このDPF6の再生時期を決定するための処理である。図3のフローチャートを例えば、所定の周期に従い周期的に行えばよい。
この処理ではまず、S300でDPF6の導圧管10に破損があるとの判定がなされたかどうかが判断される。当然、エンジン2の運転開始時には同判定はなされていない。同判定がなされていない間は(S300:NO)、S310へ進む。
運転が継続されて、図3のフローチャートが繰り返し処理されることで、後述するS310で同判定がなされると(S300:YES)、S320へ進む。同判定がなされていない間は常にS310へ進み、一旦同判定がなされると以降は常にS320へ進むこととなる。ただし導圧管の破損が修復されれば、同判定はない状態にリセットされる。
S310ではDPF6の導圧管10が破損しているかどうかを検知する処理が行われる。この手順が先に説明した図2のフローチャートである。つまりS310ではS10からS160までの手順が処理される。
次にS330でS310で求められたPM堆積量推定値Aの値が変数PMへと格納される。また手順S320に進んだ場合は、DPF6におけるPMの堆積量が上述の方法Bにより推定される。そしてその推定値Bが、次のS340で変数PMに格納される。S330またはS340の次はS350に進む。
S350ではS330またはS340で求められた変数PMの値が所定値よりも大きいか否かが判断される。所定値以上の場合は(S350:YES)、PMの堆積量が許容される範囲を超えたと判断されて、S360でPMが燃焼されてDPF6の再生が実行される。再生が終了したら、この処理手順が終了となる。PMの堆積量が所定値より小さい場合は(S350:NO)、DPF再生を行わずに処理手順を終了する。
こうした図3の処理手順により、DPF6の導圧管10に破損判定がある場合には常にS320,S340へと進むことにより、以後はS310破損検知は行わず、方法Bのみを用いてPM堆積量を推定する。したがって漏れの影響を受けない方法Bによる精度の良い堆積量推定値を用いて適切な時期にDPF6の再生ができる。
次に実施例2を説明する。実施例2は、実施例1における図2のフローチャートを図4に置き換えたものであり、その他は実施例1と同じである。実施例2では、DPF導圧管破損検知処理のなかにPM堆積量推定Bを組み込み、これにより得られる推定値Bの値によって上述のΔ1の値を変化させる。これによって単にΔ1が一定値の場合よりも、より精密な破損判定を行う。以下で実施例2の実施例1と異なる部分のみ説明する。
図4のフローチャートでは、図2にS55とS56の手順が付け加えられている。他は図2と同じである。S55ではPM堆積量推定Bが行われる。そして、その推定値Bに応じて、S56でΔ1の値を変化させる。ここでの変化は、推定値Bが大きいほどΔ1を大きくさせるとの規則性のもとで行う。具体的な推定値Bの値とΔ1の値との関係は、予め使用する機器構成に対して適切に決定してマップ等のかたちでECU9に記憶しておけばよい。このマップを用いてS56ではΔ1の値が決定される。
S56におけるΔ1の値の変更が有効である理由を以下で図10、図11を用いて説明する。図10は、図15に導圧管10からの漏れの影響を書き加えた図である。まずDPF6の状態が点201にあるとする。つまりDPF差圧はΔPa、排気ガス流量はVEXa、PM堆積量はPMaである。ここで導圧管10が破損し、漏れが発生したとする。
漏れ量をv3とし、PM堆積量は変わらないとすると、図10のとおり点202へ移動する。つまりDPF差圧はΔPbへ減少し、DPF6へ流入する排気ガス流量はVEXbへ減少する。しかし上述のとおり本実施例ではDPF6へ流入するガス流量をエアフロメータ4により計測される吸気量と同じとしている。そしてエアフロメータ4はエンジン2よりも上流側にあるので導圧管10からの漏れの影響は受けない。したがって排気ガス流量はVEXaのままとされて、点203への移動とみなされる。この点203はPM堆積量がPMbの線上にあるので、PM堆積量推定値がPMbへと変更される。
次に同様の議論を点204を出発点として繰り返す。これにより点204から点205へ移動するが、計測値からは点206とみなされる。DPF差圧はΔPcからΔPdへ減少する。重要な点は、ΔPaとΔPbとの差はΔPcとΔPdとの差よりも大きいことである。つまり、漏れ量が同じ場合に、PM堆積量が大きいほどDPF差圧の減少量が大きいことである。
次に図11に移る。図11は、図15を排気ガス流量が一定との条件下でのDPF差圧とPM堆積量(推定値)との関係に書き換えたものである。排気ガス流量が一定との条件下では、DPF差圧とPM堆積量との関係は、図11に示されているような2つの直線からなる実線300で表される。図10のΔPa、ΔPb、ΔPc、ΔPdを図11の縦軸に書き込む。
実線300上においてDPF差圧の値がΔPa、ΔPb、ΔPc、ΔPdである点をそれぞれ点301,302,303,304とする。点301,302,303,304におけるPM堆積量の値は、上の議論よりPMa、PMb、PMc、PMdとなる。上述のとおり、ΔPaとΔPbとの差はΔPcとΔPdとの差よりも大きい。この事実と実線300の形状からPMaとPMbとの差は、PMcとPMdとの差よりも大きいとの結論が得られる。
つまり漏れ量が同じ場合に、PM堆積量が大きいほど、PM堆積量推定値の減少量が大きい。この事実がS56が有効であることの理論的根拠である。すなわちS56でPM堆積量Bが大きいほどΔ1を大きくする修正を施すことにより、PM堆積量の大きさに適したΔ1の値となる。したがってS140,S150における破損判断がより精密なものとなる。
次に実施例3を説明する。実施例3は、実施例2における図4のフローチャートを図5に置き換えたものであり、その他は実施例2と同じである。
実施例3では、実施例2と同様DPF導圧管破損検知処理のなかにPM堆積量推定Bを組み込み、これにより実施例1ではタイマにより所定時間以内かどうかを判断していたのを、推定値Bの値が所定値以上増加しているかどうかを判断することに変更する。これによって単に時間によって一律に2回の推定の間の間隔の上限を設定していたのを、状況に応じてその上限を変化させて、より精密な破損判定を行う。以下で実施例3の実施例2と異なる部分のみ説明する。
図5のフローチャートでは図4のS10,S20、S30,S110が削除されて、新たにS95,S105,S115、S116が加えられている。本質的には、S30の代わりにS115が行われ、S110とS116とが同じであると考えればよい。またタイマが用いられないので、タイマに関わるS10,S20は削除されている。
図5では、S90の次にS95へ進む。S95ではS55で求められた推定値Bの値が変数PMB1に格納される。S95では1回目の推定が行われるので、S95の次はS120へ進み変数nを2に変更して処理を終了する。またS100の次はS105に進む。S105ではS55で求められた推定値Bの値が変数PMB2に格納され、次にS115に進む。
S115に進む時点は2回目の推定が行われた後であり、PMB1、PMB2がともに求められている。S115ではPMB2とPMB1との差を求め、これが所定のΔ2以下かどうかが判断される。そしてΔ2以下の場合は(S115:YES)、S130に進み、Δ2より大きい場合は(S115:NO)、S116に進む。S116では変数nを1に戻してこの処理を終える。S130に進んだ以降は、実施例1,2と同様にS130、S140,S150、S160を処理する。
実施例3において、前述のS30をS115に置き換えた意味を以下で説明する。S115における判断の結果S116に進む場合は、方法Bによって2回の推定の間にPM堆積量が大きく増加していることが判明した場合である。
したがってS140、S150を行えばPM堆積量推定値Aの差が大きくS160に進むような場合でも、その差が、導圧管の破損ではなく、自然にPMが堆積しつづけた結果の可能性がある。よって1回目の推定も破棄してリセットさせて、1回目の推定からやり直す。したがってS116で変数nを1に戻して処理を終える。
一方S115における判断の結果S130に進む場合は、方法Bによって2回の推定の間にPM堆積量があまり増加していないことが判明した場合である。よってPM堆積量推定値Aの差が大きい場合、その差が、自然にPMが堆積しつづけた結果ではなく、導圧管10の破損であるとみなせる。したがってS140、S150へ進んで破損判定を行う。
基本的に、上でS116へ進む場合は、実施例1,2では所定時間以上に経過した場合に相当する。また上でS130へ進む場合は、実施例1,2ではまだ所定時間以内の場合に相当する。図12にΔ2と所定時間との関係が図示されている。運転状態によっては十分時間が経過してもあまりPM堆積量が増加しない場合もあれば、短時間にPM堆積量が増加する場合もある。こうした性質は、単純に時間を用いて所定時間であるかないかで判断した場合には抜け落ちてしまい、S140,S150の判断の信頼性が低下してしまう。したがって、実施例3のように方法BによるPM堆積量推定をおこなうことで、S140,S150の判断がより信頼性の高いものとなる。
次に実施例4を説明する。実施例4では、実施例1における図3が図7に置き換えられ、図2が図6に置き換えられる。
実施例1ではDPF6の導圧管10が破損しているかどうかのみが判定されたが、実施例4では、その漏れ量の数値が推定される。さらに漏れ量の大小に応じて、漏れの発生を運転者に報知したり、漏れに対応した運転に制御するなどの各種制御を行う。以下で実施例4において実施例1と異なる部分のみを説明する。
まず図6には、実施例4におけるDPF6の導圧管10における漏れ量推定処理の手順が示されている。これは図2においてS130,S140,S150,S160を削除し、新たにS180,S190,S200,S210を付け加えたものである。
図6ではS100の次にS170が処理される。S170ではそれまでに求められているVEX1,VEX2,そしてPM1−PM2からDPF6の導圧管10からの(単位時間当たりの)漏れ量を推定する。漏れ量の推定値は例えばマップの形式でECU9に記憶しておき、これを利用してS170で推定すればよい。
そのマップの例が図13に示されている。この例ではVEX1の異なる値ごとに分類された複数の平面があり、同平面は2つの座標軸をVEX2とPM1−PM2としている。そして個々の平面はメッシュ状に分割され、そのそれぞれの領域に対応して漏れ量の推定値が予め求めてある。このようなマップを、使用する機器構成に対応して実験やシュミレーションなどで求めておけばよい。
次にS180で、S170で求めた漏れ量が所定値よりも小さいかどうかが判断される。図6ではこの所定値をL1で示している。L1よりも小さい場合(S180:YES)、漏れ量は十分小さく、特別な制御は必要ないと判断して処理を終える。L1以上の場合(S180:NO)、S190へ進む。S190ではS170で求めた漏れ量がS180の所定値とは別の所定値よりも小さいかどうかが判断される。図6ではこのもうひとつの所定値をL2で示している。L2は上述のL1よりも大きいとする。
漏れ量がL2よりも小さい場合(S190:YES)、S200へ進む。漏れ量がL2以上の場合(S190:NO)、S210へ進む。S200あるいはS210に進んだ場合は漏れ量が大きく何らかの報知や制御が必要とみなされる場合である。特にS210に進む場合はS200に進む場合よりも漏れ量が大きく、より緊急の対応が必要とされる。
例えばS200では、警告灯14の点灯によって運転者に漏れを報知することや、EGR量の変更、エンジン2における噴射圧の変更などをおこなうとすればよい。
警告灯14による警告では、運転者に漏れの発生を警告でき、運転者に適切な対処を促すことができる。またEGR量の変更では、上流側導圧管から粒子状物質を含んだ排気が漏れている状況下で、EGRバルブ13の開度を下げれば、内燃機関からの粒子状物質の排出量を抑制することができる。これにより漏れによる排気浄化性能の低減を抑制できる。また内燃機関の噴射圧の変更でも、内燃機関からの粒子状物質の排出を低減できる。したがって、漏れによる排気浄化性能の低減を抑制できる。
またS210では、エンジン2の回転数、吸気圧、吸気量、排気圧、排気温度、排気の漏れ量の少なくとも1つが所定値以下となるような燃料噴射量の制限やDPF6の再生の禁止などを行えばよい。
内燃機関の回転数、吸気圧、吸気量、排気圧、排気温度、排気の漏れ量の少なくとも1つを所定値以下とすることにより、内燃機関からの排気量が抑えられ、その結果粒子状物質の排出量も抑えられるので、漏れの影響による排気の悪化が抑制される。またパティキュレートフィルタの再生を禁止することにより、同再生によって高温化された状態でさらに漏れが進展することが回避できる。
次に図7を説明する。図7では、図3のS300がS305、S315に置き換えられ、S310は削除され、さらにS320,S340がS325,S345に置き換えられている。図7のフローチャートではまずS305でDPF6の導圧管10からの漏れ量の推定処理が行われる。これは図6の処理である。つまりS305では図6のS10からS210までの処理が行われる。
次にS315では、S305で求められた漏れ量が0であるかないかが判断される。漏れ量が0の場合は(S315:NO)、上述のS330へ進み、漏れ量が0でない場合は(S315:YES)、S325へ進む。
S325では補正されたPM堆積量推定Bが行われる。既に述べたとおりPM堆積量推定Bでは、エンジン2の運転状態によってエンジン2から排出されるPM量のマップを作成しておき、運転状態の経過に従ってこのPM量を積算してPM堆積量とする。そのときエンジン2から排出されたPM量がそのままDPF6に堆積するとしている。
S325では、こうしたPM堆積量推定Bにおいて、エンジン2から排出されたPM量のうち導圧管10からの漏れの分を除いた量がDPF6に堆積する量であると補正する。この補正のために例えば、次の式(E1)を用いる。
PMdpf=PMeng(VEX3−VEX4)/VEX3 (E1)
PMdpf=PMeng(VEX3−VEX4)/VEX3 (E1)
式(E1)でPMdpfはDPF6に堆積されるPM量であり、PMengはエンジン2から排出されるPM量である。またVEX3は図14に示されているとおり、導圧管10よりも上流部分の排気管5を流れる排気ガスの流量であり、VEX4は導圧管10から漏れる排気ガス量である。例えばVEX3は吸気量とすればよい。
明らかにDPF6への流入ガス流量はVEX3−VEX4である。したがってDPF6への流入ガス流量とエンジン2から排出される排気ガス流量との比は、(VEX3−VEX4)/VEX3である。式(E1)では、この比をPMengに乗じることによりPMdpfを得ている。以上が実施例4である。
本発明においては、内燃機関は上記実施例のようにディーゼルエンジンでもよいが、例えばリーンバーンガソリンエンジンであってもよい。実施例のとおりディーゼルエンジンを用いた場合、本発明によってDPF6の上流側導圧管10からの漏れが検知でき、さらに漏れ量が推定できるので、排気浄化技術のより一層の高度化が達成できて好適である。
なお上記実施例においてDPF6がパティキュレートフィルタを構成する。S50が第1の推定手段を構成する。S40が検出手段を構成する。S140,S150が判定手段を構成する。Δ1が所定の閾値を構成する。S55が第2の推定手段を構成する。S56が変更手段を構成する。S300、S320が推定方法選択手段を構成する。Δ2が所定堆積量を構成する。
S170が漏れ量推定手段を構成する。S325が補正手段を構成する。L1が第1の所定漏れ量を構成する。L2が第2の所定漏れ量を構成する。S200が第1の制御手段を構成する。S210が第2の制御手段を構成する。
1 制御装置
2 ディーゼルエンジン(内燃機関)
3 吸気管
4 エアフローメータ
5 排気管(排気通路)
6 ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)
7 差圧センサ
9 ECU
10 上流側導圧管
11 下流側導圧管
12 EGR通路
13 EGRバルブ
14 警告灯
15 吸気スロットルバルブ
2 ディーゼルエンジン(内燃機関)
3 吸気管
4 エアフローメータ
5 排気管(排気通路)
6 ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)
7 差圧センサ
9 ECU
10 上流側導圧管
11 下流側導圧管
12 EGR通路
13 EGRバルブ
14 警告灯
15 吸気スロットルバルブ
Claims (8)
- 排気通路に、排気中の粒子状物質を捕集するパティキュレートフィルタと、そのパティキュレートフィルタの入口部分から形成された配管である上流側導圧管と、そのパティキュレートフィルタの出口部分から形成された配管である下流側導圧管と、その上流側導圧管と下流側導圧管との内部の圧力の差である差圧を計測するための差圧センサとを備えた内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関から排出される排気流量を検出する検出手段と、
前記差圧センサにより計測された前記差圧と、前記検出手段により検出された前記排気流量とから前記パティキュレートフィルタに堆積した前記粒子状物質の堆積量を推定する第1の推定手段とを備え、
前記内燃機関が運転中の2つの異なる時刻を第1の時刻と第2の時刻とし、前記第1の時刻と前記第2の時刻との間隔は所定時間内にあり、
前記第1の時刻において、前記検出手段によって検出された前記排気流量を第1の流量とし、前記推定手段によって推定された前記堆積量を第1の推定値として、
前記第2の時刻において、前記検出手段によって検出された前記排気流量を第2の流量とし、前記推定手段によって推定された前記堆積量を第2の推定値として、
前記第2の流量が前記第1の流量よりも大きいとして、
前記第1の推定値と第2の推定値との差が所定の閾値よりも大きい場合に、前記上流側導圧管からガスの漏れがあると判定する判定手段とを備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記内燃機関の運転状態から、前記パティキュレートフィルタの前記粒子状物質の堆積量を推定する第2の推定手段と、
その第2の推定手段による推定値が大きいほど前記所定の閾値を大きくする変更手段とを備えた請求項1に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記判定手段が前記上流側導圧管からガスの漏れがあると判定した以後は、前記第2の推定手段のみを用いて前記堆積量を推定する推定方法選択手段を備えた請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記内燃機関の運転状態から、前記パティキュレートフィルタの前記粒子状物質の堆積量を推定する第2の推定手段を備え、
前記所定時間は、前記第2の推定手段により推定された堆積量の推定値が所定堆積量増加する時間であるとする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。 - 排気通路に、排気中の粒子状物質を捕集するパティキュレートフィルタと、そのパティキュレートフィルタの入口部分から形成された上流側導圧管と、そのパティキュレートフィルタの出口部分から形成された下流側導圧管と、その上流側導圧管と下流側導圧管との圧力の差である差圧を計測するための差圧センサとを備えた内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関から排出される排気流量を検出する検出手段と、
前記差圧センサにより計測された前記差圧と、前記検出手段により検出された前記排気流量とから前記パティキュレートフィルタに堆積した前記粒子状物質の堆積量を推定する第1の推定手段とを備え、
前記内燃機関が運転中の2つの異なる時刻を第1の時刻と第2の時刻とし、前記第1の時刻と前記第2の時刻との間隔は所定時間内にあり、
前記第1の時刻において、前記検出手段によって検出された前記排気流量を第1の流量とし、前記推定手段によって推定された前記堆積量を第1の推定値として、
前記第2の時刻において、前記検出手段によって検出された前記排気流量を第2の流量とし、前記推定手段によって推定された前記堆積量を第2の推定値として、
前記第2の流量が前記第1の流量よりも大きいとして、
前記第1の流量と、前記第2の流量と、前記第2の推定値と第1の推定値との差とから、前記上流側導圧管からのガスの漏れ量を推定する漏れ量推定手段を備えたことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記内燃機関の運転状態から、前記パティキュレートフィルタの前記粒子状物質の堆積量を推定する第2の推定手段と、
前記第2の流量と、前記漏れ量推定手段により推定された前記漏れ量とから、前記第2の推定手段により推定された前記堆積量の推定値を補正する補正手段とを備えた請求項5に記載の内燃機関の制御装置。 - 警告のための警告灯と、
排気の還流のためのEGRと、
前記漏れ量推定手段により推定された前記漏れ量が第1の所定漏れ量より大きい場合は前記警告灯の点灯、前記EGR量の変更、または前記内燃機関の噴射圧の変更のうちの少なくとも1つを行う第1の制御手段とを備えた請求項5に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記漏れ量推定手段により推定された前記漏れ量が前記第1の所定漏れ量よりも大きい第2の所定漏れ量より大きい場合は前記内燃機関の回転数、吸気圧、吸気量、排気圧、排気温度、排気の漏れ量の少なくとも1つを所定値以下とする、または前記パティキュレートフィルタの再生を禁止する第2の制御手段を備えた請求項7に記載の内燃機関の制御装置。
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