JP2009039702A - 連続式撹拌マイクロリアクター - Google Patents

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Abstract

【課題】 通常のマイクロリアクターでは、反応管中の内容物を撹拌できない。そのため触媒反応や乳化重合反応等の異相系(液液、気液、固液)反応に利用できないという欠点がある。
【解決手段】 本発明では、反応管内にワイアロープを挿入して、このワイアロープの回転により内容物を攪拌できる連続式マイクロリアクターを製作して、この課題を解決する。
【選択図】図3

Description

本発明は、幾つかの反応物と触媒粒子を連続的に細い反応器内に注入し、内容物を撹拌しながら反応させることが可能なマイクロリアクターの製作に関する。
本発明は、触媒反応だけでなく、広く異相系反応全般(乳化重合反応等)に適用可能なマイクロリアクターの製作に関する。
マイクロリアクターは小規模生産に向いた反応器であり、実用化はまだ始まったばかりで、新しいリアクターの研究開発や実験例が先行している。応用先としては、医薬品や医薬品中間体の製造や、研究室での有機合成に用いられることが期待されている。
マイクロリアクターの特徴としては、(1)反応管内の流れが層流であることと、(2)反応物の量に対するその表面積が大きいこと、即ち比表面積が大きいことが、が挙げられる。(2)の特質は、温度制御がし易いということになるので、マイクロリアクターでは、反応熱が大きい系(主に発熱の系)でも、容易に一定温度で反応させることが出来るという特徴を有することになる。
通常の連続式マイクロリアクターは、幾つかの反応物を注射器(マイクロフィーダー)で枝管に注入して、本管(細い反応管)で合流させて反応させるものである。しかしながらこのようなマイクロリアクターで触媒反応を行わせることは、以下の理由により困難である。
▲1▼ 触媒粒子が懸濁した液を注入すると、本管内で粒子が沈降して、目詰まりを起こす恐れがある。
▲2▼ 触媒反応は触媒粒子の表面で起きる。したがって触媒反応では、図1に示したように、(1)反応物のbulk相(流れ本体)から粒子表面への移動と、(2)逆に生成物の粒子表面からbulk相(流れ本体)への移動があり、それらの速度が速いほど反応速度も速くなる。ところが、細管内では液は層流であるので(1)および(2)の移動速度が極めて遅いという問題点がある。
本発明の装置は、毛細管内にワイアロープを挿入して、ワイアロープを回転させるマイクロリアクターである。ワイアロープの回転は、内容物の攪拌を行うばかりでなく、ロープの捩じれによるスクリュウ作用により、内容物を前方に押し出す作用もする。本発明は、[0003]の▲1▼および▲2▼の問題点を克服したものである。本発明の反応管内では、内容物は図2に示したように、旋回しながら環状路を流れる。従来のマイクロリアクターの円管内流れとは異なる。
またマイクロリアクター本体を作成した後でも、径が異なるワイアロープを反応管に挿入することにより、環状路の大きさ(隙間)を調整できる。
本発明は、反応物と触媒粒子を撹拌式反応管に連続的に供給し、内容物を取り出すマイクロリアクターを考案したことを課題とする。
反応管の中での触媒粒子の沈降を防ぐと同時に、反応速度を高めるために反応管中に細いワイアロープを挿入して回転できるようにしたことである。
触媒微粒子と(一つの)反応物質をフラスコに入れて攪拌し、懸濁液を形成させた。そしてフラスコ上部の液だけを反応管に注入するようにしたことである。撹拌中のフラスコ内では、小さい微粒子は上部に浮遊しており、大きな粒子ほど下部の方にある。即ち、小さい粒子を含む懸濁液だけを反応管内に送り込むことを可能にしたことである。
本発明によりマイクロレベルでの連続的触媒反応が可能になった。本装置は、医薬品や医薬品中間体の合成等に利用出来る。実験室規模の有機合成実験を、温度を一定で、連続的に行うことが出来る。
この発明の実施形態を、図3に示す。図3では、細いワイアロープが反応管に入れてあり、これが回転できるようになっている。まず反応物1と触媒粒子をフラスコ1に入れて攪拌しながら、懸濁液の上部分だけを空気圧縮シリンジで、反応管に流すようにする。ついで反応物2を別のシリンジで反応管に送る。出口からは、内容物がいっしょになって流出し、フラスコ2に溜まる。このマイクロリアクターでは、反応管の外側に冷却水を流して反応温度を一定に保つことが出来るようになっている。
実施形態の効果
「実施例」図面(図3)だけでは、今回発明したマイクロリアクターの実用性に対する説得力が必ずしも十分といえないので、実際に、図4の装置を製作して運転を試みた。
図4の反応管は外径7mm、内径0.80mm、全長500mmのガラス管である。このうち反応部の有効長さは300mmである。この反応管には、外径0.45mmのステンレス製ワイアロープが挿入してあり、攪拌モータで0〜300rpmの速度で回転できる。さらに反応管の外側には外径30mmの冷却管があり、循環水で一定温度に保つことが出来るようにした。さらに回転により、ワイアロープが折れ曲がり、絡まり合わないように、ワイアロープをスリーブ(外径2mm、内径1mmのテフロンチューブ)の中に入れた。
実験した反応は、ベンゼンの2−クロロ−2−メチルプロパンによる、塩化アルミニウム触媒(粒子)による、アルキル化反応である。この反応は、良く知られたFriedel−Crafts反応のであり、発熱反応である。
ベンゼンと粉砕した塩化アルミニウム粒子を、フラスコ1に入れて攪拌し懸濁液を形成し、その上部を空気圧縮シリンジ(マイクロフィーダ)で反応管に注入する。一方2−クロロ−2−メチルプロパンは別の注入口から同様にマイクロフィーダで反応管に注入する。この反応での生成物は、4種のアルキルベンゼン(t−ブチルベンゼン、1、4ジ−t−ブチルベンゼン、1、3ジ−t−ブチルベンゼン、1、3、5トリ−t−ブチルベンゼン)および、塩化水素(ガス)の計5種である。上記5種の生成物と、未反応ベンゼンおよび未反応2−クロロ−2−メチルプロパン、さらに塩化アルミニウム粒子が反応管出口から出て、フラスコ2に溜まる。フラスコ2には、あらかじめアルカリ性(カセイソーダ)水溶液が入れてある。塩化水素(ガス)はカセイソーダと反応して、食塩になる。塩化アルミニウムも水に溶けて、カセイソーダと反応して食塩と水酸化アルミニウムになる。フラスコ2は、攪拌中は白濁しているが、回転を止めると2液相になる。4種のアルキルベンゼンと未反応ベンゼンおよび未反応2−クロロ−2−メチルプロパンは、水と混じり合わないで上層に浮かびあがる。下層は水の相である。
シリコーングリースを充填したシール剤溜は、塩化水素(ガス)がワイアロープとステンレス連結管(外径2mm×内径1mm)の隙間から逃げていくのを防ぐためのものである。
この図では、触媒粒子の周りの反応物と生成物の物質移動方向を示した。[0003]に説明がある。 この図では、本発明の反応管内の液の流れについて説明した。[0004]にその説明がある。 この図は、連続式攪拌マイクロリアクターの模式図である。詳しくは[0009]で説明した。 この図は、ベンゼンのアルキル化反応の実施例である。詳しくは[0010]で説明した。

Claims (3)

  1. 細長い管内に、これより(外)径が小さいワイアロープを挿入して、このワイアロープの回転により、内容物(注1)を攪拌できるようにした反応管を有するマイクロリアターを製作したことを特徴とする。本発明のマイクロリアクターは、均一反応だけでなく、広く異相系反応全般(触媒反応、乳化重合反応等)に使用できる。
    (注1):以後、内容物とは、反応物、生成物および触媒粒子等を指す。
  2. 反応物質と触媒粒子をフラスコ内に入れ、スタラーの回転により懸濁液にし、懸濁液上部だけを反応管に送るディバイスを作成したことを特徴とする。このディバイスにより微細な粒子を含む懸濁液だけを反応管に送ることが可能となった。
  3. ワイアロープと反応管の気密性を保つために、シリコーングリースを充填したシール剤溜のディバイスを製作したことを特徴とする。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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