JP2009036343A - 回転装置およびctスキャナ装置 - Google Patents

回転装置およびctスキャナ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】回転体をコンパクト化し、回転体の軽量化、慣性の低下などを可能とする、回転装置を提供する。
【解決手段】この回転装置は、中空円筒形状の突き出し部を含む回転ガントリ2を備える。また、圧縮気体の静圧によって回転ガントリ2を軸方向に支持する、複数のアキシアルパッド6を備える。また、突き出し部において、圧縮気体の静圧によって回転ガントリ2を半径方向に支持する、複数のラジアルパッド3を備える。
【選択図】図3

Description

この発明は、回転装置およびCTスキャナ装置に関し、特に、静圧気体軸受によって支持される回転装置、および、当該回転装置を用いたCTスキャナ装置に関する。
従来、回転体の支持に転がり軸受を使用してきた分野において、高速高精度回転・低騒音・低振動・長寿命などを実現するために、静圧気体軸受を採用する例が増えている。
たとえば、医療診断用撮像の分野におけるCTスキャナ装置は、放射線源などを搭載して回転する回転軸を有している。1)走査時間の短縮のためにCTスキャナ装置の速度を早くする、2)CTスキャナ装置の静粛な動作を得る、3)接触部の磨耗部を排除して保守を減少させる、といった目的のために、CTスキャナ装置の回転軸を静圧気体軸受によって支持する例がある(たとえば、特許文献1参照)。
特許文献1においては、上記目的で、回転ガントリはその外周部に環状のベアリングレースを有し、固定ガントリに保持された複数の静圧気体軸受パッドによって、回転ガントリはベアリングレースにおいて非接触支持される構造が示されている。ここでは、ラジアルパッドはベアリングレースの外側の研磨された外周面を支持し、アキシアルパッドはベアリングレースの手前側および反対側の平らな外周面を支持している。
ラジアルパッドの背後(回転軸に対向する側と反対側)にはラジアルボールスタッドが設置され、ラジアルパッドとボールスタッドの間にはスプリング要素がある。ラジアルパッドはベアリングレースの外周近傍に配置されており、ラジアルボールスタッドによって所定位置に保持される。つまり、ラジアルボールスタッドは、背後からスプリング要素を介して回転軸の径方向に所望の張力まで締め付けられ、このラジアルボールスタッドの調整によってラジアル軸受パッドの径方向の位置が調整される。
特表2004−528113号公報
回転装置においては、静圧気体軸受の負荷容量、回転体を回転させるモータの駆動力、また回転装置の原価を考慮すると、回転体はできるだけコンパクトで軽量である方が望ましい。
ところが、特許文献1に示されている回転装置では、ラジアルパッドはベアリングレースの外周面を支持しているために、ベアリングレースはラジアルパッドで支持されるための幅(厚さ)を必要とする。このため、回転体の最外径部が厚くなり、回転体の重量、回転時の回転軸回りの慣性モーメントおよび回転のために必要とされる駆動力が大きくなっている。また、ラジアルパッドはベアリングレースの最外径部において回転体を支持しているために、回転装置全体の大きさも大きくなっている。
それゆえに、この発明の主たる目的は、回転体をコンパクト化し、回転体の軽量化、慣性モーメントの低下などを可能とする、回転装置を提供することである。
この発明の回転装置は、中空円筒形状の突き出し部を含む回転体を備える。また、圧縮気体の静圧によって回転体を軸方向に支持する、複数のアキシアルパッドを備える。また、突き出し部において、圧縮気体の静圧によって回転体を半径方向に支持する、複数のラジアルパッドを備える。
この場合は、中空円筒形状の突き出し部において回転体は半径方向に支持される。突き出し部は薄肉に形成されている。そのため、回転体は、その最大径部がラジアルパッドによって支持されるために必要な幅(厚み)を有する中実の厚板形状であった従前の回転体と比較して、軽量化されている。したがって、ラジアルパッドが回転体を支持するために必要な幅が従来の回転体と同じであっても、回転体の回転時の慣性モーメントや、回転のために必要とされる駆動力を低減することができる。
突き出し部は、回転体を軸方向に支持するアキシアルパッドおよびその支持部などの、回転体を支持するための構造物の、軸方向における最大寸法よりも、突き出し部の軸方向の寸法が大きくなるように、形成されるのが望ましい。回転体に被搭載物を搭載する場合、突き出し部の先端面に搭載することができるが、突き出し部の先端面が上記構造物以上に突き出した構造であれば、被搭載物を搭載するときの先端面への取り付けを容易に行なうことができる。
上記回転装置において好ましくは、突き出し部の外径は、回転体の最大外径よりも小さい。この場合は、回転体を最外径部において支持する必要がない。つまり、回転体を半径方向に支持するラジアルパッドを、回転体の最大外径部ではなく、最大外径部よりも小径である突き出し部に対向するように配置することができる。したがって、回転体は、最大外径部においてラジアルパッドが回転体を支持するために必要な幅を有する形状とする必要がないため、回転体を軽量化することができる。かつ、回転装置全体の大きさを小さくするコンパクト化を達成することができる。回転体は突き出し部とフランジ部とによって構成され、複数のアキシアルパッドは、フランジ部において回転体を軸方向に支持するような構造としてもよい。回転体の、軸方向と平行な断面において、突き出し部とフランジ部とはL字型の形状を成すように、回転体を形成してもよい。
また好ましくは、軸方向が水平方向となるように回転体が配置されている。回転体は、軸方向の一方側において、被搭載物を搭載するための搭載部を含む。複数のアキシアルパッドが回転体に与える軸方向の力によって回転体に作用するモーメントの和は、被搭載物に働く重力によって回転体に作用するモーメントに対し、反対方向である。
この場合は、被搭載物の荷重により回転体に作用するモーメントの向きに対し、アキシアルパッドが回転体を軸方向に支持する力により回転体に作用するモーメントの向きを、反対方向にすることができる。そのため、回転体に作用するモーメントの総和は、被搭載物の荷重によるモーメントのみが回転体に作用する場合に比較し軽減される。つまり、アキシアルパッドにより回転体に作用するモーメントの向きを考慮して、アキシアルパッドの配置を調整すれば、より重量の大きな被搭載物を回転体に搭載することができる。
回転体はその使用目的に応じて、軸方向が水平方向に対し数十度傾いた状態で使用される場合がある。つまり、回転体は、軸方向が概略水平方向となるように配置される。回転体の軸方向が水平方向に対し傾斜していても、重量の大きな被搭載物を回転体に搭載できるように、アキシアルパッドにより回転体に作用するモーメントの向きを調整することができる。
上記回転装置においては、複数のアキシアルパッドは、軸方向の一方側から回転体を支持する少なくとも一つの一方側アキシアルパッドと、一方側と反対側の他方側から回転体を支持する少なくとも一つの他方側アキシアルパッドとを含む。一方側アキシアルパッドが回転体に対し軸方向に作用する合力と、他方側アキシアルパッドが回転体に対し軸方向に作用する合力とは、大きさが等しく向きが反対であって釣り合っている。
この場合は、アキシアルパッドの、一方側および他方側における配置の調整を行なうことによって、被搭載物の荷重により回転体に作用するモーメントの向きと反対方向のモーメントを、回転体に作用させることができる。そのため、回転体に作用するモーメントの総和は、被搭載物の荷重によるモーメントのみが回転体に作用する場合に比較し低減され、より重量の大きな被搭載物を回転体に搭載することができる。
上記回転装置において好ましくは、複数のアキシアルパッドは、回転体の回転中心を通る鉛直な面、すなわち重力の方向を通る面に対して、対称となるように配置されている。この場合は、回転体をより安定させて支持することができる。
また好ましくは、複数のラジアルパッドは、回転体の回転中心を通る鉛直な面、すなわち重力の方向を通る面に対して、対称となるように配置されている。この場合は、回転体をより安定させて支持することができる。
この発明に係るCTスキャナ装置は、上記のいずれかの回転装置を備える。また、回転装置の回転体に搭載された、放射線源と、放射線検出器とを備える。この場合は、軽量化・コンパクト化された回転体を備えているために、CTスキャナ装置自体の軽量化およびコンパクト化を達成することができる。また、回転体の回転時の慣性モーメントや回転のために必要とされる駆動力を、低減することができる。
この発明の回転装置では、回転体をコンパクト化し、回転体の軽量化、慣性モーメントの低下などを可能とすることができる。
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
図1は、この発明のCTスキャナ装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、CTスキャナ装置は、非回転部である固定ガントリ1と、回転体としての回転ガントリ2とを備える。固定ガントリ1の四隅には、テーブル支柱1aが、固定ガントリ1に対して傾いて設置されている。テーブル支柱1a上には、テーブルベース1bが設置されている。テーブルベース1b上には、直動案内1cが固着されている。直動案内1c上には、圧縮気体の静圧によって回転ガントリ2を半径方向に支持する複数のラジアルパッド3が、直動案内1cに沿って移動可能なように組み込まれている。
回転ガントリ2は、図の手前側に突き出した突き出し部を含み、先端面2aおよび外周面2cは突き出し部を構成する。突き出し部は、回転ガントリ2の軸方向に延在する、中空の円筒形状を有する。突き出し部の基部は、フランジ状に形成された円環形状のベアリングレース2bに固定されている。回転ガントリ2は、突き出し部およびベアリングレース2bによって構成されている。
図2は、ラジアルパッドの構成を示す部分断面模式図である。図2に示すように、回転ガントリ2の突き出し部の外周面2cと対向するように、パッド軸受部3aが設けられている。ラジアルパッド3は、パッド軸受部3aによって、回転ガントリ2を、突き出し部の外周面2cにおいて回転ガントリ2の半径方向に支持する。パッド軸受部3aの、突き出し部の外周面2cに対向する面は、外周面2cとほぼ同じ曲率を有する。つまり、パッド軸受部3aの外周面2cに対向する面は、外周面2cと同じ、または、ラジアルパッド3と外周面2cとの隙間である軸受隙間分だけ外周面2cよりも大きな曲率半径を有する。ラジアルパッド3の、パッド軸受部3aが設けられている側と反対側には、凹部3cが形成されている。凹部3cは、球面形状に形成されている。なお、凹部3cはテーパ状の面を有するように形成されていてもよい。
パッド軸受部3aには、突き出し部の外周面2cに対向する側の端部に、給気孔3gが複数個形成されている。また、ラジアルパッド3の内部には、複数の給気孔3gへ連通するように給気溝3fが形成されており、給気溝3fへ連通するように給気口3eが形成されている。圧縮空気は、外部の図示しない圧縮空気源から給気口3eに供給され、給気溝3fに導かれ、さらに給気孔3gの先端の絞られた開口部から回転ガントリ2の外周面2cに向けて噴出し、静圧気体ジャーナル軸受を形成している。
凹部3cには、ボールスタッド4の球状の先端部4aが挿入されており、結合部を形成している。ボールスタッド4の基部は、上板4bに固定されている。上板4bは、微動テーブル4c上に搭載固着されている。微動テーブル4cは、移動部材としての直動案内1c上に、直動案内1cに沿って移動可能なように組み込まれている。
上板4bには、ねじ端接合部材4dが取り付けられている。テーブルベース1b上には、その上部にねじ孔が形成されている送りねじ支柱5bが設置されている。上記ねじ孔には送りねじ5aが挿入されている。送りねじ5aがねじ孔に挿入されている量(送り量)は任意に調整可能である。送り量を調整され適当な位置に配置された送りねじ5aは、たとえば、固定部材としての送りねじ5aに螺合しているフランジナットが、送りねじ支柱5bに向かって締め付けられるなどの方法によって、その位置を固定される。
送りねじ5aの先端面は、ねじ端接合部材4dに接触している。この送りねじ5aを回転させ送り量を調整することにより、微動テーブル4cを往復直進運動させることができる。微動テーブル4cの往復直進運動によって上板4bが移動すると、上板4bに固定されているボールスタッド4も移動し、これに伴いラジアルパッド3も移動する。
ラジアルパッド3が微動テーブル4cの往復直進運動に伴って移動するとき、ラジアルパッド3は回転ガントリ2の径方向にも移動することになる。そして、ラジアルパッド3の移動調整量に対する回転ガントリ2の径方向の移動量は、ラジアルパッド3の移動調整量に基づいた所定の比率で縮小されていることになる。これにより、ラジアルパッド3の、回転ガントリ2の径方向における微小な移動量の調整を容易に行なえる。つまり、軸受隙間の微細な量の調整を精度よく行なうことができる。
圧縮気体を回転ガントリ2の外周面2cに向けて噴出し静圧気体軸受を形成していることにより、回転ガントリ2を支持する力が発生する。このとき、ラジアルパッド3には、回転ガントリ2を支持する力の反力(軸受反力)が負荷される。ラジアルパッド3は、軸受反力によって、パッド軸受部3aがボールスタッド4の先端部4aに押し付けられた状態となる。また、ラジアルパッド3は、ボールスタッド4によって、直動案内1cに対して自由に傾き得るように、傾動可能に支持されている。よって、ラジアルパッド3は、微動テーブル4cの移動に伴って直線運動するとともに、ラジアルパッド3が対向している回転ガントリ2の外周面2cの形状に合わせて自動的に直動案内1cに対する傾き角度を調整しながら、回転ガントリ2の周方向に移動することができる。
なお、ラジアルパッド3には、その側面から上板4bの側面に向けて図示しないストッパー板を出し、ボールスタッド4の先端部4aから回転ガントリ2の回転中心へ向かう直線周りに回転するようにラジアルパッド3がずれる動きを、規制している。
図3は、図1に示すCTスキャナ装置の側面図である。図3には、固定ガントリ1、回転ガントリ2およびベアリングレース2bの一部が断面で示されている。ラジアルパッド3は、図2では長手方向が示されていたのに対し、図3では幅方向が示されている。回転ガントリ2の突き出し部と、ベアリングレース2bとは、図3に示す回転ガントリ2の軸方向と平行な断面において、L字形の形状を成している。
図1および図3に示すように、回転ガントリ2は、固定ガントリ1に固定された複数のラジアルパッド3によって、突き出し部の外周面2cにおいて、半径方向に支持されている。突き出し部は、中空円筒形状であって、薄肉に形成されている。そのため、回転体が中実の厚板形状であった従来の回転装置と比較して、回転ガントリ2は軽量化されている。したがって、回転ガントリ2の回転時の慣性モーメントや、回転のために必要とされる駆動力を低減することができる。
さらに、突き出し部の外径は、回転ガントリ2の最大外径よりも小さい。そのために、回転ガントリ2を最大外径部において支持する必要がない。つまり、回転ガントリ2を半径方向に支持するラジアルパッド3を、回転ガントリ2の最大外径部ではなく、最大外径部よりも小径である突き出し部の外周面2cに対向するように配置することができる。したがって、回転ガントリ2は、最大外径部においてラジアルパッドが回転体を支持するために必要な幅を有する形状とする必要がなく、最大外径部の幅を薄くすることができる。そのため、ベアリングレースの外周面(すなわち最大外径部)において回転体がラジアルパッドによって半径方向に支持される従来の回転装置と比較して、回転ガントリ2を軽量化することができる。かつ、回転装置全体の大きさを小さくするコンパクト化を達成することができる。
突き出し部の外周面2cの径は、回転ガントリ2の最大外径に対して小さいほど、回転ガントリ2を軽量化する効果が得られるので好ましい。たとえば、ラジアルパッド3が回転ガントリ2の最大外径よりも半径方向内側において、外周面2c周りに配置されるように、突き出し部を形成することができる。
図1では、回転ガントリ2の軸方向が水平方向となるように、CTスキャナ装置が配置されている。ラジアルパッド3は、突き出し部の外周面2c上の5箇所に配置されており、回転ガントリ2の下側に3個、上側に2個のラジアルパッド3が配置されている。このように、回転ガントリ2および回転ガントリ2への搭載物による重力が作用する方向に、より多くのラジアルパッド3を配置することにより、最小個数のラジアルパッド3によって効率よく回転ガントリ2の荷重を支持することができる。なお、ラジアルパッド3の配置を調整するだけでなく、たとえば給気孔3gの直径や個数など、ラジアルパッド3の他の諸元を調整することによっても同様に、最小個数のラジアルパッド3によって効率よく回転ガントリ2の荷重を支持できる効果を得ることができる。
また回転ガントリ2は、固定ガントリ1に固定された複数のアキシアルパッド6によって、ベアリングレース2bにおいて、軸方向に支持されている。アキシアルパッド6は、図1に示すベアリングレース2bの手前側の面と、図1に示されていないベアリングレース2bの反対面とにおいて、それぞれ複数、ベアリングレース2bに対向して設置されている。アキシアルパッド6は、支柱7bを介在させて固定ガントリ1に固定されたアキシアルパッド支持板7aに保持されている、ボールスタッドの先端部に結合されている。上記ボールスタッドは、アキシアルパッド支持板7aに形成されたねじ穴に、所定の位置までねじ込まれている。これにより、アキシアルパッド6とベアリングレース2bとの隙間が所定量に調整されている。
また図示されていないが、アキシアルパッド6に対向するアキシアルパッド支持板7aの一部に穴を形成し、この穴にピンを挿入してピンの端部をアキシアルパッド6の後部端面に固着すれば、アキシアルパッド6の大きな傾きを規制することができる。
アキシアルパッド6においても、ラジアルパッド3と同様に、圧縮空気が供給され、供給された圧縮空気が回転ガントリ2のベアリングレース2bの両面に向けて噴出されて、静圧気体スラスト軸受を形成している。静圧気体スラスト軸受によって、回転ガントリ2は軸方向に支持されている。このように回転ガントリ2は、静圧気体軸受によって軸方向および半径方向において非接触支持されている。そのため、回転ガントリ2の静粛な高速運転が可能である。また、非接触であるため、摩耗部もなく、メンテナンスフリーとなる。
ラジアルパッド3およびアキシアルパッド6の、回転ガントリ2と対向する面の面積を、回転ガントリ2を安定して支持可能である最小の面積とすれば、CTスキャナ装置の一層のコンパクト化を図ることができる。
図1および図3に示すように、医療診断用のCTスキャナ装置においては、撮像される対象が配置される所定の検査領域を有する。たとえばX線管のような放射線源9によって放射線ビームが生成される。放射線ビームは、コリメータ・シャッタ組立体10を貫通する際に平行光とされる。放射線ビームは、薄い扇形状をなし、検査領域を横切って対向配置された放射線検出器11へ照射される。撮像時には、放射線源9が放射線ビームを放射しつつ検査領域の周りを回転し、撮像される対象(たとえば検査領域内の患者など)を通過した放射線ビーム(たとえばX線)は放射線検出器11に入射し、その放射線ビームの強度などのデータが収集される。
上記の放射線源9、コリメータ・シャッタ組立体10および放射線検出器11は、一般に回転ガントリ2の先端面2aに搭載され、放射線源9およびコリメータ・シャッタ組立体10は放射線検出器11と対向配置される。またこれら以外の、たとえば電源装置などの図示しない付属品も、先端面2aに多く設置されている。つまり、回転ガントリ2は先端面2aにおいて、被搭載物としての放射線源9などを搭載するための搭載部を含んでいる。これら被搭載物の重量によって、回転ガントリ2に対して、所定の方向(図3に示すCTスキャナ装置の配置では、時計回り方向)のモーメントが作用する。これに対し、アキシアルパッド6の配置の調整によって、上記所定の方向のモーメントに対して反対方向(図3に示すCTスキャナ装置の配置では、反時計回り方向)のモーメントを回転ガントリ2に作用させる。これにより、回転ガントリ2に作用するモーメントの総和を、被搭載物の荷重によるモーメントのみが回転ガントリ2に作用する場合と比較し、軽減させることができる。
図4は、図1に示すCTスキャナ装置におけるアキシアルパッドの配置を示す模式図である。図4において(a)はCTスキャナ装置の背面図、(b)は図3にも示したCTスキャナ装置の側面図、(c)は図1にも示したCTスキャナ装置の正面図である。図4(a)、(c)に示すように、アキシアルパッド6a、6b、6c、6dは、回転ガントリ2の回転中心を通る鉛直な面に対して、対称となるように配置されている。また図4(c)に示すように、ラジアルパッド3も同様に、回転ガントリ2の回転中心を通る鉛直な面に対して、対称となるように配置されている。このように、静圧気体軸受が対称に配置されているために、回転ガントリ2は回転中安定して軸方向および半径方向に支持されており、回転中の軸ずれなど不具合の発生を低減させることができ、信頼性が向上している。
複数のアキシアルパッド6a、6b、6c、6dは、圧縮気体の静圧によって、図4(b)に示すように、回転ガントリ2を軸方向に支持している。ここで、回転ガントリ2のベアリングレース2bから、放射線源9などが搭載されている先端面2aに向かう方向を正面側、正面側と反対側を背面側とする。アキシアルパッド6cおよび6dは、正面側から回転ガントリ2を軸方向に支持している。アキシアルパッド6aおよび6bは、背面側から回転ガントリ2を軸方向に支持している。
アキシアルパッド6aおよび6bがベアリングレース2bに及ぼす回転ガントリ2を正面側へ押す合力と、アキシアルパッド6cおよび6dがベアリングレース2bに及ぼす回転ガントリ2を背面側へ押す合力とは等しい。回転ガントリ2には、軸方向に沿って、反対方向に等しい大きさの力が加えられている。そのために、回転ガントリ2は軸方向の所定の位置で支持されている。
図4(a)に示すように、回転ガントリ2の背面側には、回転中心に対して下側に2個のアキシアルパッド6aが配置されており、回転中心に対して上側に2個のアキシアルパッド6bが配置されている。また図4(c)に示すように、回転ガントリ2の正面側には、回転中心に対して下側に2個のアキシアルパッド6cが配置されており、回転中心に対して上側に2個のアキシアルパッド6dが配置されている。
図4(b)に示す、アキシアルパッド6a〜6dの、回転ガントリ2の回転中心からの高さは、アキシアルパッド6a〜6dのそれぞれが回転ガントリ2に加える力によって回転ガントリ2に作用するモーメントの和が、被搭載物の荷重により回転ガントリ2に作用するモーメントの向きに対し反対方向となるよう、計算または実験によって設定される。
回転ガントリ2に作用するモーメントの関係を、図5において具体的に説明する。図5は、回転体に作用するモーメントの関係を示す模式図である。図5に示すように、アキシアルパッド6a〜6dによってベアリングレース2bに作用する力をそれぞれFa〜Fdとする。また、「回転ガントリ2自体の自重によって回転ガントリ2に作用するモーメント」と、「回転ガントリ2の先端面2aに搭載された被搭載物によって回転ガントリ2に作用するモーメント」との和をM2とする。さらに「ラジアルパッド3が支える力によって回転ガントリ2に作用するモーメント」をM1とする。
回転ガントリ2に作用するモーメントの釣り合いによって、回転ガントリ2のベアリングレース2bの中央線X−Xが、被搭載物が搭載された先端面2a側に微小角θ傾いて、中央線Y−Yで釣り合うと仮定する。このとき、各アキシアルパッド6a〜6dの回転中心からの高さ(図5に示す各アキシアルパッドの中心線と、回転ガントリ2の回転中心との距離)をHa〜Hdとし、上記傾きによる各アキシアルパッド6a〜6dの軸受隙間の変化分をha〜hdとする。
このとき、回転ガントリ2に作用するモーメントは、以下のように表される。
被搭載物によるモーメントと反対方向のモーメント=Fd×Hd+Fa×Ha+M1
被搭載物によるモーメントと同方向のモーメント=Fb×Hb+Fc×Hc+M2
これらが釣り合うために、つまり、下記式が成立するように、各アキシアルパッド6a〜6dの高さHa〜Hdが設定される。
Fd×Hd+Fa×Ha+M1=Fb×Hb+Fc×Hc+M2
なお、上記において、力Fa〜Fdは、アキシアルパッド6a〜6dの軸受隙間の変化分ha〜hdに対応して、事前に実験または計算により求められる。
このとき、上記関係式は、
(Fd×Hd+Fa×Ha)-(Fb×Hb+Fc×Hc)=M2−M1
と変形できる。上式において、左辺は「アキシアルパッドによって回転体に作用する力による、回転体に作用するモーメント」である。右辺においては、ラジアルパッド3は背後においてボールスタッド4により自由に傾きうる構造で支持されており、またその位置も中央線Y−Yからほとんど離れていない。したがってラジアルパッドによるモーメントM1は、M2に対して大変小さく無視し得る。また、M2の内では、「被搭載荷重によるモーメント」も、「回転体自体の自重によるモーメント」も向きは同方向である。
よって本装置においては、各アキシアルパッド6a〜6dの高さHa〜Hdは、「軸方向の力によって回転体に作用するモーメントの和(上記左辺)」が、「被搭載物に働く重力によって回転体に作用するモーメント」に対して反対方向となるように設定されている。したがって、回転ガントリ2に作用するモーメントの総和は、被搭載物の荷重によるモーメントのみが回転ガントリ2に作用する場合に比較し軽減されるので、より重量の大きな被搭載物を回転ガントリ2の先端面2aに搭載することが可能である。
これまでの説明においては、正面側および他方側のアキシアルパッドはそれぞれ同数設けられているが、アキシアルパッドは、回転体を軸方向に支持できるように、任意に配置することができる。また、たとえば給気孔の直径や個数など、アキシアルパッドの諸元を調整すれば、アキシアルパッドが回転体を軸方向に押す力を任意に調整することができる。アキシアルパッドの諸元や配置を任意としても、複数のアキシアルパッドが回転体を押す力によって作用するモーメントの和が、被搭載物によって回転体に作用するモーメントに対し反対方向になるように、アキシアルパッドの諸元や配置を調整すれば、回転体に作用するモーメントの総和は軽減される。そのため、より重量の大きな被搭載物を回転体に搭載することができる。
また、これまでの説明においては、CTスキャナ装置の回転ガントリを静圧気体軸受によって支持する例について説明したが、この発明はCTスキャナ装置およびその回転ガントリに限られるものではなく、他の大型の回転体を備える回転装置についても適用することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明のCTスキャナ装置の構成を示す模式図である。 ラジアルパッドの構成を示す部分断面模式図である。 図1に示すCTスキャナ装置の側面図である。 アキシアルパッドの配置を示す模式図である。 回転体に作用するモーメントの関係を示す模式図である。
符号の説明
1 固定ガントリ、1a テーブル支柱、1b テーブルベース、1c 直動案内、2 回転ガントリ、2a 先端面、2b ベアリングレース、2c 外周面、3 ラジアルパッド、3a パッド軸受部、3c 凹部、3e 給気口、3f 給気溝、3g 給気孔、4 ボールスタッド、4a 先端部、4b 上板、4c 微動テーブル、4d ねじ端接合部材、5a 送りねじ、5b ねじ支柱、6,6a,6b,6c,6d アキシアルパッド、7a アキシアルパッド支持板、7b 支柱、9 放射線源、10 コリメータ・シャッタ組立体、11 放射線検出器。

Claims (8)

  1. 中空円筒形状の突き出し部を含む回転体と、
    圧縮気体の静圧によって前記回転体を軸方向に支持する複数のアキシアルパッドと、
    前記突き出し部において、圧縮気体の静圧によって前記回転体を半径方向に支持する複数のラジアルパッドとを備える、回転装置。
  2. 前記突き出し部の外径は、前記回転体の最大外径よりも小さい、請求項1に記載の回転装置。
  3. 前記軸方向が水平方向となるように前記回転体が配置されており、
    前記回転体は、前記軸方向の一方側において、被搭載物を搭載するための搭載部を含み、
    前記複数のアキシアルパッドが前記回転体に与える前記軸方向の力によって前記回転体に作用するモーメントの和は、前記被搭載物に働く重力によって前記回転体に作用するモーメントに対し、反対方向である、請求項1または請求項2に記載の回転装置。
  4. 前記複数のアキシアルパッドは、前記軸方向の一方側から前記回転体を支持する少なくとも一つの一方側アキシアルパッドと、前記一方側と反対側の他方側から前記回転体を支持する少なくとも一つの他方側アキシアルパッドとを含み、
    前記一方側アキシアルパッドが前記回転体に対し前記軸方向に作用する合力と、前記他方側アキシアルパッドが前記回転体に対し前記軸方向に作用する合力とは、大きさが等しく向きが反対である、請求項1から請求項3のいずれかに記載の回転装置。
  5. 前記突き出し部は、前記回転体を前記軸方向に支持するための構造物の、前記軸方向における最大寸法よりも、前記突き出し部の前記軸方向の寸法が大きくなるように形成されている、請求項1から請求項4のいずれかに記載の回転装置。
  6. 前記複数のアキシアルパッドは、前記回転体の回転中心を通る鉛直な面に対して、対称となるように配置されている、請求項1から請求項5のいずれかに記載の回転装置。
  7. 前記複数のラジアルパッドは、前記回転体の回転中心を通る鉛直な面に対して、対称となるように配置されている、請求項1から請求項6のいずれかに記載の回転装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の回転装置と、
    前記回転装置の回転体に搭載された、放射線源と、放射線検出器とを備える、CTスキャナ装置。
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