JP2009036214A - 高負荷伝動ベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】ブロックの耐摩耗性や剛性といった強度を低下させることなく、ベルトが走行する際に発生するピッチノイズを低減することができるベルトを提供する。
【解決手段】センターベルト3と、上ビーム11と下ビーム12を中央部にてピラー13で連結しており、上下ビーム11、12とピラー13によって囲まれた嵌合溝に前記センターベルト3を挿入してなるブロック2とからなる高負荷伝動ベルト1において、前記上ビーム側面の少なくとも上端部分をその他の部分と比べて摩擦係数の低い樹脂とし、前記上端部分hは上ビーム側面のプーリとの接触面高さをHとしたときに(0.1×H)<h<(0.5×H)を満たす範囲とした
【選択図】図1
【解決手段】センターベルト3と、上ビーム11と下ビーム12を中央部にてピラー13で連結しており、上下ビーム11、12とピラー13によって囲まれた嵌合溝に前記センターベルト3を挿入してなるブロック2とからなる高負荷伝動ベルト1において、前記上ビーム側面の少なくとも上端部分をその他の部分と比べて摩擦係数の低い樹脂とし、前記上端部分hは上ビーム側面のプーリとの接触面高さをHとしたときに(0.1×H)<h<(0.5×H)を満たす範囲とした
【選択図】図1
Description
本発明は、張力帯の長手方向に沿って所定ピッチでブロックを固定した高負荷伝動ベルトに関する。
ベルト式無段変速装置に使用するベルトは、プーリのV溝幅を変えることによってプーリに巻きかかる有効径を変化させ変速比を調節する様な変速プーリに巻き掛けて使用するものであり、プーリからの側圧が大きくなるのでベルトは大きな側圧に耐えるものでなくてはならない。また、無段変速の用途以外にも通常のゴムベルトでは寿命が短くなりすぎるような高負荷伝動の用途には特別に高負荷に耐えうるようなベルトを用いる必要がある。
そのようなベルトとして使用されるものの中に、センターベルトにブロックを固定してベルト幅方向の強度を高めた引張伝動式の高負荷伝動ベルトがあり、具体的な構成としては、心線をゴムなどのエラストマー中に埋設したセンターベルトにボルトやリベットなどの止着材を用いてセンターベルトに使用しているエラストマーよりも比較的硬質のエラストマーからなるブロックを止着固定したものがある。
ブロックとしては、アルミニウムなど金属製の心材の表面に樹脂を被覆したものが提案されている(特許文献1)。しかしながらニーズの多様化により、負荷は多少低めであるものの回転数が高く、かつプーリ径が小さいといったものがある。金属製の心材を有するブロックは心材の分が重量増となることは避けられず、ベルトを高速で走行させると、遠心張力が上がってベルトが早期に破損するといった問題があった。
そこで心材を用いない樹脂材のみからなるブロックを用いたベルトが提案されている。特許文献2にはポリアミド46(ナイロン46)などの熱可塑性樹脂に対してPAN系炭素繊維とウィスカを配合することによって補強し、心材を埋設していなくとも側圧に対抗でき、しかも軽量であることからベルト走行中の遠心張力が小さくベルトの破損も防止できるといったことが記載されている。
更に、特許文献3にはポリアミド樹脂としてポリアミド9T(ナイロン9T)を用いることによって、心材を用いることなく軽量化を図っており、なおかつ強度的にも更に優れている高負荷伝動ベルトが記載されている。
また、特許文献2および3に各種のウィスカを配合することが記載されているものである。
上記のような繊維やウィスカ等で補強した樹脂を用いることによって、ブロックの耐摩耗性や剛性を高めることができる。しかし、センターベルトに多数のブロックを装着したものをプーリに巻きかけて走行させると、ブロックが周期的にプーリに接触する際のピッチノイズが発生し、騒音の問題となっている。
このピッチノイズはブロックの強度を高めるほど大きくなる傾向があり、強度の向上と騒音の低減は相反する問題であって解決が困難な問題である。
そこで、本発明ではブロックの耐摩耗性や剛性といった強度を低下させることなく、ベルトが走行する際に発生するピッチノイズを低減することができるベルトの提供を目的とする。
上記のような目的を達成するために本発明の請求項1においては、エラストマー中に心線を埋設したセンターベルトと、上ビームと下ビームを中央部にてピラーで連結しており、上下ビームとピラーによって囲まれた嵌合溝に前記センターベルトを挿入してなるブロックとからなる高負荷伝動ベルトにおいて、前記上ビーム側面の少なくとも上端部分をその他の部分と比べて摩擦係数の低い樹脂とし、前記上端部分hは上ビーム側面の高さをHとしたときに(0.1×H)<h<(0.5×H)を満たす範囲としたことを特徴とする。
請求項2では、摩擦係数の低い樹脂の摩擦係数μ1は0.1〜0.2であり、それ以外の樹脂の摩擦係数μ2は0.2〜0.5の範囲であり、且つ、μ1<0.9×μ2の式を満たしてなる請求項1記載の高負荷伝動ベルトとしている。
請求項3では、上ビームの側面の面積中に摩擦係数の低い樹脂の占める割合が10〜60%の範囲である請求項1〜2記載の高負荷伝動ベルトとしている。
請求項4では、摩擦係数の低い樹脂が、熱可塑性樹脂に少なくとも繊維補強材および摩擦低減材を配合した樹脂組成物からなり、該樹脂組成物の全量に対して繊維補強材は10〜40質量%、摩擦低減材は1〜20質量%の割合で配合してなる樹脂である請求項1〜3記載の高負荷伝動ベルト。
請求項5では、摩擦低減材がフッ素樹脂であり、5〜15質量%の範囲で配合してなる請求項1〜4記載の高負荷伝動ベルトである。
請求項6では、摩擦低減材が超高分子量ポリエチレンであり,2〜8質量%の範囲で配合してなる請求項1〜5記載の高負荷伝動ベルトである。
請求項7では、超高分子量ポリエチレンの粒径が10〜50μmである請求項6記載の高負荷伝動ベルトである。
請求項8では、熱可塑性樹脂が4,6−ナイロンもしくは9,T−ナイロンである請求項1〜7記載の高負荷伝動ベルトである。
請求項9では、上下ビーム部の側面以外の部分には摩擦低減材を含まない樹脂組成物を配置してなる請求項1〜8記載の高負荷伝動ベルトとしている。
請求項1では、ブロックの上ビームの側面において、上端部分に摩擦係数の低い樹脂を配置しており、ブロックとプーリとの間の滑りがよくなっているので、ベルトがプーリに進入する際やプーリから抜け出る際に生じるピッチノイズを低減することができる。また、ブロックの側面に摩擦係数の低い樹脂を配置することでプーリとの間でスリップが発生して伝達性能が低下するという問題もあるが、前記摩擦係数の低い樹脂は上端の所定範囲のみに配置していることから、極端な伝達性能の低下にはなることはない。
請求項2においては、摩擦係数の低い樹脂とそれ以外の樹脂の摩擦係数を具体的に範囲で設定しており、効率よくプーリへの進入及び抜け出す際の騒音の発生を抑えると共に、ベルトの伝達性能の低下も少なくした高負荷伝動ベルトとすることができる。
請求項3では、上ビームの側面の面積中に摩擦係数の低い樹脂の占める割合を所定の範囲としており、プーリへの進入及び抜け出す際の騒音の発生を抑えると共に、ベルトの伝達性能の低下も少なくした高負荷伝動ベルトとすることができる。
請求項4においては、熱可塑性樹脂からなるブロックに繊維状補強材と摩擦低減材を配合していることから、軽量で高回転での使用に適しているとともにブロックの強度も十分に持たせることができ、且つベルト走行時のブロックとプーリとの接触で発生するピッチノイズも低く抑えることができる。
請求項5では摩擦低減材としてフッ素樹脂を用いており、ブロックとプーリとの間の摩擦抵抗を小さくすることができるので、発音も小さくなってピッチノイズの低減とすることができる。
請求項6では摩擦低減材として超高分子量ポリエチレンを用いており、ブロックとプーリとの間の摩擦抵抗を小さくすることができるので、発音も小さくなってピッチノイズの低減とすることができる。
請求項7では、超高分子量ポリエチレンの粒径を小径としており、分散性に優れることから潤滑性、耐摩耗性、耐衝撃性の向上に有効であり、良好な機械物性が得られる。
請求項8においては、熱可塑性樹脂として4,6−ナイロンもしくは9,T−ナイロンを用いるとしているが、4,6−ナイロンや9,T−ナイロンは、結晶性樹脂でこれら熱可塑性樹脂の中でも高温での曲げ剛性及び耐疲労強度に優れ、これに炭素繊維を補強材として添加することで、これらの特性が一層向上するものである。さらに、ポリアミド46によるブロックを用いたベルトはプーリに掛架して走行させたときに、プーリを摩耗させる量も少ない。
請求項9においては、上下ビーム部の側面以外には摩擦低減材を配合していない樹脂組成物を用いているが、摩擦低減材を配合した樹脂組成物は摩擦係数が低く騒音を低減する効果はあるものの、強度面では低下する傾向があり、上下ビームの側面以外に摩擦低減材を配合していない樹脂組成物を配置することによって、ピッチノイズを低減する効果を損なうことなくブロック全体として強度を高めることができる。
以下、図面を参照しつつ本発明を具体的に説明する。
図1は、本発明に係る高負荷伝動ベルト1の一例を示す斜視概略図であり、図2は側面図である。本発明の高負荷伝動ベルト1は、エラストマー4内に心線5をスパイラル状に埋設してなる同じ幅の二本のセンターベルト3a、3bと、このセンターベルト3a、3bに係止固定されている複数のブロック2とから構成されている。このブロック2の両側面2a、2bは、プーリのV溝と係合する傾斜のついた面となっており、駆動されたプーリから動力を受け取って、係止固定されているセンターベルト3a、3bを引張り、駆動側プーリの動力を従動側プーリに伝動している。
ブロック2は、図1、図2に示すように、上ビーム11および下ビーム12と、上下ビーム11、12の中央部同士を連結したピラー13からなっており、ブロック2の両側面2a、2bには一対のセンターベルト3a、3bを嵌めこむ溝14、15が形成されている。また、溝15内の溝上面16および溝下面17にはセンターベルト3a、3bの上面に設けた凹条部18と下面に設けた凹条部19に係合する凸条部20、21に係合するようになっている。
本発明においてブロック2の上ビーム11の両側面には上端部分に他の部分よりも摩擦係数の小さい樹脂Aを配置しており、その他の部分には比較的摩擦係数の高い樹脂Bを配置している。本発明のようなベルトの場合、プーリに巻きかけて走行させるとブロックがプーリと定周期で断続的に接触するために、ピッチノイズを発生するが、前記のように摩擦係数の小さい樹脂をプーリと接触する上ビーム11の側面に配置することによってブロックとプーリとの間の滑りがよくなり、ノイズの発生を抑えることができる。
ブロックとプーリとの滑りがよくなることでノイズは低下するものの、スリップが発生して伝達能力が低下する恐れがあるが、本発明においては上ビーム11の側面でも摩擦係数の小さな樹脂を配置するのは上端部分のみで、より詳しくは、上端部分hは上ビーム側面の高さをHとしたときに(0.1×H)<h<(0.5×H)を満たす範囲に限っている。このように範囲を限定することで、ベルトの伝達性能が極端に低下することを避けることができ、必要なだけの伝達性能は維持してピッチノイズを極力低下させることができる。
また、摩擦係数の小さい樹脂Aであるが、そもそもベルトに装着してプーリと接触して動力を伝達するものであり、相応の曲げ強度、耐衝撃性や耐摩耗性を必要とするものであり、そのような強度面の性能を有する素材を用いる必要であるが、プーリに対してスムーズに進入しプーリから抜け出すことができて騒音の発生を小さく抑えることができるようなものであり、その摩擦係数μ1としては0.1〜0.2の素材を挙げることができる。摩擦係数μ1が0.1未満であると発生する騒音レベルは小さくなるがプーリとの間のスリップが発生しやすくなり伝達性能を低下させる問題があり、逆に摩擦係数μ1が0.2を超えるとプーリに接触したときの騒音が大きくなるので好ましくない。
比較的摩擦係数の高い樹脂Bとしては、具体的な例としては後で記載するが、このようなベルトのブロックとして通常用いられる樹脂を使用することができ、その摩擦係数μ2が0.2〜0.5の範囲の素材を用いることができる。摩擦係数μ2が0.2未満であるとプーリとの間の滑りが大きくなって動力伝達性能が不足してしまい、逆に0.5を超えると発熱や騒音発生の原因となるので好ましくない。
また、上ビーム11の側面の全面積中で摩擦係数の低い樹脂Aの占める割合は10〜60%の範囲とすることが好ましい。10%未満であると騒音を低減する効果が少なくなってしまい、60%を超えると騒音の低減には寄与するが、ベルトとプーリとのスリップ率が大きくなって動力伝達の性能が低下するので好ましくない。率が大きくなって動力伝達の性能が低下するので好ましくない。
本発明において用いることができる摩擦係数の小さな樹脂Aの例としては、熱可塑性樹脂に少なくとも繊維補強材および摩擦低減材を配合した樹脂組成物からなり、樹脂組成物の全量に対して繊維補強材は10〜40質量%、摩擦低減材は1〜20質量%の割合で配合してなる樹脂組成物を挙げることができる。
例えば、図3に示すようにブロック2の上ビーム11において上部を摩擦係数の低い樹脂Aにて構成することによって、本発明のベルトとすることができる。その他にも図4に示すように、上ビーム11の側面の上端におけるごく一部分のみを摩擦係数の小さい樹脂Aとしたようなブロックであっても構わない。本発明では、プーリとの接触により発生する衝撃音といった騒音を低減することを目的としており、上ビーム11の側面において前記の摩擦係数の小さい樹脂Aを配置すれば事足りるものではある。但し、図4のようにごく一部のみを異種の樹脂とするよりも図3のように上ビーム11の上部をひとまとまりで異種の樹脂とした方が、その部分だけが剥離したり、欠損したりする問題が発生しにくく図4の形態とすることが好ましい。このようなブロックの製造方法であるが、一般的に知られている多色成形法などによって異なる樹脂を配置したブロックを成形することができる。
ブロック2の上ビーム11の側面に前記のような摩擦低減材を配合した樹脂組成物を用いることによって、樹脂の摩擦係数を下げることができ、ブロック2がプーリに進入する際やプーリから脱出する際に発生する衝撃音や擦れ音を大幅に低減し、ベルト走行中におけるピッチノイズを抑える効果を発揮する。
一方、ブロック2において上下ビーム11、12の側面以外の部分については、摩擦低減材を配合していない樹脂組成物を用いることが好ましい。摩擦低減材を配合した樹脂組成物は、摩擦係数が低下してピッチノイズを抑える効果を有するが、強度は低下する傾向にあり、元々、高負荷の伝動という目的からするとブロックの強度は高くすることが好ましい。そこで、上下ビーム11、12の側面以外の部分において摩擦低減材を配合していない樹脂組成物を用いることによって、ピッチノイズを低減する効果を損なうことなくブロック全体としては強度を上げることができる。
摩擦低減材を配合していない樹脂組成物としては、熱可塑性樹脂に少なくとも繊維補強材を配合した樹脂組成物からなり、樹脂組成物の全量に対して繊維補強材は10〜40質量%の割合で配合することが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、4,6−ナイロン、9,T−ナイロン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミド等を挙げることができる。これらの中でも4,6−ナイロンもしくは9,T−ナイロンを使用することが好ましい。4,6−ナイロンおよび9,T−ナイロンは、結晶性樹脂で熱可塑性樹脂の中でも高温での曲げ合成及び耐疲労強度に優れ、繊維補強材を添加することでこれらの特性が一層向上するものである。また、射出成形が可能になることから、ブロックの成形を行うのがより簡単であるというメリットもある。更に4,6−ナイロンや9,T−ナイロンからなるブロックを用いたベルトは走行させたときに、プーリを摩耗させる量が少ないので、プーリの摩耗により走行を不安定にするといった問題も少なくなる。
9,T−ナイロンは、芳香環と長鎖ジアミンを有するポリアミド樹脂で、ノナンジアミンとテレフタル酸の重縮合により製造され、一般式が化1であらわされるものである。
芳香環と高級脂肪族鎖を有していることから、耐熱性、低吸水性を有している。また、ホモポリマーで結晶化度が高いため、結晶化度の低いポリアミドと比較すると4,6−ナイロンと同様に耐摩耗性、耐衝撃性、耐疲労性に優れている。従って、本材料を使用することにより、耐摩耗性、耐衝撃性、耐疲労性、熱時の曲げ剛性などの物性に優れているとともに吸水性の問題も少ないブロックを得ることができる。9,T−ナイロンの商品の例としては株式会社クラレの「ジェネスタ」を挙げることができる。
繊維補強材を配合することでブロックの剛性や耐摩耗性を向上させることができるが、本発明で用いられる繊維補強材としては、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ポリエステル繊維等からなる短繊維を挙げることができる。ブロックの剛性をより高めるとともに耐摩耗性を向上させるという面から前記の繊維の中では炭素繊維を用いることが最も好ましく、更に好ましくはPAN系炭素繊維を用いることである。
PAN系炭素繊維はそもそも弾性率が高くて補強効果の高い繊維であるが、そのなかでも特に弾性率が280〜700GPaと高いものを用いることによって、本発明のような高負荷伝動ベルトのブロックとして用いる場合にも十分に耐えうる素材を提供することができる。弾性率が280GPa未満であるとブロックの耐側圧性はある程度得られるものの耐摩耗性に関しては不足気味になり、700GPaを超えると弾性率の高いものにしても耐側圧性や耐摩耗性の向上はあまり見られずコスト的に高いものとなるので好ましくない。
短繊維の長さは通常1〜5mm程度のものを用いる。1mm未満であるとブロックの補強が十分になされず、5mmを超える長さであると熱可塑性樹脂へ配合して成形するのが困難になる。繊維補強材の配合量は10〜40質量%としており、10質量%未満であると十分な補強効果を得ることができず、40質量%を超えるとブロックの射出成形が困難になるので好ましくない。
摩擦低減材としてはフッ素樹脂、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)、グラファイト、二硫化モリブデン等を挙げることができ、通常1〜20質量%の範囲で配合する。1質量%未満であれば後述する耐摩耗性の問題や摩擦係数を下げる効果が少なく、20質量%を超えると樹脂への配合が困難になるので好ましくない。
これらの摩擦低減材の内、フッ素樹脂を用いる場合は特に熱可塑性樹脂に対して5〜15質量%の範囲で配合することが好ましい。5質量%未満であるとブロックとプーリが接したときに発生する騒音を下げる効果が十分に得られず、15%を超えると発音を小さくすることはできるが一方でブロックの強度が低下して十分な物性を得ることができなくなるので好ましくない。
フッ素樹脂としては、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)、ポリフッ化エチレンプロピルエーテル(PFPE)、4フッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合体(PFEP)、ポリフッ化アルコキシエチレン(PFA)等が挙げられる。
また、超高分子量ポリエチレンを使用する場合も特に熱可塑性樹脂に対して2〜8質量%の範囲で配合することが好ましい。フッ素樹脂を配合するときと同様に2質量%未満であるとブロックとプーリが接したときに発生する騒音を下げる効果が十分に得られず、8%を超えると発音を小さくすることはできるが一方でブロックの強度が低下して十分な物性を得ることができなくなるので好ましくない。また、超高分子量ポリエチレン用いる場合その平均粒径は10〜50μmの範囲のものを用いることができる。粒径が10μm未満であると製造が困難となり、粒径が50μmを超えると強度が低下してしまう。
グラファイトを配合することによって、グラファイトがプーリに移着してアブレシブ摩耗を減少させることができ、耐摩耗性を向上させることができる。また、摩擦係数を下げえることができるのでブロックとプーリとの接触による発音のレベルを抑える効果も有する。
フッ素樹脂を配合するとグラファイトと同様にプーリに移着して、アブレシブ摩耗を減少させることができ、耐摩耗性を向上させることができる。グラファイトよりもアブレシブ摩耗を減少させる効果は少ないものの摩擦係数を下げることはできるので、同様にブロックとプーリとの接触による発音のレベルを抑える効果も有する。また、グラファイトと比べるとブロックの物性の低下が少ないという利点がある。
二硫化モリブデンを配合することでやはりプーリに移着してアブレシブ摩耗を減少させたい摩耗性を向上させることができる。また、摩擦係数を下げる効果があり摩擦係数の調整を行うことができる。グラファイトと比べると温度や湿度の影響を受けにくいというメリットもある。
センターベルト3a、3bのエラストマー4として使用されるものは、クロロプレンゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水素化ニトリルゴムなどの単一材又はこれらを適宜ブレンドしたゴムあるいはポリウレタンゴム等が挙げられる。そして、心線5としてはポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、スチールワイヤ等から選ばれたロープが用いられる。また、心線5はロープをスパイラル状に埋設したもの以外にも、上記の繊維からなる織布、編布や金属薄板等を使用することもできる。
ベルトに装着したブロックが走行する際にプーリとの接触にて発する騒音の低減することができ、自動車や自動二輪車、農業機械の無段変速装置など、プーリの有効径が変化し大きなトルクを伝達するようなベルトとして適用することができる。
1 高負荷伝動ベルト
2 ブロック
3a センターベルト
3b センターベルト
4 エラストマー
5 心体
6 上面
7 下面
11 上ビーム部
12 下ビーム部
13 センターピラー
14 嵌合溝
15 嵌合溝
18 凸条部
19 凸条部
20 溝条部
21 溝条部
S
C
2 ブロック
3a センターベルト
3b センターベルト
4 エラストマー
5 心体
6 上面
7 下面
11 上ビーム部
12 下ビーム部
13 センターピラー
14 嵌合溝
15 嵌合溝
18 凸条部
19 凸条部
20 溝条部
21 溝条部
S
C
Claims (9)
- エラストマー中に心線を埋設したセンターベルトと、上ビームと下ビームを中央部にてピラーで連結しており、上下ビームとピラーによって囲まれた嵌合溝に前記センターベルトを挿入してなるブロックとからなる高負荷伝動ベルトにおいて、前記上ビーム側面の少なくとも上端部分をその他の部分と比べて摩擦係数の低い樹脂とし、前記上端部分hは上ビーム側面のプーリとの側面高さをHとしたときに(0.1×H)<h<(0.5×H)を満たす範囲としたことを特徴とする高負荷伝動ベルト。
- 摩擦係数の低い樹脂の摩擦係数μ1は0.1〜0.2であり、それ以外の樹脂の摩擦係数μ2は0.2〜0.5の範囲であり、且つ、μ1<0.9×μ2の式を満たしてなる請求項1記載の高負荷伝動ベルト。
- 上ビームの側面の面積中に摩擦係数の低い樹脂の占める割合が10〜60%の範囲である請求項1〜2記載の高負荷伝動ベルト。
- 摩擦係数の低い樹脂が、熱可塑性樹脂に少なくとも繊維補強材および摩擦低減材を配合した樹脂組成物からなり、該樹脂組成物の全量に対して繊維補強材は10〜40質量%、摩擦低減材は1〜20質量%の割合で配合してなる樹脂である請求項1〜3記載の高負荷伝動ベルト。
- 摩擦低減材がフッ素樹脂であり、5〜15質量%の範囲で配合してなる請求項1〜4記載の高負荷伝動ベルト。
- 摩擦低減材が超高分子量ポリエチレンであり、2〜8質量%の範囲で配合してなる請求項1〜5記載の高負荷伝動ベルト。
- 超高分子量ポリエチレンの粒径が10〜50μmである請求項6記載の高負荷伝動ベルト。
- 熱可塑性樹脂が4,6−ナイロンもしくは9,T−ナイロンである請求項1〜7記載の高負荷伝動ベルト。
- 上下ビーム部の側面以外の部分には摩擦低減材を含まない樹脂組成物を配置してなる請求項1〜8記載の高負荷伝動ベルト。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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