JP2009036026A - 可変容量圧縮機用制御弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】高圧側圧力と低圧側圧力との差圧に基づいて容量制御を行うとともに、吸入圧力を設定値以上に自律的に保持できる制御弁を提供する。
【解決手段】制御弁によれば、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧(Pd−Ps)を設定差圧に保つ本来の容量制御が行われる一方で、吸入圧力Psが監視され、その吸入圧力Psが設定圧力Psetよりも低くなると、感圧部材が開弁方向の駆動力を発生させる。また、ボディ5のソレノイド3とは反対側の端部にパワーエレメント6が設けられ、そのハウジング50の形状を皿ばね51の形状に合わせるようにしている。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車用空調装置の冷凍サイクルを構成する可変容量圧縮機の吐出容量を制御するのに好適な制御弁に関する。
自動車用空調装置は、一般に、その冷凍サイクルを流れる冷媒を圧縮して高温・高圧のガス冷媒にして吐出する圧縮機、そのガス冷媒を凝縮する凝縮器、凝縮された液冷媒を断熱膨張させることで低温・低圧の冷媒にする膨張装置、その冷媒を蒸発させることにより車室内空気との熱交換を行う蒸発器等を備えている。蒸発器で蒸発された冷媒は、再び圧縮機へと戻され、冷凍サイクルを循環する。
この圧縮機としては、エンジンの回転数によらず一定の冷房能力が維持されるように、冷媒の吐出容量を可変できる可変容量圧縮機(単に「圧縮機」ともいう)が用いられている。この圧縮機は、エンジンによって回転駆動される回転軸に取り付けられた揺動板に圧縮用のピストンが連結され、揺動板の角度を変化させてピストンのストロークを変えることにより冷媒の吐出量を調整する。揺動板の角度は、密閉されたクランク室内に吐出冷媒の一部を導入し、ピストンの両面にかかる圧力の釣り合いを変化させることで連続的に変えられる。このクランク室内の圧力は、圧縮機の吐出室とクランク室との間、またはクランク室と吸入室との間に設けられた可変容量圧縮機用制御弁(単に「制御弁」ともいう)により制御される。
このような制御弁として、例えば吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧(Pd−Ps)に応じてクランク室への冷媒の導入量を制御し、クランク室内の圧力(以下「クランク圧力」という)Pcを制御するものがある(例えば特許文献1参照)。
この制御弁は、差圧(Pd−Ps)を設定差圧に保つように、吐出室とクランク室との間の通路を連通または閉塞させる弁部を開閉制御するものであり、内部の弁体に対して開閉方向の駆動力を発生させるソレノイドを備えている。設定差圧は、ソレノイドに供給する外部電流により変えられるようになっている。
冷媒容量が増大して差圧(Pd−Ps)が設定差圧よりも大きくなると、弁開度が大きくなりクランク圧力Pcが上昇する。この結果、揺動板の傾斜角度ひいてはピストンのストロークが小さくなり、吐出容量が小さくなる。その結果、差圧(Pd−Ps)が小さくなり設定差圧に近づくように変化する。一方、冷媒容量が減少して差圧(Pd−Ps)が設定差圧よりも小さくなると、弁開度が小さくなりクランク圧力Pcが低下する。この結果、揺動板の傾斜角度ひいてはピストンのストロークが大きくなり吐出容量が大きくなる。その結果、差圧(Pd−Ps)が大きくなり設定差圧に近づくように変化する。
したがって、この設定差圧を調整することにより、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧(Pd−Ps)を所望の差圧に制御することができ、圧縮機からの冷媒の吐出容量を適切に調整することができる。また、差圧(Pd−Ps)が設定差圧になるように弁開度が変化する自律的な制御が行われ、吐出圧力Pd自体の大きさに基づいた容量制御が行われるため、吐出容量を変化させるのにレスポンスが良いというメリットもある。
特開2001−132650号公報(図4)
ところで、このような制御弁が組み込まれた圧縮機が起動されると、差圧(Pd−Ps)がほぼゼロの状態から設定差圧まで徐々に変化していくいわゆるソフトスタートが行われる。図14は、従来の圧縮機の起動時からの吐出圧力および吸入圧力の変化の様子を表す説明図である。同図において、横軸が起動時からの時間の経過tを表し、縦軸が吐出圧力Pdおよび吸入圧力Psを表している。また、図中の一点鎖線は吐出圧力Pdの変化を表し、実線は吸入圧力Psの変化を表している。
すなわち、制御弁のソレノイドが非通電のとき、つまり圧縮機の機能が実質的に停止している最小容量運転のときには、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧(Pd−Ps)はほぼゼロの状態になっている。このとき、図示のように吐出圧力Pdと吸入圧力Psとがほぼ同じ圧力となる。
そして、ソレノイドに通電がされて圧縮機が起動されると、その通電量の調整により、差圧(Pd−Ps)が徐々に大きくなって設定差圧に近づいていく制御が行われる。なお、この設定差圧は、制御弁の外部に設置された制御装置が種々の外部情報に基づいてソレノイドに供給する電流量を変化させることにより調整される。
しかしながら、冷房能力を高めるために、例えば同図に破線で示すように差圧(Pd−Ps)が大きくなって吸入圧力Psが低下しすぎると、これに比例する蒸発器の温度も低くなる。つまり、過剰冷房により蒸発器の凍結を招き、冷房能力が著しく低下するおそれがある。一方、上述のような差圧(Pd−Ps)を設定差圧にする自律的な制御そのものは、吸入圧力Psを一定以上に保持するものではない。つまり、単に差圧(Pd−Ps)の設定差圧に制御しても、吸入圧力Psを所定値以上に設定する作用はなく、差圧(Pd−Ps)が一定のまま吸入圧力Psが下がると、過剰冷房となることがあり得る。
そこで、通常は蒸発器の出口温度が検出され、制御装置にフィードバックされる。制御装置は、この蒸発器の出口温度が所定の基準値よりも低くなると、ソレノイドへの通電量を制御して設定差圧を小さくするなどして、吸入圧力Psが下がりすぎないように調整する。その結果、図中の一点鎖線および実線にてそれぞれ示すように吐出圧力Pdおよび吸入圧力Psが変化して設定差圧に近づくように制御され、蒸発器の凍結が防止される。なお、同図の二点鎖線は、上記蒸発器の出口温度の基準値に対応する圧力値Pminを表している。
しかしながら、このように蒸発器の出口温度を常に監視してフィードバック制御を行うと、吸入圧力Psがその出口温度の基準値に対応した圧力値付近で比較的大きな変動を繰り返すことになる。このため、制御の安定性および応答性の観点からは、吸入圧力Psがその圧力値Pmin以上に保持される特性が自律的に得られるのが好ましい。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、高圧側圧力と低圧側圧力との差圧に基づいて容量制御を行うとともに、吸入圧力を設定値以上に自律的に保持できる制御弁を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、吐出室の吐出圧力と吸入室の吸入圧力との差圧を設定差圧に保つように吐出室からクランク室に導入する冷媒流量を制御して、可変容量圧縮機の吐出容量を変化させる可変容量圧縮機用制御弁である。この制御弁は、内部に冷媒通路が形成されたボディと、吐出室とクランク室とを連通させる冷媒通路を形成する弁孔に接離するように配置されて弁部を開閉する弁体と、ボディの一端側に設けられたハウジングと、ハウジング内を吸入圧力が導入される開放空間と密閉空間とに仕切るように配設された薄膜または薄板状の感圧部材とを含み、吸入圧力が設定圧力よりも低くなったときに、感圧部材が変位して弁体に開弁方向の駆動力を付与するように構成された感圧部と、ボディの他端側に設けられ、設定差圧に対応して供給される電流量に応じた閉弁方向のソレノイド力を弁体に付与可能なソレノイドと、を備える。
この態様によれば、吐出圧力と吸入圧力との差圧を設定差圧に保つ本来の容量制御が行われる一方で吸入圧力が監視され、その吸入圧力が設定圧力よりも低くなると、感圧部が弁体に開弁方向の駆動力を付与する。すなわち、吸入圧力が設定圧力よりも低くなったときに弁部を開きやすくすることにより、可変容量圧縮機の吐出容量が低減され、過剰冷房を防止することができる。この容量制御は、感圧部が吸入圧力を感知することにより自律的に行われるため、制御の安定性および応答性を良好に保持することができる。さらに、ボディのソレノイドとは反対側の端部に感圧部が設けられるため、制御弁を簡易な構成で実現することができる。
本発明の別の態様もまた、吐出室の吐出圧力と吸入室の吸入圧力との差圧を設定差圧に保つように吐出室からクランク室に導入する冷媒流量を制御して、可変容量圧縮機の吐出容量を変化させる可変容量圧縮機用制御弁である。この可変容量圧縮機用制御弁は、内部に冷媒通路が形成されたボディと、吐出室とクランク室とを連通させる冷媒通路を形成する弁孔に接離可能に配置され、その一端側でクランク室のクランク圧力を受ける一方、他端側で吸入圧力を受け、軸線方向に動作して弁部を開閉する弁体と、ボディの一端側に設けられたハウジングと、ハウジング内をクランク圧力が導入される開放空間と密閉空間とに仕切るように配設された薄膜または薄板状の感圧部材とを含んで構成された感圧部と、ボディの他端側に設けられ、設定差圧に対応して供給される電流量に応じた閉弁方向のソレノイド力を弁体に付与可能なソレノイドと、を備える。そして、弁体の有効受圧面積と感圧部材の有効受圧面積とが実質的に等しく形成されることにより、吸入圧力が設定圧力よりも低くなったときに、弁体に作用するクランク圧力が実質的にキャンセルされるとともに、感圧部材が変位して弁体に開弁方向の駆動力を付与する。
この態様においても、吐出圧力と吸入圧力との差圧を設定差圧に保つ本来の容量制御が行われる一方で吸入圧力が監視され、その吸入圧力が設定圧力よりも低くなると、感圧部が弁体に開弁方向の駆動力を付与する。すなわち、吸入圧力が設定圧力よりも低くなったときに自律的に弁部を開きやすくすることにより、可変容量圧縮機の吐出容量が低減され、過剰冷房を防止することができる。また、ボディのソレノイドとは反対側の端部に感圧部が設けられるため、制御弁を簡易な構成で実現することができる。
本発明のさらに別の態様もまた、可変容量圧縮機用制御弁である。この可変容量圧縮機用制御弁は、吐出室の吐出圧力とクランク室のクランク圧力との差圧を設定差圧に保つように吐出室からクランク室に導入する冷媒流量を制御して、可変容量圧縮機の吐出容量を変化させる。この可変容量圧縮機用制御弁は、内部に冷媒通路が形成されたボディと、吐出室とクランク室とを連通させる冷媒通路を形成する弁孔に接離するように配置されて弁部を開閉する弁体と、ボディの一端側に設けられたハウジングと、ハウジング内をクランク圧力が導入される開放空間と密閉空間とに仕切るように配設された薄膜または薄板状の感圧部材とを含み、クランク圧力が設定圧力よりも低くなったときに、感圧部材が変位して弁体に開弁方向の駆動力を付与するように構成された感圧部と、ボディの他端側に設けられ、設定差圧に対応して供給される電流量に応じた閉弁方向のソレノイド力を弁体に付与可能なソレノイドと、を備える。
この態様によれば、吐出圧力とクランク圧力との差圧を設定差圧に保つ本来の容量制御が行われる一方で吸入圧力が監視され、そのクランク圧力が設定圧力よりも低くなると、感圧部が弁体に開弁方向の駆動力を付与する。すなわち、一般に容量制御中においては吸入圧力とクランク圧力との差は比較的小さく、冷凍サイクルの低圧側の温度に対して概ね比例する傾向にある。このため、クランク圧力が設定圧力よりも低くなったときに弁部を開きやすくすることにより、可変容量圧縮機の吐出容量が低減され、過剰冷房を防止することができる。さらに、ボディのソレノイドとは反対側の端部に感圧部が設けられるため、制御弁を簡易な構成で実現することができる。
本発明によれば、高圧側圧力と低圧側圧力との差圧に基づいて容量制御を行うとともに、吸入圧力を設定値以上に自律的に保持できる制御弁を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては、便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を上下と表現することがある。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る可変容量圧縮機用制御弁の構成を示す断面図である。
可変容量圧縮機用制御弁(単に「制御弁」という)1は、可変容量圧縮機(単「圧縮機」という)の吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧(Pd−Ps)を設定差圧に保つように、吐出室からクランク室に導入する冷媒流量を制御するいわゆるPd−Ps弁として構成されている。
制御弁1は、吐出冷媒の一部をクランク室へ導入するための冷媒通路を開閉する弁部を含む弁本体2と、その弁部の開度を調整してクランク室へ導入する冷媒流量を制御するソレノイド3とを、接続部材4を介して一体に組み付けて構成される。
弁本体2は、段付円筒状のボディ5、ボディ5の内部に設けられた弁部、ボディ5の上端に設けられて弁部を開閉するための駆動力を発生するパワーエレメント6(「感圧部」に該当する)等を備えている。
ボディ5の側部には、圧縮機の吐出室に連通して吐出圧力Pdを受けるポート11(「吐出室連通ポート」に該当する)が設けられている。ポート11の周囲には、ボディ5の内部へのごみ等の侵入を防止するためのストレーナ12が取り付けられている。ポート11は、ボディ5の上部に設けられたポート13(「クランク室連通ポート」に該当する)と内部で連通している。ポート13は、圧縮機のクランク室に連通し、そのクランク室に制御されたクランク圧力Pcを導出する。
ポート11とポート13とを連通する冷媒通路には、段付円筒状の弁座形成部材14が配設されており、その内部通路により弁孔15が形成されている。また、弁座形成部材14において弁孔15の吐出室側の開口端縁により弁座16が形成されている。さらに、弁孔15を貫通するように、長尺有底円筒状の伝達ロッド17が挿通されており、その上端部が弁座形成部材14によって摺動可能に支持されている。この伝達ロッド17と弁孔15との間隙により、ポート11とポート13とを連通する冷媒通路が形成される。伝達ロッド17は、パワーエレメント6を構成するダイヤフラム19に当接可能となっている。
また、弁座16に吐出室側から対向して、長尺状の作動ロッド21の一端部からなる弁体22が接離自在に配置されている。作動ロッド21は、ボディ5の中央に設けられたガイド孔23に摺動可能に軸支されている。弁体22は、弁孔15の上流側で吐出室に連通する圧力室24に配置され、その先端面の外周縁が弁座16に着脱することにより弁孔15を開閉する。作動ロッド21の上端部には、伝達ロッド17の下端部が挿通され、一体的に連結されている。なお、本実施の形態では、作動ロッド21の一端部により弁体22が形成されるとしたが、作動ロッド21の全体を弁体と捉えることもできる。
ボディ5の下部は、有底円筒状の接続部材4に圧入されている。なお、このボディ5の接続部材4への圧入量によりソレノイド3の磁気ギャップを設定することが可能となっている。接続部材4の底部近傍の側部には内外を連通する連通孔が設けられており、ボディ5の下端部と接続部材4の底部との間には、圧縮機の吸入室に連通して吸入圧力Psを受けるポート26(「吸入室連通ポート」に該当する)が形成されている。ポート26は、ボディ5の下端中央に設けられた所定深さの開口孔27に連通している。ボディ5とソレノイド3とにより囲まれたこの開口孔27が位置する内部空間は、吸入圧力Psが導入される圧力室28を形成する。この圧力室28は、作動ロッド21および伝達ロッド17にそれぞれ設けられた連通孔を介してパワーエレメント6の圧力室29に連通しており、吸入圧力Psがその圧力室29に導入されるように構成されている。なお、吸入圧力Psはソレノイド3の内部にも導入可能となっている。さらに、作動ロッド21とボディ5との間には、作動ロッド21を開弁方向に付勢するスプリング30が介装されている。
一方、ソレノイド3は、ヨークとしても機能するケース31と、ケース31内に固定されたコア32と、コア32と軸線方向に対向配置されたプランジャ33と、外部からの供給電流により磁気回路を生成する電磁コイル34とを備えている。接続部材4とソレノイド3とは、接続部材4の下端部とケース31の上端部とを突き合わせ、その接合部をコア32の上端部を加締めることにより固定することで連結されている。
コア32には、その中央を軸線方向に貫通する挿通孔35が設けられており、ソレノイド力を弁体22へ伝達するためのシャフト36を挿通している。コア32の上端部には、リング状の軸受け部材38が圧入されており、シャフト36の上端部がこの軸受け部材38に摺動可能に支持されている。圧力室28内の吸入圧力Psは、シャフト36と軸受け部材38との微少な間隙を介してソレノイド3の内部にも導入可能となっている。
コア32には、また、下端が閉じた有底スリーブ39が外挿されている。有底スリーブ39内においては、プランジャ33がコア32の下方で軸線方向に進退可能に配置されている。有底スリーブ39は、その下端部が縮管されており、その縮管部によってシャフト36の下端部を摺動可能に軸支している。プランジャ33は、円筒状をなし、シャフト36の下半部に圧入されている。
ケース31の下端開口部には、ソレノイド3の内部を下方から封止するように樹脂材からなる取っ手40が設けられている。この取っ手40には、ケース31とともに磁気回路を構成する磁性部材からなるカラー42が埋設されている。取っ手40はまた、電磁コイル34につながる端子の一端を露出させるコネクタ部としても機能する。
以上のように構成された制御弁1は、取り付け用のワッシャ45を介して圧縮機100の所定の冷媒通路内に固定される。
次に、感圧部および弁部周辺の構成および動作について詳細に説明する。
図2は、図1の上半部に対応する部分拡大断面図である。同図は、制御弁が大気に放置された状態を表している。
パワーエレメント6は、弁座形成部材14の上端部に固定された中空のハウジング50と、ハウジング50内を密閉空間S1と開放空間S2とに仕切るように配設された金属薄膜からなるダイヤフラム19と、密閉空間S1に配置された金属薄板からなる皿ばね51とを含んで構成されている。ダイヤフラム19は、例えばベリリウム銅やステンレス鋼等の金属薄板からなるものでもよい。皿ばね51は、例えばステンレス鋼からなるものでもよい。さらに、ダイヤフラム19と皿ばね51との間には、両者間の摩耗を抑制するための薄膜状の耐摩耗シート52(「薄膜状部材」に該当する)が介装されている。この耐摩耗シート52によりダイヤフラム19の寿命を長くしている。この耐摩耗シート52としては、例えばテフロン(登録商標)などのフッ素樹脂からなる薄膜シートあるいはポリイミドフィルム等を使用することができる。開放空間S2が上述の圧力室29を構成している。本実施の形態では、ダイヤフラム19と皿ばね51とを重ねて構成された部材が「感圧部材」として機能する。
ハウジング50は、いずれもステンレス等をプレス成形して得られた皿状の第1ハウジング53および第2ハウジング54からなり、これらの開口部を突き合わせてその外縁部にダイヤフラム19および耐摩耗シート52の外縁部を挟むようにして組み付けられる。すなわち、ハウジング50は、第1ハウジング53側に皿ばね51を配置するとともに、第1ハウジング53と第2ハウジング54との間にダイヤフラム19および耐摩耗シート52を挟んだ状態でその接合部に沿って外周溶接(TIG溶接)が施されることにより、容器状に形成されている。両ハウジングの溶接は真空雰囲気内で行われ、その溶接の後、第1ハウジング53の底部中央に形成された真空引き用の孔部を封止するようにボール部材55を溶接する。このため、密閉空間S1は真空状態となっているが、密閉空間S1内に大気等を満たすようにしてもよい。密閉空間S1に配置された皿ばね51は、ダイヤフラム19に沿って中央部が下側にやや膨らんだ凸形状をなしている。このため、パワーエレメント6が大気に放置された状態ではダイヤフラム19も皿ばね51に沿った凸形状となる。
第2ハウジング54は、その中央部が下方に延出しており、弁座形成部材14の上端部に圧入されている。第2ハウジング54、ダイヤフラム19、弁座形成部材14および伝達ロッド17に囲まれた空間が圧力室29を形成している。
一方、伝達ロッド17は、下方に開口する有底円筒状をなし、曲面状の上端面中央がダイヤフラム19の下面中央に当接している。伝達ロッド17の上端近傍の側部には、内部通路61と圧力室29とを連通する連通孔62が形成されている。一方、作動ロッド21は、その上半部が段付円筒状をなし、その上端開口部63に伝達ロッド17の下端部が内挿されている。本実施の形態において、伝達ロッド17と作動ロッド21とは固定されておらず、両者間にはその接続部において微少なクリアランスが設けられている。これにより、弁座形成部材14の軸心とガイド孔23の軸心とが微妙にずれていたとしても、そのクリアランスがこれを吸収し、伝達ロッド17および作動ロッド21の軸線方向の動きが妨げられないようになっている。作動ロッド21の側部には、内部通路64と圧力室28とを連通させる連通孔65が形成されている。
このような構成により、ポート26を介して導入された吸入圧力Psは、作動ロッド21の内部通路64および伝達ロッド17の内部通路61を介して圧力室29に導入される。ダイヤフラム19は、この吸入圧力Psを感知して弁部の開閉方向に伸縮動作する。
弁座形成部材14は、その下端面とボディ5との間にポリイミドフィルム等からなる薄膜状のダイヤフラム67(「シール部材」に該当する)を挟んだ状態でボディ5の上半部に挿通されている。弁座形成部材14は、ボディ5の上端開口部が部分的に内方に加締められることによってボディ5に固定されている。作動ロッド21がこのダイヤフラム67の中央部を貫通しているが、ダイヤフラム67の内縁が作動ロッド21の外周面に密着しているため、ダイヤフラム67の上下で冷媒の漏洩が防止され、吐出圧力Pdが圧力室28に及ばないようになっている。弁座形成部材14の側部の上下には内外を連通する連通孔71,72がそれぞれ設けられており、ポート11とポート13とを連通させている。
本実施の形態においては、弁座形成部材14における伝達ロッド17の摺動部(摺動孔)の断面積Aと弁孔15の断面積Bとが等しく形成されている。したがって、伝達ロッド17と作動ロッド21との結合体(以下「ロッド結合体」という)に作用するクランク圧力Pcによる力がキャンセルされる。一方、ガイド孔23の断面積Cは、断面積A,Bよりも大きく形成されている。したがって、ロッド結合体には、パワーエレメント6による駆動力が作用していないときには、断面積(C−A)の部分において、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧(Pd−Ps)による力が作用することになる。一方、吸入圧力Psが低くなると、パワーエレメント6におけるダイヤフラム19の前後差圧が小さくなる。その結果、相対的に皿ばね51の荷重が大きくなり、感圧部材が開弁方向に変位する。このパワーエレメント6による駆動力が作用すると、ロッド結合体は開弁方向に変位する。
本実施の形態の感圧部材は、ダイヤフラム19および皿ばね51の個々の剛性を合わせた剛性を有し、ダイヤフラム19のしなやかさを保持する一方、皿ばね51によって耐圧強度が高められている。皿ばね51は、片側に凸状に膨らんだ形状を有するため、その凸部側から荷重が負荷されると、その荷重が小さい間は変形量も小さいが、荷重が大きくなるにつれてフラットになる側に徐々に変形し、さらに荷重が大きくなると反転して中央部が大きく変位する。このため、皿ばね51の荷重に対する変形の特性は全体としては非線形となるが、その形状がフラットになる前後の所定の変位幅においては線形性を有する。
本実施の形態では、この線形領域を制御領域に利用することにより、正確な弁開度制御を行っている。この皿ばね51の荷重を調整することにより、ダイヤフラム19および皿ばね51からなる感圧部材を変位させるのに要する吸入圧力Psも変化する。パワーエレメント6の弁座形成部材14に対する圧入量を変化させることにより、皿ばね51の設定荷重を微調整することもできる。これにより、吸入圧力Psが設定圧力Psetを下回ると、感圧部材が変位して伝達ロッド17を介して弁体22に開弁方向の駆動力を作用させる。本実施の形態では、蒸発器の凍結防止を保証できる吸入圧力Psの値を実験等により予め取得し、その値を設定圧力Psetとして設定している。
上述した構成において、図2に示すように、弁体22の有効受圧面積(つまり弁孔15の断面積)B、ガイド孔23の断面積C、感圧部材の有効受圧面積D、ソレノイド3による閉弁方向のソレノイド力fi、感圧部材(主に皿ばね51)による開弁方向の力r(x)、スプリング30による開弁方向の力fsとすると、概ね下記式(1)および(2)のような力のつり合いの関係がある。なお、xは、弁体22が弁座16に着座した閉弁位置を基準とした開弁方向へのストローク(mm)を表している。
1)Ps>Psetのとき
(C−B)(Pd−Ps)=fi−fs
よって、
Ps=Pd−(fi−fs)/(C−B)・・・(1)
2)Ps≦Psetのとき
(C−B)(Pd−Ps)=fi−fs−r(x)+D・Ps
よって、
Ps={(C−B)・Pd+r(x)−fi+fs}/(D+C−B)・・・(2)
ここでは、吸入圧力Ps=設定圧力Psetとなる感圧部材の作用開始点において実質的にx=0となるため、上記式(1)および(2)の吸入圧力Psを等しいとおいて、Ps=Pset、x=0を代入すると、設定圧力Psetは、下記式(3)にて表される。
Pset=r(0)/D・・・(3)
図3は、弁体の変位と弁体に作用しうる荷重(力)との関係を表す図である。同図において、横軸は閉弁位置を基準とする弁体の開弁方向への変位量(ストローク)つまり弁開度を表し、縦軸は弁体に作用する各力の大きさを表している。
すなわち、皿ばね51は、閉弁状態で伝達ロッド17に当接した場合にほぼフラットとなるように配設されており、そのばね力r(x)は、そこから開弁方向へ変位するにしたがって小さくなる。なお、実際にばね力r(x)が伝達ロッド17に作用するのは、同図においてその傾斜が緩やかな線形領域である。また、スプリング30のばね力fsも開弁方向への変位にしたがって小さくなるが、その変化量は比較的小さい。一方、ソレノイド力fiは、供給電流i(A)とストロークx(mm)の関数f(i,x)となっており、その絶対値は、電流値によって図示のように変化する。同図に示すように、外部から供給される電流値が大きくなるほど、閉弁方向に作用する力が大きくなる。
図4は、容量制御による吐出圧力と吸入圧力との関係を表す図である。同図において、横軸は吐出圧力Pd(Mpa)を表し、縦軸は吸入圧力Ps(Mpa)を表している。図中の一点鎖線は、吸入圧力Psについて設定された設定圧力Pset(=r(0)/D)を表している。また、太線が差圧(Pd−Ps)を一定保持する差圧制御の特性を表し、細線が吸入圧力Psを一定に保持する圧力感知制御の特性を表している。
制御弁1は、その容量制御において、基本的に吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧(Pd−Ps)を設定差圧に保持するいわゆるPd−Ps弁として動作する。この設定差圧は、ソレノイド3に供給される電流値によって変更可能となっており、図示のように、電流値が高くなるほど差圧が大きくなる。一方、その差圧制御において吸入圧力Psが設定圧力Psetを下回ると、その吸入圧力Psの低下を抑制するよう、吸入圧力Psをほぼ一定にする圧力制御に切り替えられる。図示のように、吸入圧力Psが設定圧力Psetを下回ると、吐出圧力Pdに対する吸入圧力Psの変化量が小さくなっている。
すなわち、Ps>Psetのときには、上記式(1)にも示されるように、吸入圧力Psは、ばね力r(x)の影響を受けない。供給電流値が一定であれば、吸入圧力Psは、吐出圧力Pdとの差圧をその電流値に応じた設定差圧に保持するよう、吐出圧力Pdとともに変化する。一方、Ps≦Psetのときには、上記式(2)にも示されるように、吸入圧力Psは、ばね力r(x)の影響を受け、吐出圧力Pdの変化に対する吸入圧力Psの変化を抑制する(変化の傾きを小さくする)。つまり、制御弁1は、図中実線にて示す制御特性を有する。吸入圧力Psは、差圧制御および圧力感知制御においてそれぞれ得られる圧力のうち、大きい方の圧力に制御されることになる。
図5〜図7は、制御弁の感圧部を中心とした動作を表す説明図である。各図は、図2に対応する部分拡大断面図である。図5は、ソレノイド3がオフにされ、吸入圧力Psが高いときの状態を示している。図6は、ソレノイド3がオンにされ、弁部が微少開度に保持された容量制御中の状態を示している。図7は、容量制御中において吸入圧力Psが設定圧力Psetを下回ったときの状態を示している。
ソレノイド3の非通電状態においては吸入圧力Psが高いため、図5に示すように、開放空間S2に導入されたその吸入圧力Psと、密閉空間S1内の内部圧力との差圧が大きく、その差圧による荷重がダイヤフラム19および皿ばね51に作用する。このため、皿ばね51がその周縁部を支点にしてその凸形状が反転する側に弾性変形し、第1ハウジング53の内壁にほぼ沿うようになる。本実施の形態では、このように皿ばね51が第1ハウジング53の内壁面によって係止されるため、完全に反転する手前の状態に保持される。なお、後述のように吸入圧力Psが低くなれば、皿ばね51がその弾性力により元の形状に復帰できる。言い換えれば、第1ハウジング53は、このように皿ばね51が反転する手前の状態に変形したときの形状に沿う浅い形状に形成されている。これは、パワーエレメント6ひいては制御弁1のコンパクト化にも寄与している。
一方、ソレノイド3に通電された容量制御状態において吸入圧力Psが設定圧力Psetよりも高いときには(Ps>Pset)、図6に示すように感圧部材が伝達ロッド17から離れている。このため、制御弁1は、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧(Pd−Ps)を設定差圧に保持するいわゆるPd−Ps弁として動作する。
そして、吸入圧力Psが設定圧力Psetを下回ると(吸入圧力Ps≦設定圧力Pset)、図7のように感圧部材が伝達ロッド17に接触してこれを押圧する。その結果、制御弁1は、吸入圧力Psを設定圧力Psetに保持するいわゆるPs感知弁として動作する。
図8は、圧縮機の起動時からの吐出圧力及び吸入圧力の変化の様子を表す説明図である。同図において、横軸が起動時からの時間の経過tを表し、縦軸が吐出圧力Pd及び吸入圧力Psを表している。また、図中の一点鎖線は吐出圧力Pdの変化を表し、実線は吸入圧力Psの変化を表している。
制御弁1のソレノイド3が非通電のとき、つまり圧縮機の機能が実質的に停止している最小容量運転のときには、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧(Pd−Ps)はほぼゼロの状態になっている。このとき、図示のように、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとがほぼ同じ圧力となる。
そして、ソレノイド3に通電がされて圧縮機が起動されると、差圧(Pd−Ps)が徐々に大きくなって設定差圧に近づいていく制御が行われる。このとき、冷房能力を高めるために、差圧(Pd−Ps)が大きくなって吸入圧力Psが設定圧力Psetを下回ろうとすると、感圧部材の動作により弁体22に開弁方向の力が作用する。つまり、制御弁1は、吸入圧力Psを設定圧力Pset以上に保持するように自律的に動作する。このため、吸入圧力Psが低下しても、図中点線で表されるように大きく低下することはなく、設定圧力Pset付近に保持されるようになる。
次に、制御弁の全体の動作について説明する。
図1に示した制御弁1において、ソレノイド3が非通電のときには、吐出圧力Pdにより弁体22が弁座16から離間して弁部が全開状態に保持される。このとき、圧縮機の吐出室からポート11に導入された吐出圧力Pdの高圧冷媒は、全開状態の弁部を通過し、ポート13からクランク室へと流れることになる。したがって、クランク圧力Pcが吐出圧力Pdに近い圧力になるため、圧縮機は最小容量運転を行う。
一方、自動車用空調装置の起動時または冷房負荷が最大のときには、ソレノイド3に供給される電流値は最大になり、プランジャ33は、コア32に最大の吸引力で吸引される。このとき、弁体22を含む作動ロッド21、伝達ロッド17、シャフト36およびプランジャ33が、一体になって閉弁方向に動作し、弁体22が弁座16に着座する。この閉弁動作によってクランク圧力Pcが低下するため、圧縮機は最大容量運転を行うことになる。
ここで、ソレノイド3に供給される電流値が所定値に設定されているときには、弁体22を含む作動ロッド21、伝達ロッド17、シャフト36およびプランジャ33が一体動作する。このとき、弁体22は、作動ロッド21を開弁方向に付勢するスプリング30のばね荷重と、プランジャ33を閉弁方向に付勢しているソレノイド3の荷重と、弁体22が開弁方向に受圧する吐出圧力Pdによる力と、弁体22が閉弁方向に受圧する吸入圧力Psによる力とがバランスした弁リフト位置にて停止する。
このバランスが取れた状態で、エンジンの回転数とともに圧縮機の回転数が上がって吐出容量が増えると、吐出圧力Pdが上がって吸入圧力Psが下がる。その結果、その差圧(Pd−Ps)が大きくなって弁体22に開弁方向の力が作用し、弁体22は、さらにリフトして吐出室からクランク室へ流す冷媒の流量を増やす。これにより、クランク圧力Pcが上昇し、圧縮機は、その吐出容量を減少させる方向に動作し、差圧(Pd−Ps)が設定差圧になるように制御される。エンジンの回転数が低下した場合には、その逆の動作が行われ、差圧(Pd−Ps)が設定差圧になるように制御される。
そして、以上のような圧縮機の動作による冷凍サイクルの運転の過程で吸入圧力Psが設定圧力Psetよりも低くなると、パワーエレメント6の感圧部材が変位して伝達ロッド17を開弁方向へ押圧する。それにより、弁体22が開弁方向へ変位して弁部の開度を拡大し、クランク圧力Pcが上昇して吐出容量を低減させる。その結果、吸入圧力Psが設定圧力Psetに維持され、過剰冷房が防止される。
以上に説明したように、本実施の形態の制御弁1によれば、吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧(Pd−Ps)を設定差圧に保つ本来の容量制御が行われる一方で、吸入圧力Psが監視され、その吸入圧力Psが設定圧力Psetよりも低くなると、感圧部材が開弁方向の駆動力を発生させる。このように、吸入圧力Psが設定圧力Psetよりも低くなったときに弁部を開きやすくすることにより、圧縮機の吐出容量が低減され、過剰冷房を防止することができる。また、ボディ5のソレノイド3とは反対側の端部にパワーエレメント6が設けられ、そのハウジング50の形状を皿ばね51の形状に合わせるようにしたため、パワーエレメント6そのもの、ひいては制御弁1をコンパクトに構成することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る制御弁は、受圧形態が異なる点を除けば第1の実施の形態の制御弁とほぼ同様の構成を有する。このため、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付す等して適宜その説明を省略する。図9は、第2の実施の形態に係る制御弁の上半部の部分拡大断面図である。同図は、制御弁が大気に放置された状態を表している。
制御弁201は、弁本体202とソレノイド3とを接続部材4を介して一体に組み付けて構成される。ポート11とポート13とを連通する冷媒通路には、パワーエレメント206のハウジング250の下部が挿通されており、その内部通路により弁孔15が形成されている。また、ハウジング250において弁孔15の吐出室側の開口端縁により弁座16が形成されている。さらに、弁孔15を貫通するように、円柱状の伝達ロッド217が挿通されており、ハウジング250によって摺動可能に支持されている。この伝達ロッド217の外周面に設けられた凹部18と弁孔15との間隙により、ポート11とポート13とを連通する冷媒通路が形成される。伝達ロッド217の上端は、パワーエレメント206のダイヤフラム19に当接可能となっている。
また、弁座16に吐出室側から対向して、長尺円柱状の作動ロッド221の一端部からなる弁体22が接離自在に配置されている。作動ロッド221は、ボディ205の中央に設けられたガイド孔23に摺動可能に軸支されている。作動ロッド221の上端面は、伝達ロッド217の下端面に下方から当接し、これを軸線方向に支持している。なお、本実施の形態では、作動ロッド221の一端部により弁体22が形成されるとしたが、作動ロッド221の全体を弁体と捉えることもできる。作動ロッド221とボディ205との間には、作動ロッド221を開弁方向に付勢するスプリング30が介装されている。
パワーエレメント206は、ハウジング250、ハウジング250内を仕切るダイヤフラム19、密閉空間S1に配置された皿ばね51を含んで構成されている。ハウジング250の第2ハウジング254は、その中央部が下方に円筒状に延出してボス部57となっており、そのボス部57がボディ205の上端開口部に圧入されている。ボス部57の下部により弁孔15が形成されている。第2ハウジング254には、その内外を連通する複数の連通孔58が設けられており、第2ハウジング254、ダイヤフラム19および弁体22(作動ロッド221)に囲まれた空間が、ポート13および開放空間S2に連通する圧力室29を形成している。ダイヤフラム19には、この圧力室29に導入されるクランク圧力Pcが作用する。
一方、伝達ロッド217は円柱状をなし、曲面状の上端面中央がダイヤフラム19の下面中央に当接している。伝達ロッド217の側面には、圧力室29とを連通する凹部18が形成されている。伝達ロッド217の下面はフラットになっており、作動ロッド221のフラットな上端面に当接している。本実施の形態において、伝達ロッド217と作動ロッド221とは固定されておらず、両者のそれぞれに加わる力の関係によっては離間可能となるが、変形例においてはこれらが一体に固定あるいは、一体成形されていてもよい。その場合、伝達ロッド217はボス部57に対して摺動する必要はなく、両者の間に冷媒通路となる間隙が形成されていてもよい。
ガイド孔23のポート11側の開口端縁には、ポリイミドフィルム等からなる薄膜状のダイヤフラム60(「シール部材」に該当する)が配設されている。作動ロッド221がこのダイヤフラム60の中央部を貫通しているが、ダイヤフラム60の内縁が作動ロッド221の外周面に密着しているため、ダイヤフラム60の上下で冷媒の漏洩が防止され、吐出圧力Pdが圧力室28に及び難くなっている。作動ロッド221の軸線方向中央部の外周面には、凹部25が形成されている。この凹部25は、仮にポート11から導入された冷媒がポート26側に漏れた場合に、その冷媒に含まれるごみを滞留させ、作動ロッド221の摺動部の間隙に詰まるのを防止する。
本実施の形態においては、弁体22の有効受圧面積B2(弁孔15の断面積と実質的に等しい)と、ダイヤフラム19および皿ばね51からなる感圧部材のみかけの有効受圧面積D2とが実質的に等しく形成されている。なお、ここでいう「みかけの有効受圧面積」とは、感圧部材を制御点近傍の所定位置まで軸線方向に一定量変位させるのに要する軸線に沿った集中荷重を、同時に感圧部材の前後に付与する等分布圧力を変化させて測定し、その集中荷重の変化量をその等分布圧力の変化量にて除算して得られる面積として定義される。なお、ここでいう「制御点」とは、ソレノイド3がオンにされた制御状態における感圧部材の中央部の位置を意味し、感圧部材がほぼフラットになった状態に対応する。
具体的には、感圧部材の片側(例えば凸側)に等分布圧力P=P1を付与した状態でその中心に軸線に沿った集中荷重Fを付与する。このとき、その感圧部材がフラットな形状まで変位するのに集中荷重F=F1を要したとする。一方、同様に感圧部材の片側に等分布圧力P=P2を付与した状態で集中荷重Fを付与する。このとき、その感圧部材がフラットな形状まで変位するのに集中荷重F=F2を要したとする。このとき、みかけの有効受圧面積D2は、下記式(4)により算出される。
D2=ΔF/ΔP ・・・(4)
ΔF=|F2−F1|
ΔP=|P2−P1|
すなわち、感圧部材の形状はその軸線方向への変位にともなってやや変化するため、微視的にみればその有効受圧面積もその変位にともなって変化する。ここでは、感圧部材の平均的な有効受圧面積として「みかけの有効受圧面積」を用いている。
なお、変形例においては、ソレノイド3がオンにされた制御状態における感圧部材の軸線方向の変位による密閉空間S1の体積変化を、その軸線方向の変位量で除算して得られる面積を、みかけの有効受圧面積D2としてもよい。なお、第1の実施の形態においては述べなかったが、上述した感圧部材の有効受圧面積Dについても「みかけの有効受圧面積」を用いることができる。
本実施の形態において、ガイド孔23の断面積C2は、弁体22の有効受圧面積B2よりも大きく形成されている。このため、通常の容量制御中においてクランク圧力Pc≒吸入圧力Psとすると、作動ロッド221の断面積(C2−B2)の部分に差圧(Pd−Ps)による力が作用する。一方、吸入圧力Psが低くなると、ダイヤフラム19の前後差圧が小さくなる。その結果、相対的に皿ばね51の荷重が大きくなり、感圧部材が開弁方向に変位する。このとき、弁体22の有効受圧面積B2と感圧部材のみかけの有効受圧面積D2とが実質的に等しいため、伝達ロッド217と作動ロッド221の結合体(以下「ロッド結合体」という)に作用するクランク圧力Pcによる力は実質的にキャンセルされる。ロッド結合体は、パワーエレメント206による駆動力により開弁方向に変位する。
図10〜図12は、制御弁の感圧部を中心とした動作を表す説明図である。各図は、図9に対応する部分拡大断面図である。図10は、ソレノイド3がオフにされ、吸入圧力Psが高いときの状態を示している。図11は、ソレノイド3がオンにされ、弁部が微少開度に保持された容量制御中の状態を示している。図12は、容量制御中において吸入圧力Psが設定圧力を下回ったときの状態を示している。
ソレノイド3の非通電状態においては吸入圧力Psが高く、クランク圧力Pcもこれに近い値となる。このため、図10に示すように、開放空間S2に導入されたクランク圧力Pcと、密閉空間S1内の内部圧力との差圧が大きくなる。その結果、皿ばね51がその周縁部を支点にしてその凸形状が反転する側に弾性変形し、第1ハウジング53の内壁にほぼ沿うようになる。
一方、ソレノイド3に通電された容量制御状態において吸入圧力Psが設定圧力Psetよりも高いときには(Ps>Pset)、図11に示すように作動ロッド221が伝達ロッド217から離れている。制御弁201は、実質的に吐出圧力Pdと吸入圧力Psとの差圧(Pd−Ps)を設定差圧に保持するいわゆるPd−Ps弁として動作する。
そして、吸入圧力Psが設定圧力Psetを下回ると(吸入圧力Ps≦設定圧力Pset)、図12のように感圧部材が開弁方向へ変位し、伝達ロッド217を介して作動ロッド221を押圧する。このため、制御弁201は、吸入圧力Psを設定圧力Psetに保持するいわゆるPs感知弁として動作する。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はその特定の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
各実施の形態においては、感圧部としてのパワーエレメントを、ハウジングと、これを密閉空間と開放空間とに仕切る金属製のダイヤフラムと、密閉空間に配置されてダイヤフラムの剛性を補う皿ばねとを含んで構成する例を示した。図13は、変形例に係る感圧部の構成を表す部分断面図である。同図においては、図2に示したパワーエレメント6と同様の構成部分については同一の符号を付している。
この変形例では、パワーエレメント306を構成する感圧部材として、比較的厚みのある金属製のダイヤフラム319を用いる。このダイヤフラム319は、薄膜状の本体の中央部にて片面側に突出する凸部320を有する。ダイヤフラム319の周縁部は、第1ハウジング53と第2ハウジング54との間に挟まれるように、ハウジング50に固定されている。ダイヤフラム319は、その凸部320の部分において皿ばねのような反転動作が可能なものであるが、この例においても反転側に変形したときには第1ハウジング53により係止されるため、反転動作の手前の段階までしか変形しないようになっている。つまり、ダイヤフラム319そのものが皿ばねのような機能を有しているため、別部材として皿ばねを設ける必要がない。
あるいは逆に、ダイヤフラムをなくし、皿ばねをハウジングに直接固定する構成としてもよい。例えば図13のダイヤフラム319を皿ばねに置き換え、その周縁部が第1ハウジング53と第2ハウジング54との間に挟まれるようにして、溶接等によりハウジング50に固定してもよい。ただし、変形例のように可撓性を有するダイヤフラムを用いるほうが、皿ばねよりもしなやかな動作を実現することができ、所望の特性を得やすいというメリットがあると考えられる。
各実施の形態においては、制御弁をいわゆるPd−Ps弁として構成した例を示した。変形例においては、吐出圧力Pdとクランク圧力Pcとの差圧(Pd−Pc)を設定差圧に保つように、吐出室からクランク室に導入する冷媒流量を制御するいわゆるPd−Pc弁として構成してもよい。また、各実施の形態においては、吸入圧力Psが設定圧力Psetを下回ろうとすると、制御弁がその設定圧力Psetに保持しようとするいわゆるPs感知弁として動作する例を示した。変形例においては、その制御弁がクランク圧力Pcが予め定める設定圧力に保持されるいわゆるPc感知弁として動作するように構成してもよい。一般に容量制御中においては吸入圧力Psとクランク圧力Pcとの差は比較的小さいため、クランク圧力Pcを一定以上に保持することで過剰冷房を防止できるとも考えられる。例えば、図1の構成においてポート26をクランク室と連通させ、クランク圧力Pcを導入するようにしてもよい。ただし、クランク圧力Pcよりも吸入圧力Psのほうが蒸発器の出口温度を精度良く反映するため、冷媒温度に応じた高精度な圧力感知制御を行う上では制御弁をPs感知弁として動作させるほうが好ましい。
第1の実施の形態に係る制御弁の構成を示す断面図である。 図1の上半部に対応する部分拡大断面図である。 弁体の変位と弁体に作用しうる荷重との関係を表す図である。 容量制御による吐出圧力と吸入圧力との関係を表す図である。 制御弁の感圧部を中心とした動作を表す説明図である。 制御弁の感圧部を中心とした動作を表す説明図である。 制御弁の感圧部を中心とした動作を表す説明図である。 圧縮機の起動時からの吐出圧力及び吸入圧力の変化の様子を表す説明図である。 第2の実施の形態に係る制御弁の上半部の部分拡大断面図である。 制御弁の感圧部を中心とした動作を表す説明図である。 制御弁の感圧部を中心とした動作を表す説明図である。 制御弁の感圧部を中心とした動作を表す説明図である。 変形例に係る感圧部の構成を表す部分断面図である。 従来の圧縮機の起動時からの吐出圧力および吸入圧力の変化の様子を表す説明図である。
符号の説明
1 制御弁、 2 弁本体、 3 ソレノイド、 5 ボディ、 6 パワーエレメント、 15 弁孔、 16 弁座、 17 伝達ロッド、 19 ダイヤフラム、 21 作動ロッド、 22 弁体、 23 ガイド孔、 50 ハウジング、 60 ダイヤフラム、 67 ダイヤフラム、 100 圧縮機、 201 制御弁、 202 弁本体、 205 ボディ、 206 パワーエレメント、 217 伝達ロッド、 221 作動ロッド、 250 ハウジング、 306 パワーエレメント、 319 ダイヤフラム、 S1 密閉空間、 S2 開放空間。

Claims (13)

  1. 吐出室の吐出圧力と吸入室の吸入圧力との差圧を設定差圧に保つように吐出室からクランク室に導入する冷媒流量を制御して、可変容量圧縮機の吐出容量を変化させる可変容量圧縮機用制御弁において、
    内部に冷媒通路が形成されたボディと、
    前記吐出室と前記クランク室とを連通させる冷媒通路を形成する弁孔に接離するように配置されて弁部を開閉する弁体と、
    前記ボディの一端側に設けられたハウジングと、前記ハウジング内を前記吸入圧力が導入される開放空間と密閉空間とに仕切るように配設された薄膜または薄板状の感圧部材とを含み、前記吸入圧力が設定圧力よりも低くなったときに、前記感圧部材が変位して前記弁体に開弁方向の駆動力を付与するように構成された感圧部と、
    前記ボディの他端側に設けられ、前記設定差圧に対応して供給される電流量に応じた閉弁方向のソレノイド力を前記弁体に付与可能なソレノイドと、
    を備えたことを特徴とする可変容量圧縮機用制御弁。
  2. 一端側が前記弁体に支持され他端側が前記感圧部材に接離可能な本体を有し、前記吸入圧力が前記設定圧力よりも低くなったときに、前記感圧部材の駆動力を前記弁体へ伝達可能な伝達ロッドを備えたこと特徴とする請求項1に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  3. 前記ボディの一端側から順に前記クランク室に連通するクランク室連通ポート、前記吐出室に連通する吐出室連通ポート、前記吸入室に連通する吸入室連通ポートが設けられ、
    前記ボディ内において、前記吐出室連通ポートと前記クランク室連通ポートとをつなぐ冷媒通路に前記弁孔が設けられる一方、前記弁体が前記吐出室連通ポートと前記吸入室連通ポートとの間に形成されたガイド孔に沿って軸線方向に摺動可能に支持され、
    前記吸入室連通ポートが、前記弁体および前記伝達ロッドのそれぞれを貫通するように設けられた内部通路を介して前記開放空間へ連通するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  4. 前記伝達ロッドは、前記弁孔を挿通するように配置され、
    前記ガイド孔の断面積が前記弁孔の断面積よりも大きく形成されることにより、前記弁体に前記吐出圧力と前記吸入圧力との差圧が作用するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  5. 前記伝達ロッドは、一端側が前記ボディ内に設けられた摺動孔に沿って摺動可能に支持される一方、他端側が前記弁孔を貫通して前記弁体に接続され、
    前記摺動孔の断面積と前記弁孔の断面積とが実質的に等しく形成されることにより、前記弁体に作用する前記クランク室の圧力がキャンセルされるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  6. 吐出室の吐出圧力と吸入室の吸入圧力との差圧を設定差圧に保つように吐出室からクランク室に導入する冷媒流量を制御して、可変容量圧縮機の吐出容量を変化させる可変容量圧縮機用制御弁において、
    内部に冷媒通路が形成されたボディと、
    前記吐出室と前記クランク室とを連通させる冷媒通路を形成する弁孔に接離可能に配置され、その一端側で前記クランク室のクランク圧力を受ける一方、他端側で前記吸入圧力を受け、軸線方向に動作して弁部を開閉する弁体と、
    前記ボディの一端側に設けられたハウジングと、前記ハウジング内を前記クランク圧力が導入される開放空間と密閉空間とに仕切るように配設された薄膜または薄板状の感圧部材とを含んで構成された感圧部と、
    前記ボディの他端側に設けられ、前記設定差圧に対応して供給される電流量に応じた閉弁方向のソレノイド力を前記弁体に付与可能なソレノイドと、
    を備え、
    前記弁体の有効受圧面積と前記感圧部材の有効受圧面積とが実質的に等しく形成されることにより、前記吸入圧力が設定圧力よりも低くなったときに、前記弁体に作用するクランク圧力が実質的にキャンセルされるとともに、前記感圧部材が変位して前記弁体に開弁方向の駆動力を付与することを特徴とする可変容量圧縮機用制御弁。
  7. 一端側が前記弁体に支持され他端側が前記感圧部材に接離可能な本体を有し、前記吸入圧力が前記設定圧力よりも低くなったときに、前記感圧部材の駆動力を前記弁体へ伝達可能な伝達ロッドを備えたこと特徴とする請求項6に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  8. 前記ボディの一端側から順に前記クランク室に連通するクランク室連通ポート、前記吐出室に連通する吐出室連通ポート、前記吸入室に連通する吸入室連通ポートが設けられ、
    前記ボディ内において、前記吐出室連通ポートと前記クランク室連通ポートとをつなぐ冷媒通路に前記弁孔が設けられる一方、前記弁体が前記吐出室連通ポートと前記吸入室連通ポートとの間に形成されたガイド孔に沿って軸線方向に摺動可能に支持され、
    前記伝達ロッドは、前記弁孔を挿通するように配置され、
    前記ガイド孔の断面積が前記弁孔の断面積よりも大きく形成されることにより、前記弁体に前記吐出圧力と前記吸入圧力との差圧が作用するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  9. 前記感圧部材は、ダイヤフラムと、前記密閉空間内に前記ダイヤフラムに沿うように配設され、前記弁体に対して開弁方向の付勢力を付与可能な薄板状の皿ばねと、を含んで構成されていることを特徴とする請求項1または6に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  10. 前記ダイヤフラムが金属製ダイヤフラムからなり、
    前記ダイヤフラムと前記皿ばねとの間に両者間の摩耗を抑制するための薄膜状部材が介装されていることを特徴とする請求項9に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  11. 前記感圧部材が皿ばねからなり、
    前記皿ばねの周縁部が前記ハウジングに固定されていることを特徴とする請求項1または6に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  12. 前記ハウジングの内壁が、前記皿ばねが反転する側に変形したときの形状に沿う形状に形成されていることを特徴とする請求項9または11に記載の可変容量圧縮機用制御弁。
  13. 吐出室の吐出圧力とクランク室のクランク圧力との差圧を設定差圧に保つように前記吐出室から前記クランク室に導入する冷媒流量を制御して、可変容量圧縮機の吐出容量を変化させる可変容量圧縮機用制御弁において、
    内部に冷媒通路が形成されたボディと、
    前記吐出室と前記クランク室とを連通させる冷媒通路を形成する弁孔に接離するように配置されて弁部を開閉する弁体と、
    前記ボディの一端側に設けられたハウジングと、前記ハウジング内を前記クランク圧力が導入される開放空間と密閉空間とに仕切るように配設された薄膜または薄板状の感圧部材とを含み、前記クランク圧力が設定圧力よりも低くなったときに、前記感圧部材が変位して前記弁体に開弁方向の駆動力を付与するように構成された感圧部と、
    前記ボディの他端側に設けられ、前記設定差圧に対応して供給される電流量に応じた閉弁方向のソレノイド力を前記弁体に付与可能なソレノイドと、
    を備えたことを特徴とする可変容量圧縮機用制御弁。
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KR20110048108A (ko) * 2009-11-02 2011-05-11 학교법인 두원학원 용량가변형 압축기의 용량제어밸브
JP2013061139A (ja) * 2011-09-15 2013-04-04 Ube Industries Ltd 回転式空気予熱器

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