JP2009035553A - C型肝炎レセプタータンパク質cd81 - Google Patents

C型肝炎レセプタータンパク質cd81 Download PDF

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Abstract

【課題】CD81タンパク質およびCD81タンパク質をコードする核酸、ならびにC型肝炎の治療およびC型肝炎の診断のための薬学的組成物、C型肝炎の治療およびC型肝炎の診断のための動物モデルおよびC型肝炎の治療およびC型肝炎の診断のための診断キットを提供すること。
【解決手段】HCVの治療または診断に使用するためのCD81タンパク質、またはその機能的な等価物。HCVの感染を処置するための方法であって、治療的に効果的な量のCD81タンパク質もしくはその機能的な等価物を患者に投与する工程、またはウイルスの感染力を減少するために該CD81タンパク質に特異的に結合する化合物を投与する工程を包含する、方法。
【選択図】なし

Description

(発明の分野)
本発明は、C型肝炎の治療および診断におけるCD81タンパク質およびこのタンパク質をコードする核酸の使用、ならびにそのような使用のための薬学的組成物、動物モデルおよび診断キットに関する。
(先行技術の簡単な説明)
総ての刊行物、説明書、特許、および本明細書に引用された特許出願は、全体が参考として援用される。HCV(以前は非A 非B肝炎−NANBVとして公知であった)は、約3000アミノ酸のポリタンパク質をコードする単一のオープンリーディングフレームを有する約10000のヌクレチドの+鎖RNAウイルスである。ウイルスの構造が、組換えDNA技術(ヨーロッパ特許出願EP−A−0318216およびヨーロッパ特許出願EP−A−0388232)によって解明されたにもかかわらず、ウイルスそれ自体は、単離されず、そしてポリタンパク質のタンパク質分解によって産生された様々なウイルスタンパク質は、類似のゲノム組織の他の類似のウイルスとの類似性によって推論されただけである(非特許文献1)。
ウイルスタンパク質は、組換え型において全て利用可能であり、種々の細胞および細胞型(酵母、細菌、昆虫、植物、および哺乳動物細胞を含む)において発現する(非特許文献2および非特許文献3)。
E1およびE2(HCVポリタンパク質のアミノ酸192〜383および384〜750にそれぞれ相当する)と名付けられた2つのタンパク質は、標的細胞へのウイルスの結合の原因であるウイルス外被の外側タンパク質であることが示された。
HCVの研究は、ウイルスの限定された宿主範囲によって非常に著しく妨害される。HCV感染の唯一の信頼のおける動物モデルは、チンパンジーであり、そしてHCVは、組織培養で容易に増殖しない。
本発明者らの同時係属の国際特許出願PCT/IB95/00692(特許文献1)において、本発明者らは、HCVレセプターを有する細胞を同定するためにフローサイトメトリーを利用する方法を記載する。本発明者らは、組換えE2外被タンパク質を有する標識細胞によって、フローサイトメトリーを用いてE2に特異的に結合する能力のあるそれらの細胞を単離し、従って、潜在的にHCVウイルスを保有する細胞を識別することが可能であることを示した。
本発明者らの同時係属の国際特許出願PCT/IB96/00943(特許文献2)において、本発明者らは、HCVのE2外被タンパク質に結合する能力のあるタンパク質を同定した。
国際公開第96/05513号パンフレット 国際公開第97/09349号パンフレット Chooら、PNAS USA(1991)88 2451〜2455 Chien,D.Y.ら、PNAS USA(1992)89 10011〜10015 Spaete,R.R.ら、Virology(1992)188 819〜830
本発明者らは、現在、HCVレセプターをコードするDNAをクローニングするいくつかの困難に成功し、そして驚くことに、DNAがCD81として公知の細胞タンパク質をコードすることを発見した。本発明者らは、CD81とHCVの間の文献において、いかなる関連も知らない。CD81は、インビトロ細胞増殖を阻害した抗増殖性抗体(TAPA−1)の標的としてモノクローナル抗体によってまず同定された。この新規の情報、および与えられた公のデータベースにおけるCD81の配列知識が備わったので、今や、HCVに対する治療上のおよび診断上の試薬の武器を設計および産生することが可能である。
(本発明の要旨)
本発明に従って、C型肝炎(HCV)の治療または診断に使用するためのCD81タンパク質、またはその機能的な等価物が提供される。本発明のさらなる局面に従って、HCVの治療または診断に使用するためのCD81タンパク質に特異的に結合する化合物が提供される。
本明細書で使用される場合、用語「CD81タンパク質、またはその機能的な等価物」とは、SWISSPLOTデータベース(受託番号P18582)またはEMBL/GENBANKデータベース(受託番号M33690)において記載されるタンパク質配列によって定義されたヒトCD81タンパク質、またはその機能的な等価物を意味する。CD81の機能的な等価物とは、HCVに(好ましくはHCVのE2タンパク質に)結合する能力のある化合物である。好ましくは、機能的な等価物とは、ペプチドまたはタンパク質である。用語「機能的な等価物」とは、CD81のアナログ、CD81のフラグメント、ならびにCD81変異体およびムテインを含む。
本明細書中でHCVのE2タンパク質に結合することに関与されることを示したヒトCD81タンパク質の1つの領域は、図1に示した全長のヒト配列のアミノ酸113〜201を含む「EC2」領域である。本発明は、ヒトCD81のこの領域を含むか、または例えば、図1で同定されたチンパンジーの配列のような、この領域の機能的な等価物を含むタンパク質およびタンパク質フラグメントを含む。好ましくは、この機能的な等価物は、例えば、Pileup配列解析ソフトウェア(Program Manual for the Wisconsin Package,1996)のような任意の従来の解析アルゴリズムによって評価された場合、タンパク質のEC2領域にわたってヒトCD81配列と少なくとも80%の相同性があり、好ましくは、少なくとも90%の相同性がある。
用語「機能的に等価なフラグメント」とはまた、本明細書で使用される場合、HCVに結合(好ましくは、HCVのE2タンパク質への結合)する完全なタンパク質の任意のフラグメントまたはフラグメントの集合体を意味する。完全なタンパク質は、1つあるいは両方の末端で切断され得るか、またはドメインは、内部的に規定された定義された機能を保持するタンパク質を取り除き得る。例えば、膜に結合(図1のTM1からTM4)する原因となるタンパク質の1つ以上の領域は、組換えプロセスによって作製された場合、可溶性のタンパク質を与えることを取り除き得る。フラグメントの選択は、CD81タンパク質(アミノ酸113〜201)の細胞外ループ2(図1のEC2)を含む。
タンパク質の場合、機能的に等価なフラグメントまたはアナログは、本明細書で同定されたヒトCD81タンパク質として同一のタンパク質ファミリーに属し得る。「タンパク質ファミリー」とは、共通の機能を共有し、そして共通の配列相同性を示すタンパク質の群を意味する。配列相同性とは、タンパク質配列が、ヒトとチンパンジーの間の場合のように、共通の祖先からの分岐によって関連付けられたタンパク質の配列を意味する。チンパンジーCD81は、従って、HCVへ結合する機能的に等価なタンパク質の例である。
好ましくは、機能的に等価なタンパク質配列の間の相同性は、完全なタンパク質または完全なEC2フラグメント(アミノ酸113〜201)のアミノ酸配列の全てにわたって少なくとも25%である。より好ましくは、相同性は、少なくとも50%であり、なおより好ましくは、タンパク質またはタンパク質フラグメントのアミノ酸配列の全体にわたって75%である。最も好ましくは、相同性は、配列の全体にわたって80%より大きい。
用語「機能的に等価なアナログ」とは、CD81タンパク質の活性に相同な機能を有し、そして例えば、ペプチド、環状ペプチド、ポリペプチド、抗体または抗体フラグメントを含み得るそれらの化合物を記載するために用いられる。これらの化合物は、タンパク質であり得るか、またはインヒビタータンパク質上の特定の構造またはエピトープを模倣するために設計された合成薬剤であり得る。好ましくは、その化合物は、抗体または抗体フラグメンとである。
用語「機能的に等価なアナログ」とはまた、タンパク質アナログがHCVに(好ましくはHCVのE2タンパク質に)結合する能力を保持するように、例えば、1つ以上のアミノ酸欠失、置換、または付加によってアミノ酸配列を変化させることによって得られた、CD81の任意のアナログを含む。アミノ酸置換は、例えば、アミノ酸配列をコードするDNAの点変異によって作製され得る。
CD81の機能的な等価物は、CD81のフラグメントのアナログであり得る。CD81または機能的な等価物は、HCV(好ましくはHCVのE2タンパク質)への結合するためのその能力を保持する場合に化学的に修飾され得る。
そのような分子は、HCV感染の予防治療において極端に有用であることが認識される。なぜなら、これらの分子は、ウイルスに特異的に結合し、従って、細胞中へのウイルスの内部移行を妨げるからである。本明細書で使用される場合、「特異的結合」とは、機能的に等価なアナログが、HCVウイルスのE2タンパク質に対して高い親和性を有し、そして類似の高い親和性で任意の他のタンパク質に結合しないことを意味する。特異的結合は、ウエスタンブロッティング、FACS分析、または免疫沈降のような多数の技術により測定され得る。好ましくは、機能的に等価なアナログは、少なくとも10-8の親和性で、好ましくは、少なくとも10-9で、そして最も好ましくは、10-10より大きい親和性でE2タンパク質に結合する。
本発明のさらなる実施態様に従って、HCVの診断または治療に使用するためのCD81に対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体のようなCD81へ結合する化合物を提供する。好ましくは、その化合物は、少なくとも10-8の親和性でCD81に特異的に結合し、好ましくは、少なくとも10-9で、そして最も好ましくは、10-10より大きい親和性で。そのような化合物は、ウイルスの患者細胞への結合および内部移行されるのを妨げるために使用され得る。
CD81分子は、多数の異なった細胞型に存在する。理想的には、CD81へ結合する化合物は、従って、CD81の通常機能が健常細胞を損なわないために、HCVの存在下においてCD81と相互作用だけする。抗体およびそのような抗体に対するスクリーニングの適切な方法は、同時係属特許出願EP96928648.3およびEP95927918.3に記載される。
CD81タンパク質またはその機能的な等価物は、当業者に明白である場合、任意の適切な手段によって作製され得る。本発明に従って使用するために十分な量のCD81タンパク質またはその機能的な等価物を作製するために、発現は、CD81タンパク質またはその機能的な等価物を含む組換え宿主細胞に適切な条件下で培養することによって好都合に成し遂げられ得る。
種々の異なる宿主細胞においてポリペプチドのクローニングおよび発現の系は、周知である。
本発明に従うキャリアータンパク質の構築の好ましい2つの方法は、直接的な化学合成、および組換えタンパク質の産生による。好ましくは、CD81タンパク質は、組換え手段により、コードしている核酸分子から発現することにより産生される。組換え発現は、タンパク質の産生が、安価で、安全で、容易で、そして後で除去が必要とされる得る毒性の化合物の使用を含まないという利点を有する。
組換え型において発現された場合、CD81タンパク質またはその機能的な等価物は、好ましくは、宿主細胞においてコードしている核酸から発現することにより生成される。任意の宿主細胞は、特定の系の個々の必要性に依存して、使用され得る。適切な宿主細胞は、細菌、哺乳動物細胞、植物細胞、酵母またはバキュロウイルス系を含む。当該分野で異種ポリペプチドの発現のために利用可能である哺乳動物細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、ベイビーハムスター腎細胞および他の多くを含む。好ましくは、細菌宿主は、容易に細菌が操作および増殖され得るので、組換えタンパク質の産生のために使用される。通常、好ましい細菌宿主は、E.coliである。
好ましくは、組換え的に産生された場合、CD81タンパク質または機能的な等価物は、合成核酸インサートを含むプラスミドから発現される。CD81タンパク質または機能的な等価物をコードしている核酸がクローニングされた発現プラスミドの挿入部位は、「フラッグ(flag)」ペプチドまたはポリヒスチジンのようなタグへのタンパク質の連結を可能にし得る。この配置は、後に続く組換えタンパク質の精製を容易にする。
本発明のさらなる局面に従って、HCV感染の治療または診断に使用するための、CD81タンパク質またはその機能的な等価物をコードする核酸分子もまた提供される。好ましくは、核酸はヒトCD81タンパク質をコードする。当業者に明白である場合、そのような核酸分子は、所望のタンパク質またはペプチドをコードするための遺伝暗号を用いて設計される。本発明のこの局面に従った核酸分子は、DNA、RNA、またはcDNAからなり得、さらにコード配列中のヌクレオチドアナログを含み得る。好ましくは、核酸分子は、DNAを含む。
本発明のこの実施態様の範囲内に含まれるヌクレオチド配列は、標準の条件下でCD81タンパク質をコードしている核酸にハイブリダイズする配列である。本明細書で使用される場合、標準の条件は、低いストリンジェンシーの条件下での洗浄(2×SSC/50%ホルムアミド、室温、または2×SSC、42℃)を用いるストリンジェントでない標準ハイブリダイゼーション条件(6×SSC/50%ホルムアミド、室温)、または高いストリンジェンシーの標準条件(例えば、2×SSC、65℃(ここでSSC=0.15M NaCl、0.015M クエン酸ナトリウム、pH7.2))の両方を含む。好ましくは、用語標準的な条件とは、高いストリンジェンシーの条件をいう。
好ましくは、そのような核酸分子は、CD81またはそのフラグメントをコードしている核酸分子に特異的にハイブリダイズする能力を保持し、そしてPileup command of the GCG Program manual for the Wisconsin Package(バージョン9、1996)により定義されるように、ヒトCD81遺伝子配列の全体にわたり40%の相同性を有する核酸配列を含む。より好ましくは、相同性は、遺伝子配列全体にわたり少なくとも65%である。最も好ましくは、相同性は、遺伝子配列全体にわたり少なくとも70%より大きい。
CD81または機能的な等価物をコードする核酸は、タンパク質発現の正確な制御を可能にしている誘導性のプロモーターの制御下でクローン化され得る。適切な誘導性の系は、当業者に周知である。
CD81タンパク質またはその機能的な等価物の発現に適切なベクターは、市販の供給源から選択され得るか、または特定の発現系に適合させるために構築され得る。そのようなベクターは、例えば、プロモーター配列、終結配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列およびマーカー遺伝子のような適切な調節配列を含む。ベクターは、プラスミド、またはウイルスに基づき得る。さらなる詳細のために、Molecular Cloning:a laboratory manual(Sambrookら、1989)を参照のこと。核酸の操作およびタンパク質の分析のための多数の公知の技術およびプロトコールは、「Short protocols in molecular biology」第2版、Ausubelら、(John Wiley & Sons 1992)において詳細に記載される。
組換えタンパク質の単離および精製のための方法は、当業者に対して周知であり、例えば、Sambrookら(1989)において要約されている。特に、E.coliのような細菌において、組換えタンパク質は、細菌細胞内で封入体を形成し、従ってその調製を容易にしている。封入体において産生される場合、キャリアタンパク質は、その天然の高次構造にリホールドされる必要があり得る。
さらに、CD81タンパク質またはその機能的な等価物の厳密な特性を正確に合わせるために、当業者は、変化が1以上のヌクレオチドの付加、置換、欠失、または挿入によって既知のCD81配列からヌクレオチドレベルでなされ得ることを理解する。部位特異的変異誘発(SDM)は、本発明に従って変異タンパク質を生成するために使用される好ましい方法である。当業者にとって現在既知のSDMの多くの技術が存在し、例えば、Sambrookら(1989)によって示されるようなPCRを使用した、または市販のキットを使用したオリゴヌクレオチド特異的変異誘発を含む。
適切なベクターは、選択または構築され得、適切な調節配列を含み、プロモーター配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子および他の配列を適切に含む。ベクターは、適切にプラスミド、例えば、ウイルス性のファージまたはファージミドであり得る。さらに詳細には、例えば、Molecular Cloning:a Laboratory Manual:第2版、Sambrookら、1989、Cold Spring Harbor、Laboratory Pressを参照のこと。核酸の操作に関する(例えば、核酸構築物の調製、変異誘発、配列決定、細胞へのDNAの導入および遺伝子発現ならびにタンパク質の分析における)多くの既知の技術およびプロトコールは、Molecular Biology、第2版、Ausubelら編、John Wiley&Sons、1992中のShort Protocolsに詳細に記載されている。Sambookら、およびAusubelらの開示は、参考として本明細書中に援用される。
本発明のさらなる局面に従って、治療的に有効な量のCD81タンパク質またはウイルスの感染性を減少するのに有効なその機能的等価物を患者に投与することを含むHCVの感染を処置する方法が提供される。
HCVの感染機構は、細胞表面レセプターの利用可能性に一部、依存すると思われるので、CD81タンパク質またはその機能的等価物の可溶形態を利用可能にすることは、細胞レセプターに対するHCVの結合のアンタゴニストとして作用し、従って、感染プロセスを減少または予防し、それによって疾患を処置する。
CD81タンパク質の適切な可溶形態、またはその機能的等価物は、例えば、1以上の膜貫通ドメインまたはドメインTM1−TM4が、化学または組換えDNA合成におけるタンパク質切断工程によって、または設計によってのいずれかで除去されているタンパク質の切断された形態を含み得る。このタンパク質の好ましい可溶形態は、EC2ドメイン(図1で同定される場合、残基113〜201)を含む。EC1ドメインは、HCVについてのタンパク質の親和性または特異性を増加させるために作用し得る。
あるいは、少なくとも1個の粒子形成タンパク質(例えば、B型肝炎表面抗原またはその粒子形成フラグメント)を含むハイブリッド粒子は、CD81タンパク質またはその機能的等価物と組み合わせて細胞レセプターに対するHCVの結合のアンタゴニストとして使用し得る。
本発明のよりさらなる局面に従って、CD81タンパク質に特異的に結合する治療的に有効な量の化合物(例えば、CD81に対するモノクローナル抗体)を患者に投与する工程を含むHCV感染の処置法が提供される。この治療ストラテジーの理論的根拠は、別の化合物に対する細胞表面レセプターの結合がこのレセプターに対するHCVの結合を妨げ、その結果感染プロセスを妨げ、そしてそれによって疾患を処置することである。
本発明のさらなる局面に従って、薬学的に受容可能なキャリアーと組み合わせて、必要に応じて薬学的に受容可能な塩としてCD81タンパク質またはその機能的等価物を含む薬学的組成物が提供される。本発明のよりさらなる局面に従って、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、必要に応じて薬学的に受容可能な塩としてCD81タンパク質と特異的に結合する化合物を含む薬学的組成物が提供される。
薬学的組成物は、経口、非経口、経皮性(transdermal)および経皮的(transcutaneous)組成物を含む投与のための任意の適切な形態で存在し得る。この組成物は、単独で、または処置されるべき状態に同時または連続的のいずれかで依存した他の処置と組み合わせて投与され得る。
1つのプロセスはまた、薬学的組成物を作製するために提供され、ここで本発明のタンパク質は、薬学的に受容可能なキャリアとの結合をもたらす。
本発明のさらなる局面に従って、CD81タンパク質またはその機能的等価物、あるいは薬剤としての使用のためのCD81タンパク質に対して特異的に結合する化合物が提供される。
本発明のさらなる局面に従って、CD81タンパク質またはその機能的等価物あるいはHCV感染の処置のための医薬の製造においてCD81タンパク質に特異的に結合する化合物の使用が提供される。
CD81タンパク質またはその機能的等価物のHCVに対する結合能力は、HCV感染の診断としてのこのタンパク質の使用(例えば、ELISA(酵素連結免疫吸着アッセイ)またはRIA(ラジオイムノアッセイ)における)を可能にする。
タンパク質の可溶形態は、例えば血清中で中和抗体を測定するためにELISA形態のアッセイにおいて使用され得る。さらに好ましくは、CD81に対する抗体は、この文脈での使用のために適切である。なぜならこれらの分子は、HCVそのものに関する抗イディオタイプ抗体であるからである。
本発明のさらなる局面に従って、CD81タンパク質またはその機能的等価物に対する結合についてのサンプルにおける抗体と既知量のHCVタンパク質との間の競合結合を可能にする工程、および結合した既知のHCVタンパク質を測定する工程を含む血清サンプルにおけるHCV抗体についてのアッセイが提供される。
好ましくは、CD81タンパク質またはその機能的等価物は、固体支持体およびHCVタンパク質に固定され、これは、適切にはE2 HCVエンベロープタンパク質であり得、必要な場合には組換えE2タンパク質が標識される。この標識は、放射活性標識、ペプチド、エピトープ、酵素、または任意の他の生物活性を有する化合物であり得る。好ましくは、この標識は酵素を含む。
この形態のアッセイにおいて、CD81タンパク質またはその機能的等価物に対する結合についての抗体とHCVタンパク質との間の競合結合は、血清サンプル中の抗体、最も詳細には、血清サンプル中のHCV中和抗体の測定である結合HCVタンパク質を生じる。
このアッセイの重要な利点は、直接測定が結合抗体(すなわち、HCVエンベロープタンパク質の細胞レセプターに対する結合を妨げるこれらの抗体)の中和をすることからなる。特にELISA試験の形態で、このようなアッセイは、臨床環境において、そして慣用の血液スクリーニングにおいてかなりの適用を有する。
またこのアッセイは、結合抗体力価の中和を測定するので、このアッセイは、推定のワクチン効力の準備測定を形成し、結合抗体力価の中和は、宿主保護と相関する。
本発明のさらなる局面において、CD81タンパク質またはその機能的等価物を含む診断キットが提供される。好ましくは、このキットはまた、少なくとも1つの標識されたHCVタンパク質、必要に応じて酵素標識されたHCVタンパク質を含む。このキットはまた、血清中でHCVまたは抗HCV抗体の存在を分析するために必要な他の成分を含む。このような成分は、当業者に容易に明らかとなる。
CD81タンパク質またはその機能的等価物は、HCVレセプターに対する結合を担うHCV表面構造を模倣した化合物をスクリーニングするために使用され得る。
本発明のさらなる局面に従って、宿主細胞に対する結合を担うHCV領域に対する結合能力について化合物をスクリーニングするための方法が提供され、CD81タンパク質またはその機能的等価物に対してスクリーニングされるべき化合物の結合を測定する工程を含む。この宿主細胞は、任意の哺乳動物細胞、好ましくはヒト宿主細胞であり得る。
本発明のこの局面は、単独、薬学的に受容可能な塩の形態、1以上の他の活性化合物との組み合わせ、および/または1以上の薬学的に受容可能なキャリアとの組み合わせであろうとスクリーニングプロセスの産物を含む。本発明のプロセスによって同定される化合物が薬学的に受容可能なキャリアとの結合をもたらす薬学的組成物を作製するプロセスもまた、提供される。
この化合物は、有機化合物であり得、そしてアミノ酸またはアミノ酸アナログを含み得る。しかし、好ましくは、この化合物は、ペプチド、ポリペプチドまたはその特定の性質(例えば、CD81タンパク質またはその機能的等価物に対する結合親和性、あるいはそのインビボでの安定性)を変化するために化学的に改変されたポリペプチドである。
本発明のさらなる局面に従って、HCVの診断または治療における使用のためのCD81タンパク質またはその機能的等価物をコードする核酸が提供される。この核酸は、CD81タンパク質またはその機能的等価物の任意の一部をコードし得る。好ましくは、この核酸は、HCV E2と結合するCD81の部分をコードする。本発明のよりさらなる局面によれば、CD81に特異的に結合するペプチドまたはポリペプチド化合物をコードする核酸が提供される。
この核酸に対する変化は、1以上のヌクレオチドの付加、置換、欠失または挿入によって核酸レベルで行われ得、この変化は、アミノ酸レベルで反映され反映されなくてもよい。そしてこれは遺伝コードの縮重に依存する。
この核酸は、ベクター中に含まれ得、必要に応じてCD81タンパク質またはその機能的等価物を産生するために適切な宿主において、核酸の発現を可能にする発現ベクター中に含まれ得る。
HCVレセプター、すなわちCD81をコードするDNAの同定は、HCVの分子分析、詳細にはその感染機構についての全力の分子生物学を利用可能にし、このウイルスを処置する方法を設計する可能性を初めて提供する。PCR法を用いて、このレセプターを保有する細胞を同定し得、そしてDNA分子をこの関連においてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーとして作用するように設計し得る。CD81は広く行き渡っており、そして正常なヒト機能に関連するが、本発明は、HCVの処置およびHCV感染の処置のための医薬品の製造において使用するためのCD81生成阻害性アンチセンス分子を含む。
CD81タンパク質における多型の同定は、HCV感染に対する感受性または類似の予後に関連することが見出され得る。従って、HCVレセプターをコードする遺伝子の同定は、ヒト集団を通して存在する多型の評価を可能にする。
本発明のさらなる局面によれば、HCV感染の処置およびHCV感染の処置のための医薬品の製造における使用のための、CD81タンパク質またはその機能的等価物に対する抗体が提供される。抗体は、好ましくはモノクローナル抗体である。例えば、HCV感染血液による偶発的な感染の直後に、このような抗体を用いて、CD81レセプターを一時的にブロックして、HCVによる感染を予防し得る。
現在は、HCV感染について利用可能な唯一の動物モデルは、チンパンジーであり、チンパンジーは、保護種である。このような動物における実験は、同時に非常に多量の費用(1匹のチンパンジーでの1年間の実験には、$70,000がかかり得る)となる、多数の困難性を提起する。これと比較して、マウスモデルは、ずっと受け入れられ易い。不幸なことには、下記のように、HCVレセプターは、ヒトに偏在し、そしてチンパンジーに見出されるが、他の哺乳動物には存在しない。おそらく正常に見出されるよりも多量または少量で発現される、細胞表面上にHCVレセプターを保有するトランスジェニック哺乳動物(例えば、マウス)は、HCV研究およびワクチンの開発に対して非常に利益がある。細胞表面における変異CD81タンパク質の発現はまた、有用な研究ツールである。
本発明のさらなる局面によれば、CD81タンパク質またはその機能的等価物をコードするトランスジーンを保有する、非ヒトトランスジェニック動物(適切には、マウスのような哺乳動物)が提供される。
本発明のトランスジェニック動物は、HCV感染を保持するのを補助する1以上の他のトランスジーンを保有し得る。
トランスジェニック動物を作製するためのプロセスもまた提供される。このプロセスは、CD81タンパク質またはその機能的等価物をコードするDNAを、非ヒト哺乳動物(好ましくは、マウス)の胎仔に導入する工程を含む。好ましくは、CD81タンパク質またはその機能的等価物は、ヒトCD81タンパク質である。
本発明のさらなる局面によれば、HCVの制御における防御免疫原として使用するためのCD81タンパク質またはその機能的等価物が提供される。
・本発明はさらに、以下を提供し得る:
・(項目1) HCVの治療または診断に使用するためのCD81タンパク質、またはその機能的な等価物。
・(項目2) HCVの治療もしくは診断に使用するためのSWISSPROTデータベース(受託番号P18582)、もしくはEMBL/GENBANKデータベース(受託番号M33690)に記載されるヒトCD81配列、またはその機能的な等価物を含む、タンパク質。
・(項目3) SWISSPROTデータベース(受託番号P18582)、もしくはEMBL/GENBANKデータベース(受託番号M33690)に記載されるヒトCD81配列と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質であって、相同性がPileup配列解析ソフトウエアパッケージ(Wisconsin,1996)を用いて定義され、HCVの治療または診断に使用するための、タンパク質。
・(項目4) SWISSPROTデータベース(受託番号P18582)、もしくはEMBL/GENBANKデータベース(受託番号M33690)に記載されるヒトCD81配列のアミノ酸113〜201、またはその機能的な等価物からなる、タンパク質。
・(項目5) HCVの治療または診断に使用するための項目4に記載のタンパク質。
・(項目6) CD81タンパク質に特異的に結合する化合物であって、HCVの治療または診断に使用するための化合物。
・(項目7) HCVの感染を処置するための方法であって、治療的に効果的な量のCD81タンパク質もしくはその機能的な等価物を患者に投与する工程、またはウイルスの感染力を減少するために当該CD81タンパク質に特異的に結合する化合物を投与する工程を包含する、方法。
・(項目8) CD81タンパク質、またはその機能的な等価物、またはCD81タンパク質に特異的に結合する化合物を含む薬学的組成物であって、必要に応じて薬学的に受容可能な塩として薬学的に受容可能なキャリアーと組み合わせる、薬学的組成物。
・(項目9) 薬学的に受容可能なキャリアーと組み合わせる項目4に記載のタンパク質を含む、薬学的組成物。
・(項目10) HCVの治療または診断に使用するための、項目8または9のいずれかに記載の、薬学的組成物。
・(項目11) 項目8または9において定義された薬学的組成物を調製するためのプロセスであって、CD81タンパク質、またはその機能的な等価物、または項目4に記載のタンパク質、またはCD81タンパク質に特異的に結合する化合物が、薬学的に受容可能なキャリアーとの会合を起こさせる、プロセス。
・(項目12) HCV感染の処置または診断のための医薬の製造における、CD81タンパク質、その機能的な等価物またはCD81タンパク質に特異的に結合する化合物の、使用。
・(項目13) HCV感染の処置または診断のための医薬の製造における、項目4に記載のタンパク質の、使用。
・(項目14) 血清試料中に存在するHCV抗体に関するアッセイであって、当該試料中の抗体、公知の量のHCVタンパク質と公知の量のCD81タンパク質、またはその機能的な等価物との間の競合結合を可能にする工程、および当該CD81タンパク質に結合する公知の当該HCVタンパク質の量を測定する工程を包含する、アッセイ。
・(項目15) 血清試料中のHCVに関するアッセイであって、当該試料中の抗体と公知の量のCD81タンパク質、またはその機能的な等価物との間の競合結合を可能にする工程、および公知のCD81タンパク質結合の量を測定する工程を包含する、アッセイ。
・(項目16) 必要に応じて標識されたCD81タンパク質、または機能的な等価物を含む、診断用キット。
・(項目17) 項目16に記載の診断用キットであって、ここで上記標識が、放射性標識、ペプチド、エピトープ、酵素、または他の生物活性化合物を含む、診断用キット。
・(項目18) 宿主細胞への結合の原因であるHCV領域へ結合するための能力について化学的化合物をスクリーニングするための方法であって、スクリーニングされる化学的化合物の、そのCD81タンパク質、またはその機能的な等価物への結合を測定する工程を包含する、方法。
・(項目19) CD81タンパク質、またはその機能的な等価物をコードする導入遺伝子を保有する、トランスジェニック非ヒト哺乳動物。
・(項目20) トランスジェニック動物を作製するためのプロセスであって、非ヒト哺乳動物(好ましくはマウス)の胚へCD81タンパク質をコードするDNAを導入する工程を包含する、プロセス。
・(項目21) HCVの処置または診断に使用するためのCD81タンパク質、またはその機能的な等価物をコードする、核酸分子。
・(項目22) 標準条件下で項目21に定義されるような核酸分子にハイブリダイズする、核酸分子。
・(項目23) 高度にストリンジェントな条件下(2×SSC、65℃)で項目21において定義されるような核酸分子にハイブリダイズする、核酸分子。
・(項目24) DNAを含む項目21〜23のいずれかに記載の、核酸分子。
・(項目25) HCVの制御下において保護性の免疫原として使用するためのCD81タンパク質、またはその機能的な等価物。
・(項目26) HCVの処置または診断に使用するためのCD81タンパク質またはその機能的な等価物を含む、融合タンパク質。
(発明の詳細な説明)
(実施例1:本研究において使用される、組換えE2、細胞株、ベクターDNA、および抗体)
このスクリーニングにおいて用いた組換えE2を、CHO細胞において生成した(E2−CHO)(WO97/09349)。E2−CHOは、ヒトT細胞リンパ腫細胞株Molt−4に結合する。Molt−4亜株(A2A6と名づける)を、個々のMolt−4細胞コロニーを拡大すること、および細胞表面に結合したE2−CHOの量を試験することにより同定した。A2A6亜株は、その親株より多くのE2−CHO分子にその表面で結合することが見出され、従って、RNAの供給源として選択された。このことは、この亜株が、E2結合分子をコードする転写産物がより多量に示されていることを期待している。これらの細胞を、アッセイを用いて選択し、このアッセイによって、ヒトBリンパ腫細胞株およびTリンパ腫細胞株ならびに悪性肝細胞ガン細胞株を、D.Rosaら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93,1759(1996)に記載のように哺乳動物細胞(CHO)において発現された組換えE2とともにインキュベートし、そしてRosaら(1996)に記載のようにビオチン標識抗E2抗体を用いて染色した。最大のE2結合能を有する細胞を、FacsVantage(Becton Dickinson)を用いて選別し、そして限界希釈によってサブクローニングした。増殖するクローンを、FacsにおいてE2結合についてスクリーニングし、そして最大の平均蛍光強度を有するクローンをさらに拡大させた。
WOPは、ポリオーマT抗原を発現するNIH3T3由来細胞である(L.DaileyおよびC.Basilico,J.Virol.54,739(1985))。この細胞株では、ポリオーマの複製起点を含有するプラスミドがエピソーム的に増幅し得る。pCDM8(Invitrogen)を用いて構築した組換えDNAを、選択したトランスフェクタントから回収し得る。このトランスフェクタントは、ポリオーマの複製起点を含み、そして真核生物細胞における発現ライブラリーの操作のために設計される。
抗E2マウスモノクローナル抗体(291A2)を、トランスフェクタントの細胞表面に結合したE2−CHOの検出のために用いた。この抗体を以下の通りに得た:BALB−cマウスを、完全フロイントアジュバント中の組換えE2(10μg)で3回免疫した。脾臓細胞と非生産性骨髄腫細胞との間の細胞融合を、標準的技術に従って行った。次いで、融合物からの上清を、Molt−4細胞に結合したE2に対する結合についてスクリーニングし、その結果、E2分子上に曝露された部位に結合したモノクローナル抗体を同定した。このような様式で同定した最も適切な抗体を、291A2と名づけた。
(実施例2:cDNAライブラリーの構築)
総RNAを、A2A6細胞株から、ChomczinskyおよびSacchi(Chomczinsky,P.およびSacchi,N.(1987)Anal.Biochem.162:156−159)によって記載される方法に従って抽出した。ポリ(A)+を、オリゴ(dT)セルロースを用いて2回富化した。テンプレートとしての2μgのこのRNAから出発して、二本鎖の相補的なDNAを、Superscript II cDNA合成キット(Life Technologies)をオリゴ(dT)(100ng)およびランダムヘキサマープライマー(100ng)の存在下で用いて合成した。T4 DNAポリメラーゼを用いてこのcDNAを平滑末端化し、そしてBstXIリンカーと連結した。BstXIリンカーは、発現ベクターpCDM8のポリリンカー領域における同じ制限部位へのこのフラグメントの挿入を可能にする。リンカーに連結したcDNAをフェノール抽出し、そして硫酸アンモニウムを用いてエタノール沈殿して遊離のモノヌクレオチドを除去し、続いてSephacryl 500クロマトグラフィー(Lifetechnologies)を行ってcDNAをサイズ分画した。500bpを超える精製cDNAフラグメントをプールし、そしてBstXI消化pCDM8と分子比約1:1で連結した。この最終連結反応物を、E.coli MC1061/P3の形質転換から、Gene−Pulser(BIORAD)を用いるエレクトロポレーションにより用いた。計2×106cfuが増幅され、そしてcDNAライブラリーとして液体細菌培養物中にプールされた。
(実施例3:ライブラリースクリーニング)
スクリーニング手順は、大部分はCampbellら(Campbell,I.G.,Jones,T.A.,Foulkes,W.D.およびTrowsdale,J.Cancer Res.51:5329−5338,1991)により記載された方法に基づいていた。富化を、磁性ビーズ(1回目〜3回目)(図1A)およびパンニング技術(4回目)(図1B)を用いて実施した。
(3.1:1回目のスクリーニング)
計375μgの増幅されたDNA(これは、独立した2×106個のcDNAクローンを示す)を調製した。各々のトランスフェクションでは、25μgのDNAを、107個のWOP細胞と、300V/500μFの条件下でGene−Pulserエレクトロポレーター(BIORAD)を用いて混合した。15セットのトランスフェクションを行った。トランスフェクション後、細胞を、37℃にて2日間インキュベートし、次いでトリプシン処理により細胞を脱離させ、そして360×gにて10分間、4℃の遠心分離により5% FCSおよび0.5mM EDTAを補充したPBSで2回洗浄した。細胞ペレットを、5%FCSおよび0.5mM EDTAを補充したPBS中に再懸濁し(107細胞/ml)、次いでE2−CHOを、10μg/mlの濃度で細胞懸濁物に添加した。細胞を、氷上で60分間インキュベートした。5%FCSおよび0.5mM EDTAを補充したPBSで2回洗浄した後、細胞懸濁物を、291A2抗体とともに氷上で30分間インキュベートした。5%FCSおよび0.5mM EDTAを補充したPBSで2回洗浄した後、10μlのヤギ抗マウスIGカップリングDynabeads(DYNAL)を細胞懸濁物に添加した。混合物を、Coulter Mixer(Coulter)を60分間、4℃にて用いて穏やかに攪拌した。結合した細胞を、Magnetic Particle Concentrator(DYNAL)を製造業者の使用説明書に従って用いて、非バインダーから分離し、このようにしてE2結合トランスフェクタントを富化した。プラスミドDNAを、結合したトランスフェクト細胞から、Campbellら(Campbell,I.G.,Jones,T.A.,Foulkes,W.D.およびTrowsdale,J.Cancer Res.51:5329−5338,1991)により記載されたプロトコルを用いて回収した。E.coli MC1061/P3を、エレクトロポレーションによりこのプラスミドを用いて形質転換した。このDNAプールを、最初の富化プール(1°EP)と呼ぶ。
(3.2:2回目のスクリーニング)
1°EP由来の計150μgの増幅したDNAを調製し、そして6セットのトランスフェクションを行い、そしてトランスフェクタントを、1回目のスクリーニングと同じ条件を用いて富化した。このDNAプールを2°EPと呼ぶ。
(3.3:3回目のスクリーニング)
2°EP由来の計25μgの増幅したDNAを調製し、そして1セットのトランスフェクションを行った。トランスフェクタントを、1回目のスクリーニングと同じ条件を用いて富化した。この分離工程の間にトランスフェクタントは凝集体を形成した。この凝集は、無関係な接着分子の発現により生じ得る。これは、富化の効率を減少させ得る。なぜなら、これらの凝集体は、非特異的に磁性ビーズを含んでいたからである。この潜在的な問題を回避するために、Magnetic Particle Concentratorによる2回目の分離後のトランスフェクタントを希釈し、そしてTerasakiプレートにプレーティングした。顕微鏡下で同定された約100個の単一細胞をプールし、そしてプラスミドDNAをそれらから抽出した。この工程から調製したDNAプールを、3°EPと呼ぶ。
(3.4:4回目のスクリーニング)
291A1モノクローナル抗体を、ペトリ皿(90mm)中で10μg/mlの濃度で4℃にて一晩インキュベートした。
3°EP由来の計25μgの増幅したDNAを調製し、そして1セットのトランスフェクションを行った。トランスフェクトした細胞を、上記のようにE2−CHOとともにインキュベートし、そして291A2でコーティングしたプレート上に4℃にて60分間置いた。5%FCSおよび0.5mM EDTAを補充した大過剰のPBSを用いて2回リンスした後、結合した細胞を、溶解溶液で直接処理し、そしてプラスミドを上記のように抽出した。このDNAプールを4°EPと呼ぶ。
(3.4:組換えE2に結合する分子をコードするcDNAの同定)
DNAを、4°EPに由来する単一コロニーから単離した。単一トランスフェクションを、各々のプラスミド調製物について、先のスクリーニング工程について用いたのと同じ条件を用いて行った。形質転換体のE2結合を、抗体結合体化Dynabeadsの代わりにモノクローナルヤギ抗マウスIgのフィコエリトリン結合体化Fabフラグメントを用いて検出した。3°EPおよび4°EPのトランスフェクタントをまた、同様にして分析した。E2に結合した細胞を、FACScan(Becton Dickinson)で検出し、そしてLYSIS IIプログラム(Becton Dickinson)を用いて分析した(図2)。E2−CHOは、精製工程が進むにつれてますます結合する。単一クローンP3は、強力なE2結合を示した。
(実施例4:DNA配列決定および分析)
P3は、約1kbのインサートを含む。トランスフェクションの際にWOPへのE2結合を付与するcDNAクローンのインサートのDNA配列を、T7プライマーを使用して、自動化配列決定システムによって決定した。T7プライマー配列は、pCDM8のクローニング部位に隣接して位置する。この配列は、UNIX(登録商標)コンピューター上でGCGプログラムを使用して、GenBankデータベースを介してスクリーニングした。この分析によって、P3インサートの5’部分がヒトCD81(TAPA−1)と同一であることが明らかになった。3つの酵素(BstXI、HincIIおよびNcoI)を使用する、P3の制限分析もまた、ヒトCD81 cDNAの制限マップと一致した。
(実施例5:組換えE2へのCD81の結合)
抗CD81抗体を使用して、E2とCD81との間の相互作用を評価した。EBV B細胞を、漸増濃度の組換えE2とともに4℃で1時間インキュベートし、次いで、抗CD81モノクローナル抗体(クローンJS−81,Pharmingen)を用いて染色した。図3に示されるように、組換えE2は、EBV形質転換B細胞(EBV−B細胞)への抗CD81抗体の結合を競合的に阻害することが見出された。このデータは、平均蛍光強度の阻害%として表される(Rosaら、1996)。
さらに、ウェスタンブロットにおいて抗CD81と反応するE2は、物質を沈降させた(図4)。この図は、膜タンパク質画分が抗CD81抗体によって免疫沈降したというE2認識を示す。A2A6細胞株から調製された約300μgの膜タンパク質抽出物を、PBS(pH7.4)中の8mM CHAPSに可溶化し、10μgの組換えE2(レーン2および3)、20μgの抗CD81mAb(クローンJS81;Pharmingen)(レーン4)、またはコントロールとして、20μgの無関係のモノクローナル抗体(抗ヒトCD9、ATCC)(レーン5)とともに4℃で2時間インキュベートした。そして最終的に、プロテインAセファロース(CL−4B、pharmacia)に結合したE2に対するチンパンジー抗血清(レーン2)、チンパンジー免疫前血清(レーン3)、またはヤギ抗マウスIgG(レーン4および5)を用いて沈降させた。このペレットを、Laemmli緩衝液中に溶解し、そして非還元条件下でSDS−PAGEに供した。エレクトロブロッティング後に、PVDF膜(Millipore)を1μg/mlの組換えE2とともに一晩室温でインキュベートし、そして291A2抗E2モノクローナル抗体とともに2時間インキュベートした。免疫沈降したタンパク質に結合しているE2を、抗マウスIgGペルオキシダーゼ結合ポリクローナル抗体(Amersham)を用いて検出した。陽性コントロールとして、膜タンパク質もまたゲル上にロードした(レーン1)。分子量標準の移動度を左側にキロダルトンで示す。
CD81はまた、ビオチン標識したE2または抗CD81を用いた免疫組織化学的染色によって示されるように、新鮮なリンパ球および肝細胞において発現される(データは示さず)。
CD81がリガンドのインターナリゼーションを媒介し得るか否かを評価するために、本発明者らは、CD81が、Bリンパ球の表面上のCD19およびCD21と複合体を形成する(D.T.FearonおよびR.H.Carter,1995,Annu.Rev.Immunol.13,127)という事実を探索した。B細胞をE2とともに、37℃で異なる時間でインキュベートし、細胞表面上のCD19またはCD21レベルを免疫染色によって測定した。B細胞のE2とのインキュベーションによって、CD19およびCD21の両方のダウンレギュレーションが生じた(データは示さず)。従って、CD81がこれらのリガンド両方のインターナリゼーションを媒介し得るかのように思われる。
(実施例6:CD81の主要細胞外ループは組換えE2およびウイルス粒子に結合する)
E2タンパク質に結合するCD81ドメインをマップするために、本発明者らの取り組みは、このタンパク質のEC2親水性細胞外ループに焦点を当てた。このフラグメントを、チオレドキシン−EC2融合タンパク質(これは、チオレドキシンとEC2との間にエンテロキナーゼ部位を有する)およびGST−EC2融合タンパク質(これは、GSTとEC2との間にトロンビン部位を有する)としてE.coliにおいて発現させ、そして6ヒスチジンタグをこのタンパク質のカルボキシ末端に付加した。本発明者らは、両方のタンパク質が発現されかつHCV E2に結合し得ることを示す。競合実験において、本発明者らはまた、精製された融合タンパク質およびGST−トロンビン−EC2−(His)6から切り出されたEC2−HisフラグメントがCD81発現細胞の表面上のE2の結合を阻害し得ることを示す。
(6.1 pThio−HisにおけるEC2のクローニング)
図5は、pThio−His CにクローニングされたEC2フラグメントのヌクレオチドおよび推定アミノ酸配列ならびにチオレドキシンのカルボキシ末端およびエンテロキナーゼ切断部位をコードする上流プラスミド配列を示す。示されるように、EC2を、エンテロキナーゼ部位によってチオレドキシンとインフレームで融合する。このエンテロキナーゼ部位は、融合タンパク質からチオレドキシン部位を除去するために使用され得る。
EC2をコードするフラグメントを、プラスミドpCDM8/P3から、以下のオリゴヌクレオチドを使用してPCR増幅した:
Figure 2009035553
標準的なクローニング技術(Sambrookら、1989)を使用して、PCR産物をXhoIおよびHindIIIで二重消化し、同じ制限酵素で消化したpThio−His C(Invitrogen)に連結し、そしてTop10 E.coli細胞に形質転換した。形質転換体を制限酵素分析およびプラスミドのDNA決定によって選択した後、予測されるチオレドキシンエンテロキナーゼ部位−EC2融合タンパク質をコードする正しい構築物を同定した。選択されたクローンのグリセロールバッチを−80℃で保存した。
IPTG添加の前後に、チオレドキシン−EC2発現クローンの全タンパク質抽出物をSDS−PAGEに供して、タンパク質発現を分析した。図6は、誘導されたサンプルからの抽出物中の推定分子量(23.4kDa)のタンパク質バンドが現れたことを示す。この図はまた、融合タンパク質のE2との反応性を示す。pThio−hisC−EC2プラスミドを含むTOP10 E.coliクローンおよびインサートを欠失したpThio−HisCプラスミドを含むTOP10クローンを誘導し、可溶性タンパク質抽出物を両方のクローンから調製し、そしてE2タンパク質を用いてFarウェスタンブロットに供した。このブロットについて、タンパク質サンプルを、3×ローディングサンプル緩衝液(LSB)を使用して1×LSB(5%w/v SDS、10%v/v グリセロール、62.5mM Tris−HCl、0.05%ブロモフェノールブルー)を作製した。サンプルを15%ポリアクリルアミドゲルに流し、そしてPVDF膜(Immobilon−P,Millipore)に転写した。膜をブロッキング溶液(PBS、10% w/vスキムミルク、0.05% v/v Tween20)中で、30分間インキュベートした。1μg/mlのCHO−E2を含むブロッキング溶液とともに4℃で15時間インキュベートした後、膜を1:250に希釈した291A2抗E2モノクローナル抗体とともに2時間インキュベートし、そして1:2000に希釈した過酸化したヤギ抗マウスIg抗体(Sigma)とともに1時間インキュベートした。全てのインキュベーション工程の間にブロッキング溶液(これはまた、抗体を希釈するためにもまた使用される)を使用して3回洗浄工程を行った。最終的にPBSで洗浄した後、膜をルミノール(ECL,Amersham)とともに1分間インキュベートし、そしてHyper−film(Amersham)に曝露した。
これらの図に示され得るように、チオレドキシン−EC2の分子量に対応するバンドは、pThio−HisC−EC2からの可溶性タンパク質をロードしたレーンにおいて見られた。このようなバンドは、pThio−HisCクローンの可溶性タンパク質をロードしたレーンには存在しなかった。
(6.2 チオレドキシン−EC2の精製)
チオレドキシン−EC2の精製について、以下の手順を開発した:
1)細胞の浸透圧ショック、2)30%飽和硫酸アンモニウムでのタンパク質沈降、および3)IMAC。浸透圧ショックののち、融合タンパク質の約50%を細胞から夾雑タンパク質とともに放出させた。硫酸アンモニウム沈澱は、大量の夾雑タンパク質を欠失したチオレドキシン−EC2を含んだペレットを生じた。再懸濁した沈澱物のIMACは、融合タンパク質を生じ、これは、SDS−PAGEによって評価されたように約85%の純度であった。この手順を用いて、本発明者らは、1リットルの培養物から5mgのチオレドキシン−EC2を精製した。この手順は、以下で詳細に記載される。
チオレドキシン−EC2を発現するE.coliクローンを100μg/mlのアンピシリンを含有する500mlのLB培地中でインキュベートした。OD600=0.5で、0.5mMのIPTGを培養物に添加し、そして増殖をさらに3.5時間、37℃で継続した。次いで、培養物を4000×gで10分間、4℃で遠心分離し、細胞ペレットを50mlの氷冷高張溶液(20mM Tris−HCl、2.5mM EDTA、20%スクロース、pH 8.0)で再懸濁し、そして10分間水上に置いた。再懸濁した細胞を上記のように再び遠心分離し、そしてペレットを低張緩衝液(20mM Tris−HCl,2.5mM EDTA、pH8.0)に再懸濁して、細胞に浸透圧ショックを与えた。0℃で20分間懸濁物を12,000×gで10分間、4℃で遠心分離した後、上清を、NH2(SO42の室温飽和溶液を使用して、30% NH2(SO42にした。懸濁物を4℃で一晩インキュベートし、次いで、10,000×gで10分間遠心分離した。ペレットを15mlの20mM リン酸緩衝液、500mM NaCl、pH 6.0を使用して再懸濁して、遠心分離によって明澄化した。そしてこれを、同じ緩衝液で平衡化したニッケル活性化したキレート化セファロースファストフロー(Pharmacia)の2mlのカラムにロードした。
吸着後、カラムを10mlの平衡化緩衝液で洗浄し(流速0.5ml/分)、次いで、チオレドキシン−EC2を、20mM リン酸緩衝液、500mM NaCl、pH 6.0中の0〜50mM イミダゾールの30mlの勾配を使用して溶出し、次いで、10mlの400mMイミダゾールで無勾配溶出した。2.4mlの画分を回収した。組換えタンパク質を含む画分をプールし、PBSに対して透析し、そして−20℃で保存した。タンパク質をSDS−PAGEによって分析し、そしてタンパク質含量を、標準タンパク質としてBSAを使用して、Bradford法によりアッセイした。
精製したチオレドキシン−EC2を図7に示す。
(6.3 pGEX−KGにおけるEC2−(His)6のクローニング)
図8は、pGEX−KGにおいてクローニングされたEC2−(His)6フラグメントのヌクレオチドおよび推定アミノ酸配列、ならびにGSTのカルボキシ末端、トロンビン切断部位、および小さなグリシンスペーサーをコードする上流プラスミド配列を示す。示されるように、EC2を、トロンビン部位を介してGSTとインフレームで融合する。このトロンビン部位は、融合タンパク質からGSTを除去するために使用され得る。トロンビン部位とEC2との間に位置するグリシンリッチスペーサーは、融合タンパク質のトロンビンによる切断を容易にする(Guan,K.L.およびDixon,J.E.(1991)Anal.Biochem.192,262−267)。
EC2をコードするフラグメントを、プラスミドpCDM8/P3から、以下のオリゴヌクレオチドを使用してPCR増幅した:
Figure 2009035553
PCR産物をXhoIおよびHindIIIで消化し、同じ制限酵素で消化したpGEX−KG(Guan,K.L.,およびDixon,J.E.(1991)Anal.Biochem.192,262−267)に連結し、そしてTOP10 E.coli細胞に形質転換した。形質転換体を制限酵素分析およびプラスミドのヌクレオチド配列決定によって選択した後、予測されるサイズのインサートを有するプラスミドが、上流トロンビンおよびGSTコード配列とインフレームで正しいEC2−(His)6配列を有することを見出した。次いで、選択されたTOP10クローンから調製されたプラスミドを、BL21細胞に形質転換した。選択されたクローンのグリセロールバッチを−80℃で保存した。
図9は、GST−EC2−(His)6を発現するTOP10 E.coliクローンの全タンパク質のSDS−PAGEを表す。この分析は、誘導されたサンプルの抽出物において、推定分子量(39kDa)を有するタンパク質バンドが存在することを明らかに示す。対応するFarウェスタンブロットは、E2が融合タンパク質と特異的に反応することを明示する。
(6.4 GST−EC2−(His)6の精製)
GST−EC2−(His)6融合タンパク質をグルタチオンセファロースカラムで精製し、そしてトロンビンで消化した(図10)。消化後、EC2−(His)6を部分を、GSTフラグメントを除去するためのグルタチオンセファロースカラムおよびIMACクロマトグラフィーから構成されているさらなる2つのクロマトグラフィー工程によってさらに精製した。この手順を以下で詳細に示す。
GST−EC2融合タンパク質を発現するE.coliクローンの1つのコロニーを10mlのLB、100μg/mlのアンピシリンに接種し、そして細胞を37℃で一晩増殖させた。次いで、培養物を500mlの培地中に接種し、そしてOD600=0.5に到達したときに、0.5mM IPTGを添加した。3.5時間後に細胞を遠心分離によって回収し、9mlのPBSで再懸濁し、そしてFrench Press(SLM Amicon)を使用して、18,000psiで2回通過させることにより破壊した。溶解物を30,000×gで遠心分離し、そして上清を、PBS中で平衡化した、1mのグルタチオンセファロース4B(Pharmacia)のカラムにロードした。
このカラムを10mlのPBSで洗浄し、そして4mlの50mM Tris−HCl、10mM還元型グルタチオン、pH 8.0で溶出した。この溶出されたタンパク質をPBSに対して透析し。そして−20℃で保存した。
(6.5 GST−EC2−(His)6のトロンビンでの消化およびEC2−(His)6の精製)
グルタチオンセファロースカラムから回収された9.6mgのタンパク質を、22ユニットのトロンビン(Pharmacia)で8時間室温で消化し、次いで、この酵素を0.13mM PMSF(Sigma)を使用して不活化させた。次いで、反応混合物をPBSに対して透析し、そしてPBSで平衡化した0.5mlのGST−セファロースカラムにロードした。カラムを1mlのPBSで洗浄した。流出および洗浄をプールし、そして0.250mlのニッケル活性化したキレート化セファロースカラムにロードした。EC2−(His)6を、1mlの20mM リン酸緩衝液、500mM NaCl、400mM イミダゾール、pH 7.8で溶出してカラムから回収した。次いで、透析をPBSに対して行った。
(実施例7:ウイルスへのCD81フラグメントの結合)
ヒト(マウスではない)のCD81のEC2ループを含むタンパク質をウェスタンブロットにおいてE2と結合させ(データは示さず)、そしてこれは、E2がヒト細胞へ結合することを阻害した(図11)。キメラタンパク質をポリスチレンビーズにコーティングして、既知量のウイルスRNA分子を含む感染血漿とともにインキュベートした。洗浄後、ビーズに結合したウイルスを、結合したHCV RNAの量について定量的RT−PCRによって評価した。この実験を以下で記載のように行った。
ポリスチレンビーズ(直径1/4インチ)(Pirece)を、クエン酸緩衝液(pH 4)中の精製したEC2組換えタンパク質で室温で一晩コーティングした。50mM Tris−HCl、pH 8.0、1mM EDTA、100mM NaCl(TEN)緩衝液中の2%BSAで1時間飽和させた後、各ビーズを、5×105HCV RNA分子を含む、200μlのTEN希釈感染チンパンジー血漿中で2時間37℃でインキュベートした。
阻害実験については、EC2コーティングポリスチレンビーズを10μg/mlの精製したモノクローナル抗体とともに1時間室温でインキュベートした。次いで、これをウイルスとともにインキュベートした。各ビーズを15mlのTEN緩衝液を用いて自動化洗浄機(Abbot)で5回洗浄し、そしてウイルスRNAをViral Extractionキット(Qiagen)を使用して、抽出した。RNA(8ml)を、100pmolのHCVアンチセンスプライマー:CGGTTCCGCAGACCACTATG、40UのRNAsin(Promega)、5nmolのdNTP、110nmolのMgCl2、10U M−MuRT(Boheringer)を含む、20mlの緩衝液A(Perkin Elmer Taq Man)中、42℃で90分間逆転写した。cDNA(20ml)を、100pmolのHCVセンスプライマー:TCTTCACGCAGAAAGCGTCTA、5pmolの蛍光検出プローブ:5’(FAM)TGAGTGTCGTGCAGCCTCCAGGA(TAMRA)(Pharmacia and UpjohnのDavid Slade氏から提供していただいた)、15nmol dNTP、MgCl2、および1.25U Taq Gold(Perkin Elmer,Foster City,CA)を含む、50mlの緩衝液A中でPerkin Elmer ABI 7700配列検出システム(45サイクル)を使用して増幅した。全ての反応を、HCV(遺伝子型Ia)感染血漿(30mEq/mlのbDNA力価)を使用して定量して、標準曲線を作成した。Perkin Elmerからの配列検出ソフトウェアは、以前に記載されている(U.E.Gibson,C.A.HeidおよびP.M.Williams,Genome Res.6,995(1996))。
図12に示されるように、ヒトCD81細胞外ループを含む分子は、濃度依存的様式においてHCVと結合し、そして抗CD81抗体とキメラタンパク質のプレインキュベーションによってウイルス結合が阻害された。さらに組換えE1/E2エンベロープヘテロ二量体(Q−.L.Chooら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91,1294(1994))を用いたワクチン接種による相同なチャレンジから防御されたチンパンジー由来の血清は、ビーズにコーティングされたCD−81へのHCVの結合を完全に阻害したが、ワクチン接種され、防御されなかった動物由来の血清が阻害しなかった(データは示さず)。
これらのデータは、ヒトCD81の発現、特にその主要細胞外ループは、E2だけでなく、HCV粒子もまた結合するために十分であることを示す。CD81の広範な分布によって(S.Levy,S.C.ToddおよびH.T.Maecker,Annu.Rev.Immunol.16,89(1998))、これらの結果は、HCVが結合しかつ肝細胞以外の種々の細胞によってインターナライズされ得ることを意味する。事実、HCV RNAは、Tリンパ球およBリンパ球ならびに単球において見出された(K.Blight,R.R.Lesniewski,J.T.LaBrooyおよびE.J.Gowans,Hepatology 20,553(1994);P.Bouffardら、J.Infect.Dis.166,1276(1992);Zignegoら、J.Hepatol.15,382(1992))。結合しているどんなウイルスが引き続き侵入し、全ての細胞型において感染するかは、効率的なインビトロでのHCVの培養システムがないために、明らかではない。CD81がHCV結合レセプターであり、そしてさらなる因子がウイルス融合または感染性には必要であることが十分で有り得る。
CD81は、異なる細胞型における異なる分子複合体に関与し、事実、HCV感染についてのレセプターとして作用するか、または細胞を標的化するために調節シグナルを送達する能力に影響を与え得る。例えば、これは、上皮細胞および造血細胞上のインテグリンと結合する(F.Berditchevski,M.ZutterおよびM.E.Hemler、Mol.Biol.Cell 7,193(1996);B.A.Mannion,F.Berditchevski,S.−K.Kraeft,L.B.ChenおよびM.E.Hemler,J.Immunol.157,2039(1996))が、これは、B細胞上のCD21、CD19、およびLeu13を含むシグナル伝達複合体の一部である(L.E.Bradbury、G.S.Kansas、S.Levy、R.L.EvansおよびT.F.Tedder、J.Immunol.149,2841(1991))。この複合体は、B細胞の活性化の閾値を低下させることによって抗原特異的刺激を容易にすることが示された(D.T.FearonおよびR.H.Carter,Annu.Rev.Imunol.13,127(1995))。HCVは、EBVレセプター(CD21)を含む同じ複合体の一部である分子を使用するようである(N.R.Cooper、M.D.MooreおよびG.R.Nemerow,Annu.Rev.Imunol.6,85(1988))ことを注意するに値し、そしてEBVが、Bリンパ球を活性化かつ不死化する能力が十分に示されている。
(実施例8:トランスジーンの構築)
以下の構築物を設計し、そしてヒトCD81についてのマウストランスジェニックを生成するために作製した。
(1.ヒトCD81 cDNAフラグメントに対するウサギβグロブリン遺伝子のスプライシングシグナル付加およびポリアデニル化シグナル付加) pCDM8/P3クローンからのヒトCD81 cDNAフラグメントを、pBluescript KS II(+)ベクター(Stratagene)に移入し、次いで、pSPPプラスミド(BMGSC発現ベクターに由来する)(Karasuyama博士(Basel Institute for Immunology)から贈与された)に、2つのフラグメント(一方は、第2のイントロンを含み、他方は、ウサギβグロブリン遺伝子のポリアデニル化シグナルを含む(それぞれ、902〜1547位および1543〜2081位))の間に挿入した(GenBank受託番号第M12603号)(図11におけるpSR1P)。得られた組替えDNAフラグメントを、pBluescript KS II(+)ベクター(Stratagene)から、SalI(5’末端)およびBamHI(3’末端)によって切り出した。
(2.ヒトCD81の遍在性の発現のためのトランスジーンの作製)
pSR1PインサートのSalI−BamHIフラグメントを、pCAGGS(条件つきでJ.Miyazaki博士(Osaka University,Japan)から贈与された)の改変されたプラスミドであるpCAGmcsの適合性の制限部位に挿入した。pCAGmcsは、ニワトリβアクチンプロモーターおよびヒトサイトメガロウイルスエンハンサーを含む(Niwa,H.ら、Gene 108,p193(1991))(図12におけるpCAGSR1Pp)。3.8kbのEcoRI−BamHIフラグメントを接合子注入に供した。
(3.ヒトCD81の肝臓特異的発現のためのトランスジーンの作製)
pSR1PのSalI部位を、E.coli DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメントを用いた平滑末端形成の後に、BamHIリンカー連結によってBamHI部位に変更した。このBamHIフラグメントを、ALB e/p プラスミド(マウスアルブミンプロモーターおよびエンハンサーを有する(Pinkert,C.A.ら、Genes Dev.1,p268(1987)))(F.Chisari(Scripps Research Institute,La Jolla,San Diego)から受け取った)のBamHI部位に挿入した(図13のpAIbSRIP)。4.5kbのNotI−EcoRVフラグメントを、接合子注入に供した。
(4.ヒトCD81のBリンパ球特異的発現のためのトランスジーンの作製)
マウスイムノグロブリン重鎖エンハンサー(A.Kudo博士(Basel Institute for Immunology)から贈与された)の700bp BamHIフラグメントおよびマウスκ軽鎖プロモーターの2.3kb XbaI−SacIフラグメントを、pBluescript KS II(+)ベクターにサブクローニングした。SacI部位を、上記のHindIIIリンカーライゲーションによって、HindIII部位に変更した。pCAGSR1PのBamHI部位を、まずNotI部位に変更した。次いで、改変されたpCAGSR1P構築物のプロモーター領域を、EcoRI−HindIII制限消化によって除去し、そしてイムノグロブリンプロモーター−エンハンサーフラグメント(図15におけるpEhKpSR1P)と置き換えた。5.2kbのEcoRI−BamHIフラグメントを接合子注入に供した。
本発明者らのデータは、CD81がHCVについての結合レセプターであり、そしてHCV感染病理についての機構に新たな知見を提供し得ることをともに示す。CD81はB細胞表面上の活性化複合体と結合するので、本知見は、たとえB細胞におけるウイルス複製が存在しないとしてもクリオグロブリン血症に関連するHCVの病理を説明し得る。さらに、HCVとCD1との間の相互作用を同定することによって、ウイルスエンベロープ上の保存された中和エピトープをマッピングすることを補助し得る。これは、有効なワクチンを開発し、そしてウイルス中和のためのデコイレセプターを提供するために重要であるはずである。
図1は、ヒト、チンパンジー、ミドリザル、ハムスター、ラット、およびマウスのCD81遺伝子配列の間の相同性を示す配列アライメントである。 図1Aは、スクリーニングの第1、第2、および第3ラウンドの模式図である。 図1Bは、スクリーニングの最終ラウンドの模式図である。 図2Aは、E2結合細胞のFACSスキャン分析である。 図2Bは、E2結合細胞のFACSスキャン分析である。 図3は、組換えE2によるB細胞へ結合する抗CD81の用量依存的阻害を示す。データを、平均の蛍光強度の%阻害として表す。 図4は、抗CD81抗体により免疫沈降された膜タンパク質画分の認識を示すイムノブロットである。レーン2:E2に対するチンパンジー抗血清で沈降した組換えE2;レーン3、チンパンジー免疫前血清で沈降した組換えE2 レーン4:ヤギ抗マウスIgGで沈降した20μgの抗CD81 mAb(クローンJS81 Pharmingen)、レーン5:コントロール、(20μgの不適切なモノクローナル抗体、抗ヒトCD9、ATCC)タンパク質Aセファロースに結合したヤギ抗マウスIgGで沈降した。レーン1:ポジティブコントロール、膜タンパク質の調製物。 図5は、pThio−His Cでクローン化されたEC2フラグメントのヌクレオチド配列および推定のアミノ酸配列ならびにチオレドキシンのカルボキシ末端およびエンテロキナーゼ切断部位をコードする上流のプラスミド配列を示す。 図6は、誘導された試料からの抽出物中のチオレドキシン−EC2の予想される分子量のタンパク質バンドの外観を示す。 図7は、チオレドキシン−EC2の精製を示すCoomassie Blue染色したゲルである。 図8は、pGEX−KG中へクローン化されたEC2−His6フラグメントのヌクレオチド配列および推定されるアミノ酸配列ならびにGSTのカルボキシ末端、トロンビン切断部位および小さなグリシンスペーサーをコードする上流のプラスミド配列を示す。 図9は、GST−EC2−(His)6を発現するTOP10 E.coliクローンの全タンパク質のSDS−PAGEを示す。 図10は、グルタチオンセファロースカラムでのタンパク質の精製後の、GST−EC2−(His)6のトロンビン開裂を示すCoomassie染色されたSDS−PAGEである。 図11は、ヒトCD81の主要な細胞外ループ(EC2)を発現する組換え分子による、肝臓ガン細胞に結合するE2の用量依存的阻害を示す。 図12は、CD81へのHCVの結合を示す。 図13は、ヒトCD81遺伝子のmireトランスジェニックの産生に使用するための核酸ベクターの構築を示す。 図14は、ヒトCD81遺伝子のmireトランスジェニックの産生に使用するための核酸ベクターの構築を示す。 図15は、ヒトCD81遺伝子のmireトランスジェニックの産生に使用するための核酸ベクターの構築を示す。 図16は、ヒトCD81遺伝子のmireトランスジェニックの産生に使用するための核酸ベクターの構築を示す。 図17は、ヒトCD81遺伝子のmireトランスジェニックの産生に使用するための核酸ベクターの構築を示す。

Claims (1)

  1. 本明細書および図面に記載されるような、方法。
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