JP2009035017A - 車両の排水構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】車体構造における設計自由度が損なわれることなく、排水プラグにおける水の滞留を防止する。
【解決手段】サンルーフの開口部周縁に設けた排水溝内の水を、センタピラー内部に設けた排水パイプ13を経て、車体前部のカウルボックス23に取り付けた排水プラグ1を通してエンジンルーム19に排水する。排水プラグ1は、中空接続部1aを排水パイプ13に接続するとともに、円筒部1bをカウルボックス23のプラグ取付孔23に挿入して取り付ける。円筒部1bの内面1gは、鉛直方向下部に、曲面1iと傾斜面1jとからなる傾斜部1hを備えている。内面1gの鉛直方向上部にも、傾斜部1hと上下対称形状の傾斜部1kを設けるとともに、円筒部1bの水平方向両側端部に左右対称形状の係合爪を設定することで、排水プラグ1は上下を逆にして取り付けても排水機能が維持される。
【選択図】図1

Description

本発明は、車体の溜まり水を、車体の壁部に取り付けた排水プラグを通して車室の外部に排出する車両の排水構造に関する。
従来、車体のルーフに、サンルーフとクーラのエバポレータを設け、このサンルーフの排水とエバポレータの排水とを合流して排水する車両の排水構造が、下記特許文献1に記載されている。
実開昭59−31569号公報
ところで、上記合流した排水はピラー内部に設けたドレインホースに流すようにしているが、その排水先の端部を、車体の壁部に取り付けた排水プラグなどに接続し、該排水プラグを経て車室の外部に排水することが考えられる。
ここで、上記した排水プラグを車体の壁部に設けた取付孔に、排水端部側に形成した筒状部分を挿入して取り付ける場合を考えると、ドレインホースを流れてくる排水は、上記した排水プラグの筒状部分内に流出後、車室の外部に排出されることになる。
このとき、筒状部分内に流出した排水は、ここに溜まったままの状態であると、特に寒冷地では凍結し、排水口が塞がれて排水機能が阻害される恐れがある。
そこで、上記の問題を解消するために、例えば排水プラグを取り付ける車体の壁部の取付面を、排水プラグの排水側端部が斜め下方に向くよう傾斜させ、この傾斜させた壁部の取付面に排水プラグを取り付けることで、前記した筒状部部分に排水が溜まらないようにすることが考えられる。
ところが、この場合には、車体の壁部を傾斜させた状態とする必要があることから、車体構造における設計自由度が損なわれる要因となる。
そこで、本発明は、車体構造における設計自由度が損なわれることなく、排水プラグにおける水の滞留を抑制することを目的としている。
本発明は、車室の溜まり水を、前記車体の壁部に取り付けた排水プラグを通して車室の外部に排出する車両の排水構造であって、前記排水プラグは、前記壁部の前記車室の外部に露出する側に突出して壁部に係合しつつ排出される前記溜まり水が流入する筒部を備え、この筒部の鉛直方向下部の内面に、前記溜まり水を排出する先端側が前記溜まり水の流入する基端側に対して鉛直方向下方となる傾斜部を設けたことを最も主要な特徴とする。
本発明によれば、排水プラグに達した車室の溜まり水は、筒部内に流出するが、筒部の下部内面は排出する側の先端側が下がるよう傾斜しているので、筒部内に留まることなく排出され、排水プラグにおける水の滞留を防止でき、水が滞留することによる凍結を未然に防いで排水機能を所望に維持することができる。この際、排水プラグを取り付ける車体の壁部を傾斜させた状態とする必要がなく、鉛直方向に向けて立設した状態としてもよく、車体構造における設計自由度を確保することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す排水プラグ1を含むその取付部周辺の断面図であり、排水プラグ1は、図2に斜視図として示す自動車の車体前部に設けてあるエンジンルーム内に設置している。
図2の自動車は、ルーフ3にサンルーフ5を設定してあり、このサンルーフ5は、ルーフ3に設けた開口部7に対し車体前後方向にスライド移動して開閉する開閉体としてのスライド扉9を備えている。
そして、上記した開口部7の開口周縁には、車体の溝部となる排水溝11を開口部7の全周にわたり環状に設けている。図3は、ルーフ3の車体前部付近から排水プラグ1を取り付けた部分を含む車体の一部を示す側面図である。なお、この図3では、図1に示すフロントドア10およびボディサイドアウタパネル12は省略している
前記した排水溝11の車幅方向両側部には、車体前後方向に延びる左右2箇所の側部排水溝11aを備え、この側部排水溝11aの車体前方側端部付近の下部には、排水通路を構成する排水パイプ13の一端13aを接続している。排水パイプ13は、車体のピラーである左右のフロントピラー15に沿って延長してそれぞれ設け、その他端13bを前記した排水プラグ1に接続する。
すなわち、上記した排水プラグ1は車体の車幅方向左右両側部にそれぞれ設置してあり、これら各排水プラグ1の構造およびその取付構造などは、左右両側部で同等であり、以下の説明では左右両側部に対応するものとする。
図4は、排水溝11から排水プラグ1の取付部付近にわたる各構成部品の分解斜視図で、排水パイプ13の排水プラグ1側の端部13bは、車室17と車室前方のエンジンルーム19とを隔てるダッシュパネル(ダッシュアッパ)21に設けたパイプ挿入孔21aに挿入し、その前方の壁部としてのカウルボックス23近傍まで引き出している。
一方、カウルボックス23の前記したパイプ挿入孔21aに対応する位置には、取付孔としてのプラグ取付孔23a設け、このプラグ取付孔23aに取り付けた排水プラグ1に排水パイプ13の端部13bを接続している。
図5は排水プラグ1単体の断面図、図6は排水プラグ1の取付時でのエンジンルール19側から見た斜視図である。排水プラグ1は、前記した図1に示すように、排水パイプ13の端部13b内に挿入されて接続される導入口としての円筒形状の中空接続部1aと、カウルボックス23のプラグ取付孔23aに挿入される筒部である円筒部1bとを主として備えている。すなわち、この円筒部1bは車室17の外部となるエンジンルーム19に露出していることになる。
中空接続部1aと円筒部1bとは、端壁1cによって接続され、端壁1cの外周縁は外周側に突出して環状のフランジ部1dを形成し、このフランジ部1dがカウルボックス23の取付面23bに接触している。また、端壁1cの中心には、中空接続部1a内と円筒部1b内とを連通する貫通孔1eを形成してあり、貫通孔1eから中空接続部1aと反対の円筒部1b内に突出する円筒状の排水部1fを設けている。
排水プラグ1はカウルボックス23への取付状態で、円筒部1bがその内面1gの鉛直方向下部に、水を排出する先端側(図1中で左側)が水の流入する基端側(図1中で右側)に対して鉛直方向下方となる傾斜部1hを設けている。この傾斜部1hは、端壁1cと円筒部1bの内面1gとの境界部に設けた凹状の円弧形状となる曲面1iと、この曲面1iに連続する傾斜面1jとを備えている。
また、上記した傾斜部1hに対向する円筒部1bの鉛直方向上部の内面1gに、水を排出する先端側が、水の流入する基端側に対して鉛直方向上方となる傾斜部1kを設けている。この傾斜部1kは、端壁1cと円筒部1bの内面1gとの境界部に設けた凹状の円弧形状となる曲面1mと、この曲面1mに連続する傾斜面1nとを備えている。
すなわち、上記した円筒部1bの内面1gに設けてある下部の傾斜部1hと上部の傾斜部1kとは、上下対称形状としている。
また、円筒部1bの水平方向両側端部には、車体前後方向から見て左右対称形状となる係合部としての係合爪1pをそれぞれ設けている。係合爪1pは、その基端部1qが円筒部1bに一体的に接続され、この接続された部位を支点として、半径方向外側に向けて突出している前記係合爪1pが半径方向に弾性変形可能となっている。
そして、円筒部1bがカウルボックス23のプラグ取付孔を23aに挿入されてフランジ部1dがカウルボックス23の取付面23bに当接した状態で、係合爪1pがフランジ部1dに対しカウルボックス23の取付面23bを境にして反対側に位置して係合状態となり、これにより排水プラグ1がカウルボックス23に取り付けられた状態となる。
このようにして排水プラグ1が取り付けられたカウルボックス23は、鉛直方向に向けて立設されており、その取付面23bも同様にして鉛直方向に向けて立設された状態である。
上記のような車両の排水構造において、図2に示すサンルーフ5の側部排水溝11aに溜まった水、すなわち車室の溜まり水は、排水パイプ13を通して排水プラグ1に達する。排水プラグ1に達した水は、円筒状の排水部1fから円筒部1b内に流出し、傾斜部1hに落下して該傾斜部1hを重力により流下して円筒部1bの先端からエンジンルーム19内に落下する。
また、上記円筒部1b内に流出した水は、特に端壁1cと傾斜面1jとの間の角部に曲面1iを設けているので、この曲面1iに一部が付着しても、その曲面形状の傾斜によって傾斜面1jに向けて流れ、角部での水の滞留を防止することができる。
このように、本実施形態では、排水プラグ1に達した水の円筒部1b内での滞留を防止しているので、特に寒冷地での円筒部1b内での水の凍結を防止でき、排水口が塞がれることによる排水機能低下を回避することができる。この際、本実施形態では、排水プラグ1を取り付けるカウルボックス23を鉛直方向に対して傾斜させる必要がなく、車体構造における設計自由度を確保することができる。
また、上記した円筒部1bの内面1gに設けた傾斜部1hに対して上下対称に、傾斜部1kを設けるとともに、円筒部1bの外部には左右対称位置にかつ左右対称形状に、係合爪1pを設けているので、取付作業を行う際に、排水プラグ1の上下を逆にしても、同様の形態で取り付けることができ、取り付け作業性が向上する。
また、本実施形態の排水プラグ1は、筒部を円筒部1bとしているので、円筒部1b内に流出した水は円筒形状の下部に効率よく集まって外部への排水が効率化する。
前記筒部である円筒部1bを、カウルボックス23に貫通して設けたプラグ取付孔23aに挿入することで、排水プラグ1をカウルボックス23に容易に取り付けることができる。
また、前記した車体の排水溝11は、該車体のルーフ3に設けたスライド扉9が開閉可能となる開口部7の周縁に形成され、この排水溝11と排水プラグ1とを、前記車体のフロントピラー15に沿って設けた排水パイプ13で接続したので、排水溝11に溜まる水を、排水パイプ13を経て排水プラグ1までスムーズに流すことができる。
さらに、上記した排水溝11と排水プラグ1とを、フロントピラー15に沿って設けた排水パイプ13で接続し、この排水パイプ13に接続する排水プラグ1を車体前部のエンジンルーム19内に設置したので、排水溝11から排水プラグ1への水の流れをスムーズにして車室17外部のエンジンルーム19へ水を排出することができる。
本発明の一実施形態を示す排水プラグを含むその取付部周辺の断面図である。 図1の排水プラグの取付構造を備える自動車の斜視図である。 図2の自動車におけるルーフの車体前部付近から排水プラグを取り付けた部分を含む車体の一部を示す側面図である。 図2の自動車におけるルーフの排水溝から排水プラグの取付部付近にわたる各構成部品の分解斜視図である。 図1の排水プラグの単体を示す断面図である。 図1の排水プラグの取付時でのエンジンルール側から見た単体を示す斜視図である。
符号の説明
1 排水プラグ
1a 排水プラグの中空接続部(導入口)
1c 排水プラグの端壁
1b 排水プラグの円筒部(筒部)
1g 円筒部の内面(筒部の内面)
1h 水を排出する先端側が水の流入する基端側に対して鉛直方向下方となる傾斜部
1i 凹状の曲面
1j 曲面に連続する傾斜面
1k 水を排出する先端側が水の流入する基端側に対して鉛直方向上方となる傾斜部
1p 排水プラグの係合爪(係合部)
3 車体のルーフ
7 ルーフに設けた開口部
9 スライド扉(開閉体)
11 排水溝(車体の溝部)
13 排水パイプ(排水通路)
15 センタピラー(ピラー)
17 車室
19 エンジンルーム(車室の外部)
23 カウルボックス(車体の壁部)
23a プラグ取付孔(壁部に貫通して設けた取付孔)

Claims (7)

  1. 車室の溜まり水を、前記車体の壁部に取り付けた排水プラグを通して車室の外部に排出する車両の排水構造であって、前記排水プラグは、前記壁部の前記車室の外部に露出する側に突出して壁部に係合しつつ排出される前記溜まり水が流入する筒部を備え、この筒部の鉛直方向下部の内面に、前記溜まり水を排出する先端側が前記溜まり水の流入する基端側に対して鉛直方向下方となる傾斜部を設けたことを特徴とする車両の排水構造。
  2. 前記筒部の水平方向両側端部に、前記車体の壁部に前記排水プラグを取り付けるための一対の係合部を左右対称形状に設け、前記傾斜部に対向する前記筒部の鉛直方向上部の内面に、前記溜まり水を排出する先端側が前記溜まり水の流入する基端側に対して鉛直方向上方となる傾斜部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両の排水構造。
  3. 前記排水プラグは、前記筒部の内面の基端側と、前記溜り水を導入する導入口の排水側の端部とを結ぶ端壁を備え、前記傾斜部は、この端壁と前記筒部の内面との境界部周辺に設けた凹状の曲面と、この曲面の排水側に連続する傾斜面とを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両の排水構造。
  4. 前記筒部は円筒部であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両の排水構造。
  5. 前記筒部は、前記車体の壁部に設けた取付孔に挿入されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車両の排水構造。
  6. 前記車体のルーフに設けた開閉体が開閉可能となる開口部の周縁に溝部が形成され、この溝部と前記排水プラグとを、前記車体のピラーに沿って設けた排水通路で接続したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両の排水構造。
  7. 前記排水通路はフロントピラーに沿って設けられ、前記排水プラグを車体前部のエンジンルーム内に設置したことを特徴とする請求項6に記載の車両の排水構造。
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