JP2009033031A - 電磁波シールド部材及びその製造方法 - Google Patents

電磁波シールド部材及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009033031A
JP2009033031A JP2007197556A JP2007197556A JP2009033031A JP 2009033031 A JP2009033031 A JP 2009033031A JP 2007197556 A JP2007197556 A JP 2007197556A JP 2007197556 A JP2007197556 A JP 2007197556A JP 2009033031 A JP2009033031 A JP 2009033031A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
catalyst
primer layer
catalyst paste
primer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007197556A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5092607B2 (ja
Inventor
Yuichi Miyazaki
祐一 宮崎
Nobuo Naito
暢夫 内藤
Hironori Kamiyama
弘徳 上山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2007197556A priority Critical patent/JP5092607B2/ja
Publication of JP2009033031A publication Critical patent/JP2009033031A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5092607B2 publication Critical patent/JP5092607B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Shielding Devices Or Components To Electric Or Magnetic Fields (AREA)
  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)

Abstract

【課題】触媒ペーストを透明基材上に転写し、触媒層パターンを形成してなる電磁波シールド材、および転写後の触媒層上に金属層を形成してなる電磁波シールド材において、触媒ペーストの転写不良に基づく断線や形状不良、低密着性等の不具合が生じない電磁波シールド材を提供する。
【解決手段】透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された触媒機能を有する材料と樹脂を含む触媒層と、その上に形成された金属層を有する電磁波シールド材であって、前記プライマー層のうち前記触媒層が形成されている部分の厚さは、前記触媒層が形成されていない部分の厚さよりも大きいことを特徴とする電磁波シールド材。
【選択図】図1

Description

本発明は、所定のパターンで形成された導電性を有する層によって電磁波を遮蔽する電磁波シールド材及びその製造方法に関する。
テレビやパーソナルコンピュータのモニター等のディスプレイ装置として、例えば、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置(LCD)、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置等が知られている。これらのディスプレイ装置のうち、大画面ディスプレイ装置の分野で注目されているプラズマディスプレイ装置は、発光にプラズマ放電を利用するため、30MHz〜1GHz帯域の不要な電磁波が外部に漏洩して他の機器(例えば、遠隔制御機器、情報処理装置等)に影響を与えるおそれがある。そのため、プラズマディスプレイ装置に用いられるプラズマディスプレイパネルの前面側(観察者側)に、漏洩する電磁波をシールドするためのフィルム状の電磁波シールド材を設けるのが一般的である。
電磁波シールド材は今までに種々検討されているが、例えば特許文献1には、透明基材上に無電解めっき触媒ペーストをメッシュパターンでスクリーン印刷し、その上に金属層を無電解めっきしてなる電磁波シールド材が提案されている。また、特許文献2には、導電性インキ組成物をメッシュパターンで転写体に凹版オフセット印刷し、転写体上のメッシュパターンを透明基材上に転写し、透明基材上のメッシュパターンに金属層を電気めっきしてなる電磁波シールド材が提案されている。また、特許文献3には、導電性インキ組成物をメッシュパターンで透明基材に直接凹版印刷し、その透明基材上のメッシュパターンに金属層を電気めっきしてなる電磁波シールド材が提案されている。
上記の様なパターン印刷では、印刷精度を高めるために、通常、チキソトロピー性(擬粘性流動)を有した高粘度のペーストが用いられる。
特開平11−170420号公報 特開2001−102792号公報 特開平11−174174号公報
しかしながら、特許文献1に記載の電磁波シールド材は、微細パターンの形成が難しいスクリーン印刷でメッシュパターンを形成するとともに、成膜速度の遅い無電解めっきで金属層を形成するので、生産性の点で劣り、コスト低減を図ることができないという難点がある。また、特許文献2に記載の電磁波シールド材は、凹版印刷でメッシュパターンを形成するので微細パターンの形成は可能であるが、オフセット印刷を採用するので、凹版から転写体に転写した後に転写体から透明基材に2回目の転写を行うので、原版である凹版のメッシュパターンが忠実に透明基材に転写されないことがある。
さらに、特許文献2,3に記載の電磁波シールド材の製造方法は、特許文献1の無電解めっき触媒ペーストの形成にも応用可能ではあるが、凹版から転写体又は透明基材に転写(転移とも云う)する際に、未転写部が発生したり、密着性に劣る転写不良が発生したりすることがある。具体的には、図8に示すように、凹版101上に導電性インキ組成物103を塗布した後にドクターブレード102で掻き取って凹部104内に導電性インキ組成物103を充填する際、図8(B)に示すように、ドクターブレード102で掻き取った後の凹部104内の導電性インキ組成物103は、その上部に凹み105が生じる。この凹み105は、その後、凹版101上に透明基材106を圧着して透明基材106上に凹部104内の導電性インキ組成物103を転写する際に、図8(C)に示すように、透明基材106と導電性インキ組成物103との密着を妨げる要因となる。その結果、透明基材106上に、導電性インキ組成物の未転写部が発生したり、密着性に劣る転写不良が発生して、電磁波シールド特性を低下させる原因となる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、触媒ペーストを透明基材上に転写し、触媒機能を有するパターンを形成してなる電磁波シールド材において、触媒ペーストの転写不良に基づくパターンの断線、形状不良や低密着性等の不具合が生じない電磁波シールド材を提供することにある。また、本発明の他の目的は、触媒ペーストの転写不良に基づくパターンの断線や形状不良、低密着性等の不具合が生じない電磁波シールドの製造方法を提供することにある。
ここで、触媒ペーストとは触媒機能を有する粉末とバインダー樹脂、必要に応じてバインダー樹脂を溶解する溶剤を含んだ流動性を有するペースト状の材料であり、触媒層とは触媒ペーストを乾燥ないし硬化させた後の固形物からなる塗膜のことである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、凹版の凹部に充填された触媒ペースト表面の凹みに流動性のあるプライマー層を充填することにより、触媒ペーストの転写不良に基づく断線や形状不良、低密着性等の不具合を解消することができるという知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された触媒機能を有する材料と樹脂を含む触媒層と、その上に形成された金属層を有する電磁波シールド材であって、
前記プライマー層のうち前記触媒層が形成されている部分の厚さは、前記触媒層が形成されていない部分の厚さよりも大きいことを特徴とする、電磁波シールド材を提供する。
本発明によれば、透明基材上に設けられたプライマー層のうち、触媒層が形成されている部分の厚さは触媒層が形成されていない部分の厚さよりも大きいので、上記課題で指摘した凹みを充填するようにプライマー層が設けられている。こうした形態からなるプライマー層は、電磁波シールド材の製造時に、ドクターブレードで掻き取った後の版の凹部内の触媒ペースト上部の凹みに充填して形成されたものであり、その結果、プライマー層が触媒ペーストに空隙なく密着し、触媒ペーストの転写不良に基づく断線や形状不良、低密着性等の不具合が生じない電磁波シールド材を提供できる。
また本発明によれば、触媒ペーストの転移性を改善できるため、版形状の再現性も良好となる。
本発明に係る電磁波シールド材において、前記金属層が無電解めっきにより形成されていることが好ましい。
本発明に係る電磁波シールド材において、前記金属層が無電解めっきにより金属層を形成した後、電解めっきにより更に金属層が形成されていることが好ましい。
本発明に係る電磁波シールド材において、前記プライマー層が、電離放射線硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなる層であることが好ましい。ここで、電離放射線硬化性樹脂とは、紫外線または電子線等の電離放射線の照射により硬化する性質を持った樹脂のことである。
本発明に係る電磁波シールド材において、前記触媒層に含まれる樹脂が、熱可塑性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂であることが好ましい。
本発明に係る電磁波シールド材において、前記プライマー層を形成するプライマー成分の一部が、前記触媒層中に拡散していることが好ましい。
本発明に係る電磁波シールド材において、前記プライマー層の前記触媒層側の境界面と、前記触媒層の前記プライマー層側の境界面とが、互いに入り組んだ状態で相溶していることが好ましい。
上記課題を解決するための本発明の電磁波シールド材の製造方法の1つは、透明基材の一方の面に所定のパターンで金属層が形成されてなる電磁波シールド材の製造方法であって、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層が一方の面に形成された透明基材を準備する透明基材準備工程と、所定のパターンで凹部が形成された板状又は円筒状の版面に、硬化後に触媒層を形成できる触媒ペーストを塗布した後、前記凹部内以外に付着した該触媒ペーストを掻き取って該凹部内に該触媒ペーストを充填する触媒ペースト充填工程と、前記透明基材準備工程後の透明基材のプライマー層側と前記触媒ペースト充填工程後の版面の凹部側とを圧着して、前記プライマー層と前記凹部内の触媒ペーストとを空隙なく密着する圧着工程と、前記圧着工程後に前記プライマー層を硬化するプライマー層硬化工程と、前記プライマー層硬化工程後に前記透明基材とプライマー層とを前記版面から剥がして前記凹部内の触媒ペーストを前記プライマー層上に転写する転写工程と、前記転写工程後、前記プライマー層上に所定のパターンで形成された触媒ペーストを硬化させて触媒層を形成する触媒ペースト硬化工程と、前記触媒層の上に、無電解めっきにより金属層を形成する無電解めっき工程と、を有することを特徴とする。
本発明の電磁波シールド材のもう1つの製造方法は、透明基材の一方の面に所定のパターンで金属層が形成されてなる電磁波シールド材の製造方法であって、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層が一方の面に形成された透明基材を準備する透明基材準備工程と、所定のパターンで凹部が形成された板状又は円筒状の版面に、硬化後に触媒層を形成できる触媒ペーストを塗布した後、前記凹部内以外に付着した該触媒ペーストを掻き取って該凹部内に該触媒ペーストを充填する触媒ペースト充填工程と、前記透明基材準備工程後の透明基材のプライマー層側と前記触媒ペースト充填工程後の版面の凹部側とを圧着して、前記プライマー層と前記凹部内の触媒ペーストとを空隙なく密着する圧着工程と、前記圧着工程後に前記プライマー層と触媒ペーストを同時に硬化する同時硬化工程と、前記同時硬化工程後に前記透明基材とプライマー層とを前記版面から剥がして前記凹部内の触媒ペーストを触媒層として前記プライマー層上に転写する転写工程と、前記触媒層の上に、無電解めっきにより金属層を形成する無電解めっき工程と、を有することを特徴とする。
また、これらの工程の後に、無電解めっきにより形成された金属層の表面に、更に金属層を電解めっきする工程を有してもよい。
本発明によれば、流動性を保持したプライマー層が形成された透明基材のプライマー層側と、触媒ペースト充填工程後の版面の凹部側とを圧着するので、凹部内の触媒ペースト上部に生じやすい凹みに流動性のあるプライマー層が充填される。その結果、プライマー層が触媒ペーストに空隙無く密着するので、凹部内の触媒ペーストを透明基材側に未転写部のない状態で正確に転写させることができる。こうして、触媒層の転写不良に基づく断線、形状不良、低密着性等の不具合が生じない電磁波シールド材を製造することができる。
本発明に係る電磁波シールド材の製造方法において、前記プライマー層が電離放射線硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなる層であり、該プライマー層の流動性の保持を電離放射線の未照射又は加熱によって行うことが好ましい。
本発明に係る電磁波シールド材の製造方法において、前記触媒層が、触媒機能を有する粉末及び樹脂を含み、該樹脂が熱可塑性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる層であることが好ましい。
本発明に係る電磁波シールド材の製造方法において、前記転写工程後において、前記プライマー層のうち前記触媒ペーストが転写された部分の厚さは、前記触媒ペーストが転写されていない部分の厚さよりも大きいことが好ましい。
本発明によれば、流動性を保持したプライマー層が形成された透明基材のプライマー層側と、触媒ペースト充填工程後の版面の凹部側とを圧着することにより、凹部内の触媒ペースト上部に生じやすい凹みに流動性のあるプライマー層が充填され、その後プライマー層を硬化させるので、最終的に得られた形態は、透明基材上に設けられたプライマー層のうち触媒層が形成されている部分の厚さは触媒層が形成されていない部分の厚さよりも大きい(食い込んだ)形態になる。得られた電磁波シールド材はこうした形態を有するので、触媒層の転写不良に基づく断線、形状不良、低密着性等の不具合が生じない。
本発明の電磁波シールド材が有するプライマー層の形態によれば、上記課題で指摘した凹みを充填するようにプライマー層が設けられているので、触媒層の転写不良に基づく断線や形状不良、低密着性等の不具合が生じない電磁波シールド材を提供することができる。
本発明の電磁波シールド材の製造方法によれば、凹部内の触媒ペースト上部に生じやすい凹みに流動性のあるプライマー層が充填されるので、そのプライマー層が触媒ペーストに空隙無く密着する。その結果、凹部内の触媒ペーストを透明基材側に未転写部のない状態で正確に転写させることができる。こうして、触媒ペーストの転写不良に基づく断線、形状不良、低密着性等の不具合が生じない電磁波シールド材を製造することができる。また、凹部内の触媒ペーストの転移率も向上するため、版形状の再現性も良好となる。
以下において本発明を詳しく説明する。
本発明に係る電磁波遮蔽シールド材は、透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された触媒機能を有する材料と樹脂を含む触媒層と、その上に形成された金属層を有する電磁波シールド材であって、
前記プライマー層のうち前記触媒層が形成されている部分の厚さは、前記触媒層が形成されていない部分の厚さよりも大きいことを特徴とする。
本発明によれば、透明基材上に設けられたプライマー層のうち、触媒層が形成されている部分の厚さは触媒層が形成されていない部分の厚さよりも大きいので、上記課題で指摘した凹みを充填するようにプライマー層が設けられている。こうした形態からなるプライマー層は、電磁波シールド材の製造時に、ドクターブレードで掻き取った後の版の凹部内の触媒ペースト上部の凹みに充填して形成されたものであり、その結果、プライマー層が触媒ペーストに空隙なく密着し、触媒ペーストの転写不良に基づく断線や形状不良、低密着性等の不具合が生じない電磁波シールド材を提供できる。
また本発明によれば、触媒ペーストの転移性を改善できるため、版形状の再現性も良好となる。
上記の触媒ペーストの転移性が改善される理由は今のところ不明であるが、以下の分析結果から次のように考えられる。
TEM分析により転移後の断面を観察した結果、転移後の触媒層と、プライマー層との界面がはっきりと2層に分かれておらず、互いに入り組んだ状態で相溶していることが確認された。また、(1)触媒ペーストが転移したパターン部分の表面(2)触媒ペーストが転移していない部分(開口部)のプライマー層表面(3)触媒ペーストのみを透明基材上に塗布し乾燥させた塗工膜の表面(4)プライマー成分のみを透明基材上に塗布し硬化させた塗膜表面についてSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析をした結果、(3)の触媒ペースト塗工膜ではプライマー材料に起因するフラグメントが検出されず、(4)のプライマー塗膜では検出されたプライマー材料に起因するフラグメントが(1)及び(2)において検出されたことから、硬化工程前にプライマー層を形成するプライマー成分の一部が触媒ペースト中に拡散していることが示唆される。これらの結果から、流動性のあるプライマー層を触媒ペーストに接触させた際、該プライマー層と該触媒層との境界部分の相溶及び/又は境界の乱れが生じ、この状態でプライマー層を硬化させると、境界部分から触媒ペースト方向に向かう領域で、該触媒ペーストの増粘やゲル化等の現象が起こり、該触媒ペーストが版から引き抜きやすくなっていることが推測される。また、流動性のあるプライマー層を形成するプライマー成分の一部が、版内の触媒ペースト中に拡散し、プライマー層を硬化させた際に触媒ペースト層の粘度を全体的に上げていることが推測される。いずれの場合においても、流動性のあるプライマー層を触媒ペーストに接触させて、プライマー層を硬化させた後、版を剥離することにより、該触媒ペースト層が完全に硬化していないにもかかわらず該触媒ペースト層をほぼ全転移させることが可能となると考えられる。
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[電磁波シールド材]
図1は、本発明の電磁波シールド材の一例を示す模式的な平面図であり、図2は、図1におけるA−A’断面の拡大図である。また、図3は、図2の一部をさらに拡大して示す模式的な断面図である。本発明の電磁波シールド材10は、透明基材1と、透明基材1上に形成されたプライマー層2と、該プライマー層2上に所定のパターンで形成された触媒層3と、該触媒層3上に形成された金属層4を有し、必要に応じてさらに保護層9を有する。なお、図1中、符号7は電磁波遮蔽パターン部であり、符号8は接地部である。また、「所定のパターン」とは、電磁波シールド材10の電磁波遮蔽パターンとして一般的な、メッシュ状又はストライプ状のパターンである。以下、本発明の構成を詳しく説明する。
(透明基材)
透明基材1は、電磁波シールド材10の基材であり、所望の透明性、機械的強度、プライマー層2との接着性等の要求適正を勘案の上各種材料の各種厚みのものを選択すれば良い。材料としては樹脂、硝子等が、厚み形態としてはフィルム(乃至はシート)、或いは板の形態で用いられる。通常は、樹脂製の透明フィルムが好ましく用いられる。そうした透明フィルムとしては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエステル樹脂等をベースとするフィルムが好ましいが、これに限定されない。具体的には、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、アセテートブチレートセルロースフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムやポリ塩化ビニリデン等の含ハロゲン樹脂フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム等のスチレン系樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、トリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリロニトリルフィルム等が使用できる。中でも、二軸延伸PETフィルムが透明性、耐久性に優れ、しかもその後の工程で紫外線照射処理や加熱処理を経た場合でも熱変形等しない耐熱性を有する点で好適である。
透明基材1は、ロール・トゥ・ロールの長尺フィルムであってもよいし、所定の大きさからなる枚葉フィルムであってもよい。透明基材1の厚さは、通常は8μm〜1000μm程度が好ましいが、これに限定されない。透明基材1の光透過率としては、100%のものが理想であるが、透過率80%以上のものを選択することが好ましい。透明基材の表面には、必要に応じて、後述するプライマー層2と基材との密着性を改善するために易接着層を設けたり、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理などの表面処理を行ってもよい。該易接着層としては、該透明基材1とプライマー層2との両方に接着性の有る樹脂から構成する。易接着層の樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン等の樹脂の中から適宜選択する。
(プライマー層)
プライマー層2は、透明基材1上に密着性よく設けられる。そして、このプライマー層2上には触媒層3が密着性よく設けられる。したがって、プライマー層2は、透明基材1と触媒層3の両方に対して密着性がよい材料であることが好ましく、また、当然のことながら透明であることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性樹脂や、熱可塑性樹脂を塗工してなる層であることが好ましい。また、密着性、耐久性改善、各種物性付与のために各種添加剤や変性樹脂を使用しても良い。
該熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
該電離放射線硬化性樹脂としては、電離放射線で架橋等の反応により重合硬化するモノマー(単量体)、或いはプレポリマーが用いられる。斯かるモノマーとしては、例えば、ラジカル重合性モノマー、具体的には、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートが挙げられる。
又、斯かるプレポリマー(乃至はオリゴマー)としては、例えば、ラジカル重合性プレポリマー、具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートプレポリマー、不飽和ポリエステルプレポリマー等が挙げられる。其の他、カチオン重合性プレポリマー、例えば、ノボラック系型エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等が挙げられる。此処で、(メタ)アクリレートと云う表記はアクリレート又はメタクリレートと云う意味である。
これらモノマー、或いはプレポリマーは、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で用いる他、モノマーを2種類以上混合したり、プレポリマーを2種類以上混合したり、或いはモノマー1種類以上とプレポリマー1種類以上とを混合して用いたりすることが出来る。
光重合開始剤としては、ラジカル重合性のモノマー又はプレポリマーの場合には、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系等の化合物が、又カチオン重合系のモノマー又はプレポリマーの場合には、メタロセン系、芳香族スルホニウム系、芳香族ヨードニウム系等の化合物が用いられる。これら光重合開始剤は、上記モノマー及び/又はプレポリマーから成る組成物100質量部に対して、0.1〜5重量部程度添加する。
尚、電離放射線としては、紫外線、又は電子線が代表的なものであるが、此の他、可視光線、X線、γ線等の電磁波、或いはα線等の荷電粒子線を用いることも出来る。
該添加剤としては、例えば、熱安定剤、ラジカル捕捉剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸收剤、赤外線吸收剤、色素(着色染料、着色)顔料、体質顔料当が挙げられる。
特に本発明においては、プライマー層2が、流動状態と硬化状態の2つの状態を保持できることに特徴がある。具体的には、プライマー層2は、塗工後においては流動性を保持できる状態で透明基材1上に設けられており、その後、プライマー層2上に触媒ペースト層3’が転写形成する際においては短時間で流動状態から硬化状態に変化させることができるものであることが必要である。こうしたプライマー層2を透明基材1上に形成することにより、プライマー層2上に触媒ペースト層3’を転写する際に、その触媒ペースト層3’とプライマー層2との間に空隙がない状態で転写することができるので、従来生じるおそれがあった触媒ペースト層3’とプライマー層2との間の隙間の発生を無くすことができ、その隙間の存在による転写不良、密着不良の問題が生じない。
なお、本願で言う「流動性」又は「流動状態」とは、プライマー層2を触媒ペーストが充填された版面に圧着する際の圧力によって流動(変形)する性質又は状態をいい、水のように低粘度である必要はない。塗工に適した粘度に調整され、透明基材上に塗布後また、プライマーが熱可塑性樹脂である場合は、版面に圧着する際に流動(変形)すればよく、プライマー層2は圧着時において流動(変形)する温度になっていればよい。この場合軟化状態と言い換えても良い。
そうしたプライマーの流動性状態は、プライマー層用樹脂組成物として電離放射線硬化性樹脂を用いた場合には、電離放射線硬化性を持ったインキを透明基材1上に塗布するだけで得られる。電離放射線硬化型インキは一般に前記の如き電離放射線硬化性を持つモノマーやオリゴマーから成り、必要に応じて、更に、光重合開始剤(紫外線硬化、或いは光硬化の場合)、各種添加剤などを含み、電離放射線で硬化させるまでは流動性を示す。このインキは溶剤を含んでも良いが、その場合塗布後に乾燥工程が必要であるため、インキは溶剤を含まないタイプ(いわゆるノンソルベントタイプ)であることが好ましい。
また、プライマー層用樹脂組成物として熱可塑性樹脂組成物を用いた場合には、透明基材1上に熱可塑性樹脂組成物を塗布し、流動性状態になる程度(例えば、50℃〜200℃程度)に加熱して生じさせることができる。こうした流動性状態のプライマー層2を、後述するように触媒ペーストが充填された版面に圧着した後、冷却することで硬化させ転写すれば、その触媒ペースト層3’とプライマー層2との間に空隙がない状態で転写することができる。
ここで、透明基材1上に熱可塑性樹脂組成物を塗布する方法としては、熱可塑性樹脂組成物の溶液を塗布後乾燥する方法や、ホットメルト状態の樹脂を塗布する方法がある。また、透明基材1上に塗布された熱可塑性樹脂組成物の加熱は、触媒ペーストが充填された版面に接触する前に行っても良く、版面に圧着する際に加熱ロールなどを用いて圧着と加熱を同時に行っても良いが、いずれにしろ、触媒ペースト層3’をプライマー層2に転移する際にはプライマー層の流動性がなくなる程度まで冷却されている必要がある。
プライマー層2の厚さは特に限定されないが、通常は硬化後の厚さで1μm〜100μm程度となるように形成される。なお、後の製造方法の説明欄で詳述するが、触媒ペースト層3’がプライマー層2上に転写され、さらにその触媒ペースト層3’を硬化させて電磁波シールド材を製造した後におけるプライマー層2は、図3に示すように、触媒層3が形成されている部分Aの厚さTが、触媒層3が形成されていない部分Bの厚さTよりも大きい。そして、そのプライマー層2において、厚さの大きい部分Aのサイドエッジ5,5は、厚さの小さい部分Bの側に触媒層3が回り込んだ形態になっている。
図3に示す形態は、流動状態のプライマー層2を、凹版内に設けられた触媒ペーストに圧着後、プライマー層2を硬化させ、転写したことよって生じたものである。具体的には、後述の図4の製造工程図に示すように、透明基材1上に形成したプライマー層2を流動状態とし、そのプライマー層2を、触媒ペースト15を凹部内に充填した版面に圧着し、プライマー層2を硬化することにより生じる。版面は、ドクターブレードによって凹部内以外の余分な触媒ペーストが掻き取られるが、その際に、凹部内の触媒ペーストの上部には凹み6が生じやすく、その凹み6を有した状態で版面にプライマー層2を圧着することにより、流動性のあるプライマー層2がその凹み6内に充填されて、図3に示すような形態になる。
(触媒層)
触媒層3は、プライマー層2上に、パターン印刷によって所定の電磁遮蔽パターンで設けられている。この触媒層3を形成する触媒ペーストは、触媒機能を有する粉末(無電解めっき触媒)とバインダー樹脂とで主に構成されている。電磁遮蔽パターンは、電磁波シールド材に通常採用されるメッシュ状であってもストライプ状であってもよく、その線幅と線間ピッチも通常採用されている寸法であればよい。例えば、線幅は5〜30μmとすることができ、線間ピッチは100〜500μmとすることができる。またメッシュやストライプ形状の電磁遮蔽パターンとは別に、それと導通を保ちつつ隣接した全ベタ等の接地パターンが設けられる場合もある。
触媒ペーストを構成するバインダー樹脂としては、後工程で用いるめっき液に対して耐性があれば特に制限はないが、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用可能である。熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリエステル−メラミン、メラミン、エポキシ−メラミン、フェノール、ポリイミド、アクリル、ポリウレタン等の樹脂を挙げることができ、電離放射線硬化性樹脂としては、プライマーの材料として前記した物を挙げることができ、熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリビニルブチラール、アクリル、フェノール、ポリウレタン、酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール系(PVA系)等の樹脂を挙げることができる。また、上記に含まれないエチルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース誘導体系も使用可能である。これらのバインダー樹脂は1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用して使用してもよい。なお、熱硬化性樹脂を使用する場合、必要に応じて硬化触媒を添加してもよい。光硬化性樹脂を用いる場合は必要に応じて重合開始剤を添加してもよい。
また、版の凹部への充填に適した流動性を得るために、これらバインダー樹脂は通常、溶剤に溶けたワニスとして使用する。溶剤の種類には特に制限はなく、一般的に印刷インキに用いられる溶剤を使用できる。溶剤の含有量は通常、10wt%〜70wt%程度であるが、必要な流動性が得られる範囲でなるべく少ないほうが好ましい。また、未硬化の電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、もともと流動性があるため、必ずしも溶剤を必要としない。
また、無電解めっき触媒としては、Pd、Au、Ag、Pt等の貴金属超微粒子を好ましく挙げることができる。これらの貴金属超微粒子は、前記バインダー樹脂に直接添加しても良いが、一般に高価であるため、通常、当該貴金属超微粒子と反対の表面電荷を持った粒子に当該貴金属超微粒子を担持させた担持体(以下、無電解めっき触媒担持体という)を、バインダー樹脂中に均一に混合し、分散させることが好ましい。
無電解めっき触媒担持体としては、触媒機能を妨げず、担持体表面から触媒微粒子が容易に脱落しないものであれば特に制限はなく、例えば、微細アルミナゲル、シリカゲル等を用いることができる。また、担持させる方法としては、コロイドの表面吸着を利用する方法、メカノケミカル反応を利用する方法、蒸着やスパッタリング等の物理的方法等が例示されるが、これらに限定されない。
また、触媒ペーストは、触媒微粒子間及び触媒微粒子と基材との間をそれぞれ結合させるための接着性が良いものが好ましく、特に高粘度のものが好ましい。触媒ペーストの粘度は、通常、10〜1000Pa・secであり、好ましくは50〜500Pa・secの範囲のものが用いられ、チキソトロピー性(擬粘性流動)を有することが、触媒ペーストの分離沈降や、転移後のパターン形状の安定性を保つ点から好ましい。なお、シリカゲル等の微粒子を分散させた触媒ペーストは、チキソトロピー性を発現するため使用に適している。
溶剤としては、バインダー樹脂を良好に溶解できれば特に制限はないが、印刷時の揮発等の影響を避けるためには、比較的高沸点の溶剤が好ましく、例えば、テルピネオール、ブチルカルビトール等の第3石油類が挙げられる。
〔黒色顔料〕
無電解めっき触媒を含有する触媒ペーストは、めっき皮膜の金属光沢による透明基板裏面の反射防止、色ムラ、金属色等の抑制のために、黒い(パターンの反射率が小さい)ことが好ましく、触媒ペーストの黒さが不足する場合は必要に応じて黒色顔料を含有させても良い。黒色顔料としては、触媒ペースト中に分散容易な平均粒子径0.1μm以下の着色力の大きなものが好ましい。例えば、カーボンブラック、Fe、CuO−Cr、CuOFe−Mn、CoO−Fe−Cr等が挙げられ、特にカーボンブラックが好ましい。なお、本願において、平均粒子径というときは、粒度分布径、またはTEM観察で測定した値を指している。
触媒層3の形成は、後述の図4の製造工程図に示すように、先ず、所定のメッシュ状又はストライプ状等のパターンで凹部が形成された板状又は円筒状の版面に触媒ペーストを塗布した後、その凹部内以外に付着した触媒ペーストを掻き取って凹部内に触媒ペーストを充填する。次に、流動性を保持したプライマー層2を一方の面に形成した透明基材1を準備し、その透明基材1のプライマー層2側と、触媒ペーストを凹部内に充填した版面とを圧着することにより、触媒ペーストとプライマー層2とを隙間なく密着させる。これにより、プライマー層2を形成するプライマー成分の一部が、該触媒ペースト中に拡散し、
該プライマー層2の触媒ペースト側の境界面と、該触媒ペーストのプライマー層側の境界面とが、互いに入り組んだ状態で相溶する。この状態でプライマー層2の流動性をなくした(硬化させた)後、触媒ペーストをプライマー層2上に転写し、所定のメッシュ状又はストライプ状等のパターンからなる触媒ペースト層3’を形成する。なお、触媒ペースト層3’をプライマー層2上に転写した後においては、硬化処理(例えば乾燥処理、電離放射線照射処理、加熱処理、冷却処理等)を行って触媒層3が形成される。
本発明においては、上記したように、ドクターブレードによって凹部内以外の余分な触媒ペーストが掻き取られる際に、凹部内の触媒ペーストの上部に生じる凹み6内に、流動性を保持したプライマー層2を充填し、プライマー層2を形成するプライマー成分の一部が、該触媒ペースト中に拡散し、該プライマー層2の触媒ペースト側の境界面と、該触媒ペーストのプライマー層側の境界面とが、互いに入り組んだ状態でプライマー層2が硬化するので、プライマー層2上に触媒ペーストを転写不良なく転写することができる。
(金属層)
金属層4は、触媒層3上に無電解めっき処理により形成される。金属層4を構成する材料としては、Au、Ag、Cu、Cr、Ni、Su、Zn、又はCoの一種以上を含有する金属が挙げられ、導電性の面からAu、Ag、Cu、Ni等が好ましい。また、無電解めっき処理では、一般的な無電解めっき浴が使用可能であり、例えば、無電解Cuめっき浴、無電解Ni−Pめっき浴、無電解Ni−B浴等が挙げられる。
無電解めっき処理においては、先の工程で無電解めっき触媒を含有するペーストをパターン印刷しているので、無電解めっき処理時には、パターン印刷した部分のみに金属の析出が起こり、高い光透過性を有した高導電性の皮膜を得ることができる。
また、無電解めっき処理は、通常、金属析出に時間がかかるため、無電解めっき処理で必要最小限の導電性を確保した後、電解めっき処理によって必要な導電性を確保しても良い。この場合、上記金属を適宜選択して使用することができる。
なお、金属層4を形成した後においては、必要に応じて、その金属層4を黒化処理や防錆処理を行ってもよく、また、図2に示すような保護層9を設けてもよい。黒化処理は、例えば黒化ニッケルめっき、銅−コバルト合金めっき等の処理を例示できる。また、特に銅めっきの場合には、防錆処理が必要である。更に、保護層9は、例えばアクリル系の光硬化性樹脂を用いて形成することができる。
以上説明したように、本発明の電磁波シールド材10の構成について説明したが、本発明の電磁波シールド材10は、透明基材1上に設けられたプライマー層2のうち、触媒層3が形成されている部分Aの厚さTは触媒層3が形成されていない部分Bの厚さTよりも大きい形態になっているので、上記課題で指摘した凹み6(図8の符号105も参照)を充填するようにプライマー層2が設けられている。こうした形態からなるプライマー層2は、電磁波シールド材10の製造時に、ドクターブレードで掻き取った後の凹部内の触媒ペースト上部の凹み6に充填して形成されたものであり、その結果、プライマー層2に触媒ペーストが密着性よく圧着し、触媒ペースト層3’の転写不良に基づく断線、形状不良、低密着性等の不具合が生じない電磁波シールド材10を提供できるという効果がある。
[電磁波シールド材の製造方法]
図4は、本発明の電磁波シールド材の製造方法の一例を示す工程図である。また、図5は、本発明の製造方法を実施する装置の概略構成図であり、図6は、触媒ペーストをプライマー層上に転写する転写工程を実施する装置の概略構成図である。
本発明の電磁波シールド材の製造方法は、透明基材1の一方の面に所定のパターンで触媒層3が形成されてなる電磁波シールド材10(図2を参照)の製造方法であって、図4〜図6に示すように、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層2が一方の面S1に形成された透明基材1を準備する透明基材準備工程と、所定のパターンで凹部64が形成された板状又は円筒状の版面63に、硬化後に触媒層を形成できる触媒ペースト15を塗布した後、その凹部内以外に付着した触媒ペーストを掻き取って凹部64内に触媒ペースト15を充填する充填工程(図4(b)参照)と、充填工程後の版面63の凹部64側と透明基材準備工程後の透明基材1のプライマー層2側とを圧着して、凹部64内の触媒ペースト15とプライマー層2とを空隙無く密着する圧着工程(図4(c)参照)と、圧着工程後にプライマー層2を硬化するプライマー硬化工程と、プライマー硬化工程後に透明基材1を版面63から剥がして凹部内の触媒ペースト15をプライマー層2上に転写する転写工程(図4(d)参照)と、転写工程後、プライマー層2上に所定のパターンで形成された触媒ペースト層3’を硬化させる硬化工程(図4(e)参照)と、触媒層硬化工程後、触媒層3上に無電解めっきにより金属層4を形成する無電解めっき工程(図4(e)参照)と、を少なくとも有するものである。以下、各工程について図面を参照して説明する。
(透明基材準備工程)
透明基材準備工程は、硬化するまで流動性を保持できるプライマー層2が一方の面S1に形成された透明基材1を準備する工程である。プライマー層2はプライマー層用樹脂組成物を透明基材1上に塗布して形成するが、こうしたプライマー層用樹脂組成物は上述したとおりであるのでここではその説明を省略する。プライマー層2を有する透明基材1は購入品であってもよいし、図5に示すような塗布法で形成したものであってもよいが、いずれの場合であっても、後述する圧着工程時に、プライマー層2が流動性を保持した状態であることが必要である。
例えば、プライマー層用樹脂組成物として電離放射線硬化性樹脂組成物を用いた場合には、電離放射線を照射しない未照射状態で、その電離放射線硬化性樹脂組成物中の溶剤のみを乾燥除去し、透明基材上に流動状態からなるプライマー層2を塗膜として形成しておき、その状態で後述する圧着工程に供給することが好ましい。もちろん、ここで用いる電離放射線硬化性樹脂組成物が溶剤を含まない、いわゆるノンソルベントタイプの場合には、プライマー層2を形成する際の乾燥工程は不要である。
また、プライマー層用樹脂組成物として熱可塑性樹脂組成物を用いた場合には、後述する圧着工程において加熱による流動状態となっていれば良く、圧着工程の直前にプライマー層2の加熱処理を行っても良く、熱ロールなどでプライマー層2の加熱と版面への圧着を同時に行っても良い。
なお、プライマー層を塗布する方法については各種コーティング方式が使用でき、例えばグラビアコート、コンマコート、ダイコート、ロールコート等の各種方式から適宜選ぶことができる。
図5に示す塗布法はグラビアリバースコートの一例であり、ロール状に巻かれたフィルム状の透明基材1をグラビアロール51とバックアップロール52との間に導入してプライマー層用の電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布する方法である。この場合において、グラビアロール51は電離放射線硬化性樹脂組成物充填容器53に下方で接触し、電離放射線硬化性樹脂組成物を引き上げて透明基材1の一方の面に塗布する。このとき、余分な電離放射線硬化性樹脂組成物をドクターブレード54で掻き取る。透明基材1上に電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布した後においては、必要に応じて樹脂組成物に含まれる溶剤の乾燥処理を施す。この乾燥処理は、例えば、コーティング装置に適した粘度に調整された電離放射線硬化性樹脂組成物中の溶剤のみを乾燥除去して、続く圧着工程に供する流動状態のプライマー層2を形成する処理である。コーティング装置に適した粘度を持つノンソルベントタイプの電離放射線硬化性樹脂組成物を用いる場合は乾燥装置は不要である。流
動性を保持したプライマー層2を有する透明基材1は、その後に圧着工程に供給される。
(樹脂充填工程)
樹脂充填工程は、図4(a)(b)に示すように、メッシュ状又はストライプ状の所定のパターンで凹部64が形成された板状又は円筒状の版面63に、硬化後に触媒層3を形成できる触媒ペースト15を塗布した後、その凹部内以外に付着した触媒ペーストを掻き取って凹部内に触媒ペースト15を充填する工程である。触媒ペースト15は上述したとおりであるのでここではその説明を省略する。
プライマー層用樹脂組成物に対する触媒ペーストの組合せは特に限定されず、プライマー層用樹脂組成物の硬化処理と触媒ペーストの硬化処理が異なっていてもよいが、触媒ペースト15として触媒機能を有する粉末を含む電離放射線硬化性樹脂を採用する場合には、プライマー層用樹脂組成物も電離放射線硬化性樹脂組成物であることが好ましい。そうした組合せにすることにより、この樹脂充填工程後の圧着工程とそれに続くプライマー層の硬化工程時の電離放射線照射処理によって、プライマー層2の硬化と触媒層3の硬化を同時に行うことができる。このとき、一般に触媒機能を有する粉末は色がついているため、照射する電離放射線が光、或いは紫外線の場合には、適切な光重合開始剤と光硬化性樹脂の組み合わせを選ぶことにより硬化させることができる。また電子線を照射する場合には特に触媒機能を有する粉末の色は考慮する必要はない。
なお、図5及び図6に示す塗布法は、プライマー層2を有する透明基材1を凹版ロール62に圧着する前に行われる工程の一例であり、具体的には、ピックアップロール61は充填容器68に下方で接触し、触媒ペースト15を引き上げて凹版ロール62の版面63に塗布する。このとき、版面63上の凹部64以外の部分に触媒ペースト15が乗らないように、ドクターブレード65で掻き落とす。
(圧着工程)
圧着工程は、図4(c)及び図6に示すように、樹脂充填工程後の版面63の凹部64側と、透明基材準備工程後の透明基材1のプライマー層2側とを圧着して、凹部64内の触媒ペースト15とプライマー層2とを空隙無く密着する工程である。圧着はニップロール66で行われ、凹版ロール62に対して所定の圧力で付勢されている。そのニップロール66は付勢圧力の調整手段を備えており、その付勢圧力は、プライマー層2の流動性に応じて任意に調整される。プライマー層2が熱可塑性樹脂である場合は、ニップロール66は加熱可能なロールにすることが好ましい。この場合、加熱圧着によってプライマー層2が軟化し流動可能となる。
なお、本工程において、該触媒ペースト15と該プライマー層2とを空隙無く密着させることにより、流動性のあるプライマー層2を形成するプライマー成分の一部が、該触媒ペースト15中に拡散し、該プライマー層2の触媒ペースト側の境界面と、該触媒ペースト15のプライマー層側の境界面とが、互いに入り組んだ状態で相溶する。
(硬化工程)
硬化工程は、ニップロール66の付勢力による圧着工程後にプライマー層2を硬化する工程であり、圧着した後の状態で硬化処理することにより、該プライマー層2を形成するプライマー成分の一部が、該触媒ペースト15中に拡散し、該プライマー層2の触媒ペースト側の境界面と、該触媒ペースト15のプライマー層側の境界面とが、互いに入り組んだ状態で硬化させることができる。具体的には、プライマー層用樹脂組成物が電離放射線硬化型樹脂組成物である場合には、図6に示す照射ゾーンで電離放射線が照射され、硬化処理される。この場合、プライマー層は透明基材と版面にはさまれた形になり、空気中の酸素による硬化阻害を受けないため、窒素パージ装置などは必ずしも必要ない。なお、硬化処理は、上記と同様、プライマー層用樹脂組成物と触媒ペーストの種類に応じて選択され、例えば、電離放射線照射処理、冷却処理等の硬化処理が施される。
(転写工程)
転写工程は、図4(d)に示すように、硬化工程後に透明基材1を凹版ロール62の版面63から剥がして凹部64内の触媒ペースト15をプライマー層2上に転写する工程である。プライマー層2は、この工程前のプライマー硬化工程で硬化しているので、透明基材1を凹版ロール62の版面63から剥がすことにより、プライマー層2に密着した触媒ペースト15は凹部内から離れてプライマー層2上にきれいに転写し、触媒ペースト層3’となる。引き剥がしは、図5と図6に示すように、出口側に設けられたニップロール67により行われる。なお、転写工程において触媒ペースト15は必ずしも硬化させる必要はなく、触媒ペースト15に溶剤が含まれた状態でも転移させることができる。また、触媒ペース15に高濃度の金属粒子を含有させ、紫外線を遮蔽して、凹版の凹部内に紫外線が到達しないような場合でも、該触媒ペーストを転移させることができる。
図7は、凹部64内の触媒ペースト15の凹み6にプライマー層2を充填し、その触媒ペースト15が転写する形態を示す模式図である。図7(C)に示すように、転写工程後のプライマー層2の形態と触媒ペースト層3’の形態を観察すると、プライマー層2のうち触媒ペースト層3’が転写された部分Aの厚さTは、触媒ペースト層3’が転写されていない部分Bの厚さTよりも大きい。そして、厚さの大きい部分Aのサイドエッジ5,5は、厚さの小さい部分Bの側に触媒層3が回り込んでいる。こうした形態は、流動性を保持したプライマー層2が形成された透明基材1のプライマー層2側と、樹脂充填工程後の版面63の凹部64側とを図7(A)(B)に示すように圧着することにより、凹部64内の触媒ペースト上部に生じやすい凹み6に流動性のあるプライマー層2が充填するので、転写後の形態は、図7(C)に示すように、透明基材1上に設けられたプライマー層2のうち触媒層3が形成されている部分Aの厚さTは触媒層3が形成されていない部分Bの厚さTよりも大きくなり、さらに、厚さの大きい部分Aのサイドエッジ5,5は厚さの小さい部分Bの側に触媒層3が回り込んだ形態になる。通常、触媒層が形成されている部分Aに於けるプライマー層の厚さTは、図3に示す如く、該部分の中央部に行く程厚みが厚くなる。即ち、電磁波遮蔽パターン部の横断面(例えば図3)に於いて、該プライマー層2の断面形状は、透明基材1から遠ざかる方向に向かって凸になった、半円、半楕円等の所謂釣鐘型形状、3角形、台形、5角形等の所謂山形形状、或いはこれらに類似の形状をなす。
又、斯かるプライマー層2と触媒層3との界面は、単に物理的又は化学的に接着しているのみの形態の他、プライマー層2を形成するプライマー成分の一部が、触媒層3中に溶解、浸透、乃至は拡散している形態であっても良い。両層の材料の選定、製造条件の選定如何により、何れの形態も実現できる。両層間の接着性の点から言うと後者の形態の方が好ましい。
得られた電磁波シールド材10はこうした形態を有するので、触媒層3の転写不良に基づく断線や形状不良、密着性等の不具合が生じないという効果を奏する。
なお、転写工程後においては、必要に応じて乾燥処理、硬化処理等が施される。また、さらに抵抗を下げる必要があれば、その後のめっき工程に供される。めっき工程には、そのままインラインで供されてもよいし、一旦巻き取られた後に、別個のめっきラインに供給されてもよい。
(めっき工程)
めっき工程は、図4(e)及び図5に示すように、転写工程後、プライマー層2上に所定のパターン(プライマー層2の形成パターンと同じ。)で形成された触媒層3上に金属層4を無電解めっきする工程である。めっきする金属としては、「触媒層」において説明したものが使用でき、特に価格が安く導電性も高い銅めっきが好ましい。銅めっき液は、市販のめっき液を利用できるが、中でも均一めっき性を向上させた銅めっき液が好ましく採用される。なお、めっき工程に供される際には、通常の前処理(例えば、洗浄処理等)が施されるが、上記のように転写工程からそのままインラインで供給されてもよいし、別個のめっきラインに供されてもよい。また、無電解めっきは、通常、金属析出に時間がかかるため、無電解めっきで必要最小限の導電性を確保した後、電解めっきによって必要な導電性を確保しても良い。
めっき工程後には、必要に応じてさらに他の工程(金属層4の黒化処理工程や防錆工程、図2に示すような保護層9の形成工程)を経た後にそのまま巻き取られてもよいし、所定の寸法に切断されて枚葉シートとしてもよい。
こうしてロール状又はシート状の電磁波シールド材10が製造されるが、以上説明したように、本発明の電磁波シールド材の製造方法によれば、プライマー層2と触媒層3とをその間に空隙無く転写することができるので、触媒層3の転写不良に基づく断線や形状不良、低密着性等の不具合が生じない電磁波シールド材を製造することができる。また、凹部内の触媒ペーストの転移率も向上するため、版形状の再現性も良好となる。
なお、こうして得られた電磁波シールド材10に光学調整層を設けて光学フィルタとして利用することができる。ここでは詳しく説明しないが、光学調整層としては、従来公知のものをそのまま用いればよく、例えば近赤外線吸収層、ネオン光吸収層、紫外線吸収層、反射防止層、ハードコート層、防汚層、及び防眩層等を挙げることができる。こうした電磁波シールド材10又は電磁波シールド材10を有する光学フィルタをプラズマディスプレイパネルに装着することにより、プラズマディスプレイ装置とすることができる。
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
図5及び図6に示す装置により電磁波シールド材を製造した。先ず、透明基材1として、片面に易接着処理がされた幅1000mmで厚さ100μmの長尺ロール巻ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。供給部にセットしたPETフィルムを繰り出し、易接着処理面にプライマー層用の光硬化性樹脂組成物(UVプライマー)を厚さ5μmとなるように塗布形成した。塗布方式は、通常のグラビアリバース法を採用し、光硬化性樹脂組成物としては、エポキシアクリレート35重量部、ウレタンアクリレート12重量部、単官能モノマーを44重量部、3官能モノマーを9重量部、さらに光開始剤としてイルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ)を3重量部添加したものを使用した。このときの粘度は約1300cps(25℃、B型粘度計)であり、塗布後のプライマー層は触ると流動性を示すものの、PETフィルム上から流れ落ちることはなかった。
次に、プライマー層2が形成されたPETフィルムを転写工程を行う凹版ロール62に供するが、それに先だって、線幅が20μmで線ピッチが300μm、版深5μmの格子状のメッシュパターンとなる凹部が形成された凹版ロール62の版面63に、触媒ペースト15をピックアップロール61で塗布し、ドクターブレード65で凹部64内以外の触媒ペーストを掻き取って凹部64内のみに触媒ペースト15を充填させた。触媒ペースト15を凹部64内に充填させた状態の凹版ロール62と、ニップロール66との間に、プライマー層2が形成されたPETフィルムを供し、凹版ロール62に対するニップロール66の押圧力(付勢力)によって、プライマー層2を凹部64内に存在する触媒ペースト15の凹み6に流入させ、触媒ペースト15とプライマー層2とを隙間なく密着させた。なお、触媒ペーストとして、以下の組成のパラジウムコロイドペーストを用いた。
<触媒ペースト(パラジウムコロイドペースト)の作製>
精製水89重量部に塩化パラジウム1重量部を溶解し、更にクエン酸三ナトリウム10重量部を溶解して均一に撹拌した後、水素化ホウ素ナトリウム0.01重量部を添加して塩化パラジウムを還元させ、パラジウムコロイドを得た。その後、限外濾過により濃縮脱塩を行い、パラジウム0.5重量部を含有するパラジウムコロイドを得た。このパラジウムコロイド10重量部を精製水で希釈し、この希釈パラジウムコロイド溶液にアルミナエアロゾルAl−C(日本エアロゾル製)10重量部を添加懸濁させた。これを濾過し、乾燥、解砕することにより、パラジウムコロイドを担持したアルミナゲルを得た。このパラジウムコロイド担持アルミナゲル7重量部と、10%エチルセルロースのテルピネオール溶液30重量部を、この配合比で十分に撹拌混合し、3本ロールで混練して触媒ペーストを作製した。
<印刷パターンの形成>
次いで行われる転写工程は以下の通りである。先ず、プライマー層2が形成されたPETフィルムを、そのプライマー層2が凹版ロール62の版面63側に対向した状態で、凹版ロール62とニップロール66との間に挟む。その凹版ロール62とニップロール66との間でPETフィルムのプライマー層2は版面63に押し付けられる。プライマー層2は流動性を有しているので、版面63に押し付けられたプライマー層2は、触媒ペースト15が充填した凹部64内にも流入し、凹部64内で生じた触媒ペースト15の凹み6を充填する(図7参照)。こうしてプライマー層2は触媒ペースト15に対して隙間なく密着した状態となる。その後、さらに凹版ロール62が回転してUVランプによって紫外線が照射され、光硬化性樹脂組成物からなるプライマー層2が硬化する。
プライマー層2の硬化により、凹版ロール62の凹部64内の触媒ペーストはプライマー層2と密着し、その後、出口側のニップロール67によってフィルムが凹版ロール62から剥離され、プライマー層2上には触媒ペースト層3’が転写形成される。このようにして得られた転写フィルムを、110℃の乾燥ゾーンを通過させてパラジウムコロイドペーストの溶剤を蒸発させ、プライマー層2上にメッシュパターンからなる触媒層3を形成した。このときの触媒層3の厚み(触媒層3が形成されているメッシュパターン部分とそれ以外の部分との厚み差)は約5μmであり、版の凹部64内のパラジウムコロイドペーストが高い転移率で転移していた。また、断線や形状不良も見られなかった。
得られたサンプルのメッシュパターン部分について断面のTEM観察を行ったところ、染色されたUVプライマー層と染色された触媒層の境界がグラデーションになっており、また細かく入り組んだ構造も観察され、境界部分の一部が馴染んでいる(相溶)ことが確認された。また、メッシュパターンの交点部分の表面をSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析したところ、触媒層には見られないはずのプライマ層起因のフラグメントが観測され、プライマー成分の一部が硬化前に触媒層の中を移動していることも確認された。
<無電解銅めっき>
上記で得られた触媒ペースト印刷基板を無電解銅めっき液(OPC−750シリーズ、奥野製薬(株)製)中に浸漬させ、20分間、20℃で無電解銅めっきを行った。無電解めっき処理後に水洗、乾燥を順に行った後のシートの表面抵抗は1Ω/□となった。
(実施例2)
実施例1と同様に触媒ペーストを印刷した後、無電解銅めっきを行ったメッシュパターンに対し、当該メッシュパターンを陰極、銅板を陽極として、硫酸銅水溶液中で電解めっきを行った。電解めっき処理後に水洗、乾燥を順に行った後のシートの表面抵抗は0.1Ω/□となった。
(比較例1)
実施例1の触媒ペーストを、UVプライマー無しでグラビア印刷により印刷した以外は、実施例1と同様にして無電解銅めっきを行った。得られたメッシュパターンを顕微鏡で観察すると、断線や抜け、線幅不良等が散見され、シートの表面抵抗は10Ω/□となった。
(評価結果)
実施例1、2及び比較例1で作製した電磁波シールド材についての評価結果を表1と表2にまとめた。なお、表2において、転写性は、フィルム上への触媒ペーストの転写状況から判断し、密着性よく所定のメッシュパターンが一様に転写されていることが300倍に拡大した顕微鏡観察により目視確認できたものを「良好」として評価し、所定のメッシュパターンが一様に転写されてないものを「不良」として評価した。また、シールド性は、得られた電磁波シールド材をシールド材評価器((株)アドバンテスト製、TR17301A)を用いて電磁波シールド特性を測定した結果、200〜600Mhzの範囲で−30デシベル程度以下のシールド特性を有するものを「良好」として評価し、−30デシベル程度より高いシールド特性を有するものを「不良」として評価した。
Figure 2009033031
Figure 2009033031
本発明の電磁波シールド材の一例を示す模式的な平面図である。 図1におけるA−A’断面の拡大図である。 図2の一部をさらに拡大して示す模式的な断面図である。 本発明の電磁波シールドの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の製造方法を実施する装置の概略構成図である。 触媒ペーストをプライマー層上に転写する転写工程を実施する装置の概略構成図である。 凹部内の触媒ペーストの凹みにプライマー層を充填し、その触媒ペーストが転写する形態を示す模式図である。 透明基材上に触媒ペーストの未転写部が発生する従来の現象の説明図である。
符号の説明
1 透明基材
2 プライマー層
3 触媒層(3’ 触媒ペースト層)
4 金属層
5 サイドエッジ
6 凹み
7 電磁波遮蔽パターン部
8 接地部
9 保護層
10 電磁波シールド材
15 触媒ペースト
51 グラビアロール
52 バックアップロール
53 樹脂組成物充填容器
54 ドクターブレード
61 ピックアップロール
62 凹版ロール
63 版面
64 凹部
65 ドクターブレード
66 ニップロール
67 ニップロール
68 充填容器
A 触媒層が形成されている部分
Aの厚さ
B 触媒層が形成されていない部分
Bの厚さ

Claims (13)

  1. 透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された触媒機能を有する材料とバインダー樹脂を含む触媒層と、その上に形成された金属層を有する電磁波シールド材であって、
    前記プライマー層のうち前記触媒層が形成されている部分の厚さは、前記触媒層が形成されていない部分の厚さよりも大きいことを特徴とする電磁波シールド材。
  2. 前記金属層が無電解めっきにより形成されている、請求項1に記載の電磁波シールド材。
  3. 前記金属層が無電解めっきにより金属層を形成した後、電解めっきにより更に金属層が形成されている、請求項1又は2に記載の電磁波シールド材。
  4. 前記プライマー層が、電離放射線硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなる層である、請求項1乃至3のいずれかに記載の電磁波シールド材。
  5. 前記触媒層に含まれる前記樹脂が、熱可塑性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂である、請求項1乃至4のいずれかに記載の電磁波シールド材。
  6. 前記プライマー層を形成するプライマー成分の一部が、前記触媒層中に拡散している、請求項1乃至5のいずれかに記載の電磁波シールド材。
  7. 前記プライマー層の前記触媒層側の境界面と、前記触媒層の前記プライマー層側の境界面とが、互いに入り組んだ状態で相溶している、請求項1乃至6のいずれかに記載の電磁波シールド材。
  8. 透明基材の一方の面に所定のパターンで金属層が形成されてなる電磁波シールド材の製造方法であって、
    硬化するまで流動性を保持できるプライマー層が一方の面に形成された透明基材を準備する透明基材準備工程と、
    所定のパターンで凹部が形成された板状又は円筒状の版面に、硬化後に触媒層を形成できる触媒ペーストを塗布した後、前記凹部内以外に付着した該触媒ペーストを掻き取って該凹部内に該触媒ペーストを充填する触媒ペースト充填工程と、
    前記透明基材準備工程後の透明基材のプライマー層側と前記触媒ペースト充填工程後の版面の凹部側とを圧着して、前記プライマー層と前記凹部内の触媒ペーストとを空隙なく密着する圧着工程と、
    前記圧着工程後に前記プライマー層を硬化するプライマー層硬化工程と、
    前記プライマー層硬化工程後に前記透明基材とプライマー層とを前記版面から剥がして前記凹部内の触媒ペーストを前記プライマー層上に転写する転写工程と、
    前記転写工程後、前記プライマー層上に所定のパターンで形成された触媒ペーストを硬化させて触媒層を形成する触媒ペースト硬化工程と、
    前記触媒層の上に、無電解めっきにより金属層を形成する無電解めっき工程と、を有することを特徴とする電磁波シールド材の製造方法。
  9. 透明基材の一方の面に所定のパターンで金属層が形成されてなる電磁波シールド材の製造方法であって、
    硬化するまで流動性を保持できるプライマー層が一方の面に形成された透明基材を準備する透明基材準備工程と、
    所定のパターンで凹部が形成された板状又は円筒状の版面に、硬化後に触媒層を形成できる触媒ペーストを塗布した後、前記凹部内以外に付着した該触媒ペーストを掻き取って該凹部内に該触媒ペーストを充填する触媒ペースト充填工程と、
    前記透明基材準備工程後の透明基材のプライマー層側と前記触媒ペースト充填工程後の版面の凹部側とを圧着して、前記プライマー層と前記凹部内の触媒ペーストとを空隙なく密着する圧着工程と、
    前記圧着工程後に前記プライマー層と触媒ペーストを同時に硬化する同時硬化工程と、
    前記同時硬化工程後に前記透明基材とプライマー層とを前記版面から剥がして前記凹部内の触媒ペーストを触媒層として前記プライマー層上に転写する転写工程と、
    前記触媒層の上に、無電解めっきにより金属層を形成する無電解めっき工程と、を有することを特徴とする電磁波シールド材の製造方法。
  10. 無電解めっき工程の後に、更に電解めっきにて金属層を形成することを特徴とする、請求項8又は9に記載の電磁波シールド材の製造方法。
  11. 前記プライマー層が電離放射線硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなる層であり、該プライマー層の流動性の保持を電離放射線の未照射又は加熱によって行う、請求項8乃至10のいずれかに記載の電磁波シールド材の製造方法。
  12. 前記触媒層が、触媒機能を有する粉末及び樹脂を含み、該樹脂が熱可塑性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる層である、請求項8乃至10のいずれかに記載の電磁波シールド材の製造方法。
  13. 前記転写工程後において、前記プライマー層のうち前記触媒ペーストが転写された部分の厚さは、前記触媒ペーストが転写されていない部分の厚さよりも大きい、請求項8乃至12のいずれかに記載の電磁波シールド材の製造方法。
JP2007197556A 2007-07-30 2007-07-30 電磁波シールド部材及びその製造方法 Expired - Fee Related JP5092607B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007197556A JP5092607B2 (ja) 2007-07-30 2007-07-30 電磁波シールド部材及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007197556A JP5092607B2 (ja) 2007-07-30 2007-07-30 電磁波シールド部材及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009033031A true JP2009033031A (ja) 2009-02-12
JP5092607B2 JP5092607B2 (ja) 2012-12-05

Family

ID=40403191

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007197556A Expired - Fee Related JP5092607B2 (ja) 2007-07-30 2007-07-30 電磁波シールド部材及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5092607B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11174174A (ja) * 1997-12-10 1999-07-02 Dainippon Printing Co Ltd 電磁波遮蔽板の製造方法
JP2000269683A (ja) * 1999-03-18 2000-09-29 Sumitomo Rubber Ind Ltd 透光性電磁波シールド部材の製造方法
JP2002043789A (ja) * 2000-07-26 2002-02-08 Tomoegawa Paper Co Ltd 電磁波シールドシート及びその製造方法
JP2004063943A (ja) * 2002-07-31 2004-02-26 Koa Corp 導電パターン形成方法
JP2006147850A (ja) * 2004-11-19 2006-06-08 Hitachi Aic Inc 電磁波シールドフィルム
JP2006319167A (ja) * 2005-05-13 2006-11-24 Matsushita Electric Ind Co Ltd 電子部品とその製造方法及び前記電子部品を用いた電子装置

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11174174A (ja) * 1997-12-10 1999-07-02 Dainippon Printing Co Ltd 電磁波遮蔽板の製造方法
JP2000269683A (ja) * 1999-03-18 2000-09-29 Sumitomo Rubber Ind Ltd 透光性電磁波シールド部材の製造方法
JP2002043789A (ja) * 2000-07-26 2002-02-08 Tomoegawa Paper Co Ltd 電磁波シールドシート及びその製造方法
JP2004063943A (ja) * 2002-07-31 2004-02-26 Koa Corp 導電パターン形成方法
JP2006147850A (ja) * 2004-11-19 2006-06-08 Hitachi Aic Inc 電磁波シールドフィルム
JP2006319167A (ja) * 2005-05-13 2006-11-24 Matsushita Electric Ind Co Ltd 電子部品とその製造方法及び前記電子部品を用いた電子装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5092607B2 (ja) 2012-12-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4811525B2 (ja) 電磁波シールド材の製造方法
JP5397518B2 (ja) 印刷物の製造方法
JP5428498B2 (ja) タッチパネル用電極フィルム及びタッチパネル
JP2009200312A (ja) 電磁波シールド材及びその製造方法並びにディスプレイ用フィルター
JP5163081B2 (ja) めっきパターン部材の製造方法
JP5151516B2 (ja) 電磁波シールド材
JP5704200B2 (ja) タッチパネル用電極フィルム及びタッチパネル
JP2009088071A (ja) 電磁波シールド材及びその製造方法並びにディスプレイ用フィルター
JP2009044005A (ja) プラズマディスプレイ用電磁波シールド部材及びその製造方法
JP5092607B2 (ja) 電磁波シールド部材及びその製造方法
JP2010080826A (ja) 電磁波シールド材
JP2010134301A (ja) 画像表示装置
JP5003514B2 (ja) 電磁波シールド部材
JP2009038110A (ja) プラズマディスプレイ用電磁波シールド部材及びその製造方法
JP5104103B2 (ja) 電磁波シールド材、その製造方法及びディスプレイ用フィルター
JP2011134869A (ja) 電磁波シールド材
JP2009044086A (ja) 電磁波シールド材、その製造方法及びディスプレイ用フィルター
JP2011077068A (ja) 電磁波シールド材
JP2010080860A (ja) 電磁波シールド材及びその製造方法
JP2009088070A (ja) 電磁波シールド材及びその製造方法並びにディスプレイ用フィルター
JP2011176176A (ja) ディスプレイ用フィルタ及びこれを用いた画像表示装置
JP2009054631A (ja) プラズマディスプレイ用電磁波シールド部材
JP2011187721A (ja) 電磁波シールド材、及びプラズマディスプレイ用前面フィルタ
JP2010140971A (ja) 電磁波シールド部材
JP2010080835A (ja) 電磁波シールド材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100528

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111227

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120210

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120821

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120903

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150928

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees