JP2009054631A - プラズマディスプレイ用電磁波シールド部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性ペースト等を透明基材上に転写して導電性を有するパターンを形成するプラズマディスプレイ用電磁波シールド部材であって、導電性ペースト等の転移不良に基づくパターンの断線、形状不良や低密着性等の不具合が起こることなく、精度よく電磁波シールドパターンが作製され、かつ、カールが一定値以下に抑えられて後工程に不具合を起こさないプラズマディスプレイ用電磁波シールド部材を提供すること。
【解決手段】プライマー層2は電離放射線硬化性樹脂からなり、プライマー層2のうち導電層が形成されている部分Aの厚さTAは、導電層が形成されていない部分Bの厚さTBよりも大きくなっており、プライマー層2のカールを抑えることにより、該電磁波シールド部材のカール値が20mm以下となっていることを特徴とするプラズマディスプレイ用電磁波シールド部材。
【選択図】図1

Description

本発明は、所定のパターンで形成された導電性を有する層によって電磁波を遮蔽するプラズマディスプレイ用電磁波シールド部材に関する。
テレビ(テレビジョン)やパーソナルコンピュータのモニター等のディスプレイ装置のうち、大画面ディスプレイ装置の分野で注目されているプラズマディスプレイ装置は、発光にプラズマ放電を利用するため、30MHz〜1GHz帯域の不要な電磁波が外部に漏洩して他の機器(例えば、遠隔制御機器、情報処理装置等)に影響を与えるおそれがある。そのため、プラズマディスプレイ装置に用いられるプラズマディスプレイパネルの前面側(観察者側)に、漏洩する電磁波をシールドするためのフィルム状の電磁波シールド部材を設けるのが一般的である。
プラズマディスプレイの前面などに用いることができる電磁波シールド部材料としては、銀スパッタ薄膜、銅メッシュなどがあるが、銀スパッタ薄膜はコストが高く、また全面を被覆しているため透明性に劣る。銅メッシュは開口部分があるため透明性は高いが、銅箔をフォトリソグラフィー法で開口部をエッチングしてメッシュ形状を作成するため、捨てる材料が多く低コスト化が難しい。
近年、透明基材の上に導電性ペーストや無電解めっきの触媒を含むインキをパターン印刷し、その上に銅をめっきで析出させ細線パターンを形成した電磁波シールド部材などが提案されている(特許文献1〜3)。
このようなパターン印刷で用いられるインキは、印刷精度を高めるために、通常はチキソトロピー性を有した高粘度のインキが用いられ、スクリーン印刷(特許文献1)などの方法が用いられる。しかしながらスクリーン印刷では、ロール・トウ・ロールでの精度良い印刷は難しく、また版自体を強い張力で張るため、大面積にした場合の版周辺部の精度が悪いという問題があった。
また、このようなインキをグラビア印刷(特許文献2、3)のような凹部を持つ版を用いる方法にて微細パターンで印刷しようとすると、印刷できないことはないがインキの転移性が悪くインキ抜けなどが多発し、安定したパターンが形成できないという問題があった。これは、凹版上にインキを塗布し、余分なインキをドクターブレードで掻き取った後の凹部内のインキがその上部に凹みを生じることが原因である。この凹みは、凹版上に透明基材を圧着して透明基材上に凹部内のインキを転写する際に、透明基材とインキとの密着を妨げ、透明基材上に、インキの未転写部が発生したり、密着性に劣る転写不良が発生して、電磁波シールド特性を低下させる。
この凹版印刷におけるインキの転移(転写)不良の問題の解決について検討した本発明者らは、UV(紫外線)、EB(電子線)など電離放射線で硬化する未硬化状態で液状の樹脂用組成物をプライマーとして透明基材上に塗布し、このプライマー塗布面を、ペーストを充填した凹版面に対向して重ねた状態で電離放射線を照射しプライマーを硬化させることで、ペーストが基材上にほぼ全転移することを見出した。この方法を用いれば、導電材や触媒を含むペーストを、効率的に精度よく基材上に印刷することができる。
しかしながら、この際、電離放射線硬化性プライマーの硬化時の収縮によりプライマー層がカールして、電磁波シールド部材がカールするという問題が発生することがわかった。また、電磁波シールド部材の製造がめっき浴などのウェットプロセスを含む場合、水分の乾燥後に電離放射線硬化性樹脂が収縮してプライマー層がカールし、電磁波シールド部材がカールすることがあるということもわかった。これら電磁波シールド部材のカールは、その程度が大きいと、プラズマディスプレイパネルへの貼着など、電磁波シールド部材使用の後工程に大きな不都合を起こす。
特開平11−170420号公報 特開2001−102792号公報 特開平11−174174号公報
本発明の目的は、導電性ペースト等を透明基材上に転写して導電性を有するパターンを形成するプラズマディスプレイ用電磁波シールド部材であって、導電性ペースト等の転移不良に基づくパターンの断線、形状不良や低密着性等の不具合が起こることなく、精度よく電磁波シールドパターンが作製され、かつ、カールが一定値以下に抑えられて後工程に不具合を起こさないプラズマディスプレイ用電磁波シールド部材を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明のプラズマディスプレイ用電磁波シールド部材は、透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された導電層と、を有するプラズマディスプレイ用電磁波シールド部材であって、前記プライマー層は電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなり、前記プライマー層のうち前記導電層が形成されている部分の厚さは、前記導電層が形成されていない部分の厚さよりも大きくなっており、前記プライマー層のカールを抑えることにより、該電磁波シールド部材のカール値が20mm以下となっていることを特徴とするプラズマディスプレイ用電磁波シールド部材である。
ここで、透明基材上に設けられたプライマー層のうち、導電層が形成されている部分の厚さは導電層が形成されていない部分の厚さよりも大きいとは、導電層の凹みを充填するようにプライマー層が設けられていることを意味する。こうした形態からなるプライマー層は、電磁波シールド部材の製造時に、ドクターブレードで掻き取った後の版の凹部内の導電性ペースト等の上部(空気との界面)の凹みに充填されることに基づいて形成されたものであり、プライマー層が導電性ペースト等に空隙なく密着して、導電性ペースト等の転写不良に基づく断線や形状不良、低密着性等の不具合が生じない電磁波シールド部材を提供できるものである。
本発明において、電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなるプライマー層のカールを抑える一つの手段としては、導電層が形成されていない部分のプライマー層の厚さを0.5〜10μmとすることである。
また、別のプライマー層のカールを抑える手段としては、プライマー層を形成する樹脂中の、親水性モノマー及び/またはオリゴマーに由来する成分を50質量%以下とすることである。
これら手段は、電磁波シールド部材のカール値を20mm以下にするために、単独であるいは併用して用いられる。
本発明の電磁波シールド部材が有するプライマー層の形態によれば、導電層の凹みを充填するようにプライマー層が設けられているので、導電性ペースト等の転移不良に基づくパターンの断線や形状不良、低密着性等の不具合が生じないプラズマディスプレイ用電磁波シールド部材を提供することができ、さらに、該電磁波シールド部材はカールが一定値以下に抑えられているので、製造上やアセンブリ上の不具合を起こさないプラズマディスプレイ用電磁波シールド部材が提供される。
[電磁波シールド部材]
図1は、本発明の電磁波シールド部材の一例を示す模式的な断面図である。本発明の電磁波シールド部材は、透明基材1と、透明基材1上に形成されたプライマー層2と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された導電層(導電性材料層3、触媒層3’、金属層4から構成される層であり、下記のように3つの態様がある。)とを有し、必要に応じてさらに保護層を有する。
ここで、「所定のパターン」とは、電磁波シールド部材の電磁波遮蔽パターンとして一般的な、メッシュ状又はストライプ状のパターンである。
なお、本発明の電磁波シールド部材の導電層の3つの態様は以下のとおりである。
第1の導電層は、導電性微粒子とバインダー樹脂からなる導電性材料層3であり、第2の導電層は、該導電性材料層3の表面に更に金属層4が形成されているものであり、第3の導電層は、無電解めっき触媒と担体とバインダー樹脂からなる触媒層3’の表面に金属層4が形成されているものである。
図1(A)は導電層が第1態様である電磁波シールド部材であり、図1(B)は導電層が第2態様、第3態様である電磁波シールド部材の模式図である。
以下、本発明の電磁波シールド部材の構成を詳しく説明する。
(透明基材)
透明基材1は、電磁波シールド部材の基材であり、所望の透明性、機械的強度、プライマー層2との接着性等の要求適性を勘案の上各種材料の各種厚みのものを選択すればよい。材料としては樹脂、硝子等が、厚み形態としてはフィルム(乃至はシート)、或いは板の形態で用いられる。通常は、樹脂製の透明フィルムが好ましく用いられる。
そうした透明フィルムとしては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエステル樹脂等をベースとするフィルムが好ましいが、これに限定されない。具体的には、透明フィルムの材料としては、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース等のセルロース樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、トリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の含ハロゲン樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリエーテルサルホン、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、(メタ)アクリロニトリル樹脂等が使用できる。なかでも、二軸延伸PETフィルムが透明性、耐久性に優れ、しかもその後の工程で電離放射線照射処理を経た場合でも熱変形等しない耐熱性を有する点で好適である。
透明基材1は、ロール・トウ・ロール(巻取(ロール)から巻き出して供給し、加工後巻取に巻き取って保管する形態)で取扱可能な長尺帯状フィルムであってもよいし、所定の大きさからなる枚葉フィルムであってもよい。透明基材1の厚さは、通常は8μm〜1000μm程度が好ましいが、これに限定されない。透明基材1の光透過率としては、100%のものが理想であるが、透過率80%以上のものを選択することが好ましい。
透明基材の表面には、必要に応じて、後述するプライマー層と基材との密着性を改善するために易接着層を設けたり、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理などの表面処理を行ってもよい。該易接着層としては、該透明基材1とプライマー層2との両方に接着性のある樹脂から構成する。易接着層の樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン等の樹脂の中から適宜選択する。
(プライマー層)
プライマー層2は、透明基材1上に密着性よく設けられる。そして、このプライマー層2上には導電性材料層3又は触媒層3’が密着性よく設けられる。したがって、プライマー層2は、透明基材1と導電性材料層3又は触媒層3’の両方に対して密着性がよい材料であることが好ましく、また、当然のことながら透明であることが好ましい。本発明では、未硬化状態に於いて液状(流動性)の電離放射線重合性化合物を含む電離放射線硬化性組成物を塗工、硬化(固体化)してなる層が用いられる。
該電離放射線重合性化合物としては、電離放射線で架橋等の反応により重合硬化するモノマー及び/又はプレポリマーが用いられる。
かかるモノマーとしては、ラジカル重合性モノマーとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレート類、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート類等の各種(メタ)アクリレートが挙げられる。尚、ここで(メタ)アクリレートとの表記は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。カチオン重合性モノマーとして、例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートなどの脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどグリシジルエーテル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどビニルエーテル類、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどオキセタン類等が挙げられる。
また、かかるプレポリマーとしては、ラジカル重合性プレポリマーとして、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の各種(メタ)アクリレートプレポリマー、不飽和ポリエステルプレポリマー等が挙げられる。その他、カチオン重合性プレポリマーとして、例えば、ノボラック系型エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等が挙げられる。
これらモノマー、或いはプレポリマーは、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で用いる他、モノマーを2種類以上混合したり、プレポリマーを2種類以上混合したり、或いはモノマー1種類以上とプレポリマー1種類以上とを混合して用いたりすることができる。
なお、本発明は、電磁波シールド部材のカールを抑えるために、電離放射線硬化性樹脂からなるプライマー層の収縮/カールを抑えるものであり、そのためには、後述するように、親水性でないモノマー、プレポリマー、および一般に硬化収縮率が低いカチオン重合性モノマーなどが好ましく用いられる。
電離放射線として、紫外線、又は可視光線を採用する場合には、通常は、光重合開始剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性のモノマー又はプレポリマーの場合には、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系等の化合物が、又カチオン重合系のモノマー又はプレポリマーの場合には、メタロセン系、芳香族スルホニウム系、芳香族ヨードニウム系等の化合物が用いられる。これら光重合開始剤は、上記モノマー及び/又はプレポリマーからなる組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加する。
なお、電離放射線としては、紫外線、又は電子線が代表的なものであるが、この他、可視光線、X線、γ線等の電磁波、或いはα線等の荷電粒子線を用いることもできる。
また、電離放射線硬化性組成物は、密着性、耐久性改善、各種物性付与のために各種添加剤や変性樹脂を使用してもよい。該添加剤としては、例えば、熱安定剤、ラジカル捕捉剤、可塑剤、界面活性剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸收剤、赤外線吸收剤、色素(着色染料、着色顔料)、体質顔料等が挙げられる。
当該電離放射線硬化性組成物は、溶剤を含んでもよいが、その場合塗布後に乾燥工程が必要であるため、溶剤を含まないタイプ(ノンソルベントタイプ)であることが好ましい。
本発明においては、電離放射線硬化性プライマー層とプライマー層2の状態(流動状態と硬化状態)を適切に利用する点に特徴がある。具体的には、電離放射線硬化性プライマー層は、塗工後においても未硬化状態においては、流動性のある状態で透明基材1上に設けられており、電離放射線硬化性プライマー層を硬化させた後、導電性ペースト又は触媒ペーストを転写させる。したがって、電離放射線硬化性プライマー層は短時間で流動状態から硬化状態に変化し、プライマー層2を形成することができるものであることが必要である。このようにしてプライマー層2を透明基材1上に形成することにより、プライマー層2上に導電性ペースト又は触媒ペーストを転写する際に、その導電性ペースト又は触媒ペーストとプライマー層2との間に空隙がない状態で転写することができるので、従来生じるおそれがあった導電性ペースト層又は触媒ペースト層とプライマー層2との間の隙間の発生をなくすことができ、その隙間の存在による転写不良、密着不良の問題が生じない。
なお、本明細書でいう「流動性」又は「流動状態」とは、電離放射線硬化性プライマー層を導電性ペースト又は触媒ペーストが充填された版面に圧着する際の圧力によって流動(変形)する性質又は状態をいい、水のように低粘度である必要はない。塗工に適した粘度に調整され、透明基材上に塗布後に流動(変形)すればよく、電離放射線硬化性プライマー層は圧着時において流動(変形)する温度になっていればよい。この場合軟化状態と言い換えてもよい。
本発明の電磁波シールド部材におけるプライマー層2は、図1に示すように、導電性材料層3又は触媒層3’が形成されている部分A(導電層が形成されている部分に同じ)の厚さTAが、導電性材料層3又は触媒層3’が形成されていない部分B(導電層が形成されていない部分に同じ)の厚さTBよりも大きい。
ところで、前述の如く、プライマーとして電離放射線硬化性樹脂を用いると、該樹脂が硬化時に収縮して電磁波シールド部材がカール(反り、撓み、ないし彎曲)するという問題がある。また、使用する電離放射線硬化性樹脂の中に親水性の高い成分が含まれる場合、めっき浴などの水溶液を通過する工程があると、水分の乾燥後に該樹脂が収縮して電磁波シールド部材にカールが発生する場合が多い。このような電磁波シールド部材のカールが強いと、後工程においてしわやムラなどの不具合が生じ、またプラズマディスプレイの大型パネルなどにおいては他の部材との貼りあわせなどアセンブリ時に不具合が発生する。
したがって、電磁波シールド部材のカールをある程度以下に抑える必要があり、電離放射線硬化性樹脂からなるプライマー層の硬化収縮、吸水(吸湿)収縮を抑える必要がある。
本発明は、プライマー層のカールを抑えることにより、電磁波シールド部材のカール値が20mm以下となっていることを特徴とし、より好ましくは該カール値が10mm以下となっていることである。
ここで、電磁波シールド部材のカール値とは、100mm四方の正方形に切り出した電磁波シールド部材のサンプルを水平な台の上にカールした内側面を上に向け静置した際の、四隅の浮きの平均をいう。
プライマー層のカールを抑える手段としては、以下のものが挙げられる。
1つ目は、プライマーの厚みを薄くすることである。導電層が形成されていない部分B(導電性材料層3又は触媒層3’が形成されていない部分に同じ)のプライマーの厚みTBは硬化後の厚みで0.5〜10μmとなる範囲が好ましく、更に好ましくは1〜8μmとなる範囲である。プライマーが厚すぎるとカールが強くなり、プライマーが薄すぎると、ドクタリング後のペーストの凹部を埋めることが難しく、導電性ペースト層又は触媒ペースト層の転移性が不安定になる。
2つ目は、電離放射線硬化性組成物中の親水性の高い成分の使用量を減らすことである。例えば、単官能モノマーとして一般的に用いられるアクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、ビニルホルムアミド等は親水性であり、このような親水性モノマーが多く含まれると硬化後の塗膜が水分によって吸湿し、乾燥に伴って強くカールする。このような親水性モノマーの割合を減らすことにより、吸湿によるカールを低減させることができる。
その他、電離放射線硬化性組成物に使用するモノマー或いはプレポリマーとして、硬化時の収縮率が低いモノマー或いはプレポリマーを主として使用することが挙げられる。具体的には、(一般に硬化収縮率が大きいラジカル反応型電離放射線硬化よりも)低硬化収縮率であるカチオン重合性モノマー或いはプレポリマーを使用すること、または、硬化収縮への寄与が大きい多官能モノマーの使用比率を低下させることなどが挙げられる。
(導電性材料層)
本発明の電磁波シールド部材の導電層の第1及び第2の態様においては、導電性材料層3が、プライマー層2上に、所定のパターンで設けられている。該パターンは、電磁波シールド部材に通常採用されるメッシュ状であってもストライプ状であってもよく、その線幅と線間ピッチも通常採用されている寸法であればよい。例えば、線幅は5〜30μmとすることができ、線間ピッチは100〜500μmとすることができる。またメッシュやストライプ形状の電磁遮蔽パターンとは別に、それと導通を保ちつつ隣接した全ベタ等の接地パターンが設けられる場合もある。
この導電性材料層3は、導電性微粒子とバインダー樹脂を含む導電性ペーストを出発物質として、後述する製造方法によりプライマー層2上に所定のパターンで形成することができる。
導電性ペーストを構成するバインダー樹脂としては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用可能である。熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、ポリエステル−メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂等の樹脂を挙げることができ、電離放射線硬化性樹脂としては、プライマーの材料として前記した物を挙げることができ、熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂等の樹脂を挙げることができる。なお、熱硬化性樹脂を使用する場合、必要に応じて硬化触媒を添加してもよい。電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は必要に応じて重合開始剤を添加してもよい。
また、版の凹部への充填に適した流動性を得るために、これら樹脂は通常、溶剤に溶けたワニスとして使用する。溶剤の種類には特に制限はなく、一般的に印刷インキに用いられる溶剤を使用できる。溶剤の含有量は通常、10〜70質量%程度であるが、必要な流動性が得られる範囲でなるべく少ないほうが好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、もともと流動性があるため、必ずしも溶剤を必要としない。
導電性ペーストを構成する導電性微粒子としては、金、銀、白金、銅、ニッケル、錫、アルミニウムなどの金属の粒子、表面が金や銀などの低抵抗金属でめっきされた粒子(金属粒子、樹脂粒子、無機粒子)、グラファイト粒子、カーボンブラック粒子等を好ましく挙げることができ、形状も球状、回転楕円体状、多面体状、鱗片状、円盤状、樹枝状、繊維状等から選ぶことができる。これらの材料や形状は適宜混合して用いても良い。導電性微粒子の大きさは種類に応じて任意に選択されるので一概に特定できないが、例えば、鱗片状の銀粒子の場合には粒子の平均粒子径が0.1〜10μm程度のものを用いることができ、カーボンブラック粒子の場合には平均粒子径が0.01〜1μm程度のものを用いることができる。導電性ペースト中の導電性微粒子の含有量は、導電性微粒子の導電性や粒子の形態に応じて任意に選択されるが、例えば導電性ペーストの固形分100質量部のうち、導電性微粒子を40〜99質量部の範囲で含有させることができる。なお、本願において、平均粒子径というときは、粒度分布計、またはTEM(透過型電子顕微鏡)観察で測定した値を指している。
また、導電性ペーストには、品質向上等を目的に適当な添加物を加えてもよい。例えば、カーボンブラックはそれ自体が黒色であるので必要ないが、黒色顔料や黒色染料を必要に応じて所定量添加することで、電磁波シールドパネルを構成したときのコントラストを向上させ、視認性を向上させることができる。また、後述する金属めっき層の金属光沢による透明基板裏面の反射防止、色ムラ、金属色等の抑制のためには、こうした黒色顔料や黒色染料を含有させることが望ましい。黒色顔料としては、導電性粉末としても機能するカーボンブラック、Fe34、CuO−Cr23、CuO−Fe34−Mn23、CoO−Fe23−Cr23等が挙げられるが、その種類や形状は特に制限はなく、バインダー樹脂中に分散容易な平均粒子径0.1μm以下の着色力の大きな黒色顔料又は黒色染料が好ましい。なお、カーボンブラックを用いる場合には、チャンネルブラック、ファーネスブラック又はランプブラック等の色材用カーボンブラックや、導電性カーボンブラック、アセチレンブラック等を挙げることができ、中でも平均粒子径が20nm以下のものが好ましく用いられる。また、黒色染料としては、アニリンブラック等の染料を用いることができる。
また、導電性ペーストの流動性や安定性を改善するために、導電性や、プライマー層との密着性に悪影響を与えない限りにおいて適宜フィラーや増粘剤、界面活性剤、酸化防止剤などを添加してもよい。
(触媒層)
本発明の電磁波シールド部材の導電層の第3の態様においては、上記導電性材料層3の代わりに、触媒層3’が、プライマー層2上に、所定のパターンで設けられる。該パターンの形状、その線幅、線間ピッチ等の寸法は、上記導電性材料層3の場合と同様である。
この触媒層3’は、無電解めっき触媒とバインダーを含む触媒ペーストを出発物質として、後述する製造方法によりプライマー層2上に所定のパターンで形成することができる。
触媒ペーストを構成する無電解めっき触媒としては、パラジウム、金、銀、
白金等の貴金属超微粒子が使用できる。これらの粒子はペーストへ直接添加してもよいが、一般に高価であるため、通常は別の粒子表面に担持させた状態で用いることが多い。
無電解めっき触媒担持体としては、触媒機能を妨げず、担体表面から触媒微粒子が容易に脱落しないようなものであれば特に制限はなく、例えば、微細アルミナゲル、シリカゲル等を用いることができる。担持させる方法としては、コロイドの表面吸着を利用する方法、メカノケミカル反応を利用したもの、蒸着やスパッタリング等の物理的方法などが例示されるが、方式は限定されない。
触媒ペースト中に添加される結合剤(バインダー)としては,後工程であるめっき液への耐性があれば特に制限はないが、例えばエチルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース誘導体系、アクリル系、酢酸ビニル系、PVA系、ポリエステル、ポリウレタン等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。
触媒ペーストに使用する溶剤はバインダーを良好に溶解できれば特に制限はないが、印刷する際の揮発などの影響を避けるためには比較的高沸点の溶剤が好ましく、例えば第3石油類の溶剤などが例示できる。
また、触媒ペーストの粘度は通常数百mPa・s〜数十万mPa・s程度の範囲のものが用いられ、擬粘性流動(チキソトロピー性)を有するものが、ペーストの分離沈降や、転移後のパターン形状の安定性を保つ点で好ましく、通常はシリカゲル等の微粒子を分散させたペーストはチキソトロピー性を発現するので使用に適している。
触媒ペーストは、めっき皮膜の金属光沢による透明基板裏面の反射防止および色ムラや金属色の抑制のため、低い反射率を持つことが好ましいが、触媒自体の反射率が十分に低くない場合には、さらに黒色顔料を含有させてもよい。この場合の黒色顔料としては、ペースト中に分散容易な粒子径0.1μm以下の着色力の大きな黒色顔料が好ましい。例えば、カーボンブラック、Fe34、CuO−Cr23、CuO−Fe34−Mn23、CoO−Fe23−Cr23などが使用可能であり、このうち、特に、カーボンブラックが好ましい。
(金属層)
本発明の電磁波シールド部材の導電層の第1の態様において、導電性材料層3のみでは所望の導電性に不足する場合に、導電性を更に向上せしめるために、金属層4を、必要に応じ形成することができ(本発明の導電層の第2の態様)、導電性材料層3上にめっきにより形成される。めっきの方法としては電気めっき、無電解めっきなどの方法があるが、電気めっきは無電解めっきに比べて通電量を増やすことでめっき速度を数倍に上げることができ、生産性を著しく向上させることができるため好ましい。
電気めっきの場合、導電性材料層3への給電は導電性材料層3が形成された面に接触させた通電ロール等の電極から行われるが、導電性材料層3が電気めっき可能な程度の導電性(例えば、100Ω/□以下)を有するので、電気めっきを問題なく行うことができる。金属層4を構成する材料としては、導電性が高く容易にめっき可能な、銅、銀、金、クロム、ニッケル等を挙げることができる。
金属層は導電性材料層3に比べると一般的に体積抵抗率が1桁以上小さいため、導電層単体で電磁波シールド性を確保する場合に比べて、必要な導電性材料の量を減らせるという利点がある。
本発明の電磁波シールド部材の導電層の第3の態様においては、触媒層3’上に無電解めっき等により、金属層4が形成される。
無電解めっきには、一般的な無電解めっき液が使用可能であり、使用できる金属としては金、銀、銅、ニッケル、スズ、亜鉛、コバルトから一種以上を選んで使用でき、導電性の面からは金、銀、銅、ニッケル等が好ましい。例えば無電解銅めっき浴、無電解ニッケル−リンめっき浴、無電解ニッケル−ホウ素めっき浴などが使用可能である。
無電解めっきは触媒ペーストが印刷された部分にのみ析出するので、導電性パターンを精度よく作成することができる。
また、通常、無電解めっきは金属析出に時間がかかるため、無電解めっきで必要最小限の導電性を確保した後、電解めっきによって必要な導電性を付与してもよい。一般的なめっきを使用することができ、金、銀、銅、ニッケル、スズ、亜鉛、コバルト等から選んで使用でき、導電性の面からは金、銀、銅、ニッケル等が好ましい。
なお、金属層4を形成した後においては、必要に応じて、その金属層4を黒化処理したり、保護層を設けてもよい。黒化処理は、例えば黒化ニッケルめっき、銅−コバルト合金めっき等の処理を例示でき、また、保護層は、例えばアクリル系の光硬化性樹脂を用いて形成することができる。導電層や金属層4に使用する金属が銅などの錆びやすい金属の場合には防錆処理を行うことが好ましく、一般的な防錆剤を使用でき、また防錆処理は黒化処理や保護層形成と兼ねても良い。
次に、本発明の電磁波シールド部材の製造方法について説明する。
[電磁波シールド部材の製造方法]
本発明の電磁波シールド部材の製造方法は、(a)透明基材上に、光重合開始剤を含むプライマー層形成用の電離放射線硬化性組成物を塗布して、電離放射線硬化性プライマー層を形成する工程、(b)所定のパターンで凹部が形成された板状又は円筒状版面に、導電性ペースト又は触媒ペーストを充填する工程、(c)上記(a)工程で得られた電離放射線硬化性プライマー層を有する透明基材を、該電離放射線硬化性プライマー層が、上記(b)工程で得られた導電性ペースト又は触媒ペーストが充填されてなる版面の凹部側に対面するように圧着させ、次いで該電離放射線硬化性プライマー層を電離放射線の照射により硬化させてプライマー層を形成する工程、(d)当該透明基材を上記版面から剥がして、上記凹部内の導電性ペースト層を、上記プライマー層上に転写させる工程、及び(e)プライマー層上に転写されてなる所定パターンで形成された導電性ペースト層又は触媒ペースト層を硬化(乾燥)させて導電性材料層又は触媒層を形成する工程、および(f)必要に応じて導電性材料層にめっき処理を施して、金属層を形成する工程、もしくは触媒層にめっき処理を施して、金属層を形成する工程を含むことを特徴とする。
((a)工程)
この(a)工程は、透明基材上にプライマー層形成用の未硬化で液状の電離放射線硬化性組成物を塗布して、電離放射線硬化性プライマー層を形成する工程である。
当該(a)工程で用いるプライマー層形成用の電離放射線硬化性組成物は、前述したとおりであり、電離放射線重合性化合物、光重合開始剤を含む組成物である。
透明基材上に、上記電離放射線硬化性組成物を塗布する方法については特に制限はなく、各種コーティング方式が使用でき、例えばグラビアコート、コンマコート、ダイコート、ロールコート等の各種方式から適宜選ぶことができる。
該電離放射線硬化性組成物が溶媒を含む場合には、塗布後、乾燥処理を行うが、溶媒を含まないノンソルベントタイプである場合には、乾燥処理は不要である。
このようにして形成された電離放射線硬化性プライマー層は、後述する圧着時に流動性を保持した状態であることが肝要である。
((b)工程)
この(b)工程は、所定のパターンで凹部が形成された板状又は円筒状版面に、導電性ペースト又は触媒ペーストを充填する工程である。
具体的には、メッシュ状又はストライプ状の所定のパターンで凹部が形成された板状又は円筒状の版面に、導電性ペースト又は触媒ペーストを塗布した後、その凹部内以外に付着した導電性ペースト又は触媒ペーストを掻き取って凹部内に導電性ペースト又は触媒ペーストを充填する工程である。この導電性ペースト、触媒ペーストについては、前述で説明したとおりである。凹部以外に付着した導電性ペースト又は触媒ペーストの掻き取りは、例えばドクターブレードなどで行うことができる。
((c)工程)
この(c)工程は、上記(a)工程で得られた電離放射線硬化性プライマー層を有する透明基材を、該電離放射線硬化性プライマー層が、上記(b)工程で得られた導電性ペースト又は触媒ペーストが充填されてなる版面の凹部側に対面するように圧着させ、次いで該電離放射線硬化性プライマー層を電離放射線の照射により硬化させてプライマー層を形成する工程である。
当該(c)工程においては、まず、導電性ペースト又は触媒ペーストが充填された版面の凹部側に、電離放射線硬化性プライマー層を有する透明基材を、該電離放射線硬化性プライマー層が対面するように圧着させる。この圧着は、例えば付勢圧力の調整手段を備えたニップロールで行うことができる。該圧着操作により、凹部内の導電性ペースト又は触媒ペーストと、流動性が保持された電離放射線硬化性プライマー層とを空隙なく密着させることができる。
次いで、透明基材側から、上記電離放射線硬化性プライマー層に、電離放射線を照射することにより、該電離放射線硬化性プライマー層を硬化させて、プライマー層を形成させる。電離放射線の照射量は、所望するプライマー層の強度が得られれば特に制限はなく、使用する電離放射線硬化性プライマーの反応性や塗布厚み等でも変わってくるが、電離放射線量で通常50〜4000mJ/cm2程度、好ましくは300〜1000mJ/cm2である。
((d)工程)
この(d)工程は、上記(c)工程で電離放射線硬化性プライマー層を硬化させてプライマー層を形成後、透明基材及び硬化したプライマー層を版面から剥がして、凹部内の導電性ペースト又は触媒ペーストを、上記プライマー層上に転写させる工程である。
当該(d)工程において、透明基材を版面から剥がすと、電離放射線硬化性プライマー層が硬化されていることから、それに密着した導電性ペースト又は触媒ペーストは凹部内から離れてプライマー層上にきれいに転写される。
((e)工程)
この(e)工程は、プライマー層上に転写されてなる所定パターンで形成された導電性ペースト又は触媒ペーストを硬化(乾燥)させて導電層を形成する工程である。
上記導電性ペースト又は触媒ペーストの硬化(乾燥)は、使用する溶剤やバインダー樹脂の種類、および使用する透明基材の耐熱性にもよるが、通常50〜200℃程度、好ましくは80〜120℃の温度で熱処理することにより行われる。
((f)工程)
本発明の電磁波シールド部材の導電層の第1の態様において、前記のようにして形成された導電材料層のみでは、所望の導電率に不足する場合、導電率をさらに向上させるために、必要に応じ、該導電材料層にめっき処理を施して、金属層を形成する(本発明の電磁波シールド部材の導電層の第2の態様)。
めっき処理としては、電気めっき処理、無電解めっき処理のいずれも用いることができるが、前述で説明したように電気めっき処理が好ましい。電気めっき処理及び無電解めっき処理については、前述で説明したとおりである。
本発明の電磁波シールド部材の導電層の第3の態様においては、触媒層3’上に無電解めっき等により、金属層4が形成される。前述のように、無電解めっきは金属析出に時間がかかるため、無電解めっきで必要最小限の導電性を確保した後、電解めっきによって必要な導電性を付与してもよい。
めっき処理後は、必要に応じ、他の処理、例えば金属層の黒化処理や防錆処理、あるいは保護層の形成を経たのち、そのまま巻き取られてもよいし、所定の寸法に切断されて枚葉シートとしてもよい。
以上のようにして、本発明の電磁波シールド部材を製造することができる。
なお、こうして得られた電磁波シールド部材に光学調整層を設けて光学フィルタとして利用することができる。光学調整層としては、従来公知のものをそのまま用いればよく、例えば近赤外線吸収層、ネオン光吸収層、紫外線吸収層、反射防止層、ハードコート層、防汚層、及び防眩層等を挙げることができる。こうした電磁波シールド部材又は電磁波シールド部材を有する光学フィルタをプラズマディスプレイパネルの画像表示面(前面)に装着することにより、プラズマディスプレイ装置とすることができる。
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
<カールの評価方法>
図2に示すように、電磁波シールド部材のサンプルを100mm四方の正方形に切り出し、水平な台の上に、カール面(曲率中心側)を上にして、気温23℃、相対湿度50%の雰囲気中に静置し、四隅((a)、(b)、(c)、(d))の浮きを測ってその平均値をカール値とする。
(製造例1)導電性ペースト(銀ペースト)の調製
導電性微粒子として平均粒径約2μmの鱗片状銀粒子93質量部、バインダー樹脂として熱可塑性のポリエステルウレタン樹脂7質量部、溶剤としてブチルカルビトールアセテート25質量部を配合し、十分に攪拌混合した後、3本ロールで混練りして導電性ペーストを調製した。
(実施例1)
先ず、透明基材として、片面に易接着処理がされた幅1000mmで厚さ100μmの長尺ロール巻ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。供給部にセットしたPETフィルムを繰り出し、易接着処理面にプライマー層用の電離放射線硬化性組成物を厚さ8μmとなるように塗布形成した。塗布方式は、通常のグラビアリバース法を採用し、電離放射線硬化性組成物としては、エポキシアクリレート40質量部、単官能モノマー(フェノキシエチルアクリレート等からなる親水性でない単官能アクリレートモノマー混合物)53質量部、3官能モノマー(エチレンオキシド変性イソシアヌル酸トリアクリレート)7質量部、さらに光開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ))3質量部添加したものを使用した。塗布後の電離放射線硬化性プライマー層は触ると流動性を示すものの、PETフィルム上から流れ落ちることはなかった。
次に、電離放射線硬化性プライマー層が形成されたPETフィルムを転写工程を行う凹版ロールに供するが、それに先だって、線幅が20μmで線ピッチが300μm、版深10μmの格子状のメッシュパターンとなる凹部が形成された凹版ロールの版面に、製造例1で調製した導電性ペーストをピックアップロールで塗布し、ドクターブレードで凹部内以外の導電性ペーストを掻き取って凹部内のみに導電性ペーストを充填させた。導電性ペーストを凹部内に充填させた状態の凹版ロールと、ニップロールとの間に、プライマー層が形成されたPETフィルムを供し、凹版ロールに対するニップロールの押圧力(付勢力)によって、電離放射線硬化性プライマー層を凹部内に存在する導電性ペーストの凹みに流入させ、導電性ペーストと電離放射線硬化性プライマー層とを隙間なく密着させた。
次いで行われる転写工程は以下の通りである。先ず、電離放射線硬化性プライマー層が形成されたPETフィルムを、そのプライマー層が凹版ロールの版面側に対向した状態で、凹版ロールとニップロールとの間に挟む。その凹版ロールとニップロールとの間でPETフィルムのプライマー層は版面に押し付けられる。プライマー層は流動性を有しているので、版面に押し付けられたプライマー層は、導電性ペーストが充填した凹部内にも流入し、凹部内で生じた導電性ペーストの凹みを充填する。こうして電離放射線硬化性プライマー層は導電性ペーストに対して隙間なく密着した状態となる。その後、さらに凹版ロールが回転してUVランプによって紫外線が照射され、電離放射線硬化性組成物からなるプライマー層が硬化する。プライマー層の硬化により、凹版ロールの凹部内の導電性ペーストはプライマー層と密着し、その後、出口側のニップロールによってフィルムが凹版ロールから剥離され、プライマー層上には導電性ペーストが転写形成される。このようにして得られた転写フィルムを、110℃の乾燥ゾーンを通過させて銀ペーストの溶剤を蒸発させ、プライマー層上にメッシュパターンからなる導電材料層を形成した。このときの導電材料層の厚さ(導電材料層が形成されているメッシュパターン部分とそれ以外の部分との厚さの差)は約9μmであり、版の凹部内の銀ペーストが高い転移率で転移していた。また、断線や形状不良も見られなかった。
得られたシールド部材を別途サンプルとして100mm四方の正方形に切り出し、カールを評価したところ、四隅の浮きの平均は1mmであった。
次いで、得られたシールド部材に対し、銅めっきを行った。銅めっき法としては、得られたシールド部材を硫酸銅めっき液に浸漬し、その表面に形成されたメッシュ状の導電材料層パターンを陰極として、銅板を陽極として、2A/dm2の電流を流して電解銅めっきを行った。銅めっき膜は、その導電材料層上に選択的に、厚さ2μmで形成された。こうして本発明に係る実施例1の電磁波シールド部材を作製した。
得られた電磁波シールド部材をサンプルとして100mm四方の正方形に切り出し、カールを評価したところ、四隅の浮きの平均は3mmであった。
(比較例1)
実施例1のプライマー層用の電離放射線硬化性組成物として、単官能モノマー53質量部を親水性のアクリロイルモルホリンとした以外は同様にして、メッシュパターンからなる導電材料層を形成した。
得られたシールド部材をサンプルとして100mm四方の正方形に切り出し、カールを評価したところ1mmであった。
次いで、得られたシールド部材に対し、実施例1と同様に電解銅めっきを行ない、本発明に係る比較例1の電磁波シールド部材を作製した。得られた電磁波シールド部材からサンプルとして100mm四方の正方形に切り出し、カールを評価したところ、四隅の浮きの平均は25mmであった。
(比較例2)
実施例1で、プライマー層用の電離放射線硬化性組成物の厚みを20μmとした以外は同様にしてメッシュパターンからなる導電材料層を形成した。得られたシールド部材は見た目にカールしており、サンプルとして100mm四方の正方形に切り出しカールを評価したところ四隅の浮きの平均は25mmであった。
本発明の電磁波シールド部材の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の電磁波シールド部材のカール値の測定方法を示す図である。
符号の説明
1 透明基材
2 プライマー層
3 導電性材料層
3’ 触媒層
4 金属層
A 導電層が形成されている部分
A Aの厚さ
B 導電層が形成されていない部分
B Bの厚さ

Claims (6)

  1. 透明基材と、該透明基材上に形成されたプライマー層と、該プライマー層上に所定のパターンで形成された導電層と、を有するプラズマディスプレイ用電磁波シールド部材であって、
    前記プライマー層は電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなり、
    前記プライマー層のうち前記導電層が形成されている部分の厚さは、前記導電層が形成されていない部分の厚さよりも大きくなっており、
    前記プライマー層のカールを抑えることにより、該電磁波シールド部材のカール値が20mm以下となっていることを特徴とするプラズマディスプレイ用電磁波シールド部材。
  2. 前記導電層が、導電性微粒子とバインダー樹脂からなる導電性材料層、又は該導電性材料層の表面に更に金属層が形成されているもの、又は無電解めっき触媒と担体とバインダー樹脂からなる触媒層の表面に金属層が形成されているもの、のいずれかである請求項1に記載のプラズマディスプレイ用電磁波シールド部材。
  3. プライマー層のカールを抑える手段が、導電層が形成されていない部分のプライマー層の厚さを0.5〜10μmとすることである請求項1又は2に記載のプラズマディスプレイ用電磁波シールド部材。
  4. プライマー層のカールを抑える手段が、プライマー層を形成する樹脂中の、親水性モノマー及び/またはオリゴマーに由来する成分を50質量%以下とすることである請求項1〜3に記載のプラズマディスプレイ用電磁波シールド部材。
  5. 請求項1〜4に記載の電磁波シールド部材を使用したプラズマディスプレイ用フィルター。
  6. 請求項5に記載のフィルターを使用したプラズマディスプレイ装置。
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