JP2009032739A - 軟磁性材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁心などの部材を構成しうる軟磁性材料において、本来要求される高比抵抗といった軟磁性特性を確保しつつ、得られる磁心などの部材の強度を向上させうる手段を提供する。
【解決手段】本発明の軟磁性材料では、Fe、NiまたはCoを基材とし、ΔT=T−T(ただし、Tは結晶化開始温度を示し、Tはガラス転移温度を示す)で定義される過冷却領域の温度間隔が20K以上である金属ガラスから基材粒子を構成する。そして、当該金属ガラスのガラス転移温度(T)よりも低い軟化点を有する酸化物ガラスから構成される絶縁皮膜を、基材粒子間に存在させることにより、上記課題を解決する。あるいは、軟磁性材料を製造するにあたり、基材粉末と絶縁性粉末とを、高速気流中衝撃法により混合する手法を採用することで、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、軟磁性材料及びその製造方法に関する。
モータのコアなどの磁心を構成する材料としては、従来、純鉄粉末の表面に酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物を絶縁体としてコーティングし、圧縮成形して得られる圧粉材料が用いられていた。また、珪素鋼などの材料を積層して磁心を構成する技術も知られている。
そして、交流磁場中での鉄損、なかでも特にヒステリシス損失を低減するために保磁力の小さい金属ガラスを基材として用い、当該金属ガラスと絶縁材(無機酸化物)とを混合後、成形する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。かような金属ガラスを基材として用いると、モータ等の使用時に交番磁界により発生する渦電流やヒステリシス損失に起因する損失が低減されるという利点がある。
特開2001−267115号公報
ところで、自動車用駆動モータに対しては、高回転化による小型化が強く要求されている。小型化実現のためには、特にロータコアの高強度化が求められている。しかしながら、上記特許文献に開示された圧粉磁心の強度は必ずしも十分なものであるとは言えず、主にステータを中心として適用が検討され、ロータへの適用は強度面から困難であるという問題がある。近年は従来のラジアルギャップ型モータから、より出力密度の高くなるアキシャルギャップ型モータの研究が盛んに行われている.このようなモータでは回転軸方向に隣接して配置されたステータおよびロータ間の磁気回路は3次元的な構成となる。仮に圧粉材料を鉄心に用いた場合には,特にロータでは強度が不足するため外周に補強する部材が必要となる。また、広く用いられてきた珪素鋼板を積層する場合には,磁気回路の磁力線の方向に応じて積層方向を変える構造となるため、磁力線の方向ごとに分断された積層鉄心を組み立てる構造が必要となる。この場合には製造コストが高騰するという問題がある。
そこで本発明は、磁心などの部材を構成しうる軟磁性材料において、本来要求される高比抵抗、高飽和磁束密度といった電磁気特性を確保しつつ、得られる磁心などの部材の強度を向上させうる手段を提供することを目的とする。
本発明の軟磁性材料では、Fe、NiまたはCoを基材とし、ΔT=T−T(ただし、Tは結晶化開始温度を示し、Tはガラス転移温度を示す)で定義される過冷却領域の温度間隔が20K以上である金属ガラスから基材粒子を構成する。そして、当該金属ガラスのガラス転移温度(T)よりも低い軟化点を有する酸化物ガラスから構成される絶縁皮膜を、基材粒子間に存在させることにより、上記課題を解決する。あるいは、軟磁性材料を製造するにあたり、基材粉末と絶縁性粉末とを、高速気流中衝撃法により混合する手法を採用することで、上記課題を解決する。
軟磁性材料を上述したような構成とすることにより、本来要求される高比抵抗かつ高飽和磁束密度といった電磁気特性を確保しつつ、得られる磁心などの部材の強度が向上しうる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(軟磁性材料)
本発明の第1は、Fe、NiまたはCoを基材とし、ΔT=T−T(ただし、Tは結晶化開始温度を示し、Tはガラス転移温度を示す)で定義される過冷却領域の温度間隔が20K以上である金属ガラスから構成される基材粒子と、前記基材粒子間に存在し、前記金属ガラスのガラス転移温度(T)よりも低い軟化点を有する酸化物ガラスから構成される絶縁皮膜とを有する、軟磁性材料である。
図1は、本発明の第1の軟磁性材料の断面図である。本発明の軟磁性材料1は、基材粒子2と、基材粒子2の間隙に存在する絶縁皮膜3とを含む。
基材粒子2は、金属ガラスの粉末から構成される。かような金属ガラスは、高強度、高耐食性、優れた電磁気特性(低保磁力、高飽和磁束密度)、過冷却領域における塑性流動による優れた成形加工性などの様々な優れた特徴を有する。
そして、後述する絶縁皮膜の構成成分との関係から、金属ガラスは、強磁性を有する鉄(Fe)、ニッケル(Ni)またはコバルト(Co)を基材とする。金属ガラス粉末におけるFe、NiまたはCoの含有率(合計含有率)は、好ましくは70原子%以上であり、より好ましくは75原子%以上であり、さらに好ましくは78原子%以上である。かかる範囲にある場合、本発明の軟磁性材料は所望の高い飽和磁束密度を得ることができる。なかでも、コストの観点からは、金属ガラスは、Feを必須の構成元素として含むことが好ましい。なお、前記基材粒子2は上述したFe、Ni、Co以外の成分として、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、リン(P)、炭素(C)、ホウ素(B)、モリブデン(Mo)及びケイ素(Si)からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。金属ガラスの具体的な組成について特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。
そして、基材粒子2を構成する金属ガラスにおいては、ΔT=T−T(ただし、Tは結晶化開始温度を示し、Tはガラス転移温度を示す)で定義される過冷却領域の温度間隔が20K以上である。当該温度間隔は、好ましくは30K以上であり、より好ましくは40K以上である。かような形態とすることで、基材粒子を構成する金属ガラスがアモルファス状態を安定的に維持しやすくなり、成形加工により加熱する時間が十分に確保でき、高密度な成形体を得ることができる。さらに、アモルファス状態を維持していることから高い磁気特性を保持することが可能となる。
基材粒子2の平均粒子径は、好ましくは1〜100μmであり、より好ましくは1〜75μmである。基材粒子の平均粒子径がかような範囲内の値であれば、粉末製造時の冷却速度が高く維持され、結晶化による磁気特性(保磁力)の低下が抑制されうる。なお、本明細書における平均粒子径の値としては、粒度分布分析装置LA−920型(株式会社堀場製作所製)によるレーザー回折法にて測定された値を採用するものとする。
本発明の軟磁性材料は、絶縁皮膜3が、基材粒子2を構成する金属ガラスのガラス転移温度(T)よりも低い軟化点(T)を有する酸化物ガラスから構成される点に特徴を有する。かような構成とすることにより、軟磁性材料に本来要求される高比抵抗といった電気特性が確保されうる。そしてさらに、得られる磁心などの部材の強度も向上しうる。これは、以下のメカニズムによるものと推測される。すなわち、金属ガラスが塑性流動性を示し始めるガラス転移温度Tよりも酸化物ガラスの軟化点(T)を低く設定することで、鉄心製造時の焼結過程の昇温時に金属ガラスが軟化するよりも前に酸化物ガラスが軟化点を迎えて流動性が生じる。その結果、金属ガラスが塑性流動性を示し始めたときには既に酸化物ガラスが自由に変形できる。このため、絶縁皮膜への亀裂の発生が防止され、比抵抗が高く維持されうる。また、絶縁皮膜を構成する材料(酸化物ガラス)が流動性を示すことで、気孔が少ない成形体を得ることが可能となり、欠陥の少ない高強度な軟磁性材料が提供されうるのである。なお、これらのメカニズムはあくまでも推測に基づくものであって、実際には他のメカニズムに従って本発明の作用効果が得られていたとしても、本発明の技術的範囲は何ら影響を受けることはない。
軟化点(T)が金属ガラスのガラス転移温度(T)よりも低い酸化物ガラスの具体的な組成について特に制限はない。軟化点(T)の好ましい形態により規定すると、酸化物ガラスの軟化点(T)は、金属ガラスのガラス転移温度(T)よりも30K以上低いことが好ましく、より好ましくは50K以上低い。一例を挙げると、前記酸化物ガラスの主成分としては、例えば、酸化ビスマス(Bi)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ホウ素(B)などが挙げられる。なかでも、前記酸化物ガラスは、Bi、ZnOを主成分とすることが好ましく、Biを主成分とすることが特に好ましい。Biを主成分とする酸化物ガラスを絶縁皮膜の構成材料として用いることで、得られる軟磁性材料の強度をより一層向上させることが可能となる。これは、基材粒子2を構成する金属ガラスとBiとの間に拡散現象が発生し、基材粒子と絶縁皮膜とが強固に結合することによるものと推測されるが、本発明の技術的範囲が当該メカニズムに拘束されることはない。なお、本発明において、「酸化物ガラスの主成分」とは、酸化物ガラスにおいて最も含有量の多い成分を意味する。ここで、Biを主成分とする酸化物ガラスの組成の一例を下記の表1に示す。ただし、表1に示す形態のみに本発明の技術的範囲が制限されるわけではない。
絶縁皮膜3の厚さは、好ましくは50〜200nmであり、より好ましくは100〜200nmである。絶縁皮膜3の厚さがかような範囲内の値であれば、圧粉材料と同等の比抵抗が得られる。なお、本明細書における厚さは、オージェ電子分光分析(AES)とスパッタエッチングとを併用した深さ方向分析により測定された値を採用するものとする。
(製造方法)
本発明の第2は、上述した本発明の第1の軟磁性材料の製造方法である。本発明の第2の製造方法は、Fe、NiまたはCoを基材とし、ΔT=T−T(ただし、Tは結晶化開始温度を示し、Tはガラス転移温度を示す)で定義される過冷却領域の温度間隔が20K以上である金属ガラスから構成される基材粉末と、酸化物ガラスから構成される絶縁性粉末とを、高速気流中衝撃法により混合して、前記基材粉末の表面を前記絶縁性粉末により被覆する工程(以下、単に「混合工程」とも称する)と、得られた混合物を固化成形する工程(以下、単に「成形工程」とも称する)とを有する、軟磁性材料の製造方法である。以下、図2を参照しながら、工程毎に順に説明する。
図2は、本発明の第2の製造方法を説明するためのフローチャートである。
第1に、混合工程について説明する。
まず、原料である基材粉末および絶縁性粉末を準備する(S1)。「基材粉末」とは、後述する成形工程を経て最終的に軟磁性材料の基材粒子となる、基材粒子の集合体からなる粉末である。基材粉末は、本発明の第1の軟磁性材料の構成の欄において説明した所定の金属ガラスから構成される。ここで、基材粉末の組成や平均粒子径などの具体的な形態については、当該欄において説明した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
一方、「絶縁性粉末」とは、後述する成形工程を経て最終的に軟磁性材料の絶縁皮膜となる、絶縁性材料からなる粉末である。絶縁性粉末の構成材料について特に制限はなく、金属ガラスを基材とする軟磁性材料の分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。絶縁性粉末は、例えば、本発明の第1の軟磁性材料の構成の欄において説明した所定の酸化物ガラスから構成されうる。ただし、絶縁性材料はその他の材料から構成されてもよい。その他の材料としては、例えば、B、ZnO、PbOなどが挙げられる。
次いで、上記で準備した基材粉末と絶縁性粉末とを、高速気流中衝撃法により混合する(S2)。これにより、基材粉末の表面が絶縁性粉末により被覆される。以下、被覆後に得られた混合物を単に「複合粉末」とも称する。
「高速気流中衝撃法」とは、核となる粒子(親粒子)と改質材料(子粒子)とを高速気流中にて衝突させることにより、親粒子表面に子粒子を固定化させてオーダードミクスチュア(ordered mixture)構造を形成させる手法である。高速気流中衝撃法は、例えば、株式会社奈良機械製作所製ハイブリダイザーを用いて行われうる。このハイブリダイザーにおいては、親粒子および子粒子が高速回転するロータ、ステータおよび循環回路の作用で装置内に分散されながら衝撃力(圧縮、摩擦、せん断力など)をうけ、上述した固定化のプロセス進行がする。なお、上述したような高速気流中衝撃法は、ハイブリダイゼーション法以外にも、例えば竪型の高速回転粉砕機のようなシステムを用いても行われうる。竪型の高速回転粉砕機は、高速回転するロータ、入口ケーシング、出口ケーシング、表面に多数の溝をもつライナーなどから構成され、原料が高速回転しているロータによって均等に分散しつつロータブレードとライナブレード間の渦流に巻き込まれて瞬時に粉砕される装置である。なお、本発明の製造方法においては、基材粉末(金属ガラス粉末)が親粒子に相当し、絶縁性粉末(酸化物ガラス粉末)が子粒子に相当する。
高速気流中衝撃法により基材粉末と絶縁性粉末とを混合する際の混合条件について特に制限はなく、当該手法に関する従来公知の知見が適宜参照されうる。一例を挙げると、例えば上述したハイブリダイザーを用いて混合を行う場合には、混合時間を1〜5分間程度に設定し、ロータ回転数を12000〜16000rpm程度に設定すればよい。
混合される基材粉末と絶縁性粉末との混合比についても特に制限はなく、最終的に得られる軟磁性材料における基材粒子と絶縁皮膜との所望の存在比を考慮して、適宜決定すればよい。例えば、混合後に得られる複合粉末における、絶縁性粉末からなる被覆層の厚さが0.1〜0.3μm程度、好ましくは0.1〜0.2μmとなるように混合比を決定すればよい。ここで、上述した平均粒子径を有する基材粉末と絶縁性粉末とを混合する場合には、基材粉末と絶縁性粉末とを、質量比(基材粉末:絶縁性粉末)で10:1〜10:2程度となるように、混合比を決定すればよい。
本発明の第2の製造方法によれば、基材粉末と絶縁性粉末とを混合する際の混合手段として、高速気流中衝撃法を採用することで、基材粒子の表面に絶縁皮膜を形成するための材料(絶縁性粉末)を比較的薄くコーティングすることが可能となる。このため、非磁性材料である絶縁性粉末の添加量が比較的少なく制御されうる。その結果、軟磁性材料に本来要求される高比抵抗といった軟磁性特性を確保しつつ、得られる磁心などの部材の強度を向上させることが可能となる。
第2に、成形工程について説明する。
本工程においては、上述した混合工程において得られた複合粉末を、固化成形する(S3)。これにより、軟磁性材料が完成する。
複合粉末を固化成形する具体的な手段について特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。固化成形手段の一例として、例えば、スパークプラズマ焼結(SPS)法が挙げられる。この方法では、複合粉末が保持された焼結型をシリンダで加圧しつつ、直流パルス電源により焼結型にパルス電流を印加することで、複合粉末が加熱・固化成形される。この際、焼結条件は主に焼結時間、加圧圧力および焼結温度により規定される。焼結条件の一例を挙げると、焼結時間は、1〜5分間程度であり、好ましくは3〜5分間である。また、加圧圧力は、300〜600MPa程度であり、好ましくは400〜600MPaである。さらに、焼結温度は、基材粒子を構成する金属ガラスのガラス転移温度(T)近傍であることが必須であり、通常は(T−40)〜T℃程度が好適である。ただし、この焼結温度は焼結型のダイ部分での測定値であり、実際の焼結品内部の実温度とは20〜30℃程度の温度差が生じていることに留意すべきである。ここで示す焼結温度は実際にはガラス転移温度(T)よりは低くなっているが、実際の焼結品内部の温度はガラス転移温度近傍もしくはそれ以上に上がっているものと予想される。なお、焼結温度は、焼結型の温度検出手段(例えば、熱電対など)により検出された温度に基づいて、印加される電力を調整することにより、制御されうる。
複合粉末を固化成形して得られる軟磁性材料のサイズは特に制限されず、固化成形に用いる手段や得られる軟磁性材料の用途などに応じて適宜決定されうる。
(電動機)
また、本発明は、上述した軟磁性材料、または上述した製造方法により得られる軟磁性材料を適用した電動機を提供する。電動機としては、例えば、モータ、ソレノイドなどが挙げられる。本発明により提供される軟磁性材料は、例えばこれらの電動機におけるロータ、ステータなどに適用されうる。本発明により提供される軟磁性材料は、上述したように、小型電動機へ適用可能なレベルの高い比抵抗および高い強度を有する。このため、3次元的な磁気回路を有する電動機における鉄損を低減しつつ、ロータの高回転化により電動機の小型化をも達成することが可能となる。
(車両)
また、本発明は、上述した電動機を搭載した車両を提供する。本発明により提供される電動機は上述したような優れた特性を有する。このため、車両に搭載される場合の搭載性に優れ、高効率化により車両の航続距離の伸長に有効に寄与しうる。
本発明による軟磁性材料の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されることはない。
<実施例1>
以下の手法により、軟磁性材料の基材粒子の構成材料である金属ガラスを調製した。具体的には、まず、Fe、Ga、B、Si、Fe−C合金、およびFe−P合金を所定量秤量した後に、高周波溶解炉を用いてArガス中で溶解を行った。これにより、Fe77Ga9.5Si2.5の組成のインゴットを作成した。次いで、このインゴットをアルゴン雰囲気中で溶解し、Arガスで噴霧してガスアトマイズを行い、金属ガラスの粉末を得た。アトマイズされた粉末は、平均粒子径が約20μmとなるように、ふるいを用いて分級した。
得られた金属ガラス粉末に対して、40K/minの昇温速度で熱示差分析(DSC)を行ったところ、図3に示すように、ガラス転移温度Tは477℃であり、結晶化開始温度Tは528℃であった。すなわち、これらの差である過冷却領域の温度間隔ΔTは51℃であり、過冷却領域の温度間隔が大きい、安定的な粉末が作製できたことが示される。
続いて、絶縁皮膜の構成材料である酸化物ガラスとして、旭硝子株式会社製板ガラス用フリットBNL115BBを準備した。当該酸化物ガラスの物性を下記の表2に示す。表2に示されるように、準備した酸化物ガラスの軟化点(T:403℃)は、上記の金属ガラス粉末が塑性流動性を示すガラス転移温度(T:477℃)よりも十分に低温である。
準備した酸化物ガラス粉末のSEM観察写真を図4に示す。この粉末を湿式粉砕機で150分間粉砕し、図5に示すような粉末とした。この粉砕処理により、酸化物ガラスの平均粒子径は、10μmから3.7μmへと小さくなった。ただし、図5に示すように凝集も見られており、実際には0.5μm程度の粒子径まで粉砕されていた。
上記で準備した金属ガラス粉末(30g)と酸化物ガラス粉末(5g)とを、株式会社奈良機械製作所製ハイブリダイザーNHS−O型を用いてハイブリダイゼーション処理した。この装置は2.2kWのロータ駆動モータを用いて16200rpmまで回転させることが可能である。本実施例においては、処理時間は3分とし、ロータ回転数は16200rpm(周速100m/s)とした。ハイブリダイゼーションにより得られた粉末(複合粉末)の表面写真を図6に示す。表面にフレーク状に付着しているのが酸化物ガラスであり、金属ガラス粒子の表面全体に酸化物ガラスが付着していることがわかる。なお、絶縁性粉末(酸化物ガラス粉末)の被覆厚さは、0.3μmであった。
続いて、上記で得られたハイブリダイゼーション粉末を、スパークプラズマ焼結装置を用いて固化成形した。これにより、焼結体(軟磁性材料)を得た。この際、焼結型としては、超硬製の焼結型を使用した。焼結体のサイズは10mm×10mmであった。焼結体の厚さは投入する粉末の量により決定されるが、本実施例においては、焼結体の厚さが3mmとなるように粉末の量を調整した。焼結圧力は500MPaとし、焼結温度は440℃とし、保持時間は3分とした。
得られた焼結体(軟磁性材料)のX線回折結果を図7に示す。鋭いピークが現れているのは酸化物ガラスの回折ピークであり,2θ=45°近辺にはブロードなピークが見られることから、金属ガラス自体の結晶化は進んでいないことが示される。
得られた焼結体(軟磁性材料)の断面組織写真を図8に示す。図8に示すように、本発明によれば、空孔の少ない軟磁性材料が製造されうる。なお、図8に黒色部として示される空孔は、いずれも断面写真撮影前の断面研磨により粒子が欠落したことに起因するものである。
<抗折試験>
上記の実施例1で得られた焼結体(軟磁性材料)を、ワイヤカット放電加工機により切断し、2×3×10mmの試験片を3本得た。この3本の試験片について、支持スパン6mmで3点曲げ試験(JIS R1601(1995) ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法に規定)を行った。この際、ヘッドの速度は0.1mm/minとした。従来の圧粉材料についても同様の手法により3点曲げ試験を行い、比較例とした。試験結果を図9に示す。なお、図9に示す比較例の圧粉材料は、Fe粉末に無機絶縁膜および樹脂バインダを混合したものである。
図9に示す結果から、本発明の軟磁性材料の曲げ強度は従来の圧粉材料(比較例)に対して約540%向上していることが示される。
本発明の第1の軟磁性材料の断面図である。 本発明の第2の製造方法を説明するためのフローチャートである。 実施例において得られた金属ガラス粉末に対して熱示差分析(DSC)を行った結果を示す図である。 実施例において準備した酸化物ガラス粉末のSEM観察写真を示す図である。 実施例において準備した酸化物ガラス粉末の粉砕後のSEM観察写真を示す図である。 実施例においてハイブリダイゼーションにより得られた粉末(複合粉末)の表面写真を示す図である。 実施例において得られた焼結体(軟磁性材料)のX線回折結果を示す図である。 実施例において得られた焼結体(軟磁性材料)の断面組織写真を示す図である。 実施例において得られた焼結体(軟磁性材料)および従来の圧粉材料(比較例)について抗折試験(3点曲げ試験)を行った結果を示す図である。
符号の説明
1 軟磁性材料、
2 基材粒子、
3 絶縁皮膜。

Claims (6)

  1. Fe、NiまたはCoを基材とし、ΔT=T−T(ただし、Tは結晶化開始温度を示し、Tはガラス転移温度を示す)で定義される過冷却領域の温度間隔が20K以上である金属ガラスから構成される基材粒子と、
    前記基材粒子間に存在し、前記金属ガラスのガラス転移温度(T)よりも低い軟化点を有する酸化物ガラスから構成される絶縁皮膜と、
    を有する、軟磁性材料。
  2. 前記酸化物ガラスが、酸化ビスマスを主成分とするものである、請求項1に記載の軟磁性材料。
  3. Fe、NiまたはCoを基材とし、ΔT=T−T(ただし、Tは結晶化開始温度を示し、Tはガラス転移温度を示す)で定義される過冷却領域の温度間隔が20K以上である金属ガラスから構成される基材粉末と、酸化物ガラスから構成される絶縁性粉末とを、高速気流中衝撃法により混合して、前記基材粉末の表面を前記絶縁性粉末により被覆する工程と、
    得られた混合物を固化成形する工程と、
    を有する、軟磁性材料の製造方法。
  4. 前記高速気流中衝撃法が、ハイブリダイゼーション装置を用いて行われるものである、請求項3に記載の製造方法。
  5. 請求項1もしくは2に記載の軟磁性材料、または請求項3もしくは4に記載の製造方法により製造された軟磁性材料を用いて構成されたコアを含むロータまたはステータを有する電動機。
  6. 請求項5に記載の電動機を搭載した車両。
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