JP2009031187A - 絶縁抵抗測定方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】直流回路に加えて、直流回路に電力変換回路を介して接続された交流回路についても、絶縁抵抗を煩雑な測定操作をすることなく連続的に、しかも電源変動の影響を受けずに測定できるようにする。
【解決手段】直流回路の正極側の抵抗器の組(R11,R12)および負極側の組(R21,R22)を直列に接続し、これら2組の抵抗器の中性点Mに低い抵抗値を持つ抵抗器R3を接続し、その1端を接地したT型検出回路により、正極側,負極側のR12,R22とR3の各抵抗値を同じ値にしたときに、各抵抗器の両端にそれぞれ発生する検出電圧VR12,VR22,VR3を検出し、電圧比VR12/VR3またはVR22/VR3を求め、この比に抵抗器R11,R21と同じ値の定数K値を乗算することで、直流回路における絶縁抵抗値を求められるようにするとともに、検出電圧VR3を整流することで前記直流回路に電力変換回路を介して接続された交流回路でも絶縁抵抗を測定できるようにする。
【選択図】図1

Description

この発明は、システムの運転状態、つまり活線状態で回路の絶縁抵抗を測定する測定方法および装置に関する。例えば、直流電源を用いた電気推進船舶などにおいては、運転中の安全確認の見地から、活線状態の電源回路について、連続的に絶縁抵抗を監視できることが要求されるが、この発明はこのような用途に使用して好適なものである。
絶縁抵抗の測定方法としては、通称メガーと称する図6のような絶縁抵抗計を用いる方法が一般的である。また、システムの運転状態で絶縁抵抗を測定する方法は通称活線メグと言い、図7に示すブリッジ原理を用いるものが知られている。
前者の絶縁抵抗計によるものは、絶縁抵抗計内の一定電源S(500Vまたは1000Vが一般的)によって、絶縁抵抗RPXを流れる電流iの電流計指示値から間接的に絶縁抵抗を計測する方法であるため、電源停止状態で絶縁抵抗を測定する必要がある。このため、システムの運転中には絶縁抵抗の測定ができないという問題がある。
一方、後者の活線メグは、ブリッジ回路内の電流計Mの指示が0となるよう可変抵抗器VRを調節して、電流計指示が0となったときのVR抵抗値から間接的に絶縁抵抗RPXを測定する方法であるため、煩雑な測定操作(調節操作)を必要とするとともに、連続的な測定ができないという問題がある。
そこで、上記のような煩雑な測定操作を必要としないものも、例えば特許文献1に開示されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載のものは、電源変動に対して何らの考慮もしていないので、電源変動の影響を受け易いという問題がある。
そこで、煩雑な測定操作が不要であるとともに、連続的であり、しかも電源変動の影響を受けない安定な絶縁抵抗測定を可能にすべく、出願人は特願2006−125180号(先願)を出願した。以下、その先願について詳細に説明する。
図8は先願による絶縁抵抗測定方式を示す構成図である。
図示のように、検出抵抗1(R11)〜5(R3)によってT型検出回路を構成し、抵抗2(R12),4(R22)および5(R3)の各々から信号6(電圧VR12),8(電圧VR22)および7(電圧VR3)をそれぞれ得る。これら信号6〜8は絶縁変換器9(IAP),10(IAM),11(IAN)の一次側に入力され、それぞれ絶縁変換されて二次信号12〜14となる。
二次信号12〜14は、ローパスフィルタ15(LPP)〜18(LPN)により高調波成分が除去されて信号19〜21となり、そのうち信号19と20が正極側割算器25(DP)に、また信号20と21が負極側割算器26(DN)に入力され、割算が実行される。また、極性判別器22(PC)は信号20の極性を判別し、信号20が(+)方向のとき、すなわち電圧VR3が(+)方向のときは信号23(ON)を出力し、(−)方向のときは信号24(ON)を出力する。
極性判別器22(PC)が(+)方向の信号23を出力したときは、正極側の演算器25,31や表示装置(IND)35,警報装置(AL)36を動作させ、負極側をロックする。同様に、極性判別器22(PC)が(−)方向の信号24を出力したときは、負極側の演算器26,32や表示装置35,警報装置36を動作させ、正極側をロックする。
以下、極性判別器22(PC)が(+)方向の信号23を出力し、正極側絶縁抵抗を測定する場合について説明する。
図9(a)は正極側絶縁抵抗を測定する場合の説明図である。
ここで、正極側の抵抗R11対R12、または、負極側の抵抗R21対R22の比をそれぞれ1:1/100〜1:1/25程度とするが、これは測定しようとする回路電圧値、または測定しようとする絶縁抵抗値の範囲などによって最適な値を選定する。詳細は、後述する。
例えば、直流電圧500V回路の絶縁抵抗を測定する場合、検出抵抗値をR11,R21=1MΩ、R12,R22=10KΩに選定したとき、絶縁抵抗が無限大の場合にはRPX=∞であるから、図9(a)に示す電流IRXは流れない。その結果、検出抵抗R12,R22の両端電圧VR12,VR22はVR12=VR22で、検出抵抗値R11,R12,R21,R22に流れる電流IPは、IP≒V÷(R11+R12+R21+R22)であり、M電位はVP=VN=250Vで、抵抗R11とR12の抵抗比1:1/100から、抵抗R12,R22には、250V/100≒2.5Vの電圧が発生することになる。
いま、電源回路、すなわち蓄電池等の直流電源Bに接続された直流給電母線の正極側絶縁抵抗RPXが低下したとすると、接地回路には接地電流IRX=V÷(RPX+R3+R21+R22)が流れ、検出抵抗R3の両端にはVR3=IRX×R3の電圧が発生する。このとき、検出抵抗R12の両端電圧VR12は電流IPで決定され、検出抵抗R3の両端電圧VR3は電流IRXで決定される。すなわち、R11,RPXがそれぞれR12,R3よりも充分に大きい場合、R12=R3とすれば、VR12とVR3の電圧値の割合はR11とRPXの抵抗値の割合の逆数と考えられるから、VR12とVR3の電圧比n(VR12/VR3)を求め、この比nに検出抵抗R11を乗じること、すなわちn×R11=RPXなる計算から絶縁抵抗値を求めることができる。
以上のことは、図8の回路では、以下のように実行される。
すなわち、検出抵抗R12の両端電圧VR12の信号6が、絶縁変換器9→信号12→ローパスフィルタ15を介して信号19となり、割算器25の一方に入力される。また、電流IRXによって発生する検出抵抗R3の両端電圧VR3の信号7が絶縁変換器10→信号13→ローパスフィルタ16を介して信号20となり、割算器25の他方に入力されるとともに、極性判別器22へ入力される。
このとき、信号20が正極(+)方向であるから、極性判別器22が(+)方向を判別して信号23(ON)を出力し、割算器25および掛算器31を演算状態とし、表示装置35および警報装置36を正極側に切替える。また、信号24(OFF)により、割算器26および掛算器32を非演算状態とし、表示装置35および警報装置36の負極側の動作をロックする。
上記切替えによって、割算器25では信号19と信号20との比であるVR12/VR3を示す信号27を出力し、掛算器31の一方に入力する。定数設定器29(F)は、設定値Kを検出抵抗R11およびR21と同値とする信号30を出力し、掛算器31の他方に入力する。従って、掛算器31は割算器25からの出力信号27と、定数設定器29からの定数Kを示す信号30とを掛け合わせ、信号33を出力する。
信号33は、求めるべき絶縁抵抗値RPX=(VR12/VR3)×K(R11の抵抗値)を示しており、これは表示装置35に与えられて表示される一方、警報装置36では予め設定した絶縁抵抗値よりも低下したら警報を発するとともに、出力信号37で時系列に変化する絶縁抵抗値を記録するなど、安全管理のための処理をする。なお、図のように、測定用電源38(S)および電源スイッチ39(SW)を設けておき、これらを使用することで無通電状態、つまり活線状態でない状態での電路,機器または装置の絶縁抵抗の測定が可能となる。
図9(b)は負極側絶縁抵抗を測定する場合の説明図である。
この場合、測定しようとする絶縁抵抗はRNxであり、これに電流IRXが流れることにより、抵抗R12を抵抗R22に置き換えることで上記と同様の関係から、求めるべき絶縁抵抗値RNXは、
RNX=(VR22/VR3)×K(R21の抵抗値)
として求めることができる。
図8の回路も、信号6,12,19,27および33を信号8,14,21,28および34に、演算回路25,31を演算回路26,32に、また信号23をOFF,信号24をONにそれぞれ置き換えることにより、正極側絶縁抵抗を測定する場合と全く同様にして負極側絶縁抵抗を測定することができる。
図10に電圧検出特性と電圧倍率nの計算例を示す。
絶縁抵抗の抵抗値RPX=1MΩであるとし、R11=RPX=1MΩ、R12=R3=10KΩとすると、図10(a)からVR12=VR3≒1.65と求められ、電圧比n=VR12/VR3=1.65/1.65=1となるので、RPX=K(R11=1MΩ)×1=1MΩとして求められる。
同様に、電圧比n=VR12/VR3=10では、RPX=K(1MΩ)×10=10MΩ、電圧比n=VR12/VR3=100では、RPX=K(1MΩ)×100=100MΩ、電圧比n=0.1では0.1MΩのように求めることができる(図10(b)参照)。
なお、電源回路(直流給電母線)の電圧が変動した場合、これに比例して電流IP,IRXが変動してVR12,VR3も変動するが、電圧比n=VR12/VR3は変わらない。従って、この発明によれば、測定しようとする回路電圧が変動しても測定値はその影響を受けないので、安定した絶縁抵抗の測定が可能となる利点が得られる。
次に、各抵抗R11〜R22の選定について説明する。
以上では、電圧500Vの回路を抵抗R11,R21=1MΩ、抵抗R12,R22=10KΩとして測定する場合について説明した。このとき、絶縁抵抗RPX,RNXが無限大のときは、中性点Mの電位は250V、検出電圧VR12=VR22≒2.5Vである。
ここで、電圧500Vの電圧が600V(+20%)〜400(−20%)の範囲で変動した場合、絶縁抵抗RPX,RNXが無限大では、検出電圧VR12=VR22≒3V〜2.5V〜2Vの範囲で変動する。しかし、検出電圧比nは変わらないので、測定値への影響はない。また、電圧1000Vの回路の絶縁抵抗を測定するときは、Mの電位は500V、検出電圧VR12=VR22=500/100≒5Vとなるが、この場合も検出電圧比nは変わらないので、測定値への影響はない。
さらに、各抵抗値をR11,R21=1MΩとし、抵抗R12,R22=10KΩの抵抗比1:1/100を1:1/50、すなわち抵抗R12,R22=20KΩにすれば、VR12,VR22は2.5Vから5V、また抵抗比を1:1/25、抵抗R12,R22=40KΩにすれば、VR12,VR22は2.5Vから10Vのように検出電圧は変わるが、電圧比は不変なので、測定への影響はない。
以上では、抵抗R11,R21の抵抗値を固定し、抵抗R12,R22の抵抗値を変更したが、抵抗R12,R22の抵抗値を固定し、抵抗R11,R21の抵抗値を変更しても良いのは言うまでもない。すなわち、R11,R21およびR12,R22の抵抗値は、測定回路の電圧と最適な検出電圧を得るため最適値に選択することができる。
特開平01−165973号公報
以上、先願について詳細に説明したが、この先願による絶縁抵抗測定方式では、蓄電池等の直流電源に接続された直流給電母線などの直流回路における絶縁抵抗の測定はできるが、このような直流回路にインバータなどの電力変換回路を介して接続された交流回路における絶縁抵抗の測定ができないと言う難点がある。この点について、図11A,図11Bを参照して具体的に説明する。
図11Aは先願による絶縁抵抗測定方式を、電動機駆動インバータに適用した例を示す回路図、図11Bは電動機巻線CLに与えられる電圧波形を示す波形図である。
図11Aの回路構成では、蓄電池等の直流電源Bに接続された直流給電母線に、電動機駆動用インバータの半導体スイッチ素子Q1〜Q4からなる電力変換回路を介して、電動機巻線CLなどからなる交流回路が接続されている。
図11Aにおける正の半サイクルでは、P→Q1→CL→Q2→Nの経路で電動機巻線CLに電流IFが流れ、負の半サイクルでは、P→Q3→CL→Q4→Nの経路で電動機巻線CLに電流IRが流れる。
また、電動機巻線CLには、半導体スイッチ素子Q1〜Q4の動作によって正の半サイクル,負の半サイクルで所定周波数の交流電圧,電流が印加される。
ここで、電動機巻線CLの絶縁が低下して絶縁抵抗RXが発生すると、正の半サイクルでは上記の動作に加え、P→Q1→RX→(3)=E(アース)→R3→R22→R21→Nの経路で接地電流IFXが流れ、検出抵抗R3の両端に図示極性の極性電圧VR3が発生する。また、負の半サイクルでは上記の動作に加え、P→R11→R12→R3→(3)=E(アース)→RX→Q4→Nの経路で接地電流IRXが流れ、検出抵抗R3の両端には図示極性の極性電圧VR3が発生する。
すなわち、検出抵抗R3の両端には、インバータ動作に連動して交番する正,負の検出電圧VR3が発生することになる。先願による絶縁抵抗測定方式は、直流給電母線P極またはN極の絶縁抵抗を測定する目的には十分に対応可能であるが、先願による絶縁抵抗測定方式を用いてインバータの交流側回路に接続される電動機や変圧器の絶縁抵抗を測定しようとしても、上記のように検出抵抗R3での検出電圧VR3が交番するため測定ができない。
また、インバータ停止の場合には、半導体スイッチ素子Q1〜Q4はOFFで、素子Q1〜Q4と並列に接続されたダイオードにより、上記電流IFX,IRXが阻止されるため、電動機巻線の絶縁抵抗を測定することができない。
したがって、この発明の課題は、直流回路に加えて、直流回路に電力変換回路を介して接続された交流回路についても、煩雑な測定操作をすることなく連続的に、しかも電源変動の影響を受けず安定に絶縁抵抗を測定可能とすることにある。また、前記電力変換回路の動作停止時にも前記交流回路の絶縁抵抗を測定可能とすることにある。
このような課題を解決するため、請求項1の発明では、直流回路の正極と負極との間に高い抵抗値を持つ第1抵抗器と低い抵抗値を持つ第2抵抗器との組を2組直列に接続し、これら2組の検出抵抗器の中性点に低い抵抗値を持つ第3抵抗器を接続し、その1端を接地してなるT型検出回路を備え、
前記正極側,負極側の第2抵抗器および第3抵抗器の抵抗値を同じ値にしたときに正極側,負極側第2抵抗器の各両端と第3抵抗器の両端にそれぞれ発生する電圧を検出し、正極側第2抵抗器の電圧対第3抵抗器の電圧比、または、負極側第2抵抗器の電圧対第3抵抗器の電圧比を演算し、これらの電圧比のいずれかに第1抵抗器と同じ値の定数K値を乗算して絶縁抵抗値を得るにあたり、前記第3抵抗器の両端に発生する電圧を整流して用いることにより、前記直流回路に電力変換回路を介して接続された交流回路での絶縁抵抗の測定をも可能にしたことを特徴とする。
また、請求項2の発明では、直流回路の正極と負極との間に高い抵抗値を持つ第1抵抗器と低い抵抗値を持つ第2抵抗器との組を2組直列に接続し、これら2組の検出抵抗器の中性点に低い抵抗値を持つ第3抵抗器とダイオードとの直列回路を2組並列に接続し、その1端を接地してなり、かつ、前記2組の直列回路のうち一方の組は正極側絶縁抵抗検出用であって前記ダイオードを接地点から中性点に向かう方向を順方向として接続するとともに他方の組は負極側絶縁抵抗検出用であって前記ダイオードを中性点から接地点に向かう方向を順方向として接続してなるT型検出回路を備え、
前記正極側,負極側の第2抵抗器および前記正極側絶縁抵抗検出用,負極側絶縁抵抗検出用の第3抵抗器の抵抗値を同じ値にしたときに正極側,負極側第2抵抗器の各両端と正極側絶縁抵抗検出用,負極側絶縁抵抗検出用直列回路の各両端にそれぞれ発生する電圧を検出し、正極側第2抵抗器の電圧対正極側絶縁抵抗検出用直列回路の電圧比、または、負極側第2抵抗器の電圧対負極側絶縁抵抗検出用直列回路の電圧比を演算し、これらの電圧比のいずれかに第1抵抗器と同じ値の定数K値を乗算して絶縁抵抗値を得ることにより、前記直流回路、または、この直流回路に電力変換回路を介して接続された交流回路のいずれの回路でも絶縁抵抗の測定を可能にしたことを特徴とする。
請求項3の発明では、直流回路の正極と負極との間に高い抵抗値を持つ第1抵抗器と低い抵抗値を持つ第2抵抗器との組が2組直列に接続され、これら2組の検出抵抗器の中性点に低い抵抗値を持つ第3抵抗器が接続され、その1端が接地されたT型検出回路と、前記正極側,負極側の第2抵抗器および第3抵抗器の抵抗値を同じ値にしたときに正極側,負極側第2抵抗器の各両端と第3抵抗器の両端にそれぞれ発生する電圧を検出する電圧検出手段と、その第3抵抗器の両端に発生する電圧を整流する整流手段と、この整流手段からの整流電圧と第3抵抗器の両端に発生する電圧とを選択的に切替える切替手段と、正極側第2抵抗器の電圧対第3抵抗器の電圧比を演算する第1演算手段と、負極側第2抵抗器の電圧対第3抵抗器の電圧比を演算する第2演算手段と、前記第1演算手段からの電圧比に正極側第1抵抗器と同じ値の定数K値を乗算する第3演算手段と、前記第2演算手段からの電圧比に負極側第1抵抗器と同じ値の定数K値を乗算する第4演算手段と、第3または第4演算手段のいずれか一方の出力を絶縁抵抗値として表示する表示手段とを有し、前記切替手段による選択により、前記直流回路、または、この直流回路に電力変換回路を介して接続された交流回路のいずれの回路でも絶縁抵抗の測定を可能にしたことを特徴とする。この請求項3の発明においては、前記第3抵抗器に発生する電圧の極性を判別する極性判別手段を設け、正極性のときは正極側の演算および表示を可能として負極側の演算および表示をロックし、負極性のときは負極側の演算および表示を可能として正極側の演算および表示をロックすることができる(請求項4の発明)。
また、請求項5の発明では、直流回路の正極と負極との間に高い抵抗値を持つ第1抵抗器と低い抵抗値を持つ第2抵抗器との組が2組直列に接続され、これら2組の検出抵抗器の中性点に低い抵抗値を持つ第3抵抗器とダイオードとの直列回路が2組並列に接続され、その1端が接地されてなり、かつ、前記2組の直列回路のうち一方の組は正極側絶縁抵抗検出用であって前記ダイオードが接地点から中性点に向かう方向を順方向として接続されているとともに他方の組は負極側絶縁抵抗検出用であって前記ダイオードが中性点から接地点に向かう方向を順方向として接続されてなるT型検出回路と、前記正極側,負極側の第2抵抗器および前記正極側絶縁抵抗検出用,負極側絶縁抵抗検出用の第3抵抗器の抵抗値を同じ値にしたときに正極側,負極側第2抵抗器の各両端と正極側絶縁抵抗検出用,負極側絶縁抵抗検出用直列回路の各両端にそれぞれ発生する電圧を検出する電圧検出手段と、正極側第2抵抗器の電圧対正極側絶縁抵抗検出用直列回路の電圧比を演算する第1演算手段と、負極側第2抵抗器の電圧対負極側絶縁抵抗検出用直列回路の電圧比を演算する第2演算手段と、前記第1演算手段からの電圧比に正極側第1抵抗器と同じ値の定数K値を乗算する第3演算手段と、前記第2演算手段からの電圧比に負極側第1抵抗器と同じ値の定数K値を乗算する第4演算手段と、第3または第4演算手段のいずれか一方あるいは両方の出力を絶縁抵抗値として表示する表示手段とを有し、前記直流回路、または、この直流回路に電力変換回路を介して接続された交流回路のいずれの回路でも絶縁抵抗の測定を可能にしたことを特徴とする。
また、請求項3ないし5のいずれか1項の発明においては、前記絶縁抵抗値が予め設定された設定値より低下したことを判別して警報を発する警報手段を設けることができる(請求項6の発明)。さらに、請求項3ないし6のいずれか1項の発明においては、前記直流回路の正極あるいは負極と前記交流回路の導体部とを接離するスイッチング手段を設け、前記電力変換回路の動作が停止している状態で、前記スイッチング手段を閉路して前記導体部に直流電圧を印加することにより、前記交流回路での絶縁抵抗の測定を可能にすることができる(請求項7の発明)。
この発明によれば、直流回路に加えて、直流回路にインバータなどの電力変換回路を介して接続された交流回路についても、システムの運転中に絶縁抵抗を連続的に測定できるので、システムの安全確認を常時行なうことが可能となる。また、煩雑な測定操作が不要であるだけでなく、電源変動の影響も受けないように工夫したので、安定な測定が可能になるという利点もある。
さらに、前記直流回路の正極あるいは負極と前記交流回路の導体部とを接離するスイッチング手段を設けることにより、インバータなどの電力変換回路の動作停止時にも前記交流回路の絶縁抵抗が測定可能となる利点が得られる。
図1はこの発明の実施の形態を示す構成図、図2A,2Bは図1の絶縁抵抗測定回路の動作を説明するための説明図である。
図1からも明らかなように、図8に示すものに対し、整流器40(REC)、スイッチ41(COS),スイッチ43(SWB)およびスイッチ44(SWA)などを設けた点が特徴である。整流器40(REC)は、検出電圧VR3が交番しても絶縁抵抗の測定が可能なように整流する働きをし、スイッチ41(COS)は「1」側に選択することで、蓄電池等の直流電源Bに接続された直流給電母線などの直流回路での測定を可能とし、「2」側に選択することで、直流回路にインバータの半導体スイッチ素子Q1〜Q4からなる電力変換回路を介して接続された交流回路での測定を可能とするものである。なお、この交流回路での測定においては、図2Aに示されている電動機巻線CLの絶縁抵抗のみならず、インバータの交流側回路部、インバータと電動機との間の電路,配線などを含む交流回路における全ての電気回路要素の絶縁抵抗を測定することができる。
また、この発明では、図1におけるスイッチ44(SWA),39(SW),43(SWB)、図2AにおけるスイッチSWC、試験端子TTを用いることにより、多様な測定形態での絶縁抵抗測定を可能としている。
図1において、スイッチ44(SWA)をOFFさせて蓄電池等の直流電源Bから直流給電母線を切り離した後、絶縁抵抗測定用電源38(S)の正極側に設けられたスイッチ39(SW)をONさせた状態で、スイッチ43(SWB)を「1」側に選択してスイッチ43(SWB)の接点1bを閉路させることによって、絶縁抵抗測定用電源38(S)の正極側を直流給電母線の正極Pに接続し、直流給電母線に絶縁抵抗測定用の直流電圧を印加することにより、無通電状態、つまり活線状態でない状態で、直流給電母線の電路,直流給電母線に接続される機器および装置などの絶縁抵抗測定が可能となる。
また、直流給電母線が無通電状態となっている場合、または、インバータが動作停止状態となっている場合においても、次のようなスイッチング手段の操作によってインバータの交流側回路の導体部に直流電圧を印加することにより、電動機巻線などの交流側回路の絶縁抵抗測定が可能である。
(イ)先ず、スイッチ44(SWA)のOFFにより直流給電母線が蓄電池等の直流電源Bから切り離された無通電状態では、インバータの交流側回路の絶縁抵抗測定を次のようにして行なうことができる。
(a)スイッチ39(SW)をONにするとともにスイッチ43(SWB)を「2」側に選択する。これにより、絶縁抵抗測定用電源38(S)の正極側が、スイッチ43(SWB)の閉路状態の接点1aを介して図2Aの試験端子TTに接続される。試験端子TTはインバータの交流側回路の導体部に接続されているので、上記導体部に絶縁抵抗測定用電源38(S)の直流電圧が印加される。また、絶縁抵抗測定用電源38(S)の正極側は、スイッチ43(SWB)の閉路状態の接点1a,2aの直列回路を介して直流給電母線の正極Pにも接続され、絶縁抵抗測定回路における抵抗R11,R12,R22,R21からなる直列回路にも、絶縁抵抗測定用電源38(S)の直流電圧が印加される。このような状態で、先願の検出原理(直流回路での検出原理)を適用して、インバータの交流側回路の絶縁抵抗を測定することができる。
(b)スイッチ39(SW)をONにするとともにスイッチ43(SWB)を「1」側に選択する。これにより、絶縁抵抗測定用電源38(S)の正極側がスイッチ43(SWB)の閉路状態の接点1bを介して直流給電母線の正極Pに接続され、絶縁抵抗測定回路における抵抗R11,R12,R22,R21からなる直列回路に、絶縁抵抗測定用電源38(S)の直流電圧が印加される。そして、図2AにおけるスイッチSWCをONにすることにより、インバータの交流側回路の導体部にも、絶縁抵抗測定用電源38(S)の直流電圧が印加されるようにする。このような状態で、先願の検出原理(直流回路での検出原理)を適用して、インバータの交流側回路の絶縁抵抗を測定することができる。
(ロ)次に、スイッチ44(SWA)のONにより直流給電母線が蓄電池等の直流電源Bに接続された通電状態であって、インバータの半導体スイッチ素子Q1〜Q4からなる電力変換回路が動作停止状態にある場合には、インバータの交流側回路の絶縁抵抗測定を次のようにして行なうことができる。なお、このとき、スイッチ39(SW)はOFFになっているものとする。
(a)スイッチ43(SWB)を「2」側に選択する。これにより、直流給電母線の正極Pが、スイッチ43(SWB)の閉路状態の接点2aを介して図2Aの試験端子TTに接続される。試験端子TTはインバータの交流側回路の導体部に接続されているので、上記導体部に直流給電母線の直流電圧が印加される。このとき、絶縁抵抗測定回路における抵抗R11,R12,R22,R21からなる直列回路にも、直流給電母線の直流電圧は印加されている。このような状態で、先願の検出原理(直流回路での検出原理)を適用して、インバータの交流側回路の絶縁抵抗を測定することができる。
(b)図2AにおけるスイッチSWCをONにすることにより、インバータの交流側回路の導体部に直流給電母線の直流電圧が印加されるようにする。このとき、絶縁抵抗測定回路における抵抗R11,R12,R22,R21からなる直列回路にも、直流給電母線の直流電圧は印加されている。このような状態で、先願の検出原理(直流回路での検出原理)を適用して、インバータの交流側回路の絶縁抵抗を測定することができる。
なお、上記(イ)〜(ロ)で説明した、直流給電母線が無通電状態となっている場合、または、インバータが動作停止状態となっている場合においてインバータの交流側回路の絶縁抵抗測定を可能とするための各測定形態では、インバータの交流側回路の導体部に正の直流電圧が印加されることになるので、先願の検出原理(直流回路での検出原理)による検出電圧VR3と基準電圧VR12との比較(割算)に基づく正極側絶縁抵抗測定が行なわれる。一方、インバータの交流側回路の導体部に負の直流電圧を印加する構成でも、同様にインバータの交流側回路の絶縁抵抗測定が可能であるが、この場合には、先願の検出原理(直流回路での検出原理)による検出電圧VR3と基準電圧VR22との比較(割算)に基づく負極側絶縁抵抗測定が行なわれる。
また、図2Aのように、インバータの交流側回路の導体部に接続された試験端子TTを設けているので、直流給電母線が無通電状態である場合、または、インバータが動作停止状態である場合には、この試験端子TTを用いて、市販の絶縁測定器により、インバータの交流側回路の絶縁抵抗を測定することも可能である。
次に、蓄電池等の直流電源Bに接続された直流給電母線からなる直流回路に、インバータの半導体スイッチ素子Q1〜Q4からなる電力変換回路を介して接続された交流回路の絶縁抵抗を測定する構成や動作について詳述する。なお、直流回路(直流給電母線)の絶縁抵抗測定を行なう測定方式の構成や動作については図8等で詳述したので、以下では相違点について、主に説明する。
図2Aにおいて、正の半サイクルでは、インバータの電力変換回路を構成するスイッチ素子Q1,Q2がON−OFF動作し、負の半サイクルではスイッチ素子Q3,Q4がON−OFF動作して、巻線CLには交流電圧が印加され、交番電流IF,IRが流れる。このとき、巻線CLと接地回路の絶縁が劣化して絶縁抵抗RXの低下が発生すると、正の半サイクルでは、P→Q1→(1)→RX→(3)=E(アース)→R3→(4)=M(中性点)→R22→R21→Nの経路で接地電流IFXが流れ、検出抵抗R3の両端には(3)を「+」とする検出電圧VR3が発生する。また、負の半サイクルでは、P→R11→R12→(4)=M(中性点)→R3→(3)=E(アース)→RX→(1)→Q4→Nの経路で接地電流IRXが流れ、検出抵抗R3の両端には(4)を「+」とする検出電圧VR3が発生する。
ここで、スイッチ41(COS)を「2」に選択すれば、スイッチ41(COS)の接点2b,3bが開路するとともに接点3a,4aが閉路することによって、抵抗R3で検出された交番する検出電圧VR3の代わりに、検出電圧VR3が整流器40(REC)で整流されてなる図2Bに示すような電圧VR4が、正側信号42として絶縁変換器10(IAM)に入力されることで、直流回路にインバータの電力変換回路を介して接続された交流回路の絶縁抵抗が直流回路の場合と同様に測定できることになる。この場合、検出電圧VR4は常に正であるため、絶縁変換器10(IAM)の出力信号13の高調波成分がローパスフィルタ16(LPM)により除去されてなる信号20の極性を判別する極性判別器22(CP)は常に正極側の信号23(ON)を出力することになり、図1における割算器25(DP)、掛算器31(MP)などからなる正極側の信号処理回路を用いて絶縁抵抗の測定が行なわれることになる。なお、図1に示されているように、スイッチ41(COS)を「2」に選択したときには、スイッチ41(COS)の接点4b,5bが開路することにより、検出抵抗R22の両端の検出電圧VR22は、絶縁変換器11(IAN)の入力端から切り離される。
なお、先願の検出原理(直流回路での検出原理)によれば、正極側および負極側の絶縁抵抗を測定するための電圧比較(割算)動作は、それぞれ、
(イ)正極側絶縁抵抗測定では、VR12とVR3((3)側+,(4)側−)との比較(割算)
(ロ)負極側絶縁抵抗測定では、VR22とVR3((3)側−,(4)側+)との比較(割算)
であった。そして、図2Aの回路における検出抵抗R3の両端電圧VR3の極性という点では、インバータ動作における正および負の半サイクルは、上記の(イ)正極側絶縁抵抗測定および(ロ)負極側絶縁抵抗測定の状態にそれぞれ相当している。
一方、この発明では、インバータ回路の絶縁抵抗を測定するとき、上述のように、抵抗R3に発生する交番電圧となっている検出電圧VR3を整流器40(REC)で整流してなる検出電圧VR4を正側信号42として絶縁変換器10(IAM)に入力するようにしているので、絶縁抵抗を測定するための電圧比較(割算)に用いられる検出抵抗R3の両端電圧の検出信号は、正および負の半サイクルのいずれにおいても常に正電圧信号となる。そして、この発明では、電圧比較(割算)における基準電圧として、正の半サイクルだけでなく負の半サイクルにおいても抵抗R12による基準電圧VR12を用いる構成としている。
このため、この発明において、直流回路にインバータの電力変換回路を介して接続された交流回路の絶縁抵抗を測定するときの負の半サイクルでの電圧比較(割算)動作は、上記の先願の検出原理(直流回路での検出原理)による(ロ)負極側絶縁抵抗測定での、抵抗R22の両端電圧(VR22)と抵抗R3の両端電圧(VR3)とを比較する動作に対し、抵抗R12の両端電圧(VR12)と抵抗R3の両端電圧(VR3を整流してなるVR4)とを比較する動作となる。
上述のように、インバータ動作の正および負の半サイクルにおける接地電流IFXおよびIRXは、互いに逆方向に共通の検出抵抗R3を流れるとともに、それぞれ抵抗R22およびR12を流れるので、電圧比較(割算)における基準電圧として用いられる抵抗R12の両端電圧VR12に対して、負の半サイクルで流れる接地電流IRXが影響することになるが、基準電圧を得るための電流IBs(図2A参照)として、絶縁抵抗RPX,RNXを介してR3を流れる電流IPXまたはINXよりも十分大きな電流が流れるようにT型検出回路の各抵抗器の抵抗値を選定しておけば、この電流IBsは、インバータ動作の正および負の半サイクルに流れる接地電流IFXおよびIRXに対しても十分大きな電流となっているので、負の半サイクルにおける抵抗R12の両端電圧VR12に対する接地電流IRXの影響は小さく抑えることができる。従って、負の半サイクルにおける電圧比較(割算)方式が先願の検出原理(直流回路での検出原理)による上記(ロ)の電圧比較(割算)方式と異なっても、絶縁抵抗測定の精度は十分に高いものとすることができ、測定に影響を与えないようにすることができる。
次に、図3,図4により、この発明の異なる実施の形態について説明する。図3はこの発明の異なる実施の形態を示す構成図、図4は図3の絶縁抵抗測定回路の動作を説明するための説明図である。図3の構成は、図1の構成に対し、次の点を特徴としている。
(イ)中性点(M)とアース(E)との間に、検出抵抗R3だけからなる回路(図1)の代わりに、検出抵抗R3Pとダイオード5DPとの直列回路と、検出抵抗R3Nとダイオード5DNとの直列回路とを並列接続した回路が接続されている。そして、ダイオード5DPおよび5DNは、各アノードが、それぞれアース点(E)側および中性点(E)側となるように互いに逆極性に接続されている。なお、前者の直列回路が正極側絶縁抵抗の検出用として機能し、後者の直列回路が負極側絶縁抵抗の検出用として機能する。
(ロ)ダイオードD12が、抵抗R12と中性点(M)との間に、アノードが抵抗R12側となるようにして介装されるとともに、ダイオードD22が、中性点(M)と抵抗R22との間に、アノードが中性点(M)側となるようにして介装されている。なお、ダイオードD12,D22は、それぞれ、電圧比n(P)=VR12/VR3P,n(N)=VR22/VR3Nの演算に基づく絶縁抵抗測定の精度、電源電圧依存性、温度依存性等を良好なものとするため、上記の正極側,負極側絶縁抵抗検出用直列回路のダイオード5DP,5DNの沿層電圧の影響を低減するための補償用として設けているものであるが、この発明は、補償用のダイオードD12,D22を設ける構成に限定されるものではない。
(ハ)整流器40(REC),絶縁変換器10(IAM),ローパスフィルタ16(LPM)およびスイッチ41(COS)の接点(3a,4a,2b,3b)からなる、検出抵抗R3の両端電圧(VR3)用測定回路系(図1)の代わりに、次の測定回路系が設けられている。
(a)絶縁変換器10P(IAMP)およびローパスフィルタ16P(LPMP)からなる、正極側絶縁抵抗検出用直列回路(抵抗R3Pとダイオード5DP)の両端電圧(VR3P)用測定回路系。
(b)絶縁変換器10N(IAMN)およびローパスフィルタ16N(LPMN)からなる、負極側絶縁抵抗検出用直列回路(抵抗R3Nとダイオード5DN)の両端電圧(VR3N)用測定回路系。
(ニ)抵抗R12の両端電圧(図1)の代わりに、抵抗R12とダイオードD12との直列回路の両端電圧がVR12として絶縁変換器9(IAP)に入力されるとともに、抵抗R22の両端電圧(図1)の代わりに、検出抵抗R22とダイオードD22との直列回路の両端電圧がVR22として絶縁変換器11(IAN)に入力される。
(ホ)VR3P用測定回路系のローパスフィルタ16P(LPMP)からの出力信号20Pは正極側の割算器25(DP)に入力されるとともに、VR3N用測定回路系のローパスフィルタ16N(LPMN)からの出力信号20Nは負極側の割算器26(DN)に入力される
(ヘ)図1における極性判別器22(CP)は、図では設けられていない。
次に、図3の絶縁抵抗測定回路の動作を図4により説明する。図4は、図3の回路図における、直流給電母線のP,N極およびアース(E)間に接続されたT型検出回路の部分のみを取り出して、回路動作を説明するものである。
いま、電源電圧Vの直流給電母線の正極側絶縁抵抗RPXが低下したとすると、ダイオードD3P,D3Nのうち、順バイアスのダイオードD3Pの方がON状態となって、電流IFXが流れ、正極側絶縁抵抗検出用直列回路(抵抗R3PとダイオードD3P)の両端にはVR3P={(IFX×R3P)+VD3P}の電圧が発生する。なお、この状態において、ダイオードD3Nの方は逆バイアスとなりOFF状態であり、負極側絶縁抵抗検出用直列回路(抵抗R3NとダイオードD3N)はOFF状態となっている。また、抵抗R12とダイオードD12との直列回路の両端にはVR12={(IP×R12)+VD12}の電圧が発生している。
ここで、IPは、抵抗R12,R22にそれぞれ正極側,負極側の基準電圧を発生させるために流す基準電流であり、正極側,負極側とも絶縁抵抗が十分に高い状態では、IP≒V÷(R11+R12+R22+R21)の電流が流れるようにしている。そして、正極側,負極側いずれかの絶縁抵抗が低下した場合には、電流IFXあるいはIRXが流れ、中性点Mの電圧(図4のVP、VN)が変化するのに対応して、電流IPも変化するが、電圧比n(P)=VR12/VR3P,n(N)=VR22/VR3Nに基づく絶縁抵抗測定に影響するものではない。また、VD3P,VD12,VD22は、それぞれダイオードD3P,D12,D22の沿層電圧である。なお、ダイオード沿層電圧に関し、上述のように、ダイオードD12,D22は、正極側,負極側絶縁抵抗検出用直列回路におけるダイオード5DP,5DNの沿層電圧の絶縁抵抗測定精度等への影響を低減するための補償用として設けられているものである。
そして、正極側絶縁抵抗RPXの低下時には、上記の電圧VR12,VR3Pが、それぞれ、図3における後段信号処理回路の絶縁変換器9(IAP),10P(IAMP)に入力され、絶縁変換器9(IAP),10P(IAMP)の出力信号12,13Pの高調波成分がローパスフィルタ15(LPP),16P(LPMP)により除去されてなる信号19,20Pが、正極側の割算器25(DP)に入力される。割算器25(DP)では、電圧比n(P)=VR12/VR3Pを求める割算が行なわれ、その演算出力信号27が正極側の掛算器31(MP)に入力される。掛算器31(MP)では、正極側の絶縁抵抗値RPX=(VR12/VR3P)×K(R11の抵抗値)を求めるため、上記信号27と定数設定器29(F)からの定数Kを示す信号30との掛け合わせ演算が行われ、その演算出力信号33が絶縁抵抗測定信号として表示装置35(IND)に与えられる。表示装置35(IND)では絶縁抵抗測定値が表示される一方、絶縁抵抗測定値が予め設定した絶縁抵抗値よりも低下したときには警報37(AL)が発せられるとともに、時系列に変化する絶縁抵抗値を記録するなど、安全管理のための処理が行われる。なお、上記の表示装置35(IND)における警報機能は、図1のように、別に設けた警報装置36(AL)で行なうように構成してもよい。
上記のように、正極側絶縁抵抗RPXの低下時における絶縁抵抗測定動作では、割算器25(DP)において、上述した先願の検出原理(直流回路での検出原理)と同様に、電圧比n(P)=VR12/VR3Pを求める割算が行なわれるが、図3の構成では、上記のように、VR12={(IP×R12)+VD12}、VR3P={(IFX×R3P)+VD3P}となっており、VR12,VR3Pには、それぞれ、ダイオード沿層電圧VD12,VD3Pが含まれている。VR12,VR3Pに含まれるダイオード沿層電圧VD12、VD3Pの絶縁抵抗測定への影響について、次に述べる。
(イ)電圧VR12に含まれるダイオード沿層電圧VD12の絶縁抵抗測定への影響:
図4に示されるT型検出回路において、ダイオードD12に流れる基準電流IPが、絶縁抵抗RPXを介して流れる電流IFXの影響を受け難いような十分に大きな電流(IPmx)となるように各抵抗の抵抗値を選定しておけば、この電流IP(=IPmx)に対応するダイオードD12の沿層電圧VD12(=VD12mx)も電流IFXの影響を受け難いものとなるようにすることができる。ここで、上記の電流値IPmxは、ダイオードD12の順方向I−V特性における電流IPによる沿層電圧VD12の変化率が十分に小さくなるような電流領域に入るように設定されていることが好ましい。
また、電源電圧Vの変動による基準電流IPの変動や周囲温度の変動が有る場合には、ダイオードD12の特性に応じた沿層電圧VD12の変動が発生するが、電源電圧変動や周囲温度変動の大きさが対象システムで管理されている許容範囲内に入る程度のものである場合、ダイオード沿層電圧VD12の変動量は、電圧比n(P)=(VR12/VR3P)の演算に基づく絶縁抵抗測定の精度に影響を与えるほど大きくはならないと考えられる。
このように、電圧VR12に含まれるダイオード沿層電圧VD12の絶縁抵抗測定への影響は小さくすることができると考えられる。
(ロ)電圧VR3Pに含まれるダイオード沿層電圧VD3Pの影響、および、その影響への対策:
一方、ダイオード沿層電圧VD3Pの方は、絶縁抵抗の変化に対応する電流IFXの変化により、そのダイオード特性に応じて変化する。例えば、絶縁抵抗RPXがRPXmn(例えば1MΩ)のときのIFXをIFXmxとし、絶縁抵抗RPXがRPXmx(例えば10MΩ)のときのIFXをIFXmnとしたとき、絶縁抵抗RPXがRPXmxからRPXmnまで低下し、電流IFXがIFXmnからIFXmxに増大(例えば10倍に増大)した場合、ダイオード沿層電圧VD3Pは、そのダイオード特性に応じてVD3PmnからVD3Pmxまで増大する。
このように、絶縁抵抗RPXが大きいときは電流IFXが小さいことによりダイオード沿層電圧VD3Pが小さく、絶縁抵抗RPXが小さいときは電流IFXが大きいことによりダイオード沿層電圧VD3Pが大きくなるが、ダイオードの順方向I−V特性の非直線性により、電流IFXによるダイオード沿層電圧VD3Pの変化率は、電流IFXが大きいほど小さくなる。これに対して、抵抗R3Pの両端電圧V(R3P)=(IFX×R3P)は、電流IFXに対して比例の関係にある。このため、電圧VR3P={(IFX×R3P)+VD3P}におけるダイオード沿層電圧VD3Pの相対比は、電流IFXが小さい領域で大きく、電流IFXが大きい領域で小さくなる。従って、電圧VR3Pに含まれるダイオード沿層電圧VD3Pによる絶縁抵抗測定の精度(直線性)への影響は、絶縁抵抗が大きい(電流IFXが小さい)領域で大きく、絶縁抵抗が小さい(電流IFXが大きい)領域で小さくなると考えられる。
上記のような、電圧VR3Pに含まれるダイオード沿層電圧VD3Pによる絶縁抵抗測定の精度(直線性)への影響を考慮し、絶縁抵抗測定範囲内のいずれの領域においても、必要な精度(直線性)が得られる程度に電圧VR3Pにおけるダイオード沿層電圧VD3Pの相対比が小さく抑えられるように、T型検出回路の各抵抗器の抵抗値を設定することが好ましい。また、電圧VR3Pにおけるダイオード沿層電圧VD3による絶縁抵抗測定の精度(直線性)への影響を極力小さくするため、ダイオードD3Pとして沿層電圧変化の少ないダイオード素子を用いること、ダイオード沿層電圧に相当する非線形要素を例えば掛算器31(MP)の演算機能に組み込んでダイオード沿層電圧の影響分を補正処理することなどの対策を適用することができる。
次に、負極側絶縁抵抗RNXが低下した時の測定回路動作は、上述の、正極側絶縁抵抗RPXが低下した時の測定回路動作と同様である。すなわち、電源電圧Vの直流給電母線の負極側絶縁抵抗RNXが低下したとすると、ダイオードD3P,D3Nのうち、順バイアスのダイオードD3Nの方がON状態となって、電流IRXが流れ、負極側絶縁抵抗検出用直列回路(抵抗R3NとダイオードD3N)の両端にはVR3N={(IRX×R3N)+VD3N}の電圧が発生するとともに、抵抗R22とダイオードD22との直列回路の両端にはVR22={(IP×R22)+VD22}の電圧が発生するので、これらの電圧VR3N、VR22を用いて、割算器26(NP)、掛算器32(MN)などからなる負極側の信号処理回路により、電圧比n(N)=(VR22/VR3N)の演算に基づく絶縁抵抗測定が行なわれる。
なお、図3の絶縁抵抗測定回路では、正極側絶縁抵抗検出用直列回路(抵抗R3PとダイオードD3P)および負極側絶縁抵抗検出用直列回路(抵抗R3NとダイオードD3N)の両方を設けており、正極側絶縁抵抗RPXおよび負極側絶縁抵抗RNXのいずれか一方の低下に対応して、電圧比n(P)=(VR12/VR3P),n(N)=(VR22/VR3N)のいずれかの演算に基づく絶縁抵抗測定を行う構成であるため、図1における極性判別器22(CP)は不要となっている。
次に、図2Aに示されるような蓄電池等の直流電源Bに接続された直流給電母線からなる直流回路に、インバータの半導体スイッチ素子Q1〜Q4からなる電力変換回路を介して接続された交流回路の絶縁抵抗測定を、図1の構成の代わりに図3の構成で行う場合の動作について説明する。この場合のT型検出回路の基本構成は、図2Aに示されている抵抗R3の代わりに、図3における正極側絶縁抵抗検出用直列回路(抵抗R3PとダイオードD3P)および負極側絶縁抵抗検出用直列回路(抵抗R3NとダイオードD3N)を設けた構成となる。なお、図3の構成を適用する場合、図2Aにおける抵抗R12・中性点M間および中性点M・抵抗R22間にそれぞれダイオードD12およびD22が介装される。
インバータの動作状態では、正の半サイクルでは、インバータの電力変換回路を構成するスイッチ素子Q1,Q2がON−OFF動作し、負の半サイクルではスイッチ素子Q3,Q4がON−OFF動作して、巻線CLには交流電圧が印加され、交番電流IF,IRが流れる。このとき、巻線CLと接地回路の絶縁が劣化して絶縁抵抗RXの低下が発生すると、正の半サイクルでは、P→Q1→(1)→RX→(3)=E(アース)→R3P→D3P→(4)=M(中性点)→D22→R22→R21→Nの経路で接地電流IFXが流れ、検出抵抗R3Pの両端には(3)=E(アース)側を「+」とする電圧V(R3P)=(IFX×R3P)が発生する。また、負の半サイクルでは、P→R11→R12→D12→(4)=M(中性点)→D3N→R3N→(3)=E(アース)→RX→(1)→Q4→Nの経路で接地電流IRXが流れ、検出抵抗R3Nの両端には(4)=M(中性点)側を「+」とする電圧V(R3N)=(IRX×R3N)が発生する。
そして、正極側絶縁抵抗検出用直列回路(抵抗R3PとダイオードD3P)および負極側絶縁抵抗検出用直列回路(抵抗R3NとダイオードD3N)の各両端には、正および負の各半サイクルに対応して、検出電圧VR3PおよびVB3Nが発生するとともに、抵抗R12とダイオードD12との直列回路、および、抵抗R22とダイオードD22との直列回路には、それぞれの両端に、基準電圧VR12およびVR22が発生している。電圧VR3PとVR12との組み合わせ、および、電圧VR3NとVR22との組み合わせを用いて、それぞれ、図3〜4により説明した、正極側絶縁抵抗RPXの低下時、および、負極側絶縁抵抗RNXの低下時における絶縁抵抗測定と同様の測定動作を行なうことにより、正および負の各半サイクルに対応した絶縁抵抗測定をそれぞれ行なうことができ、表示装置35(IND)に絶縁抵抗測定値を表示することなどによる連続的な絶縁抵抗監視が可能となる。
なお、図3の絶縁抵抗測定回路では、上記のように、T型検出回路に、正極側絶縁抵抗検出用直列回路(抵抗R3PとダイオードD3P)および負極側絶縁抵抗検出用直列回路(抵抗R3NとダイオードD3N)の両方を設けた構成としていることにより、図1の絶縁抵抗測定回路におけるような、整流器40(REC)は不要であり、また、インバータ交流側回路での絶縁測定モードを選択するためのスイッチ41(COS)も不要である。
また、図3の絶縁抵抗測定回路では、T型検出回路に、正極側絶縁抵抗検出用直列回路(抵抗R3PとダイオードD3P)および負極側絶縁抵抗検出用直列回路(抵抗R3NとダイオードD3N)の両方を設けた構成としていることにより、上記のように、正および負の各半サイクルに対応して、それぞれ、電圧VR3PとVR12との組み合わせ、および、電圧VR3NとVR22との組み合わせを用いて、上述の先願の検出原理(直流回路での検出原理)と同様な電圧比較(割算)方式により絶縁抵抗測定を行うことができるものとなっている。
次に、図5により、この発明のさらに異なる実施の形態について説明する。図5はこの発明のさらに異なる実施の形態を示す構成図である。図5の構成は、図3の構成に対し、絶縁抵抗測定範囲の切換手段を加えたものであり、それ以外の点は図3の構成と同様である。
図5の絶縁抵抗測定回路では、T型検出回路において、図1の正極側の抵抗R11の代わりに、互いに異なる抵抗値の4個の抵抗R11A〜R1Dを、それぞれの一方端が直流給電母線のP極に接続されるように並列接続するとともに、図1の負極側の抵抗R21の代わりに、互いに異なる抵抗値の4個の抵抗R2A〜R2Dを、それぞれの一方端が直流給電母線のN極に接続されるように並列接続している。抵抗R1A〜R1Dおよび抵抗R2A〜R2Dの他方端は、それぞれ、測定範囲切換操作用のスイッチ44(COSL)の接点回路を介して、抵抗R12の正極側および抵抗器R22の負極側に接続されるようにしている。なお、抵抗R1A〜R1Dおよび抵抗R2A〜R2Dは、図5に示した4個ずつ設ける構成に限定されるものではなく、選択可能にしておきたい測定範囲(レンジ)数に合わせて必要個数設ければよい。
スイッチ44(COSL)の操作によって正極側の抵抗R1A〜R1Dおよび負極側の抵抗R2A〜R2Dの内、それぞれいずれかの抵抗同士の1組(例えば抵抗R1AおよびR2A)を選択することにより、絶縁抵抗測定範囲を切換えることができる。なお、各組の抵抗同士(例えば抵抗R1AおよびR2A)は、対応する絶縁抵抗測定範囲に合わせて選定された同じ抵抗値を有するものとされている。
また、図5の構成においてスイッチ44(COSL)により選択された各測定範囲での測定動作は、図3の構成と同様である。なお、後段の信号処理回路における定数設定器29(F)は、スイッチ44(COSL)の接点回路から図示されない信号ラインを経由して測定範囲選択信号を受け、選択されている正極側抵抗(R1A〜R1D)および負極側抵抗(R2A〜R2D)の抵抗値に相当する定数Kを示す信号30を掛算器31(MP),32(MN)に与えて、選択されている測定範囲に対応した絶縁抵抗値の演算が行われるようにする。
なお、図3および図5には、直流給電母線に対する電圧印加手段として、測定用電源38から電源スイッチ39(SW)を介して電圧印加する構成だけが示されているが、図3あるいは図5の絶縁抵抗測定回路は、いずれも、図1の構成と同様に、蓄電池等の直流電源Bに接続された直流給電母線、および、直流給電母線にインバータの電力変換回路を介して接続された交流回路での絶縁抵抗測定に適用することができるものである。
また、上述の各実施の形態では、この発明を、蓄電池等の直流電源に接続された直流給電母線からなる直流回路にインバータの電力変換回路を介して接続された交流回路の絶縁抵抗測定に適用した構成について説明したが、この発明は、上記構成に限定されるものではなく、例えば、CVCF電源装置の交流出力電源回路の絶縁抵抗測定にも適用可能である。
CVCF電源装置は、入力側の交流電源をダイオード整流器などのコンバータにより、直流中間回路における直流電圧に変換し,これをインバータにより交流に変換して出力する構成であるため、この発明をCVCF電源装置の交流出力電源回路の絶縁抵抗測定に適用する場合、図1の構成、あるいは、図3,5の構成と同様に、直流中間回路の正極Pと負極Nとの間に、高い抵抗値を持つ第1抵抗器(R11,R21)と低い抵抗値を持つ第2抵抗器(R12,R22)との組を2組(すなわち、R11とR12、R21とR22、の2組)直列に接続し、これら2組の検出抵抗器の中性点(M)に低い抵抗値を持つ第3抵抗器(R3)、あるいは、正極側絶縁抵抗検出用直列回路(低い抵抗値を持つ第3抵抗器(R3P)とダイオード(D3P))と負極側絶縁抵抗検出用直列回路(低い抵抗値をもつ第3抵抗器(R3N)とダイオード(D3N))との並列回路を接続し、その1端を接地してなるT型検出回路を備えるようにして、直流中間回路側から交流出力電源回路の絶縁抵抗を測定することができる。
なお、この発明による絶縁抵抗測定方法および装置は、非接地回路を対象として対地絶縁抵抗を測定するものである。一線接地回路では測定すべき絶縁抵抗が短絡されることから、この発明による絶縁抵抗測定方法および装置を適用することはできない。
また、この発明による絶縁抵抗測定方法および装置は、正極側絶縁抵抗および負極側絶縁抵抗のいずれか一方が低下する場合を対象とするものであり、正極側絶縁抵抗および負極側絶縁抵抗の両方が同程度に低下する場合は、接地回路(抵抗R3)に電流が流れないことにより、適用することができないが、正極側絶縁抵抗および負極側絶縁抵抗の両方が低下する場合であっても、正極側と負極側とで絶縁抵抗低下量が異なる場合には、絶縁抵抗低下量の差異の程度にもよるが、絶縁抵抗測定を行うことは可能である。
この発明の実施の形態を示す構成図 図1における絶縁抵抗の測定動作説明図 図1のインバータ動作と検出電圧波形の説明図 この発明の異なる実施の形態を示す構成図 図3における絶縁抵抗の測定動作説明図 この発明のさらに異なる実施の形態を示す構成図 メガーの説明図 活線メグの説明図 先願の構成を示す構成図 図8の正極側,負極側絶縁抵抗の測定動作説明図 図8の電圧検出特性および電圧検出倍率の説明図 図8における問題点の説明図 図11Aのインバータ動作と検出電圧波形説明図
符号の説明
1〜5…抵抗器、6〜8,12〜14,19〜21,23,24,27,28,30,33,34,37,42…信号、9〜11…絶縁変換器、15〜18…ローパスフィルタ、22…極性判別器、25,26…割算器、29…定数設定器、31,32…掛算器、35…表示装置、36…警報装置、38…測定用電源、39…電源スイッチ、40…整流器(REC)。41(COS),43(SWB),44(SWA)…スイッチ。

Claims (7)

  1. 直流回路の正極と負極との間に高い抵抗値を持つ第1抵抗器と低い抵抗値を持つ第2抵抗器との組を2組直列に接続し、これら2組の検出抵抗器の中性点に低い抵抗値を持つ第3抵抗器を接続し、その1端を接地してなるT型検出回路を備え、
    前記正極側,負極側の第2抵抗器および第3抵抗器の抵抗値を同じ値にしたときに正極側,負極側第2抵抗器の各両端と第3抵抗器の両端にそれぞれ発生する電圧を検出し、正極側第2抵抗器の電圧対第3抵抗器の電圧比、または、負極側第2抵抗器の電圧対第3抵抗器の電圧比を演算し、これらの電圧比のいずれかに第1抵抗器と同じ値の定数K値を乗算して絶縁抵抗値を得るにあたり、前記第3抵抗器の両端に発生する電圧を整流して用いることにより、前記直流回路に電力変換回路を介して接続された交流回路での絶縁抵抗の測定をも可能にしたことを特徴とする絶縁抵抗測定方法。
  2. 直流回路の正極と負極との間に高い抵抗値を持つ第1抵抗器と低い抵抗値を持つ第2抵抗器との組を2組直列に接続し、これら2組の検出抵抗器の中性点に低い抵抗値を持つ第3抵抗器とダイオードとの直列回路を2組並列に接続し、その1端を接地してなり、かつ、前記2組の直列回路のうち一方の組は正極側絶縁抵抗検出用であって前記ダイオードを接地点から中性点に向かう方向を順方向として接続するとともに他方の組は負極側絶縁抵抗検出用であって前記ダイオードを中性点から接地点に向かう方向を順方向として接続してなるT型検出回路を備え、
    前記正極側,負極側の第2抵抗器および前記正極側絶縁抵抗検出用,負極側絶縁抵抗検出用の第3抵抗器の抵抗値を同じ値にしたときに正極側,負極側第2抵抗器の各両端と正極側絶縁抵抗検出用,負極側絶縁抵抗検出用直列回路の各両端にそれぞれ発生する電圧を検出し、正極側第2抵抗器の電圧対正極側絶縁抵抗検出用直列回路の電圧比、または、負極側第2抵抗器の電圧対負極側絶縁抵抗検出用直列回路の電圧比を演算し、これらの電圧比のいずれかに第1抵抗器と同じ値の定数K値を乗算して絶縁抵抗値を得ることにより、前記直流回路、または、この直流回路に電力変換回路を介して接続された交流回路のいずれの回路でも絶縁抵抗の測定を可能にしたことを特徴とする絶縁抵抗測定方法。
  3. 直流回路の正極と負極との間に高い抵抗値を持つ第1抵抗器と低い抵抗値を持つ第2抵抗器との組が2組直列に接続され、これら2組の検出抵抗器の中性点に低い抵抗値を持つ第3抵抗器が接続され、その1端が接地されたT型検出回路と、前記正極側,負極側の第2抵抗器および第3抵抗器の抵抗値を同じ値にしたときに正極側,負極側第2抵抗器の各両端と第3抵抗器の両端にそれぞれ発生する電圧を検出する電圧検出手段と、その第3抵抗器の両端に発生する電圧を整流する整流手段と、この整流手段からの整流電圧と第3抵抗器の両端に発生する電圧とを選択的に切替える切替手段と、正極側第2抵抗器の電圧対第3抵抗器の電圧比を演算する第1演算手段と、負極側第2抵抗器の電圧対第3抵抗器の電圧比を演算する第2演算手段と、前記第1演算手段からの電圧比に正極側第1抵抗器と同じ値の定数K値を乗算する第3演算手段と、前記第2演算手段からの電圧比に負極側第1抵抗器と同じ値の定数K値を乗算する第4演算手段と、第3または第4演算手段のいずれか一方の出力を絶縁抵抗値として表示する表示手段とを有し、前記切替手段による選択により、前記直流回路、または、この直流回路に電力変換回路を介して接続された交流回路のいずれの回路でも絶縁抵抗の測定を可能にしたことを特徴とする絶縁抵抗測定装置。
  4. 前記第3抵抗器に発生する電圧の極性を判別する極性判別手段を設け、正極性のときは正極側の演算および表示を可能として負極側の演算および表示をロックし、負極性のときは負極側の演算および表示を可能として正極側の演算および表示をロックすることを特徴とする請求項3に記載の絶縁抵抗測定装置。
  5. 直流回路の正極と負極との間に高い抵抗値を持つ第1抵抗器と低い抵抗値を持つ第2抵抗器との組が2組直列に接続され、これら2組の検出抵抗器の中性点に低い抵抗値を持つ第3抵抗器とダイオードとの直列回路が2組並列に接続され、その1端が接地されてなり、かつ、前記2組の直列回路のうち一方の組は正極側絶縁抵抗検出用であって前記ダイオードが接地点から中性点に向かう方向を順方向として接続されているとともに他方の組は負極側絶縁抵抗検出用であって前記ダイオードが中性点から接地点に向かう方向を順方向として接続されてなるT型検出回路と、前記正極側,負極側の第2抵抗器および前記正極側絶縁抵抗検出用,負極側絶縁抵抗検出用の第3抵抗器の抵抗値を同じ値にしたときに正極側,負極側第2抵抗器の各両端と正極側絶縁抵抗検出用,負極側絶縁抵抗検出用直列回路の各両端にそれぞれ発生する電圧を検出する電圧検出手段と、正極側第2抵抗器の電圧対正極側絶縁抵抗検出用直列回路の電圧比を演算する第1演算手段と、負極側第2抵抗器の電圧対負極側絶縁抵抗検出用直列回路の電圧比を演算する第2演算手段と、前記第1演算手段からの電圧比に正極側第1抵抗器と同じ値の定数K値を乗算する第3演算手段と、前記第2演算手段からの電圧比に負極側第1抵抗器と同じ値の定数K値を乗算する第4演算手段と、第3または第4演算手段のいずれか一方あるいは両方の出力を絶縁抵抗値として表示する表示手段とを有し、前記直流回路、または、この直流回路に電力変換回路を介して接続された交流回路のいずれの回路でも絶縁抵抗の測定を可能にしたことを特徴とする絶縁抵抗測定装置。
  6. 前記絶縁抵抗値が予め設定された設定値より低下したことを判別して警報を発する警報手段を設けたことを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の絶縁抵抗測定装置。
  7. 前記直流回路の正極あるいは負極と前記交流回路の導体部とを接離するスイッチング手段を設け、前記電力変換回路の動作が停止している状態で、前記スイッチング手段を閉路して前記導体部に直流電圧を印加することにより、前記交流回路での絶縁抵抗の測定を可能にしたことを特徴とする請求項3ないし6のいずれか1項に記載の絶縁抵抗測定装置。
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