JP2009030271A - 床板の接合構造 - Google Patents

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英樹 金井
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Abstract

【課題】合板部と中密度繊維板とを一体的に張り合わせた床板基材を用いて床板を構成したもので、施工後に床板同士の接合部から水等が浸入したときに中密度繊維板の伸張等による床板の変形を防止し、安全性を確保することを課題とする。
【解決手段】複数枚の単板を積層した合板部2の表面に中密度繊維板3を張り合わせた床板1の基材の周端部に、雄実部5と雌実部6とを該合板部2に形成し、該床板1を敷設したときに隣接する床板1、1の雄実部5と雌実部6とを接合した床板の接合構造において、該床板1の中密度繊維板3と合板2とにまたがるように凹溝7を該雄実部5と雌実部6との上部であって該周端部の長手方向に沿って形成してなる床板の接合構造。
【選択図】図3

Description

この発明はいわゆるMDF(Medium、Density、Fiberboard)あるいは中密度繊維板または中質繊維板と称されるものと合板を組み合わせた床材基材を用いた床材に係り、床板の敷設施工後に床面にこぼれた水の床板内への侵入に対する床板の伸縮や変形を防止する床材の接合構造に関するものである。
従来、木質の床材は厚さ5〜15mm程度の合板を基材として用い、その表面に木質化粧単板や印刷紙あるいは塩化ビニールシートといった表面化粧材を貼着一体化したものが使用されている。一般に床材としては厚み12〜15mm程度の合板基材の表面に銘木と称される木目の美しい厚さ0.5〜3.0mm程度の化粧単板が貼着され、床材基材の四周側面に本実加工による接合構造を形成している。
従来の合板基材を用いる床材においては、合板基材の表面に割れあるいは凹凸があると表面化粧材を通してそれらの欠点が表面に現れ美観が損なわれることから、表面平滑性に優れた合板の使用が要求される。ことに印刷紙や塩化ビニールシートといった軟質の表面化粧材が使用される場合には、この表面性の要求は厳しくなる。また現在再生不可能とされているラワンなどの熱帯産広葉樹は入手が困難となり、人口植林が可能で木材資源として永続性のある針葉樹合板が上記基材として使用されている。これらの問題点や欠点を解消するものとして中密度繊維板が床板基材の一部として使用されている。
特許第39009897号
上記特許文献1における中質繊維板を表層とする複合フローリングはこれらの欠点を解消しようとするものであり、表面に平滑性の優れた中質繊維板を用い合板との複合板としたものである。しかしながら中質繊維板は中質繊維板部に水等が入り込むと中質繊維板の伸縮性は合板より大きいために板反り等が発生しやすい。そのために製品の含水率管理を行う必要がある。本発明は中質繊維板を用いてこれらの点を解消することをその課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る床板の接合構造の第一の特徴構成は、請求項1に記載した如く、複数枚の単板を積層した合板部の表面に中密度繊維板を張り合わせた床板の基材の周端部に、雄実部と雌実部とを該合板部に形成し、該床板を敷設したときに隣接する床板の雄実部と雌実部とを接合した床板の接合構造において、該床板の中密度繊維板と合板とにまたがるように凹溝を該雄実部と雌実部との上部であって該周端部の長手方向に沿って形成した点にある。
同第二の特徴構成は、請求項2に記載した如く、第一の特徴構成に加えて、上記凹溝の底部をその開口部に向かって下り傾斜に形成した点にある。
同第三の特徴構成は、請求項3に記載した如く、上記床板の基材の中密度繊維板の表面に化粧単板等の表面化粧材を貼着した点にある。
同第四の特徴構成は、請求項4に記載した如く、該床板の床板表面周縁部に面取りによるV溝を形成した点にある。
同第五の特徴構成は、請求項5に記載した如く、上記合板部が針葉樹合板で構成した点にある。
請求項1に記載の床板の接合構造は、雄実部と雌実部とは合板部に形成され、該床板の中密度繊維板と合板とにまたがるように凹溝を該雄実部と雌実部との上部であって該周端部の長手方向に沿って形成しているから、敷設された床板の接合部を経て入り込んだ水等は凹溝に溜まり、凹溝の下部は合板部で構成されているから水等が中密度繊維板に浸み込み難いものである。
請求項2に記載の床板の接合構造は、前記構成であるから、請求項1の床板の接合構造が有する効果に加え、こぼれた水が接合部を経て入り込んでも、水等は該凹溝の傾斜した底部に充分な余裕をもって溜まる。そのために入り込んだ水が中密度繊維板に一層触れにくくなる。
請求項3に記載の床板の接合構造は、請求項1ないし請求項2のいずれかの床板の接合構造が有する効果に加え、上記床板の基材の中密度繊維板の表面に化粧単板等の表面化粧材を貼着したから、表面の意匠性がよく、表面化粧材のうち化粧単板の種類あるいは表面塗装その他の適宜の処理を施すことで床板表面の水はけがよくかつ床板表面での水をはじく効果が得ることができる。
請求項4に記載の床板の接合構造は、請求項1ないし請求項3のいずれかの床板の接合構造が有する効果に加え、該床板の床板表面周縁部に面取りによるV溝を形成したから、万一中密度繊維板が吸水等により伸張しても床板の表面が突きあがることがなく足等が引っ掛かりつまずいたりすることがない。
請求項5に記載の床板の接合構造は、請求項1ないし請求項4のいずれかの床板の接合構造が有する効果に加え、上記合板として針葉樹合板を用いても針葉樹合板の欠点が表面に現れることがなく、しかも入手が容易なものであり、かつコスト的にも安くできる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して、詳細に説明する。図1ないし図2は本発明に係る床材の平面図および横断面図である。1は床材を示し床材1は合板部2の上に中密度繊維板3の層が貼着され、更に、その上面に化粧単板その他の表面化粧材4が一体化貼着されて構成されている。すなわち合板部2と中密度繊維板3とで床板1の基材が構成され、該床板1の基材上に化粧単板その他の表面化粧材4が貼着され、必要に応じて表面化粧材4の上面に表面塗装11が施される(図2参照)。5は床板1の隣接する2辺に形成された接合用の雄実部であり、6は他の2辺に形成された雄実部5に対応する接合用の雌実部である。
床板1の基材の下層部分を形成する合板部2はラワン等の広葉樹材あるいは米松その他の北洋産の針葉樹材からなっている。合板部2の厚みは特に限定されないが厚みが12〜15mm程度のものが一般的である。床板1の基材の上層部を構成する中密度繊維板3はそれ自体の特性として表面平滑性に優れかつ表面が硬質のために合板部2の表面上の短所を補うことができる。
繊維板としてはその密度により硬質繊維板、中密度繊維板のおよび軟質繊維板があり本願においては中密度繊維板3を用いるものである。中密度繊維板3は略称としてMDFあるいは中質繊維板と称されることがある。中密度繊維板3は木材を解繊してパルプ化し、樹脂を用いて板状に成形したもので密度0.35以上0.8以下のものをいい、高精度の均質性を有しその緻密性や断熱性および加工性に優れたものである。しかしながら、合板部2は各単板の繊維方向が直行するように配し一体化しているから互いに伸縮性等が抑制され水等によっても伸縮がほとんど生じないが、中密度繊維板3は合板部2と異なり含水による伸縮率が大きい。
表面化粧材4としては多くの場合木質化粧単板が用いられるがその他に印刷紙や塩化ビニールシートが用いられることもある。表面化粧材4を木質化粧板で構成する場合はサクラ、ナラ材あるいはタモ材等の木目の明確な樹種から選ばれ厚み0.1〜2.0mm好ましくは0.2〜0.6mm程度のものが多く使用される。表面化粧材4は木質化粧単板が硬くかつ厚く、特に室内向けのものは傷がつきにくく塗装が不要な場合があるが、傷の着き易い場所に使用される場合にはウレタン系樹脂やポリエステル系樹脂あるいはアクリル系樹脂等の公知の表面塗装11が施され、特に床板が土足用の床板として使用される場合には表面塗装11にアルミナあるいは炭化珪素等の耐摩耗性微粒子を混入して塗装することが推奨されている。
床板1の基材の周辺に設けられる接合部の構造は一般的に図2に示される形状をしており、雄実部5と雌実部6とからなる本実接合構造が採用されている。そして図3あるいは他の実施例である図4に示すように床板1が敷設されたとき隣接する床板1、1は互いの床板端面が密着するように設計される。この雄実部5および雌実部6は図2に示すように合板部2に形成される。すなわち合板部2は単板の木目が直行するように配され構成されているから折損する割合が少なくかつ十分な接合強度が得られるからである。
本発明では図2に示すように床板1を構成する合板部2と中密度繊維板3の接合部に各々の合板部2と中密度繊維板3にまたがるように凹溝7が形成されている。この凹溝7は床板1基材の全周辺に沿って設けられている。図3または図4に示すように床板1、1が敷設されたとき隣接した床板1、1のそれぞれの凹溝7、7は相対向して接触して床板1、1間の接合部に空間部8が形成される。図4に示した他の実施例では凹溝7の底部をその開口部に向かって下り傾斜に形成しているから、該相対向して接触した凹溝7、7で形成される空間部8の底辺形状が下方に湾曲しており従って、該空間部8の貯水容量が図1〜図3に示した実施例の空間部8の貯水容量に比較して大きくなっており、敷設された床板の接合部を経て入り込んだ水等が該大きくなった空間部8に溜まっても、該水等が中密度繊維板に接触する機会が少なくなり、従って、該水等が中密度繊維板3にしみこむことを更に有効に防止することができる。
従来例を示す図5に示されているように合板部2あるいは中密度繊維板3に雄実部5や雌実部6を形成した場合には、床板1、1間の接合部を通って水等が床板1内部に浸入すると中密度繊維板3は均質であり樹脂で結合されている結果水等は拡散せず中密度繊維板3が吸収して中密度繊維板が伸張し、床板1表面に突出部を形成する。これを防止するために隣接する床板1の基材の接合部に設けた凹溝7、7で空間部8を形成することで水等を空間部8に滞留させ中密度繊維板3が水等を吸収するのを防止している。
図3あるいは他の実施例を示す図4に示すように床板1の接合部における床板1表面にV溝10を構成するよう接合角部に面取り部9を構成することで、万一中密度繊維板3が水分を吸収して伸張しても面取り部9があるために床板1、1との接合部の伸張がV溝10内に収まり床板1表面に突出することがなく、足が引っ掛かりあるいはつまずくことがなく安全性が保持される。
床板1の中密度繊維板3の表面には化粧単板等の表面化粧材4が貼着される。一般に中密度繊維板3は均質でかつ表面が単色であるから意匠性に乏しく通常木質化粧単板や印刷紙あるいは塩化ビニールシート等といった表面化粧材4で意匠性を付与している。特に化粧単板の樹種によっては水等を吸収し易いものがありその場合にはウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂あるいはアミノアルキッド系樹脂を表面塗装11して表面性状を改善することができる。このことにより意匠性のほかに床板表面に水はじき性を付与してもよいものである。
本発明において床板1の基材の合板部2として針葉樹合板を用いることは各種の利点がある。特に針葉樹合板は春材部と夏材部との硬度の差が大きいためにロータリー切削による切削面が荒れやすく、ラワン合板に比べ表面に凹凸が生じやすい傾向がある。また抜節や死節あるいは生節が存在しておりそれらが合板表面に現れる。さらに単板の吸湿や脱湿が不均一なことにより合板2の表単板の裏割れが進行し、これによって表面化粧材4に影響が出るが合板部2上に中密度繊維板3の層を一体的に配することによりこれらの発生を防止でき、しかも針葉樹は造林により人口植林により永続的に供給可能なものである。
以上に説明したように本願発明においては、合板部2と中密度繊維板3からなる床板1の基材において床板1、1間の接合部から水が床板1の内部に侵入しても空間部8があることで中密度繊維板3による伸縮を防止でき、かつ万一中密度繊維板3が伸縮しても床板1上に中密度繊維板3の伸張に起因する突出部が生じることがなく、足が引っ掛かりあるいはつまずいたりすることがないものであり、かつ安価な針葉樹合板を使用でき永続的に供給できるものである。
本発明に係る床板全体の一実施例を示す平面図である。 図1に示す床板の横断面図である。 図1に示す床板の接合状態を示す部分拡大図。 他の実施例の床板接合状態を示す部分拡大図。 従来の合板と中密度繊維板とからなる床板の横断面図。
符号の説明
1 床板
2 合板部
3 中密度繊維板
4 表面化粧材
5 雄実部
6 雌実部
7 凹溝
8 床板を接合したときに得られる凹溝からなる空間部
9 面取り部
10 V溝
11 表面塗装

Claims (5)

  1. 複数枚の単板を積層した合板部の表面に中密度繊維板を張り合わせた床板の基材の周端部に、雄実部と雌実部とを該合板部に形成し、該床板を敷設したときに隣接する床板の雄実部と雌実部とを接合した床板の接合構造において、該床板の中密度繊維板と合板とにまたがるように凹溝を該雄実部と雌実部との上部であって該周端部の長手方向に沿って形成してなる床板の接合構造。
  2. 上記凹溝の底部をその開口部に向かって下り傾斜に形成してなる請求項1記載の床板の接合構造。
  3. 上記床板の基材の中密度繊維板の表面に化粧単板等の表面化粧材を貼着したことを特徴とする特許請求項1または請求項2いずれか記載の床板の接合構造。
  4. 上記床板の床板表面周縁部に面取りによるV溝を形成したことを特徴とする請求項1ないし請求項2いずれか記載の床板の接合構造。
  5. 上記合板部が針葉樹合板であることを特徴とする請求項1ないし請求項4いずれか記載の床板の接合構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108252485A (zh) * 2018-03-13 2018-07-06 浙江尚元塑木制品有限公司 一种木塑地板
CN116146832A (zh) * 2023-02-27 2023-05-23 南通远顺耐纤有限公司 一种防水渗入的陶瓷纤维板及其制备方法

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