JP2009030258A - ロックボルト - Google Patents
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Abstract
【解決手段】施工完了後水中に没してしまう作業現場で施工されるロックボルト10、10Aにおいて、張力支持部材である異形棒鋼12と、異形棒鋼12の先端と螺合するナット16(16A、16B)と、受圧板14とを有しており、異形棒鋼12は全体に溶融亜鉛メッキが施されており、地上側先端部から所定範囲にわたって樹脂が被覆されており、該樹脂による被覆層の厚さは100μm〜500μmであり、ナット16(16A、16B)には防錆材(例えばグリース)は充填されていない。
【選択図】図1
Description
図11のロックボルトは、テンドンとして異形棒鋼(図11ではネジ節異形棒鋼)12を用いており、その地上側端部はキャップ形状のナット16と螺合している。なお、ネジ節異形棒鋼12は、全体に溶融亜鉛メッキが施されている。
図11のロックボルトは傾斜地で施工されているため、セメントミルクCはボーリング孔Hの坑口付近まで充填することは不可能であり、符号Eで示す空隙部が形成されている。
ネジ節異形棒鋼12が腐食した場合には、張力を指示することが困難であり、ロックボルトの張力支持部材(テンドン)としての役割を奏さなくなってしまう恐れがある。
しかし、図12で示すタイプのロックボルトにおいて、熱収縮シースSHを加熱して収縮しても、ネジ節異形棒鋼12の半径方向についての収縮が不十分であり、ネジ節異形棒鋼12の雄ネジの谷部については、ネジ節異形棒鋼12表面と収縮したシースSH内周面との間に空隙が形成されてしまう。
そして、空隙部Eに溜まった水が、ネジ節異形棒鋼12表面と収縮したシースSH内周面との間から浸入して、谷部に溜まって、ネジ節異形棒鋼12の腐食の原因となってしまう。
しかし、図13で示す様に、ボーリング孔Hの坑口一杯まで硬練モルタルCHを充填することは、技術的に困難である。
ボーリング孔Hの坑口一杯まで硬練モルタルCHを充填出来ずに、空隙部が残存してしまうと、当該空隙部に水が溜まり、ネジ節異形棒鋼12の腐食の原因となる可能性がある。一方、硬練モルタルCHがボーリング孔Hの坑口から溢れてしまうと、受圧板14が地表Gfに密着した状態で敷設することができなくなり、受圧板14が張力を受けることが困難になる。
そして、ネジ節異形棒鋼12の雄ネジとキャップ形状のナットの雌ネジとが螺合している領域に水が浸入し、当該領域が腐食してしまうと、やはり、ネジ節異形棒鋼12は必要な張力を支持できなくなってしまう。
グリースGrをアルミニウム製キャップ16Aの内部に充填した状態で、ネジ節異形棒鋼12の地上側端部に被せれば、アルミニウム製キャップ16A内に充填されたグリースGrにより、ネジ節異形棒鋼12の地上側端部が被せられている部分、すなわち受圧板14よりも地上側の部分であって且つアルミニウム製キャップ16Aが被せられた部分については、水が浸入しない。
そのように、水没する現場において、図14で示すタイプのロックボルトを施工した場合には、アルミニウム製キャップ16A内に充填されたグリースGrが油脂分離を生じ、キャップ16Aと受圧板14との接合面や、受圧板14と地表面Gfとの境界面から、グリースGrの油分が漏出してしまうと言う問題を有している。
そして、係る油分の漏出は、当該現場の水中にグリースGrが拡散されてしまい、環境汚染の問題を引き起こしてしまう恐れがある。
係る技術によれば、アルミニウム製キャップ16Aと受圧板14との接合面からのグリースの漏洩は防止できる。
そのため、図14で示すロックボルトと同様に、水没する現場において施工した場合には、当該現場の水中にグリースGrが拡散されてしまい、環境汚染の問題を惹起してしまう恐れがある。
従って、アルミニウム製キャップ16A内部のグリースGrが流出した場合には、防錆材が存在しなくなり、ネジ節異形棒鋼12の腐食が防止できなくなる。
係る技術によれば、防錆材を使用しないので、防錆材(例えばグリース)の漏洩、水中への拡散を防止することが出来る。
また、キャップコンクリートCcを充填し、且つ、硬練モルタル14を充填しているので、ネジ節異形棒鋼12の腐食を防止することも可能である。
また、何らかの原因によりナット6が緩み、ネジ節異形棒鋼12に作用する張力が低下しても、キャップコンクリートCcを破壊しない限り、ナット6を締め付けてネジ節異形棒鋼12に作用する張力を回復することが出来ない。
さらに、ピットAP内をキャップコンクリートCcで充填するので、受圧板14、ナット6は埋め殺されてしまい、再利用が不可能である。
これに加えて、ピットAPの掘削、硬練モルタル14の充填、キャップコンクリートCcの充填を必要とするので、施工が複雑となり、施工コストの高騰を惹起する恐れがある。
しかし、この従来技術(特許文献1)も防錆材であるグリースを使用するので、水没する領域に使用した場合には、グリースが油脂分離を起こした際に油分が水中に拡散されてしまうという問題を有している。
ここで、前記ナットとしては、キャップ形状のナット(16)を用いても良い(図1〜図4)が、六角ナット(16A)を用いても良いし(図9)、球座付きのナット(16B)を用いても良い(図10)。
異形棒鋼(12)全体に樹脂を付着した場合には、コンクリートに対する付着力が低下するので、それを補うためである。
勿論、単一の異形棒鋼(12)を張力支持部材(テンドン)として用いることも可能である。
なお、前記挿入する工程では、受圧板(受圧板14)を介して異形棒鋼(12)をボーリング孔(H)内に挿入する。
もちろん、当該工程(請求項6の結合する工程)を省略して、単一の異形棒鋼(12)を張力支持部材(テンドン)として用いることも可能である。
そして、ネジ節異形棒鋼におけるネジ山の形状としては、Mネジ、台形ネジ、ロープネジ(二条ネジ)等が採用可能である。
各種金属に対する密着性は飽和ポリエステル樹脂の様に良好ではないが、飽和ポリエステル樹脂に代えてエポキシ樹脂を用いることも可能である。
そのため、空隙Eに水が溜まっても、異形棒鋼(12)における口元(地表面)より50cm程度の領域は腐食することが無くなり、ロックボルト頭部の耐食性が飛躍的に向上する。その結果として、ロックボルトとしての必要な張力を支持し続けることが出来る。
また、ナット(16、16A、16B)と異形棒鋼(12)との螺合を解除することにより、ナット(16、16A、16B)や受圧板(14)を再利用することが可能であり、材料コストを低減して、ロックボルト工法の施工コストを抑えることが可能である。
また、本発明において、樹脂被覆層の表面に硅砂を塗してあれば(請求項2、請求項4)、樹脂被覆層にセメントミルク(C)が確実に固着するので、樹脂被覆層においてもロックボルトに作用する張力を支持することが出来る。
さらに本発明の実施に際して、複数の異形棒鋼(12)を結合部材(カップラー22)で結合すれば(請求項3)、要求されるテンドンの長さに対処することが出来る。
ここで、キャップ形状のナット(16)を異形棒鋼(12)の地上側の端部に螺合させれば、国立公園、国定公園等の景観に配慮する必要がある区域で使用される場合や、異形棒鋼(12)の地上側端部が露出することにより第三者に危険を及ぼす恐れがある場合や、異形棒鋼(12)の地上側端部に損傷を及ぼすような設置環境にある場合においても、本発明のロックボルトを使用し、或いは、本発明のロックボルト工法を施工することが可能となる。
図1〜図3は、本発明の実施形態に係るロックボルトを示している。
図1において、全体を符号10で示すロックボルトは、例えばネジ節異形棒鋼12を張力支持部材(テンドン)として使用しており、ロックボルト頭部背面には受圧板14及びナット16が設けられている。そして、ネジ節異形棒鋼12の地上側先端部とナット16とが噛み合っている。
ここで、図1〜図3の実施形態では、ネジ節異形棒鋼12の地上側先端部と螺合するべきナットとして、キャップ形状のナット16を用いている。
ネジ節異形棒鋼12はボーリング孔H内に挿入されており、ボーリング孔Hの内部にはセメントミルクCが充填されている。
なお図1においては、ボーリング孔Hは点線で表現されている。
換言すれば、飽和ポリエステル樹脂はセメントミルクに対する付着性が高くはないので、ネジ節異形棒鋼の全体に飽和ポリエステル樹脂を被覆した場合には、全体に飽和ポリエステル樹脂を被覆したネジ節異形棒鋼がセメントミルクCにより十分に固定されない恐れがある。
飽和ポリエステル樹脂被覆層の表面に硅砂を塗すことにより、ネジ節異形棒鋼の全体に飽和ポリエステル樹脂を被覆した場合においても、当該ネジ節異形棒鋼は、セメントミルクCにより十分に固定されるのである。
腐食する可能性が最も高い領域12Aを飽和ポリエステル樹脂で被覆することにより、ネジ節異形棒鋼12の防食性を維持し、以って、テンドンとして張力を支持し続けることを保証せしめるのである。
なお、いわゆる「静電塗装法」を用いても良い。
飽和ポリエステル樹脂の塗膜厚さが100μm未満であると、防錆性能が保証されない。また、飽和ポリエステル樹脂の塗膜厚さが500μmを超えてしまうと、飽和ポリエステル樹脂を塗装した領域12Aにおいて、ネジ節異形棒鋼12の地上側先端部分が、ナット16内部の雌ネジと噛み合うことが困難になる。
そのため、飽和ポリエステル樹脂の塗膜厚さを、100μm〜500μmの範囲とするのである。
そして、図1で示すロックボルト10においては、グリースその他の防錆材は、一切、使用されていない。
先ず、図2で示す様にボーリング孔H(図2では実線で表現されている)にセメントミルクCを充填する。そして、セメントミルクCが充填されたボーリング孔Hに、図3で示す様に、ネジ節異形棒鋼12を挿入する。
図3において、セメントミルクCを充填し且つネジ節異形棒鋼12を挿入したボーリング孔Hは、点線で表現されている。
図3で示す状態から、図1で示す様に、地表面Gfに受圧板14を敷設し、ナット16をネジ節異形棒鋼12の地上側先端と噛み合わせる。
セメントミルクCが養生(固化)することにより、ネジ節異形棒鋼12には、必要な張力を付加することが出来る。
しかし、ロックボルトにおけるテンドンとしては、3m以上の長さを要求される場合も存在する。その様な場合には、図4で示す様に、ネジ節異形棒鋼12を結合するための結合部材(カップラー)22を用いれば良い。
図4において、カップラー22の中心線22Cよりも下側の領域で示す様に、カップラー22Cの内側には雌ネジが形成されており、該雌ネジは、ネジ節異形棒鋼12表面の雄ネジと螺合する様に構成されている。
従って、ロックボルト10Aにおいて、テンドンを、カップラー22Cで結合された複数のネジ節異形棒鋼12で構成することが出来る。そして、カップラー22Cで結合された複数のネジ節異形棒鋼12により、テンドンとして要求される長さを充足させるのである。
図5において、橋梁BRと河川Rの間に、増水していない場合の河川の水位が、符号NWLで示されている。そして、河川が増水した場合の水位が、符号HWLで示されている。
図5〜図8では、水位HWLまで増水した状態において、上述したロックボルト10(10A)を施工するものとして、説明がされている。
図5において、点線の円30は、ロックボルト10(10A)を施工すべき河川の岸(護岸されるべき箇所)の一部であり、水没する領域における施工すべき箇所である。
符号Gfは傾斜面(土手)である。また、符号Gaは、増水していない場合の平地表面を示している。
図6において、河川Rと傾斜な地表面Gfとの間に、パイルPを配置する。パイルPは、平地表面Gaに垂直方向上方に延びて、上端部は増水した場合の水位HWLを超える高さにする。
パイルPの配置によって、パイルPと平地表面Gaと地表面Gfとで、領域PIが形成される。領域PIは、ロックボルト10(10A)を施工すべき箇所30を包含している。
領域PIからの排水完了後に、図7に示すように、領域PIにてロックボルト10(10A)を施工する。ロックボルト10(10A)の施工は、図1〜図3(図4)で示す態様で行われる。
図7において、ロックボルト10(10A)の異形棒鋼12は地表面Gf中に埋設され、図示しないセメントミルクによって固化される。ナット16は、領域PI側に突出している。
図8で示す段階では、パイルP(仮想線で示す)が撤去され、領域PIは水没している。
上記のように施工されたロックボルト10(10A)は、河川が増水していない場合(水位NWL)には、平地表面Gaが露出して、受圧板14及びナット16も地表面Gf外に露出する。
そして、張力を支持するテンドンであるネジ節異形棒鋼12が腐食してしまうことが完全に防止されることにより、張力を必要な期間だけ支持し続けることが保証される。それと共に、ネジ節異形棒鋼12の耐食性が飛躍的に向上するため、温泉地や火山地帯等の強酸性の土壌、海岸線に面する地域で潮風に曝される場所(塩害が発生し易い場所)、重化学工業地帯で亜硫酸ガス濃度が高い等の問題を有する地域、融雪剤による塩害を受ける恐れのある場所においても、ロックボルト頭部が腐食することなく、信頼性が高い施工を実現することが出来る。
例えば、図9で示すロックボルト10B(第2変形例)においては、六角ナット16Aがネジ節異形棒鋼12の地上側端部と螺合している。
また、図10で示すロックボルト10C(第3変形例)においては、ネジ節異形棒鋼12の地上側端部と螺合しているのは球座付きナット16Bである。
図9で示す第2変形例および図10で示す第3変形例におけるその他の構成と作用効果については、図1〜図8の実施形態と同様である。
BR・・・橋梁
CH・・・硬練モルタル
E・・・空隙部
Ga・・・平地表面
Gf・・・(傾斜)地表面
Gr・・・グリース
H・・・ボーリング孔
HS・・・水平面
NWL・・・増水していない場合の河川の水位
HWL・・・増水した場合の河川の水位
SH・・・シース
10、10A、10B、10C・・・ロックボルト
12・・・張力支持部材、異形棒鋼
12A・・・樹脂で被覆されている領域
14・・・受圧板、受圧板
16・・・キャップ形状のナット
16A・・・六角ナット
16B・・・球面座付きナット
22・・・結合部材/カップラー
30・・・ロックボルトを施工すべき箇所
ここで、前記ナットとしては、キャップ形状のナット(16)を用いても良い(図1〜図4)が、六角ナット(16A)を用いても良いし(図9)、球座付きのナット(16B)を用いても良い(図10)。
Claims (4)
- 施工完了後水中に没してしまう作業現場で施工されるロックボルトにおいて、張力支持部材である異形棒鋼と、異形棒鋼の地上側端部と螺合するナットと、受圧板とを有しており、前記異形棒鋼は全体に溶融亜鉛メッキが施されており、地上側先端部から所定範囲にわたって樹脂が被覆されており、該樹脂による被覆層の厚さは100μm〜500μmであり、前記ナットには防錆材が充填されていないことを特徴とするロックボルト。
- 異形棒鋼の全域にわたって樹脂が被覆されており、樹脂被覆層の表面には硅砂が塗されている請求項1のロックボルト。
- 施工後水中に没してしまう作業現場にボーリング孔を削孔する工程と、該ボーリング孔内にセメントミルクを充填する工程と、セメントミルクを充填したボーリング孔内に張力支持部材である異形棒鋼を挿入する工程とを有し、該異形棒鋼は全体に溶融亜鉛メッキが施されており、該異形棒鋼の地上側先端部から所定範囲にわたって樹脂が被覆されており、該樹脂による被覆層の厚さは100μm〜500μmであり、異形棒鋼の地上側端部をナットと螺合する工程とを有しており、ナットには防錆材は充填されていないことを特徴とするロックボルト工法。
- 異形棒鋼の全域にわたって樹脂を被覆し、樹脂被覆層の表面に硅砂を塗す工程とを有する請求項4のロックボルト工法。
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