JP2009029716A - 液体口腔用組成物 - Google Patents

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和彦 加藤
Hajime Nakauchi
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Abstract

【課題】歯垢形成抑制効果に優れ、かつ透明なトラガントガム含有液体口腔用組成物の提供。
【解決手段】次の成分(a)、(b)及び(c):
(a)トラガントガム水可溶性画分
(b)ノニオン系殺菌剤
(c)ノニオン界面活性剤
を含有する透明な液体口腔用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明で歯垢形成抑制効果に優れる液体口腔用組成物に関する。
トラガントガムは、マメ科ゲンゲ属植物であるトラガントの樹液を乾燥、粉砕した多糖体であり、食品や化粧品における増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊料として広く使用されている。特に、歯磨剤等の口腔用組成物において、増粘剤等として汎用的に使用されている。また、特許文献1には、トラガントガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム等の多糖類が、口腔内細菌同士の共凝集を抑制し、歯垢形成抑制剤として有用であることが記載されている。さらに、特許文献2には、トラガントガムとアルギン酸ナトリウムを併用することで、トラガントガムが低濃度下で口腔内細菌吸着抑制効果を有し、優れた歯垢形成抑制効果を有する口腔用組成物が得られることが記載されている。
特開平01-213222号公報 特開2006-188497号公報
しかしながら、トラガントガムを配合した液体口腔用組成物を調製すべく、トラガントガムと種々の口腔用成分とを配合すると、白濁を生じる、透明性が低いなどの問題が生じることが判明した。
従って、本発明の目的は、歯垢形成抑制効果に優れ、かつ透明なトラガントガム含有液体口腔用組成物を提供することにある。
そこで、本発明者は、トラガントガムの白濁を防止すべく種々検討した結果、トラガントガムをそのまま使用するのでなく、まずトラガントガムを水可溶性画分と水不溶性画分に分画し、その水可溶性画分を使用することとした。さらに当該トラガント水可溶性画分に、ノニオン系殺菌剤とノニオン界面活性剤とを組み合せて用いれば、優れた歯垢形成抑制効果を有し、かつ透明性の高い液体口腔用組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、次の成分(a)、(b)及び(c):
(a)トラガントガム水可溶性画分
(b)ノニオン系殺菌剤
(c)ノニオン界面活性剤
を含有する透明な液体口腔用組成物を提供するものである。
本発明の液体口腔用組成物は、トラガントガムによる優れた歯垢形成抑制効果を奏するとともに、透明性が高く安定である。
本発明に用いられる(a)トラガント水可溶性画分とは、トラガントガム0.1質量%水分散液としたときに無色透明になるように分画された画分をいう。当該画分は、例えば、トラガントガム水分散液から遠心分離、濾過、エタノールやアセトン等の有機溶媒沈殿、塩化ナトリウムや酢酸カルシウム等の塩沈殿及びこれらを組み合せた方法を用いて、沈殿物(残渣ともいう。)(水不溶性画分)を分離した上清液(水可溶性画分)として得ることができる。なお、得られた水可溶性画分を上記の方法を繰り返し行うことにより精製を行ってもよい。より詳細には、例えば、0.1質量%程度の濃度に調製したトラガントガム水分散液を遠心分離機にかけ、その沈殿物を除去することにより取得することができる。またさらに上記有機溶媒沈殿や塩沈殿を併せて行ってもよい。尚、遠心分離は、4〜30℃、より好ましくは10〜25℃で、1000〜15000×gで5〜30分間、より好ましくは1500〜5000×gで10〜20分間行えばよい。
(a)トラガントガム水可溶性画分は、歯垢形成抑制効果及び透明性の点から、本発明の液体口腔用組成物中に、0.0005〜0.1質量%、さらに0.001〜0.1質量%、特に0.001〜0.05質量%含有するのが好ましい。当該含有量は、トラガントガム水可溶性画分の乾燥質量基準である。
本発明に用いられる(b)ノニオン系殺菌剤としては、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール、フェノール等が挙げられるが、透明性、殺菌効果及び歯垢形成抑制効果の確保の観点から、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノールが特に好ましい。ノニオン系殺菌剤は、透明性、殺菌効果及び味の点から、本発明の液体口腔用組成物中に、0.001〜0.5質量%、特に0.005〜0.1質量%含有するのが好ましい。
本発明に用いられる(c)ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトステロール及びフィトスタノール、ポリオキシエチレンラノリン及びラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン及び脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル及び脂肪酸エタノールアミドなどが挙げられる。このうち、透明性、安定性及び後味の点から、炭素数14以上の脂肪酸残基、アルキル基又はアルケニル基を有するものが好ましく、さらに炭素数14以上の脂肪酸残基を有するエステル類が好ましく、特に炭素数14〜24の脂肪酸残基を有する脂肪酸エステル類が好ましい。また、透明性の点から、HLBが14以上のもの、特にHLB15〜17のものが好ましい。これらのノニオン界面活性剤は1種又は2種以上を組み合せて用いられる。
ノニオン界面活性剤は、透明性及び安定性の点から、本発明の液体口腔用組成物中に0.01〜3質量%、特に0.1〜1質量%含有するのが好ましい。
本発明の液体口腔用組成物は、歯垢形成抑制効果に優れるとともに、透明性が高い。ここで、本発明において透明であるとは、外観上濁りが生じていないことをいい、具体的には吸収波長550nmの光の透過率が90%以上である場合をいう。ただし、着色はしていてもよい。
本発明の液体口腔用組成物には、前記成分以外に、糖アルコール、多価アルコール、低級アルコール、湿潤剤、粘結剤、増量剤、甘味剤、保存料、pH調整剤、フッ化物、その他の薬効剤、酵素、粘着剤、色素、香料、水等を含有させることができる。また、本発明には、上記以外の界面活性剤、例えばカチオン界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤を、本発明の効果をその損なわない範囲で含むこともできるが、トラガントガムの歯垢形成抑制効果を十分に発揮する観点から、アニオン界面活性剤は0.1質量%以下、特に0.01質量%以下が好ましく、実質的に含まないことがより好ましい。
糖アルコールとしては、エリスリトール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、パラチニット、ラクチトール、マルトトリイトール、イソマルトトリイトール、マルトテトライトール、イソマルトテトライトール、還元水あめ類等が挙げられるが、このうちエリスリトール、キシリトール、パラチニットが好ましい。これらの糖アルコールは、良好な清涼感を得る点から、本発明液体口腔用組成物中に5〜30質量%、特に6〜20質量%含有するのが好ましい。
香料としては、メントール、カルボン、アネトール、オイゲノール、シネオール、チモール、サリチル酸メチル、プレゴン、メントン、ピネン、リモネン、メンチルアセテート等の合成香料の他に、ペパーミント油、スペアミント油、ハッカ油等のミント油;レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ライムなどの柑橘油;ユーカリ、セージ、ローズマリー、タイム、ローレル、バジル、シソ、ベイ、エストラゴン、パセリ、セロリ、コリアンダー等のハーブ油;シナモン、ペッパー、ナツメグ、メース、クローブ、ジンジャー、カルダモン、アニスなどのスパイス油などのような天然精油;アップル、バナナ、メロン、グレープ、ピーチ、ストロベリー、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックカラント、ライチ、スターフルーツ、パッションフルーツ、プラム、パイナップル、マスカットなどのフルーツフレーバーなどを用いることができる。これら香料成分の中でも、口腔内へ清涼感やさわやかさを付与するという点からメントール、カルボン、ペパーミント油、スペアミント油、ハッカ油、サリチル酸メチル、シネオール、リモネン、ピネンが特に好ましい。これらの香料成分は1種又は2種以上を組み合せて用いられる。
多価アルコールとしては、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等が挙げられる。緩衝剤としては、クエン酸及びその塩、リンゴ酸及びその塩、リン酸及びその塩等が挙げられる。甘味剤としては、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、ソウマチン、アスパラチルフェニルアラニルメチルエステル等が挙げられる。その他の薬効剤としてはトラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸等の抗プラスミン剤;アスコルビン酸、トコフェロールエステル等のビタミン類;グリチルリチン塩類、アラントイン類、オウバク、オウゴン、カミツレ、ラタニア、ミルラ等の植物抽出物;デキストラナーゼ、ムタナーゼ、塩化リゾチーム等の酵素;モノフルオロリン酸ナトリウム等のアルカリ金属モノフルオロフォスフェート、フッ化ナトリウム、フッ化第1錫等のフッ化物;塩化ナトリウム、硝酸カリウム、炭酸塩、重炭酸塩、セスキ炭酸塩等の塩類;銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸銅、塩化亜鉛、ゼオライト、水溶性無機リン酸化合物、乳酸アルミニウム等の1種又は2種以上が挙げられる。
本発明の液体口腔用組成物は、液体歯磨、水歯磨、洗口液、マウススプレー、うがい薬等として適用できるが、特に洗口液とするのが好ましい。
(トラガントガム水可溶性画分の調製)
25℃で、トラガントガム(五協産業(株))1gを精製水1Lに添加し、1800×gで10分間遠心分離した。上清画分を水可溶性画分、沈殿物を水不溶性画分とした。これらの画分は、それぞれ凍結乾燥して用いた。乾燥固形分として、不溶性画分:水溶性画分=7:3で得られた。
実施例1〜3、比較例1〜3
表1記載の処方の洗口液を調製した。得られた洗口液1mLを光路長1cmのセルに入れ、吸光光度計(SHIMAZU UV-1600;島津製作所)により吸収波長550nmの光の透過率を測定した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、トラガントガム(未画分)又はトラガント水不溶性画分にノニオン系殺菌剤及びノニオン界面活性剤を配合しても透明な液体口腔用組成物は得られなかった(比較例1及び2)。またトラガント水可溶性画分にカチオン系殺菌剤を配合した場合にも、透明な液体口腔用組成物が得られなかった(比較例3)。これに対し、トラガントガム水可溶性画分に、ノニオン系殺菌剤とノニオン界面活性剤を配合した場合には、透明性の高い液体口腔用組成物が得られた。
試験例(歯垢形成抑制効果)
実施例1’(表1の実施例1において、ノニオン系殺菌剤であるトリクロサン含有量を、比較例3の殺菌剤と同じ0.01%にした)及び比較例3の液体口腔用組成物(洗口液)を用い、歯垢形成抑制効果を試験した。すなわち、実施例1’、比較例3(よく振って使用)及びコントロール(蒸留水)各20mLを用いて試験を行った。被験者3名に1日目にPMTC(プロフェッショナル メカニカル トゥース クリーニング;歯科衛生士による歯石やステイン、歯垢の除去)を行った。その後、評価終了までブラッシングを停止した。評価サンプル(20mL)で就寝前に1分間うがいを行い、2日目に歯垢形成量を測定した。測定にあたっては、歯垢染色剤で歯垢を染色し、歯肉辺縁からの歯垢の高さを読み取った。測定部位は、図1のように歯面を5分割して測定し、5部分の平均をとった。
結果を図2に示す。図2に記載のように、本発明の液体口腔用組成物は、優れた歯垢形成抑制効果を有していた。
歯垢測定部位を示す図である。 歯垢形成抑制効果を示す図である。

Claims (4)

  1. 次の成分(a)、(b)及び(c):
    (a)トラガントガム水可溶性画分
    (b)ノニオン系殺菌剤
    (c)ノニオン界面活性剤
    を含有する透明な液体口腔用組成物。
  2. (b)ノニオン系殺菌剤が、トリクロサン及びイソプロピルメチルフェノールから選ばれるものである請求項1記載の液体口腔用組成物。
  3. (c)ノニオン界面活性剤が、炭素数14以上の脂肪酸残基、アルキル基又はアルケニル基を有するHLB14以上のノニオン界面活性剤である請求項1又は2記載の液体口腔用組成物。
  4. (a)トラガントガム水可溶性画分が、0.1質量%水分散液としたときに無色透明になる画分である請求項1〜3のいずれか1項記載の液体口腔用組成物。
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