以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.装置構成:
A−1.全体構成:
A−2.内部構成:
A−2−1.スキャナ部の内部構成:
A−2−2.プリンタ部の内部構成:
B.画像印刷処理:
B−1.条件設定処理:
B−2.絵作り処理:
B−3.印刷データ生成処理:
B−4.指定情報セットの再利用:
C.UIシート作成処理:
C−1.UIシート全体の作成:
C−2.構成要素の作成:
D.まとめ
E.第1の変形例:
F.第2の変形例:
G.第3の変形例
A.装置構成
A−1.全体構成
図1は、本実施例の印刷装置10の外観形状を示す斜視図である。図示されるように、本実施例の印刷装置10は、スキャナ部100と、プリンタ部200と、スキャナ部100およびプリンタ部200の動作を設定するための操作パネル300などから構成されている。なお、本発明の印刷制御装置の各構成は印刷装置10に含まれており、当該印刷装置10にて本発明の印刷制御方法が具現化される。スキャナ部100は、印刷された画像を読み込んで画像データを生成するスキャナ機能を有しており、プリンタ部200は、画像データを受け取って印刷メディア上に画像を印刷するプリンタ機能を有している。また、スキャナ部100で読み取った画像(原稿画像)をプリンタ部200から出力すれば、コピー機能を実現することも可能である。すなわち、本実施例の印刷装置10は、単独でスキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能を実現可能な、いわゆるスキャナ・プリンタ・コピー複合装置(以下、SPC複合装置という)となっている。
図2は、原稿画像を読み込むために、印刷装置10の上部に設けられた原稿台カバー102を開いた様子を示す説明図である。図示されているように、原稿台カバー102を上に開くと、透明な原稿台ガラス104が設けられており、その内部には、スキャナ機能を実現するための後述する各種機構が搭載されている。原稿画像を読み込む際には、図示されているように原稿台カバー102を開いて原稿台ガラス104の上に原稿画像をセットし、原稿台カバー102を閉じてから操作パネル300上のボタンを操作する。こうすれば、原稿画像を直ちに画像データに変換することが可能である。
また、スキャナ部100は全体が一体のケース内に収納された構成となっており、スキャナ部100とプリンタ部200とは、印刷装置10の背面側でヒンジ機構204(図3参照)によって結合されている。このため、スキャナ部100の手前側を持ち上げることにより、ヒンジの部分でスキャナ部100のみを回転させることが可能となっている。
図3は、スキャナ部100の手前側を持ち上げて回転させた様子を示した斜視図である。図示するように、本実施例の印刷装置10では、スキャナ部100の手前側を持ち上げることで、プリンタ部200の上面を露出させることが可能である。プリンタ部200の内部には、プリンタ機能を実現するための後述する各種機構や、スキャナ部100を含めて印刷装置10全体の動作を制御するための後述する制御回路260、さらには、スキャナ部100やプリンタ部200などに電力を供給するための電源回路(図示は省略)なども設けられている。また、図3に示されているように、プリンタ部200の上面には、開口部202が設けられており、インクカートリッジなどの消耗品の交換や、紙詰まりの処理、その他の軽微な修理などを簡便に行うことが可能となっている。
A−2.内部構成
図4は、本実施例の印刷装置10の内部構成を概念的に示した説明図である。前述したように、印刷装置10にはスキャナ部100とプリンタ部200とが設けられており、スキャナ部100の内部にはスキャナ機能を実現するための各種構成が搭載され、プリンタ部200の内部にはプリンタ機能を実現するための各種構成が搭載されている。以下では、初めにスキャナ部100の内部構成について説明し、次いでプリンタ部200の内部構成について説明する。
A−2−1.スキャナ部の内部構成
スキャナ部100は、原稿画像をセットする透明な原稿台ガラス104と、セットされた原稿画像を押さえておくための原稿台カバー102と、セットされた原稿画像を読み込む読取キャリッジ110と、読取キャリッジ110を読取方向(読取キャリッジ110が移動する方向、すなわち読取キャリッジ110の主走査方向)に移動させる駆動ベルト120と、駆動ベルト120に動力を供給する駆動モータ122と、読取キャリッジ110の動きをガイドするガイド軸106などから構成されている。また、駆動モータ122や読取キャリッジ110の動作は、後述する制御回路260によって制御されている。
制御回路260の制御の下で駆動モータ122を回転させると、駆動ベルト120を介してその動きが読取キャリッジ110に伝達され、その結果、読取キャリッジ110は、ガイド軸106に導かれながら駆動モータ122の回転角度に応じて読取方向(主走査方向)に移動するようになっている。また、駆動ベルト120は、アイドラプーリ124によって絶えず適度に張った状態に調整されており、このため、駆動モータ122を逆回転させれば回転角度に応じた距離だけ読取キャリッジ110を逆方向に移動させることも可能となっている。
読取キャリッジ110の内部には、光源112や、レンズ114、ミラー116、CCDセンサ118などが搭載されている。光源112からの光は原稿台ガラス104に照射され、原稿台ガラス104の上にセットされた原稿画像で反射する。この反射光は、ミラー116によってレンズ114に導かれ、レンズ114によって集光されてCCDセンサ118で検出される。CCDセンサ118は、光の強度を電気信号に変換するフォトダイオードが、読取キャリッジ110の移動方向(主走査方向)と直交する方向に列状に配置されたリニアセンサによって構成されている。このため、読取キャリッジ110を主走査方向に移動させながら、光源112の光を原稿画像に照射し、CCD118によって反射光強度を検出することで、原稿画像に対応する電気信号を得ることができる。
また、光源112は、RGBの3色の発光ダイオードによって構成されており、所定の周期でR色、G色、B色の光を順次、照射することが可能となっており、これに応じてCCD118では、R色、G色、B色の反射光が順次、検出されるようになっている。一般に、画像の赤色の部分はR色の光を反射するが、G色やB色の光はほとんど反射しないから、R色の反射光は画像のR成分を表している。同様に、G色の反射光は画像のG成分を表しており、B色の反射光は画像のB成分を表している。従って、RGB3色の光を所定の周期で切り替えながら原稿画像に照射し、これに同期してCCD118で反射光強度を検出すれば、原稿画像のR成分、G成分、B成分を検出することができ、カラー画像を読み込むことが可能となっている。なお、光源112が照射する光の色を切り替えている間も読取キャリッジ110は移動しているから、RGBの各成分を検出する画像の位置は、厳密には、読取キャリッジ110の移動量に相当する分だけ異なっているが、このずれは、各成分を読み込んだ後に、画像処理によって補正することが可能である。
A−2−2.プリンタ部の内部構成
次に、プリンタ部200の内部構成について説明する。プリンタ部200には、印刷装置10の全体の動作を制御する制御回路260と、印刷メディア上に画像を印刷するための印刷キャリッジ240と、印刷キャリッジ240を主走査方向に移動させる機構と、印刷媒体の紙送りを行うための機構などが搭載されている。
印刷キャリッジ240は、Kインクを収納するインクカートリッジ242と、Cインク、Mインク、Yインクの各種インクを収納するインクカートリッジ243と、底面側に設けられた印字ヘッド241などから構成されており、印字ヘッド241には、インク滴を吐出するインク吐出ヘッドがインク毎に設けられている。印刷キャリッジ240にインクカートリッジ242,243を装着すると、カートリッジ内の各インクは図示しない導入管を通じて、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に供給される。
印刷キャリッジ240を主走査方向に移動させる機構は、印刷キャリッジ240を駆動するためのキャリッジベルト231と、キャリッジベルト231に動力を供給するキャリッジモータ230と、キャリッジベルト231に絶えず適度な張力を付与しておくための張力プーリ232と、印刷キャリッジ240の動きをガイドするキャリッジガイド233と、印刷キャリッジ240の原点位置を検出する原点位置センサ234などから構成されている。後述する制御回路260の制御の下でキャリッジモータ230を回転させると、回転角度に応じた距離だけ印刷キャリッジ240を主走査方向に移動させることが可能である。また、キャリッジモータ230を逆回転させれば、印刷キャリッジ240を逆方向に移動させることも可能となっている。
印刷メディアの紙送りを行うための機構は、印刷メディアを裏面側から支えるプラテン236と、プラテン236を回転させて紙送りを行う紙送りモータ235などから構成されている。後述する制御回路260の制御の下で紙送りモータ235を回転させることで、回転角度に応じた距離だけ印刷メディアを副走査方向に紙送りすることが可能となっている。また、プリンタ部200は複数の用紙トレーを備えており、複数の種類(サイズ)の印刷用紙をセットし、給紙することが可能となっている。例えば、はがき等を給紙するためのカード用トレーと、A4用紙等を給紙するための通常トレーとが備えられており、制御回路260の制御の下で適切な用紙を給紙することが可能となっている。
制御回路260は、CPUを中心として、ROM(本実施形態は書換可能なフラッシュROM)や、RAM、デジタルデータをアナログ信号に変換するD/A変換器、さらには、周辺機器との間でデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェースPIFなどから構成されている。制御回路260は、印刷装置10全体の動作を制御しており、スキャナ部100に搭載された光源112や、駆動モータ122、CCD118とデータをやり取りしながら、これらの動作を制御している。
また、制御回路260は、キャリッジモータ230および紙送りモータ235を駆動して印刷キャリッジ240の主走査および副走査を行いながら、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に駆動信号を供給してインク滴を吐出させる制御も行っている。インク吐出ヘッド244ないし247に供給する駆動信号は、コンピュータ30や、デジタルカメラ20、外部記憶装置32などから画像データを読み込んで、後述する画像処理を行うことによって生成する。もちろん、スキャナ部100で読み込んだ画像データに画像処理を施すことにより、駆動信号を生成することも可能である。こうして制御回路260の制御の下で、印刷キャリッジ240を主走査および副走査(紙送り方向。図4を参照のこと)させながら、インク吐出ヘッド244ないし247からインク滴を吐出して印刷メディア上に各色のインクドットを形成することによって、カラー画像を印刷することが可能となっている。もちろん、制御回路260内で画像処理を行うのではなく、画像処理が施されたデータをコンピュータから受け取って、このデータに従って印刷キャリッジ240の主走査および副走査を行いながらインク吐出ヘッド244ないし247を駆動することも可能である。
また、制御回路260は、操作パネル300ともデータをやり取り可能に接続されており、操作パネル300上に設けられた各種のボタンを操作することにより、スキャナ機能や、プリンタ機能の詳細な動作モードを設定することが可能となっている。さらには、コンピュータ30から、周辺機器インターフェースPIFを介して詳細な動作モードを設定することも可能である。
図5は、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に、インク滴を吐出する複数のノズルNzが形成されている様子を示した説明図である。図示するように、各色のインク吐出ヘッドの底面には、各色のインク滴を吐出する4組のノズル列が形成されており、1のノズル列には、48個のノズルNzがノズルピッチkの間隔を空けて千鳥状に配列されている。制御回路260からは、これらノズルNzのそれぞれに駆動信号が供給され、各ノズルNzは駆動信号に従って、それぞれのインクによるインク滴を吐出するようになっている。
以上に説明したように、印刷装置10のプリンタ部200は、インク吐出ノズルに駆動信号を供給し、駆動信号に従ってインク滴を吐出して印刷メディア上にインクドットを形成することによって画像を印刷している。また、インク吐出ノズルを駆動するための制御データは、画像の印刷に先立って、画像データに所定の画像処理を施すことによって生成している。以下では、画像データに画像処理を施して制御データを生成し、得られた制御データに基づいてインクドットを形成することにより画像を印刷する処理について説明する。
B.画像印刷処理
図6は、プリンタドライバが印刷を実行する処理(画像印刷処理)の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、印刷装置10に搭載された制御回路260が、内蔵したCPUやRAMやフラッシュROMなどの機能を用いて実行する処理である。より具体的には、フラッシュROMに記録されたファームウェアプログラムを読み込み、RAMに展開しつつCPUにて実行することにより、画像印刷処理を実行する。以下、図6に示すフローチャートに従って説明する。図6に示されている様に、画像印刷処理を開始すると、まずはじめに、各種の条件設定を行う処理(ステップS100)を実行する。ここでは、これから印刷を実行するにあたり、ユーザーからどのような印刷条件で印刷を行うかの指定を受け付け、当該指定に応じて後に行う「絵作り処理」(ステップS200)および「印刷データ生成処理」(ステップS300)における各種のパラメータを設定する。かかる条件設定処理の詳細については、B−1.節で詳しく説明する。
図6に示されている様に、画像印刷処理を開始すると、まずはじめに、ユーザーの好みに応じた絵作りを行う「絵作り処理」を実行する(ステップS200)。ここで、「絵作り」とは、画像の出力に際して画像データに対して行われる様々な補正処理や調整処理を意味するものとする。例えば、画像が適切な明るさを有するように補正する明度補正処理や、R、G、Bの各色の割合を調整してより適切な色合いの画像とするホワイトバランス調整処理なども「絵作り」に含まれるものとする。もちろん、こうした一般的な補正処理だけでなく、いわゆる感性に訴えかけるために行われる画像の微妙な調整も、ここで言う「絵作り」に含まれる。
こうした絵作りについて、一般的な印刷装置では、できるだけ多くのユーザーに好まれる画像を印刷するために、いわば万人向けの標準的な絵作りが予め設定されており、その設定に従った絵作りを行って画像を印刷している。しかし、絵作りの好みはユーザーによって多岐に渡るため、ユーザーによっては、より自己の趣向に合致した絵作りで画像を印刷したい場合もある。こうした場合、ユーザーは、PCを起動してフォトレタッチソフトを立ち上げ、画像データに修正を加えた後に画像を印刷するといった煩雑な作業を行わなければならい。また、フォトレタッチソフトを用いる場合でも、絵作りには画像補正や色彩学の高度な知識が要求されるため、一般のユーザーが絵作りを行うことは実際にはそう簡単ではない。さらには、いわゆる感性に訴えかける絵作りとなると、半ば芸術の領域に近く、いかに多機能なフォトレタッチソフトを用いたとしても、所望の絵作りが実現できるわけではない。これに対し、本実施例の「絵作り処理」では、ユーザーの所望の絵作りを簡便に行うことを可能としており、ユーザーは煩雑な作業をすることなく、好みの絵作りの印刷画像を簡便に得ることが可能となっている。かかる絵作り処理の詳細については、B−2.節で詳しく説明する。
次いで、絵作り処理が施された画像データをプリンタ部200が取り扱い可能な印刷データに変換する「印刷データ生成処理」を実行する(ステップS300)。なお、印刷データは、具体的にプリンタ部200に対して印刷を指示するデータであり本発明の印刷指示に相当する。印刷データは、印刷対象の画像データに対して解像度変換と色変換とハーフトーン処理とインターレース処理を順次行うことにより生成される。かかるデータ変換の処理の詳細については、B−3.節で詳しく説明する。
図6に示したように、「印刷データ生成処理」を終了すると、生成された印刷データにしたがって、実際に印刷メディア上にドットを形成する処理(ドット形成処理)を開始する(ステップS500)。すなわち、キャリッジモータ230を駆動して印刷キャリッジ240を主走査させながら、順番を並び替えておいたドットデータをインク吐出ヘッド244ないし247に供給する。その際に、条件設定処理(ステップS100)において設定された印刷メディアが給紙されるように紙送りモータ235を駆動させる。その結果、インク吐出ヘッド244ないし247からは、印刷データにしたがってインク滴が吐出されて、各画素に適切にドットが形成される。
そして、一回の主走査が終了したら、今度は、紙送りモータ235を駆動して印刷メディアを副走査方向に紙送りした後、再びキャリッジモータ230を駆動して印刷キャリッジ240を主走査させつつ、順番を並べ替えておいたドットデータをインク吐出ヘッド244ないし247に供給してドットを形成する。このような操作を繰り返し行うことにより、印刷メディア上には、C,M,Y,Kの各色のドットが画像データの階調値に応じて適切な分布で形成され、その結果として画像が印刷される。
B−1.条件設定処理
図7は、上述した条件設定処理の流れを示している。ここでは、操作パネル300に設けられた印刷ボタンの押下を検出する(ステップS110)。印刷ボタンが押下されると、次に操作パネル300上の画面において『ご希望のUI(User Interface)シートをセットして、スキャンボタンを押してください。』というガイダンス表示を行う(ステップS115)。なお、UIシートが本発明の印刷指示媒体に相当する。ここでスキャンボタンが押下されると、A−2−1.節における説明と同様の手順でスキャナ部100を制御し、UIシートをスキャン(画像入力)し(ステップS120)、当該UIシートの画像入力結果としてのスキャン画像データを取得する(ステップS130)。
図8は、UIシートの一例を示している。同図において、UIシートXは台紙P1上に複数の略矩形状の紙で形成された構成要素P2〜P7をそれぞれ所定の位置に配置することにより用意されている。台紙P1に対して構成要素P2〜P7は貼り付けられているものであってもよいし、単に載置されているだけものであってもよい。ユーザーは選択した台紙P1および構成要素P2〜P7を組み合わせ、原稿台ガラス104の上にセットする。以下、UIシートの構成の詳細、および、UIシートの構成の規則を説明する。
図9は、本実施形態において選択可能な台紙P1を示している。同図において、4種類の台紙P1a〜P1dが用意されており、このなかからユーザーは所望するものを選択することが可能となっている。各台紙P1a〜P1dは、それぞれ以下の特徴を有している。
台紙 サイズ 紙質 バーコード
P1a A4 光沢紙 BC1a
P1b A4 普通紙 BC1b
P1c 2L版 光沢紙 BC1c
P1d 2L版 普通紙 BC1d
以上のような台紙P1a〜P1dのなかからユーザーが印刷用紙として指定したいものに合致するものを選択する。A4の印刷用紙を指定したい場合にはA4の大きさの台紙P1a,P1bのいずれか一方を選択すればよいし、2L版の印刷用紙を指定したい場合には2L版の大きさの台紙P1c,P1dのいずれか一方を選択すればよい。さらに、光沢紙の印刷用紙を指定したい場合には光沢紙の紙質を有する台紙P1a,P1cのいずれか一方を選択すればよいし、普通紙の印刷用紙を指定したい場合には普通紙の紙質を有する台紙P1b,P1dのいずれか一方を選択すればよい。ユーザーが印刷したい印刷用紙のサイズと紙質を決定すれば、いずれかの台紙P1a〜P1dに絞り込まれることとなる。
また、台紙P1a〜P1dそのものが印刷したい印刷用紙のサイズおよび紙質を有しているため、ユーザーが見た目と、手触りによって所望の台紙P1a〜P1dを直感的に選択することができる。台紙P1a〜P1dには、それぞれ異なるバーコードBC1a〜BC1dと、各構成要素P2〜P7を配置するための配置ガイドG2〜G7(破線で図示)が印刷されている。各配置ガイドG2〜G7は、基本的に同一の大きさの矩形状であるが、それぞれ異なる位置に三角形状の切り欠きを有し、固有の形状となっている。ただし、台紙P1a〜P1d間では、配置ガイドG2〜G7は共通する大きさおよび形状となっている。例えば、図に示すように台紙P1a〜P1dの左上隅を基準とした各配置ガイドG2〜G7の位置が印刷用紙のサイズによらず一定となっている。
図10は、本実施形態において選択可能な構成要素P2を示している。同図において、4種類の構成要素P2a〜P2dが用意されており、このなかからユーザーは所望するものを選択することが可能となっている。各構成要素P2a〜P2dは、各台紙P1a〜P1dにおける配置ガイドG2と同一の外形を有する略矩形状の紙に所定の対象指定画像を印刷することにより形成されており、それぞれ印刷された対象指定画像は以下の特徴を有している。
構成要素 対象指定画像
P2a Aさん顔の写真
P2b Bさん顔の写真
P2c Cさん顔の写真
P2d 風景写真(非人物)
以上のような構成要素P2a〜P2dのなかからユーザーが印刷対象の画像データとして指定したいものに合致するものを選択する。例えばBさんの顔が含まれる画像データを印刷したい場合にはBさん顔の写真が対象指定画像として印刷された構成要素P2bを選択すればよい。また、風景の画像データを印刷したい場合には風景写真が対象指定画像として印刷された構成要素P2dを選択すればよい。ここで、選択された構成要素P2a〜P2dは、各台紙P1a〜P1dにおいて構成要素P2a〜P2dと同一の形状に形成された配置ガイドG2に配置される。このときユーザーは、絵合わせを行うようにして配置ガイドG2に構成要素P2a〜P2dを配置することができるため、誤った位置に配置することが防止される。
図11は、本実施形態において選択可能な構成要素P3を示している。同図において、3種類の構成要素P3a〜P3cが用意されており、このなかからユーザーは所望するものを選択することが可能となっている。各構成要素P3a〜P3cは、各台紙P1a〜P1dにおける配置ガイドG3と同一の外形を有する略矩形状の紙に所定の画像を印刷することにより形成されており、それぞれ印刷された画像は以下の特徴を有している。
構成要素 文字 バーコード
P3a なし BC3a
P3b 明るめ補正 BC3b
P3c ハイコントラスト BC3c
以上のような構成要素P3a〜P3cのなかからユーザーが絵作り指定として指定したいものに合致するものを選択する。すなわち、印刷対象の画像データに対して絵作り処理を行わせたくない場合(無補正)には構成要素P3aを選択し、絵作り処理として明るめにする補正を行いたい場合には構成要素P3bを選択し、さらに絵作り処理としてコントラストを強調する補正を行いたい場合には構成要素P3cを選択する。そして、選択した構成要素P3a〜P3cを、各台紙P1a〜P1dにおいて構成要素P3a,P3bと同一の形状に形成された配置ガイドG3に配置する。ここでも、絵合わせを行うようにして配置ガイドG3に構成要素P3a〜P3cを配置することができるため、誤った位置に配置することが防止される。
図12は、本実施形態において使用可能な構成要素P4を示している。同図において、1種類の構成要素P4のみが用意されている。構成要素P4においては、矩形枠状の印刷枚数指定枠が印刷されており、当該印刷枚数指定枠にユーザーが所望する印刷枚数として1から99までの任意の数字(整数)を記入することが可能となっている。構成要素P4は、各台紙P1a〜P1dにおける配置ガイドG4と同一の外形を有する略矩形状の紙に所定の画像を印刷することにより形成されている。以上のような構成要素P4においてユーザーが所望する印刷枚数を記入し、記入した構成要素P4を各台紙P1a〜P1dにおいて構成要素P3a,P3bと同一の形状に形成された配置ガイドG4に配置する。ここでも、絵合わせを行うようにして配置ガイドG4に構成要素P4を配置することができるため、誤った位置に配置することが防止される。
図13は、本実施形態において使用可能な構成要素P5を示している。同図において、4種類の構成要素P5a〜P5dが用意されており、このなかからユーザーは所望するものを選択することが可能となっている。各構成要素P5a〜P5dは、各台紙P1a〜P1dにおける配置ガイドG5と同一の外形を有する略矩形状の紙に所定の画像を印刷することにより形成されており、それぞれ印刷された画像は背景テクスチャとバーコードとから構成されている。
構成要素 背景テクスチャ バーコード
P5a 無地 BC5a
P5b 和紙風 BC5b
P5c 木目風 BC5c
P5d 布風 BC5d
以上のような構成要素P5a〜P5dのなかから背景として指定したいものに合致するものを選択する。ここでは背景とするパターンそのものが背景テクスチャとして表示されているため、ユーザーは容易にどのような背景テクスチャを指定できるかを認識し、容易に所望のものを選択することができる。そして、選択した構成要素P5a〜P5dを、各台紙P1a〜P1dにおいて構成要素P5a〜P5dと同一の形状に形成された配置ガイドG5に配置する。ここでも、絵合わせを行うようにして配置ガイドG5に構成要素P5a〜P5dを配置することができるため、誤った位置に配置することが防止される。
図14は、本実施形態において使用可能な構成要素P6を示している。同図において、4種類の構成要素P6a〜P6dが用意されており、このなかからユーザーは所望するものを選択することが可能となっている。各構成要素P6a〜P6bは、各台紙P1a〜P1dにおける配置ガイドG6と同一の外形を有する略矩形状の紙に所定の画像を印刷することにより形成されており、それぞれ印刷された画像は以下に示すようにレイアウトとバーコードによって構成されている。
構成要素 レイアウト バーコード
P6a 1アップ−フチあり BC6a
P6b 1アップ−フチなし BC6b
P6c 2アップ BC6c
P6d 4アップ BC6d
以上のような構成要素P6a〜P6dのなかから所望のレイアウトが模式的に表示されたものを選択する。各レイアウトにおいては、印刷用紙の外縁を示す矩形枠が表示されるとともに、その内部に配置される画像が網掛けによって表示することにより、レイアウトが模式的に示されている。このようなレイアウトによりユーザーは容易にどのような画像が配置されるかを認識し、容易に所望のレイアウトを示す構成要素P6a〜P6dを選択することができる。そして、選択した構成要素P6a〜P6dを、各台紙P1a〜P1dにおいて構成要素P6a〜P6dと同一の形状に形成された配置ガイドG6に配置する。ここでも、絵合わせを行うようにして配置ガイドG6に構成要素P6a〜P6dを配置することができるため、誤った位置に配置することが防止される。
図15は、本実施形態において選択可能な構成要素P7を示している。同図において、3種類の構成要素P7a〜P7cが用意されており、このなかからユーザーは所望するものを選択することが可能となっている。各構成要素P7a〜P7cは、各台紙P1a〜P1dにおける配置ガイドG7と同一の外形を有する略矩形状の紙に所定の画像を印刷することにより形成されており、それぞれ印刷された画像は以下の特徴を有している。
構成要素 文字 バーコード
P7a 低モード(720×720dpi) BC7a
P7b 中モード(1440×1440dpi) BC7b
P7c 高モード(2880×2880dpi) BC7c
以上のような構成要素P7a,P7bのなかから印刷解像度として指定したいものに合致するものを選択する。すなわち、印刷対象の画像データをどのようなドット密度(精細さ)で印刷したいかにより、構成要素P7a〜P7cのいずれかを選択する。そして、選択された構成要素P7a〜P7cは、各台紙P1a〜P1dにおいて構成要素P7a〜P7cと同一の形状に形成された配置ガイドG7に配置される。ここでも、絵合わせを行うようにして配置ガイドG7に構成要素P7a〜P7cを配置することができるため、誤った位置に配置することが防止される。
以上説明した各構成要素P1〜P7を組み合わせたUIシートをスキャンし(図7のステップS120)、そのスキャン画像データを取得する(ステップS130)。次に、スキャン画像データから構成要素P2a〜P2dに表された構成要素P2a〜P2dに表された対象指定画像を抽出し、当該対象指定画像から人物の顔を検出する。なお、構成要素P2a〜P2dが配置される位置は印刷用紙のサイズによらず用紙の左上端から同じ位置となっているため、スキャン画像データにおける対象指定画像の位置を特定し、抽出することができる。対象指定画像から顔を検出すると、検出した人物の顔を示す画像から複数の特徴量を算出し、当該特徴量で構成される特徴量ベクトルをRAMに記憶する(ステップS140)。ここで、風景画を示す構成要素P2dが選択されていた場合にはいずれの人物も検出されないため、RAMには特徴ベクトルが記憶されない。次に、デジタルカメラ20や外部記憶装置32などに記憶されている複数の画像データを順次取得し、順に顔の検出を行い、検出された顔から得られた特徴量ベクトルとRAMに記憶された特徴ベクトルを比較し、両者が似ていれば当該画像データが構成要素P2a〜P2dに表された対象指定画像にマッチすると判定する(ステップS150)。なお、RAMに特徴ベクトルが記憶されない場合には、検索対象の画像データから顔が検出されないことを持って似ていると判断する。
以上の処理を各画像データについて行うことにより、構成要素P2a〜P2dに表された対象指定画像と同一の人物を含む画像データを検索することができる。例えば、構成要素P2aが選択されていた場合には、Aさんの顔を含む画像データがデジタルカメラ20や外部記憶装置32から検索される。一方、構成要素P2dを選択することにより、いずれの顔も含まない風景画(非人物画)を検索することができる。制御回路260は、検索された画像データの保存パスやファイル名の一覧をRAMに記憶しておく。ここで、いずれの画像データも検索されなかった場合は、『希望の写真はありませんでした。』などという警告メッセージを操作パネル300に表示させて処理を終了させる。なお、本実施形態では、構成要素P2a〜P2dと検索対象の画像データの双方において顔検出を行うようにしたが、各画像データに含まれる顔の特徴量ベクトルについてのデータベースがデジタルカメラ20や外部記憶装置32等に用意しておき、当該データベースを参照して検索を行ってもよい。
ユーザーが選択した構成要素P2a〜P2dにマッチする画像データが検出できると、次にスキャン画像データから構成要素P4の印刷枚数指定枠内に記述された数字を文字認識する(ステップS160)。構成要素P4も配置される位置が印刷用紙のサイズによらず用紙の左上端から同じ位置となっているため、印刷枚数指定枠の文字のみを位置に基づいて抽出することができる。文字認識においても顔検出と同様に印刷枚数指定枠の画像の特徴量を検出し、0〜9までの数字に関連づけられた特徴量と比較し、マッチする数字を認識する。数字が認識できれば、ユーザーが所望する印刷枚数が取得できたこととなる。そして、制御回路260は取得した印刷枚数をRAMに記憶する。
次に、スキャン画像データの各位置からバーコードBC1,BC3,BC5,BC6,BC7の像を抽出し、これらの像を順次デコードする(ステップS170)。ここでも、バーコードBC1,BC3,BC5,BC6,BC7を有する各構成要素P1,P3,P5,P6,P7の位置が特定できるため、スキャン画像データからバーコードBC1,BC3,BC5,BC6,BC7を抽出することができる。バーコードBC1,BC3,BC5,BC6,BC7をデコードすることにより得られる情報は、上述した各指定情報である。すなわち、バーコードBC1から印刷用紙の紙質とサイズを指定する指定情報、および、バーコードBC3から絵作りを指定する指定情報、および、バーコードBC5から背景テクスチャを指定する指定情報、および、バーコードBC6からレイアウトを指定する指定情報、および、バーコードBC7から印刷解像度を指定する指定情報が得られる。そして、制御回路260は取得した各指定情報をRAMに記憶する。以上のようにして、UIシートからすべての指定情報が得られると、RAMに記憶した各指定情報の一群(以下、指定情報セットという。)がユーザーの希望通りに設定できたか否かを問い合わせる確認表示を操作パネル300の画面上に表示させ、希望通りか否かの指定を受け付ける(ステップS180)。
図16(a)はステップS170までに取得された指定情報セットの一例を示しており、図16(b)は当該指定情報セットについて確認を行うための確認表示の一例を示している。確認表示においては、操作パネル300の画面上に読み込んだ指定情報セットが一覧化して表示されており、ユーザーがUIシートを利用して設定した各指定情報を確認することが可能となっている。ここでは、『印刷実行』、『再設定』を選択することが可能となっており、『印刷実行』が選択された場合には現在の指定情報セットを不揮発性メモリであるフラッシュROMにコピーして条件設定処理を終了させる。一方、『再設定』が選択された場合には、UIシートのスキャン(ステップS120)を再び行い、新たな条件が設定できるようにする。むろん、操作パネル300を利用してユーザーが手動で各指定情報を設定するようにしてもよい。
以上説明したUIシートによれば、直感的に印刷したい条件に適合する構成要素を任意に組み合わせることによって、各指定情報を個別に指定することができる。UIシートにガイド部G2〜G7を設けることで、これらに各構成要素P2〜P7を配置するように仕向けられるため、ユーザーがある指定情報を指定し忘れることが防止でき、印刷に必要な一通りの情報を得ることができる。なお、UIシートをスキャンするスキャナ部100が画像入力手段に相当する。スキャン画像データから各指定情報を読み取る制御回路260が指定情報取得手段および指定情報セット取得手段に相当する。以上のようにして指定情報セットが得られると、得られた指定情報セットをRAMに記憶して、図6のメインフローにおける絵作り処理(ステップS200)の処理を実行する。
B−2.絵作り処理
図17は、本実施例の絵作り処理の流れを示したフローチャートである。図示されている様に、絵作り処理では、まず、予めRAMに記憶(ステップS160)しておいた指定情報セットを読み出す(ステップS210)。指定情報セットPR1を読み出したら、指定情報セットにおいて指定された絵作り指定情報を取得する。本実施形態では、構成要素P3a,P3b,P3cのいずれかが選択されており、これらが示す絵作り指定情報(なし/明るめ補正/ハイコントラスト)のいずれかがデコードされる。絵作り指定情報をデコードすると、当該絵作り指定情報に対応するトーンカーブTCをフラッシュROMから読み出す(ステップS220)。そして、読み出したトーンカーブTCを利用して予め検索(ステップS150)しておいた印刷対象の画像データに対する変換を実行する(ステップS230)。
図18は、絵作り処理における変換(ステップS230)の様子を模式的に示している。先に説明した様に、絵作りは、画像データに補正処理や調整処理を施すことによって行われるので、絵作りは、元の画像データから、別の画像データへの画像変換と考えることができる。従って、絵作りに先立って、元の画像データから絵作りを反映させた画像データへの変換規則を指定する必要がある。本実施形態では、上記の変換規則としてトーンカーブTCを指定する。図18(a)は、横軸で表される入力値(R、G、Bの各階調値)と、縦軸で表される出力値(R、G、Bの各階調値)とが対応づけられたトーンカーブTCを示している。
同図において示すように、本実施形態では、画像データのR、G、Bの各階調値を例えばスプライン曲線やガンマ曲線によって一様に上方修正することにより明るめの明度補正を行うトーンカーブTC1と、画像データのR、G、Bの各階調値をS字曲線によって修正することによりコントラストを強くする補正を行うトーンカーブTC2とがプリセットされている。構成要素P3aがUIシートに配置された場合には、そのバーコードBC3aのデコード結果により絵作り指定情報がなしと認識され、いずれのトーンカーブTCも適用しない。構成要素P3bがUIシートに配置された場合には、そのバーコードBC3bのデコード結果により絵作り指定情報が明るめ補正ありと認識され、トーンカーブTC1が適用される。同様に、構成要素P3cがUIシートに配置された場合には、そのバーコードBC3cのデコード結果により絵作り指定情報がハイコントラストありと認識され、トーンカーブTC2が適用される。
また、図18(b)の様に、R、G、Bの各色の階調値(RGB値)で表された画像を、別のRGB値へと変換する変換テーブルCTを設定しておくこともできる。ここで、RGB各色の階調値が0〜255の値を取り得るものとする。また、図18(b)に示すように、直交する3軸にR,G,B各色の階調値を取った色空間を考えると、全てのRGB画像データは、原点を頂点として一辺の長さが255の立方体(色立体)の内部の点に対応付けることができる。これを、見方を変えれば、次のように考えることもできる。すなわち、色立体をRGB各軸に直角に格子状に細分して色空間内に複数の格子点を生成すると、各格子点はRGB画像データを表していると考えることができる。そこで、各格子点(入力値)に、絵作り処理後のR、G、Bの階調値(出力値)の組み合わせを予め記憶しておけば、格子点に記憶されている階調値を読み出すことで、RGB画像データを、絵作りを反映させた画像データ(RGB画像データ)に変換することが可能となる。
例えば、画像データのR成分がRA、G成分がGA、B成分がBAであったとすると、この画像データは、色空間内のA点に対応づけられる(図18(b)参照)。そこで、色立体を格子状に細分する小さな立方体の中から、A点を内包する立方体dVを検出し、この立方体dVの各格子点に記憶されている変換後のRGB各色の階調値を読み出してやる。そして、これら各格子点の階調値から補間演算すればA点での階調値を求めることができる。以上に説明したように、変換テーブルCTとは、絵作り前のRGB各色の階調値の組み合わせで示される各格子点に、絵作り後のRGB各色の階調値の組み合わせを記憶した3次元の数表と考えることができ、変換テーブルCTを参照すれば、絵作りに対応する変換を迅速に行うことが可能となる。
変換テーブルCTを用意するにあたっては、RGB色空間全体において均等に分布する格子点をトーンカーブTC1とトーンカーブTC2によってそれぞれ変換し、その変換前後の値(入出力値)を記述することにより用意することができる。本実施形態では、2通りのトーンカーブTC1,TC2に対応する2つの変換テーブルCTを用意しておく必要がある。本実施形態ではトーンカーブTC1が指定されており、トーンカーブTC1に基づいて作成された変換テーブルCTを参照して画像データを変換する。以上のようにして絵作り後の画像データが得られると、次に「印刷データ生成処理」(ステップS300)を実行する。なお、絵作り指定情報に基づいて画像処理(ステップS230)する制御回路260は、本発明の印刷指示手段の一部を構成する。
B−3.印刷データ生成処理
図19は、制御回路260が行う印刷データ生成処理の流れを示している。同図において、まず、RAMに記憶された指定情報セットから用紙サイズと印刷解像度とレイアウトを指定する指定情報を取得する(ステップS310)。そして、これらの指定情報に基づいて検索された画像データの解像度(画素数)を決定する(ステップS320)。まず、用紙サイズとレイアウトによって一の画像データが印刷用紙上に割り当てられる現実のサイズを特定し、当該現実のサイズに印刷解像度を掛け合わせることにより、画像データが変換されるべき画素数を特定する。画像データが変換されるべき画素数が特定できると、当該画素数に各画像データを変換する(ステップS330)。
次に制御回路260は、RAMに記憶された指定情報セットから背景テクスチャを指定する指定情報を取得する(ステップS350)。そして、当該指定情報に基づいて例えばフラッシュROMに記憶されている背景画像データを取得する(ステップS360)。本実施形態において、背景画像データは、無地のものと、和紙風のものと、木目風のものと、布風のものが用意されており、いずれの構成要素P5a〜P5dがUIシートに配置されているかによって、取得する背景画像データを切り替える。次に、上記印刷解像度と印刷用紙サイズの指定情報に基づいて背景画像データの画素数を変換する。そして、予め画素数を変換しておいた(ステップS330)各画像データを、レイアウトの指定情報に基づいて背景画像データに合成する(ステップS370)。
続いて、印刷装置10の制御回路260は、RAMに記憶された指定情報セットにおいて指定情報として指定されている紙質を取得する(ステップS380)。本実施形態では、UIシートに配置されている構成要素P2a〜P2bがいずれであるかに応じて光沢紙または普通紙が取得される。次に、画像データに対して色変換処理を行う(ステップS390)。ここで色変換処理とは、R,G,Bの各色で表現された画像データを、C,M,Y,K各色の階調値によって表現された画像データに変換する処理である。色変換処理は、色変換テーブル(LUT)と呼ばれる3次元の数表を参照することによって行う。この色変換テーブル(LUT)は上述した図18(b)の変換テーブルCTと同様に直交する3軸にR,G,B各色の階調値を取った色空間の格子点について、変換後の値を対応付けた3次元の数表とされている。
ただし、色変換テーブル(LUT)においては、各格子点に対して、C,M,Y,Kの階調値の組み合わせが対応付けられている点で相違している。この色変換テーブル(LUT)を参照して、変換テーブルCTによる変換と同様の手法で変換を行うことにより、RGB画像データをCMYK画像データに迅速に色変換する(ステップS390)。本実施形態においては、2種類の色変換テーブル(LUT)が用意されており、そのいずれかを使用して色変換を行う。色変換テーブル(LUT)の一つは光沢紙に印刷を行うことを想定してC,M,Y,Kの階調値が規定されたものであり、もう一つは普通紙に印刷を行うことを想定してC,M,Y,Kの階調値が規定されたものである。そして、指定情報として指定されている紙質に応じた色変換テーブル(LUT)を使用して色変換を行うこととしている。
ここにおけるC,M,Y,Kの階調値は、ドット形成処理(ステップS500)にいて印刷用紙上に形成されるCMYKインクドットのインク量に対応していると考えることができる。光沢紙と普通紙は互いにドット形成特性が異なるため、各紙質に応じて専用の色変換テーブル(LUT)を用意しておく必要があるからである。従って、予め取得(ステップS380)した紙質に応じた色変換テーブル(LUT)を選択し、同選択した色変換テーブル(LUT)を参照して色変換(ステップS390)を実行する。
制御回路260は、色変換処理を終了すると、ハーフトーン処理を開始する(ステップS400)。ハーフトーン処理とは、次のような処理である。色変換処理によって得られたCMYK画像データは、C,M,Y,Kの各色について階調値0〜階調値255の範囲で表現された画像データである。これに対してプリンタ部200は、ドットを形成することによって画像を印刷するから、256階調によって表現されたCMYK画像データを、ドットの形成有無によって表現された画像データ(ドットデータ)に変換する処理が必要となる。ハーフトーン処理とは、このようにCMYK各色の画像データをドットデータに変換する処理である。
ハーフトーン処理を行う手法としては、誤差拡散法やディザ法などの種々の手法を適用することができる。誤差拡散法は、ある画素についてドットの形成有無を判断したことでその画素に発生する階調表現の誤差を、周辺の画素に拡散するとともに、周囲から拡散されてきた誤差を解消するように、各画素についてのドット形成の有無を判断していく手法である。また、ディザ法は、ディザマトリックスにランダムに設定されている閾値とCMYK各色の画像データとを画素毎に比較して、画像データの方が大きい画素にはドットを形成すると判断し、逆に閾値の方が大きい画素についてはドットを形成しないと判断することで、各画素についてのドットデータを得る手法である。ハーフトーン手法としては、誤差拡散法またはディザ法の何れの手法を用いることも可能であるが、本実施例の印刷装置10では、ディザ法を用いてハーフトーン処理を行うものとする。
図20は、ディザマトリックスの一部を拡大して例示した説明図である。図示したマトリックスには、縦横それぞれ64画素、合計4096個の画素に、階調値0〜255の範囲から万遍なく選択された閾値がランダムに記憶されている。ここで、閾値の階調値が0〜255の範囲から選択されているのは、本実施例ではCMYK各色の画像データが1バイトデータであり、階調値が0〜255の値を取り得ることに対応するものである。なお、ディザマトリックスの大きさは、図20に例示したように縦横64画素分に限られるものではなく、縦と横の画素数が異なるものも含めて、種々の大きさに設定することが可能である。
図21は、ディザマトリックスを参照しながら、画素毎にドット形成の有無を判断している様子を概念的に示した説明図である。なお、かかる判断は、CMYKの各色について行われるが、以下では説明が煩雑となることを避けるために、CMYK各色の画像データを区別することなく、単に画像データと称するものとする。
ドット形成有無の判断に際しては、まず、判断の対象として着目している画素(着目画素)についての画像データの階調値と、ディザマトリックス中の対応する位置に記憶されている閾値とを比較する。図中に示した細い破線の矢印は、着目画素の画像データを、ディザマトリックス中の対応する位置に記憶されている閾値と比較していることを模式的に表したものである。そして、ディザマトリックスの閾値よりも着目画素の画像データの方が大きい場合には、その画素にはドットを形成するものと判断する。逆に、ディザマトリックスの閾値の方が大きい場合には、その画素にはドットを形成しないものと判断する。図21に示した例では、画像の左上隅にある画素の画像データは「97」であり、ディザマトリックス上でこの画素に対応する位置に記憶されている閾値は「1」である。従って、左上隅の画素については、画像データの方がディザマトリックスの閾値よりも大きいから、この画素にはドットを形成すると判断する。図21中に実線で示した矢印は、この画素にはドットを形成すると判断して、判断結果をメモリに書き込んでいる様子を模式的に表したものである。
一方、この画素の右隣の画素については、画像データは「97」、ディザマトリックスの閾値は「177」であり、閾値の方が大きいので、この画素についてはドットを形成しないものと判断する。このように、画像データとディザマトリックスに設定された閾値とを比較することにより、ドットの形成有無を画素毎に決定することができる。ハーフトーン処理(ステップS400)では、C,M,Y,Kの各色の画像データに対して上述したディザ法を適用することにより、画素毎にドット形成の有無を判断してドットデータを生成する処理を行う。
ハーフトーン処理を行ってCMYK各色についてのドットデータを生成したら、今度は、インターレース処理を開始する(ステップS410)。インターレース処理とは、印字ヘッド241がドットを形成する順序でドットデータを並び替えて、各色のインク吐出ヘッド244ないし247に供給する処理である。すなわち、図5に示したように、インク吐出ヘッド244ないし247に設けられたノズルNzは副走査方向にノズルピッチkの間隔を空けて設けられているから、印刷キャリッジ240を主走査させながらインク滴を吐出すると、副走査方向にノズルピッチkの間隔を空けてドットが形成されてしまう。そこで全画素にドットを形成するためには、印刷キャリッジ240と印刷メディアとの相対位置を副走査方向に移動させて、ノズルピッチkだけ隔たったドット間の画素に新たなドットを形成することが必要となる。このように、実際に画像を印刷する場合には、画像上で上方にある画素から順番にドットを形成しているわけではない。さらに、主走査方向に同じ列にある画素についても、一回の主走査でドットを形成するのではなく、画質上の要請から、複数回の主走査に分けてドットを形成することとして、各回の主走査では飛び飛びの位置の画素にドットを形成することも広く行われている。
このため、実際にドットの形成を開始するに先立って、C,M,Y,Kの各色について得られたドットデータを、インク吐出ヘッド244ないし247がドットを形成する順番に並び替えておく処理が必要となる。このような処理が、インターレースと呼ばれる処理である。インターレース処理を終了すると、インターレース処理によって並べ替えられたドットデータを印刷データ(印刷指示)として生成する。この印刷データにはスキャン画像データから読み取った(ステップS170)印刷用紙の指定も添付されるため、上述したドット形成処理(ステップS400)にてユーザーの意図通りの印刷メディアを給紙させることができる。なお、印刷用紙の指定に対応する印刷用紙が給紙トレーにセットされていない場合には、操作パネル300において警告表示を行うようにしてもよい。以上のように、印刷データ生成処理においては、各画像データに対して、指定情報セットに基づいて画像処理を順次行うことにより、最終的にインターレース処理後の印刷データを生成する。この意味で、印刷データ生成処理を行う制御回路260は、本発明の印刷指示手段の一部を構成する。
本実施形態においては、ユーザーが所望の構成要素P1〜P7を組み合わせたUIシートを選択してスキャンを実行すれば、当該選択したUIシートの台紙P1と同一のサイズおよび紙質の印刷用紙に画像データを印刷させることができる。また、他の構成要素P〜P7を選択するに当たっても、サンプル画像として表示された絵作りの印象や、印刷対象指定画像に表示された人物や、背景テクスチャの模様や、レイアウトの模式図等によって直感的な判断をすることができ、初心者でも一通りの印刷条件セットの設定を容易に行うことができる。
ところで、複数の構成要素P1〜P7を組み合わせることにより、一通りの印刷条件セットが指定されることとなるが、ユーザーがすべての組み合わせについて記憶しておくことは困難である。そのため、印刷を実行させる際に設定した指定情報セットをフラッシュROMに記憶して(ステップS190)おき、当該記憶した指定情報セットを読み出して使用できるようにするのが望ましい。例えば、UIシートに基づく指定情報セットによって実際に印刷を実行させ(ステップS300)、その結果が良好であった場合には、フラッシュROMに記憶して(ステップS190)おいた指定情報セットを次回の印刷において再利用できるようにしてもよい。
図22は、フラッシュROMに記憶しておいた指定情報セットを再利用する場合の条件設定処理(図7のフローに対応。)の流れを示している。ここでは、操作パネル300に設けられた印刷ボタンの押下を検出する(ステップS110)と、フラッシュROM内に過去の指定情報セットが記憶されているかを判断し(ステップS112)、記憶されている場合には、当該指定情報セットを読み出し、ステップS180にて確認表示(図16と同様のもの)を操作パネル300の画面上に表示させる。そして、当該確認表示において『印刷実行』が選択された場合には、フラッシュROMに記憶されている指定情報セットによって、「絵作り処理」(ステップS200)および「印刷データ生成処理」(ステップS300)を順次実行する。一方、フラッシュROM内に過去の指定情報セットが記憶されていない場合、または、確認表示において『再設定』が選択された場合には、『ご希望のUIシートをセットして、スキャンボタンを押してください。』というガイダンス表示を行う(ステップS115)。以降は、図7において説明した処理と同様にUIシートをスキャンし、そのスキャン画像データから順次各種指定情報を読み取る処理を実行する。
C.UIシート作成処理
C−1.UIシート全体作成
図23は、UIシート作成処理(ステップS500)の流れを示している。同図において、制御回路260が操作パネル300においてUIシート作成ボタンの押下を検知されるまで待機する(ステップS505)。UIシート作成ボタンが押下されると、操作パネル300において『過去に印刷を行った指定情報についてのUIシートを作成する/新たにスキャンをしてUIシートを作成する』のいずれかを選択する問い合わせを行う(ステップS510)。前者の選択が受け付けられた場合には、フラッシュROMに記憶されている指定情報セットを取得する(ステップS515)。一方、後者が選択された場合には、スキャナ部100を制御し、UIシートをスキャンし、スキャン画像データを取得する(ステップS520)。そして、上述した条件設定処理(ステップS120〜S190)と同様にスキャン画像データから指定情報セットを読み取る処理を実行する(ステップS525)。以上のようにして指定情報セットを取得する(ステップS515,S525)と、取得した指定情報セットを操作パネル300の画面上に一覧化した確認表示を表示する(ステップS530)。
図24は、確認表示の一例を示している。同図に示すように、確認表示は図16に示したものとほぼ同様とされているが、『UIシートを通常モードで印刷実行』と『UIシートを簡略モードで印刷実行』と『再設定』を選択することが可能となっている。ここで、『再設定』が選択された場合には、新たな指定情報セットが設定できるようにステップS510に戻る。一方、『再設定』が選択されなかった場合には、ノズルチェックパターンの印刷を行う(ステップS535)。なお、ノズルチェックパターンを印刷するための印刷データは予めフラッシュROM等に記憶されており、当該印刷データをインク吐出ヘッド244等に出力することによりノズルチェックパターンを印刷が行われる。ノズルチェックパターンを印刷が完了すると、ノズルチェックパターンが正常に印刷できたか否かを問い合わせ、その指定を操作パネル300によって受け付ける(ステップS540)。
ここで、異常であると受け付けられた(ステップS545)場合にはノズルクリーニングを実行する。正常であると受け付けられた場合、または、ノズルクリーニングが完了した場合には、上述したステップS530の確認表示において『UIシートを通常モードで印刷実行』と『UIシートを簡略モードで印刷実行』のいずれが受け付けられたかを判定する(ステップS550)。ここで、『UIシートを通常モードで印刷実行』が選択された場合には、制御部260は確認表示にて表示された指定情報セットを、特定指定情報セットとして認識し、当該特定指定情報セットが読み取り可能なUIシートを印刷させるための印刷データを生成し(ステップS555)、印刷を実行させる(ステップS565)。ここでは、図8に示すUIシートとほぼ同様な印刷結果となる印刷データが生成される。図8は各構成要素P1〜P7を組み合わせたものであるが、今回は一枚の印刷用紙において図8と同等のUIシートが印刷されることとなる。
すなわち、次回以降はユーザーが各構成要素P1〜P7を組み合わせることなく、気に入った特定指定情報セットを一枚のUIシートによって読み取らせることが可能となる。ここで印刷されたUIシートにおいても、直感的に印刷条件が認識できる絵作りのサンプル画像やレイアウトの模式図や背景テクスチャが各バーコードとともに印刷されるため、以降においても直感的に印刷条件を設定することができる。また、配置ガイドG2〜G7も印刷されるため、一部の条件を変更したい場合には、新たに印刷したUIシートの配置ガイドG2〜G7に所望の構成要素P2〜P7を部分的に配置すれば、一部の条件変更も行うことができる。なお、ステップS510で『新たにスキャンをしてUIシートを作成しますか?』を選択した場合には、実質的にスキャン画像データをコピーすることとなるため、ステップS565においてスキャンしたスキャン画像データをそのまま印刷するようにしてもよい。
また、印刷対象の画像データを指定するための構成要素P2の部分については、対象指定画像とともに当該対象指定画像から抽出した特徴量ベクトルをエンコードしたバーコードを印刷するようにしてもよい。このようなバーコードを印刷しておくことにより、対象指定画像に対する顔検出をバーコードのデコードに代替することができるため、画像データの検索を高速化させることができる。また、ステップS515においてフラッシュROMに記憶されている指定情報セットを取得する場合には、対象指定画像の画像データが得ることができないため、フラッシュROMに対象指定情報として記憶されている特徴量ベクトルまたは当該特徴量ベクトルによって基づいて検索された画像データの一覧をエンコードしたバーコードのみが構成要素P2の部分に印刷される。一方、ステップS530の確認表示において『UIシートを簡略モードで印刷実行』が選択された場合には、制御部260は確認表示にて表示された指定情報セットを特定指定情報セットと認識し、当該特定指定情報セットが読み取り可能なUIシートを印刷させるための印刷データを生成し(ステップS560)、印刷を実行させる(ステップS565)。
図25は、簡略モードのUIシートを示している。同図において、UIシートにおいて一つのバーコードと、特定指定情報セットを示す文字とが印刷されている。『UIシートを簡略モードで印刷実行』が選択された場合には、特定指定情報セットの内容のすべてを単一のバーコードにエンコードするとともに、文字を印刷させるための印刷データを生成する。このようにすることにより、同様の特定指定情報セットが読み取り可能なUIシートをコンパクトに形成することができる。従って、記載された文字から印刷結果が予測できる上級のユーザーが、複数の気に入った印刷条件を管理する場合に好適である。
以上のようにして印刷されたUIシートを条件設定処理におけるステップS120においてスキャンすることにより、ユーザーが気に入った複数の印刷条件の指定情報で構成される特定指定情報セットをまとめて設定することができる。複数の指定情報の組み合わせをまとめて設定することができるため、指定情報の良好な組み合わせを容易に管理することができる。例えば、印刷対象の画像データに対応して好適な絵作り手法を対応づけて管理することができる。本実施形態では、対象指定情報としての人物写真(構成要素P2a〜P2c)に対して、明るめの補正を行う絵作り指定情報(構成要素P3b)を組み合わせることができ、人物写真を印刷する場合には明るめの絵作りがなされるように対応づけることができる。
また、気に入った指定情報セットを印刷用紙に記録しておくことができるため、フラッシュROMの記憶容量を圧迫することもない。さらに、印刷したUIシートを他のユーザーに渡すこともでき、お奨めの印刷条件を簡単に他のユーザーに教示することができる。なお、ユーザーのお気に入りの指定情報セットは、ある程度固定されるが、当該指定情報セットで印刷させたい印刷対象は変動しやすいと考えられる。従って、以上のUIシート作成処理において、印刷対象に関する指定情報についての処理を省いてもよい。例えば、印刷対象に関する指定情報は無視し、通常モードのUIシートにて印刷対象を指定するための構成要素P2の部分に配置ガイドG2のみ印刷させてもよい。配置ガイドG2が印刷されていれば、当該UIシートに所望の構成要素P2を付け加えて印刷を実行させることができる。また、UIシートを印刷するにあたってノズルチェックを行うようにしたため、UIシートのバーコードの読み取りミスを防止することができる。なお、以上のUIシート作成処理を実行する制御回路260が本発明の印刷指示媒体作成手段に相当する。
C−2.構成要素の作成
以上においてはUIシート全体を新たに印刷する処理を説明したが、新たな構成要素をユーザーが作成する処理について以下説明する。以上の実施形態では、構成要素P2に表示された対象指定画像から検出した顔に基づいて印刷対象とする画像データを検索するが、デジタルカメラ20等によって撮影される顔がどのような特徴を有するかは不明であり、例えば印刷装置10のメーカーが構成要素P2を用意しておくことはできない。そのため、ユーザーが自己の有する画像データに基づいて、構成要素P2を作成しておく必要がある。以下、そのための構成要素作成処理(ステップS600)について説明する。
図26は構成要素作成処理の流れを示している。構成要素作成処理においては、まず操作パネル300によって制御回路260がユーザーから画像データの指定を受け付ける(ステップS610)。このとき、ユーザーが指定しようとする画像データの内容が閲覧できるように操作パネル300の画面上にサムネイルを表示することが望ましい。ユーザーが今後検索したい人物が含まれる画像データを選択し、作成を実行させる操作を操作パネル300にて行う。すると、制御回路260は選択された画像データを図10の構成要素P2における対象指定画像のサイズにサイズ変換する(ステップ620)とともに、当該画像データが対象指定画像として埋め込まれた印刷データを生成する(ステップ630)。そして、当該生成した印刷データについての印刷を実行させる(ステップS640)。
これにより、所望の人物が検索可能な構成要素P2を使用することができる。例えば、C−1.節で説明した処理によって過去に作成したお気に入りの条件のUIシートの構成要素P2の相当する部分に、新たに作成した新たな人物の構成要素P2を配置することにより、新たな人物の写真について一括してお気に入りの条件を適用して印刷を実行させることができる。なお、以上においては印刷対象を指定するための構成要素を作成する処理を例示したが、例えば絵作りや印刷用紙サイズ等の他の指定情報についての構成要素を作成するようにしてもよい。
D.まとめ
以上、本実施例の印刷装置について説明したが、本発明は上記すべての実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することができる。以上においては説明の簡略化のため具体的に7個の構成要素P1〜P7からなる指定情報セットを例示したが、UIシートによって指定できる指定情報はこれらに限られるものではない。すなわち、印刷に際して指定すべき条件は他にも多く存在し、これらの条件をUIシートによって指定できるようにしてもよい。例えば、印刷に使用するインクセットの指定や、印刷キャリッジ240の主走査方式(単方向/双方向)や、排紙/給紙方式等をUIシートによって指定させることもできる。これらの指定情報を含む指定情報セットをバーコードにエンコードしてUIシートに印刷しておけば、これらの指定情報にしたがった印刷を実行させることができる。
また、以上においては説明の簡略化のため代表的な指定情報を例示したが、実際の印刷装置においてはより多くの条件が指定可能であり、より多くの種類の条件がUIシート(構成要素)によって指定できることが望ましい。例えば、用紙サイズとして、A4/2L版のみならず、A3/B4/B5/レターサイズ/ハガキ/L版/ロール等が指定できるようにすることができる。同様に、印刷メディアの種類として、光沢紙/普通紙のみならず、マット紙/CDやDVDのディスクレーベル面/シール等が指定できるようにすることができる。さらに、絵作り指定情報として、シャープネス補正/アンシャープ補正/ノイズ補正/エッジ強調補正/カラーバランス補正/色調補正/赤目補正等が指定できるようにすることができる。これらの絵作り指定情報は、各補正実行の有無のみならず各補正の程度が指定できるものであってもよいし、単独のみならず複数の補正の有無や程度を組み合わせたものを指定するようにしてもよい。例えば、複数の補正の有無や程度を組み合わせたものをプリセットしておくことにより、ある画家の作風に類似する絵作りがなされるようにしてもよい。
E.第1の変形例
印刷メディアの指定情報について、UIシートの物理的特徴を直接計測することにより、読み取ることもできる。例えば、ステップS120で取得したスキャン画像データにおいてUIシートの端部を検出し、当該端部間の距離を計測することにより、UIシートの用紙サイズを計測することができる。スキャン画像データの解像度と上記端部間の画素数を乗算することにより、UIシートの大きさを算出することができる。さらに、スキャナ部100における原稿台ガラス104の付近に光源および光学センサ(国際公開2005/0160048号のパンフレット参照。)を備えさせ、UIシートの正反射光および拡散反射光からなる反射特性を検出するようにしてもよい。この反射特性によれば、UIシートの厚みや光沢や表面粗さや色等の物理的特徴を計測することができ、これらの特徴に基づいて紙質の異なる印刷用紙の種類を読み取ることができる。なお、台紙の大きさを直接計測せずバーコードで印刷用紙のサイズを認識する場合、必ずしも印刷用紙として指定される印刷用紙のサイズと、台紙のサイズを同一としないようにすることもできる。サイズの小さい印刷用紙においてすべての構成要素を組み合わせるためのスペースが十分に確保できない場合も考えられるからである。
F.第2の変形例
以上においては、顔検索により印刷対象の画像データを検索するものを例示したが、他の手法によって印刷対象を検索するようにしてもよい。画像データを電子ファイルとして管理する以上、各画像データには固有のファイル名が付されていると考えることができ、当該ファイル名によって検索を行うようにしてもよい。例えば、年賀状のように印刷対象がファイル名等によってはっきりしているものについてはファイル名によって印刷対象を検索するのが望ましいといえる。また、画像データのファイルフォーマットによっては、ヘッダ等に種々の関連情報を記憶させておくこともできるため、これらの情報に基づいて検索を行うこともできる。
図27は本変形例にかかる構成要素作成処理の流れを示している。同図において、本変形例にかかる構成要素作成処理においては、まず操作パネル300によって制御回路260がユーザーから検索方式の指定を受け付ける(ステップS1610)。ここでは、顔検索と更新日時(撮影日時)検索とファイル名検索を検索方式として選択することができ、これらの単独または組み合わせを例えばチャックボックスへのチェック等によって選択することが可能となっている。まず、顔検索が選択された場合と判定された(ステップS1620)場合には、検索した顔が含まれる画像データの選択を操作パネル300にて受け付ける(ステップS1630)。
ここでの処理は、上述した実施形態の構成要素作成処理(ステップS610)と同様である。次に、更新日時検索が選択された場合と判定された(ステップS1640)場合には、操作パネル300にて更新日時の検索範囲の指定を受け付ける(ステップS1650)。ここでは、検索させる更新日時の開始と終了を指定することができ、例えばある日時から現在に至るまでの期間を検索範囲として指定することができる。さらに、ファイル名検索が選択された場合と判定された(ステップS1660)場合には、印刷させたいファイル名や保存パスの選択を操作パネル300にて受け付ける(ステップS1670)。例えば、操作パネル300の画面にてファイルの一覧をツリー表示し、ファイルを選択することによって、選択したファイル名と保存パスを取得するようにしてもよい。以上のように印刷対象を指定する条件が受け付けられると、制御回路260は構成要素P2を印刷するための印刷データを生成し(ステップS1680)、印刷を実行させる(ステップS1690)。
図28は、本変形例にて印刷される構成要素P2の例を示している。図28(a)は、検索方式の指定(ステップS1610)において顔検索のみが選択された場合に印刷される構成要素P2を示しており、図10の構成要素P2と同様に対象指定画像のみを有する構成要素P2が示されている。図28(b)においては、検索方式の指定(ステップS1610)において顔検索と更新日時検索とファイル名検索が選択された場合に印刷される構成要素P2を示しており、図10の構成要素P2と異なり対象指定画像に並列して2個のバーコードが並べられている。そのうち中央に配置されたバーコードは更新日時の検索範囲を指定する情報がエンコードされたものであり、右端に配置されたバーコードは検索対象のファイル名と保存パスを指定する情報がエンコードされたものである。本変形例においては、複数の検索方式を単独または組み合わせて選択することが可能であり、その選択に応じた構成要素P2が作成される。なお、各バーコードがどのような検索条件を表しているかを容易に把握できるように、検索する更新日時の範囲やファイル名を文字で表示しておくことが望ましい。
図29は、本変形例にかかる条件設定処理の流れを示している。基本的には、上述した実施形態の条件設定処理(図7)と同様であるため、異なる部分のみ図示している。上述した構成要素P2が配置されたUIシートをスキャンしたスキャン画像データを取得する(ステップS1130)と、制御回路260は当該スキャン画像データから対象指定画像を検出する(ステップS1132)。対象指定画像が抽出された場合には、当該対象指定画像に含まれる顔の特徴ベクトルと類似する特徴ベクトルを有する画像データをデジタルカメラ20や外部記憶装置32から検索する(ステップS1134)。そして、検索された画像データを次の検索範囲として設定する(ステップS1136)。一方、対象指定画像が抽出されない場合には、ステップS1136が実行されないため、次の検索範囲は狭められることなくデジタルカメラ20や外部記憶装置32の全範囲のままとされる。
次に、上記スキャン画像データから構成要素P2の中央に配置されたバーコードを検出する(ステップS1138)。構成要素P2の中央にてバーコードが検出された場合には、当該バーコードのデコードを行い、更新日時の検索範囲を復元する(ステップ1140)。そして、当該検索範囲に合致する画像データをデジタルカメラ20や外部記憶装置32から検索し(ステップS1142)、検索された画像データを次の検索範囲として設定する(ステップS1144)。一方、構成要素P2の中央にてバーコードが検出されない場合には、ステップS1144が実行されないため、次の検索範囲はデジタルカメラ20や外部記憶装置32の全範囲のままか、ステップS1136にて設定された範囲とされる。次に、上記スキャン画像データから構成要素P2の右端に配置されたバーコードを検出する(ステップS1146)。構成要素P2の右端にてバーコードが検出された場合には、当該バーコードのデコードを行い、検索対象のファイル名と保存パスを復元する(ステップ1148)。そして、当該検索範囲に合致する画像データをデジタルカメラ20や外部記憶装置32から検索し(ステップS1150)、検索された画像データを印刷対象の画像データであるとする(ステップS1152)。
以上のように徐々に検索範囲を狭めることにより、顔検索と更新日時検索とファイル名検索の各検索条件でアンド検索を行うことができる。構成要素P2の作成における検索方式の選択によっていずれかの検索方式を省くことにより、必要な検索方式のみで画像データを検索させることができる。このように、印刷対象の複数の検索方式をUIシートの構成要素P2によって選択的に行わせることにより、ユーザーの希望に即した印刷対象を印刷させることができる。
G.第3の変形例
図30は、別の変形例にかかるUIシートを示している。同図においては、図8とほぼ同様のUIシートが示されているが、背景テクスチャを指定するための構成要素P5に関して図8のものと相違している。すなわち、本変形例の構成要素P5においてはバーコードが印刷されておらず、テクスチャのみが表示されている。この構成要素P5は、配置ガイドG5に合った外形を有していればよく、例えばユーザーが気に入ったテクスチャ模様が付された包装紙や布等を自分で配置ガイドG5に合うように切り取って作成することができる。この場合、UIシートをスキャンしてスキャン画像データを取得する(ステップS120)と、制御回路260はスキャン画像データにおける構成要素P5に対応する部分をスキャン画像データから切り出す。
図31は、本変形例において制御回路260が実行する処理を模式的に示している。同図において、スキャン画像データから構成要素P5に対応した略矩形状の部分が切り出されている。もともとテクスチャを示す構成要素P5をスキャンして切り出しているため、当該切り出した画像データは構成要素P5と同様のテクスチャを示すこととなる。そして、印刷データ生成処理(図19)の背景画像データと印刷対象の画像データとを合成する(ステップS370)のに先だって、当該切り出した画像データを複数並べて配置することにより、指定された印刷解像度と印刷用紙サイズに適合したサイズの背景画像データを生成する。このようにすることにより、背景テクスチャを示す背景画像データを印刷装置10が記憶していなくても、背景画像データを作成することができる。また、構成要素P5よりも大きい紙や布を切り取ることにより、気に入ったテクスチャを有する構成要素P5を極めて容易に作成することができる。
10…印刷装置、100…スキャナ部、200…プリンタ部、240…印刷キャリッジ、241…印字ヘッド、242…インクカートリッジ、243…インクカートリッジ、260…制御回路、300…操作パネル、