JP2009026918A - リアクトル - Google Patents

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正樹 田米
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Abstract

【課題】高周波大電流用リアクトルを小型化することを目的とする。
【解決手段】鉄線を巻回したコア201−aと、銅板を積層したコイル202−aとを備えている。コア201−aは表面を有機または無機材料で絶縁され、巻回後にワニスや樹脂等によって固着され、リアクトルの磁気回路を構成している。すなわち、従来のコアを新たな構造に置き換えたものであり、特に丸鉄線を材料に用いている。203は電力を供給するための給電部である。以上の構成により、コアの渦電流とコイルの表皮効果を低減し、小さな体積でコアとコイルが構成可能となるので、小型のリアクトルを作ることが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は高周波大電力電源回路に適したリアクトルに関するものである。
近年、炭化珪素(SiC)等の高速スイッチング素子の検討が進んでいるが、この様なSiC等を用いた高速スイッチング素子においては、期待される効果の一つとして、電源回路等の小型化が挙げられる。SiC等を用いた高速スイッチング素子は、使用されるインダクタンス成分(L成分)は、周波数を高くすることにより比例的に小さくする事ができるが、このためには、高周波で渦電流が流れにくく、かつ表皮効果でコイルの実質的な抵抗が増大しにくいL成分を必要とする。
従来の高周波電源回路用のリアクトルとしては、鉄心にダストコアを使用しているものがあった(例えば、特許文献1参照)。
また、巻線は大電流を流すために銅の平角線を使用しているものがあった(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−50918号公報(第19頁、図2) 特開平10−172852号公報(第4頁、図5、図6)
しかしながら、上述した特許文献1では、ダストコアを使用することで、渦電流が流れにくく高周波向きであるものの、ダストコアは樹脂等の接合剤を用いる必要があり、鉄の体積比率が低下するため、所定の磁束を通そうとすると断面積が大きくなるという課題を有していた。
また、上述した特許文献2では平角銅線を使用することで、大電流を流す事ができるものの、電流が高周波になるに従い、表皮効果で実行的な抵抗が増大するので、これを補うためには導線の断面積を増やす必要があり、やはり大型化に繋がるという課題を有していた。
本発明は、このような従来の課題を解決するもので、高周波で大電流を流すことのできる小型のリアクトルを提供することを目的とする。
本発明のリアクトルは、コイルと磁気回路より構成され、前記磁気回路は鉄線を巻回したことを特徴とする。
磁気回路は純鉄線から構成されていることが好ましい。
磁気回路は軸方向に異方性を持つ材料から構成されていることが好ましい。
磁気回路は直径1mm以下の鉄線で構成されていることが好ましい。
磁気回路は薄手方向厚み0.5mm以下の平線で構成されていることが好ましい。
コイルは積層された導体から構成されていることが好ましい。
コイルは平板を折り曲げてループ状にして積層された導体から構成されていることが好ましい。
コイルは薄手方向厚みが概ね√(2ρ/ωμ)以下の平線で構成されていることが好ましい。但し、ρはコイルの電気抵抗、ωはスイッチング周波数、μはコイルの透磁率である。
コイルは細線を束ねた材料から構成されていることが好ましい。
コイルは直径が概ね√(2ρ/ωμ)以下の細線で構成されていることが好ましい。但し、ρはコイルの電気抵抗、ωはスイッチング周波数、μはコイルの透磁率である。
コイルは平角線を束ねた材料から構成されていることが好ましい。
コイルは薄手方向厚みが概ね√(2ρ/ωμ)以下の平角線で構成されていることが好ましい。但し、ρはコイルの電気抵抗、ωはスイッチング周波数、μはコイルの透磁率である。
磁気回路を構成する鉄線の表面には絶縁物を付着することが好ましい。
磁気回路を構成する鉄線は表面に絶縁物が付着されて、全体をワニスまたは樹脂で固化されていることが好ましい。
磁気回路を構成する鉄線は表面に絶縁物と自己融着物を層状に付着していることが好ましい。
コイルを構成する細線は表面に絶縁物を付着していることが好ましい。
コイルを構成する細線は表面に絶縁物を付着し、全体をワニスまたは樹脂で固化していることが好ましい。
コイルを構成する細線は表面に絶縁物と自己融着物を層状に付着していることが好ましい。
磁気回路の絶縁層はt/10以下であることが好ましい。但し、tは鉄線の直径または薄い方の厚みである。
本発明は、上述した構成によって、磁束は確保しつつ高周波における渦電流の遮断を行い、また、表皮効果による実質上の抵抗増加を防止することができる。
本発明のリアクトルによれば、鉄心を大きく増大することなくに流れる渦電流を軽減し、さらにコイル部の表皮効果による抵抗増加も低減し、小型低損失を実現し、大電流高周波コンバータやインバータの小型化に寄与することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1(a)は、本発明の実施の形態1におけるリアクトルの上面図である。本実施形態のリアクトルは、コイルと磁気回路より構成され、磁気回路は鉄線を巻回した構成となっている。
図1(a)におけるコア201−aは鉄線を巻回した構造となっており、コア部の201−aのX1−X1´の断面を図1(b)に示す。コア201−aは表面を有機または無機材料で絶縁され、巻回後にワニスや樹脂等によって固着され、リアクトルの磁気回路を構成している。すなわち、特許文献1に示されているような従来のリアクトルのコアを新たな構造に置き換えたものであり、特に丸鉄線を材料に用いている。鉄線の直径は1mm以下で構成する。202−aは銅板を積層したコイルであり、203は磁気回路に電力を供給するための給電部である。図1(c)はコイル202−aの一部を示す。例えばコイルの一部を切断したとき、コイル部は図1(c)で示すように、平角形状をしている。通常大電流リアクトルではこのように平角コイルを使用することが多い。図1(a)の203は外部回路との接続端子であり、202aから引き出された2本線は、上記平角コイルの端部であり、203にカシメ、半田、レーザ様着等によって接続固定されている。
この磁気回路の材料としては、純鉄、アモルファス、軸方向に透磁率の高い方向性材料、珪素含鉄、パーマロイ等の高透磁率材料、ニッケル、など目的に応じて各種材料の選択が可能であるが、2つ以上の材料を任意の比率で組み合わせて使用し、例えばアモルファス線と鉄線を組み合わせて巻回し、低磁束領域と高磁束領域両方に対応したリアクトルを作例することもできる。
またこの鉄線の固着に関して、予め自己融着性の樹脂等を表面に塗布して置き、鉄線の巻回後加熱等によりこの融着層を溶融固化すれば、ワニス等を用いずに鉄心部を固化することもできる。
かかる構成によれば、コア部構成を鉄線とすることにより、図1(b)において紙面の上方向から下方向に掛けて通過する、主磁束に対して発生する渦電流を、この鉄線による分割で低減することができ、さらにダストコアに比べて鉄が高密度となるため、リアクトルの小型化を達成することができる。さらに、この絶縁層の厚さを鉄線の直径または薄手方向の厚さの1/10以下に設定すれば、鉄の磁気回路全体に対する占有率を90%以上に設定する事ができるので、珪素鋼板だけで作成したコアに比べ総磁束量で90%以上を確保し、なおかつ高周波特性に優れる磁気回路が実現できる。
なお、本実施の形態において、丸鉄線による構成としたが、平角鉄線としても良い。
以上の構成によれば、リアクトルの発生する磁束は前記鉄線の巻き方向に沿って流れるが、渦電流はこの磁束に直交する面に流れようとする。この渦電流の規模は一続きの導体の断面積に比例するので、上記構成によって従来の積層鋼板に比べ断面積を減じることができ、鉄損の少ないリアクトルが実現できる。具体的には、この平角線の薄手方向の厚さは、通常用いられる珪素鋼板の厚さtの0.5以下にすれば、平角線の断面積はこの珪素鋼板より十分小さくすることができるので、平角線に発生する渦電流よりも低い値とすることができる。
(実施の形態2)
図2(a)は、本発明の実施の形態2におけるリアクトルの上面図である。図2(a)におけるコア201−bは鉄線を巻回した構造となっており、コア部の201−bのX2−X2´の断面を図2(b)に示す。なお、図2において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。コイル202−bは、コイルの1ターンに当たる部分をさらに分割し、平板を積層して構成されている。コイル202−bの1ターンの形状を図2(c)に示す。図2(c)はコイル1ターンが相互に絶縁された薄板で構成されていることを示している。
図2において、コイル202−bの1ターン当たりの薄板間は、有機または無機絶縁材によって絶縁されている。
このコイル202−bの構成は、次の通りとなっている。図3(a)に示すような平板204において、一部折り曲げ部205で概ね45度の折り目角度にて曲げ、曲げた結果が90度の角度になるように折り曲げる。順次、同様にして、図3(b)に示すように、平板204の一部に206、207、208の部分で折り曲げて、平板204を環状に構成する。また、別の方法として、図3(c)に示すように、波形平板209を打ち抜き等によって作成し、折り曲げ部210、211にて平板209を順次折り曲げて、波形平板209が環状になるように形成する。また、別の方法として、図3(d)に示すように、平板の折り曲げ部213、214で順次平板212を折り曲げ、平板212が環状になるように形成することもできる。また、丸線をコイル形状に形成し、プレス等によって押しつぶして平板コイルを形成することもできる。
かかる構成によれば、コイル部構成を薄板の積層とすることにより、コイル部に発生する表皮効果を、この導線の分割で低減する事ができ、コアの分割と相まってさらにリアクトルの小型化を達成することができる。
また、ρをコイルの電気抵抗、ωをスイッチング周波数、μをコイルの透磁率、とした時、平板の厚みを概ね√(2ρ/ωμ)以下に設定すれば、いわゆる電流の表皮効果による、高周波時のコイル抵抗を減ずることができる。
また、コイルを細線を束ねた物で構成することも可能であり、この時、上述と同様に細線の直径を概ね√(2ρ/ωμ)以下に設定すれば同様の効果を期待できる。
なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様に鉄心は丸鉄線でも構成として良い。また、ダストコアによる鉄心を持つリアクトルにも本発明のコイルを適用することができる。また、チョークコイルやモータ等の磁気回路や巻線にも本発明のコイルや鉄心を適用することができる。
本発明のリアクトルは、小型で高周波大電流を流し得るという特徴を有し、自動車用電源用リアクトル等として有用である。また、自動車用および産業用高速インバータ等の用途にも応用でき、今後、SiCやGaN等を使用したスイッチング素子の高速半導体の実現が期待されているが、これらを用いて機器の小型化を達成する場合にも有用なコンバータが提供できる。
(a)本発明の実施の形態1におけるリアクトルの上面図(b)コア部のX1−X1´における断面図(c)コイル202−aの一部を示した図 (a)本発明の実施の形態2におけるリアクトルの上面図(b)コア部のX2−X2´における断面図(c)コイル202−bの一部を示した図 (a)平板によるコイルにおいて、折り曲げを行う前を示す図(b)同図(a)において、折り曲げを行なった図(c)平板によるコイルの他の構成例を示す図(d)平板によるコイルの他の構成例を示す図
符号の説明
201−a,201−b コア(鉄心)
202−a,202−b コイル
203 コイル部への給電部
204,209,212 平板
205〜208,210,211,213,214 平板の折り曲げ部

Claims (19)

  1. コイルと磁気回路より構成され、前記磁気回路は鉄線を巻回した事を特徴とするリアクトル。
  2. 磁気回路は純鉄線から構成されている事を特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
  3. 磁気回路は軸方向に異方性を持つ材料から構成されている事を特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
  4. 磁気回路は直径1mm以下の鉄線で構成されている事を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のリアクトル。
  5. 磁気回路は薄手方向厚み0.5mm以下の平線で構成されている事を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のリアクトル。
  6. コイルは積層された導体から構成されている事を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のリアクトル。
  7. コイルは平板を折り曲げてループ状にして積層された導体から構成されている事を特色とする請求項1から6のいずれかに記載のリアクトル。
  8. コイルは薄手方向厚みが概ね√(2ρ/ωμ)以下の平線で構成されている事を特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のリアクトル。
    但し、
    ρ:コイルの電気抵抗、ω:スイッチング周波数、μ:コイルの透磁率
  9. コイルは細線を束ねた材料から構成されている事を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のリアクトル。
  10. コイルは直径が概ね√(2ρ/ωμ)以下の細線で構成されている事を特徴とする請求項9に記載のリアクトル。
    但し、
    ρ:コイルの電気抵抗、ω:スイッチング周波数、μ:コイルの透磁率
  11. コイルは平角線を束ねた材料から構成されている事を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のリアクトル。
  12. コイルは薄手方向厚みが概ね√(2ρ/ωμ)以下の平角線で構成されている事を特徴とする請求項11に記載のリアクトル。
    但し、
    ρ:コイルの電気抵抗、ω:スイッチング周波数、μ:コイルの透磁率
  13. 磁気回路を構成する鉄線の表面に絶縁物を付着したことを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のリアクトル。
  14. 磁気回路を構成する鉄線は表面に絶縁物が付着されて、全体をワニスまたは樹脂で固化されていることを特徴とする請求項13に記載のリアクトル。
  15. 磁気回路を構成する鉄線は表面に絶縁物と自己融着物を層状に付着していることを特徴とする請求項13に記載のリアクトル。
  16. コイルを構成する細線は表面に絶縁物を付着していることを特徴とする請求項1から15に記載のリアクトル。
  17. コイルを構成する細線は表面に絶縁物を付着し、全体をワニスまたは樹脂で固化していることを特徴とする請求項16に記載のリアクトル。
  18. コイルを構成する細線は表面に絶縁物と自己融着物を層状に付着していることを特徴とする請求項16に記載のリアクトル。
  19. 磁気回路の絶縁層はt/10以下であることを特徴とする請求項13から18のいずれかに記載のリアクトル。
    但し、
    t:鉄線の直径または薄い方の厚み
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