JP2009026844A - 光源装置、照明装置、モニタ装置及びプロジェクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】高い効率でレーザ光を射出可能な光源装置、その光源装置を用いる照明装置、モニタ装置及びプロジェクタを提供すること。
【解決手段】光を射出する光源部である半導体素子11と、光源部からの光を共振させる外部共振器15と、を有し、外部共振器15は、露光面S2へ入射させた第1光束、及び第1光束と所定の角度をなす第2光束を用いた露光によって生じた干渉縞が記録され、かつ、光源部からの光が入射する入射面S1における中心位置Cを、光源部からの光束の中心から露光面S2へ向かう方向とは反対の方向へシフトさせて配置される。
【選択図】図1
【解決手段】光を射出する光源部である半導体素子11と、光源部からの光を共振させる外部共振器15と、を有し、外部共振器15は、露光面S2へ入射させた第1光束、及び第1光束と所定の角度をなす第2光束を用いた露光によって生じた干渉縞が記録され、かつ、光源部からの光が入射する入射面S1における中心位置Cを、光源部からの光束の中心から露光面S2へ向かう方向とは反対の方向へシフトさせて配置される。
【選択図】図1
Description
本発明は、光源装置、照明装置、モニタ装置及びプロジェクタ、特に、外部共振器を用いる光源装置の技術に関する。
近年、プロジェクタの光源装置としてレーザ光源を用いる技術が提案されている。レーザ光源は、高出力化及び多色化に伴い、プロジェクタの光源として開発されている。プロジェクタの光源として従来用いられているUHPランプと比較すると、レーザ光源は、高い色再現性、瞬時点灯が可能、長寿命である等の利点がある。レーザ光源には、光を共振させる共振器構造が用いられる。共振器構造を有する光源装置の技術は、例えば、特許文献1に提案されている。共振器構造を構成する外部共振器としては、微細パターンが形成された波長選択性ミラーを用いることができる。波長選択性ミラーの微細パターンは、2つの光束により生じた干渉縞を記録することで得られる。かかる二光束干渉露光を行うための干渉露光装置については、例えば特許文献2に提案されている。二光束干渉露光により干渉縞を形成する技術は、例えば、特許文献3に提案されている。
記録材料の露光面へ入射した光束は、記録材料内を透過するに従って記録材料に吸収される。このため、光の強度は、露光面から記録材料の厚み方向へ進むに従って低下することとなる。光の強度が不均一となることで、記録材料の厚み方向について均一な幅を持つパターンを形成することが困難となる(例えば、D.Sawaki, A.Jun, Seiko Epson Corp. “Deep-UV laser-based nanopatterning with holographic techniques” SPIE Photonics WEST, LASE 2007, Lasers and Applications in Science and Technology, USA, 6459-14, Session 4, 20-25 January 2007. Fig.11 参照)。パターンが所望の幅とは異なる幅をなす部分では、所定の反射率が得られず、レーザ発振の効率が低下してしまう。このように、従来の技術によると、レーザ光を射出する効率が低下する場合があるため問題である。本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、高い効率でレーザ光を射出可能な光源装置、その光源装置を用いる照明装置、モニタ装置及びプロジェクタを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光源装置は、光を射出する光源部と、光源部からの光を共振させる外部共振器と、を有し、外部共振器は、光源部からの光が入射する入射面における中心位置を、光源部からの光束の中心から特定の方向へシフトさせて配置されることを特徴とする。
外部共振器は、入射面における中心位置をシフトさせることで、光源部からの光束を入射させる位置を適宜設定できる。外部共振器は、光源部からの光束を入射させる位置を適宜設定可能とすることで、所望の幅でパターンが形成されている部分へ光束を入射させるように配置できる。所望の幅でパターンが形成されている部分へ光束を入射させることで、高い反射率を得られる。これにより、高い効率でレーザ光を射出可能な光源装置を得られる。
また、本発明の好ましい態様としては、外部共振器は、露光面へ入射させた第1光束、及び第1光束と所定の角度をなす第2光束を用いた露光によって生じた干渉縞が記録され、かつ、光源部からの光束の中心から露光面へ向かう方向とは反対の方向へ中心位置をシフトさせて配置されることが望ましい。通常、パターンが所望の幅となるのは、露光面に近い部分である。これにより、所望の幅でパターンが形成されている部分へ、光源部からの光束を入射させることができる。
また、本発明の好ましい態様としては、光源部は、入射面に略平行な第1の方向へ並列された複数の光束を外部共振器へ入射させ、入射面に略平行かつ第1の方向に略直交する方向を第2の方向とすると、外部共振器は、複数の光束の中心から第2の方向へ中心位置をシフトさせて配置されることが望ましい。これにより、所望の幅でパターンが形成されている部分へ、光源部からの複数の光束を入射させることができる。
また、本発明の好ましい態様としては、外部共振器が配置された基台を有し、外部共振器は、光源部からの光束の中心から基台へ向かう方向へ中心位置をシフトさせて配置されることが望ましい。外部共振器は、例えば、接着部材を用いて基台に配置される。外部共振器のうち中心位置から基台とは反対側へシフトした部分へ光束を入射させることで、接着部材が光束の妨げとなる事態を少なくできる。これにより、外部共振器を容易に設置できる。
また、本発明の好ましい態様としては、外部共振器は、基台に設けられた段差部に配置されることが望ましい。これにより、光源部からの光束の中心から基台へ向かう方向へ中心位置をシフトさせて外部共振器を配置できる。また、外部共振器は、段差部に当接させることで、安定した設置が容易にできる。
さらに、本発明に係る照明装置は、上記の光源装置を有し、光源装置からの光を用いて被照射物を照明することを特徴とする。上記の光源装置を用いることで、高い効率でレーザ光を射出できる。これにより、高い効率で光を供給可能な照明装置を得られる。
さらに、本発明に係るモニタ装置は、上記の照明装置と、照明装置により照明された被写体を撮像する撮像部と、を有することを特徴とする。上記の照明装置を用いることで、高い効率で光を供給できる。これにより、高い効率で供給された光を用いて明るい像をモニタすることが可能なモニタ装置を得られる。
さらに、本発明に係るプロジェクタは、上記の光源装置を有し、光源装置からの光を用いて画像を表示することを特徴とする。上記の光源装置を用いることで、高い効率でレーザ光を射出できる。これにより、高い効率で供給された光を用いて明るい画像を表示可能なプロジェクタを得られる。
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る光源装置10の概略構成を示す。光源装置10は、半導体素子11、光学プリズム12、第二高調波発生(Second−Harmonic Generation;SHG)素子14、及び外部共振器15を有する半導体レーザである。光学プリズム12、SHG素子14、及び外部共振器15は、図中Z軸方向へ並列している。光源装置10は、Z軸方向へ光を射出する。X軸は、Z軸に垂直な軸である。Y軸は、Z軸及びX軸に垂直な軸である。
半導体素子11は、基台16に設けられた凹部18に固定されている。半導体素子11は、Y軸方向へ第1波長の基本波光を射出する光源部であって、例えば、面発光型の半導体素子である。第1波長は、例えば1064nmである。光学プリズム12は、基台16のうち凹部18の上に配置されている。光学プリズム12は、図示するYZ面において直角三角形をなしている。光学プリズム12は、かかる直角三角形を二等分する2つの三角プリズムを貼り合わせて構成されている。2つの三角プリズムの間には、ダイクロイック膜13が挟持されている。ダイクロイック膜13は、第1波長の光を透過させ、第1波長とは異なる第2波長の光を反射する。
SHG素子14は、基台16上に配置されている。SHG素子14は、半導体素子11からの第1波長の光を第2波長の光へ変換する波長変換素子である。第2波長は、第1波長の半分の波長であって、例えば532nmである。SHG素子14は、直方体形状をなしている。SHG素子14としては、例えば、非線形光学結晶を用いることができる。非線形光学結晶としては、例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)の分極反転結晶(Periodically Poled Lithium Niobate;PPLN)を用いることができる。SHG素子14は、基本波光の第1波長に対応するピッチの分極反転構造を有する。SHG素子14を用いることで、容易に入手可能な汎用の光源を用いて、所望の波長かつ十分な光量のレーザ光を供給することが可能となる。
外部共振器15は、基台16に設けられた段差部19に配置されている。外部共振器15は、半導体素子11との間において、半導体素子11からの光を共振させる。外部共振器15は、第1波長の光を選択的に反射し、第1波長とは異なる波長(第2波長を含む)の光を透過させる。外部共振器15としては、例えば、VHG(Volume Holographic Grating)を用いることができる。VHGは、LiNbO3、BGO等のフォトリフラクティブ結晶、ポリマー等を用いて形成できる(例えば、Ondax, Inc. “Volume Holographic Grating (VHG)” インターネット<URL: http://www.ondaxinc.com/PDFs/whitepaper-VHG.pdf> 参照)。外部共振器15は、例えば、一辺が5mmの立方体形状をなしている。立方体形状の外部共振器15は、板状に形成された材料を切り分けることで得られる。外部共振器15は、切り分け前の材料の厚みや、材料から切り出すサイズを適宜変更することで、所望の大きさとすることができる。
基台16は、半導体素子11、光学プリズム12、SHG素子14、外部共振器15を支持する。基台16は、板状部材に凹部18及び段差部19を施したものである。凹部18は、基台16の上面の一部に形成されている。段差部19は、板状部材の外縁の一部をXY面及びXZ面で切断することで形成できる。外部共振器15は、Y軸方向について、段差部19の段差に相当する分、SHG素子14より長い形状をなしている。外部共振器15は、SHG素子14からの光が入射する入射面S1の中心位置Cを、外部共振器15へ入射する光線から基台16へ向かう方向(図中下方向)へシフトさせて配置されている。入射面S1は、外部共振器15へ入射する光線に略直交する。入射面S1は、Z軸方向へ進行する光線に略直交するXY面である。なお、図中の一点鎖線は、中心位置Cを通過する外部共振器15の中心線を表している。
光学プリズム12、SHG素子14、外部共振器15は、いずれも接着部材17により基台16に固定されている。外部共振器15は、段差部19を構成するXY面及びXZ面によって位置決めされる。外部共振器15は、段差部19に当接させることにより、安定した設置が容易にできる。SHG素子14、光学プリズム12は、接着部材17で固定することにより正確に位置決めできる。外部共振器15へ入射する光線から基台16へ向かう方向へ中心位置Cをシフトさせて外部共振器15を配置することで、接着部材17が光束の妨げとなる事態を低減できる。これにより、外部共振器15を容易に設置できる。
光学プリズム12、SHG素子14、外部共振器15は、表面に反射防止膜(ARコート)を施すことで、界面での反射による光の損失を低減できる。光学プリズム12及びSHG素子14、SHG素子14及び外部共振器15を近接させて配置する場合に、接着部材17は、界面同士が接触することによるARコートの磨耗を低減する役割も果たす。なお、半導体素子11、光学プリズム12、SHG素子14、外部共振器15のうち隣接するもの同士は、接着部材17及びARコートを介在させず互いに密着させて配置することとしても良い。
半導体素子11からの基本波光は、光学プリズム12へ入射する。光学プリズム12へ入射した光は、光学プリズム12の界面で反射し、光路が折り曲げられた後、ダイクロイック膜13へ入射する。ダイクロイック膜13へ入射した基本波光は、ダイクロイック膜13を透過し、光学プリズム12から射出する。光学プリズム12からの光は、SHG素子14へ入射する。
光学プリズム12から光を入射させることによりSHG素子14で生じた第2波長の高調波光は、外部共振器15を透過する。外部共振器15を透過した高調波光は、光源装置10外へ向けて射出される。光学プリズム12側からSHG素子14を透過した基本波光は、外部共振器15で反射する。外部共振器15で反射した光は、SHG素子14へ入射する。
外部共振器15から光を入射させることによりSHG素子14で生じた高調波光は、光学プリズム12内のダイクロイック膜13で反射し、光路が折り曲げられる。ダイクロイック膜13で反射した光は、光学プリズム12の界面での反射によりさらに光路が折り曲げられ、光学プリズム12から射出する。光学プリズム12から射出した光は、Z軸方向へ進行し、SHG素子14の近傍及び外部共振器15の近傍を通過する。SHG素子14の近傍及び外部共振器15の近傍を通過した光は、外部共振器15を透過した光と略平行に進行し、光源装置10外へ向けて射出される。
外部共振器15側からSHG素子14を透過した基本波光は、光学プリズム12内のダイクロイック膜13を透過する。ダイクロイック膜13を透過した光は、光学プリズム12の界面で反射し、半導体素子11の方向へ進行する。光学プリズム12から半導体素子11へ入射した光は、半導体素子11に設けられたミラー層(不図示)で反射する。半導体素子11のミラー層、及び外部共振器15により反射された光は、半導体素子11から新たに射出される光と共振して増幅される。光学プリズム12を用いることで、外部共振器15側からSHG素子14へ光を入射させることにより生じた高調波光を光源装置10外へ進行させ、かつSHG素子14を透過した基本波光を半導体素子11の方向へ進行させることができる。これにより、波長変換効率を向上させることができる。
図2は、外部共振器15に形成されたパターン20を模式的に表したものである。図3は、記録材料22への露光によるパターン20の形成について説明するものである。図3に示すように、パターン20は、第1光束L1及び第2光束L2を用いた二光束干渉露光によって生じた干渉縞が記録されたものである。パターン20の部分は、パターン20以外の部分とは異なる屈折率を有する。第1光束L1及び第2光束L2は、記録材料22の露光面S2へ入射する。露光面S2は、記録材料22のうち干渉露光装置の光源(不図示)側の面である。第1光束L1及び第2光束L2は、所定の角度をなすように露光面S2へ入射する。干渉縞は、高屈折率部分と低屈折率部分とが周期的に配列された周期構造として記録される。外部共振器15は、かかる干渉縞とブラッグ条件が適合する光のみを、回折により選択的に反射させる。
パターン20のピッチは、基本波光の波長や屈折率に応じて決定できる。パターン20のピッチは、第1光束L1及び第2光束L2の角度に応じて調整できる。例えば、パターン20の幅d2は、パターン20同士の間隔d1より小さくなるように設定される。パターン20の形成には、例えば、上記特許文献2に提案されている干渉露光装置を用いることができる。パターン20は、例えば、上記特許文献3にて説明されている微細パターンと同様である。外部共振器15は、露光後の記録材料22を適宜切断することにより得られる。
露光面S2へ入射した第1光束L1及び第2光束L2は、記録材料22内を透過するに従って記録材料22に吸収される。第1光束L1及び第2光束L2の強度は、露光面S2から記録材料22の厚み方向へ進むに従って低下する。図3に示す第2領域AR2は、適正な強度の第1光束L1及び第2光束L2により、略一定の幅d2でパターン20が形成された領域である。第2領域AR2は、中心位置Cより露光面S2側の位置を中心として形成される。
第1領域AR1は、第2領域AR2に対して露光面S2側の領域である。第1領域AR1は、第1光束L1及び第2光束L2の減衰が殆どないために過反応が生じた領域であって、幅d2以上の幅でパターン20が形成されている。第3領域AR3は、第2領域AR2に対して露光面S2とは反対側の領域である。第3領域AR3は、第1光束L1及び第2光束L2の減衰が著しいために反応不足が生じた領域であって、幅d2以下の幅でパターン20が形成されている。なお、第3領域AR3は、第1光束L1及び第2光束L2の強度が不十分であるためにパターン20が形成されなかった領域も含む。
図1に戻って、外部共振器15は、基台16とは反対側に露光面S2を向けて設置されている。外部共振器15は、外部共振器15へ入射する光線から露光面S2へ向かう方向とは反対の方向へ中心位置Cをシフトさせて配置されている。かかる特定の方向へ中心位置Cをシフトさせる構成により、光線は、外部共振器15の第2領域AR2(図3参照)へ入射する。
図4は、外部共振器15における位置、及び反射率の関係を表したものである。外部共振器15における位置は、Y軸方向についての位置であって、露光面S2の位置を基準として表している。所望の幅でパターン20が形成されている第2領域AR2では、90%以上の高い反射率を示す。第1領域AR1及び第3領域AR3では、第2領域AR2から離れるに従い反射率が低下する。
外部共振器15は、中心位置Cをシフトさせることで、半導体素子11からの光線を入射させる位置を適宜設定できる。所望の幅でパターン20が形成されている第2領域AR2へ光束を入射させるように外部共振器15を配置することで、高い反射率を得られる。これにより、高い効率でレーザ光を射出できるという効果を奏する。外部共振器15は、基台16側に露光面S2を向けて設置することとしても良い。この場合、外部共振器15は、外部共振器15へ入射する光線から基台16とは反対側へ向かう方向(図1中上方向)へ中心位置Cをシフトさせて配置できる。
光源装置10は、光学プリズム12を省略しても良い。この場合、光源装置10は、半導体素子11、SHG素子14、及び外部共振器15をZ軸方向へ並列させる構成にできる。外部共振器15は、基本波光を選択的に反射させる波長特性を持つものであれば良く、VHGを用いる場合に限られない。外部共振器15としては、例えば、ダイクロイックミラーを用いても良い。半導体素子11及びSHG素子14の間の光路中には、必要に応じて、偏光選択用フィルタ、波長選択用フィルタ等の光学素子を設けても良い。
図5は、本発明の実施例2に係る光源装置30の概略構成を示す。光源装置30は、半導体アレイ素子31、SHG素子14、及び外部共振器33を有するアレイレーザである。半導体アレイ素子31、SHG素子14、及び外部共振器33は、図中Z軸方向に並列している。光源装置30は、Z軸方向へ光を射出する。基台32は、Y軸及びZ軸に沿うL字型の部材に段差部19を施したものである。半導体アレイ素子31は、基台32のXY面及びXZ面に固定されている。半導体アレイ素子31は、Z軸方向へ基本波光を射出させる。SHG素子14及び外部共振器33は、接着部材17によって互いに位置決めされている。外部共振器33は、Z軸方向に比べてY軸方向へ長い直方体形状をなしている以外は、上記実施例1の外部共振器15(図1参照)と同様の構造をなしている。
図6は、半導体アレイ素子31の斜視概略構成を示す。半導体アレイ素子31は、X軸方向へ並列された4つの発光部34を有する。半導体アレイ素子31は、入射面S1に略平行な第1の方向であるX軸方向へ並列された4つの光束を外部共振器15へ入射させる。なお、半導体アレイ素子31は、複数の発光部34を有する構成であれば良く、4つの発光部34を有する構成に限られない。各発光部34は、サーマルレンズ効果により、若干収束ぎみの基本波光を射出する。半導体アレイ素子31の活性層(不図示)は、電流供給、及びレーザ光の照射により局所的に温度が上昇する。サーマルレンズ効果は、局所的な温度上昇からレーザ結晶に屈折率分布が生じる現象である。
図5に戻って、SHG素子14を透過した光は、外部共振器33の位置でビームウェストを形成する。ビームウェストの位置に外部共振器33を設けることで、外部共振器33に対して略垂直に光を入射させることができる。また、波長変換素子は、通常、波長変換素子内を透過する光のエネルギー密度に略比例して、波長変換効率が向上することが知られている。ビームウェストに近い位置にSHG素子14を配置することで、波長変換効率を向上させることができる。
外部共振器33で反射した基本波光は、外部共振器33へ入射したときと略同じ光路を逆に辿り、半導体アレイ素子31の方向へ進行する。よって、半導体アレイ素子31及び外部共振器33間で往復させる基本波光の拡散による損失を低減できる。外部共振器33を透過した高調波光は、外部共振器33から若干拡散しながら、光源装置30外へ向けて射出される。なお、図中の二点鎖線は、複数の光束の中心を表している。
図7は、半導体アレイ素子31及び外部共振器33の位置関係について説明するものである。外部共振器33は、Y軸方向について、発光部34の位置から中心位置Cをシフトさせて配置されている。Y軸方向は、入射面S1に略平行、かつ第1の方向であるX軸方向に略直交する方向である。複数の光束の中心は、発光部34の位置に対応している。外部共振器33は、複数の光束の中心からY軸方向へ中心位置Cをシフトさせて配置されている。
本実施例においても、外部共振器33は、外部共振器33へ入射する複数の光束の中心から露光面S2へ向かう方向とは反対の方向へ中心位置Cをシフトさせて配置されている。これにより、本実施例においても、高い効率でレーザ光を射出できる。光源装置30は、実施例1の光源装置10(図1参照)と同様に、光学プリズム12を用いても良い。
半導体アレイ素子の構成は、適宜変更しても良い。例えば、図8に示す半導体アレイ素子35のように、X軸方向及びY軸方向について複数の発光部34を配置することとしても良い。半導体アレイ素子35は、X軸方向へ4つ、Y軸方向へ2つのアレイ状に配置された発光部34を有する。複数の光束の中心は、Y軸方向へ並列させた2つの発光部34の中間位置となる。外部共振器33は、かかる複数の光束の中心からY軸方向へ中心位置Cをシフトさせて配置されている。
図9に示す半導体アレイ素子38は、三角形の頂点をなすように配置された3つの発光部34を有する。このうち2つの発光部34は、X軸方向へ並列している。複数の光束の中心は、3つの発光部34が配置された部分の、Y軸方向についての中間位置となる。図10に示すように、外部共振器33は、かかる複数の光束の中心からY軸方向へ中間位置Cをシフトさせて配置されている。なお、半導体アレイ素子に配置される発光部34の位置及び個数は、本実施例で説明するものに限られず、適宜変更しても良い。上記各実施例の光源装置は、光源部として半導体素子を用いる他、半導体レーザ励起固体(Diode Pumped Solid State;DPSS)レーザや、固体レーザ、液体レーザ、ガスレーザ等を用いる構成としても良い。
図11は、本発明の実施例3に係るモニタ装置40の概略構成を示す。モニタ装置40は、装置本体41と、光伝送部42とを有する。装置本体41は、上記実施例1の光源装置10(図1参照)を備える。上記実施例1と重複する説明は省略する。光伝送部42は、2つのライトガイド44、45を有する。光伝送部42のうち被写体(不図示)側の端部には、拡散板46及び結像レンズ47が設けられている。第1ライトガイド44は、光源装置10からの光を被写体へ伝送する。拡散板46は、第1ライトガイド44の射出側に設けられている。第1ライトガイド44内を伝播した光は、拡散板46を透過することにより、被写体側にて拡散する。光源装置10から拡散板46までの光路中の各部は、被写体を照明する照明装置を構成する。
第2ライトガイド45は、被写体からの光をカメラ43へ伝送する。結像レンズ47は、第2ライトガイド45の入射側に設けられている。結像レンズ47は、被写体からの光を第2ライトガイド45の入射面へ集光させる。被写体からの光は、結像レンズ47により第2ライトガイド45へ入射した後、第2ライトガイド45内を伝播してカメラ43へ入射する。
第1ライトガイド44、第2ライトガイド45としては、多数の光ファイバを束ねたものを用いることができる。光ファイバを用いることで、レーザ光を遠方へ伝送させることができる。カメラ43は、装置本体41内に設けられている。カメラ43は、光源装置10からの光により照明された被写体を撮像する撮像部である。第2ライトガイド45から入射した光をカメラ43へ入射させることで、カメラ43による被写体の撮像ができる。上記実施例1の光源装置10を用いることにより、高い効率で光を供給することができる。これにより、高い効率で供給された光を用いて明るい像をモニタできるという効果を奏する。なお、モニタ装置40は、上記各実施例のいずれの光源装置を適用しても良い。
図12は、本発明の実施例4に係るプロジェクタ50の概略構成を示す。プロジェクタ50は、スクリーン59に光を供給し、スクリーン59で反射する光を観察することで画像を鑑賞するフロント投写型のプロジェクタである。プロジェクタ50は、赤色(R)光用光源装置51R、緑色(G)光用光源装置51G、青色(B)光用光源装置51Bを有する。各色光用光源装置51R、51G、51Bは、いずれも上記実施例1の光源装置10(図1参照)と同様の構成を有する。上記実施例1と重複する説明は省略する。プロジェクタ50は、各色光用光源装置51R、51G、51Bからの光を用いて画像を表示する。
R光用光源装置51Rは、R光を供給する光源装置である。拡散素子52は、照明領域の整形、拡大、照明領域におけるレーザ光の光量分布の均一化を行う。拡散素子52としては、例えば、回折光学素子である計算機合成ホログラム(Computer Generated Hologram;CGH)を用いることができる。フィールドレンズ53は、R光用光源装置51Rからのレーザ光を平行化させ、R光用空間光変調装置54Rへ入射させる。R光用光源装置51R、拡散素子52、及びフィールドレンズ53は、R光用空間光変調装置54Rを照明する照明装置を構成する。R光用空間光変調装置54Rは、照明装置からのR光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。R光用空間光変調装置54Rで変調されたR光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム55へ入射する。
G光用光源装置51Gは、G光を供給する光源装置である。拡散素子52及びフィールドレンズ53を経たレーザ光は、G光用空間光変調装置54Gへ入射する。G光用光源装置51G、拡散素子52、及びフィールドレンズ53は、G光用空間光変調装置54Gを照明する照明装置を構成する。G光用空間光変調装置54Gは、照明装置からのG光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。G光用空間光変調装置54Gで変調されたG光は、クロスダイクロイックプリズム55のうちR光が入射する面とは異なる面へ入射する。
B光用光源装置51Bは、B光を供給する光源装置である。拡散素子52及びフィールドレンズ53を経たレーザ光は、B光用空間光変調装置54Bへ入射する。B光用光源装置51B、拡散素子52、及びフィールドレンズ53は、B光用空間光変調装置54Bを照明する照明装置を構成する。B光用空間光変調装置54Bは、照明装置からのB光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。B光用空間光変調装置54Bで変調されたB光は、クロスダイクロイックプリズム55のうちR光が入射する面、及びG光が入射する面とは異なる面へ入射する。透過型液晶表示装置としては、例えば高温ポリシリコンTFT液晶パネル(High Temperature Polysilicon;HTPS)を用いることができる。
クロスダイクロイックプリズム55は、互いに略直交させて配置された2つのダイクロイック膜56、57を有する。第1ダイクロイック膜56は、R光を反射し、G光及びB光を透過させる。第2ダイクロイック膜57は、B光を反射し、R光及びG光を透過させる。クロスダイクロイックプリズム55は、それぞれ異なる方向から入射したR光、G光及びB光を合成し、投写レンズ58の方向へ射出する。投写レンズ58は、クロスダイクロイックプリズム55で合成された光をスクリーン59に向けて投写する。
上記の光源装置10と同様の構成を有する各色光用光源装置51R、51G、51Bを用いることにより、高い効率でレーザ光を供給できる。これにより、高い効率で供給された光を用いて明るい画像を表示できるという効果を奏する。なお、プロジェクタ50は、上記各実施例のいずれの光源装置と同様の構成の各色光用光源装置を適用しても良い。
プロジェクタは、空間光変調装置として透過型液晶表示装置を用いる場合に限られない。空間光変調装置としては、反射型液晶表示装置(Liquid Crystal On Silicon;LCOS)、DMD(Digital Micromirror Device)、GLV(Grating Light Valve)等を用いても良い。プロジェクタは、色光ごとに空間光変調装置を備える構成に限られない。プロジェクタは、一の空間光変調装置により2つ又は3つ以上の色光を変調する構成としても良い。プロジェクタは、空間光変調装置を用いる場合に限られない。プロジェクタは、ガルバノミラー等の走査手段により光源装置からのレーザ光を走査させ、被照射面において画像を表示するレーザスキャン型のプロジェクタであっても良い。プロジェクタは、画像情報を持たせたスライドを用いるスライドプロジェクタであっても良い。プロジェクタは、スクリーンの一方の面に光を供給し、スクリーンの他方の面から射出される光を観察することで画像を鑑賞する、いわゆるリアプロジェクタであっても良い。
本発明の光源装置は、モニタ装置やプロジェクタに適用される場合に限られない。本発明の光源装置は、例えば、レーザ光を用いて露光を行う露光装置やレーザ加工装置等の光学系に用いても良い。
以上のように、本発明に係る光源装置は、モニタ装置やプロジェクタに用いる場合に適している。
10 光源装置、11 半導体素子、12 光学プリズム、13 ダイクロイック膜、14 SHG素子、15 外部共振器、16 基台、17 接着部材、18 凹部、19 段差部、C 中心位置、S1 入射面、S2 露光面、20 パターン、22 記録材料、30 光源装置、31 半導体アレイ素子、32 基台、33 外部共振器、34 発光部、35 半導体アレイ素子、38 半導体アレイ素子、40 モニタ装置、41 装置本体、42 光伝送部、43 カメラ、44 第1ライトガイド、45 第2ライトガイド、46 拡散板、47 結像レンズ、50 プロジェクタ、51R R光用光源装置、51G G光用光源装置、51B B光用光源装置、52 拡散素子、53 フィールドレンズ、54R R光用空間光変調装置、54G G光用空間光変調装置、54B B光用空間光変調装置、55 クロスダイクロイックプリズム、56 第1ダイクロイック膜、57 第2ダイクロイック膜、58 投写レンズ、59 スクリーン
Claims (8)
- 光を射出する光源部と、
前記光源部からの光を共振させる外部共振器と、を有し、
前記外部共振器は、前記光源部からの光が入射する入射面における中心位置を、前記光源部からの光束の中心から特定の方向へシフトさせて配置されることを特徴とする光源装置。 - 前記外部共振器は、露光面へ入射させた第1光束、及び前記第1光束と所定の角度をなす第2光束を用いた露光によって生じた干渉縞が記録され、かつ、前記光源部からの光束の中心から前記露光面へ向かう方向とは反対の方向へ前記中心位置をシフトさせて配置されることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
- 前記光源部は、前記入射面に略平行な第1の方向へ並列された複数の光束を前記外部共振器へ入射させ、
前記入射面に略平行かつ前記第1の方向に略直交する方向を第2の方向とすると、
前記外部共振器は、前記複数の光束の中心から前記第2の方向へ前記中心位置をシフトさせて配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光源装置。 - 前記外部共振器が配置された基台を有し、
前記外部共振器は、前記光源部からの光束の中心から前記基台へ向かう方向へ前記中心位置をシフトさせて配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光源装置。 - 前記外部共振器は、前記基台に設けられた段差部に配置されることを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の光源装置を有し、前記光源装置からの光を用いて被照射物を照明することを特徴とする照明装置。
- 請求項6に記載の照明装置と、
前記照明装置により照明された被写体を撮像する撮像部と、を有することを特徴とするモニタ装置。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の光源装置を有し、前記光源装置からの光を用いて画像を表示することを特徴とするプロジェクタ。
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JP2007186604A JP2009026844A (ja) | 2007-07-18 | 2007-07-18 | 光源装置、照明装置、モニタ装置及びプロジェクタ |
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JP2012003267A (ja) * | 2011-07-04 | 2012-01-05 | Casio Comput Co Ltd | 蛍光体基板及び光源装置、プロジェクタ |
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2007
- 2007-07-18 JP JP2007186604A patent/JP2009026844A/ja not_active Withdrawn
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