JP2009026520A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】アノードデッドエンド型燃料電池において、発電に寄与しない不純物ガスの、アノード、あるいは、燃料ガス流路における局所的な滞留を抑制する。
【解決手段】アノードデッドエンド型燃料電池100は、膜電極接合体10におけるアノード(アノード側触媒層42a、アノード側拡散層120a)の表面側に設けられ、アノードに供給すべき水素を流すための燃料ガス流路を構成する流路構成部材(シート部材125、アノード側金属多孔体130a、アノード側セパレータ140a)を備える。シート部材125には、水素供給口125iが形成されている。また、アノード側金属多孔体130a内には、アノード側金属多孔体130a内に存在する流体を、少なくともアノードの表面にほぼ平行な方向に循環させるためのエゼクタ150が設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池に関するものである。
燃料ガス(例えば、水素)と酸化剤ガス(例えば、酸素)との電気化学反応によって発電する燃料電池がエネルギ源として注目されている。この燃料電池は、電解質膜(例えば、プロトン伝導性を有する固体高分子膜)の両面に、それぞれ、アノード、および、カソードを接合してなる発電体(例えば、膜電極接合体)を備えている。また、燃料電池において、発電体のアノード側には、アノードに供給すべき燃料ガスを流すための燃料ガス流路を構成する流路構成部材が設けられ、カソード側には、カソードに供給すべき酸化剤ガスを流すための酸化剤ガス流路を構成する流路構成部材が設けられる。そして、発電体のアノードには、燃料ガス流路から燃料ガスが供給され、また、カソードには、酸化剤ガス流路から酸化剤ガスが供給される。
特開2005−243476号公報 特開2007−48538号公報 特開2005−235571号公報 特開2002−280028号公報
ところで、上記発電体として、プロトン伝導性を有する電解質膜の両面に、それぞれ、アノード、および、カソードを接合してなる膜電極接合体を用いる場合、この膜電極接合体のカソードに供給される酸化剤ガスとしては、一般に、酸素を含む空気が用いられる。そして、酸化剤ガスとして空気を用いる場合、空気中に含まれる発電に寄与しないガスである窒素等の不純物ガスが、電解質膜を介して、カソード側からアノード側に透過する。
そして、アノードに供給された燃料ガスのほぼすべてが、燃料電池の外部に排出されることなく、燃料電池の内部に滞留された状態で発電に利用される、いわゆるアノードデッドエンド型燃料電池では、原則、燃料電池の外部へのアノードオフガスの排出を行わないため、この不純物ガスが、燃料電池(膜電極接合体)のアノード、あるいは、燃料ガス流路内に局所的に滞留する場合がある。この場合、不純物ガスが滞留した領域において、燃料ガスの濃度が低下して、膜電極接合体における発電分布が不均一になり、また、発電効率の低下を招く。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、アノードデッドエンド型燃料電池において、発電に寄与しない不純物ガスの、アノード、あるいは、燃料ガス流路における局所的な滞留を抑制することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するために以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]電解質膜の両面に、それぞれ、アノード、および、カソードを接合してなる発電体を備え、前記アノードに供給された燃料ガスのほぼすべてを、外部に排出することなく、内部に滞留させた状態で発電に利用する燃料電池であって、前記発電体における前記アノードの表面側に設けられ、前記アノードに供給すべき燃料ガスを流すための燃料ガス流路を構成する流路構成部材を備え、前記流路構成部材は、前記燃料ガス流路中を流れる燃料ガスを前記アノードに供給するための供給口を備えており、前記アノード、および、前記流路構成部材の少なくとも一方は、前記アノード、および、前記燃料ガス流路の少なくとも一方の内部において、該内部に存在する流体を、少なくとも前記アノードの表面にほぼ平行な方向に循環させるための流体循環部を備える、燃料電池。
適用例1の燃料電池では、上記流体循環部によって、上記アノード、および、上記燃料ガス流路の少なくとも一方の内部において、その内部に存在する、先述した不純物ガスを含む流体を、少なくともアノードの表面にほぼ平行な方向に循環させることができるので、アノード、あるいは、燃料ガス流路における不純物ガスの局所的な滞留を抑制することができる。
なお、本適用例の燃料電池では、アノードと燃料ガス流路とは、完全には分離されてはいないが、流路構成部材によって、実質的に分離されており、燃料ガス流路からアノードへの燃料ガスの供給は、流路構成部材に設けられた供給口からのみ行われる。つまり、燃料ガスは、アノードと実質的に分離された燃料ガス流路中を、アノードの表面に沿った方向に流れ、上記供給口からアノードに供給される。
発電体のアノード側へ燃料ガスを供給して行なう燃料電池の運転を、アノードデッドエンド運転と呼ぶ。アノードデッドエンド運転では、燃料ガスのアノード側への供給を継続しつつ、アノード側からの燃料ガスの排出をしない状態で発電を継続する。結果的に、少なくとも定常発電時に供給された燃料ガスのほぼ全量をアノード側に留めて発電を行うことになる。発電体が、電解質膜の両面にアノードおよびカソードをそれぞれ接合してなる膜電極接合体を備え、アノード側に燃料ガス(多くは、水素または水素含有ガス)を供給して発電を行う場合には、アノードに供給された燃料ガスのほぼすべてを、外部に排出することなく、内部に滞留させた状態で発電に利用することになる。この場合、結果的には、燃料ガスが供給されるアノード側は、一般的に、燃料ガスを外部に排出あるいは放出しない閉塞構造となる。
本願明細書では、燃料ガスの消費層に供給されたほぼ総ての燃料ガスを燃料ガス消費層(アノード)で消費する運転の態様を、デッドエンド運転と呼ぶが、燃料ガス消費層からの燃料ガスの循環を意図せず、燃料ガスの消費層から名目的に燃料ガスを取り出して利用する形態が加えられていたとしても、当該構成は、デッドエンド運転に含まれる。例えば、燃料ガス消費層あるいはその上流から僅かな燃料ガスを取り出す流路を設け、取り出した燃料ガスを燃焼して補機などのプレヒートに用いる構成などを考えることができる。こうした名目的な燃料ガスの消費は、燃料ガスの取り出しを、燃料ガスの消費層もしくはその上流からとすることに格別な意味がなければ、本願明細書における「ほぼすべての燃料ガスの燃料ガス消費層で消費する」ことから除外される構成とはならない。
本願発明の燃料電池は、さらに、アノード極(水素極)の不純物(たとえば窒素)の分圧が、カソード極(空気極)の不純物(たとえば窒素)の分圧とつりあった状態で継続的に発電する運転状態を実現するものとして把握することもできる。ここで、「つりあった状態」とは、たとえば平衡状態を意味し、必ずしも両者の分圧が等しい状態に限られない。
本願発明の燃料電池は、さらに、たとえば図19や図20に示されるような構成をも含む。図19の構成例は、第1の流路と第2の流路と有している。第1の流路は、第2の流路よりも上流側に配置されている。第1の流路および第2の流路は、第1の流路あるいは第2の流路よりも流れの抵抗が高い高抵抗連通部2100xを介して連通している。これらの流路は、発電領域面外(燃料電池セルの外部)から燃料ガス導入口(マニホールド)を経由して燃料ガスを導入する。換言すれば、第2の流路への燃料ガスの供給は、主として高抵抗連通部2100xを介して(たとえば高抵抗連通部2100xのみを介して)第1の流路から導入される。
なお、第1の流路や第2の流路は、後述の実施例のように多孔体を利用しても形成可能であるが、たとえばシール材S1、S2の挟持(図19)やハニカム構造材H2を使用した流路の形成(図20)として構成してもよい。
高抵抗連通部2100xは、たとえば図19や図20に示されるような複数の導入部2110x(貫通孔)が面内方向に分散した板状部材が利用可能である。高抵抗連通部2100xは、以下のうちの少なくとも一つの役割を有している。第1の役割は、「第2の流路のうち燃料ガス導入口に近接する領域への燃料ガス供給を制限する役割」である。第2の役割は、「アノード反応部に沿った第2の流路の面直方向に働くガス圧の面内の不均一を抑制する役割」である。第3の役割は、「第1の流路を面内方向に流れる燃料ガスの向きを面直方向(あるいは面に交差する方向)に変換する役割」である。
本願発明の燃料電池は、さらに、以下のような燃料電池システムとして把握することもできる。すなわち、この燃料電池システムは、
供給されたほぼすべての燃料ガスをアノード反応部で消費する態様を含む燃料電池システムであって、
発電セル内にアノードガスを導入する導入口と、
前記導入口から供給されたアノードガスをセル面内方向に導く第1のガス流路と、
前記アノード反応部に沿って延在し、
前記第1のガス流路より流れの抵抗が高く、第1のガス流路から第2のガス流路へのアノードガスの流入を妨げつつも、セル面内方向に分布した複数の連通部を介して、第1のガス流路から第2のガス流路へアノードガスを導く高抵抗部と、
を備える。
本願発明の燃料電池は、さらに、以下のような構成を含む燃料電池システムとして把握することもできる。すなわち、この燃料電池システムは、
前記高抵抗部は、前記アノード反応部のうち一の領域に対応した一の連通部と、他の領域に対応した他の連通部とを有し、
前記一の領域で消費されるアノードガスは、前記高抵抗部のうち一の連通部を通過したガスの比率が、他の連通部を通過したガスの比率より高い、
あるいは、
前記高抵抗部は、前記アノード反応部のうち一の領域に対応した一の連通部と、他の領域に対応した他の連通部とを有し、
前記一の連通部を通過したアノードガスは、前記アノード反応部のうちの一の領域で消費される比率が、他の領域で消費される比率より高い
といった構成も可能である。
一方、カソード流路は少なくとも上記高抵抗連通部が有さないことが好ましい。さらにカソード流路は、第2の流路も設けることなく、カソード導入口から供給されたカソードガスをセル面内方向に導く第1のガス流路のみとすることが好ましい。ただし、いわゆるガス拡散層を第2の流路と捉えれば、第1および第2の流路の組み合わせとしても良い。いずれにせよ、上記高抵抗連通部をカソード極からのみ省略することにより、カソードガスの送給機の仕事量の低減およびカソード極での排水性の向上が期待でき、特に、アノード極からの排水性能が低いシステム(燃料ガスの定常的排気の無い)燃料電池システムでは好適である。
[適用例2]適用例1記載の燃料電池であって、前記流体循環部として、流体素子を備える、燃料電池。
流体素子としては、純流体素子を用いるようにしてもよいし、可動形素子を用いるようにしてもよい。純流体素子とは、機械的に動く部分を用いないで、流体の流れで流体の挙動を制御する素子である。可動形素子とは、機械的に動く部分を用い、流体の流れで流体の挙動を制御する素子である。
適用例2の燃料電池では、流体循環部として、流体素子を備えるので、アノード、および、燃料ガス流路の少なくとも一方の内部において、その内部に存在する流体を、少なくともアノードの表面にほぼ平行な方向に循環させることができる。
[適用例3]適用例2記載の燃料電池であって、前記アノード、および、前記燃料ガス流路の少なくとも一方の内部には、前記流体中に含まれる発電に寄与しないガスである不純物ガスが滞留しやすい第1の領域と、該第1の部位よりも前記不純物ガスが滞留しにくい第2の領域とが存在しており、前記流体素子は、前記第1の領域に配置されている、燃料電池。
一般に、アノードデッドエンド型燃料電池では、アノードの表面に沿って、例えば、燃料ガスを一方向に流す場合には、燃料ガスの流れ方向の下流側の領域に、上流側の領域よりも上記不純物ガスが滞留しやすくなる。この場合、燃料ガスの流れ方向の下流側の領域が、上記第1の領域となり、上流側の領域が上記第2の領域となる。また、アノードの表面に沿って、例えば、燃料ガスを互いに対向する方向から流す場合には、燃料ガスの各導入部から比較的遠い領域に、比較的近い領域よりも上記不純物ガスが滞留しやすくなる。この場合、燃料ガスの各導入口から比較的遠い領域、すなわち、各導入部間の中間の領域が上記第1の領域となり、各導入部から比較的近い領域が上記第2の領域となる。
適用例3の燃料電池では、流体素子が、上記不純物ガスが滞留しやすい第1の領域に配置されているので、アノード、および、燃料ガス流路の少なくとも一方における不純物ガスの滞留を、より効果的に抑制することができる。
[適用例4]適用例1記載の燃料電池であって、前記流体循環部として、前記供給口から供給された燃料ガスの流れを利用して、前記流体の流れを制御するための整流板を備える、燃料電池。
適用例4の燃料電池では、流体循環部として、上記整流板を備えるので、アノード、および、燃料ガス流路の少なくとも一方の内部において、その内部に存在する流体を、少なくともアノードの表面にほぼ平行な方向に循環させることができる。
[適用例5]
適用例1ないし4のいずれかに記載の燃料電池であって、前記流路構成部材は、前記発電体における前記アノードの表面側に積層され、導電性、および、ガス不透過性を有するシート状のシート部材と、前記シート部材の表面側に積層され、導電性、および、ガス拡散性を有し、前記燃料ガス流路となる多孔質部材と、前記多孔質部材の表面側に積層され、前記発電体で発電された電力を集電する集電部材と、によって構成されており、前記供給口は、前記シート部材の面内に形成されている、燃料電池。
適用例5の燃料電池では、多孔質部材を燃料ガス流路とし、シート部材と、集電部材とを、燃料ガス流路の流路壁とすることができる。
[適用例6]適用例1ないし4のいずれかに記載の燃料電池であって、前記流路構成部材は、少なくとも前記発電体を挟持し、前記発電体で発電された電力を集電する集電部材であり、前記燃料ガス流路は、前記集電部材の内部に形成されており、前記供給口は、前記集電部材の前記アノードと対向する側の面に形成されている、燃料電池。
[適用例7]適用例6記載の燃料電池であって、前記アノードと前記集電部材との間には、導電性、および、ガス拡散性を有する多孔質部材が介装されている、燃料電池。
適用例7の燃料電池では、集電部材に形成された燃料ガス供給口から供給された燃料ガスを、上記多孔質部材によって十分に拡散させ、発電体のアノードに供給することができる。
本発明は、上述した種々の特徴の一部を省略したり、適宜、組み合わせたりして構成することができる。また、本発明は、上述の燃料電池としての構成の他、上述の燃料電池を備える燃料電池システムの発明として構成することもできる。
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき説明する。
A.第1実施例:
A1.燃料電池システムの構成:
図1は、本発明の燃料電池を備える第1実施例としての燃料電池システム1000の概略構成を示す説明図である。
燃料電池100は、後述するように、概ね、プロトン伝導性を有する電解質膜の両面に、それぞれ、アノード、および、カソードを接合してなる膜電極接合体10を、セパレータによって挟持することによって構成されている。膜電極接合体10において、アノード、および、カソードは、それぞれ、電解質膜の各表面に接合された触媒層と、この触媒層の表面に接合されたガス拡散層とを備えている。本実施例では、電解質膜として、ナフィオン(登録商標)等の固体高分子膜を用いるものとした。電解質膜として、固体酸化物等、他の電解質膜を用いるものとしてもよい。
図示するように、本実施例では、燃料電池100のアノードには、水素供給配管20、および、水素供給配管20から分岐して接続された水素供給配管22を介して、膜電極接合体10のアノードの両端部から、燃料ガスとしての水素が供給される。水素供給配管20の水素供給配管22との接続部の上流側には、レギュレータ24等が配設されており、アノードに供給される水素の供給圧力、および、供給量が調整される。なお、本実施例の燃料電池100は、アノードに供給された水素のほぼすべてが、燃料電池100の外部に排出されることなく、燃料電池100の内部に滞留された状態で発電に利用される、いわゆるアノードデッドエンド型燃料電池である。
また、燃料電池100のカソードには、空気供給配管30を介して、エアコンプレッサ32によって圧縮された圧縮空気が、酸素を含有した酸化剤ガスとして供給される。カソードから排出されるカソードオフガスは、カソードオフガス排出配管34を介して、燃料電池100の外部に排出される。
燃料電池システム1000の運転は、制御ユニット40によって制御される。制御ユニット40は、内部にCPU、RAM、ROMなどを備えるマイクロコンピュータとして構成されており、ROMに記憶されたプログラムに従って、例えば、各種バルブや、ポンプの駆動等、システムの運転を制御する。
A2.燃料電池の構成:
図2は、第1実施例の燃料電池100の概略構成を示す説明図である。図1中に破線で示した領域Rm、すなわち、燃料電池100の、2箇所の水素導入部からの距離が比較的遠い中央領域における断面図を示した。
図示するように、燃料電池100において、膜電極接合体10は、電解質膜110の一方の面に、カソード側触媒層110cと、カソード側拡散層120cとをこの順に積層させ、他方の面に、アノード側触媒層110aと、アノード側拡散層120aとを、この順にそれぞれ積層させたものである。これらは、例えば、ホットプレス接合によって接合されている。本実施例では、アノード側拡散層120a、および、カソード側拡散層120cとして、カーボンクロスを用いるものとした。カーボンクロスの代わりに、カーボンペーパ等、導電性、および、ガス拡散性を有する他の部材を用いるようにしてもよい。アノード側触媒層110a、および、アノード側拡散層120aは、本発明におけるアノードに相当する。また、カソード側触媒層110c、および、カソード側拡散層120cは、本発明におけるカソードに相当する。
そして、本実施例では、膜電極接合体10のカソード側拡散層120cの表面には、カソード側金属多孔体130cと、カソード側セパレータ140cとが、この順に積層されている。カソード側金属多孔体130cは、空気供給配管30から供給された空気が流れる酸化剤ガス流路となる。そして、図中に破線(太線)矢印で示したように、カソード側金属多孔体130c中を拡散しつつ流れる空気は、カソード側拡散層120cに供給され、さらに、カソード側触媒層110cに供給される。なお、本実施例では、酸化剤ガス流路として、金属多孔体を用いるものとしたが、金属多孔体の代わりに、カーボン多孔体等、導電性、および、ガス拡散性を有する他の多孔質部材を用いるようにしてもよい。
また、膜電極接合体のアノード側拡散層120aの表面には、導電性、および、ガス不透過性を有するシート部材125と、アノード側金属多孔体130aと、アノード側セパレータ140aとが、この順に積層されている。本実施例では、シート部材125として、金属板を用いるものとした。そして、このシート部材125には、その厚さ方向に貫通する複数の貫通孔(水素供給口125i)が形成されている。
アノード側金属多孔体130aは、水素供給配管20、および、水素供給配管22から供給された水素が流れる燃料ガス流路となる。そして、図中に実線矢印で示したように、アノード側金属多孔体130a中を拡散しつつ流れる水素は、シート部材125に形成された各水素供給口125iを通じて、アノード側拡散層120aに供給され、さらに、アノード側触媒層110aに供給される。シート部材125と、アノード側金属多孔体130aと、アノード側セパレータ140aとは、本発明における流路構成部材に相当する。なお、本実施例では、燃料ガス流路として、金属多孔体を用いるものとしたが、金属多孔体の代わりに、カーボン多孔体等、導電性、および、ガス拡散性を有する他の多孔質部材を用いるようにしてもよい。
また、図示は省略しているが、シート部材125において、複数の水素供給口125iは、シート部材125の面内に、二次元的に分散して配置されている。本実施例では、シート部材125において、複数の水素供給口125iは、格子状に配列されており、また、各水素供給口125iは、すべて同一の円形形状であるものとした(図示省略)。このように、シート部材125において、複数の水素供給口125iを、シート部材125の面内に、二次元的に分散して配置することによって、アノード側金属多孔体130aからアノード側拡散層120aの全体に、水素をシャワー状に供給することができるので、アノード側拡散層120a、および、アノード側触媒層110aにおける水素の濃度分布を均一化し、膜電極接合体における発電分布を均一化することができる。
さらに、本実施例の燃料電池100では、燃料ガス流路としてのアノード側金属多孔体130aの面内のほぼ中央部にエゼクタ150が埋め込まれている。このエゼクタ150には、ガス導入口150iと、流体排出口150oと、複数の流体吸引口150sとが設けられており、これらは、エゼクタ150の内部において、互いに連通している。そして、ガス導入口150iと流体排出口150oとの間には、ノズル部が設けられており(符号省略)、このノズル部に、複数の流体吸引口150sが連通している。また、アノード側セパレータ140aの内部には、エゼクタ150のガス導入口150iに水素を供給するためのバイパス流路142が形成されている。なお、バイパス流路142内は、空隙であり、アノード側金属多孔体130a内と比較して圧損が少ないため、バイパス流路142からエゼクタ150のガス導入口150iに供給される水素は、アノード側金属多孔体130a内を流れる水素と比較して、高圧である。
エゼクタ150は、アノード側セパレータ140aのバイパス流路142から供給され、ガス導入口150iから導入された比較的高圧の水素の流速を、ノズル部において増大させ、そのときに低下する静圧によって、流体吸引口150sから、比較的低圧のアノード側金属多孔体130a内に存在する流体を吸引する。そして、ガス導入口150iから導入された水素と、流体吸引口150sから吸引された流体とは、ノズル部において混合され、流体排出口150oから排出される。このような作用によって、エゼクタ150は、アノード側金属多孔体130a内に存在する流体を、少なくともアノードの表面にほぼ平行な方向に循環させることができる。エゼクタ150は、本発明における流体素子に相当し、エゼクタ150、および、バイパス流路142は、本発明における流体循環部に相当する。
A3.第1実施例の効果:
本実施例の燃料電池システム1000では、酸化剤ガスとして、空気を利用しており、この空気には、燃料電池100に備えられた膜電極接合体10における発電に寄与しないガスである窒素等の不純物ガスが含まれている。したがって、図2中に、破線(細線)矢印で示したように、膜電極接合体10のカソード側拡散層120c、および、カソード側触媒層110cに供給された空気に含まれる窒素(不純物ガス)は、電解質膜110を介して、アノード側触媒層110a、および、アノード側拡散層120aに透過する。そして、この不純物ガスは、アノード側拡散層120aから、シート部材125に形成された水素供給口125iを通じて、アノード側金属多孔体130aにも逆流する。そして、アノード側金属多孔体130a内に、先に説明したエゼクタ150が設けられていない場合には、不純物ガスは、膜電極接合体10の両端部から供給された水素の流れによって、本発明における第1の領域に相当するアノード側金属多孔体130aの中央領域に、局所的に滞留しやすくなる。そして、不純物ガスが局所的に滞留すると、その領域において、アノード側金属多孔体130a内における水素の濃度が低下して、膜電極接合体10における発電分布が不均一になり、また、発電効率の低下を招く。
第1実施例の燃料電池100によれば、燃料ガス流路としてのアノード側金属多孔体130a内の、不純物ガスが滞留しやすい部位に、エゼクタ150が備えられているので、アノード側金属多孔体130a内に存在する不純物ガスを含む流体を、少なくともアノードの表面にほぼ平行な方向に、効果的に循環させることができる。したがって、アノード側金属多孔体130aにおける不純物ガスの局所的な滞留を抑制することができる。この結果、上述した膜電極接合体10における発電分布の不均一や、発電効率の低下を抑制することができる。
B.第2実施例:
B1.燃料電池システムの構成:
第2実施例の燃料電池システムの構成は、燃料電池の構成が、第1実施例における燃料電池100と異なっている。そして、このこと以外は、先に説明した第1実施例の燃料電池システム1000と同じである(図1参照)。したがって、第2実施例の燃料電池システムの構成についての図示、および、説明は省略し、以下、第2実施例の燃料電池100Aについて説明する。
B2.燃料電池の構成:
図3は、第2実施例の燃料電池100Aの概略構成を示す説明図である。図2と同様に、燃料電池100Aの、2箇所の水素導入部からの距離が比較的遠い中央領域(図1に示した領域Rm)における断面図を示した。
図示するように、本実施例の燃料電池100Aは、先に説明した第1実施例の燃料電池100におけるシート部材125を備えていない。また、アノード側セパレータ140aの構造が、第1実施例の燃料電池100におけるアノード側セパレータ140aの構造と異なっている。そして、これらのこと以外は、第1実施例の燃料電池100と同じである。
アノード側セパレータ140Aaの内部には、水素供給配管20、および、水素供給配管22から供給された水素が流れる燃料ガス流路142Aapが形成されている。また、アノード側セパレータ140aの、アノード側金属多孔体130aと当接する側の面には、複数の水素供給口140Aaiが形成されている。そして、各水素供給口140Aaiの形状は、第1実施例の燃料電池100におけるシート部材125に形成された水素供給口125iの形状と同じである。
また、図示は省略しているが、アノード側セパレータ140Aaにおいて、複数の水素供給口140Aaiは、第1実施例の燃料電池100におけるシート部材125に形成された水素供給口125iと同様に配列されている。アノード側セパレータ140aは、本発明における流路構成部材に相当する。なお、第1実施例では、アノード側金属多孔体130aは、本発明における燃料ガス流路に相当するものとしたが、本実施例では、アノード側セパレータ140Aaが内部に燃料ガス流路を備える流路構成部材に相当するため、アノード側金属多孔体130aは、本発明におけるアノードの一部に相当する。
そして、本実施例の燃料電池100Aでは、アノードの一部としてのアノード側金属多孔体130aの面内のほぼ中央部に150が埋め込まれている。そして、このエゼクタ150は、アノード側セパレータ140Aaに形成された水素供給口140Aaiから供給され、ガス導入口150iから導入された比較的高圧の水素の流速を、ノズル部において増大させ、そのときに低下する静圧によって、流体吸引口150sから、比較的低圧のアノード側金属多孔体130a内に存在する流体を吸引する。そして、ガス導入口150iから導入された水素と、流体吸引口150sから吸引された流体とは、ノズル部において混合され、流体排出口150oから排出される。
B3.第2実施例の効果:
以上説明した第2実施例の燃料電池100Aによれば、アノードの一部としてのアノード側金属多孔体130a内の、不純物ガスが滞留しやすい部位に、第1実施例において説明したエゼクタ150が備えられているので、アノード側金属多孔体130a内に存在する不純物ガスを含む流体を、少なくともアノードの表面にほぼ平行な方向に、効果的に循環させることができる。したがって、アノード側金属多孔体130aにおける不純物ガスの局所的な滞留を抑制することができる。この結果、上述した膜電極接合体10における発電分布の不均一や、発電効率の低下を抑制することができる。
C.第3実施例:
C1.燃料電池システムの構成:
第3実施例の燃料電池システムの構成は、燃料電池の構成が、第1実施例における燃料電池100と異なっている。そして、このこと以外は、先に説明した第1実施例の燃料電池システム1000と同じである(図1参照)。したがって、第3実施例の燃料電池システムの構成についての図示、および、説明は省略し、以下、第3実施例の燃料電池100Bについて説明する。
C2.燃料電池の構成:
図4は、第3実施例の燃料電池100Bの概略構成を示す説明図である。図4(a)に、燃料電池100Bの断面図を示した。また、図4(b)に、図4(a)におけるアノード側金属多孔体130Baの平面図を示した。
図4(a)に示したように、本実施例の燃料電池100Bは、先に説明した第1実施例の燃料電池100におけるシート部材125も、エゼクタ150も、アノード側セパレータ140aに形成されたバイパス流路142も備えていない。また、アノード側金属多孔体130Baの構造が、第1実施例の燃料電池100におけるアノード側金属多孔体130aの構造と異なっている。そして、これらのこと以外は、第1実施例の燃料電池100と同じである。なお、本実施例において、アノード側金属多孔体130Baは、本発明における燃料ガス流路に相当する。
また、図4(b)に示したように、アノード側金属多孔体130Baの内部には、略S字型の整流板132が、厚さ方向全体に亘って埋め込まれている。そして、図の左側から(図1に示した水素供給配管20から)供給された水素は、整流板132の湾曲部132aによって、図中に矢印で示したように、流れ方向が制御される。また、図の右側から(図1に示した水素供給配管22から)供給された水素は、整流板132の湾曲部132bによって、図中に矢印で示したように、流れ方向が制御される。整流板132は、本発明における流体循環部に相当する。
C3.第3実施例の効果:
以上説明した第3実施例の燃料電池によれば、燃料ガス流路としてのアノード側金属多孔体130Ba内に、上述した整流板132が埋め込まれているので、水素供給配管20、および、水素供給配管22から供給された水素の流れによって、アノード側金属多孔体130Ba内に存在する不純物ガスを含む流体を、少なくともアノードの表面にほぼ平行な方向に循環させることができる。したがって、アノード側金属多孔体130Baにおける不純物ガスの局所的な滞留を抑制することができる。この結果、先に説明した膜電極接合体10における発電分布の不均一や、発電効率の低下を抑制することができる。
D.第4実施例:
D1.燃料電池システムの構成:
図5は、本発明の燃料電池を備える第4実施例としての燃料電池システム1000Cの概略構成を示す説明図である。この燃料電池システム1000Cは、燃料電池の構成、および、水素供給配管の構成が、先に説明した第1実施例の燃料電池システム1000と異なっており、水素供給配管20に接続された水素供給配管22を備えていない。すなわち、本実施例の燃料電池システム1000Cでは、燃料電池100Cのアノードには、水素供給配管20を介して、膜電極接合体10のアノードの一方の端部から、燃料ガスとしての水素が供給される。このこと以外は、先に説明した第1実施例の燃料電池システム1000と同じである。したがって、以下、第4実施例の燃料電池100Cについて説明する。
D2.燃料電池の構成:
図6は、第4実施例の燃料電池100Cの概略構成を示す説明図である。図5中に破線で示した領域Rl、すなわち、燃料電池100Cにおける水素の流れ方向の下流領域における燃料電池100Cの断面図を示した。
図6と図2との比較から分かるように、第1実施例の燃料電池100の構成と本実施例の燃料電池100Cの構成とは、ほぼ同じである。ただし、本実施例の燃料電池100Cでは、第1実施例の燃料電池100と異なり、シート部材125を備えていない。また、燃料ガス流路としてのアノード側金属多孔体130Caの面内の、水素の流れ方向の下流領域にエゼクタ150が埋め込まれている。また、アノード側セパレータ140Caの内部には、エゼクタ150のガス導入口150iに水素を供給するためのバイパス流路142Cが形成されている。
エゼクタ150は、アノード側セパレータ140aのバイパス流路142Cから供給され、ガス導入口150iから導入された比較的高圧の水素の流速を、ノズル部において増大させ、そのときに低下する静圧によって、流体吸引口150sから、比較的低圧のアノード側金属多孔体130Ca内に存在する流体を吸引する。そして、ガス導入口150iから導入された水素と、流体吸引口150sから吸引された流体とは、ノズル部において混合され、流体排出口150oから排出される。このような作用によって、エゼクタ150は、アノード側金属多孔体130Ca内に存在する流体を、少なくともアノードの表面にほぼ平行な方向に循環させることができる。
D3.第4実施例の効果:
本実施例の燃料電池システム1000Cでは、第1実施例の燃料電池システム1000と同様に、酸化剤ガスとして、空気を利用しており、この空気には、燃料電池100Cに備えられた膜電極接合体10における発電に寄与しないガスである窒素等の不純物ガスが含まれている。したがって、図6中に、破線(細線)矢印で示したように、膜電極接合体10のカソード側拡散層120c、および、カソード側触媒層110cに供給された空気に含まれる窒素(不純物ガス)は、電解質膜110を介して、アノード側触媒層110a、および、アノード側拡散層120aに透過する。そして、この不純物ガスは、アノード側拡散層120aからアノード側金属多孔体130Caにも拡散する。そして、アノード側金属多孔体130Ca内に、先に説明したエゼクタ150が設けられていない場合には、不純物ガスは、膜電極接合体10の両端部から供給された水素の流れによって、本発明における第1の領域に相当するアノード側金属多孔体130aの、水素の流れ方向の下流側の領域に、局所的に滞留しやすくなる。そして、不純物ガスが局所的に滞留すると、その領域において、アノード側金属多孔体130Ca内における水素の濃度が低下して、膜電極接合体10における発電分布が不均一になり、また、発電効率の低下を招く。
以上説明した第4実施例の燃料電池によれば、燃料ガス流路としてのアノード側金属多孔体130Ca内の、不純物ガスが滞留しやすい部位に、先に説明したエゼクタ150が備えられているので、アノード側金属多孔体130a内に存在する不純物ガスを含む流体を、少なくともアノードの表面にほぼ平行な方向に、効果的に循環させることができる。したがって、アノード側金属多孔体130aにおける不純物ガスの局所的な滞留を抑制することができる。この結果、上述した膜電極接合体10における発電分布の不均一や、発電効率の低下を抑制することができる。
E.第5実施例:
E1.燃料電池システムの構成:
第5実施例の燃料電池システムの構成は、燃料電池の構成が、第4実施例における燃料電池と異なっている。そして、このこと以外は、先に説明した第4実施例の燃料電池システム1000Cと同じである(図5参照)。したがって、第5実施例の燃料電池システムの構成についての図示、および、説明は省略し、以下、第5実施例の燃料電池100Dについて説明する。
E2.燃料電池の構成:
図7は、第5実施例の燃料電池100Dの概略構成を示す説明図である。図7(a)に、燃料電池100Dの断面図を示した。また、図7(b)に、図7(a)におけるアノード側金属多孔体130Daの平面図を示した。
図7(a)に示したように、本実施例の燃料電池100Dは、先に説明した第4実施例の燃料電池100Cにおけるエゼクタ150を備えていない。また、アノード側金属多孔体130Daの構造が、第4実施例の燃料電池100Cにおけるアノード側金属多孔体130Caの構造と異なっている。そして、これらのこと以外は、第4実施例の燃料電池100Dと同じである。
また、図7(b)に示したように、アノード側金属多孔体130Daの内部における、水素の流れ方向の最下流部に、略W字型の整流板134が、厚さ方向全体に亘って埋め込まれている。そして、図の左側から(図5に示した水素供給配管20から)供給された水素は、整流板134の湾曲部134a、および、湾曲部134bによって、図中に矢印で示したように、流れ方向が制御される。
E3.第5実施例の効果:
以上説明した第5実施例の燃料電池によれば、燃料ガス流路としてのアノード側金属多孔体130Da内に、上述した整流板134が埋め込まれているので、水素供給配管20から供給された水素の流れによって、アノード側金属多孔体130Da内に存在する不純物ガスを含む流体を、少なくともアノードの表面にほぼ平行な方向に循環させることができる。したがって、アノード側金属多孔体130Daにおける不純物ガスの局所的な滞留を抑制することができる。この結果、先に説明した膜電極接合体10における発電分布の不均一や、発電効率の低下を抑制することができる。
F.変形例:
以上、本発明のいくつかの実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能である。例えば、以下のような変形が可能である。
F1.変形例1:
上記実施例では、本発明を単電池に適用した場合について説明したが、複数の膜電極接合体10を、セパレータを介在させて積層した燃料電池スタックに適用するようにしてもよい。この場合、上記実施例では、図示、および、説明の都合上、アノード側セパレータと、カソード側セパレータとを、別体として描いたが、アノード側セパレータと、カソード側セパレータとを、一体的に作製するようにしてもよい。
F2.変形例2:
上記第1実施例、および、第4実施例では、燃料電池100、および、燃料電池100Cにおいて、燃料ガス流路としてのアノード側金属多孔体130a内、および、アノード側金属多孔体130Ca内に、エゼクタ150を埋め込むものとしたが、本発明は、これに限られない。エゼクタ150を、アノード側拡散層120a内に埋め込むようにしてもよい。この場合、アノード側金属多孔体130a内、アノード側金属多孔体130Ca内に、バイパス流路142、バイパス流路142Cから、エゼクタ150のガス導入口150iに水素を供給するための流路を設ければよい。
F3.変形例3:
上記第2実施例では、燃料電池100Aにおいて、アノードの一部としてのアノード側金属多孔体130a内に、エゼクタ150が埋め込まれているものとしたが、本発明は、これに限られない。エゼクタ150を、アノード側セパレータ140Aaに形成された燃料ガス流路142Aap内に設けるようにしてもよい。また、アノード側金属多孔体130aを省略し、アノード側拡散層120a内に、エゼクタ150を埋め込むようにしてもよい。
F4.変形例4:
上記第1実施例、第2実施例、および、第4実施例では、燃料電池100,100A,100Cにおいて、エゼクタ150の数を1つとしたが、本発明は、これに限られない。エゼクタ150は、先に説明した不純物ガスが滞留しやすい領域に、複数設けるようにしてもよい。
F5.変形例5:
上記第1実施例、第2実施例、および、第4実施例では、燃料電池100,100A,100Cにおいて、流体素子として、エゼクタ150を用いるものとしたが、本発明は、これに限られない。エゼクタ150の代わりに、他の純流体素子や、可動形素子を用いるようにしてもよい。
F6.変形例6:
上記第3実施例、および、第5実施例では、燃料電池100B、および、燃料電池100Dにおいて、整流板132、および、整流板134の形状を、比較的簡易な構造としたが、さらに複雑な構造としてもよい。これらの構造は、アノード側金属多孔体への水素の導入部の数や位置に応じて、実験的、あるいは、解析的に、任意に設計可能である。
F7.変形例7:
本発明は、一般に、アノードデッドエンド型燃料電池において、アノード、および、流路構成部材の少なくとも一方が、アノード、および、燃料ガス流路の少なくとも一方の内部において、その内部に存在する流体を、少なくともアノードの表面にほぼ平行な方向に循環させるための流体循環部を備えればよい。したがって、上記各実施例の特徴の一部を、適宜、組み合わせるようにしてもよい。例えば、燃料ガス流路内、および、アノード内の双方に、エゼクタ150を備えるようにしてもよい。また、例えば、第1実施例と、第3実施例とを組み合わせて、アノード側金属多孔体130a内に、整流板132と、エゼクタ150との双方を埋め込むようにしてもよい。また、第2実施例の燃料電池100Aにおいて、エゼクタ150を省略し、アノード側セパレータ140Aaの燃料ガス流路142Aap内に、整流板を設けるようにしてもよい。
F8.変形例8:
上述した実施例では、アノードに供給された燃料ガスが、ほぼ全量、アノードで消費される構造を採用しているが、係る構造での運転が可能としているアノードへの燃料供給の流路構成としては、種々の構成が採用可能である。代表的な流路構成として、ここでは、上述した構成(以下、「シャワー流路タイプ」と呼ぶ)の他、櫛歯型の構成や循環型の構成などを挙げることができる。まず、シャワー流路タイプの変形例から説明する。
図8は、第1変形例の構成を示す説明図である。第1変形例では、上述の実施例のシート部材に相当する分散板2100が膜電極接合体2000と一体として形成された構成を有している。膜電極接合体2000は、水素側電極2200と電解質膜2300とを有している。また、分散板2100には、所定間隔で多数の細孔(オリフィス)2110が設けられている。
図9は、分散板2100の機能を説明する説明図である。燃料ガスは、分散板2100によって水素ガスを消費する水素側電極2200から隔離された上流側の流路で分配される。上流側の流路で分配された燃料ガスは、分散板2100に設けられた細孔2110を通って、燃料ガス消費層である水素側電極2200に局所的に供給される。つまり、本変形例では、燃料ガスは、細孔2110の存在位置に対応する部位の水素側電極2200に直接的に供給される。こうした局所的な燃料ガスの供給を実現する構成としては、例えば、燃料ガスが、水素側電極2200の他の領域を経由することなく、燃料ガスを消費する部位に直接供給する経路を有する構成、あるいは水素側電極2200の面外の離れた方向(好ましくは水素側電極2200から隔離された流路)から水素側電極2200に向かって、主として垂直な方向に燃料ガスを供給する構成なども採用可能である。一方、水素側電極2200は、窒素の滞留が発生しにくい形状とすればよい。例えば、平滑な面(フラットな面)から構成し、電解質膜2300側に凹部などを有しない形状とすればよい。
分散板2100の細孔2110の径およびピッチは、実験的に定めることができるが、例えば所定の運転状態(たとえば定格運転状態)において、細孔2110を通過する燃料ガスの流速が窒素ガスの拡散による逆流を十分に抑制できるようにしても良い。係る条件が成立するように、細孔2110における十分な流速あるいは十分な圧力損失が発生するように、細孔2110の間隔と流路断面積を設定すればよい。たとえば、固体高分子型燃料電池では、分散板2100の開口率を1%程度以下とすることで、十分な流速あるいは十分な圧力損失が発生することが確認された。開口率とは、分散板2100の開口面積を分散板2100の全面積で除した割合である。このような開口率は、循環型の燃料ガス流路と比較すると1桁から2桁程度少ないため、循環型の燃料ガス流路にコンプレッサを用いて燃料ガスの流量を確保する構成とは本質的に異なっている。本実施例および変形例では、燃料タンクからの高圧水素を直接(あるいは所定の高圧圧力まで調圧弁で調圧した状態で)、燃料電池に導くことにより、開口率の低い構造でも十分な燃料ガスを確保している。
次に、上述のシャワー流路タイプの他の構成例について説明する。図10は、第2変形例の構成を示す説明図である。この変形例では、水素側電極2200と電解質膜2300とを備えた膜電極接合体2201上に配置される分散板2101を、緻密な多孔体を用いて実現している。分散板2101の多孔体の開口率は、十分な流速あるいは十分な圧力損失が発生するように選択されている。細孔を用いた場合には、細孔毎に、いわば離散化して、燃料ガスが局所的に供給されるのに対して、多孔体を用いた場合には、連続的に燃料ガスを供給することができるという利点を有している。また燃料ガスの水素側電極2200への供給が一層均一化されるという利点も得られる。緻密な多孔体は、カーボン粉を焼結することによって製造しても良いし、カーボン分や金属粉をバインド剤を用いて固めることにより製造することも可能である。多孔は、連続多孔体であれば良く、厚さ方向への連続性を確保して面方向の連続性を確保しない異方性を備えたものとしても良い。多孔体の開口率については、第1変形例と同様に決定すればよい。
次に第3変形例について説明する。図11は、プレスメタルを用いて構成された分散板2102を示す説明図、図12は、図11におけるC−C断面を示す模式図である。分散板2102は、分散板2102の上流側の流路を形成するための突部2102tを備え、この突部2102tの側面には細孔2112が形成されている。この分散板2102は、電解質膜2300の両側に水素側電極2200と酸素側電極2400とを備えた膜電極接合体2202の水素側電極2200側に配置されており、図12に示したように、突部2102tを利用して、分散板2102の上流側の流路を一体に形成している。燃料ガスは、この突部2102tの側面に形成された細孔2112を介して、水素側電極2200に供給される。
係る構成によれば、分散板2102をプレス加工により容易に形成することができるうえ、分散板2102上流の流路を簡易に形成できるという利点も得られる。細孔2112を通過した燃料ガスは、突部2102t内部の空間を経て、水素側電極2200に到るので、分散性を十分に確保することができる。細孔2112は、プレス加工に拠って形成しても良いし、突部2102tの形成の前工程または後工程において、放電加工など、他の手法により形成しても良い。細孔2112による開口率については、第1変形例と同様に決定すればよい。
次に、第4変形例について説明する。図13は、分散板2014hmの内部に、流路を形成した構成例を示す説明図である。この変形例の分散板2014hmは、長方形の形状の分散板2014hmの短手方向に形成された複数の流路2142nと、この流路2142nから、分散板2014hmの厚さ方向に設けられ、図示しない水素電極側に開披した多数の細孔2143nとを備える。分散板2014hmは、電解質膜2300の両側に水素側電極(図示せず)と酸素側電極2400とを備えた膜電極接合体2203の水素側電極側に配置されており、分散板2014hmを介して、燃料ガスの供給を受ける。係る構成に拠れば、各細孔2143nまでの流路を、個別に用意できるという利点が得られる。なお、図15では、細孔2143nの配置は千鳥状としたが、格子状であってもよいし、ある程度ランダムに配置しても良い。
次に、第5変形例について説明する。図14は、パイプを使用して分散板2014hpを形成した例を示す説明図である。分散板2014hpは、図14に示したように、矩形のフレーム2140を備え、その短手方向に亘って、中空の多数のパイプ2130を備えている。このパイプ2130の表面には、複数の細孔2141nが形成されている。この分散板2014hpは、水素側電極2200とで電解質膜2300とを備えた膜電極接合体2204の水素側電極2200上に設置される。分散板2014hpのフレーム2140に用意されたガス流入口から燃料ガスを供給すると、燃料ガスは、分散板2014hpの各パイプ2130の内部を通り、細孔2141nから、水素側電極2200へと分配される。係る構成によれば、燃料ガスを均一に分散できるのに加えて、分散板2014hpを構成するのに細孔2141nを除いて穴加工を行なう必要がないという利点が得られる。細孔2141nは、水素側電極2200側に向けて配置して良いし、反対側に向けて配置してもよい。後者の場合には、燃料ガスの分散性は一層改善される。
以上説明したように、燃料ガスを水素側電極2200に分散させつつ導く構造であれば、種々の構成を採用することができる。分散板としては、多孔体やプレスメタルに限られず、燃料ガスを分配しつつ水素側電極2200に導くように構成されていればよい。
F9.変形例9:
上述した実施例では、燃料ガス流路について、詳細な説明を省略したが、燃料ガスの流路の形態は種々の構成を採ることができる。
図15は、いわゆる分岐流路タイプの燃料ガス流路を用いた構成例を示す模式図である。図示する燃料ガス流路は、上述した実施例のアノード側金属多孔体45aに代えて用いられる流路形成部材5000に、櫛歯状に形成されている。具体的には、ガス流路は、燃料ガスを導入する主流路5010、この主流路から分岐し、主流路5010とは交差する方向に形成された複数本の副流路5020、この副流路から更に櫛歯状に分岐する櫛歯流路5030から形成されている。主流路5010および副流路5020は、先端の櫛歯流路5030と比べて流路断面積を十分に確保しているので、流路形成部材5000の面内の圧力分布は、アノード側金属多孔体45aと同程度もしくはそれ以下となっている。
この流路形成部材5000は、カーボンや金属などを用いて形成することができる。カーボンを用いる場合は、型を用いてカーボン粉を高温または低温で焼結することにより、図15に示した流路を備えた流路形成部材5000を得ることができる。金属を用いる場合には、金属プレートから溝を削り出すことにより、同様の流路を備えた流路形成部材5000を形成しても良いし、あるいはプレス加工により、図示する流路を備えた流路形成部材5000を得ても良い。なお、流路形成部材5000は、単品として設ける必要はなく、他の部材、例えばセパレータと一体に形成することも可能である。
なお、この流路形成部材5000は、アノード側金属多孔体45aに代えて用いてもよいが、アノード側金属多孔体45aおよびシート部材44ごと代替してもよい。この場合には、櫛歯流路5030を十分に細い流路とし、副流路5020から、いわば毛細血管のように細かくかつ多数に分岐させておけばよい。また、図15では、主流路5010を流路形成部材5000の一縁部に沿って設けたが、流路形成部材5000面内の燃料ガスの圧力差を小さくするために、主流路5010を複数の縁部に設けて、副流路5020の長さを短くしたり、あるいは主流路5010を流路形成部材の中心に設けて、副流路5020を主流路5010の左右に配置しても良い。同様に、櫛歯流路5030は、副流路5020の両側に設けても差し支えない。
次に、図16に基づいて、サーペンタイン型の流路構成について説明する。図16は、流路が葛籠折れの形状をとっているサーペンタイン型流路を備えた流路形成部材の構成例を模式的に示す模式図である。図16(A)は、燃料ガスの流路が単一のタイプの流路形成部材5100を例示し、図16(B)は、燃料ガス流路が複数本統合されたタイプの流路形成部材5200を例示している。
図示するように、図16(A)に例示した流路形成部材5100は、燃料ガスの流路を囲う外壁のうち対向する外壁5110,5115から、内側に向けて交互に延長された複数の流路壁5120を備える。流路壁5120で区切られた部分が連続する流路となっている。この一端に流入口5150が形成されており、燃料ガスはここから流路に供給される。この流路形成部材5100は、図15の流路形成部材5000と同様、上述した実施例のアノード側金属多孔体45aに代えて用いられる。
図16(B)は、このサーペンタイン型流路が、複数本の流路の束として構成された例を示している。この場合、外壁5210および5215から内側に向けて交互に延長された複数の流路壁5220の間に、外壁5210,5215とは連設されていない仕切壁5230,5240が設けられている。また、流路の入り口には、流入口5250が形成されている。流入口5250から流入した燃料ガスは、仕切壁5230,5240を備えた幅広のサーペンタイン型流路を流れて、流路形成部材5200の面方向にくまなく行き渡る。この流路形成部材5200は、図16の流路形成部材5000と同様、上述した実施例のアノード側金属多孔体45aに代えて用いられる。
図16に示した流路形成部材5100,5200は、図15に示した櫛歯型の流路を備えた流路形成部材5000と同様に、カーボンや金属から形成される。その形成方法も同様である。これらの流路形成部材5100,5200は、単品として設ける必要はなく、他の部材、例えばセパレータと一体に形成することも可能である。
F10.変形例10,11:
図17及び図18を用いて、上述した実施例の変形例10及び変形例11について説明する。図17は、変形例10についての燃料ガスの流れを説明する説明図である。図18は、変形例11についての燃料ガスの流れを説明する説明図である。まず、両変形例に共通する構成から説明する。これらの変形例10,11の燃料電池では、発電体は、フレーム7550と膜電極ガス拡散層接合体(MEGA)7510と多孔体7540を備える。フレーム7550の中央部には、MEGA7510を嵌め込むための開口部7555が設けられており、この開口部7555を覆うように、MEGA7510が配置される。多孔体7540はMEGA7510の上に配置される。また、フレーム7550の外周部には、燃料ガスや空気、あるいは冷却水が通る貫通孔が複数設けられているのは、上述した実施例と同一である。
変形例10と変形例11とは、上記の全体構造はほぼ同一であり、燃料ガスが、図示しないアノード対向プレートを介して供給される点も同一である。変形例10と変形例11とでは、多孔体7540への燃料ガスの供給方向が異なっている。変形例10では、多孔体7540に燃料を供給するための複数の燃料ガス供給口7417aは、フレーム7550の開口部7555の外縁部のうち、一つの長辺近傍に一列に設けられ、もう一列の複数の燃料ガス供給口7417bは、対向するもう一つの長辺近傍に配置されている。他方、変形例11では、図18に示したように、複数の燃料ガス供給口7517a及び燃料ガス供給口7517bは、それぞれ、開口部7555の対向する2つの短辺に隣接して配置されている。
変形例10では、燃料ガスは、燃料ガス供給口7417aや燃料ガス供給口7417bを通り、多孔体7540の中で長辺端部側から中央方向、すなわち矢印7600aの方向(図17において上から下へ)へ、あるいは矢印7600bの方向(図17において下から上へ)に供給される。このとき、燃料ガス供給口7417aを通って多孔体7540に供給された燃料ガスと燃料ガス供給口7417bを通って多孔体7540に供給された燃料ガスは、モジュールの中央付近でぶつかり混合する。一方、変形例11では、燃料ガスは、燃料ガス供給口7517aや燃料ガス供給口7517bを通り、多孔体7540の中で短辺端部側から中央方向、すなわち矢印7700aの方向(図18において左から右へ)及び矢印7700bの方向(図18において右から左へ)に流れる。変形例11でも、燃料ガス供給口7517aを通って多孔体7540に供給された燃料ガスと燃料ガス供給口7517bを通って多孔体7540に供給された燃料ガスは、モジュールの中央付近でぶつかり混合する。
以上説明した変形例10、11によれば、燃料ガスは、多孔体7540に対して、対向する2つの辺の端部側に設けられた複数の燃料ガス供給口7417aおよび燃料ガス供給口7417b(あるいは燃料ガス供給口7517aおよび燃料ガス供給口7517b)から、対向する2方向に供給される。対向流として供給された燃料ガスは、多孔体7540の中央部でぶつかって互いに混合するので、窒素ガスなどの不純物が局在化しにくいという利点が得られる。したがって、燃料電池の発電効率を向上させることができる。もとより、対向する2辺から燃料ガスを供給することにより、多孔体7540内での燃料ガスの分布の偏りが抑制されるという利点も得られる。なお、変形例10、11ではガス流路として多孔体を用いているが、ガス流路は多孔体に限られず、種々の供給方式が利用可能である。
F11.変形例12:
上記実施例の燃料電池において、カソード側の酸化剤ガス供給流路を、一層のカソード側金属多孔体130cによって形成しているが、酸化剤ガスの供給路の構成はこれに限られるものではない。例えば、酸化剤ガス供給流路を、セパレータに形成されたリブを用いて、ストレート型若しくはサーペンタイン型に形成してもよいし、複数のディンプルを用いて形成してもよい。このようにすれば、簡易な構成で酸化剤ガス供給流路を形成することができる。燃料電池全体の構成や使用条件などに合わせて適切な構成を採用すればよい。
F12.変形例13:
つぎに、上記実施例の燃料電池の始動時制御について説明する。変形例13の燃料電池では、始動時において、アノード側の燃料ガス流路に燃料ガスの供給が開始され、所定時間TA経過後、初めて負荷を接続し、燃料電池から電流を取り出している。このようにすれば、燃料電池の発電終了後にカソード側からアノード側にリーク(透過)し滞留しているリークガス(窒素ガスまたは不活性ガス)は、所定時間TAの間に、燃料ガスの圧力で、カソード側に押し返され、リークガス滞留量が減少してから負荷が接続されることになる。したがって、アノードにおいて、燃料電池の始動時に燃料ガスが欠乏した状態で運転されるという事態の発生を抑制することができる。なお、この場合の「始動」とは、燃料電池に反応ガス(燃料ガスおよび酸化剤ガス)を供給すると共に、燃料電池に負荷を接続することをいう。燃料電池の停止時にリークガスがアノード側に滞留するのは、燃料ガスの供給が停止された結果、アノード側の燃料ガス圧力が低下するためである。特にアノードデッドエンドの構成を採用した場合、燃料ガスの供給によるリークガスの排出路への排出が期待できない。したがって、燃料ガスの供給を開始してから、負荷を接続するまでに十分な時間を確保することは有効である。
なお、燃料電池の始動時において、燃料ガスの供給量および電気的な負荷を接続するまでの所定時間TAのうち少なくとも一方を、燃料電池の運転開始時におけるリークガス滞留量に基づいて決定する構成とすることも可能である。このリークガス滞留量は、例えば、燃料電池において前回の起動終了時から今回の始動時までの燃料電池停止期間や燃料電池の温度から推定するようにしてもよい。燃料電池の温度は、例えば、燃料電池を冷却する冷媒の温度等に基づいて検出することができる。このようにすれば、燃料電池の始動時間の短縮化を実現しつつ、アノード側の燃料ガス流路におけるリークガス滞留量を減少させることができる。
また、燃料電池の始動時に負荷を接続するタイミングを、アノード側の水素濃度や、不純物ガス濃度に基づいて決定しても良い。上記実施例の燃料電池において、水素濃度センサをアノード側の燃料ガス流路内の所定部位に取り付け、始動時において、アノード側の燃料ガス流路に燃料ガスの供給が開始された後、水素濃度センサから検出される水素濃度値を監視する。水素濃度値が、所定の閾値より高くなった場合に、電気的な負荷を接続するものとすれば、アノードにおいて、水素欠乏運転となることを抑制することができる。このほか、アノード側の圧力や温度から、電気的な負荷の接続のタイミングを求める構成なども可能である。
本発明の燃料電池を備える第1実施例としての燃料電池システム1000の概略構成を示す説明図である。 第1実施例の燃料電池100の概略構成を示す説明図である。 第2実施例の燃料電池100Aの概略構成を示す説明図である。 第3実施例の燃料電池100Bの概略構成を示す説明図である。 本発明の燃料電池を備える第4実施例としての燃料電池システム1000Cの概略構成を示す説明図である。 第4実施例の燃料電池100Cの概略構成を示す説明図である。 第5実施例の燃料電池100Dの概略構成を示す説明図である。 第1変形例の構成を示す説明図である。 分散板2100の機能を説明する説明図である。 第2変形例の構成を示す説明図である。 プレスメタルを用いて構成された分散板2102を示す説明図である。 図11におけるC−C断面を示す模式図である。 分散板2014hmの内部に流路を形成した構成例を示す説明図である。 パイプを使用して分散板2014hpを形成した例を示す説明図である。 分岐流路タイプの燃料ガス流路を用いた構成例を示す模式図である。 流路が葛籠折れの形状をとっているサーペンタイン型流路を備えた流路形成部材の構成例を模式的に示す模式図である。 変形例10についての燃料ガスの流れを説明する説明図である。 変形例11についての燃料ガスの流れを説明する説明図である。 燃料電池の構成例を示す説明図である。 燃料電池の構成例を示す説明図である。
符号の説明
1000,1000C...燃料電池システム
100,100A,100B,100C,100D...燃料電池
10...膜電極接合体
20,22...水素供給配管
24...レギュレータ
30...空気供給配管
32...エアコンプレッサ
34...カソードオフガス排出配管
40...制御ユニット
110...電解質膜
110a...アノード側触媒層
110c...カソード側触媒層
120a...アノード側拡散層
120c...カソード側拡散層
125...シート部材
125i...水素供給口
130a,130Ba,130Ca,130Da...アノード側金属多孔体
132...整流板
132a,132b...湾曲部
134...整流板
134a,134b...湾曲部
130c...カソード側金属多孔体
140a,140Aa,140Ba,140Ca,140Da...アノード側セパレータ
142Aap...燃料ガス流路
142,142C...バイパス流路
140Aai...水素供給口
140c...カソード側セパレータ
150...エゼクタ
150i...ガス導入口
150o...流体排出口
150s...流体吸引口
2000...膜電極接合体
2014hm...分散板
2014hp...分散板
2100,2101,2102...分散板
2102t...突部
2110,2112...細孔
2130...パイプ
2140...フレーム
2141n...細孔
2142n...流路
2143n...細孔
2200...水素側電極
2201,2202,2203,2204...膜電極接合体
2300...電解質膜
2400...酸素側電極
5000...流路形成部材
5010...主流路
5020...副流路
5030...櫛歯流路
5100...流路形成部材
5110...外壁
5120...流路壁
5150...流入口
5200...流路形成部材
5210...外壁
5220...流路壁
5230...仕切壁
5250...流入口
7417a,7417b...燃料ガス供給口
7517a,7517b...燃料ガス供給口
7540...多孔体
7550...フレーム
7555...開口部

Claims (7)

  1. 電解質膜の両面に、それぞれ、アノード、および、カソードを接合してなる発電体を備え、前記アノードに供給された燃料ガスのほぼすべてを、外部に排出することなく、内部に滞留させた状態で発電に利用する燃料電池であって、
    前記発電体における前記アノードの表面側に設けられ、前記アノードに供給すべき燃料ガスを流すための燃料ガス流路を構成する流路構成部材を備え、
    前記流路構成部材は、前記燃料ガス流路中を流れる燃料ガスを前記アノードに供給するための供給口を備えており、
    前記アノード、および、前記流路構成部材の少なくとも一方は、前記アノード、および、前記燃料ガス流路の少なくとも一方の内部において、該内部に存在する流体を、少なくとも前記アノードの表面にほぼ平行な方向に循環させるための流体循環部を備える、
    燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池であって、
    前記流体循環部として、流体素子を備える、
    燃料電池。
  3. 請求項2記載の燃料電池であって、
    前記アノード、および、前記燃料ガス流路の少なくとも一方の内部には、前記流体中に含まれる発電に寄与しないガスである不純物ガスが滞留しやすい第1の領域と、該第1の領域よりも前記不純物ガスが滞留しにくい第2の領域とが存在しており、
    前記流体素子は、前記第1の領域に配置されている、
    燃料電池。
  4. 請求項1記載の燃料電池であって、
    前記流体循環部として、前記供給口から供給された燃料ガスの流れを利用して、前記流体の流れを制御するための整流板を備える、
    燃料電池。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の燃料電池であって、
    前記流路構成部材は、
    前記発電体における前記アノードの表面側に積層され、導電性、および、ガス不透過性を有するシート状のシート部材と、
    前記シート部材の表面側に積層され、導電性、および、ガス拡散性を有し、前記燃料ガス流路となる多孔質部材と、
    前記多孔質部材の表面側に積層され、前記発電体で発電された電力を集電する集電部材と、によって構成されており、
    前記供給口は、前記シート部材の面内に形成されている、
    燃料電池。
  6. 請求項1ないし4のいずれかに記載の燃料電池であって、
    前記流路構成部材は、少なくとも前記発電体を挟持し、前記発電体で発電された電力を集電する集電部材であり、
    前記燃料ガス流路は、前記集電部材の内部に形成されており、
    前記供給口は、前記集電部材の前記アノードと対向する側の面に形成されている、
    燃料電池。
  7. 請求項6記載の燃料電池であって、
    前記アノードと前記集電部材との間には、導電性、および、ガス拡散性を有する多孔質部材が介装されている、
    燃料電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009238594A (ja) * 2008-03-27 2009-10-15 Honda Motor Co Ltd 燃料電池システム

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