JP2009025379A - 硬化性組成物、平版印刷版原版、及び新規重合性モノマー - Google Patents

硬化性組成物、平版印刷版原版、及び新規重合性モノマー Download PDF

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Abstract

【課題】レーザー露光などにより高感度で硬化しうると共に酸素による重合阻害が抑制され、現像液や溶剤への溶解性に優れた硬化性組成物、及び、それを用いた平版印刷版原版を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される重合性モノマーと、重合開始剤と、を含有することを特徴とする硬化性組成物〔一般式(1)中、Qは、エチレン性不飽和基を含む置換基を表し、Rは、水素原子又は1価の炭化水素基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基を表す。Aは、少なくとも一つのエーテル結合を含む2価の連結基、又は炭素数が2から5である2価の連結基を表し、Bは、少なくとも一つのエーテル結合を含むn+1価の連結基、又は炭素数が2から5である2価の連結基を表す。n及びmは、それぞれ独立に、1から3の整数を表す。mが1の場合、2つのRはそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。〕。
Figure 2009025379

【選択図】なし

Description

本発明は、レーザー露光などのエネルギー付与により高感度で硬化しうる新規重合性モノマー、該重合性モノマーを含有する硬化性組成物、及び該硬化性組成物を感光層に適用したネガ型の平版印刷版原版に関する。
従来、平版印刷版原版としては親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層を設けた構成を有するPS版が広く用いられ、その製版方法として、通常は、リスフイルムを介してマスク露光(面露光)後、非画像部を溶解除去することにより所望の印刷版を得ていた。近年、画像情報をコンピューターを用いて電子的に処理、蓄積、出力する、デジタル化技術が広く普及してきている。そして、そのようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきた。その結果レーザー光のような指向性の高い光をデジタル化された画像情報に従って走査し、リスフイルムを介すこと無く、直接印刷版を製造するコンピューター トゥ プレート(CTP)技術が切望されており、これに適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題となっている。
このような走査露光可能なネガ型平版印刷版原版としては、例えば、親水性支持体上に、光重合開始剤、付加重合可能なエチレン性不飽和化合物、及びアルカリ現像液に可溶な特定構造の繰り返し単位を有するバインダーポリマーを含有する光重合型の感光層、並びに必要に応じて酸素遮断性の保護層を設けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、親水性支持体上に、光重合型の感光層と無機質の層状化合物を添加した酸素遮断性の保護層とを設けたネガ型平版印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
光重合硬化型の感光層を有するネガ型平版印刷版原版においては、酸素存在下でラジカル重合反応が阻害され、感度の低下や酸素濃度変動による感度変動等の問題が乗じやすく、これを防止するため、上記の如く表面に酸素遮断性の保護層を設けることや感光層表面をカバーシートで被覆することが一般的であるが、保護層やカバーシートの形成に工数がかかると共に、平版印刷版原版の製版時には除去する必要がある。このため、感光層の高感度化により保護層を必要としないネガ型感光性組成物の開発が試みられており、例えば、エーテル結合を含むバインダーを用いる感光性組成物(例えば、特許文献3参照)や、スチレン系バインダーを用いる感光性組成物(例えば、特許文献4参照。)などが提案されている。しかしながら、エーテル結合を含むバインダーを用いた感光性組成物では、実用上十分な感度は得られず、また、スチレン系バインダーを用いる感光性組成物では、感度は向上するものの、アルカリ現像液や溶剤への溶解性が低く、現像作業が効率的に行えないという問題がある。
このため、露光により高感度で硬化すると共に、保存中の感度変動が少なく、且つ、現像性にも優れた、ネガ型の平版印刷版原版の感光層に好適な硬化性組成物が望まれている。
特開2004−318053公報 特開平11−38633号公報 特開平8−160612号公報 特開2001−290271公報
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の第1の目的は、レーザー露光などのエネルギー付与により高感度で硬化しうると共に酸素による重合阻害が抑制され、且つ、現像液や溶剤への溶解性に優れた硬化性組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、高感度で画像形成可能であり、感度変動が抑制され、且つ、未硬化部の現像除去性に優れた平版印刷版原版を提供することにある。
本発明の第3の目的は、前記硬化性組成物に好適な新規重合性モノマーを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、硬化性組成物に新規重合性モノマーを用いることで上記目的が達成されることを見出し、本発明を成すに至った。
即ち、前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
本発明の硬化性組成物は、下記一般式(1)で表される重合性モノマーと、重合開始剤と、を含有することを特徴とする。
Figure 2009025379
上記一般式(1)中、Qは、エチレン性不飽和基を含む置換基を表し、Rは、水素原子又は1価の炭化水素基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基を表す。Aは、少なくとも一つのエーテル結合を含む2価の連結基、又は炭素数が2から5である2価の連結基を表し、Bは、少なくとも一つのエーテル結合を含むn+1価の連結基、又は炭素数が2から5である2価の連結基を表す。n及びmは、それぞれ独立に、1から3の整数を表す。mが1の場合、2つのRはそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
本発明の硬化性組成物において、重合開始剤が光重合開始剤であることが好ましい。
また、本発明の硬化性組成物は、増感色素を更に含有することが好ましい態様である。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、本発明の硬化性組成物を含有する感光層を有することを特徴とする。
なお、本発明の平版印刷版原版は、支持体上に前記本発明の硬化性組成物を含む感光層を有することを要するが、バックコート層など、目的に応じて設けられる、これら以外の任意の層を有していてもよい。
また、本発明の新規重合性モノマーは、下記一般式(1)で表される重合性モノマーである。
Figure 2009025379
上記一般式(1)中、Qは、エチレン性不飽和基を含む置換基を表し、Rは、水素原子又は1価の炭化水素基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基を表す。Aは、少なくとも一つのエーテル結合を含む2価の連結基、又は炭素数が2から5である2価の連結基を表し、Bは、少なくとも一つのエーテル結合を含むn+1価の連結基、又は炭素数が2から5である2価の連結基を表す。n及びmは、それぞれ独立に、1から3の整数を表す。mが1の場合、2つのRはそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
本発明における一般式(1)で表される新規重合性モノマーは、ウレア結合を含むことで、酸素による重合阻害を効果的に抑制し、更に、A及びBで表される連結基が、エーテル結合を含むか、極めて短い鎖長の連結基であるために、優れた溶解性を発現することができる。
そのため、この新規重合性モノマーを使用した本発明の硬化性組成物は、酸素に影響を受け難い優れた硬化性と、良好な溶解性とが両立するものと考えられる。
本発明によれば、レーザー露光などのエネルギー付与により高感度で硬化しうると共に酸素による重合阻害が抑制され、且つ、現像液や溶剤への溶解性に優れた硬化性組成物を提供することにある。
また、本発明によれば、高感度で画像形成可能であり、感度変動が抑制され、且つ、未硬化部の現像除去性に優れた平版印刷版原版を提供することにある。
更に、本発明によれば、前記硬化性組成物に好適な、酸素による重合阻害を抑制し、且つ、溶剤への溶解性に優れた新規重合性モノマーを提供することにある。
<硬化性組成物>
本発明の硬化性組成物は、一般式(1)で表される重合性モノマーの少なくとも1種と、重合開始剤と、を必須成分として含有し、必要に応じて、光重合開始剤などのその他の成分を含有することを特徴とする。
本発明の硬化性組成物は、露光などのエネルギー付与により重合開始剤から発生したラジカルなどの開始種により、重合性モノマーが重合し、硬化する組成物である。
以下、本発明の硬化性組成物に含まれる各成分について説明する。
〔(A−1)新規重合性モノマー〕
まず、本発明の特徴的成分である下記一般式(1)で表される重合性モノマー(以下、適宜、特定重合性モノマーと称する。)について述べる。
Figure 2009025379
上記一般式(1)において、Qは、エチレン性不飽和基を含む置換基を表し、Rは、水素原子又は1価の炭化水素基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基を表す。Aは、少なくとも一つのエーテル結合を含む2価の連結基、又は炭素数が2から5である2価の連結基を表し、Bは、少なくとも一つのエーテル結合を含むn+1価の連結基、又は炭素数が2から5である2価の連結基を表す。n及びmは、それぞれ独立に、1から3の整数を表す。mが1の場合、2つのRはそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
前記Qはエチレン性不飽和基を含む置換基を表す。この置換基Qは、その構造中にエチレン性不飽和結合を少なくとも1個有するものであればよく、2個以上有するものであってもよい。
Qとしては、具体的には、不飽和カルボン酸、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸などにおけるCH=CH−の如き部分構造を、好ましくは末端に有するものが挙げられる。
Qとしては、具体的には、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等が挙げられる。
前記Rは水素原子又は1価の炭化水素基を表す。ここで炭化水素基としては、炭素数1〜10程度のものが好ましい。なお、炭化水素基は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。
具体的には、Rとしては、水素原子、又は炭素数1〜4の炭化水素基が好ましく、より具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましいものとして挙げられ、水素原子、又はメチル基が特に好ましい。
また、mが1の場合、分子内には2つのRが存在することになるが、この2つのRはそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
前記R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基を表す。ここで炭化水素基としては、炭素数1〜10程度のものが好ましい。なお、炭化水素基は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。
具体的には、R及びRとしては、水素原子、又は炭素数1〜4の炭化水素基が好ましく、より具体的には、水素原子、メチル基、エチル基が好ましいものとして挙げられ、特に、水素原子、又はメチル基が更に好ましい。
前記Aは、少なくとも一つのエーテル結合を含む2価の連結基、又は炭素数が2から5である2価の連結基を表す。
少なくとも一つのエーテル結合を含む2価の連結基としては、例えば、−C−O−C−、−C−O−C−、−C−O−C−、−C−O−C10−、−C−O−C−、−C−O−C−、−C−O−C10−、−C−O−C−、−C−O−C10−、−C10−O−C10−が挙げられ、中でも、−C−O−C−、−C−O−C−が好ましい。
また、炭素数が2から5である2価の連結基としては、炭素数2から3であるものが好ましく、炭素数2であるものがより好ましい。具体的には、炭素数が2から5である2価の連結基としては、−C−、−C−、−C−などが挙げられ、特に、−C−が好ましい。
前記Bは、少なくとも一つのエーテル結合を含むn+1価の連結基、又は炭素数が2から5であるn+1価の連結基を表す。
エーテル結合を含むn+1価の連結基としては、具体的には、例えば、−C−O−C−などの2価の連結基、−C−O−CH(C)−などの3価の連結基、−C−O−C(C)−などの4価の連結基等が挙げられる。中でも、−C−O−C−が好ましい。
また、炭素数が2から5であるn+1価の連結基としては、炭素数2から4であるものが好ましく、炭素数2から3であるものがより好ましく、炭素数2であるものが更に好ましい。具体的には、−C−、−C−、などの2価の連結基、−CH(C)−、−C(CH)(CH)−などの3価の連結基、−C(CH)−などの4価の連結基等が挙げられる。中でも、−C−、−C(CH)(CH)−が好ましい。
前記mは1から3の整数を表し、2又は3であることが好ましく、最も好ましくは2である。
また、前記nは1から3の整数を表し、1又は2であることが好ましく、最も好ましくは1である。
一般式(1)で表される重合性モノマーの具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009025379
Figure 2009025379
Figure 2009025379
Figure 2009025379
これらの特定重合性モノマーは、各種アミン化合物と重合性基含有イソシアナートを反応させることにより容易に合成することができる。
合成法の詳細は以下の実施例に示す。
本発明の特定重合性モノマーは、前述のように、酸素による重合阻害を抑制し、且つ、溶剤への溶解性に優れることから、本発明の硬化性組成物に好適であり、その他、印刷版、コーティング剤、感光性フィルムなどにも適用することができる。
これらの特定重合性モノマーの分子量としては、100〜10000の範囲であることが好ましく、100〜3000の範囲であることがより好ましく、300〜600の範囲であることが更に好ましい。
本発明の硬化性組成物中に、これら重合性モノマーは1種のみを含んでいてもよく、2種以上を含むこともできる。
本発明の硬化性組成物中における、前記特定重合性モノマーの含有量としては、固形分換算で、10〜90質量%の範囲であり、30〜80質量%の範囲であることがより好ましく、更に好ましくは、50〜70質量%の範囲である。
<(A−2)他の重合性化合物>
本発明の硬化性組成物中における重合性化合物は、すべて前記した特定重合性モノマーであってもよいが、目的に応じ、本発明の効果を損なわない限りにおいては、他の重合性化合物を併用してもよい。
併用可能な重合性化合物としては、付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、即ち、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物であって、前記特定重合性モノマー以外のものから選択して用いることができる。
このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、即ち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号公報、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(i)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
Figure 2009025379
(一般式(i)中、R及びR’は、各々独立に、H又はCHを示す。)
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
更に、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光硬化性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号公報、特公平1−40337号公報、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌 vol. 20、No. 7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これら併用可能な重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な硬化性組成物の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、本発明の硬化性組成物を、ネガ型平版印刷版原版の感光層として用いる場合には、次のような観点から選択される。感光スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部即ち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と強度の両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や疎水性の高い化合物は、感光スピードや膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましくない場合がある。また、感光層中の他の成分(例えば、(A−1)特定重合性モノマー、バインダーポリマー、重合開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。
また、本発明の硬化性組成物を平版印刷版原版の感光層として適用した場合は、かかる平版印刷版原版の支持体や後述の保護層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
硬化性組成物中における他の重合性化合物は、(A−1)特定重合性モノマーに対して、好ましくは0〜50質量%、更に好ましくは0〜20質量%の範囲で使用される。
<(B)重合開始剤>
本発明に用いられる重合開始剤としては、光、熱或いはその両方のエネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進する化合物を用いることができ、具体的には、例えば、公知のラジカル発生剤などを挙げることができる。本発明に使用できるラジカル発生剤としては、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などを使用することができ、本発明において好適に用いられるラジカルを発生する化合物は、光エネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を、開始、促進させる化合物を指す。
エネルギー付与によりラジカルを発生する、重合開始剤は、本発明の硬化性組成物中に、単独又は2種以上を併用して用いることができる。
本発明においては、レーザー露光にてラジカル発生を行う点から、重合開始剤として光重合開始剤を用いることが好ましい。
ラジカル発生剤としては、例えば、(a)有機ハロゲン化化合物、(b)カルボニル化合物、(c)有機過酸化化合物、(d)アゾ系重合開始剤、(e)アジド化合物、(f)メタロセン化合物、(g)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(h)有機ホウ酸化合物、(i)ジスルホン酸化合物、(j)オキシムエステル化合物、(k)オニウム塩化合物などが挙げられる。
以下、それぞれの化合物について説明する。
(a)有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、若林等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1(No3),(1970)」筆に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:S−トリアジン化合物が挙げられる。
より好適には、すくなくとも一つのモノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体、具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2―n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ナトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
(b)カルボニル化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドトキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体等を挙げることができる。
(c)有機過酸化化合物としては、例えば、トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、ターシルカーボネート、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
(d)アゾ化合物としては例えば、特開平8−108621に記載のアゾ化合物等を使用することができる。
(e)アジド化合物としては、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン等の化合物を挙げることができる。
(f)メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
(g)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各公報記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
(h)有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837、特開2002−107916、特許第2764769号、特願2000−310808号、等の各公報、及び、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩、特開平6−157623号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体或いは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
(i)ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号公報、特願2001−132318明細書等に記載される化合物が挙げられる。
(j)オキシムエステル化合物としては、J.C.S. Perkin II (1979)P1653−1660)、J.C.S. Perkin II (1979)P156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)P202−232、特開2000−66385公報記載の化合物、特開2000−80068公報記載の化合物、具体的には以下に記載の化合物などが挙げられる。
Figure 2009025379
Figure 2009025379
(k)オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号の各明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号、に記載のヨードニウム塩、欧州特許第370,693号、同390,214号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホニウム塩、
J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。
特に反応性、安定性の面から上記オキシムエステル化合物或いは以下に詳述するジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩が好ましい重合開始剤として挙げられる。本発明において、これらのオニウム塩は酸発生剤ではなく、イオン性のラジカル重合開始剤として機能する。
本発明において好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(RI−I)〜(RI−III)で表されるオニウム塩である。
Figure 2009025379
一般式(RI−I)中、Ar11は置換基を1〜6有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。
11 は1価の陰イオンを表し、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンであり、安定性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオンが好ましい。
一般式(RI−II)中、Ar21、Ar22は各々独立に置換基を1〜6有していてもよい炭素数20以下のアリール基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。
21 は1価の陰イオンを表し、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンであり、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましい。
一般式(RI−III)中、R31、R32、R33は各々独立に置換基を1〜6有していてもよい炭素数20以下のアリール基又はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を表し、好ましくは反応性、安定性の面から、アリール基であることが望ましい。好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基、炭素数1〜12のアルキニル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアリーロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキルアミノ基、炭素数1〜12のジアルキルアミノ基、炭素数1〜12のアルキルアミド基又はアリールアミド基、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1〜12のチオアルキル基、炭素数1〜12のチオアリール基が挙げられる。
31 は1価の陰イオンを表し、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン、硫酸イオンであり、安定性、反応性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、カルボン酸イオンが好ましく、特に、特願2000−160323のカルボン酸イオン、更に好ましくは特願2001−177150、特願2000−266797のカルボン酸イオンが好ましい。
以下に、本発明において重合開始剤として好適に使用されるオニウム塩化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
Figure 2009025379
Figure 2009025379
Figure 2009025379
Figure 2009025379
Figure 2009025379
Figure 2009025379
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本発明における重合開始剤としては、特に反応性、安定性の面から上記各化合物のうち、(j)オキシムエステル化合物、及び、(k)オニウム塩化合物に包含されるジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩が好適なものとして挙げられる。本発明において、これらのオニウム塩は酸発生剤ではなく、イオン性のラジカル重合開始剤として機能する。
本発明の特に好ましい重合開始剤は、反応性、安定性のバランスから電子供与性基を有するヨードニウム塩、又は電子吸引性基を有するスルホニウム塩であり、中でも、カチオン部を有する骨格にアルコキシ基などを2つ以上有するヨードニウム塩が好ましく、アルコキシ基を3つ以上有するヨードニウム塩が最も好ましい。
これらの(B)重合開始剤は、硬化性組成物中に、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの(B)重合開始剤は、硬化性組成物を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%の割合で添加することができる。この範囲で、高感度な硬化性が得られ、この組成物を平版印刷版原版の感光層に適用した場合に、良好な感度と印刷時の非画像部の良好な汚れ難さが得られる。
また、これらの重合開始剤は他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
本発明の硬化性組成物中には、前記(A−1)特定重合性モノマー及び(B)重合開始剤を必須成分として含むが、目的に応じて他の化合物を含有することができる。
以下、本発明の硬化性組成物に用いうる他の成分について述べる。
<(C)増感色素>
本発明の硬化性組成物には、感度向上を目的として増感色素を用いることができる。該増感色素としては、300〜850nmに吸収ピークを有するものが好ましく、300〜600nmに吸収ピークを有するものが更に好ましい。このような増感色素としては、分光増感色素、光源の光を吸収して光重合開始剤と相互作用する以下に示す染料或いは顔料が挙げられる。
好ましい分光増感色素又は染料としては、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロラン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオエン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、フタロシアニン類で(例えば、フタロシアニン、メタルフタロシアニン)、ポルフィリン類(例えば、テトラフェニルポルフィリン、中心金属置換ポルフィリン)、クロロフィル類(例えば、クロロフィル、クロロフィリン、中心金属置換クロロフィル)、金属錯体、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スタアリウム類(例えば、スタアリウム)等が挙げられる。
より好ましい分光増感色素又は染料の例としては、特公昭37−13034号公報記載のスチリル系色素、特開昭62−143044号公報記載の陽イオン染料、特公昭59−24147号公報記載のキノキサリニウム塩、特開昭64−33104号公報記載の新メチレンブルー化合物、特開昭64−56767号公報記載のアントラキノン類、特開平2−1714号公報記載のベンゾキサンデン染料、特開平2−226148号及び特開平2−226149号各公報記載のアクリジン類、特公昭40−28499号公報記載のピリリウム塩類、特公昭46−42363号公報記載のシアニン類、特開平2−63053号公報記載のベンゾフラン色素、特開平2−85858号、特開平2−216154号各公報記載の共役ケトン色素、特開昭57−10605号公報記載の色素、特公平2−30321号公報記載のアゾシンナミリデン誘導体、特開平1−287105号公報記載のシアニン系色素、特開昭62−31844号、特開昭62−31848号、特開昭62−143043号各公報記載のキサンテン系色素、特公昭59−28325号公報記載のアミノスチリルケトン、特公昭61−962l号公報記載のメロシアニン色素、特開平2−179643号公報記載の色素、特開平2−244050号公報記載のメロシアニン色素、特公昭59−28326号公報記載のメロシアニン色素、特開昭59−89803号公報記載のメロシアニン色素、特開平8−129257号記載のメロシアニン色素、特開平8−334897号記載のベンゾピラン系色素、等を挙げることができる。
本発明に用いられる増感色素は下記一般式(12)で表されるものであることが更に好ましい。
Figure 2009025379
一般式(12)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子ないし−N(R)−を表し、Yは酸素原子又は−N(R)−を表す。R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は、1価の非金属原子団を表し、AとR、R、Rとは、それぞれ互いに結合して、脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。
ここで、R、R、Rが1価の非金属原子団をあらわすとき、好ましくは、置換若しくは無置換のアルキル基又はアリール基を表す。
次に、R、R、Rの好ましい例について具体的に述べる。好ましいアルキル基の例としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、及び環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
置換アルキル基の置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団の基が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルオキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、
アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基(−PO)及びその共役塩基基(以下、ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスホノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(以後、ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、これらは更に置換基を有していてもよい。
また、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。
ヘテロアリール基としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環、又は多環芳香族環から誘導される基が用いられ、特に好ましいヘテロアリール基中のヘテロアリール環の例としては、例えば、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサジン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、アクリジン、ペリミジン、フェナンスロリン、フタラジン、フェナルザジン、フェノキサジン、フラザン等が挙げられ、これらは、更にベンゾ縮環してもよく、また置換基を有していてもよい。
また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基、等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(GCO−)におけるGとしては、水素、並びに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。これら置換基のうち、更により好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基、アルキリデン基(メチレン基等)が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状並びに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
上記置換基とアルキレン基を組み合わせることにより得られるR、R、又はRとして好ましい置換アルキル基の具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトプロピル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノヘキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、等を挙げることができる。
、R、又はRとして好ましいアリール基の具体例としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
、R、又はRとして好ましい置換アリール基の具体例としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、(水素原子以外の)1価の非金属原子団の基を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、並びに、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。このような、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基、ジエチルホスフォノフェニル基、ジフェニルホスフォノフェニル基、メチルホスフォノフェニル基、メチルホスフォナトフェニル基、トリルホスフォノフェニル基、トリルホスフォナトフェニル基、アリルフェニル基、1−プロペニルメチルフェニル基、2−ブテニルフェニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基、等を挙げることができる。
なお、R及びRの更に好ましい例としては、置換若しくは無置換のアルキル基が挙げられる。また、Rの更に好ましい例としては、置換若しくは無置換のアリール基が挙げられる。その理由は定かではないが、このような置換基を有することで、光吸収により生じる電子励起状態と開始剤化合物との相互作用が特に大きくなり、開始剤化合物のラジカル、酸又は塩基を発生させる効率が向上するためと推定される。
次に、一般式(12)におけるAについて説明する。Aは置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環の具体例としては、一般式(12)におけるR、R、又はRについての前述の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
中でも、好ましいAとしては、アルコキシ基、チオアルキル基、アミノ基を有するアリール基が挙げられ、特に好ましいAとしては、アミノ基を有するアリール基が挙げられる。
次に、一般式(12)におけるYについて説明する。Yは上述のA及び隣接炭素原子と共同して、複素環を形成するのに必要な非金属原子団を表す。このような複素環としては縮合環を有していてもよい5、6、7員の含窒素、或いは含硫黄複素環が挙げられ、好ましくは5、6員の複素環がよい。
含窒素複素環の例としては例えば、L.G.Brookerら著、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)第73巻(1951年)、p.5326−5358及び参考文献に記載されるメロシアニン色素類における塩基性核を構成するものとして知られるものをいずれも好適に用いることができる。
具体例としては、チアゾール類(例えば、チアゾール、4−メチルチアゾール、4−フェニルチアゾール、5−メチルチアゾール、5−フェニルチアゾール、4,5−ジメチルチアゾール、4,5−ジフェニルチアゾール、4,5−ジ(p−メトキシフェニルチアゾール)、4−(2−チエニル)チアゾール、4,5−ジ(2−フリル)チアゾール等)、ベンゾチアゾール類(例えば、ベンゾチアゾール、4−クロロベンゾチアゾール、5−クロロベンゾチアゾール、6−クロロベンゾチアゾール、7−クロロベンゾチアゾール、4−メチルベンゾチアゾール、5−メチルベンゾチアゾール、6−メチルベンゾチアゾール、5−ブロモベンゾチアゾール、4−フェニルベンゾチアゾール、5−フェニルベンゾチアゾール、4−メトキシベンゾチアゾール、5−メトキシベンゾチアゾール、6−メトキシベンゾチアゾール、5−ヨードベンゾチアゾール、6−ヨードベンゾチアゾール、4−エトキシベンゾチアゾール、5−エトキシベンゾチアゾール、テトラヒドロベンゾチアゾール、5,6−ジメトキシベンゾチアゾール、5,6−ジオキシメチレンベンゾチアゾール、5−ヒドロキシベンゾチアゾール、6−ヒドロキシベンゾチアゾール、6−ジメチルアミノベンゾチアゾール、5−エトキシカルボニルベンゾチアゾール、等)、
ナフトチアゾール類(例えば、ナフト[1,2]チアゾール、ナフト[2,1]チアゾール、5−メトキシナフト[2,1]チアゾール、5−エトキシナフト[2,1]チアゾール、8−メトキシナフト[1,2]チアゾール、7−メトキシナフト[1,2]チアゾール、等)、チアナフテノ−7’,6’,4,5−チアゾール類(例えば、4’−メトキシチアナフテノ−7’,6’,4,5−チアゾール、等)、オキサゾール類(例えば、4−メチルオキサゾール、5−メチルオキサゾール、4−フェニルオキサゾール、4,5−ジフェニルオキサゾール、4−エチルオキサゾール、4,5−ジメチルオキサゾール、5−フェニルオキサゾール等)、ベンゾオキサゾール類(ベンゾオキサゾール、5−クロロベンゾオキサゾール、5ーメチルベンゾオキサゾール、5−フェニルベンゾオキサゾール、6−メチルベンゾオキサゾール、5,6−ジメチルベンゾオキサゾール、4,6−ジメチルベンゾオキサゾール、6−メトキシベンゾオキサゾール、5−メトキシベンゾオキサゾール、4−エトキシベンゾオキサゾール、5−クロロベンゾオキサゾール、6ーメトキシベンゾオキサゾール、5−ヒドロキシベンゾオキサゾール、6−ヒドロキシベンゾオキサゾール、等)、ナフトオキサゾール類(例えば、ナフト[1,2]オキサゾール、ナフト[2,1]オキサゾール、等)、セレナゾール類(例えば、4−メチルセレナゾール、4−フェニルセレナゾール、等)、ベンゾセレナゾール類(例えば、ベンゾセレナゾール、5−クロロベンゾセレナゾール、5−メトキシベンゾセレナゾール、5−ヒドロキシベンゾセレナゾール、テトラヒドロベンゾセレナゾール、等)、ナフトセレナゾール類(例えば、ナフト[1,2]セレナゾール、ナフト[2,1]セレナゾール、等)、
チアゾリン類(例えば、チアゾリン、4−メチルチアゾリン、4,5−ジメチルチアゾリン、4−フェニルチアゾリン、4,5−ジ(2−フリル)チアゾリン、4,5−ジフェニルチアゾリン、4,5−ジ(p−メトキシフェニル)チアゾリン等)、2−キノリン類(例えば、キノリン、3−メチルキノリン、5−メチルキノリン、7−メチルキノリン、8−メチルキノリン、6−クロロキノリン、8−クロロキノリン、6−メトキシキノリン、6−エトキシキノリン、6−ヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキノリン、等)、4−キノリン類(例えば、キノリン、6−メトキシキノリン、7−メチルキノリン、8−メチルキノリン、等)、1−イソキノリン類(例えば、イソキノリン、3,4−ジヒドロイソキノリン、等)、3−イソキノリン類(例えば、イソキノリン等)、ベンズイミダゾール類(例えば、1,3−ジメチルベンズイミダゾール、1,3−ジエチルベンズイミダゾール、1−エチル−3−フェニルベンズイミダゾール、等)、3,3−ジアルキルインドレニン類(例えば、3,3−ジメチルインドレニン、3,3,5−トリメチルインドレニン、3,3,7−トリメチルインドレニン、等)、2−ピリジン類(例えば、ピリジン、5−メチルピリジン、等)、4−ピリジン(例えば、ピリジン等)等を挙げることができる。また、これらの環の置換基同士が結合して環を形成していてもよい。
また、含硫黄複素環の例としては、例えば、特開平3−296759号記載の色素類におけるジチオール部分構造を挙げることができる。
具体例としては、ベンゾジチオール類(例えば、ベンゾジチオール、5−t−ブチルベンゾジチオール、5−メチルベンゾジチオール、等)、ナフトジチオール類(例えば、ナフト[1,2]ジチオール、ナフト[2,1]ジチオール、等)、ジチオール類(例えば、4,5−ジメチルジチオール類、4−フェニルジチオール類、4−メトキシカルボニルジチオール類、4,5−ジメトキシカルボニルジチオール類、4,5−ジエトキシカルボニルジチオール類、4,5−ジトリフルオロメチルジチオール、4,5−ジシアノジチオール、4−メトキシカルボニルメチルジチオール、4−カルボキシメチルジチオール、等)等を挙げることができる。
以上に述べた一般式(12)における、Yが上述のA及び隣接する炭素原子と共同して形成する含窒素或いは含硫黄複素環の例のうち、下記一般式(13)の部分構造式で表される構造を有する色素は、高い増感能を有する上、保存安定性にも非常に優れた、感光性組成物を与えるため、特に好ましい。
Figure 2009025379
一般式(13)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子ないし−N(R)−を表す。R、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の非金属原子団を表し、AとR、R、R、Rは、それぞれ互いに結合して、脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。
一般式(13)中、A及びRは一般式(12)におけるのと同義であり、Rは一般式(12)におけるRと、Rは一般式(12)におけるRと、Rは一般式(12)におけるRと、それぞれ同義である。
一般式(12)で表される化合物は、下記一般式(14)で表される化合物であることが更に好ましい。
Figure 2009025379
一般式(14)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子ないし−N(R)−を表す。R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は、1価の非金属原子団であり、AとR、R、Rは、それぞれ互いに、脂肪族性又は芳香族性の環を形成するために結合することができる。Arは置換基を有する芳香族環又はヘテロ環を表す。但し、Ar骨格上の置換基は、そのハメット値の総和が0より大きいことを要する。ここでハメット値の総和が0より大きいとは、1つの置換基を有し、その置換基のハメット値が0より大きいものであってもよく、複数の置換基を有し、それらの置換基におけるハメット値の総和が0より大きいものであってもよい。
一般式(14)中、A及びRは一般式(12)におけるものと同義であり、Rは一般式(12)におけるRと、Rは一般式(12)におけるRと同義である。また、Arは置換基を有する芳香族環又はヘテロ環を表し、具体例としては、先に一般式(12)におけるAの説明に記載されたもののうち、置換基を有する芳香族環又はヘテロ環に係る具体例が同様に挙げられる。但し、一般式(14)におけるArに導入可能な置換基としては、ハメット値の総和が0以上であることが必須であり、そのような置換基の例としては、トリフルオロメチル基、カルボニル基、エステル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、スルホキシド基、アミド基、カルボキシル基等を挙げることができる。これら置換基のハメット値を以下に示す。トリフルオロメチル基(−CF、m:0.43、p:0.54)、カルボニル基(例えば−COH、m:0.36、p:0.43)、エステル基(−COOCH、m:0.37、p:0.45)、ハロゲン原子(例えばCl、m:0.37、p:0.23)、シアノ基(−CN、m:0.56、p:0.66)、スルホキシド基(例えば−SOCH、m:0.52、p:0.45)、アミド基(例えば−NHCOCH、m:0.21、p:0.00)、カルボキシル基(−COOH、m:0.37、p:0.45)等が挙げられる。かっこ内は、その置換基のアリール骨格における導入位置と、そのハメット値を表し、(m:0.50)とは、当該置換基がメタ位に導入された時のハメット値が0.50であることを示す。このうち、Arの好ましい例としては置換基を有するフェニル基を挙げることができ、Ar骨格上の好ましい置換基としてはエステル基、シアノ基が挙げられる。置換の位置としてはAr骨格上のオルト位に位置していることが特に好ましい。
以下に、一般式(12)で表される増感色素の好ましい具体例(例示化合物D1〜例示化合物D57)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、これらのうち、一般式(13)で表される化合物に該当するものは、例示化合物D2、D6、D10、D18、D21、D28、D31、D33、D35、D38、D41、及びD45〜D57である。
Figure 2009025379
Figure 2009025379
Figure 2009025379
Figure 2009025379
Figure 2009025379
Figure 2009025379
Figure 2009025379
Figure 2009025379
このような一般式(12)で表される化合物の合成方法について述べる。
一般式(12)で表される化合物は、通常、活性メチレン基を有する酸性核と、置換若しくは非置換の芳香族環又はヘテロ環との縮合反応によって得られるが、これらは特公昭59−28329を参照して合成することができる。例えば、下記反応式(1)に示すように、酸性核化合物と、ヘテロ環上にアルデヒド基又はカルボニル基を有する塩基性核原料の縮合反応を利用する合成方法が挙げられる。縮合反応は必要に応じ、塩基(Base)存在下で実施される。塩基としては、一般的に汎用されるもの、例えば、アミン、ピリジン類(トリアルキルアミン、ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセンDBU等)、金属アミド類(リチウムジイソプロピルアミド等)、金属アルコキシド類(ナトリウムメトキシド、カリウム−t−ブトキシド等)、金属水素化物類(水素化ナトリウム、水素化カリウム等)が制限なく利用できる。
Figure 2009025379
また、望ましい他の合成方法としては、下記反応式(2)による方法が挙げられる。即ち、前記反応式(1)における酸性核化合物として、Yが硫黄原子である酸性核化合物を出発物質として用い、ヘテロ環上にアルデヒド基又はカルボニル基を有する塩基性核原料の縮合反応により色素前駆体を合成する工程までは前記反応式(1)と同様に行った後、該色素前駆体に、更に硫黄原子と化学的に相互作用し金属硫化物を形成可能である金属塩及び水或いは1級アミン化合物(R−NH:ここでRは1価の非金属原子団を表す)を作用させる反応である。
これらのうち、反応式(2)で表される反応は各反応の収率が高く、合成効率上特に好ましく、中でも、前記一般式(13)で表される化合物を合成する場合にこの反応式(2)で表される反応が有用である。
Figure 2009025379
なお、前記反応式(2)中、Mn+はチオカルボニル基の硫黄原子と化学的に相互作用し金属硫化物を形成可能である金属塩を表す。具体的な化合物としては、例えば、MがAl、Au、Ag、Hg、Cu、Zn、Fe、Cd、Cr、Co、Ce、Bi、Mn、Mo、Ga、Ni、Pd、Pt、Ru、Rh、Sc、Sb、Sr、Mg、Ti等であり、Xが、F、Cl、Br、I、NO、SO、NO、PO、CHCO等であるAgBr、AgI、AgF、AgO、AgCl、AgO、Ag(NO)、AgSO、AgNO、AgCrO、AgPO、Hg(NO、HgBr、HgBr、HgO、HgI、Hg(NO、Hg(NO、HgBr、HgSO、Hg、HgSO、Hg(CHCO、AuBr、AuBr、AuI、AuI、AuF、Au、AuCl、AuC1、CuCl、CuI、CuI、CuF、CuO、CuO、Cu(NO、CuSO、Cu(POの如き化合物が挙げられる。このうち、硫黄原子と相互作用しやすいという点で、最も好ましい金属塩としては銀塩が使用できる。
前記本発明に用いられる一般式(12)で表される増感色素に関しては、更に、本発明の硬化性組成物の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、増感色素と、付加重合性化合物構造(例えば、アクリロイル基やメタクリロイル基)とを、共有結合、イオン結合、水素結合等の方法により結合させることで、露光膜の高強度化や、露光後の膜からの色素の不要な析出抑制を行うことができる。
また、増感色素と前述の開始剤化合物におけるラジカル発生能を有する部分構造(例えば、ハロゲン化アルキル、オニウム、過酸化物、ビイミダゾール等の還元分解性部位や、ボレート、アミン、トリメチルシリルメチル、カルボキシメチル、カルボニル、イミン等の酸化解裂性部位)との結合により、特に開始系の濃度の低い状態での感光性を著しく高めることができる。
更に、本発明の硬化性組成物を好ましい使用様態であるネガ型感光層を有する平版印刷版原版として用いる場合には、感光層のアルカリ系、或いは、水系の現像液への処理適性を高める目的に対しては、親水性部位(カルボキシル基並びにそのエステル、スルホン酸基並びにそのエステル、エチレンオキサイド基等の酸基若しくは極性基)の導入が有効である。特にエステル型の親水性基は、感光層中では比較的疎水的構造を有するため相溶性に優れ、かつ、現像液中では、加水分解により酸基を生成し、親水性が増大するという特徴を有する。
その他、例えば、感光層中での相溶性向上、結晶析出抑制のために適宜置換基を導入することができる。例えば、ある種の感光系では、アリール基やアリル基等の不飽和結合が相溶性向上に非常に有効である場合があり、また、分岐アルキル構造導入等の方法により、色素π平面間の立体障害を導入することで、結晶析出が著しく抑制できる。また、ホスホン酸基やエポキシ基、トリアルコキシシリル基等の導入により、金属や金属酸化物等の無機物への密着性を向上させることができる。そのほか、目的に応じ、増感色素のポリマー化等の方法も利用できる。
本発明に用いる増感色素としては、前記一般式(12)で表される増感色素を少なくとも一種用いることが好ましく、この一般式(12)で示される限りにおいて、例えば、先に述べた修飾を施したものなど、どのような構造の色素を用いるか、単独で使用するか2種以上併用するか、添加量はどうか、といった使用法の詳細は、最終的な硬化性組成物の性能設計にあわせて適宜設定できる。例えば、本発明の硬化性組成物を平版印刷版原版の感光層に適用する場合、増感色素を2種以上併用することで、感光層への相溶性を高めることができる。
更に、増感色素の選択は、感光性の他、使用する光源の発光波長でのモル吸光係数が重要な因子である。モル吸光係数の大きな色素を使用することにより、色素の添加量は比較的少なくできるので、経済的であり、かつ、感光層の膜物性の点からも有利である。
なお、本発明においては、前記一般式(12)で表される増感色素のみならず、本発明の効果を損なわない限りにおいて他の汎用の増感色素を用いることもできる。
感光層の感光性、解像度や、感光層の膜物性は光源波長での吸光度に大きな影響を受けるので、これらを考慮して増感色素の添加量を適宜選択する。
例えば、吸光度が0.1以下の低い領域では感度が低下する。また、ハレーションの影響により低解像度となる。但し、例えば5μm以上の厚い膜を硬化させる目的に対しては、このような低い吸光度の方がかえって硬化度を上げられる場合もある。また、吸光度が3以上のような高い領域では、感光層表面で大部分の光が吸収され、より内部での硬化が阻害され、例えば本発明の硬化性組成物を平版印刷版原版として使用する場合には膜強度、基板密着性の不十分なものとなる懸念が生じる。
例えば、本発明の硬化性組成物を比較的薄い膜厚の感光層を有する平版印刷版原版に使用する場合には、増感色素の添加量は、感光層の吸光度が0.1から1.5の範囲、好ましくは0.25から1の範囲となるように設定するのが好ましい。吸光度は前記増感色素の添加量と感光層の厚みとにより決定されるため、所定の吸光度は両者の条件を制御することにより得られる。感光層の吸光度は常法により測定することができる。測定方法としては、例えば、透明、或いは白色の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版として必要な範囲において適宜決定された厚みの感光層を形成し、透過型の光学濃度計で測定する方法、アルミニウム等の反射性の支持体上に感光層を形成し、反射濃度を測定する方法等が挙げられる。
本発明における感光層が、平版印刷版原版の感光層として利用される場合には、増感色素の添加量は、通常、感光層を構成する全固形成分100質量部に対し、0.05〜30質量部、好ましくは0.1〜20質量部、更に好ましくは0.2〜10質量部の範囲である。
(赤外線吸収剤)
本発明において、760から1,200nmの赤外線を発するレーザーを光源とした露光が行われる場合には、通常、増感色素として、これらの波長域に吸収極大を有する赤外線吸収剤が用いられる。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有している。この際発生した熱により、ラジカル発生剤(重合開始剤)が熱分解し、ラジカルを発生する。本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長750nmから850nmに吸収極大を有する染料又は顔料である。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、本発明の赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特願2001−6326、特願2001−237840記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
Figure 2009025379
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい例として下記一般式(a)〜一般式(e)で示される染料が感度の観点から好ましく、特に下記一般式(a)で示されるシアニン色素は、本発明の硬化性組成物中で使用した場合に、高い重合活性を与え、且つ、安定性、経済性に優れるため最も好ましい。
Figure 2009025379
一般式(a)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、−NAr 、X−L、又は以下に示す基を表す。ここで、Arは炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を表し、この芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、アルキル基、アリル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、カルボキシ基、ニトロ基、アミド基、エステル基、アルコキシ基、アミノ基、及び複素環基からなる群より選択される1以上の置換基を有していてもよく、これらの置換基は、前記置換基により置換されたものであってもよい。また、Xは酸素原子、硫黄原子、又は、−N(R)−を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。Lは、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。
Figure 2009025379
前記式中、Xaは後述するZaと同様に定義され、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。組成物塗布液の保存安定性から、R及びRは、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、RとRとは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar、Arは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y、Yは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R、Rは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R、R、R及びRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Zaは、対アニオンを示す。但し、一般式(a)で示されるシアニン色素がその構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合は、Zaは必要ない。好ましいZaは、組成物塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、以下に例示するものの他、特開2001−133969公報の段落番号[0017]〜[0019]、特開2002−40638公報の段落番号[0012]〜[0038]、特開2002−23360公報の段落番号[0012]〜[0023]に記載されたものを挙げることができる。
Figure 2009025379
Figure 2009025379
Figure 2009025379
Figure 2009025379
Figure 2009025379
一般式(b)中、Lは共役炭素原子数7以上のメチン鎖を表し、該メチン鎖は置換基を有していてもよく、置換基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。Zbは対カチオンを示す。好ましい対カチオンとしては、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジニウム、アルカリ金属カチオン(Na、K、Li)などが挙げられる。R〜R14及びR15〜R20は互いに独立に水素原子又はハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基から選択される置換基、或いは、これらを2つ若しくは3つ組合せた置換基を表し、互いに結合して環構造を形成していてもよい。ここで、前記一般式(b)中、Lが共役炭素原子数7のメチン鎖を表すもの、及び、R〜R14及びR15〜R20がすべて水素原子を表すものが入手の容易性と効果の観点から好ましい。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(b)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2009025379
Figure 2009025379
一般式(c)中、Y及びYは、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又はテルル原子を表す。Mは、共役炭素数5以上のメチン鎖を表す。R21〜R24及びR25〜R28は、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基を表す。また、式中Zaは対アニオンを表し、前記一般式(a)におけるZaと同義である。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(c)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2009025379
Figure 2009025379
一般式(d)中、R29〜R32は各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を示す。R33及びR34は各々独立に、アルキル基、置換オキシ基、又はハロゲン原子を示す。n及びmは各々独立に0ないし4の整数を示す。R29とR30、又は、R31とR32はそれぞれ結合して環を形成してもよく、また、R29及び/又はR30はR33と、R31及び/又はR32はR34と結合して環を形成してもよく、更に、R33或いはR34が複数存在する場合に、R33同士或いはR34同士は互いに結合して環を形成してもよい。X及びXは各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基であり、X及びXの少なくとも一方は水素原子又はアルキル基を示す。Qは置換基を有していてもよいトリメチン基又はペンタメチン基であり、2価の有機基と共に環構造を形成してもよい。Zcは対アニオンを示し、前記一般式(a)におけるZaと同義である。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(d)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2009025379
Figure 2009025379
一般式(e)中、R35〜R50は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基、オニウム塩構造を示す。Mは、2つの水素原子若しくは金属原子、ハロメタル基、オキシメタル基を示すが、そこに含まれる金属原子としては、周期律表のIA、IIA、IIIB、IVB族原子、第一、第二、第三周期の遷移金属、ランタノイド元素が挙げられ、中でも、銅、マグネシウム、鉄、亜鉛、コバルト、アルミニウム、チタン、バナジウムが好ましい。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(e)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2009025379
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01μmから10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μmから1μmの範囲にあることが更に好ましく、特に0.1μmから1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径を0.01μm以上にすると、分散物の塗布液中での安定性が増し、また、10μm以下にすると、本発明の硬化性組成物を平版印刷版原版の感光層に適用した場合に、その感光層の均一性が良好になる。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
本発明における(C)成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
本発明における(C)成分としては、シアニン色素が好ましい。
感度の観点からは、一般式(a)で示されるシアニン色素がより好ましく、一般式(a)で示されるシアニン色素の中でも、Xがジアリールアミノ基又はX−Lであるシアニン色素が好ましく、ジアリールアミノ基を有するシアニン色素が更に好ましい。
また、両末端のインドレニン部位に、電子吸引性基又は重原子含有置換基を有するシアニン色素も好ましく、例えば、特願2001−6323明細書中に記載のものが好適に用いられる。最も好ましくは、Xがジアリールアミノ基であり、両末端のインドレニン部位に電子吸引性基を有するシアニン色素である。
硬化性組成物の硬化を促進するために添加される、これらの赤外線吸収剤等の(C)増感色素は、本発明の硬化性組成物をネガ型平版印刷版原版として適用する場合、感光層に添加してもよいし、別の層、例えば上塗り層、下塗り層を設けそこへ添加してもよい。また、特に、ネガ型感光性平版印刷版の感光層に適用する場合には、これらの(C)増感色素は、感度の観点から、感光層の波長760nmから1200nmの範囲における吸収極大での光学濃度が、0.1から3.0の間にあることが好ましい。光学濃度は前記赤外線吸収剤の添加量と感光層の厚みとにより決定されるため、所定の光学濃度は両者の条件を制御することにより得られる。
感光層の光学濃度は常法により測定することができる。測定方法としては、例えば、透明、或いは白色の支持体上に、乾燥後の塗布量が平版印刷版として必要な範囲において適宜決定された厚みの感光層を形成し、透過型の光学濃度計で測定する方法、アルミニウム等の反射性の支持体上に感光層を形成し、反射濃度を測定する方法等が挙げられる。
また、感光層への添加量で述べれば、感光層全固形分中、0.5〜20質量%添加されることが好ましい。この範囲において、露光による特性変化の感度が高く、高感度化が達成されると共に、膜の均一性や強度に悪影響を与える懸念がなく、好ましい。
〔(D)バインダーポリマー〕
本発明の硬化性組成物において、その好ましい実施形態である平版印刷版用原版の感光層への適用に際しては、形成する感光層の皮膜特性向上などの目的で、必要に応じて、更にバインダーポリマーを使用することができる。バインダーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような「線状有機ポリマー」としては、公知のものを任意に使用できる。好ましくは水現像或いは弱アルカリ水現像を可能とするために、水或いは弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。線状有機ポリマーは、画像記録材料の皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水或いは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。
このようなバインダーポリマーの例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれる高分子が好ましい。中でも、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。
更に、バインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性をもたせることができる。
バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の主鎖中又は側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよいし、高分子反応によって導入してもよい。
ここで架橋性基とは、平版印刷版原版を露光した際に感光層中で起こるラジカル重合反応の過程で高分子バインダーを架橋させる基のことである。このような機能の基であれば特に限定されないが、例えば、付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。また光照射によりラジカルになり得る官能基であってもよく、そのような架橋性基としては、例えば、チオール基、ハロゲン基、オニウム塩構造等が挙げられる。中でも、エチレン性不飽和結合基が好ましく、下記一般式(D−1)〜(D−3)で表される官能基が特に好ましい。
Figure 2009025379
上記一般式(D−1)において、R〜Rはそれぞれ独立に、1価の有機基を表すが、Rとしては、好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。また、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
Xは、酸素原子、硫黄原子、又はN(R12)−を表し、R12は、水素原子、又は1価の有機基を表す。ここで、R12は、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
Figure 2009025379
上記一般式(D−2)において、R〜Rは、それぞれ独立に1価の有機基を表すが、R〜Rは、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
導入し得る置換基としては、一般式(D−1)と同様のものが例示される。
また、Yは、酸素原子、硫黄原子、又はN(R12)−を表す。R12は、一般式(D−1)のR12の場合と同義であり、好ましい例も同様である。
Figure 2009025379
上記一般式(D−3)において、Rとしては、好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。R10、R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、一般式(D−1)と同様のものが例示される。
また、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−、又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R13としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
上記の中でも、側鎖に架橋性基を有する(メタ)アクリル酸共重合体及びポリウレタンがより好ましい。
架橋性を有するバインダーポリマーは、例えば、その架橋性官能基にフリーラジカル(重合開始ラジカル又は重合性化合物の重合過程の生長ラジカル)が付加し、ポリマー間で直接に又は重合性化合物の重合連鎖を介して付加重合して、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。又は、ポリマー中の原子(例えば、官能性架橋基に隣接する炭素原子上の水素原子)がフリーラジカルにより引き抜かれてポリマーラジカルが生成し、それが互いに結合することによって、ポリマー分子間に架橋が形成されて硬化する。
バインダーポリマー中の架橋性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。
(アルカリ可溶性バインダーポリマー)
未硬化部を除去する現像処理がアルカリ現像液を用いて行われる態様においては、バインダーポリマーはアルカリ現像液に溶解する必要があるため、アルカリ水に可溶性又は膨潤性である有機高分子重合体が好ましく使用される。特にpHが10以上のアルカリ現像液を用いる場合には、アルカリ可溶性バインダーが好適に用いられる。また、水現像を行い場合、水可溶性ポリマーを用いることができる。
例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能になる。このような線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、即ち、カルボキシル基を有するモノマーを単独或いは共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独或いは共重合させ酸無水物ユニットを加水分解若しくはハーフエステル化若しくはハーフアミド化させた樹脂、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸及び酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシルスチレン等が挙げられ、酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。
また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
共重合してアルカリ可溶性樹脂を共重合体として用いる場合、共重合させる化合物として、先に挙げたモノマー以外の他のモノマーを用いることもできる。他のモノマーの例としては、下記(1)〜(12)の化合物が挙げられる。
(1)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルアクリレート、2−フェニルビニルアクリレート、1−プロペニルアクリレート、アリルアクリレート、2−アリロキシエチルアクリレート、プロパルギルアクリレート等のアルキルアクリレート。
(3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、ビニルメタクリレート、2−フェニルビニルメタクリレート、1−プロペニルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−アリロキシエチルメタクリレート、プロパルギルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、ビニルアクリルアミド、ビニルメタクリルアミド、N,N−ジアリルアクリルアミド、N,N−ジアリルメタクリルアミド、アリルアクリルアミド、アリルメタクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、p−アセトキシスチレン等のスチレン類。
(8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(12)α位にヘテロ原子が結合したメタクリル酸系モノマー。例えば、特願2001−115595、特願2001−115598等に記載されている化合物を挙げることができる。
これらの中で、側鎖にアリル基やビニルエステル基とカルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂及び特開2000−187322号、特開2002−62698に記載されている側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂や、特開2001−242612に記載されている側鎖にアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特願平10−116232号等に記載される酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーや、特開2002−107918に記載される酸基と二重結合を側鎖に有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利である。
また、EP993966、EP1204000、特開2001−318463等に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダーポリマーは、膜強度、現像性のバランスに優れており、好適である。
更にこの他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
本発明で使用されるポリマーの重量平均分子量については好ましくは5、000以上であり、更に好ましくは1万〜30万の範囲であり、数平均分子量については好ましくは1、000以上であり、更に好ましくは2、000〜25万の範囲である。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、更に好ましくは1.1〜10の範囲である。
これらのポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい。
本発明で使用されるポリマーは従来公知の方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
本発明で使用されるポリマーを合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が使用できる。
上記で述べたバインダーの中で、現像液によるダメージ抑制の観点から、バインダーポリマーとして、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸共重合体、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸共重合体等の特願2002−287920明細書に記載されている、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリマーを含有することが好ましい。
Figure 2009025379
(一般式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子から構成され、その原子数が2〜82である連結基を表す。Aは酸素原子又は−NR−を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表す。nは1〜5の整数を表す。)
前記一般式(I)において、Rで表される連結基の主骨格を構成する原子数が、1から30であることが好ましく、アルキレン構造を有すること、又は、アルキレン構造がエステル結合を介して連結された構造を有することがより好ましい。
以下、この一般式(I)で表される繰り返し単位について詳細に説明する。
一般式(I)におけるR1は、水素原子又はメチル基を表すが、特にメチル基が好ましい。
一般式(I)におけるR2で表される連結基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子から構成され、その原子数が2〜82であり、好ましくは2〜50であり、より好ましくは2〜30である。ここで示す原子数は、当該連結基が置換基を有する場合には、その置換基を含めた原子数を指す。
より具体的には、R2で表される連結基の主骨格を構成する原子数が、1から30であることが好ましく、3〜25であることがより好ましく、4〜20であることが更に好ましく、5〜10であることが最も好ましい。なお、本発明における「連結基の主骨格」とは、一般式(I)におけるAと末端COOHとを連結するためのみに使用される原子又は原子団を指し、特に、連結経路が複数ある場合には、使用される原子数が最も少ない経路を構成する原子又は原子団を指す。したがって、連結基内に環構造を有する場合、その連結部位(例えば、o−、m−、p−など)により算入されるべき原子数が異なる。
下記に、本発明の特定バインダーポリマーの構造、及び、その構造中のR2で表される連結基の主骨格を構成する原子数とその算出方法について併記する。
Figure 2009025379
Figure 2009025379
一般式(I)におけるRで表される連結基として、より具体的には、アルキレン、置換アルキレン、アリーレン、置換アリーレンなどが挙げられ、これらの2価の基がアミド結合やエステル結合で複数連結された構造を有していてもよい。
鎖状構造の連結基としては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。また、これらのアルキレンがエステル結合を介して連結されている構造もまた好ましいものとして例示することができる。
この中でも、一般式(I)におけるRで表される連結基は、炭素原子数3から30までの脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基であることが好ましい。より具体的には、任意の置換基によって一個以上置換されていてもよいシクロプロパン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、ジシクロヘキシル、ターシクロヘキシル、ノルボルナン等の脂肪族環状構造を有する化合物を構成する任意の炭素原子上の水素原子を(n+1)個除き、(n+1)価の炭化水素基としたものを挙げることができる。また、Rは、置換基を含めて炭素数3から30であることが
好ましい。
脂肪族環状構造を構成する化合物の任意の炭素原子は、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子から選ばれるヘテロ原子で、一個以上置き換えられていてもよい。耐刷性の点で、Rは縮合多環脂肪族炭化水素、橋架け環脂肪族炭化水素、スピロ脂肪族炭化水素、脂肪族炭化水素環集合(複数の環が結合又は連結基でつながったもの)等、2個以上の環を含有してなる炭素原子数5から30までの置換基を有していてもよい脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基であることが好ましい。この場合も炭素数は置換基が有する炭素原子を含めてのものである。
で表される連結基としては、更に、原子数が5〜10のものが好ましく、構造的に
は、鎖状構造であって、その構造中にエステル結合を有するものや、前記の如き環状構造を有するものが好ましい。
で表される連結基に導入可能な置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、
スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、
N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SONHSO(aryl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl))、アリーロキシシリル基(−Si(Oaryl))、ヒドロキシシリル基(−Si(OH))及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスホノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルボリル基(−B(alkyl))、ジアリールボリル基(−B(aryl))、アルキルアリールボリル基(−B(alkyl)(aryl))、ジヒドロキシボリル基(−B(OH))及びその共役塩基基、アルキルヒドロキシボリル基(−B(alkyl)(OH))及びその共役塩基基、アリールヒドロキシボリル基(−B(aryl)(OH))及びその共役塩基基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
感光層の設計にもよるが、水素結合可能な水素原子を有する置換基や、特に、カルボン酸よりも酸解離定数(pKa)が小さい酸性を有する置換基は、耐刷性を下げる傾向にあるので好ましくない。一方、ハロゲン原子や、炭化水素基(アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基)、アルコキシ基、アリーロキシ基などの疎水性置換基は、耐刷を向上する傾向にあるのでより好ましく、特に、環状構造がシクロペンタンやシクロヘキサン等の6員環以下の単環脂肪族炭化水素である場合には、このような疎水性の置換基を有していることが好ましい。これら置換基は可能であるならば、置換基同士、又は置換している炭化水素基と結合して環を形成してもよく、置換基は更に置換されていてもよい。
一般式(I)におけるAがNR−である場合のRは、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表す。このRで表される炭素数1〜10までの1価の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基等の炭素数1〜10までのアリール基、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個含有する炭素数1〜10までのヘテロアリール基、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基等が挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−オクチニル基等の炭素数1〜10までのアルキニル基が挙げられる。Rが有してもよ
い置換基としては、Rが導入し得る置換基として挙げたものと同様である。但し、Rの炭素数は、置換基の炭素数を含めて1〜10である。
一般式(I)におけるAは、合成が容易であることから、酸素原子又は−NH−であることが好ましい。
一般式(I)におけるnは、1〜5の整数を表し、耐刷の点で好ましくは1である。
以下に、本発明に特に好適なバインダーポリマーを構成する、一般式(I)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2009025379
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一般式(I)で表される繰り返し単位は、バインダーポリマー中に1種類のみを有していてもよいし、異なる2種類以上を有していてもよい。即ち、本発明における好ましいバインダーポリマーとしては、一般式(I)で表される繰り返し単位だけからなるポリマーであってもよいが、他の共重合成分と組み合わされたコポリマーとして使用されることが一般的である。コポリマーにおける一般式(I)で表される繰り返し単位の総含有量は、その構造や、硬化性組成物の設計等によって適宜決められるが、好ましくはポリマー成分の総モル量に対し、1〜99モル%、より好ましくは5〜40モル%、更に好ましくは5〜20モル%の範囲で含有される。
コポリマーとして用いる場合の共重合成分としては、ラジカル重合可能なモノマーであれば従来公知のものを制限なく使用できる。具体的には、「高分子データハンドブック−基礎編−(高分子学会編、培風館、1986)」記載のモノマー類が挙げられる。このような共重合成分は1種類であってもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
前記各バインダーポリマーの中でも、特に、〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体、特開2000−131837公報、同2002−62648公報、同2000−187322公報、或いは、前記特願2002−287920号明細書に記載されているようなアクリル基、メタクリル基、アリル基を含有するポリマー等が、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
中でも特に、前記一般式(I)で表される繰り返し単位と、前記一般式(II)〜(IV)で表される構造のラジカル重合性基(炭素−炭素二重結合)と、を有するポリマーが最も好ましい。
Figure 2009025379
一般式(II)〜(IV)中、R〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表す。X、Yは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又はN−R15を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N−R15又はフェニレン基を表す。ここで、R15は、水素原子、又は1価の有機基を表す。
前記一般式(II)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表すが、Rとしては、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基など有機基が挙げられ、中でも具体的には、水素原子、メチル基、メチルアルコキシ基、メチルエステル基が好ましい。また、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
ここで、これらの基に導入し得る置換基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピオキシカルボニル基、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられる。
Xは、酸素原子、硫黄原子、又は、−N−R15を表し、ここで、R15としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。
前記一般式(III)において、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表すが、R〜R11は、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
ここで、これらの基に導入し得る置換基としては、一般式(II)において導入し得る置換基として挙げたものが例示される。
Yは、酸素原子、硫黄原子、又は−N−R15を表す。R15としては、一般式(II)におけるのと同様のものが挙げられる。
前記一般式(IV)において、R12〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表すが、具体的には例えば、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
ここで、これらの基に導入し得る置換基としては、これらの基に導入し得る置換基としては、一般式(II)において導入し得る置換基として挙げたものが例示される。
Zは、酸素原子、硫黄原子、−N−R15又はフェニレン基を表す。R15としては、一般式(II)におけるのと同様のものが挙げられる。
これらのラジカル重合性基の中でも、前記一般式(II)及び(III)で表される構造を有するラジカル重合性基であることが好ましい。
このような、各バインダーポリマーは、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用することもできる。
本発明における(D)バインダーポリマーの分子量は、画像形成性や耐刷性の観点から適宜決定されるが、通常、好ましい分子量としては、2,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜500,000、更に好ましくは10,000〜200,000の範囲である。
本発明における(D)バインダーポリマーとしては、実質的に水に不溶でアルカリ水溶液に可溶なものを用いることが好ましく、このようなポリマーを用いることで、現像液として、環境上好ましくない有機溶剤を用いないか若しくは非常に少ない使用量に制限できる。
このような(D)バインダーポリマーの酸価(ポリマーlgあたりの酸含率を化学等量数で表したもの)と分子量は画像強度と現像性の観点から適宜選択される。好ましい酸価は、0.4〜3.0meq/gであり、好ましい分子量は2000から50万の範囲で、より好ましくは、酸価が0.6〜2.0(meq/g)、分子量が1万から30万の範囲である。
硬化性組成物中での(D)バインダーポリマーの含有量は、適宜決めることができるが、全固形分中、通常、10〜90質量%であり、好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%の範囲である。
また、本発明の硬化性組成物中の重合性化合物(特定重合性モノマーを含む)とバインダーポリマーとの質量比は、重合性化合物/バインダーポリマーで0.5〜3であることが好ましく、0.8〜3であることがより好ましく、1〜3であることが更に好ましい。
本発明の硬化性組成物は、露光により硬化し、未露光部をアルカリ現像処理により除去することで画像形成する態様であれば、平版印刷版原版、レジスト、コーティングなど、種々の分野に適用可能である。
以下、本発明の硬化性組成物を、好ましい態様である平版印刷版原版に適用した場合を例に挙げて述べるが、本発明の硬化性組成物の用途はこれに限定されるものではない。
[平版印刷版原版]
(平版印刷版原版の層構成)
以下、本発明の硬化性組成物を平版印刷版原版の感光層に適用した場合の層構成について説明する。
平版印刷版原版は、支持体上に、少なくとも前記(A−1)及び(B)、好ましくは更に(C)の各成分を含有する感光層を有するものであるが、必要に応じて、中間層、下塗り層、バックコート層等の他の層を設けてもよい。
(感光層)
本発明の平版印刷版原版において画像形成機能を有する感光層について説明する。本発明における平版印刷版原版の感光層は、前記(A−1)及び(B)成分を含有し、更に感度向上の観点から(C)増感色素を含有することが好ましい。
平版印刷版原版の感光層における前記(B)成分は、特に、(A−1)成分である特定重合性モノマーや所望により併用される(A−2)他の重合性化合物の重合を開始、促進させる重合開始剤として機能する。
平版印刷版原版の感光層に用いる(A−1)特定重合性モノマーや(A−2)他の重合性化合物は、前記した通りの化合物を用いるが、どのような化合物を用いるかは、前記した要件の他、後述の支持体、或いは、隣接する各層等と関連で適宜選択され、例えば、支持体などとの密着性を向上せしめる目的で特定の構造を有する化合物を選択して用いることもあり得る。
その他、重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、更に場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施し得る。
(E)その他の成分
本発明の硬化性組成物を平版印刷版原版に用いる場合、感光層を構成する組成物中には、更にその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましい添加剤について説明する。
(E−1)共増感剤
感光層形成用組成物にある種の添加剤を用いることで、感度を更に向上させることができる。このような化合物を以後、共増感剤という。これらの作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。即ち、熱重合開始剤により開始される光反応、と、それに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、カチオン)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。これらは、大きくは、(i)還元されて活性ラジカルを生成し得るもの、(ii)酸化されて活性ラジカルを生成し得るもの、(iii)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、若しくは連鎖移動剤として作用するもの、に分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては、通説がない場合も多い。
(i)還元されて活性ラジカルを生成する化合物
炭素−ハロゲン結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
窒素−窒素結合を有する化合物:還元的に窒素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。
酸素一酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や、酸素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類等が好適に使用される。
フエロセン、鉄アレーン錯体類:還元的に活性ラジカルを生成し得る。
(ii)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には、例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、N−フェニルイミノジ酢酸及びその誘導体、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成し得る。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化により、カルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成し得る。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロノン−1類、並びに、これらと、ヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類を挙げることができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成し得る。具体的は、アリールスルフィン駿ナトリウム等を挙げることができる。
(iii)ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、若しくは連鎖移動剤として作用する化合物:例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、若しくは、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成し得る。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類等が挙げられる。
また、感度向上及び/又は現像性向上の目的で、芳香環又はヘテロ芳香環構造を有し、それに直接、又は、2価の連結基を介して少なくとも2つのカルボキシル基が結合してなるポリカルボン酸化合物を含有することも好ましい態様である。このようなポリカルボン酸化合物としては、具体的には例えば、(p−アセトアミドフェニルイミド)二酢酸、3−(ビス(カルボキシメチル)アミノ)安息香酸、4−(ビス(カルボキシメチル)アミノ)安息香酸、2−[(カルボキシメチル)フェニルアミノ]安息香酸、2−[(カルボキシメチル)フェニルアミノ]−5−メトキシ安息香酸、3−[ビス(カルボキシメチル)アミノ]−2−ナフタレンカルボン酸、N−(4−アミノフェニル)−N−(カルボキシメチル)グリシン、N,N’−1,3−フェニレンビスグリシン、N,N’−1,3−フェニレンビス[N−(カルボキシメチル)]グリシン、N,N’−1,2−フェニレンビス[N−(カルボキシメチル)]グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(4−メトキシフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(3−メトキシフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(3−ヒドロキシフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(3−クロロフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(4−ブロモフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(4−クロロフェニル)グリシン、
N−(カルボキシメチル)−N−(2−クロロフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(4−エチルフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(2,3−ジメチルフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(3,4−ジメチルフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(3,5−ジメチルフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(2,4−ジメチルフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(2,6−ジメチルフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−(4−ホルミルフェニル)グリシン、N−(カルボキシメチル)−N−エチルアントラニル酸、N−(カルボキシメチル)−N−プロピルアントラニル酸、5−ブロモ−N−(カルボキシメチル)アントラニル酸、N−(2−カルボキシフェニル)グリシン、o−ジアニシジン−N,N,N’,N’−四酢酸、N,N’−[1,2−エタンジイルビス(オキシ−2,1−フェニレン)]ビス[N−(カルボキシメチル)グリシン]、4−カルボキシフェノキシ酢酸、カテコール−O,O’−二酢酸、4−メチルカテコール−O,O’−二酢酸、レゾルシノール−O,O’−二酢酸、ヒドロキノン−O,O’−二酢酸、α−カルボキシ−o−アニス酸、4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ酢酸、2,2’−(ジベンゾフラン−2,8−ジイルジオキシ)二酢酸、2−(カルボキシメチルチオ)安息香酸、5−アミノ−2−(カルボキシメチルチオ安息香酸、3−[(カルボキシメチル)チオ]−2−ナフタレンカルボン酸、などが挙げられる。
中でも、下記一般式(V)で表されるN−アリールポリカルボン酸又は一般式(VI)で表される化合物が好ましい。
Figure 2009025379
前記一般式(V)中、Arは、モノ−、ポリ−又は未置換のアリール基を表し、mは1から5の整数を表す。
ここで、アリール基に導入可能な置換基としては、炭素原子数1から3のアルキル基、炭素原子数1から3のアルコキシ基、炭素原子数1から3のチオアルキル基及びハロゲン原子が挙げられる。このアリール基は、1つ乃至3つの、同一又は異なる置換基を有するものが好ましい。mは好ましくは1であり、また、Arは好ましくはフェニル基を表す。
Figure 2009025379
前記一般式(VI)中、Rは、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、n及びpは、それぞれ1から5の整数を表す。
nは1であることが好ましく、Rは水素原子が好ましい。最も好ましいポリカルボン酸はアニリノ二酢酸である。
その他、感度向上及び/又は現像性向上に好ましい化合物としては、カルボン酸基及びスルホン酸基のいずれか或いは双方を2官能以上有する化合物であり、具体的には5−アミノイソフタル酸、5−ニトロイソフタル酸、4−メチルフタル酸、テレフタル酸、2−ブロモテレフタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニック酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、N−ベンジルイミノジ酢酸、N−(2−カルボキシフェニルグリシン)、N−フェニルイミノジ酢酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、5−スルホサリチル酸、2−スルホ安息香酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、4−スルホフタル酸などが挙げられる。また、上記化合物は、更にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、アルコキシ基、アミノ基、アミド基、チオール基、チオアルコキシ基、スルホニル基で置換されてもよい。
これらのうち、最も好ましいのは、前記一般式(V)又は一般式(VI)で表される化合物である。
このようなポリ(カルボン酸/スルホン酸)化合物の添加量は、硬化性組成物全固形分中、0.5〜15質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることが更に好ましく、3〜8質量%であることが特に好ましい。
これらの共増感剤のより具体的な例は、例えば、特開昭9−236913号公報中に、感度向上を目的とした添加剤として、多く記載されており、それらを本発明においても適用することができる。
これらの共増感剤は、単独で又は2種以上併用して用いることができる。使用量は前記(A−1)特定重合性モノマーと(A−2)他の重合性化合物との総計100質量部に対し0.05〜100質量部、好ましくは1〜80質量部、更に好ましくは3〜50質量部の範囲が適当である。
(E−2)重合禁止剤
また、本発明においては以上の基本成分の他に、感光層に用いる組成物の製造中又は保存中において重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t―ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t―ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、平版印刷版原版とする場合、支持体等への塗布後の乾燥の過程でその感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
(E−3)着色剤等
更に、本発明の平版印刷版原版においては、その感光層の着色を目的として染料若しくは顔料を添加してもよい。これにより、印刷版としての、製版後の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させることができる。着色剤としては、多くの染料は光重合系感光層の感度の低下を生じるので、着色剤としては、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。染料及び顔料の添加量は全組成物の約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
(E−4)その他の添加剤
更に、本発明の平版印刷版原版においては、硬化皮膜の物性を改良するための無機充填剤や、その他、可塑剤、感光層表面のインク着肉性を向上させうる感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
上記可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、結合剤を使用した場合、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物と結合剤との合計質量に対し10質量%以下添加することができる。
また、後述する膜強度(耐刷性)向上を目的とした、現像後の加熱・露光の効果を強化するための、UV開始剤や、熱架橋剤等の添加もできる。
その他、感光層と支持体との密着性向上や、未露光感光層の現像除去性を高めるための添加剤、中間層を設けることが可能である。例えば、ジアゾニウム構造を有する化合物や、ホスホン化合物、等、基板と比較的強い相互作用を有する化合物の添加や下塗りにより、密着性が向上し、耐刷性を高めることが可能であり、一方ポリアクリル酸や、ポリスルホン酸のような親水性ポリマーの添加や下塗りにより、非画像部の現像性が向上し、汚れ性の向上が可能となる。
平版印刷版原版は、感光層塗布液や、保護層等の所望の層の塗布液用成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより平版印刷版原版を製造することができる。
ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N―ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ―ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
感光層の支持体への塗布量は、感光層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性等の影響を考慮し、用途に応じ適宜選択することが望ましい。塗布量が少なすぎる場合には、耐刷性が十分でなくなる。一方多すぎる場合には、感度が下がり、露光に時間がかかる上、現像処理にもより長い時間を要するため好ましくない。本発明の平版印刷版原版における塗布量は、一般的には、乾燥後の質量で約0.l〜約10g/mの範囲が適当である。よ
り好ましくは0.5〜5g/mである。
<基板(支持体)>
本発明で用いられる支持体としては、紙、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられ、その中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度にすぐれた表面を提供できるアルミニウム板が好ましい。また、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
ここでいうアルミニウム板とは、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属板であり、純アルミニウム板の他、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、又はアルミニウム(合金)がラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルム又は紙を含む意味である。以下の説明において、上記に挙げたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる支持体をアルミニウム支持体と総称して用いる。前記アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがあり、合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。中でも純アルミニウム板が好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このようにアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のもの、例えば、JIS A 1050、JIS A 1100、JIS A 3103、JIS A 3005などを適宜利用することができる。
また、アルミニウム支持体の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度である。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさ及びユーザーの希望により適宜変更することができる。
このようなアルミニウム支持体には、以下のような表面処理が施され、親水化される。
(粗面化処理)
粗面化処理方法は、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレインなどがある。更に塩酸又は硝酸電解液中で電気化学的に粗面化する電気化学的粗面化方法、及びアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立でするポールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を粗面化するブラシグレイン法のような機械的粗面化法を用いることができ、上記粗面化方法を単独或いは組み合わせて用いることもできる。その中でも粗面化に有用に使用される方法は塩酸又は硝酸電解液中で化学的に粗面化する電気化学的方法であり、適する陽極時電気量は50C/dm〜400C/dmの範囲である。更に具体的には、0.1〜50%の塩酸又は硝酸を含む電解液中、温度20〜80℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm〜400C/dmの条件で交流及び/又は直流電解を行うことが好ましい。
このように粗面化処理したアルミニウム支持体は、酸又はアルカリにより化学的にエッチングされてもよい。好適に用いられるエッチング剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等であり、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃である。エッチングのあと表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸は硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等が用いられる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法及び特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が挙げられる。以上のように処理された後、処理面の表面粗さRaが0.2〜0.5μm程度であれば、特に、方法、条件は限定しない。
(陽極酸化処理)
以上のようにして処理され酸化物層を形成したアルミニウム支持体には、その後に陽極酸化処理がなされる。
陽極酸化処理は硫酸、燐酸、シュウ酸若しくは硼酸/硼酸ナトリウムの水溶液が単独若しくは複数種類組み合わせて電解浴の主成分として用いられる。この際、電解液中に少なくともAl合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分はもちろん含まれても構わない。更には第2、第3成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、3成分とは、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオンやアンモニウムイオン等に陽イオンや、硝酸イオン、炭酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン、フッ素イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、硼酸イオン等の陰イオンが挙げられ、その濃度としては0〜10000ppm程度含まれてもよい。陽極酸化処理の条件に特に限定はないが、好ましくは30〜500g/リットル、処理液温10〜70℃で、電流密度0.1〜40A/mの範囲で
直流又は交流電解によって処理される。形成される陽極酸化皮膜の厚さは0.5〜1.5μmの範囲である。好ましくは0.5〜1.0μmの範囲である。以上の処理によって作製された支持体が、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアのポア径が5〜10nm、ポア密度が8×1015〜2×1016個/mの範囲に入るように処理条件が選択されることが
好ましい。
支持体表面の親水化処理としては、広く公知の方法が適用できる。特に好ましい処理としては、シリケート又はポリビニルホスホン酸等による親水化処理が施される。皮膜はSi、又はP元素量として2〜40mg/m、より好ましくは4〜30mg/mで形成される。塗布量はケイ光X線分析法により測定できる。
上記の親水化処理は、アルカリ金属ケイ酸塩、又はポリビニルホスホン酸が1から30質量%、好ましくは2〜15質量%であり、25℃のpHが10〜13である水溶液に、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム支持体を、例えば、15〜80℃で0.5〜120秒浸漬することにより実施される。
親水化処理に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどが使用される。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のpHを高くするために使用される水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。なお、上記の処理液にアルカリ土類金属塩若しくは第IVB族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩などの水溶性の塩が挙げられる。第IVB族金属塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。
アルカリ土類金属塩若しくは、第IVB族金属塩は、単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらの金属塩の好ましい範囲は0.01〜10質量%であり、更に好ましい範囲は0.05〜5.0質量%である。また、米国特許第3,658,662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理及び親水化処理を組み合わせた表面処理も有用である。
〔平版印刷版原版の作製〕
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、先に詳述した感光層を有するものであり、更に必要に応じて中間層(下塗り層)等を設けても構わない。かかる平版印刷版原版は、上述の各種成分を含む塗布液を、支持体上に順次塗布することにより製造することができる。
感光層を塗設する際には、前記感光層成分を種々の有機溶剤に溶かして、感光層塗布液とし、支持体又は下塗り層上に塗布される。
ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして、感光層塗布液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
感光層の被覆量は、主に、感光層の感度、膜強度、現像性、得られる印刷版の耐刷性に影響し得るもので、用途に応じ適宜選択することが望ましい。走査露光用平版印刷版原版の場合には、その被覆量は乾燥後の質量で約0.1g/m〜約10g/mの範囲が好ましい。より好ましくは0.5〜5g/mである。
〔中間層(下塗り層)〕
上記の平版印刷版原版には、感光層と支持体との間の密着性や汚れ性を改善する目的で、中間層(下塗り層)を設けてもよい。
露光によりアルカリ現像液への溶解性が低下する感光層が、露光面又はその近傍に設けられることで赤外線レーザーなどに対する感度が良好となると共に、支持体と該感光層との間にこの下塗り層が存在し、断熱層として機能することで、露光により発生した熱が支持体に拡散せず、効率よく使用されることからの高感度化が図れる。
また、露光部においては、アルカリ現像液に対して非浸透性となった感光層がこの下塗り層の保護層として機能するために、現像安定性が良好になると共にディスクリミネーションに優れた画像が形成され、且つ、経時的な安定性も確保されるものと考えられ、未露光部においては、未硬化のバインダー成分が速やかに現像液に溶解、分散し、更には、支持体に隣接して存在するこの下塗り層がアルカリ可溶性高分子からなるものであるため、現像液に対する溶解性が良好で、例えば、活性の低下した現像液などを用いた場合でも、残膜などが発生することなく速やかに溶解するため、現像性に優れるものと考えられる。
〔支持体〕
本発明における支持体には、後述のような親水化処理が施されたものが用いられる。このような支持体としては、紙、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられ、その中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度にすぐれた表面を提供できるアルミニウム板は更に好ましい。また、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
本発明において最も好適な支持体としてのアルミニウム板とは、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属板であり、純アルミニウム板の他、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、又はアルミニウム(合金)がラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルム又は紙の中から選ばれる。以下の説明において、上記に挙げたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる支持体をアルミニウム支持体と総称して用いる。前記アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがあり、合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。本発明では純アルミニウム板が好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のもの、例えば、JIS A 1050、JIS A 1100、JIS A 3103、JIS A 3005などを適宜利用することができる。
また、本発明に用いられるアルミニウム支持体の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度である。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさ及びユーザーの希望により適宜変更することができる。
このようなアルミニウム支持体には、後述の表面処理が施され、親水化される。
(粗面化処理)
粗面化処理方法は、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレインなどがある。更に塩酸又は硝酸電解液中で電気化学的に粗面化する電気化学的粗面化方法、及びアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立でするポールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を粗面化するブラシグレイン法のような機械的粗面化法を用いることができ、上記粗面化方法を単独或いは組み合わせて用いることもできる。その中でも粗面化に有用に使用される方法は塩酸又は硝酸電解液中で化学的に粗面化する電気化学的方法であり、適する陽極時電気量は50C/dm〜400C/dmの範囲である。更に具体的には、0.1〜50%の塩酸又は硝酸を含む電解液中、温度20〜80℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm〜400C/dmの条件で交流及び/又は直流電解を行うことが好ましい。
このように粗面化処理したアルミニウム支持体は、酸又はアルカリにより化学的にエッチングされてもよい。好適に用いられるエッチング剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等であり、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃である。エッチングのあと表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸は硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等が用いられる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法及び特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が挙げられる。以上のように処理された後、処理面の表面粗さRaが0.2〜0.5μm程度であれば、特に、方法、条件は限定しない。
(陽極酸化処理)
以上のようにして処理され酸化物層を形成したアルミニウム支持体には、その後に陽極酸化処理がなされる。
陽極酸化処理は硫酸、燐酸、シュウ酸若しくは硼酸/硼酸ナトリウムの水溶液が単独若しくは複数種類組み合わせて電解浴の主成分として用いられる。この際、電解液中に少なくともAl合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分はもちろん含まれても構わない。更には第2、第3成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、3成分とは、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオンやアンモニウムイオン等に陽イオンや、硝酸イオン、炭酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン、フッ素イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、硼酸イオン等の陰イオンが挙げられ、その濃度としては0〜10000ppm程度含まれてもよい。陽極酸化処理の条件に特に限定はないが、好ましくは30〜500g/リットル、処理液温10〜70℃で、電流密度0.1〜40A/mの範囲で直流又は交流電解によって処理される。形成される陽極酸化皮膜の厚さは0.5〜1.5μmの範囲である。好ましくは0.5〜1.0μmの範囲である。以上の処理によって作製された支持体が、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアのポア径が5〜10nm、ポア密度が8×1015〜2×1016個/mの範囲に入るように処理条件が選択されることが好ましい。
前記支持体表面の親水化処理としては、広く公知の方法が適用できる。特に好ましい処理としては、シリケート又はポリビニルホスホン酸等による親水化処理が施される。皮膜はSi、又はP元素量として2〜40mg/m、より好ましくは4〜30mg/mで形成される。塗布量はケイ光X線分析法により測定できる。
上記の親水化処理は、アルカリ金属ケイ酸塩、又はポリビニルホスホン酸が1から30質量%、好ましくは2〜15質量%であり、25℃のpHが10〜13である水溶液に、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム支持体を、例えば、15〜80℃で0.5〜120秒浸漬することにより実施される。
前記親水化処理に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどが使用される。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のpHを高くするために使用される水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。なお、上記の処理液にアルカリ土類金属塩若しくは第IVB族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩などの水溶性の塩が挙げられる。第IVB族金属塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。
アルカリ土類金属塩若しくは、第IVB族金属塩は、単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらの金属塩の好ましい範囲は0.01〜10質量%であり、更に好ましい範囲は0.05〜5.0質量%である。また、米国特許第3,658,662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理及び親水化処理を組合せた表面処理も有用である。
(支持体の裏面処理)
本発明の平版印刷版原版には、耐傷性をより向上させる目的で、支持体裏面を修飾することが好ましい。支持体裏面の修飾方法としては、例えば、アルミニウム支持体を用いた場合には、その裏面に、感光層側と同じ様に全面に均一に陽極酸化皮膜を形成する方法や、バックコート層を形成する方法などが挙げられる。陽極酸化皮膜を形成する方法をとる場合の被膜形成量としては、0.6g/m以上であることが好ましく、0.7〜6g/mの範囲であることが好ましい。これらのうち、バックコート層を設ける方法がより有効であり好ましい。以下、これらの裏面処理方法について説明する。
(1.裏面陽極酸化皮膜の形成方法)
最初に、アルミニウム支持体裏面に、感光層側と同じ様に全面に均一に陽極酸化皮膜を0.6g/m以上形成する方法について記載する。陽極酸化皮膜の形成は、支持体表面処理において説明したのと同様の手段により行われる。支持体裏面に設けられる陽極酸化皮膜の厚みは、0.6g/m以上であれば有効であり、性能上の観点からはその上限には特に制限はないが、皮膜形成時の電力などのエネルギー、形成に要する時間などを考慮すれば6g/m程度であればよく、実用的な好ましい皮膜量は0.7g〜6g/mであり、より好ましい範囲としては1.0g〜3g/mである。
陽極酸化皮膜の量は、蛍光X線を用い、Alのピークを測定し、ピーク高さと被膜量の検量線により、換算することができる。
本発明において、アルミニウム支持体の面に陽極酸化皮膜が全面に設けられ、その量が0.6g/m以上であることは、平版印刷版原版におけるアルミニウム支持体の感光層と反対側の陽極酸化皮膜を有する面の中央部と、その中央部を通り、処理方向(Machine Direction)に直交する方向(Transverse Direction)における両端から各々5cmの端部について、いずれもが陽極酸化皮膜量0.6g/m以上であることにより確認される。
(2.バックコート層の形成方法)
次に、アルミニウム支持体裏面にバックコート層を設ける方法について記載する。本発明におけるバックコート層としては、どのような組成のものを用いてもよいが、特に、以下に詳述する有機金属化合物又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物と、コロイダルシリカゾルとを含むバックコート層や有機樹脂被膜からなるバックコート層が好ましく挙げられる。
(2−1.金属酸化物とコロイダルシリカゾルとを含むバックコート層)
本発明におけるバックコート層の好ましい第1の態様として、金属酸化物とコロイダルシリカゾルとを含むバックコート層が挙げられる。
より具体的には、有機金属化合物或いは無機金属化合物を水及び有機溶媒中で、酸、又はアルカリなどの触媒で加水分解、及び縮重合反応を起こさせたいわゆるゾル−ゲル反応液により形成されるバックコート層が好ましい。
バックコート層形成に用いる有機金属化合物或いは無機金属化合物としては、例えば、金属アルコキシド、金属アセチルアセトネート、金属酢酸塩、金属シュウ酸塩、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属炭酸塩、金属オキシ塩化物、金属塩化物及びこれらを部分加水分解してオリゴマー化した縮合物が挙げられる。
金属アルコキシドはM(OR)の一般式で表される(Mは金属元素、Rはアルキル基、nは金属元素の酸化数を示す)。具体例としては、例えば、Si(OCH、Si(OC、Si(OC、Si(OC、Al(OCH、Al(OC、Al(OC、Al(OC、B(OCH、B(OC、B(OC、B(OC、Ti(OCH、Ti(OC、Ti(OC、Ti(OC、Zr(OCH、Zr(OC、Zr(OC、Zr(OCなどが挙げられ、その他にも、例えば、Ge、Li、Na、Fe、Ga、Mg、P、Sb、Sn、Ta、Vなどのアルコキシドが挙げられる。更に、CHSi(OCH、CSi(OCH、CHSi(OC、CSi(OCなどのモノ置換珪素アルコキシドも用いられる。
これらの有機金属化合物或いは無機金属化合物は単独、又は二つ以上のものを組み合わせて用いることができる。これらの有機金属化合物或いは無機金属化合物のなかでは金属アルコキシドが反応性に富み、金属−酸素の結合からできた重合体を生成しやすく好ましい。それらのうち、Si(OCH、Si(OC、Si(OC、Si(OC、などの珪素のアルコキシド化合物が安価で入手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が優れており特に好ましい。また、これらの珪素のアルコキシド化合物を部分加水分解して縮合したオリゴマーも好ましい。この例としては、約40質量%のSiOを含有する平均5量体のエチルシリケートオリゴマーが挙げられる。
更に、前記珪素のテトラアルコキシ化合物の一個又は二個のアルコキシ基をアルキル基や反応性を持った基で置換したいわゆるシランカップリング剤を、これら金属アルコキシドと併用することも好ましい例として挙げられる。本発明におけるバックコート層に添加するシランカップリング剤としては、前記珪素のテトラアルコキシ化合物における一個又は二個のアルコキシ基を炭素数4〜20の長鎖アルキル、フッ素置換アルキル基などの疎水性の置換基で置換したシランカップリング剤が挙げられ、特にフッ素置換アルキル基を有するシランカップリング剤が好ましい。この様なシランカップリング剤の具体例としては、CFCHCHSi(OCH、CFCFCHCHSi(OCH、CFCHCHSi(OCなどが挙げられ、市販品では、信越化学株式会社製LS−1090等が挙げられる。上記フッ素置換アルキル基で置換されたシランカップリング剤は、本発明における有機フッ素化合物に包含される。このようなシランカップリング剤の好ましい含有量は、バックコート層全固形分の5〜90質量%であり、より好ましく10〜80質量%の範囲である。
バックコート層のゾル−ゲル塗布液を形成する際に有用な触媒としては、有機、無機の酸及びアルカリが用いられる。その例としては、塩酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、フッ素、リン酸、亜リン酸などの無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、グリコール酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、フロロ酢酸、ブロモ酢酸、メトキシ酢酸、オキサロ酢酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、アスコルビン酸、安息香酸、3,4−ジメトキシ安息香酸のような置換安息香酸、フェノキシ酢酸、フタル酸、ピクリン酸、ニコチン酸、ピコリン酸、ピラジン、ピラゾール、ジピコリン酸、アジピン酸、p−トルイル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキセン−2,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などの有機酸、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカリが挙げられる。
他の好ましい触媒として、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、及びリン酸エステル類など、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニルなどの有機酸も使用できる。
これらの触媒は単独又は二種以上を組み合わせて用いることができる。触媒は原料の金属化合物に対して0.001〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜5質量%の範囲である。触媒量がこの範囲より少ないとゾル−ゲル反応の開始が遅くなり、この範囲より多いと反応が急速に進み、不均一なゾル−ゲル粒子ができるため、得られる被覆層は剥離しやすいものとなる。
ゾル−ゲル反応を開始させるには更に適量の水が必要であり、その好ましい添加量は原料の金属化合物を完全に加水分解するのに必要な水の量の0.05〜50倍モルが好ましく、より好ましくは0.5〜30倍モルである。水の量がこの範囲より少ないと加水分解が進みにくく、この範囲より多いと原料が薄められるためか、やはり反応が進みにくくなる。
ゾル−ゲル反応液には更に溶媒が添加される。溶媒は原料の金属化合物を溶解し、反応で生じたゾル−ゲル粒子を溶解又は分散するものであればよく、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンなどのケトン類が用いられる。またバックコート層の塗布面質向上等の目的でエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールなどのグリコール類のモノ又はジアルキルエーテル及び酢酸エステルを用いることができる。これらの溶媒の中で水と混合可能な低級アルコール類が好ましい。ゾル−ゲル反応液は塗布するのに適した濃度に溶媒で調製されるが、溶媒の全量を最初から反応液に加えると原料が希釈されるためか加水分解反応が進みにくくなる。そこで溶媒の一部をゾル−ゲル反応液に加え、反応が進んだ時点で残りの溶媒を加える方法が好ましい。
このようにして形成された金属酸化物とコロイダルシリカゾルとを含むバックコート層の塗布量としては、0.01から3.0g/mであることが好ましく、0.03〜1.0g/mであることが更に好ましい。
(2−2.有機樹脂被膜からなるバックコート層)
本発明におけるバックコート層の他の好ましい例としては、支持体裏面に形成された有機樹脂被膜からなるバックコート層が挙げられる。
本態様においてバックコート層を形成しうる好ましい樹脂のとしては、例えば、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。中でも、形成される層の物理的強度が高いという観点から、フェノール樹脂が好ましく、より具体的には、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂やピロガロールアセトン樹脂が好ましく挙げられる。
また、フェノール樹脂としては、更に、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体が挙げられる。
フェノール樹脂としては、その重量平均分子量が500以上であることが画像形成性の点で好ましく、1,000〜700,000であることがより好ましい。また、その数平均分子量が500以上であることが好ましく、750〜650,000であることがより好ましい。分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.1〜10であることが好ましい。
また、これらのフェノール樹脂は単独で用いるのみならず、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。組み合わせる場合には、米国特許第4123279号明細書に記載されているような、t−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体や、オクチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体、本発明者らが先に提出した特開2000−241972号公報に記載の芳香環上に電子吸引性基を有するフェノール構造を有する有機樹脂などを併用してもよい。
本発明におけるバックコート層には、塗布面状性の改良や表面物性制御の目的で、界面活性剤添加することができる。ここで用いられる界面活性剤としては、カルボン酸、スルホン酸、硫酸エステル及び燐酸エステルのいずれかを有するアニオン型の界面活性剤;脂肪族アミン、第4級アンモニウム塩のようなカチオン型の界面活性剤;ベタイン型の両性界面活性剤;又は、ポリオキシ化合物の脂肪酸エステル、ポリアルキンレンオキシド縮合型、ポリエチレンイミン縮合型の様なノニオン型界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられるが、特にフッ素系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤の添加量は、目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、バックコート層中に0.1〜10.0質量%の範囲で添加することができる。
フッ素系界面活性剤としては、分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系の界面活性剤が特に好ましい。このようなフッ素系界面活性剤について詳細に述べる。
バックコート層に特に好適に使用しうるフッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどのアニオン型、パーフルオロアルキルベタインなどの両性型、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩などのカチオン型及びパーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基及び親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基及び親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基含有ウレタンなどの非イオン型が挙げられる。更にこれらの中でも前記フルオロ脂肪族基が下記一般式(ii)で表される基であることが好ましい。
Figure 2009025379
(上記一般式(ii)中、R及びRは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個のアルキル基を表し、Xは単結合若しくはアルキレン基、アリーレン基などから選択される2価の連結基を表し、mは0以上の整数、nは1以上の整数を表す。)
ここで、Xが2価の連結基を表すとき、アルキレン基、アリーレン基等の連結基は、置換基を有するものであってもよく、また、その構造中に、エーテル基、エステル基、アミド基などから選ばれる連結基を有するものであってもよい。アルキレン基、アリーレン基に導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これらは更に置換基を有するものであってもよい。これらのうち、Xとしては、アルキレン基、アリーレン基、又は、エーテル基、エステル基、アミド基などから選ばれる連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、又は、内部にエーテル基或いはエステル基を有するアルキレン基がより好ましく、無置換のアルキレン基、又は、内部にエーテル基或いはエステル基を有するアルキレン基が最も好ましい。
このようなフッ素系界面活性剤をバックコート層中に0.5〜10質量%程度含むことが好ましい。
有機樹脂被膜からなるバックコート層をアルミニウム支持体の裏面に被覆するには種々の方法が適用できる。バックコート層成分、具体的には、有機樹脂を主成分とする各原料に所望によりシリカゲル等の微粒子を添加した後、例えば適当な溶媒に溶解して、又は乳化分散液にして塗布液を調製し、支持体裏面に塗布し、乾燥する方法や、予めフィルム状に成形した有機樹脂膜を接着剤を介して、或いは加熱により、アルミニウム支持体に貼り合わせる方法、溶融押し出し機で溶融皮膜を形成し、支持体に貼り合わせる方法等が挙げられる。中でも、塗布量制御の容易性の観点から最も好ましいのは溶液にして塗布、乾燥する方法である。ここで使用される溶媒としては、特開昭62−251739号公報に記載されているような有機溶剤が単独或いは混合して用いられる。
バックコート層塗布液を支持体表面に塗布する手段としては、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーター、或いはカーテンコーター、エクストルーダ、スライドホッパー等公知の計量塗布装置を挙げることができるが、アルミニウム支持体裏面に傷を付け無い点からカーテンコーター、エクストルーダ、スライドホッパー等の非接触型定量コーターが特に好ましい。
本発明のバックコート層の厚さは、金属酸化物とコロイダルシリカゾルとを含むバックコート層、有機樹脂からなるバックコート層のいずれにおいても、形成された膜厚が0.1〜8μmの範囲であることが好ましい。この厚さの範囲において、アルミ支持体裏面の表面滑り性が向上し、且つ、印刷中、印刷周辺で用いられる薬品によるバックコート層の溶解や膨潤による厚みの変動、及び、それに起因する印圧が変化による印刷特性の劣化を抑制することができる。
上記バックコート層において、最も好ましいのは、有機樹脂からなるバックコート層である。
<製版方法>
以下、本発明における平版印刷版原版の製版方法について説明する。
平版印刷版原版の製版方法は、例えば、上述の平版印刷版原版を、保護層と支持体裏面とを直接接触させた状態で複数枚重ね合わせて積層体とし、これをプレートセッター内にセットし、この平版印刷版原版を1枚づつ自動搬送し、750nm〜1400nmの波長で画像露光し、その後、現像処理に供されて非画像部が除去され製版処理が完了する。本発明の平版印刷版原版は、中間に合紙を挟み込むことなく積層体としても、平版印刷版原版の間の接着や、保護層へのキズの発生が抑制されるため、上記のような製版方法に適用することができる。この製版方法によれば、平版印刷版原版を合紙を挟み込むことなく重ね合わせた積層体を用いることから、合紙の除去工程が不必要となり、製版工程における生産性が向上する。
勿論、本発明の平版印刷版原版を合紙と交互に重ね合わせて積層体としたものを用いて製版しても構わない。
〔露光〕
本発明の硬化性組成物を適用した平版印刷版原版の露光方法は、公知の方法を制限なく用いることができる。
本発明の硬化性組成物の感光層を露光する光源としては、公知のものを制限なく用いることができる。光源の波長は300nmから1200nmでもよく、具体的には各種レーザーを光源として用いることができ、中でも、波長760nm〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザーを用いることができる。
光源としてはレーザーが好ましく。例えば、350〜450nmの波長の入手可能なレーザー光源としては以下のものを利用することができる。
ガスレーザーとしては、Arイオンレーザー(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザー(356nm,351nm,10mW〜1W)、He−Cdレーザー(441nm,325nm,1mW〜100mW)、固体レーザーとして、Nd:YAG(YVO4)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355mm、5mW〜1W)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm,10mW)が挙げられる。半導体レーザー系としては、KNbO3、リング共振器(430nm,30mW)、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)、その他、パルスレーザーとしてN2レーザー(337nm、パルス0.1〜10mJ)、XeF(351nm、パルス10〜250mJ)が挙げられる。
特に、この中でAlGaInN半導体レーザー(市販InGaN系半導体レーザー400〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
その他、450nm〜700nmの入手可能な光源としてはAr+レーザー−(488nm)、YAG−SHGレーザー(532nm)、He−Neレーザー(633nm)、He―Cdレーザー、赤色半導体レーザー(650〜690nm)があり、700nm〜1200nmの入手可能な光源としては半導体レーザー(800〜850nm)、Nd−YAGレーザー(1064nm)が好適に利用できる。
その他、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、紫外のレーザーランプ(ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザーなど)、可視の各種レーザーランプ、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等、放射線としては電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線なども利用できる。
上記の中でも、本発明に係る画像記録材料の像露光に用いられる光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザー、半導体レーザーが特に好ましい。
また、露光機構は内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等のいずれであってもよい。
特に、750nm〜1400nmの波長を露光光源として用いる場合、該波長の光を発するものならば特に際限なく使用できるが、好ましくは750nm〜1400nmの波長の赤外線を放射する固体レーザー或いは半導体レーザーにより画像露光されることが好ましい。
レーザーの出力は100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザーデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。平版印刷版原版に照射される単位あたりのエネルギー量は10〜300mJ/cmであることが好ましい。
この露光処理では、光源の光ビームをオーバーラップさせて露光することができる。オーバーラップとは副走査ピッチ幅がビーム径より小さい条件下で露光が行われることをいう。オーバーラップは、例えば、ビーム径をビーム強度の半値幅(FWHM)で表わしたとき、FWHM/副走査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現することができる。本発明では、このオーバーラップ係数が0.1以上であることが好ましい。
露光装置の光源の走査方式は特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒内面走査方式、平面走査方式などを用いることができる。また、光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネルでもよいが、円筒外面方式の場合にはマルチチャンネルが好ましく用いられる。
本発明の平版印刷版原版の製版においては、露光処理された後に通常行われるような特段の加熱処理及び/又は水洗処理を行うことなく、現像処理に供することが可能である。この加熱処理を行わないことで、加熱処理に起因する画像の不均一性を防止することができる。また、加熱処理及び/又は水洗処理を行わないことで、現像処理において安定な高速処理が可能となる。
〔現像〕
以下、露光処理の後に行われる現像処理に用いられる現像液について説明する。
<現像液>
用いられる現像液は、特に限定されるものではないが、通常、アルカリ剤を含むpH14以下、好ましくはpH9.0〜13.0の範囲のアルカリ水溶液が適用される。
(アルカリ剤)
上記の現像液に用いられるアルカリ剤としては、例えば、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、硼酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、及び同リチウムなどの無機アルカリ剤及び、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ剤等が挙げられる。これらを単独で用いてもよいし、若しくは2種以上を組み合わせて混合して用いてもよい。
また、上記以外のアルカリ剤として、アルカリ珪酸塩を挙げることができる。アルカリ珪酸塩は塩基と組み合わせて使用してもよい。使用するアルカリ珪酸塩としては、水に溶解したときにアルカリ性を示すものであって、例えば珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸アンモニウムなどがある。これらのアルカリ珪酸塩は1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
珪酸塩を用いる場合には、珪酸塩の成分である酸化ケイ素SiOと、アルカリ成分としてのアルカリ酸化物MO(Mはアルカリ金属又はアンモニウム基を表す)との混合比率、及び濃度の調整により、現像液特性を最適な範囲に容易に調節することができる。酸化ケイ素SiOとアルカリ酸化物MOとの混合比率(SiO/MOのモル比)は、支持体の陽極酸化皮膜が過度に溶解(エッチング)されることに起因する放置汚れや、溶解アルミニウムと珪酸塩との錯体形成に起因する不溶性ガスの発生を抑制するといった観点から、好ましくは0.75〜4.0の範囲であり、より好ましくは0.75〜3.5の範囲で使用される。
また、現像液中のアルカリ珪酸塩の濃度としては、支持体の陽極酸化皮膜の溶解(エッチング)抑制効果、現像性、沈殿や結晶生成の抑制効果、及び廃液処理時における中和の際のゲル化防止効果などの観点から、現像液の質量に対して、SiO量として、0.01〜1mol/Lが好ましく、より好ましくは0.05〜0.8mol/Lの範囲で使用される。
(芳香族アニオン界面活性剤)
現像液は、現像促進効果、ネガ型重合性感光層成分及び保護層成分の現像液中での分散安定化、現像処理安定化の観点から、芳香族アニオン界面活性剤を含有することが好ましい。
芳香族アニオン界面活性剤は、特に限定されるものではないが、下記一般式(A)又は一般式(B)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2009025379
上記一般式(A)又は一般式(B)において、R、Rは、それぞれ独立に、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が挙げられ、中でも、エチレン基、プロピレン基が特に好ましい。
m、nは、それぞれ独立に、1〜100から選択される整数を表し、中でも、1から30が好ましく、2〜20がより好ましい。また、mが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。同じく、nが2以上の場合、複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。
t、uは、それぞれ独立に、0又は1を表す。
、Rは、それぞれ独立に、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜20のアルキル基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基等が挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、iso−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基が特に好ましい。
p、qはそれぞれ、0〜2から選択される整数を表す。
、Yは、それぞれ単結合、又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、具体的には、単結合、メチレン基、エチレン基が好ましく、特に単結合が好ましい。
(Zr+、(Zs+は、それぞれ独立に、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、或いは、無置換又はアルキル基で置換されたアンモニウムイオンを表し、具体例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオン、炭素数20以下の、アルキル基、アリール基又はアラルキル基が置換した2級〜4級のアンモニウムイオンなどが挙げられ、特に、ナトリウムイオンが好ましい。
r、sはそれぞれ、1又は2を表す。
以下に、芳香族アニオン界面活性剤の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2009025379
Figure 2009025379
芳香族アニオン界面活性剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。芳香族アニオン界面活性剤の添加量は、特に限定されるものではないが、現像性、感光層成分及び特定保護層成分の溶解性、得られる印刷版の耐刷性を考慮すると、現像液中における芳香族アニオン界面活性剤の濃度が1.0〜10質量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは2〜10質量%の範囲である。
現像液には、前記芳香族アニオン界面活性剤以外に、その他の界面活性剤を併用してもよい。その他の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンステアレート等のポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタンアルキルエステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート等のモノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン界面活性剤が挙げられる。
これらその他の界面活性剤の現像液中における含有量は0.1から10質量%が好ましい。
(キレート剤)
現像液には、例えば、硬水に含まれるカルシウムイオンなどによる影響を抑制する目的で、2価金属に対するキレート剤を含有させることが好ましい。2価金属に対するキレート剤としては、例えば、Na、Na、Na、NaP(NaOP)PONa、カルゴン(ポリメタリン酸ナトリウム)などのポリリン酸塩、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、そのアミン塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、ナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのようなアミノポリカルボン酸類の他2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;2−ホスホノブタノントリカルボン酸−2,3,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ホスホノエタントリカルボン酸−1,2、2、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類を挙げることができ、中でも、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、そのアミン塩;エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、そのアンモニウム塩、そのカリウム塩、;ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、そのアンモニウム塩、そのカリウム塩が好ましい。
このようなキレート剤の最適量は使用される硬水の硬度及びその使用量に応じて変化するが、一般的には、使用時の現像液中に0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%の範囲で用いられる。
加えて、現像液には、現像調整剤として有機酸のアルカリ金属塩類、無機酸のアルカリ金属塩類を加えてもよい。例えば、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、クエン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウムなどを単独若しくは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、上記の成分の他に、必要に応じて以下のような成分を現像液に併用することができる。例えば、安息香酸、フタル酸、p−エチル安息香酸、p−n−プロピル安息香酸、p−イソプロピル安息香酸、p−n−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−2−ヒドロキシエチル安息香酸、デカン酸、サリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等の有機カルボン酸;プロピレングリコール等の有機溶剤;この他、還元剤、染料、顔料、防腐剤等が挙げられる。
現像液のpHは、現像時における非画像部への現像性及び画像部へのダメージ軽減、更には現像液の取り扱い性の観点から、25℃におけるpHが10〜12.5の範囲であることが好ましく、pH11〜12.5の範囲であることがより好ましい。
また、現像液の導電率xは、2<x<30mS/cmであることが好ましく、5〜25mS/cmであることがより好ましい。導電率を調整するためには、有機酸のアルカリ金属塩類、無機酸のアルカリ金属塩類等を導電率調整剤として添加することが好ましい。
上記の現像液は、露光された平版印刷版原版の現像液及び現像補充液として用いることができ、自動現像機に適用することが好ましい。自動現像機を用いて現像する場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。本発明における製版方法においてもこの補充方式が好ましく適用される。
更に、自動現像機を用いて、現像液の処理能力を回復させるために、米国特許第4,882,246号に記載されている方法で補充することも適用可能である。また、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号、同57−7427号の各公報に記載されている現像液も適用可能である。
このようにして現像処理された平版印刷版原版は、特開昭54−8002号、同55−115045号、同59−58431号等の各公報に記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理する方法も適用可能であり、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
更に、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面加熱若しくは全面露光を行うことも適用可能である。この現像後の加熱には、非常に強い条件を利用することができ、通常は加熱温度が200〜500℃の範囲で実施される。
このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
なお、印刷時、版上の汚れ除去のため使用するプレートクリーナーとしては、従来より知られているPS版用プレートクリーナーが使用され、例えば、マルチクリーナー、CL−1、CL−2、CP、CN−4、CN、CG−1、PC−1、SR、IC(富士写真フイルム株式会社製)等が挙げられる。
このようにして本発明の平版印刷版原版より得られた平版印刷版により、多数枚の印刷物を得ることができる。
以下、実施例によって本発明を説明するが、これらに特に限定されるものではない。
[合成例1]
−特定重合性モノマー(a−1)の合成−
N−メチルー2,2’−ジアミノジエチルアミン25gを500mlのアセトニトリル中に加えた後、−5℃に冷却しながらカレンズAOI(昭和電工)60.2gを徐々に加え、更に3時間攪拌した。AcOEt,HOで抽出しMgSOにより乾燥した後、反応生成物をカラムクロマトグラフィー(AcOEt/MeOH)により分離精製し、収率20%で、下記構造の特定重合性モノマー(a−1)を得た。
Figure 2009025379
得られた特定重合性モノマー(a−1)の構造は、NMRにて同定した。
H NMR(CDCL,400MHz):σ2.22(s,3H),σ2.46(t,4H),σ3.23(t,4H),σ3.49(t,4H),σ4.24(t,4H),σ5.33(br,2H),σ5.42(br,2H),σ5.87(d,2H),σ6.12(t,2H),σ6.43(d,2H)
[合成例2]
−特定重合性モノマー(a−2)の合成−
トリス(2−アミノエチル)アミン25gを500mlのアセトニトリル中に加えた後、−5℃に冷却しながらカレンズAOI(昭和電工)72.4gを徐々に加え、更に3時間攪拌した。AcOEt,HOで抽出しMgSOにより乾燥した後、反応生成物をカラムクロマトグラフィー(AcOEt/MeOH)により分離精製し、収率16%で、下記構造の特定重合性モノマー(a−2)を得た。
Figure 2009025379
得られた特定重合性モノマー(a−2)の構造は、NMRにて同定した。
H NMR(CDCL,400MHz):σ2.62(t,6H),σ3.16(t,6H),σ3.46(t,6H),σ3.49(t,6H),σ4.24(t,6H),σ5.75(br,3H),σ5.90(br,3H),σ5.86(d,3H),σ6.10(t,3H),σ6.42(d,3H)
[合成例3]
−比較重合性モノマー(c−1)の合成−
1,6−ジアミノヘキサン25gを500mlの脱水アセトニトリル中に加えた後、−5℃に冷却しながらカレンズAOI(昭和電工)48.0gを徐々に加え、更に3時間攪拌した。反応生成物が次第に析出し、これを吸引ろ過により分離した。アセトニトリルにより洗浄を行い風乾し、収率81%で、下記構造の比較重合性モノマー(c−1)を得た。
Figure 2009025379
[合成例4]
−比較重合性モノマー(c−2)の合成−
N−メチルジエタノールアミン25gを150mlのMEK中に加え、トリエチルアミン51g加えた後、−5℃に冷却しながらアクリル酸クロライド45.6gを徐々に加え、更に3時間攪拌した。反応生成物をろ過し、カラムクロマトグラフィー(Hexane/ AcOEt)により分離精製し、収率34%で、下記構造の比較重合性モノマー(c−2)を得た。
Figure 2009025379
[合成例5]
−比較重合性モノマー(c−3)の合成−
トリエタノールアミン25gを150mlのMEK中に加え、トリエチルアミン56.0g加えた後、−5℃に冷却しながらアクリル酸クロライド50.1gを徐々に加え、更に3時間攪拌した。反応生成物をろ過し、カラムクロマトグラフィー(Hexane/ AcOEt)により分離精製し、収率48%で、下記構造の比較重合性モノマー(c−3)を得た。
Figure 2009025379
<モノマーの溶解性の評価>
得られた特定重合性モノマーa−1〜a−2、及び比較重合性モノマーc−1〜c−3について、以下のようにして溶剤溶解性について評価した。
即ち、50mgのモノマーを25℃のメチルエチルケトン1mlに溶解させ、一時間攪拌し、完全溶解するかどうかを確認した。結果を下記表1に示す。
評価指標は以下の通りである。
○:固体が全て無くなっている
×:固体が目視できる
−:モノマーが液体である
Figure 2009025379
表1に明らかなように、特定重合性モノマーは、いずれも、溶剤溶解性に優れることが分かる。
(実施例1〜2、比較例1〜3)
下記の処方で示される硬化性組成物塗布液を調製し、アルミニウム板にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は、温風式乾燥装置にて115℃で34秒間行った。
<硬化性組成物塗布液>
・赤外線吸収剤(IR−1:下記構造) 0.074g
・重合開始剤(P−1:下記構造) 0.300g
・添加剤(AM−1:下記構造) 0.161g
・特定重合性モノマー又は比較重合性モノマー(表2記載の化合物) 1.00g
・バインダーポリマー(BT−1:下記構造) 1.00g
(重量平均分子量:100,000)
・着色剤(CL−1:下記構造) 0.04g
・フッ素系界面活性剤 0.016g
(メガファックF−780−F 大日本インキ化学工業(株)、
メチルイソブチルケトン(MIBK)30質量%溶液)
・メチルエチルケトン 10.4g
・メタノール 5.16g
・1−メトキシ−2−プロパノール 10.4g
赤外線吸収剤(IR−1)、重合開始剤(P−1)、添加剤(AM−1)、バインダーポリマー(BT−1)、及び着色剤(CL−1)の構造を以下に示す。
Figure 2009025379
<硬化性組成物の硬化性評価>
得られた実施例1〜2、比較例1〜3の硬化性組成物塗布液から得られた硬化膜に対して、以下のようにして酸素による重合阻害について評価した。
即ち、UV光源(EXECURE 3000,HOYA CANDEO OPTRONICS(株))を光源とするFT−IR(NICOLET 6700,サーモフィッシャーサイエンティフィック(株))を用いて、大気中において何らの酸素遮断を行わず、72mJ/cmのエネルギーで露光を行い、その時の二重結合消失率(800〜820cm−1)を測定した。
ここで二重結合消失率が高いものは、重合性化合物中に存在する二重結合が重合硬化に使用されて消失したことを表し、酸素による重合阻害を受けにくく、高感度で効率よく硬化していると評価する。結果を下記表2に示す。
Figure 2009025379
表2の結果から明らかなように、実施例の硬化性組成物は、酸素遮断層無しで塗膜を形成し、硬化させた場合も、重合が効率よく進行し、比較例に対し、酸素による重合阻害が起き難いことが分かる。
なお、ウレア結合間の連結基として炭素数6の2価の炭化水素基を含む比較重合性モノマー(c−1)ついては、溶剤溶解性が劣悪なため硬化性組成物塗布液が調製できず、評価も不可能であった。
(実施例3〜4、比較例4〜6)
〔平版印刷版原版〕
<支持体の作製>
99.5%以上のアルミニウムと、Fe:0.30%、Si:0.10%、Ti:0.02%、Cu:0.013%を含むJIS A 1050合金の溶湯を清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために脱ガス処理し、セラミックチューブフィルタ処理を行った。鋳造法はDC鋳造法で行った。凝固した板厚500mmの鋳塊を表面から10mm面削し、金属間化合物が粗大化してしまわないように550℃で10時間均質化処理を行った。
次いで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中で500℃60秒中間焼鈍した後、冷間圧延を行って、板圧0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロールの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線平均表面粗さRaを0.2μmに制御した。その後、平面性を向上させるためにテンションレベラーにかけた。
次に平版印刷版用の支持体とするための表面処理として、以下の(a)〜(f)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理及び水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
(a)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃でエッチング処理を行い、アルミニウム板を5g/m溶解した。その後水洗を行った。
(b)温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後水洗した。
(c)60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。この時の電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%、アンモニウムイオン0.007質量%含む)、温度30℃であった。交流電源は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが2msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で25A/dm、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で250C/cmであった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後水洗を行った。
(d)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を35℃で行い、アルミニウム板を0.2g/m溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の除去と、生成したピットのエッジ部分を溶解し、エッジ部分を滑らかにした。その後水洗した。
(e)温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーによる水洗を行った。
(f)硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、温度33℃、電流密度が5(A/dm)で、50秒間陽極酸化処理を行った。その後水洗を行った。この時の陽極酸化皮膜重量が2.7g/mであった。
このようにして得られたアルミニウム支持体の表面粗さRaは0.27(測定機器;東京精密(株)製サーフコム、蝕針先端径2ミクロンメーター)であった。
<下塗り層>
次に、このアルミニウム支持体に下記下塗り層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃30秒間乾燥した。塗布量は10mg/mであった。
(下塗り層用塗布液)
・下記構造の高分子化合物A(重量平均分子量:3万) 0.05g
・メタノール 27g
・イオン交換水 3g
Figure 2009025379
(感光層の形成)
下記感光層塗布液をそれぞれ調製し、上記のアルミニウム支持体にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は、温風式乾燥装置にて115℃で34秒間行い、平版印刷版原版を得た。乾燥後の被覆量は1.4〜2.0g/mであった。
<感光層塗布液>
・赤外線吸収剤(前記IR−1) 0.074g
・重合開始剤(前記P−1) 0.300g
・添加剤(前記AM−1) 0.161g
・特定重合性モノマー又は比較重合性モノマー(表3記載の化合物) 1.00g
・バインダーポリマー(前記BT−1) 1.00g
(重量平均分子量:100,000)
・エチルバイオレット(前記CL−1) 0.04g
・フッ素系界面活性剤 0.016g
(メガファックF−780−F 大日本インキ化学工業(株)、
メチルイソブチルケトン(MIBK)30質量%溶液)
・メチルエチルケトン 10.4g
・メタノール 5.16g
・1−メトキシ−2−プロパノール 10.4g
〔平版印刷版原版の評価〕
(1)感度の評価
得られた平版印刷版原版に対し、Creo社製Trendsetter800II Quantumを用いて、解像度2400dpi、外面ドラム回転数200rpm、出力0〜8Wの範囲で、logEで0.15ずつ出力を変化させて露光した。なお、露光は25℃50%RHの条件下で行った。
露光後、加熱処理、水洗処理は行わず、富士フイルム(株)社製自動現像機LP−1310HIIを用い搬送速度(ライン速度)2m/分、現像温度30℃で現像処理した。なお、現像液はDH−Nの1:4水希釈液を用い、現像補充液はFCT−421の1:1.4水希釈、フィニッシャーは富士フイルム(株)社製GN−2Kの1:1水希釈液を用いた。
現像して得られた平版印刷版の画像部濃度を、マクベス反射濃度計RD−918を使用し、該濃度計に装備されている赤フィルターを用いてシアン濃度を測定した。測定した濃度が0.6を得るのに必要な露光量の逆数を感度の指標とした。なお、評価結果は、実施例3で得られた平版印刷版の感度を100とし、他の平版印刷版の感度はその相対評価とした。値が大きいほど、感度が優れていることを意味する。
(2)耐刷性の評価
得られた平版印刷版原版に対し、Creo社製Trendsetter3244を用いて、解像度2400dpiで50%平網画像を、出力7W、外面ドラム回転数150rpm、版面エネルギー110mJ/cmで露光した。
露光後、(1)感度評価の現像工程と同じ方法で現像した。そして、得られた平版印刷版を、小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンを用いて、インクに東洋インキ製トランス墨N、湿し水にイソプロピルアルコール10質量%、EU−3の1質量%混合水を使用し、印刷を行った。
なお、評価結果は、実施例3で得られた平版印刷版の刷了枚数を100とし、他の平版印刷版の刷了枚数はその相対評価とした。値が大きいほど、耐刷性に優れていることを意味する。結果を表3に示す。
Figure 2009025379
表3に明らかなように、実施例3及び4の平版印刷版原版は、酸素遮断層無しで塗膜を形成し、硬化させた場合も、重合が効率よく進行し、比較例に対し、いずれも高感度で、得られた画像部の耐刷性に優れることがわかる。
なお、ウレア結合間の連結基として炭素数6の2価の炭化水素基を含む比較重合性モノマー(c−1)を用いた比較例4では、溶剤溶解性が劣悪なため感光層塗布液が調製できず、評価も不可能であった。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される重合性モノマーと、重合開始剤と、を含有することを特徴とする硬化性組成物。
    Figure 2009025379
    〔一般式(1)中、Qは、エチレン性不飽和基を含む置換基を表し、Rは、水素原子又は1価の炭化水素基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基を表す。Aは、少なくとも一つのエーテル結合を含む2価の連結基、又は炭素数が2から5である2価の連結基を表し、Bは、少なくとも一つのエーテル結合を含むn+1価の連結基、又は炭素数が2から5である2価の連結基を表す。n及びmは、それぞれ独立に、1から3の整数を表す。mが1の場合、2つのRはそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。〕
  2. 前記重合開始剤が光重合開始剤であること特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 増感色素を更に含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. 支持体上に、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の硬化性組成物を含有する感光層を有することを特徴とする平版印刷版原版。
  5. 下記一般式(1)で表される重合性モノマー。
    Figure 2009025379
    〔一般式(1)中、Qは、エチレン性不飽和基を含む置換基を表し、Rは、水素原子又は1価の炭化水素基を表し、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基を表す。Aは、少なくとも一つのエーテル結合を含む2価の連結基、又は炭素数が2から5である2価の連結基を表し、Bは、少なくとも一つのエーテル結合を含むn+1価の連結基、又は炭素数が2から5である2価の連結基を表す。n及びmは、それぞれ独立に、1から3の整数を表す。mが1の場合、2つのRはそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。〕
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