JP2009022204A - 改変デキストラングルコシダーゼ及びその製造方法 - Google Patents

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博昭 大塚
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Abstract

【課題】タンパク質工学的手法により、グリコシラーゼの加水分解反応の触媒作用を実質上失い、糖転移反応の触媒作用のみを保持したグリコシラーゼを製造する方法、及び当該方法によって製造される、糖転移活性が高められたグリコシラーゼを提供する。
【解決手段】Streptococcus mutans由来のデキストラングルコシダーゼのアミノ酸配列に於いて、特定の位置の他アミノ酸による置換、付加及び欠失等の位置特異的変異により、加水分解活性が低減され、かつ糖転移活性が増強されたタンパク質。タンパク質は、加水分解活性を実質的に失い、かつ糖転移活性が高められた改変グリコシラーゼであり、種々のオリゴ糖の製造における製造物の収率向上に寄与する。
【選択図】なし

Description

本発明は、糖転移活性が高められた改変デキストラングルコシダーゼ、グリコシラーゼによる糖加水分解反応の基質である水分子に近接するアミノ酸残基であるAsn残基を置換して、糖転移活性が高められたグリコシダーゼを製造する方法、及び当該方法によって糖転移活性が高められたグリコシダーゼに関する。
グリコシラーゼは、オリゴ糖、多糖、並びに配糖体が有するグリコシド結合を加水分解する酵素の総称である。一般にかかる酵素は糖加水分解反応を触媒する酵素として理解されているが、グリコシラーゼの中には、糖の加水分解反応のみならず、糖の分子間転移反応、さらには縮合反応すなわちグリコシド結合の形成反応をも触媒する酵素があることが知られている。糖転移反応は、グリコシル基をアルキル又はアリル水酸基へ転移する反応であり、種々の糖が基質となり得る。一方の縮合反応は加水分解反応の逆方向に進行する脱水反応であり、加水分解反応の生成物が基質となる。グリコシラーゼが有する分子間糖転移活性を利用すれば、基質を選択することにより様々な構造のオリゴ糖を合成することができ、単糖あるいは二糖類や三糖類からより重合度が大きく、良好な生理機能を示す様々なオリゴ糖の製造に利用することができる(非特許文献1)。
オリゴ糖の製造方法には、グリコシラーゼの分子間糖転移活性を利用した方法の他に、有機化学的な合成方法(非特許文献2)や糖転移酵素を利用する方法(非特許文献3)などが知られている。有機化学的な合成方法には、グリコシド結合の形成や脱保護などを含む多段階の合成ステップを要し、操作が煩雑であること、及びグリコシド結合の選択性や置換基の導入位置の選択性の制御が難しいこと、また糖転移酵素を利用した方法では、反応基質として高価な糖ヌクレオチドが必要であることなどが、それぞれを利用したオリゴ糖の工業的生産を困難にしている。
グリコシラーゼの分子間糖転移活性を利用した方法には、有機化学的な合成方法や糖転移酵素を利用する方法に対して指摘される前記の問題に代わり、反応生成物の収率が低いという問題が指摘される。糖の加水分解反応はグリコシル基を水分子に転移する反応としても表すことができるように、糖転移反応の反応機構は加水分解反応のそれと同じであるので、グリコシラーゼの分子間糖転移活性を利用したオリゴ糖の合成は、同時にオリゴ糖の加水分解反応が競合して進行する中で行われることになるからである。従って、グリコシラーゼの分子間糖転移活性を利用してオリゴ糖を高収率で合成させるためには、グリコシラーゼの加水分解作用を抑制することが重要である。
グリコシラーゼの加水分解触媒作用を抑制する方法としては、有機溶媒を添加することで加水分解反応を抑制する方法、アリルグリコシドやフッ化グリコシドなど活性化された基質を使用する方法、触媒アミノ酸残基を欠失した加水分解を示さない酵素と活性化された基質を用いた方法等が知られている。しかしながらこれらの方法には、高濃度の有機溶媒の使用による利用可能な酵素の限定、活性化基質が化学的に不安定であるなどの問題を伴っている。
本発明者らは、タンパク質工学的な手法によって加水分解活性の触媒残基であるアスパラギン酸を他のアミノ酸に置換して加水分解活性を10000分の1以下とした改変α−グルコシダーゼ(特許文献1)や、タンパク質工学とタンパク質の化学修飾法とを組み合わせて、糖加水分解酵素の求核触媒残基のアスパラギン酸残基またはグルタミン酸残基をシステイスルフィン酸残基及び/又はシステイスルホン酸残基で置換した糖加水分解酵素変異体(特許文献2)を作製し、これらがオリゴ糖の製造に有用であることを明らかにしてきた。
デキストラングルコシダーゼ(DGase)は、Russellら(非特許文献4)により報告された、Streptococcus mutans由来の酵素で、デキストラン又はイソマルトオリゴ糖の非還元末端よりαグルコースを遊離するグリコシダーゼ、正確にはα−グルコシダーゼの一種である。佐分利ら(非特許文献5)により報告されたDGaseのアミノ酸配列は配列番号1に示される通りであり、また配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるDGaseの3次元立体構造は本発明者らのグループにより解析され、その立体構造座標データはProtein Databank(PDB)に登録される予定である。このDGaseも糖転移活性を有しているが、そのままではオリゴ糖を高収率で合成させる方法に利用することは難しく、当該方法に適した改変DGaseを作製することが必要である。
北畑寿美雄、澱粉科学、1990年、第37巻、第59−67頁 水野卓、「糖類の化学合成」、1981年、関東化学(株)学術部発行 Johnsonら、Glycoconj.J.、1999年、第16巻、第141−146頁 Russellら、J.Gen.Microbiol.、1990年、第136巻、第803−810頁 Saburi W.ら、Biochem.Biophys.Acta、2006年、第1764巻、第688−698頁 特開2003−88365号公報 特開2005−253302号公報
本発明は、タンパク質工学的手法により、グリコシラーゼの加水分解反応の触媒作用を実質上失い、糖転移反応の触媒作用のみを保持したグリコシラーゼを製造する方法、及び当該方法によって製造される、糖転移活性が高められたグリコシラーゼを提供することを目的とする。
本発明者らは、DGaseの311番目のAsn残基(Asn311)が加水分解活性に関与していること、及びグリコシラーゼの活性中心とされるアミノ酸残基であるアスパラギン酸とは異なる前記Asn残基を改変することにより、グリコシラーゼの糖転移活性を高めることができることを見いだし、以下の各発明を完成した。
(1)配列番号1に示されるアミノ酸配列の311番目のアミノ酸がAsn以外のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列、又は配列番号1に示されるアミノ酸配列の311番目のアミノ酸がAsn以外のアミノ酸に置換され、かつ311番目以外の1若しくは数個のアミノ酸がさらに欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、加水分解活性が低減され、かつ糖転移活性が増強されたタンパク質。
(2)(1)に記載のタンパク質をコードする核酸。
(3)(2)に記載の核酸を含む組み換えベクター。
(4)(2)に記載の核酸又は(3)に記載の組み換えベクターによって形質転換された宿主細胞。
(5)改変グリコシラーゼの製造方法であって、加水分解反応の基質である水分子に近接するグリコシラーゼのアミノ酸残基を特定する工程1、当該アミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換した改変グリコシラーゼを調製する工程2を含む、加水分解活性が低減され、かつ糖転移活性が増強された改変グリコシラーゼの製造方法。
(6)「グリコシラーゼがグリコシドハイドロラーゼファミリー13に属するグリコシラーゼより選ばれる、(5)に記載の方法。
(7)グリコシドハイドロラーゼファミリー13に属する酵素が、α−アミラーゼ、マルトテトラオース生成アミラーゼ、マルトジェニックα−アミラーゼ、ネオプルラナーゼ、ネオプルラナーゼ−α−アミラーゼ、α−グルコシダーゼ、オリゴ−1,6−グルコシダーゼ、デキストラングルコシダーゼ 、シクロデキストリナーゼ、イソアミラーゼ、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、ブランチングエンザイム、マルトオリゴシルトレハロース合成酵素、トレハロヒドロラーゼ、及びトレハロース6−リン酸ヒドロラーゼ、アミロシュークラーゼよりなる群から選ばれる少なくとも一種の酵素である、(6)に記載の方法。
(8)加水分解反応の基質である水分子に近接するグリコシラーゼのAsn残基を特定する、(5)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(9)Asn残基が、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるデキストラングルコシダーゼの311位のAsnに相当するAsn残基である、(8)に記載の方法。
本発明の方法は、加水分解活性を実質的に失い、かつ糖転移活性が高められた種々の改変グリコシラーゼを製造することができ、その様な改変グリコシラーゼは、種々のオリゴ糖の製造における製造物の収率向上に寄与することができる。
本発明は、改変DGaseを提供する。具体的には、配列番号1に示されるアミノ酸配列の311番目のアミノ酸がAsn以外のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列、又は配列番号1に示されるアミノ酸配列の311番目のアミノ酸がAsn以外のアミノ酸に置換され、かつ311番目以外の1若しくは数個のアミノ酸がさらに欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、加水分解活性が低減され、かつ糖転移活性が増強されたタンパク質である。
この改変DGaseは、加水分解反応の基質である水分子に近接するグリコシラーゼのAsn311残基が他のアミノ酸残基に置換されることにより、DGaseの加水分解活性が低減され、かつ糖転移活性が増強された酵素タンパク質である。例えば、配列番号1のAsn311がアラニン(Ala、A)、グルタミン(Gln、Q)、スレオニン(Thr、T)、ロイシン(Leu、L)又はリジン(Lys、K)にそれぞれ置換されたアミノ酸配列からなる改変DGaseにおいては、加水分解反応の比活性は元のDGaseの0.13−0.25%にまで低減されるが、p−ニトロフェニルα−グルコシド(pNP−G)を基質としたときのp−ニトロフェノール及びグルコースの両遊離速度から計算される糖転移率は、4mMのpNP−Gのときには元のDGaseが68%であったのに対し, 改変DGaseでは94%〜97%に上昇する。また、かかる糖転移率の上昇は、6mMのpNP−Gのときには元のDGaseが78%であったのに対して、改変DGaseではほぼ100%にまで上昇する。なお、改変DGaseの最適pH、pH安定性並びに温度安定性は、元のDGaseとほぼ同様の値を示した。
本発明は、配列番号1に示されるアミノ酸配列の311番目のアミノ酸がAsn以外のアミノ酸に置換され、かつ311番目以外の1若しくは数個のアミノ酸がさらに欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、加水分解活性が低減され、かつ糖転移活性が増強された改変タンパク質も提供する。本発明におけるアミノ酸配列の置換、欠失、及び/又は付加に関する「1若しくは数個」とは、1〜数十アミノ酸以内、好ましくは1〜70個、より好ましくは1〜50個、更に好ましくは1〜30個、特に好ましくは1〜15個のアミノ酸残基の変化を意味する。アミノ酸配列の同一性(%)で表せば、配列番号1で示されるアミノ酸配列に対して80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列として表すことができる。
タンパク質のアミノ酸配列は、アミノ酸残基の電荷、大きさ、疎水性等の物理化学的性質について、保存性の高い変異が許容され得ることが、経験的に認められている。例えば、アミノ酸残基の置換については、グリシン(Gly)とプロリン(Pro)、Glyとアラニン(Ala)またはバリン(Val)、ロイシン(Leu)とイソロイシン(Ile)、グルタミン酸(Glu)とグルタミン(Gln)、アスパラギン酸(Asp)とアスパラギン(Asn)、システイン(Cys)とスレオニン(Thr)、Thrとセリン(Ser)またはAla、リジン(Lys)とアルギニン(Arg)等が挙げられる。また、上述の保存性を超えた場合でも、なおそのタンパク質の本質的な機能を失わない変異が存在し得ることも当業者において経験されるところである。従って、配列番号1に示されるアミノ酸配列の311番目のアミノ酸がAsn以外のアミノ酸に置換され、かつ311番目以外の1若しくは数個のアミノ酸がさらに欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であっても、加水分解活性が低減され、かつ糖転移活性が増強されたタンパク質は本発明の一態様として理解される。
上記の改変DGaseは、DGaseをコードする核酸上でのAsn311のコドンを他のアミノ酸のコドンに変換し、適当な宿主発現系を利用して製造することが出来る。核酸上でのコドンの変換操作並びに宿主発現系での核酸の発現操作は、J.Sambrookら(Molecular Cloning,a Laboratory Manual 2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,ニューヨーク(New York),1989年、参照)を初めとする、種々の遺伝子組み換え操作を詳細に解説した実験操作マニュアル書の指示に基づいて行うことができる。
DGaseをコードする核酸、好ましくはDNAの塩基配列は配列番号1の様に既に決定され、データベースに登録されている。従って、DGaseをコードする核酸は、当該配列情報及び論文等の報告を基にS.mutansからクローニングして使用してもよい。例えば、S.mutansから単離したゲノムDNAあるいはcDNAライブラリーに対して、データベース等に登録されている塩基配列(配列番号2)又はそれらに相補する塩基配列からなるDNAをプローブとしたハイブリダイゼーションによるスクリーニング、又はDGaseに対する特異抗体を用いたイムノスクリーニング法その他の方法によって、目的の核酸を有するクローンを増幅すればよい。
ハイブリダイゼーション法によるスクリーニングは、配列番号2に示される塩基配列又はそれらに相補する塩基配列からなるDNAを32P等でラベルしてプローブとし、S.mutans由来のcDNAライブラリーに対して、公知の方法(例えば、Maniatis T.等,MolecularCloning,a Laboratory Manual,Cold Spring harbor Laboratory,New York,1982年)に従って行うことができる。また、配列番号2に示される塩基配列又はそれらに相補する塩基配列からなるDNAは、S.mutans由来のゲノムDNAもしくはcDNAライブラリーを鋳型とするPCR(Polymerase Chain Reaction)によっても得る事ができる。あるいは、配列番号2に示される塩基配列からなる核酸を、DNAシンセサイザー等を利用して合成して使用してもよい。
本発明は、改変DGaseをコードする核酸を提供する。核酸はRNA又はDNAを含み、その形態としてはmRNA、cDNA、ゲノムDNAの他、化学合成DNAなどが含まれるが、特に制限はない。また本発明の核酸は1本鎖であっても、それに相補的な配列を有する核酸やRNAと結合して2重鎖、3重鎖を形成していても良い。また、当該核酸は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRPO)等の酵素や放射性同位体、蛍光物質、化学発光物質等で標識されていてもよい。
本発明の好ましい核酸はDNAであり、配列番号2に示される塩基配列において、Asn311に対応するコドンが別のアミノ酸のコドンに置換された塩基配列からなるDNA、またかかる塩基配列と相補する塩基配列からなるDNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ本発明の改変DGaseをコードするDNAが、本発明の核酸に含まれる。本発明におけるストリンジェントな条件とは、塩濃度1.5Mを含む65℃の緩衝液中で配列番号2に相補的な塩基配列からなる核酸にハイブリダイズし、50℃の2×SSC溶液(0.1%[w/v]SDSを含む)でDNAを洗浄する条件(1×SSCは0.15M NaCl、0.015M クエン酸ナトリウムである)でハイブリダイズが維持される条件をいう。また、塩基配列の同一性(%)で示せば、配列番号2の塩基配列に対して70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上の同一性を有する塩基配列からなる核酸であればよい。
改変DGaseをコードする核酸、好ましくはDNAは、適当な発現ベクターに組み込むことができ、かかるベクターは改変DGaseの組換え的生産を可能にする。改変DGaseをコードする核酸を有する組換えベクターは、環状、直鎖状等いかなる形態のものであってもよい。かかる組換えベクターは、改変DGaseをコードする核酸に加え、必要ならば他の塩基配列を有していてもよい。他の塩基配列とは、エンハンサー配列、プロモーター配列、リボゾーム結合配列、コピー数の増幅を目的として使用される塩基配列、シグナルペプチドをコードする塩基配列、他のポリペプチドをコードする塩基配列、ポリA付加配列、スプライシング配列、複製開始点、選択マーカーとなる遺伝子の塩基配列等のことである。
遺伝子組み換えに際しては、適当な合成DNAアダプターを用いて翻訳開始コドンや翻訳終止コドンを、改変DGaseをコードする核酸に付加したり、あるいは塩基配列内に適当な制限酵素切断配列を新たに発生させたりあるいは消失させたりすることも可能である。これらは当業者が通常行う作業の範囲内であり、当業者は改変DGaseをコードする核酸を基に任意かつ容易に加工することができる。
また改変DGaseをコードする核酸を保持するベクターは、使用する宿主に応じた適当なベクターを選択して使用すればよく、プラスミドの他にバクテリオファージ、バキュロウイルス、レトロウィルス、ワクシニアウィルス等の種々のウイルスを用いることも可能であるが、細菌、特にエシェリヒア属細菌、バチルス属細菌又は酵母を用いた宿主発現系に利用可能なベクターが好ましい。利用可能な市販の発現ベクターとしては、pET−23d(+)(Novagen社製)、pET−28a(+)(Novagen社製)、等を例示することができる。
改変DGaseの発現は、DGaseをコードする遺伝子固有のプロモーター配列の制御下に発現させることができる。あるいは、改変DGaseをコードする塩基配列の上流に別の適当な発現プロモーターを連結して使用することもできる。その様な発現プロモーターは、宿主及び発現の目的に応じて適宜選択すればよく、例えば宿主がエシェリヒア属細菌、好ましくは大腸菌である場合にはT7プロモーター、lacプロモーター、trpプロモーター、λPLプロモーターなどが、宿主がバチルス属細菌、好ましくはB.subtillisである場合にはP43プロモーター、vegIプロモーター、Xylose−inducibleプロモーター等を挙げることができる。また、宿主が酵母である場合にはPHO5プロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター等が、宿主が動物細胞である場合にはSV40由来プロモーター、レトロウィルスプロモーター、サイトメガロウイルス(ヒトCMV)のIE(immediate early)遺伝子のプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、SRαプロモーター等を挙げることができる。改変DGaseをコードする核酸、好ましくはDNAを上記に例示されたプロモーターに連結する、あるいは発現ベクターに組み込む等の操作は、J.Sambrookら(Molecular Cloning,a Laboratory Manual 2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,ニューヨーク(New York),1989年、参照)を初めとする、種々の遺伝子組み換え操作を詳細に解説した実験操作マニュアル書の指示に基づいて行うことができる。
改変DGaseは、例えばFmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)やtBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)等の、有機化学的合成方法、あるいは市販されている適当なペプチド合成機を用いて製造することもできるが、遺伝子組換え技術によって、前記の核酸、特に発現ベクターに組み込まれたDNAを原核生物もしくは真核生物から選択される適当な宿主細胞を用いた好適な発現系に導入することによって製造することが好ましい。
宿主細胞の例としては、エシェリヒア(Escherichia)属細菌、バチルス(Bacillus)属細菌の他に、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属細菌、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属細菌、セラチア(Serratia)属細菌、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌、アースロバクター(Arthrobacter)属細菌、エルウニア(Erwinia)属細菌、メチロバクテリウム(Methylobacterium)属細菌、ロドバクター(Rhodobacter)属細菌、ストレプトミセス(Streptomyces)属微生物、ザイモモナス(Zymomonas)属微生物、サッカロミセス(Saccharomyces)属酵母等の微生物を挙げることができる。またカイコなどの昆虫細胞、HEK293細胞、MEF細胞、Vero細胞、Hela細胞、CHO細胞、WI38細胞、BHK細胞、COS−7細胞、MDCK細胞、C127細胞、HKG細胞、ヒト腎細胞株等の動物細胞も利用可能である。
宿主細胞に発現ベクターを導入する方法としては、前記のSambrookらを初めとする実験操作マニュアル書に記載されている方法、例えば、エレクトロポレーション法、プロトプラスト法、アルカリ金属法、リン酸カルシウム沈澱法、DEAEデキストラン法、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法等により行うことができる。Sf9やSf21等の昆虫細胞の利用については、バキュロウイルス・エクスプレッション・ベクターズ、ア・ラボラトリー・マニュアル、ダブリュー・エイチ・フリーマン・アンド・カンパニー(W. H. Freeman and Company)、New York、1992年)やBio/Technology、1988年、第6巻、第47頁等に記載されている。
改変DGaseは、前記の発現ベクターを上記の宿主細胞内で発現させ、宿主細胞或いは培地から目的とするタンパク質を回収し、精製することによって得ることができる。タンパク質を精製する方法としては、蛋白質の精製に通常使用されている方法の中から適切な方法を適宜選択して行うことができる。すなわち、塩析法、限外濾過法、等電点沈澱法、ゲル濾過法、電気泳動法、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィーや抗体クロマトグラフィー等の各種アフィニティークロマトグラフィー、クロマトフォーカシング法、吸着クロマトグラフィーおよび逆相クロマトグラフィー等、通常使用され得る方法の中から適切な方法を適宜選択し、必要によりHPLCシステム等を使用して適当な順序で精製を行えば良い。
また、改変DGaseは、その機能を損なわない限り、その他の機能性タンパク質やポリペプチドとの融合タンパク質として製造してもよい。機能性タンパク質の例としては、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質(MBP)、プロテインA、グリーン蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェラーゼその他の、融合蛋白質の製造に汎用されるタンパク質を挙げることができる。また、FLAGタグ、ヒスチジンタグ又はキチン結合配列のように、組み換えタンパク質の製造、特に組み換えタンパク質の精製を容易にする機能性ポリペプチドを利用すれば、改変DGaseの製造をより有利に行うことができる。改変DGaseを融合タンパク質として発現させた場合には、その機能性タンパク質やポリペプチドに特徴的な精製法を採用することが好ましい。融合タンパク質は、適当なプロテアーゼ(トロンビン、トリプシン等)を用いて切断し、本発明のタンパク質を回収することができる。また、組換えDNA分子を利用して無細胞系の合成方法(前出のJ.Sambrookら)で得る方法も、遺伝子工学的に生産する方法の1つである。
この様に、改変DGaseは、それ単独の形態でも別種の蛋白質との融合蛋白質の形態でも調製することができるが、これらのみに制限されるものではなく、必要に応じて、蛍光物質や放射性物質等の適当な標識化合物を付加したり、種々の化学修飾物質やポリエチレングリコール等の高分子を結合させたりすることが可能であり、あるいはIMOS−STを不溶性担体へ結合させたりすることも可能である。こうしたタンパク質を対象とした化学的修飾法は当業者に広く知られており、本発明で使用されるタンパク質の機能を損なわない限り、どの様に修飾し、利用してもよい。
本発明は、上記の改変DGaseの製造法を例とする、改変グリコシラーゼの製造方法を提供する。具体的には、本発明は、改変グリコシラーゼの製造方法であって、加水分解反応の基質である水分子に近接するグリコシラーゼのアミノ酸残基を特定する工程1、及び当該アミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換した改変グリコシラーゼを調製する工程2を含む、加水分解活性が低減され、かつ糖転移活性が増強された改変グリコシラーゼの製造方法を提供する。
グリコシラーゼ、特にグリコシドハイドロラーゼファミリー13に属するグリコシラーゼは、一次構造上にI〜IVの4つの保存領域を有し、保存領域IVに加水分解活性に寄与するいわゆる活性中心を構成するアミノ酸残基を初め、遷移状態の安定化や触媒残基の空間位置の最適化に働くなど、加水分解反応の触媒に重要なアミノ酸残基が保存されていることが知られている。また、 グリコシラーゼの加水分解反応の活性中心を構成するアミノ酸残基は、アスパラギン酸とグルタミン酸の2種の酸性アミノ酸からなる3残基であり、またこれら3残基はファミリー13に属する酵素間で高度に保存されていることが知られている(Nakamuraら、FEBS Lett.、1992年、第296巻、第37−40頁)。前述の特許文献1並びに特許文献2に記載されている改変タンパク質は、これら酸性アミノ酸残基を直接置換あるいは修飾等して、グリコシラーゼの加水分解活性を失わせる技術である。
本発明の方法は、上記の活性中心を構成する酸性アミノ酸ではなく、活性中心の近傍に位置し、加水分解反応の基質である水分子に近接するアミノ酸残基、特にアスパラギン(Asn)を改変することで、グリコシラーゼの加水分解活性を低減させるものである。加水分解反応の基質である水分子に近接するアミノ酸残基の特定は、例えばα−アミラーゼ、α−グルコシダーゼ、オリゴ−1,6−グルコシダーゼ等の立体構造が既知のグリコシラーゼにおいては、コンピューターグラフィクス(CG)等を用いて再現される立体構造を元にして特定することもできるが、改変対象となるグリコシラーゼの立体構造とDGaseの立体構造とをCG上で比較することで、DGaseのAsn311に立体構造上相当するアミノ酸残基を改変対象として特定することが好ましい。X線回折等により座標データ化されたタンパク質の3次元立体構造をCGで再現するソフトウェアは多数市販され、あるいは当業者間で供与されており、本発明の工程1では、この様なソフトウェアを用いて、グリコシラーゼの立体構造情報を基にしてアミノ酸残基の特定を行うことができる。
また、改変対象となるグリコシダーゼのアミノ酸配列とDGaseのアミノ酸配列との多重整列(アライメント)を行い、DGaseのAsn311に1次配列上相当するアミノ酸残基を、改変対象として特定してもよい。アライメントをコンピューター上で行うためのソフトウェアも多数市販され、あるいは当業者間で供与されている。例としては、国立遺伝学研究所生命情報・DDBJ研究センターが提供しているCLASTAL Wを挙げることができる。本発明の工程1では、この様なアライメント用ソフトウェアを用いて、グリコシラーゼのアミノ酸配列情報を基にしてアミノ酸残基の特定を行ってもよい。この様に、本発明の工程1は、DGaseの立体構造座標データあるいはアミノ酸配列と、当業者が容易に入手し得る種々のソフトウェアとを利用したコンピューター解析によって行うことができる。
工程2は、工程1で特定したアミノ酸残基を他のアミノ酸に置換した改変グリコシラーゼを調製する工程である。かかる改変グリコシラーゼは、例えば当該グリコシラーゼをコードする核酸上で特定されたアミノ酸残基に対応するコドンを他のアミノ酸のコドンに変換して改変グリコシラーゼをコードする核酸を構築し、この核酸を適当な宿主発現系の制御下で発現させることで調製することができる。特定されるアミノ酸残基は好ましくはAsnであり、また置換後のアミノ酸残基の種類としては、アラニン(Ala、A)、グルタミン(Gln、Q)、スレオニン(Thr、T)、ロイシン(Leu、L)又はリジン(Lys、K)が特に好ましい。
核酸上でのコドンの変換操作並びに宿主発現系での核酸の発現操作は、J.Sambrookら(Molecular Cloning,a Laboratory Manual 2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,ニューヨーク(New York),1989年、参照)を初めとする、種々の遺伝子組み換え操作を詳細に解説した実験操作マニュアル書の指示に基づいて行うことができる。グリコシドハイドロラーゼファミリー13に属するグリコシラーゼをコードする核酸のクローニングは多数論文等で報告されており、またそれらの塩基配列情報はGenBank、DDBJその他のデータベースに登録されている。従って、グリコシラーゼをコードする核酸は、当該配列情報及び論文等の報告を基に適当な生体からクローニングして使用してもよい。例えば、バチルス属細菌等の微生物から単離したゲノムDNAあるいはcDNAライブラリーに対して、データベース等に登録されている塩基配列又はそれらに相補する塩基配列からなるDNAをプローブとしたハイブリダイゼーションによるスクリーニング、又はグリコシラーゼに対する特異抗体を用いたイムノスクリーニング法その他の方法によって、目的の核酸を有するクローンを増幅すればよい。
ハイブリダイゼーション法によるスクリーニングは、データベース等に登録されている塩基配列又はそれらに相補する塩基配列からなるDNAを32P等でラベルしてプローブとし、グリコシラーゼを生産している生体由来のcDNAライブラリーに対して、公知の方法(例えば、Maniatis T.等,MolecularCloning,a Laboratory Manual,Cold Spring harbor Laboratory,New York,1982年)に従って行うことができる。また、データベース等に登録されている塩基配列又はそれらに相補する塩基配列からなるDNAは、グリコシラーゼを生産している生体由来のゲノムDNAもしくはcDNAライブラリーを鋳型とするPCR(Polymerase Chain Reaction)によっても得る事ができる。
あるいは、登録されている塩基配列からなる核酸を、DNAシンセサイザー等を利用して合成して使用してもよい。
改変グリコシラーゼをコードする核酸、好ましくはDNAは、適当な発現ベクターに組み込むことができ、かかるベクターは改変グリコシラーゼの組換え的生産を可能にする。改変グリコシラーゼをコードする核酸を有する組換えベクターは、環状、直鎖状等いかなる形態のものであってもよい。かかる組換えベクターは、改変グリコシラーゼをコードする核酸に加え、必要ならば他の塩基配列を有していてもよい。他の塩基配列とは、エンハンサー配列、プロモーター配列、リボゾーム結合配列、コピー数の増幅を目的として使用される塩基配列、シグナルペプチドをコードする塩基配列、他のポリペプチドをコードする塩基配列、ポリA付加配列、スプライシング配列、複製開始点、選択マーカーとなる遺伝子の塩基配列等のことである。
遺伝子組み換えに際しては、適当な合成DNAアダプターを用いて翻訳開始コドンや翻訳終止コドンを、改変グリコシラーゼをコードする核酸に付加したり、あるいは塩基配列内に適当な制限酵素切断配列を新たに発生させたりあるいは消失させたりすることも可能である。これらは当業者が通常行う作業の範囲内であり、当業者は改変グリコシラーゼをコードする核酸を基に任意かつ容易に加工することができる。
また改変グリコシラーゼをコードする核酸を保持するベクターは、使用する宿主に応じた適当なベクターを選択して使用すればよく、プラスミドの他にバクテリオファージ、バキュロウイルス、レトロウィルス、ワクシニアウィルス等の種々のウイルスを用いることも可能であるが、細菌、特にエシェリヒア属細菌、バチルス属細菌又は酵母を用いた宿主発現系に利用可能なベクターが好ましい。利用可能な市販の発現ベクターとしては、pET−23d(+)(Novagen社製)、pET−28a(+)(Novagen社製)、等を例示することができる。
改変グリコシラーゼの発現は、該タンパク質をコードする遺伝子固有のプロモーター配列の制御下に発現させることができる。あるいは、改変グリコシラーゼをコードする塩基配列の上流に別の適当な発現プロモーターを連結して使用することもできる。その様な発現プロモーターは、宿主及び発現の目的に応じて適宜選択すればよく、例えば宿主がエシェリヒア属細菌、好ましくは大腸菌である場合にはT7プロモーター、lacプロモーター、trpプロモーター、λPLプロモーターなどが、宿主がバチルス属細菌、好ましくはB.subtillisである場合にはP43プロモーター、vegIプロモーター、Xylose−inducibleプロモーター等を挙げることができる。また、宿主が酵母である場合にはPHO5プロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター等が、宿主が動物細胞である場合にはSV40由来プロモーター、レトロウィルスプロモーター、サイトメガロウイルス(ヒトCMV)のIE(immediate early)遺伝子のプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、SRαプロモーター等を挙げることができる。改変グリコシラーゼをコードする核酸、好ましくはDNAを上記に例示されたプロモーターに連結する、あるいは発現ベクターに組み込む等の操作は、J.Sambrookら(Molecular Cloning,a Laboratory Manual 2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,ニューヨーク(New York),1989年、参照)を初めとする、種々の遺伝子組み換え操作を詳細に解説した実験操作マニュアル書の指示に基づいて行うことができる。
改変グリコシラーゼは、例えばFmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)やtBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)等の、有機化学的合成方法、あるいは市販されている適当なペプチド合成機を用いて製造することもできるが、遺伝子組換え技術によって、前記の核酸、特に発現ベクターに組み込まれたDNAを原核生物もしくは真核生物から選択される適当な宿主細胞を用いた好適な発現系に導入することによって製造することが好ましい。
宿主細胞の例としては、エシェリヒア(Escherichia)属細菌、バチルス(Bacillus)属細菌の他に、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属細菌、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属細菌、セラチア(Serratia)属細菌、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌、アースロバクター(Arthrobacter)属細菌、エルウニア(Erwinia)属細菌、メチロバクテリウム(Methylobacterium)属細菌、ロドバクター(Rhodobacter)属細菌、ストレプトミセス(Streptomyces)属微生物、ザイモモナス(Zymomonas)属微生物、サッカロミセス(Saccharomyces)属酵母等の微生物を挙げることができる。またカイコなどの昆虫細胞、HEK293細胞、MEF細胞、Vero細胞、Hela細胞、CHO細胞、WI38細胞、BHK細胞、COS−7細胞、MDCK細胞、C127細胞、HKG細胞、ヒト腎細胞株等の動物細胞も利用可能である。
宿主細胞に発現ベクターを導入する方法としては、前記のSambrookらを初めとする実験操作マニュアル書に記載されている方法、例えば、エレクトロポレーション法、プロトプラスト法、アルカリ金属法、リン酸カルシウム沈澱法、DEAEデキストラン法、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法等により行うことができる。Sf9やSf21等の昆虫細胞の利用については、バキュロウイルス・エクスプレッション・ベクターズ、ア・ラボラトリー・マニュアル、ダブリュー・エイチ・フリーマン・アンド・カンパニー(W. H. Freeman and Company)、New York、1992年)やBio/Technology、1988年、第6巻、第47頁等に記載されている。
改変グリコシラーゼは、前記の発現ベクターを上記の宿主細胞内で発現させ、宿主細胞或いは培地から目的とするタンパク質を回収し、精製することによって得ることができる。タンパク質を精製する方法としては、蛋白質の精製に通常使用されている方法の中から適切な方法を適宜選択して行うことができる。すなわち、塩析法、限外濾過法、等電点沈澱法、ゲル濾過法、電気泳動法、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィーや抗体クロマトグラフィー等の各種アフィニティークロマトグラフィー、クロマトフォーカシング法、吸着クロマトグラフィーおよび逆相クロマトグラフィー等、通常使用され得る方法の中から適切な方法を適宜選択し、必要によりHPLCシステム等を使用して適当な順序で精製を行えば良い。
また、改変グリコシラーゼは、その機能を損なわない限り、その他の機能性タンパク質やポリペプチドとの融合タンパク質として製造してもよい。改変グリコシラーゼを融合タンパク質として発現させた場合には、その機能性タンパク質やポリペプチドに特徴的な精製法を採用することが好ましい。融合タンパク質は、適当なプロテアーゼ(トロンビン、トリプシン等)を用いて切断し、本発明のタンパク質を回収することができる。また、組換えDNA分子を利用して無細胞系の合成方法(前出のJ.Sambrookら)で得る方法も、遺伝子工学的に生産する方法の1つである。
この様に、改変グリコシラーゼは、それ単独の形態でも別種の蛋白質との融合蛋白質の形態でも調製することができるが、これらのみに制限されるものではなく、改変グリコシラーゼを更に種々の形態へと変換させることも可能である。例えば、蛋白質に対する種々の化学修飾、ポリエチレングリコール等の高分子との結合、不溶性担体への結合、リポソームへの封入など、当業者に知られている多種の手法による加工が考えられる。
以下、非限定的な実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明する。
<実施例1>
本発明者らのグループにより解析された配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるDGaseの座標データを基に、ソフトウェアPyMOLを用いて当該DGaseの立体構造をCG化した(図1)。触媒残基であるAsp313の近傍の部分構造と当該部分構造に近接して観測される水分子との空間配置から、加水分解反応において基質となり得る水分子に最も近接しているアミノ酸残基としてAsn311を選択した(図2)。
DGaseをコードするDNAをマルチクローニングサイトに組み込んだpDGase/pET−23d(Novagen)を鋳型とし、pET−23dのユニバーサルプライマーであるT7terminator(GCTAGTTATTGCTCAGCGG、配列番号3) 及び改変用プライマー(TATTCTGGAATXXXCATGACCTGCC、配列番号4、なおXXXはN311A(Asn311をAに置換する、以下同様)、N311Q、 N311T、N311L及びN311KでそれぞれGCC、CAA、ACC、CTC及びAAAとした) を用いてPCRを行った。反応はKOD 緩衝液#1(10mMのKCl、6mMの(NH4)SO、0.1%(w/v)のTriton X−100及び10μg/mLのBSAを含む120mMトリス塩酸緩衝液pH8.0)、100μMのdNTP、1mMのMgCl2、0.4μMの各プライマー、及び0.01U/mLのKOD DNApolymerase(東洋紡)を含む50μLで行い、96℃に3分間保持後、96℃で10秒間−55℃で10秒間−74℃で30秒間のサイクルを25回繰り返した。得られた増幅断片をPCR Purification Kit(Qiagen)を用いて精製し、滅菌水50μLで溶出した。このうち15μLをメガプライマーとしてT7Promoter(TAATACGACTCACTATAGG、配列番号5)と共に2段階目のPCRに用いた。反応液組成は上記と同様であり、PCRは96℃に1分間保持後、96℃で10秒間−74℃で30秒間のサイクルを5回行い, 96℃で10秒間−53℃で5秒間−74℃で1分間のサイクルを25回繰り返した。これらの操作によって、Asn311が前記他のアミノ酸に置換されたDGaseをコードするDNA断片を得た。
上記の方法で得られた各DNA断片それぞれを制限酵素NcoI及びXhoI(タカラバイオ)により消化し、同じく制限酵素NcoI及びXhoIにより開環させたpET−23dにライゲーションした。このライゲーション反応液を大腸菌BL21(DE3)に形質転換した。DNA断片毎に得られた形質転換体を100μg/mLのアンピシリン及び50μg/mLのクロラムフェニコールを含むLB培地50mLに植菌し、37℃で一晩培養後、1Lの同培地に植え継ぎ、A600が0.5となるまで37℃で培養した。0.1Mのイソプロピルβ−チオガラクトシドを1mL培地に加え、18℃でさらに24時間培養した。得られた培養液から菌体を遠心分離により回収し、菌体を0.5MのNaClを含む20mLの20mMリン酸ナトリウム緩衝液pH6.0に懸濁し、SONIFIER250(Branson)で超音波処理し、遠心分離後の上清を粗酵素液とした。
0.1MのNiSOに懸濁することによりNi2+をキレートしたChelating Sepharise Fast Flow (Amersham Biosciences社)10mLを0.5MのNaClを含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.0で平衡化してから内径2.0cmのガラスカラムに充填し、ここに粗酵素液を供し、20mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.0で洗浄し、さらに10mMのイミダゾール及び0.5MのNaClを含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液pH6.0で洗浄した。洗浄後のカラムを、500mMのイミダゾール及び0.5MのNaClを含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液pH6.0でカラムに吸着したタンパク質を溶出した。タンパク質を含む溶出液を、20mMリン酸ナトリウム緩衝液pH6.0に対して透析を行い、透析後のタンパク質溶液をUltrafiltration Membranes YM30(Millipore社)を用いた限外濾過によって濃縮して、組み換えタンパク質として改変DGaseを調製した。
<実施例2>
1)野生型DGase、N311A、N311T、N311Q、N311L及びN311Kそれぞれについて、p−ニトロフェニルα−グルコシド(pNP−G)の分解活性を測定した。試料、2mMのpNP−G、及び0.02%BSAを含む40mM HEPES−NaOH緩衝液(pH6.0)50μLを37℃に10分間保持し、ここに1M Na2CO3 100μLを加えて反応を停止させて、遊離したp−ニトロフェノールを反応液のA400を測定することで定量し、1分間に1μmolのp−ニトロフェノールを遊離するのに要する酵素量を1Uとした。
その結果、N311A、N311T、N311Q、N311L及びN311Kの分解活性は、野生型DGaseの活性を100としたときに、それぞれ0.25%、0.24%、0.13%、0.13%および0.0011%にまで低下していた。
2)上記1)の反応条件においてpNP−Gを4mMとし、pNP−Gからのp−ニトロフェノールとグルコースの遊離速度を測定してpNP−Gを基質としたときグルコース残基の転移効率(%)を計算したところ、野生型DGaseは68%であったのに対し、N311A、N311T、N311QN311L及びN311Kはそれぞれ98%、96%、97%、94%及び95%であった。さらにpNP−Gを6mMとしたときの転移効率は、野生型DGaseが78%であったのに対し、改変DGaseはいずれもほぼ100%であった。
3)野生型DGase(4.04nM)、N311A(426nM)、N311T(688nM)、N311Q(482nM)及びN311L(592nM)それぞれについて、20mMのpNP−G/800mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)を基質として37℃、60分反応させたときの糖転移反応生成物を、エタノール:メタノール:水=7:2:1も混合溶液を展開溶媒としたTLCで分析した。その結果、いずれの改変DGaseについてもpNP−IG2のスポットが観察され、またN311AとN311LではpNP−IG3のスポットが観察された(図3)。
4)N311AとN311Qの酵素量をそれぞれ4.26μMと4.82μMとして上記3)と同様にして反応60分と120分行ったときの生成物をTLCで分析したところ、N311Aの生成物としてpNP−IG2が確認され、N311Qの生成物としてpNP−IG2、pNP−IG3、pNP−IG4がそれぞれ確認された(図4)。
5)上記4)の反応生成物を、UnisonC18逆相カラム(Imtakt社)を用いて、9%(v/v)アセトニトリルを溶媒(0.7mL/分)としたHPLCを行い、UV検出器(312nm)で溶出パターンを測定した。このHPLCによって、N311AについてpNP−IG2、pNP−IG3及びpNP−IG4の生成が(図5)、N311QについてpNP−IG2とpNP−IG3の生成(図6)がそれぞれ確認された。
DGaseの3次元立体構造のコンピューターグラフィクス画像(リボンモデル)を表す。 図1におけるAsn311の近傍の構造の拡大図である。図中黄色の骨格がAsn311を、白色の骨格がAsp194、Glu256およびAsp313を、赤い球が水分子を、それぞれ示す。 20mMのpNP−G/800mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)を基質として37℃、60分反応させたときの、野生型DGase、N311A、N311T、N311Q及びN311Lそれぞれの反応生成物についてのTLC解析結果を示す。すべての変異酵素に、転移生成物pNP−IG2のスポットが観察された。N311AとN311LはpNP−IG3のスポット(グルコースとpNP−IG2のスポットの間)が認められた。左からレーン1:pNP−IG2(スポット上)、グルコース(スポット中)、イソマルトース(スポット下)IG2の各スポットの位置マーカー、レーン2:pNP−G(ブランク)、レーン3:野生型、レーン4:N311A、レーン5:N311Q、レーン6:N311T、レーン7:N311L。 20mMのpNP−G/800mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)を基質として37℃、60分又は120分反応させたときの、N311A及びN311Qそれぞれの反応生成物についてのTLC解析結果を示す。N311Qの反応液にはpNP−G3とpNP−G4(それぞれpNP−G2のスポットの下とさらにその下)が観察された。左からレーン1:pNP−IG2(スポット上)、グルコース(スポット中)、イソマルトース(スポット下)IG2の各スポットの位置マーカー、レーン2:pNP−G(ブランク)、レーン3:N311A、60分、レーン4:N311A、120分、レーン5:N311Q、60分、レーン6:N311Q、120分。 20mMのpNP−G/800mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)を基質として37℃、10分、30分又は60分反応させたときの、N311Aの反応生成物についてのHPLCチャートを示す。 20mMのpNP−G/800mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)を基質として37℃、10分、30分又は60分反応させたときのN311Qの反応生成物についてのHPLCチャートを示す。

Claims (9)

  1. 配列番号1に示されるアミノ酸配列の311番目のアミノ酸がAsn以外のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列、又は配列番号1に示されるアミノ酸配列の311番目のアミノ酸がAsn以外のアミノ酸に置換され、かつ311番目以外の1若しくは数個のアミノ酸がさらに欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、加水分解活性が低減され、かつ糖転移活性が増強されたタンパク質。
  2. 請求項1に記載のタンパク質をコードする核酸。
  3. 請求項2に記載の核酸を含む組み換えベクター。
  4. 請求項2に記載の核酸又は請求項3に記載の組み換えベクターによって形質転換された宿主細胞。
  5. 改変グリコシラーゼの製造方法であって、加水分解反応の基質である水分子に近接するグリコシラーゼのアミノ酸残基を特定する工程1、当該アミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換した改変グリコシラーゼを調製する工程2を含む、加水分解活性が低減され、かつ糖転移活性が増強された改変グリコシラーゼの製造方法。
  6. グリコシラーゼがグリコシドハイドロラーゼファミリー13に属するグリコシラーゼより選ばれる、請求項5に記載の方法。
  7. グリコシドハイドロラーゼファミリー13に属する酵素が、α−アミラーゼ、マルトテトラオース生成アミラーゼ、マルトジェニックα−アミラーゼ、ネオプルラナーゼ、ネオプルラナーゼ−α−アミラーゼ、α−グルコシダーゼ、オリゴ−1,6−グルコシダーゼ、デキストラングルコシダーゼ 、シクロデキストリナーゼ、イソアミラーゼ、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、ブランチングエンザイム、マルトオリゴシルトレハロース合成酵素、トレハロヒドロラーゼ、及びトレハロース6−リン酸ヒドロラーゼ、アミロシュークラーゼよりなる群から選ばれる少なくとも一種の酵素である、請求項6に記載の方法。
  8. 加水分解反応の基質である水分子に近接するグリコシラーゼのAsn残基を特定する、請求項5〜7のいずれかに記載の方法。
  9. Asn残基が、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるデキストラングルコシダーゼの311位のAsnに相当するAsn残基である、請求項8に記載の方法。
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