JP2009021412A - 表面黒化銅金属の製造法、導体層パターン付き基材の製造法、導体層パターン付き基材及びそれを用いた電磁波遮蔽部材 - Google Patents

表面黒化銅金属の製造法、導体層パターン付き基材の製造法、導体層パターン付き基材及びそれを用いた電磁波遮蔽部材 Download PDF

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Susumu Naoyuki
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Minoru Tosaka
実 登坂
Kyosuke Suzuki
恭介 鈴木
Masami Negishi
正実 根岸
Toshiro Okamura
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Abstract

【課題】表面が黒化された銅金属層を量産性よく製造する方法を提供する。
【解決手段】めっき用導電性基材1を用いて、表面が黒化処理されたパターン化銅金属層を製造する方法において、めっき用導電性基材1が、導電性基材2の表面に絶縁層3が形成されており、その絶縁層3に開口方向に向かって幅広であってめっきを形成するための凹部4のパターンが形成されている導電性基材であり、そのめっき用導電性基材1の凹部4に第1電流密度の下に銅金属を析出させて銅金属層を形成する導電層形成工程、及び、第1の電流密度よりも大きい第2の電流密度の下に上記銅金属層の表面に、その表面が黒色になるように銅金属を析出させる黒化処理工程を、一つのピロリン酸銅めっき浴中にて行うことを特徴とする表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、導電性に優れかつ光透過性を有するようにパターニングされた導体層パターン付き基材の製造法、導体層パターン付き基材及びそれを用いた電磁波遮蔽部材に関する。
銅箔は、一般に、不溶性のカソード体と、同じく不溶性のアノード体との間に、これら金属のイオンを含む所定の電解液を供給しながら電解反応を行うことにより目的とする金属をカソード体の表面に所望の厚みだけ電析させて金属導体層を箔として形成し、ついで形成されたその金属導体層をカソード体の表面から剥離することによって製造されている。この場合カソード体としては、ドラム形状のものまたは板状のものが用いられている。
このようにして得られた銅箔は、表面の光沢を消し、また、樹脂への接着性を改良する目的で、その表面を黒化処理されることが知られている。
上記のような銅箔の製造方法を応用して特許文献1(特表2002−506484号公報)に示されるように同一の電解液を使用しつつ二つもしくはそれ以上のアノードを一つのドラム状カソードに対して配置し、めっき浴中にドラム状カソードを半分程度浸漬し、それを回転させつつ第1の電流密度により銅箔を製箔した後、引き続き、第2の電流密度を印加してその表面に微粒子上の銅を析出させることにより、つや消し表面のある銅箔を製造する方法が知られている。しかし、本発明者らの知見によれば、特許文献1の方法により、表面を黒化することは困難である。
銅箔としては、銅張積層板の材料となる銅箔のようなべた状の銅箔以外に、電磁波のシールドに用いられるメッシュ状の銅箔などのパターン化された銅箔などがある。
公共施設、ホール、病院、学校、企業ビル、住宅等の壁面、ガラス窓、樹脂パネル、電磁波を発生するディスプレイの表示面等を電磁波遮蔽する方法は、従来種々提案されている。例えば、被遮蔽面上に電磁波遮蔽塗料を全面塗布する方法、被遮蔽面上に金属箔を貼り合わせる方法、金属めっきされた繊維メッシュを樹脂板に熱ラミネートしてなる電磁波遮蔽シートを、被遮蔽面に貼り合わせる方法、導電性繊維をメッシュ状に編んだものを被遮蔽面に貼り合わせる方法等が一般的に行われている。
これらのうち、透明ガラス面、透明樹脂パネル面、陰極線管(CRT)やプラズマディスプレイパネル(PDP)などのディスプレイの表示面等を電磁波遮蔽する場合においては、電磁波遮蔽用部材がなるべく薄いことが要求されるとともに、光透過性(透明性)と、これに相反する電磁波遮蔽性とをバランスよく両立させることができるものとして、金属メッシュを電磁波シールド層として有する電磁波遮蔽用部材が主流になっている。
特許文献2(特開平11−119675号公報)にはメッシュ状に金属電着が可能な電着基板上に金属電解液を使用して金属を電着し、接着剤を介して電磁波遮蔽基板に接着転写して電磁波遮蔽板を作製する方法が記載されている。前記の電着基板は、金属板等の導電性基板の上に、電着を阻害する絶縁性膜でメッシュパタ−ンと逆のパターンを形成し、この結果、メッシュ状に金属電着が可能な電着部を露出させるようにして作製される。この電着基板を用いた場合、数回〜数十回程度の繰り返し使用は可能であるが、数百回〜数千回繰り返し使用が出来ず量産レベルにはならないという問題がある。これは、電着基板上のメッシュパターンを形成する絶縁膜が、接着転写により剥離応力を受け、少々の繰り返し使用でめっき用導電性基材から絶縁膜が剥離してしまうためである。
前記特許文献2記載の転写法を利用した電磁波遮蔽板を製造する方法において、金属電着を行う工程と黒化処理する工程は別工程である。金属電着を行う工程で使用する溶液と黒化処理する工程で使用する溶液は通常お互いにめっき槽内で混ざり合うことが許されず、同一工程で行うことができない。そのために十分な水洗、さらには黒化処理の前処理工程が必要となる場合があり、製造に要する時間及びコスト、環境負荷は小さくない。
特表2002−506484号公報 特開平11−119675号公報
本発明は、表面が黒化処理されたパターン化銅金属層又はパターン化銅金属を効率よく生産する方法に関する。
本発明は、また、めっき用導電性基材上にパターン化銅金属層を電着析出させる工程と析出させた銅金属層の表面を効率的に黒化処理する工程を行い、黒化処理された導体層パターン付き基材を生産性良く製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、これらの方法において、さらに、電着基板(めっき用導電性基材)が繰返しの使用に耐え、量産性に優れた方法を提供するものである。
本発明は、上記の導体層パターン付き基材の製造法において、さらに、電着析出した金属の転写がより円滑に行われる導体層パターン付き基材の製造方法を提供するものである。
本発明は、また、このような方法により得られる電磁波シールド性及び光透過性が優れる導体層パターン付き基材及びこれを用いた電磁波遮蔽部材を提供するものである。
本発明は次のものに関する。
1. めっき用導電性基材を用いて、表面が黒化処理されたパターン化銅金属層を製造する方法において、めっき用導電性基材が、導電性基材の表面に絶縁層が形成されており、その絶縁層に開口方向に向かって幅広であってめっきを形成するための凹部のパターンが形成されている導電性基材であり、そのめっき用導電性基材の凹部に第1電流密度の下に銅金属を析出させて銅金属層を形成する導電層形成工程、及び、第1の電流密度よりも大きい第2の電流密度の下に上記銅金属層の表面に、その表面が黒色になるように銅金属を析出させる黒化処理工程を、一つのピロリン酸銅めっき浴中にて行うことを特徴とする表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
2. 導電層形成工程を第1の電流密度を含む第1の電着領域において行い、黒化処理工程を第2の電流密度を含む第2の電着領域において行う項1記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
3. 黒化処理工程において、明度25の黒色を背景にして、開口率が50%の光透過部の明度が25〜50、又は色度a*及びb*が共に5以下になるように銅金属を析出させる項1又は2記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
4. 黒化処理工程において、明度25の黒色を背景にして、開口率が40%以上光透過部の色度a*及びb*が共に2.8以下になるように金属を析出させる項1又は2記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
5. 黒化処理工程において、開口率が40%未満であって、明度25の黒色を背景にした光透過部又は光未透過部の色度a*及びb*が共に5以下になるように金属を析出させる項1又は2記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
6. ピロリン酸銅メッキ浴が添加剤としてモリブデン等VI族元素、及びコバルト、ニッケル等VIII族元素のうち一つ又はそれ以上を含む合金めっき浴である項1〜5のいずれかに記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
7. 第1の電流密度が0.5〜40A/dmである項1〜6のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
8. めっき用導電性基材において、めっきを形成するための凹部が絶縁層に幾何学図形を描くように又はそれ自身幾何学図形を描くように形成されている項1〜7のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
9. めっき用導電性基材において、絶縁層が、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)又は無機材料からなる項1〜8のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
10. めっき用導電性基材において、絶縁層が、DLC、Al又はSiOである項9に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
11. めっき用導電性基材において、絶縁層が、硬度が10〜40GPaのDLCからなる項10に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
12. めっき用導電性基材において、導電性基材と絶縁層の間に、Ti、Cr、W、Siまたはそれらの窒化物又は炭化物のいずれか1以上を含む中間層を介在させている項1〜11のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
13. めっき用導電性基材において、凹部の最小幅が1〜40μm、凹部の最大幅が2〜60μm及び凹部の間隔が50〜1000μmである項1〜12のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
14. めっき用導電性基材において、凹部側面の角度が絶縁層側で30度以上90度未満である項1〜13のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
15. めっき用導電性基材において、凹部側面の角度が絶縁層側で30度以上60度以下である項1〜14のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
16. めっき用導電性基材において、絶縁層の厚さが、0.5〜20μmである項1〜15のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
17. めっき用導電性基材において、導電性基材の表面が、鋼又はTiからなる項1〜16のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
18. めっき用導電性基材が回転体、または回転体に取り付けられた平板である項1〜17のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
19. 導電性基材として、回転体からなる導電性基材又は回転体に取り付けた導電性基材を使用し、その一部をメッキ液に浸漬させ、回転体を回転させつつ、金属パターン作製工程及び転写工程を行う項1〜17のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属の製造方法。
20. 銅金属層形成工程において、銅金属の厚さが0.1〜20μmになるように銅金属を析出させる項1〜19のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
21. 前記第1の電流密度の下に銅金属層を形成する導電層形成工程を行うための第1の陽極と、前記第2の電流密度の下に前記銅金属層の表面にその表面が黒色になるように金属を析出させる黒化処理工程を行うための第2の陽極とが、互いに離れて前記メッキ液の中に浸漬されており、前記各陽極の間には、絶縁体で構成された遮断部材が設けられていることを特徴とする項1〜20のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
22. 前記第1の電流密度の下に銅金属層を形成する導電層形成工程を行うための第1の陽極と、前記第2の電流密度の下に前記銅金属層の表面にその表面が黒色になるように金属を析出させる黒化処理工程を行うための第2の陽極とが兼用されており、前記第1の電流密度の下で前記導電層形成工程の形成後、前記第2の電流密度の下で前記黒化処理工程を行うことを特徴とする項1〜19のいずれかに記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
23. 項1〜22のいずれかに記載の表面が黒化処理された銅金属層の製造方法を行った後、表面が黒化処理された銅金属層をめっき用導電性基材から剥離することを特徴とする表面が黒化処理されたパターン化銅金属の製造方法。
24. 導電性基材の表面に絶縁層が形成されており、その絶縁層に開口方向に向かって幅広なめっきを形成するための凹部が形成されているめっき用導電性基材のめっき部に電気めっきにより銅金属を析出させる金属パターン作製工程及び導電性基材上に析出した銅金属を接着性支持体に転写する転写工程を含む導体層パターン付き基材の製造方法において、
金属パターン作製工程が第1の電流密度の下に銅金属層を形成する導電層形成工程、及び、前記第1の電流密度よりも大きい第2の電流密度の下に前記銅金属層の表面に、その表面が黒色になるように金属を析出させる黒化処理工程を、一つのピロリン酸銅メッキ浴中にて行うことを特徴とする導体層パターン付き基材の製造方法。
25. 導電層形成工程を第1の電流密度を含む第2の電着領域において行い、黒化処理工程を第2の電流密度を含む第2の電着領域において行う項24記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
26. 黒化処理工程において、明度25の黒色を背景にして、開口率が50%の光透過部の明度が25〜50、又はa*及びb*が共に5以下になるように銅金属を析出させる項24又は25記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
27. 黒化処理工程において、明度25の黒色を背景にして、開口率が40%以上光透過部の色度a*及びb*が共に2.8以下になるように金属を析出させる項24又は25記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
28. 黒化処理工程において、開口率が40%未満であって、明度25の黒色を背景にした光透過部又は光未透過部の色度a*及びb*が共に5以下になるように金属を析出させる項24又は25記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
29. ピロリン酸銅メッキ浴が添加剤としてモリブデン等VI族元素、及びコバルト、ニッケル等VIII族元素のうち一つ又はそれ以上を含む合金めっき浴である項24〜28のいずれかに記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
30. 第1の電流密度が0.5〜40A/dmである項24〜29のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
31. めっきを形成するための凹部が絶縁層に幾何学図形を描くように又はそれ自身幾何学図形を描くように形成されている項24〜30のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
32. 絶縁層が、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)又は無機材料からなる項24〜31のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
33. 絶縁層が、DLC、Al又はSiOである項32に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
34. 絶縁層が、硬度が10〜40GPaのDLCからなる項33に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
35. 導電性基材と絶縁層の間に、Ti、Cr、W、Siまたはそれらの窒化物又は炭化物のいずれか1以上を含む中間層を介在させている項24〜34のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
36. 凹部の最小幅が1〜40μm、凹部の最大幅が2〜60μm及び凹部の間隔が50〜1000μmである項24〜35のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
37. 凹部側面の角度が絶縁層側で30度以上90度未満である項24〜36のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
38. 凹部側面の角度が絶縁層側で30度以上60度以下である項37記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
39. 絶縁層の厚さが、0.5〜20μmである項24〜38のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
40. 導電性基材の表面が、鋼又はTiからなる項24〜39のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
41. 導電性基材が回転体、または回転体に取り付けられた平板である項24〜40のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
42. 導電性基材として、回転体からなる導電性基材又は回転体に取り付けた導電性基材を使用し、その一部をメッキ液に浸漬させ、回転体を回転させつつ、金属パターン作製工程及び転写工程を行う項24〜41のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
43. 導電層形成工程において、導電性基材の凸部の上面において金属の厚さが0.1〜20μmになるように金属を析出させる項24〜42のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
44. 項24〜項43のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法において、
前記第1の電流密度の下に銅金属層を形成する導電層形成工程を行うための第1の陽極と、前記第2の電流密度の下に前記銅金属層の表面にその表面が黒色になるように金属を析出させる黒化処理工程を行うための第2の陽極とが、互いに離れて前記メッキ液の中に浸漬されており、前記各陽極の間には、絶縁体で構成された遮断部材が設けられていることを特徴とする導体層パターン付き基材の製造方法。
45. 項24〜項43のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法において、
前記第1の電流密度の下に銅金属層を形成する導電層形成工程を行うための第1の陽極と、前記第2の電流密度の下に前記銅金属層の表面にその表面が黒色になるように金属を析出させる黒化処理工程を行うための第2の陽極とが兼用されており、前記第1の電流密度の下で前記導電層形成工程の形成後、前記第2の電流密度の下で前記黒化処理工程を行うことを特徴とする導体層パターン付き基材の製造方法。
46. 項24〜45のいずれか1項に記載の方法により製造された導体層パターン付き基材。
47. 項46記載の導体層パターン付き基材の導体層パターンを有する面を透明基板に貼りあわせてなる透光性電磁波遮蔽部材。
48. 項46に記載の導体層パターン付き基材の導体層パターンを樹脂で被覆してなる透光性電磁波遮蔽部材。
本発明によれば、パターン化された銅金属層の作製とその表面の黒化処理を一つのめっき浴中で行うことが出来るので、パターン化され、表面が黒化処理された銅金属層又は銅金属を生産性良く作製することができる。これにより、また、導体層パターン付き基材を生産性よく作製することができる。
本発明におけるめっき用導電性基材のめっき部である凹部が開口方向に向かって幅広となっているため、析出させた銅金属の剥離が容易である。また、そのめっき用導電性基材表面の絶縁層がDLC又は無機材料、特にDLCであるときは、特に、耐久性に優れる。したがって、表面が黒化処理された銅金属層又は銅金属、並びに導体層パターン付き基材の生産効率が優れる。
導電性基材として金属製の回転体、または金属製の回転体に導電性基材を電気的に結合することにより、連続して、パターン化され表面が黒化処理された銅金属層の作製、また、その金属層の接着性支持体への転写を行うことができるため、さらに表面が黒化処理された銅金属層又は銅金属、並びに導体層パターン付き基材の生産効率がよくなる。
また、本発明において、めっき部が凹部であることから、一連の工程で細線部、幅広部を問わず均一に粉落ちなのない黒化処理を施すことができる。これにより、導体層形成工程と黒化処理工程を含む金属パターン作製工程を短縮することが可能となる。第2の電着領域において黒色金属の析出条件を好適に制御することにより黒色金属を粒状あるいは瘤状に析出させることにより粉落ちのない良好な黒化処理を施すことができる。
前記の導電層パターンを利用して得られる電磁波遮蔽体は、光透過性に優れている。このためディスプレイの電磁波遮蔽体として使用した場合、その輝度を高めることなく通常の状態とほぼ同様の条件下で鮮明な画像を快適に、電磁波による体への悪影響なく観賞することができる。また、その電磁波遮蔽体は電磁波遮蔽性に優れるため、ディスプレイそのほかの電磁波を発生する装置、あるいは外部からの電磁波から保護される測定装置、測定機器や製造装置の筐体、特に透明性を要求される覗き窓のような部位に設けて使用すると効果が大きい。さらに、本発明における電磁波遮蔽体は前記の導体層パターン付き基材と同様、生産効率よく製造することができる。
前記導体層パターン付き基材の導体層パターンを有する面への透明基板貼合せ、または透明樹脂のコーティングにより、導体層パターンを保護することができる。別の基材の導体層転写面に予め接着剤層を形成していた場合には、この接着剤層への異物の付着の防止効果も有する。また、このとき透明基板の貼り合わせは接着剤層に透明基板を直接又は別の接着剤を介して加圧して貼り合わせることにより行うことができる。この場合適度な圧力により導体層パターンが接着剤層に埋設されるので、透明性や透明基板との密着性を向上させることが可能である。
導体層パターン付き透明基材を利用すれば高い光透過性(特に、導体層パターンの線幅が小さく高精細)と良導電性(高電磁波シールド性)を兼ね備える電磁波遮蔽体を容易に得ることができる。このためPDP等のディスプレイの電磁波遮蔽体として使用した場合、その輝度を高めることなく通常の状態とほぼ同様の条件下で鮮明な画像を快適に鑑賞することができる。また、その電磁波遮蔽体は電磁波遮蔽性に優れているため、ディスプレイその他の電磁波を発生する装置、あるいは電磁波から保護されるべき測定装置、測定機器、製造装置等の内部を覗く窓や筐体、特に透明性を要求される窓やディスプレイ表面のような部位に設けて使用すると効果が大きい。さらに、本発明における電磁波遮蔽体の製造法は、前記の導体層パターンの製造に於けると同様、生産効率が優れる。
本発明におけるめっき用導電性基材は、パターン状のめっき部を有する導電性基材であって、導電性基材の表面に絶縁層が形成されており、その絶縁層に開口方向に向かって幅広なめっきを形成するための凹部(めっき部)が形成されている。この凹部の底面には導電性材料が露出している。
本発明において、導電性基材に用いられる導電性材料は、その露出表面に電解めっきで金属を析出させるために十分な導電性を有するものであり、金属であることが特に好ましい。また、その基材は表面に電解めっきにより形成された金属層を接着性支持体に転写させることができるように、その上に形成された金属層との密着力が低く、容易に剥離できるものであることが好ましい。このような導電性基材の材料としてはステンレス鋼、クロムめっきされた鋳鉄、クロムめっきされた鋼、チタン、チタンをライニングした材料、ニッケルなどが特に好ましい。
前記の導電性基材の形状としては、シート状、プレート状、ロール状、フープ状等がある。ロール状の場合は、シート状、プレート状のものを回転体(ロール)に取り付けたものであってもよい。フープ状の場合は、フープの内側の2箇所から数箇所にロールを設置し、そのロールにフープ状の導電性基材を通すような形態等が考えられる。ロール状、フープ状ともに金属箔を連続的に生産することが可能であるため、シート状、プレート状に比較すると、生産効率が高く、好ましい。導電性基材をロールに巻きつけて使用する場合、ロールとして導電性のものを使用し、ロールと導電性基材が容易に導通するようにしたものが好ましい。
絶縁層の厚さは、凹部の深さに対応する。凹部の深さは、析出するめっきの厚さとも関係するため、目的に応じて適宜決定される。絶縁層の厚さは、0.10μm以上100μm以下の範囲であることが好ましく、0.5μm以上10μm以下の範囲であることがより好ましい。絶縁層の厚さは、1〜5μmであることが特に好ましい。絶縁層が薄すぎると絶縁層にピンホールが発生しやすくなるため、めっきした際に、絶縁層を施した部分にも金属が析出しやすくなる。このような観点からは、特に絶縁層の厚さは、1μm以上が好ましく、特に3μm以上であることが好ましい。
上記の絶縁層は、ダイヤモンドに類似したカーボン薄膜、いわゆるダイヤモンドライクカーボン(以下、DLCとする)薄膜のうち、絶縁性を有するものにて形成することができる。DLC薄膜は、特に、耐久性、耐薬品性に優れているため、特に好ましい。
さらに、絶縁層をAl、SiOのような無機材料で形成することもできる。
凹部又は絶縁層の形状は、目的応じて適宜決定されるが、平面形状が、正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、ひし形、平行四辺形、台形などの四角形、(正)六角形、(正)八角形、(正)十二角形、(正)二十角形などの(正)n角形(nは3以上の整数)、円、だ円、星型などの幾何学図形があり、これらを適宜組み合わせた模様としてもよい、これらの単位は、単独で又は2種類以上組み合わせて繰り返されることが可能である。一つのめっき用導電性基材において、凹部の形状と絶縁層の形状は、互いに対応した形状となる。
光透過性電磁波遮蔽部材の性能の観点からは溝状の凹部に囲まれる絶縁層を三角形とすることが最も有効であり、可視光透過性の点からは溝状の凹部が同一のライン幅なら、それにより囲まれる絶縁層が(正)n角形のとき、n数が大きいほど導体層パターンの開口率が上がる。
上記のめっき用導電性基材の一例を図面を用いて説明する。
図1は、本発明のめっき用導電性基材の一例を示す一部斜視図である。図2は、図1のA−A断面図を示す。図2の(a)は凹部の側面が平らな面であるが、(b)は凹部の側面になだらかな凹凸がある場合を示す。めっき用導電性基材1は、導電性基材2の上に絶縁層3が積層されており、絶縁層3に凹部4が形成されており、凹部4の底部は、導電性基材2が露出している。凹部4の底部は、導電性基材に導通している導電性材料からなる導体層であってもよい。
この例においては、絶縁層3は、幾何学図形としては正方形であり、この正方形の周りに凹部4が溝状に形成されている。
導電性基材2と絶縁層3の間には、絶縁層3の接着性の改善等を目的として、導電性又は絶縁性の中間層(図示せず)が積層されていてもよい。または、凹部4は、その幅が、開口方向に向かって全体として幅広になっている。図面のよう勾配αで一定に幅広になっている必要は必ずしもない。めっきにより形成される金属層(導体層パターン)の剥離に問題がなければ、凹部は、開口方向に向かって幅が狭くなっている部分があってもよいが、このような部分がない方が良く、凹部は開口方向に向かって狭まっておらず全体として広がっていることが好ましい。
凹部の側面は、必ずしも平らな面ではない。この場合には、図2(b)に示すように、前記の勾配αは、凹部の高さh(多くの場合、絶縁層の厚さにより規定される)と凹部の側面の幅s(水平方向で凹部の側面の幅方向)を求め、
Figure 2009021412
によってαを決定する。
αは、角度で30度以上90度未満が好ましく、30度以上80度以下がより好ましく、30度以上60度以下がさらに好ましく、40度以上60度以下が特に好ましい。この角度が小さいと作製が困難となる傾向があり、大きいと凹部にめっきにより形成し得た金属層(導体層パターン)を剥離する際、又は、別の基材に転写する際の抵抗が大きくなる傾向がある。
本発明のめっき用導電性基材における絶縁層の平面形状及びその厚さ若しくは凹部の深さは、本発明のめっき用導電性基材を用いて得られるパターン化金属の用途に応じて適宜決定される。
上記めっき用導電性基材の凹部は、めっきにより生成するパターン化金属の形状に対応するが、同様に導体層パターン付き基材における導体層パターンに対応するように、さらに、その導体層パターンは、最終的に電磁波遮蔽部材を作製したときの電磁波シールド層に対応させることができる。
また、絶縁層の厚さは、前記と同様であるが、これに対応するように、本発明のめっき用導電性基材における凹部4の深さは、0.1〜100μmであることが好ましく、0.5〜10μmであることがより好ましく、1〜5μmであることが特に好ましい。
本発明のめっき用導電性基材を用いて転写法により光透過性電磁波遮蔽部材を作製するために使用するときは、図2に示すような凹部4の幅は、開口部の幅dが2〜60μm、底部の幅d′が1〜40μmで有ることが好ましい。また、凹部4の開口部の幅dは4〜15μm、底部の幅d′は3〜10μmであることが特に好ましい。凹部4の中心間隔(ラインピッチ)は50〜1000μmであることが好ましく、特に100〜400μmであることが好ましい。溝の幅及びその間隔は、導体層パターンの開口率を好ましくは50%以上、特に好ましくは80%以上とすることを考慮して決定する。
なお、本発明において、凹部の中心間隔(ラインピッチ)は、凹部によって形成されている絶縁層の図形パターンが複雑な図形であったり、複数の図形の組み合わせであったりして簡単に決定できない場合は、パターンの繰り返し単位を基準としてその面積を正方形の面積に換算し、その一辺の長さであると定義する。
ディスプレイ用の電磁波遮蔽材における可視光透過性の点からは、電磁波遮蔽材における上記のような幾何学図形を描く導体層パターン開口率は50%以上であることが必要とされ、導体層パターンの開口率は80%以上であることがさらに好ましい。導体層パターンの開口率は、電磁波遮蔽材の有効面積(例えば、上記の幾何学図形が描かれている範囲の面積等電磁波遮蔽に有効に機能する範囲の面積)に対するその有効面積から導電層で覆われている面積を引いた面積の比の百分率である。
本発明のめっき用導電性基材を用いて穴明き金属箔を作製するために使用するときは、図2に示すような絶縁層3は、その底面(導電性基材との接触面)の面積が1〜1×10平方ミクロンメートルであることが好ましく、絶縁層の間隔(凸部と凸部の最短距離)が1〜1000μmであることが好ましい。また、絶縁層3は、底面の面積が1×10〜1×10平方ミクロンメートルであることがより好ましく、絶縁層の間隔が10〜100μmであることがより好ましい。絶縁層底面の面積及びその間隔は、導体層パターンの開口率を好ましくは10%以上、特に好ましくは30%以上とすることを考慮して決定する。このような穴明き金属箔は、キャパシタの集電体として有用である。
本発明におけるめっき用導電性基材の製造方法は、導電性基材の表面に、導電性基材を露出させている凹部によって幾何学図形が描かれるように絶縁層を形成する工程を含む。
この工程は、
(A)導電性基材の表面に、除去可能な凸状のパターンを形成する工程、
(B)除去可能な凸状のパターンが形成されている導電性基材の表面に、絶縁層を形成する工程
及び
(C)絶縁層が付着している凸状のパターンを除去する工程
を含む。
上記(A)導電性基材の表面に、除去可能な凸状のパターンを形成する工程としては、印刷法やフォトリソグラフ法を利用して、レジストパターンを形成する方法を利用することができる。
フォトリソグラフ法を利用する場合、この方法は、
(a−1)導電性基材の上に感光性レジスト層を形成する工程、
(a−2)感光性レジスト層をめっき部となる凹部パターンに対応したマスクを通して露光する工程
及び
(a−3)露光後の感光性レジスト層を現像する工程
を含む(以上の方法「a法」という)。
また、上記(A)導電性基材の表面に、除去可能な凸状のパターンを形成する工程は、
(b−1)導電性基材の上に感光性レジスト層を形成する工程、
(b−2)感光性レジスト層にめっき部となる凹部パターンに対応した部分にマスクをせずレーザー光を照射する工程
及び
(b−3)レーザー光を照射後の感光性レジスト層を現像する工程(感光性レジストの不要部を除去する工程)
を含む(以上の方法「b法」という)。
感光性レジストとしては、よく知られたネガ型レジスト(光が照射された部分が硬化する)を使用することができる。また、このとき、マスクもネガ型マスク(凹部に対応する部分は光が通過する)が使用される。また、感光性レジストとしてはポジ型レジストを用いることができる。これらの方式の対応して上記a法及びb法における光照射部分が適宜決定される。
具体的方法として、導電性基材上にドライフィルムレジスト(感光性樹脂層)をラミネートし、マスクを装着して露光することにより、凸状パターンとして残存させる部分を硬化状態に不要部を現像可能状態とし、不要部を現像して除去することにより形成することができる。また、凸状パターンは、導電性基材に液状レジストを塗布した後に溶剤を乾燥するかあるいは仮硬化させた後、マスクを装着して露光することにより、凸状パターンとして残存させる部分を硬化状態に不要部を現像可能状態とし、不要部を現像して除去することにより形成することもできる。液状レジストは、スプレー、ディスペンサー、ディッピング、ロール、スピンコート等により塗布できる。
上記において、ドライフィルムレジストをラミネートし、又は液状レジストを塗布した後に、マスクを介して露光する代わりにレーザー光などでマスクを使用せず直接に露光する方法を採用することもできる。光硬化性樹脂にマスクを介して又は介さずして活性エネルギー線を照射することでパターニングできればその態様は問わない。
導電性基材のサイズが大きい場合などはドライフィルムレジストを用いる方法が生産性の観点からは好ましく、導電性基材がめっきドラムなどの場合は、ドライフィルムレジストをラミネートし、又は液状レジストを塗布した後にマスクを介さずにレーザー光などで直接に露光する方法が好ましい。
前記b法において、感光性レジストの代わりに熱硬化性樹脂を用い、レーザー光の照射により熱硬化性樹脂の不要部を除去する方法によっても行うことができる。
印刷法を用いてレジストパターン(凸状パターン)を形成することができるが、この場合には、レジストパターンの印刷方法としては様々な方法を用いることができる。例えば、スクリーン印刷、凸版印刷、凸版オフセット印刷、凸版反転オフセット印刷、凹版印刷、凹版オフセット印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷などを用いることができる。レジストとしては光硬化性又は熱硬化性の樹脂が使用できる。印刷後、光照射又は熱によりレジストを硬化させる。
本発明におけるめっき用導電性基材の製造方法の一例を図面を用いて説明する。
図3は、めっき用導電性基材の製造方法を示す工程の一例を断面図で示したものである。
導電性基材2の上に感光性レジスト層(感光性樹脂層)5形成されている(図3(a))。この積層物の感光性レジスト層(感光性樹脂層)5に対し、フォトリソグラフ法を適用して感光性レジスト層5をパターン化する(図3(b))。パターン化は、パターンが形成されたフォトマスクを感光性レジスト層5の上に載置し、露光した後、現像して感光性レジスト層5の不要部を除去して突起部6を残すことにより行われる。突起部6の形状とそれからなる凸状パターンは、導電性基材2上の凹部4とそのパターンに対応するよう考慮される。
この時、突起部6の断面形状において、その側面は、導電性基材に対して垂直であること、又は、突起部6が導電性基材2に接する端部に対して、突起部6の側面上方の少なくとも一部がその端部に覆い被さるような位置にあることが好ましい。突起部6の幅で言う場合は、凸状パターン幅の最大値dは、凸状パターンと導電性基材2に接する幅dと等しいか大きくすることが好ましい。これは、形成される密着性のよい絶縁層の凹部幅はdによって決定されるからである。ここで、突起部6の断面形状で、突起部6の幅の最大値dが突起部6と導電性基材2に接する幅dと等しいか大きくする方法としては、突起部6の現像時にオーバ現像するか、形状がアンダーカットとなる特性を有するレジストを使用すれば良い。dは突起部の上部で実現されていることが好ましい。
除去可能な凸状のパターンを形成する突起部6の形状は、凹部の形状に対応づけられるが、その作製の容易性から、最大幅1μm以上、間隔が1μm以上、高さが1〜50μmであることが好ましい。めっき用導電性基材を、光透過性電磁波遮蔽部材用の導体層パターンを作製するために使用するときは、突起部6は、最大幅1〜40μm、間隔が50〜1000μm及び高さ1〜30μmであることがそれぞれ好ましい。特に最大幅3〜10μm、間隔が100〜400μmであることが好ましい。また、めっき用導電性基材を、穴明き金属箔を作製するために使用するときは、前記したような絶縁層3が形成されるように、平面形状が適宜の大きさの円形又は矩形である突起部を適当な間隔に配置する。
前記した(B)除去可能な凸状パターンが形成されている導電性基材の表面に、絶縁層を形成する工程について、説明する。
突起部6からなる凸状パターンを有する導電性基材2(図3(b)参照)の表面に絶縁層7を形成する(図3(c)参照)。
絶縁層としてDLC薄膜を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、アーク放電法、イオン化蒸着法等の物理気相成長法、プラズマCVD法等の化学気相成長法等のドライコーティング法を採用し得るが、成膜温度が室温から制御できる高周波やパルス放電を利用するプラズマCVD法が特に好ましい。
前記DLC薄膜をプラズマCVD法で形成するために、原料となる炭素源として炭化水素系のガスが好んで用いられる。例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等のアルカン系ガス類、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等のアルケン系ガス類、ペンタジエン、ブタジエン等のアルカジエン系ガス類、アセチレン、メチルアセチレン等のアルキン系ガス類、ベンゼン、トルエン、キシレン、インデン、ナフタレン、フェナントレン等の芳香属炭化水素系ガス類、シクロプロパン、シクロヘキサン等のシクロアルカン系ガス類、シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロアルケン系ガス類、メタノール、エタノール等のアルコール系ガス類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系ガス類、メタナール、エタナール等のアルデヒド系ガス類等が挙げられる。前記ガスは単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。また、元素として炭素と水素を含有する原料ガスとして前述した炭素源と水素ガスとの混合物、前述した炭素源と一酸化炭素ガス、二酸化ガス等の炭素と酸素のみからなる化合物のガスとの混合物、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス等の炭素と酸素のみから構成される化合物のガスと水素ガスとの混合物、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス等の炭素と酸素のみからなる化合物のガスと酸素ガスまたは水蒸気との混合物等が挙げられる。更に、これらの原料ガスには希ガスが含まれていてもよい。希ガスは、周期律表第0属の元素からなるガスであり、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等が挙げられる。これらの希ガスは単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。
絶縁層は、その全体を、上述した絶縁性のDLC薄膜によって形成してもよいが、当該DLC薄膜の、金属板等の導電性基材に対する密着性を向上させて、絶縁層の耐久性をさらに向上させるためには、この両者の間に、Ti、Cr、W、Siもしくはそれらの窒化物又は炭化物から選ばれる一種以上の成分又はその他よりなる中間層を介挿することが好ましい。
前記SiまたはSiCの薄膜は、例えば、ステンレス鋼などの金属との密着性に優れる上、その上に積層する絶縁性のDLC薄膜との界面においてSiCを形成して、当該DLC薄膜の密着性を向上させる効果を有している。
中間層は、前述したようなドライコーティング法により形成させることができる。
中間層の厚みは、1μm以下であることが好ましく、生産性を考慮すると0.5μm以下であることが更に好ましい。1μm以上コーティングするには、コーティング時間が長くなると共に、コーティング膜の内部応力が大きくなるため適さない。
絶縁層をAl、SiOのような無機材料で形成する場合にも、スパッタリング法、イオンプレーティング法といった物理的気相成長法やプラズマCVDといった化学気相成長法を用いることができる。例えばスパッタリング法で形成する場合には、ターゲットをSiまたはAlにして反応性ガスとして酸素、窒素などの導入することでSiO、Siなどの酸化物、窒化物を成膜することができる。また、イオンプレーティング法を用いる場合にはSiやAlを原料とし、電子ビームをこれらに照射することで蒸発させ、基板に成膜することができる。その際に、酸素、窒素、アセチレンといった反応性ガスを導入することで酸化物、窒化物、炭化物を成膜することができる。
また、CVD法で成膜する場合には金属塩化物、金属水素化物、有機金属化合物などのような化合物ガスを原料とし、それらの化学反応を利用して成膜することでできる。酸化シリコンのCVDは、例えばTEOS、オゾンを用いたプラズマCVDで行える。窒化シリコンのCVDは、例えばアンモニアとシランを用いたプラズマCVDで行える。
次に、前記した(C)絶縁層が付着している凸状パターンを除去する工程について説明する。絶縁層7が付いている状態(図3(c)参照)で、凸状パターンを除去する(図3(d)参照)。
絶縁層の付着しているレジストの除去には、市販のレジスト剥離液や無機、有機アルカリ、有機溶剤などを用いることができる。また、パターンを形成するのに使用したレジストに対応する専用の剥離液があれば、それを用いることもできる。
剥離の方法としては、例えば薬液に浸漬することでレジストを膨潤、破壊あるいは溶解させた後これを除去することが可能である。液をレジストに十分含浸させるために超音波、加熱、撹拌等の手法を併用しても良い。また、剥離を促進するためにシャワー、噴流等で液をあてることもできるし、柔らかい布や綿棒などでこすることもできる。
また、絶縁層の耐熱が十分高い場合には高温で焼成してレジストを炭化させて除去することもできるし、レーザーを照射して焼き飛ばす、といった方法も利用できる。
剥離液としては、例えば、3%NaOH溶液を用い、剥離法としてシャワーや浸漬が適用できる。
導電性基材2上に形成される絶縁層と、突起部6の側面に形成される絶縁層とでは、性質又は特性が異なるようにする。例えば、硬度が、前者の方が後者より大きくする。DLC膜をプラズマCVD法で形成するときは、このようになる。一般に絶縁膜を形成するときに、絶縁材料の移動速度が例えば90度の角度で異なるような場合に、上記のように形成される膜の性質又は特性が異なるようになる。
突起部6を除去するとき、絶縁層は、この境界で分離され、その結果、凹部の側面が、傾斜角αを有するようになる。傾斜角αは、角度で30度以上90度未満が好ましく、30度以上80度以下がより好ましく、30度以上60度以下がさらに好ましく、40度以上60度以下が特に好ましく、DLC膜をプラズマCVDで作製する場合、ほぼ40〜60度に制御することが容易になる。すなわち、凹部4は、開口方向に向かって幅広になるように形成される。傾斜角αの制御方法としては、突起部6の高さを調整する方法が好ましい。突起部6の高さが大きくなるほど、傾斜角αを大きく制御しやすくなる。
上記の絶縁層の形成において、導電性基材はレジストの影にならないので、導電性基材上の絶縁層は性質が均一である。これに対し、凸状パターンの側面への絶縁層の形成は、凸状パターンの側面が導電性基材上の膜厚方向に対し角度を有しているため、形成される絶縁層(特にDLC膜)は、導電性基材上の絶縁層と同じ特性(例えば、同じ硬度)の絶縁層が得られない。このような異質な絶縁層の接触面においては、絶縁層の成長に伴い絶縁層の境界面が形成され、しかも、その境界面は絶縁層の成長面であることから、滑らかである。このため、突起部からなる凸状パターンを除去するとき、絶縁層(特にDLC膜)は、この境界で容易に分離される。さらに、この境界面、即ち、凹部側面となる傾斜角αは、導電性基材上の膜厚方向に対し突起部の側面で絶縁層の成長が遅れるため、結果として、境界面の傾斜角は、上記のように制御される。
本発明において導電性基材上に形成された絶縁層の硬度は、10〜40GPaであることが好ましい。硬度が10GPa未満の絶縁層は軟質であり、めっき用導電性基材として繰り返して使用する場合に、耐久性が低くなる。硬度が40GPa以上では、導電性基材を折り曲げ等の加工をした際に基材の変形に追随できなくなり、絶縁層にひびや割れが発生するので好ましくない。より好ましくは12〜30GPaである。
これに対して、突起部側面に形成される絶縁層の硬度は1〜15GPaであることが好ましい。突起部側面に形成される絶縁層は、少なくとも導電性基材上に形成される絶縁層の硬度よりも低くなるように形成しなければならない。そうすることにより両者間に境界面が形成され、後の絶縁層の付着した凸状パターンを剥離する工程を経た後に、幅広な凹部が形成されることになる。突起部側面に形成される絶縁層の硬度は1〜10GPaであることがより好ましい。
絶縁層の硬度は、ナノインデンテーション法を用いて測定することができる。ナノインデンテーション法とは、先端形状がダイヤモンドチップから成る正三角錐(バーコビッチ型)の圧子を薄膜や材料の表面に押込み,そのときの圧子にかかる荷重と圧子の下の射影面積から硬度を求める。ナノインデンテーション法による測定として、ナノインデンターという装置が市販されている。導電性基材上に形成された膜の硬度はそのまま導電性基材上から圧子を押し込んで測定することができる。また突起部側面に形成される膜の硬度を測定するためには、導電性基材の一部を切り取って樹脂で注型し、断面から突起部側面に形成された絶縁層に圧子を押し込んで測定することができる。通常ナノインデンテーション法では圧子に1〜100mNの微少荷重をかけて硬度測定を行うが、本発明では3mNの荷重で10秒間負荷をかけて測定した値を硬度の値として記載している。
このようにして、めっき用導電性基材1を作製することができる。
図4は、中間層を有するめっき用導電性基材とその前駆体の断面図を示す。
突起部6からなる凸状パターンが形成された導電性基材2の表面に、絶縁層7を形成する前に、中間層8を形成することが好ましい(図4(c′))。中間層としては、前記したものが使用でき、その形成方法も前記したとおりである。中間層8を形成した場合、得られるめっき用導電性基材は、凹部4の底部は、導電性基材2が露出しており、それ以外では、中間層8の上に絶縁層7が形成されている(図4(d′))。また、中間層は、凸状パターン6の形成前に、導電性基材2の表面に形成しても良い。この後、その表面に、前記したように導電性基材を露出させている凹部によって幾何学図形が描かれるように絶縁層を形成する工程を行っても良い。この場合、中間層として、電解めっきが十分可能な程度に導電性のものを使用した場合、凹部の底部はその中間層のままでよいが、十分な導電性を有していない場合は、ドライエッチング等の方法により、凹部の底部の中間層を除去し、導電性基材2を露出させる。
前記のめっき用導電性基材を用いて、そのめっき部に電解めっきが施される。
本発明におけるめっき浴としてはピロリン酸銅浴が用いられる。ピロリン酸銅浴は、ピロリン酸銅及びピロリン酸塩を含む電解液である。その具体例としては次の配合からなるものがある。
ピロリン酸銅 63〜105 g/L(銅分として23〜38 g/L)
ピロリン酸カリウム 200〜470 g/L
を含み、必要に応じて、
アンモニア水(比重0.88)1〜6 mL/L
硝酸カリウム 8〜16 g/L
光沢剤(メルカプトチアゾール、メルカプトチアゾール系添加物など) 適量
を溶解・配合した水溶液が用いられる。その他、ピロリン酸ナトリウムや、市販のピロリン酸銅めっき用添加剤を用いることもできる。さらに、モリブデン等VI族元素、及びコバルト、ニッケル等VIII族元素のうち一つ又はそれ以上の成分をめっき浴に添加すると、より安定して黒化処理を施すことができる。
本発明において、表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造(金属パターン作製工程)は、導電層形成工程及び黒化処理工程を含み、同一めっき浴中でこれらの工程が行われる。導電層形成工程において、電解液に浸漬させられた導電性基材(陰極)と陽極の間に印加される第1の電流密度の下に、導電性基材に対し電解めっきが行われ(すなわち、導電性基材の凹部(めっき部)に銅を析出させて)、導電性の銅金属層が形成される。
この銅層の体積抵抗率は、10μΩ/cm以下であることが好ましく、5μΩ/cm以下であることがさらに好ましい。この第1の電流密度の範囲としては正常な皮膜を生成する電流密度の上限を示す最大電流密度以下で、なおかつ正常な皮膜を生成するには下限となる臨界電流密度以上の範囲である。第1の電流密度は、具体的には、電解液の組成、添加物の種類、濃度、さらには循環方法や温度、攪拌方法などにより影響を受け、また、凹部のパターンにより影響を受けるので、一概に、規定できないが、好ましくは、0.5A/dm以上60A/dm以下の範囲で適宜決定される。その理由は臨界電流密度を外れると正常な皮膜が得られない。0.5A/dmを下回ると目標厚みまで析出するのに長時間必要とし、結果生産効率が低下し生産コストが下がらない、また60A/dmを超過すると析出銅が正常な皮膜にならずその後の転写などの工程に支障を及ぼす。この観点からは、第1電流密度は40A/dm以下であることが好ましい。
パターン状めっき部として凹部のパターンを有する導電性基材を用いるときは、導電層形成工程において、導電層を品質良く形成するためには、電流密度は小さい方が好ましいが、めっき速度をあげるためには電流密度は大きい方が好ましく、このときには、めっき液の流れや温度を調節して良質の導電層が形成されるよう調整することが好ましい。
第1電流密度は、0.5A/dm以上20A/dm以下であることが好ましい。
前記の導電層形成工程の後、黒化処理工程が行われる。黒化処理工程において、導電性基材(陰極)と陽極の間に印加される第2の電流密度の下に、導電層形成工程で形成された銅層の表面に、黒化処理が施される。この第2の電流密度の範囲は正常な皮膜を生成する電流密度の上限を示す最大電流密度以上であり、拡散によるイオンの補給が限界に達し、電圧を上げても電流密度が増加しなくなる電流密度の最大値を示す限界電流密度以下であることが好ましい。第2の電流密度は、メッシュ形状や、他のめっき条件によって適正値は変化するので一概にいえないが、黒色度を勘案して適宜決定される。場合により第2の電流密度が1A/dmや10A/dmであっても黒化処理することができ、場合により、もっと高くないと黒化処理できないことがある。一般に、パターンが微細になるとより大きな電流密度が必要になる傾向がある。他の条件が同じなら、第2の電流密度は、一般に、選択した第1電流密度よりは大きい範囲から適宜選択される。第2の電流密度が大きすぎると析出銅は針状析出となり転写不良や粉落ちなどの不具合を生じる傾向がある。このため、第2の電流密度の上限は、100A/dmとすることが好ましい。
第2の電流密度は、一つに限らず、二つもしくはそれ以上を段階的を変化させて黒化皮膜として析出する粒子の大きさを制御するようにしてもよい。
黒化処理工程においては、導電層形成工程で形成された銅金属層の表面に微粒子状の銅金属が電解めっきにより析出し、これにより黒色を帯びるようになる。この黒色は、微粒子状の銅金属がその下の導電層形成工程で形成された銅金属層上に析出した結果そのように見えるようになったものであり、そのような微粒子が銅金属層上に並んで、場合により重なって黒色金属層を形成しているといってよい。
色の定量的な評価を行うために数値化することが求められ、その方法として国際照明委員会(CIE)ではいくつか規格化されているが、その中の代表的な方法としてL*a*b*表色系がある。これは、L*が明度を表し、a*は赤緑、b*は黄青の色相と彩度を示すものである。L*は完全な黒色(光の全吸収)は0で、反対に完全な白(光の全反射)は100で表される。
ディスプレイの表示面などを電磁波遮蔽する導体層パターン付き基材は良好な光透過性が求められ、そのため電磁波遮蔽用の導体層パターンによる被覆率をなるべく減少させることが好ましく、さらに外光を反射せず、透過光の輝度を引き立たせ画質を向上させるためには、導体層パターン自体は黒であることが望ましい。しかしながら導体層パターン付き基材は前記の理由からそれ自体が光透過性が高いために微細な形状の導体層パターン自体の色度(明度)を直接測定することは困難である。
そこで、開口率が約50%では、明度25の黒色を背景に、導体層パターン部分の明度を測定する。具体的には、導体層パターンの黒色面を上して、導体層パターン付き基材の下に明度25の黒色紙を敷き、明度を測定する。導体層パターンが良好な黒色ならば、明度L*は25乃至50の値となり、また色度a*とb*はともに5以下の値を示す。黒化処理において、このように黒色度を調整することが好ましい。一方、黒色の程度が不十分で銅本来の色が残存する場合は、明度L*は60以上の高い値を示し、色度a*、b*ともに赤みまたは黄色を示す5より大きい値となる。
また、開口率が大きくなると、上記の方法による明度では、黒色度を測ることは困難になるため、色度a*とb*により決定する。この方法は、開口率50%でも成り立つ。すなわち、開口率が40%以上では、上記と同様に明度25の黒色を背景に、導体層パターン部分の色度を測定し、色度a*とb*がともに2.8以下、好ましくは2.6以下の値を示すときは、導体層パターンが良好な黒色を示す。この場合に、開口率50%以上のメッシュ状導体層パターンであれば、その導体層パターンが良好な黒色を示すと共に、電磁波遮蔽材用途に適したものとなる。電磁波遮蔽材用途ではその光透過部の開口率が80%以上であることがより好ましい。
開口率が40%未満では、上記と同様に明度25の黒色を背景に導体層パターン部分の色度を測定し、色度a*とb*がともに5以下であるとき良好な黒色を示し、特に2.8以下であるときさらに良好な黒色を示す。
なお、色度は分光測色計CM−508d(コニカミノルタホールディングス)を使用し、反射モードに設定して測定できる。本計測機器の明度及び色度を測定する測色対象部は直径10mmの円形であり、その開口部の平均表色を求めることができる。
導電層形成工程において、銅金属の厚さが0.1〜20μmになるように銅金属を析出させることが好ましい。十分な導電性を示す(例えば、電磁波シールド性が十分に発現されたり、キャパシタの集電体として十分機能する)ためには、0.1μm以上であることが好ましく、銅金属層にピンホールが形成される(このとき、例えば、電磁波シールド性や導電性が低下する)可能性を小さくするためには、3μm以上の厚さであることがさらに好ましい。また、めっき厚さが大きすぎると、析出した金属は幅方向にも広がるため、転写したラインの幅が広くなり、導体層付きパターン基材の開口率が低下し、透明性、非視認性が低下する。したがって、透明性、非視認性を確保するためには、析出した金属の厚みを20μm以下とすることが好ましく、さらに、めっきの析出時間を短縮し、生産効率をあげるためには、めっきの厚みは10μm以下であることがさらに好ましい。
黒化処理については、前述した明度又は色度を目安として処理される。黒化処理が進みすぎると細線部に粉落ちが発生しやすくなるので、注意を要する。
転写工程において転写を行いやすく、また、良好に行うためには、導電層形成工程において、めっきを、絶縁層より1μm程度以上高く金属が析出するように行うことが好ましい。
一方、金属パターン作製工程又は導電層形成工程において、析出する金属層の厚さに対して相対的に凹部がより深くなることにより、析出する金属層をより形状的に規正することができるという観点から、めっきにより形成される金属の厚さを絶縁層の高さの2倍以下とすることが好ましく、特に1.5倍以下、さらに1.2倍以下とすることが好ましいが、これに制限されるものではない。
めっきの程度を、析出する金属層が凹部内に存在する程度とすることができる。このような場合であっても、凹部形状が開口方向に幅広であるため、さらには、絶縁層により形成される凹部側面の表面を平滑にできるため、導体層パターンの剥離時のアンカー効果は極めて小さくできる。また、析出する金属層の幅に対する高さの割合を高くすることが可能となり、透過率をより向上させることができる。
本発明のように、銅金属層の生成から黒化処理を連続して行うと、導体層形成工程と黒化処理工程の間に水洗処理、及び導体層の表面処理が不要になるために製造時間の短縮・コストの低減ができ、環境負荷も低減できる。
上記のようにしてめっき用導電性基材上に形成された、表面が黒化処理されたパターン化銅金属層を通常の方法で剥離することにより表面が黒化処理されたパターン化銅金属を得ることができる。この場合、剥離用基材として、別の基材に粘着剤層が積層されているものを使用し、表面が黒化処理されたパターン化銅金属層(黒化パターン化銅層という)が形成されているめっき用導電性基材の面に粘着剤を向けて、剥離用基材を圧着後、剥離し、黒化パターン化銅層を剥離用基材に転写してめっき用導電性基材から黒化パターン化銅層を剥離することもできる。黒化パターン化銅層は適宜、この剥離用基材から剥離して取得される。
本発明のめっき用導電性基材において、表面に形成されている絶縁層が末広がりな凸形状であるが、これは、導電性基材の表面に除去可能な凸状パターンを形成し、絶縁層を形成後に、絶縁層が付着している凸状パターンを除去することにより作製することができるため、その製造が容易で、生産性に富む。同様の理由で、本発明のめっき用導電性基材の製造法によれば、工程数が少なく、特に、絶縁層が末広がりな凸形状を容易に作製することができるため、それを生産効率よく製造できる。
本発明におけるパターン化銅金属層は、前記しためっき用導電性基材の形状に対応したものとなり、平面形状として、正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、正方形、長方形、ひし形、平行四辺形、台形などの四角形、(正)六角形、(正)八角形、(正)十二角形、(正)二十角形などの(正)n角形(nは3以上の整数)、円、だ円、星型などの貫通孔がある金属箔、このような形状の凹部がある金属箔、このような形状の個々に分離された金属箔等であり、めっき後にめっき用導電性基材から剥がしやすくするためには、貫通孔がある場合でも連続した箔であることが好ましい。なお、形状は、目的に応じて選択される。このような形状は、組合せて使用できる。また、貫通孔又は凹部の大きさ、分布密度は、目的応じて適宜決定される。
図5はパターン化銅金属層の一例である穴あき銅箔の一部を示す底面図である。図中、3個の同心円からなる一組の円群が6組描いてあるが、これらは、左右上下方向に適宜の回数千鳥状に繰り返されているものとする。また、図5中のA−A′断面図に相当するものを図6に示すが、図6においては、パターン化銅金属層がめっき用導電性基材上に存在する状態を示す。
パターン化銅金属層9には、穴10が貫通している。穴10の周りには、段差部11及びこの段差部11に続いて小さな幅の傾斜部12が存在する。段差部11及び傾斜部12は、導電性基材2の上の絶縁層3及びこれにより形成される導電性基材2の上の凹部に対応するものであり、傾斜部12は、絶縁層3の末広がりの傾斜部に対応して形成される。すなわち、傾斜部12には図6において、内周(最小径)と外周(最大径)が表現されるが、直径の小さな内周(段差部11の端)から直径の大きな外周に向かって傾斜している。段差部11は、めっきがめっき用導電性基材の凹部から絶縁層3に覆い被さるように形成された部分に対応する。従って、段差部11におけるパターン化銅金属層9の厚さは、絶縁層3に覆い被さるように形成された部分であるため、穴10に近い部分ほど厚さが小さくなり、また、その底面は、めっき部である凹部に対応するパターン化銅金属層9の底面より、絶縁層3の厚さの分だけ高くなる。
図7は、パターン化銅金属層の別の例を示す断面図であり、図6と同様にめっき用導電性基材上に存在する状態を示す。導電性基材2上の凹部に析出しためっきは、絶縁層3の上に乗り上げるように成長して貫通孔はないが、絶縁層3に対応した凹部を有するパターン化銅金属層9となる。上記の絶縁層3を紙面の表裏方向に伸ばし、幅を小さくしたものにすることにより、パターン化銅金属層に微細は溝を形成することができる。この溝を内部が埋まらないように適当な材料で塞ぐことにより、微細な液体又は気体の流路をたやすく形成することができる。従って、ヒートシンク、微量薬物の供給流路等に応用が可能である。なお、上記の適当な材料としては、溝や凹部のない平らな銅箔、上記のパターン化銅金属層自体(溝が対向するよう、又は、溝を通する面が対向するが溝が重ならないように貼り合わせる)などがあり、上記のパターン化銅金属層を複数枚、同一の向きに積層してもよく、最後の露出している溝を含む面は、適当な材料で塞ぐことができる。
本発明において、導体層パターン付き基材は、
(イ)前記のめっき用導電性基材上に表面が黒化処理されたパターン化銅金属層(導体層パターン)を形成する工程
及び
(ロ)上記導電性基材の凹部に析出させた金属を別の基材に転写する工程
を含む方法により製造される。
上記(イ)の工程は前記したとおりである。次に、上記(ロ)の工程について説明する。
前記した別の基材(導体層パターンが転写される基材)としては、ガラス、プラスチック等からなる板、プラスチックフィルム、プラスチックシートなどがある。ガラスとしては、ソーダガラス、無アルカリガラス、強化ガラス等のガラスを使用することができる。
プラスチックとしては、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂、酢酸セルロース樹脂、フッ素樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリウレタン樹脂、フタル酸ジアリル樹脂などの熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。プラスチックの中では、透明性に優れるポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂が好適に用いられる。別の基材の厚みは、0.5mm〜5mmがディスプレイの保護や強度、取扱い性から好ましい。
本発明における別の基材は、プラスチックフィルムが好ましい。このプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂などのプラスチックからなるフィルムで全可視光透過率が70%以上のものが好ましい。これらは単層で使うこともできるが、2層以上を組合せた多層フィルムとして使用してもよい。前記プラスチックフィルムのうち透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、価格の点からポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリカーボネートフィルムが特に好ましい。
上記プラスチックフィルムの厚さは特に制限はないが、1mm以下のものが好ましく、厚すぎると可視光透過率が低下しやすくなる傾向がある。また、薄く成りすぎると取扱い性が悪くなることを勘案すると、上記プラスチックフィルムの厚さは5〜500μmがより好ましく、50〜200μmとすることがさらに好ましい。
これらのプラスチックフィルム等の基材は、ディスプレイの前面からの電磁波の漏洩を防ぐための電磁波シールドフィルムとして使用するためには、透明であるもの(すなわち、透明基材)が好ましい。
上記の別の基材の導体層パターンが転写される面は、転写する際に粘着性を有していることが必要である。そのためには、基材自体が必要な粘着性を有していてもよいが、転写面に粘着層を積層しておくことが好ましい。
上記の粘着層は、転写時に粘着性を有しているもの又は加熱若しくは加圧下に粘着性を示すものが好ましい。粘着性を有しているものとしては、ガラス転移温度が20℃以下の樹脂が好ましく、ガラス転移温度が0℃以下である樹脂を用いることが最も好ましい。粘着層に用いる材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線の照射で硬化する樹脂等を使用することができる。加熱時に粘着性を示す場合、そのときの温度が高すぎると、透明基材にうねりやたるみ、カール等の変形が起こることがあるので、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線の照射で硬化する樹脂のガラス転移点は80℃以下であることが好ましい。上記熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線の照射で硬化する樹脂の重量平均分子量は、500以上のものを使用することが好ましい。分子量が500未満では樹脂の凝集力が低すぎるために金属との密着性が低下するおそれがある。
上記の熱可塑性樹脂として代表的なものとして以下のものがあげられる。たとえば天然ゴム、ポリイソプレン、ポリ−1,2−ブタジエン、ポリイソブテン、ポリブテン、ポリ−2−ヘプチル−1,3−ブタジエン、ポリ−2−t−ブチル−1,3−ブタジエン、ポリ−1,3−ブタジエン)などの(ジ)エン類、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルヘキシルエーテル、ポリビニルブチルエーテルなどのポリエーテル類、ポリビニルアセテート、ポリビニルプロピオネートなどのポリエステル類、ポリウレタン、エチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスルホン、ポリスルフィド、フェノキシ樹脂、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレート、ポリ−t−ブチルアクリレート、ポリ−3−エトキシプロピルアクリレート)、ポリオキシカルボニルテトラメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリイソプロピルメタクリレート、ポリドデシルメタクリレート、ポリテトラデシルメタクリレート、ポリ−n−プロピルメタクリレート、ポリ−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリ−2−ニトロ−2−メチルプロピルメタクリレート、ポリ−1,1−ジエチルプロピルメタクリレート、ポリメチルメタクリレートなどのポリ(メタ)アクリル酸エステルが使用可能である。これらのポリマを構成するモノマーは、必要に応じて、2種以上共重合させて得られるコポリマとして用いてもよいし、以上のポリマ又はコポリマを2種類以上ブレンドして使用することも可能である。
活性エネルギー線で硬化する樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等をベースポリマとし、各々にラジカル重合性あるいはカチオン重合性官能基を付与させた材料が例示できる。ラジカル重合性官能基として、アクリル基(アクリロイル基),メタクリル基(メタクリロイル基),ビニル基,アリル基などの炭素−炭素二重結合があり、反応性の良好なアクリル基(アクリロイル基)が好適に用いられる。カチオン重合性官能基としては、エポキシ基(グリシジルエーテル基、グリシジルアミン基)が代表的であり、高反応性の脂環エポキシ基が好適に用いられる。具体的な材料としては、アクリルウレタン、エポキシ(メタ)アクリレート、エポキシ変性ポリブタジエン、エポキシ変性ポリエステル、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、アクリル変性ポリエステル等が挙げられる。活性エネルギー線としては、紫外線、電子線等が利用される。
活性エネルギー線が紫外線の場合、紫外線硬化時に添加される光増感剤あるいは光開始剤としては、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイン系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩、ハロニウム塩等の公知の材料を使用することができる。また、上記の材料の他に汎用の熱可塑性樹脂をブレンドしても良い。
熱硬化性樹脂としては、天然ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ハロゲン化ブチル、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソブテン、カルボキシゴム、ネオプレン、ポリブタジエン等の樹脂と架橋剤としての硫黄、アニリンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、リグリン樹脂、キシレンホルムアルデヒド樹脂、キシレンホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ホルマリン樹脂、金属酸化物、金属塩化物、オキシム、アルキルフェノール樹脂等の組み合わせで用いられるものがある。なおこれらには、架橋反応速度を増加する目的で、汎用の加硫促進剤等の添加剤を使用することもできる。
熱硬化性樹脂として、硬化剤を利用するものとしては、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、不飽和炭化水素基等の官能基を有する樹脂とエポキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、チオール基等の官能基を有する硬化剤あるいは金属塩化物、イソシアネート、酸無水物、金属酸化物、過酸化物等の硬化剤との組み合わせで用いられるものがある。なお、硬化反応速度を増加する目的で、汎用の触媒等の添加剤を使用することもできる。具体的には、硬化性アクリル樹脂組成物、不飽和ポリエステル樹脂組成物、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂組成物、ポリウレタン樹脂組成物等が例示される。
さらに、熱硬化性樹脂又は活性エネルギー線で硬化する樹脂としては、アクリル酸又はメタクリル酸の付加物が好ましいものとして例示できる。
アクリル酸又はメタクリル酸の付加物としては、エポキシアクリレート(n=1.48〜1.60)、ウレタンアクリレート(n=1.5〜1.6)、ポリエーテルアクリレート(n=1.48〜1.49)、ポリエステルアクリレート(n=1.48〜1.54)なども使うこともできる。特に接着性の点から、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートが優れており、エポキシアクリレートとしては、1、6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、アリルアルコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル等の(メタ)アクリル酸付加物が挙げられる。エポキシアクリレートなどのように分子内に水酸基を有するポリマは接着性向上に有効である。これらの共重合樹脂は必要に応じて、2種以上併用することができる。
本発明で粘着性を有しているもの又は粘着性を示すもの(以下、これらを、「粘着剤」という)には、必要に応じて、架橋剤、硬化剤、希釈剤、可塑剤、酸化防止剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤や粘着付与剤などの添加剤を配合してもよい。
粘着層の厚さは、薄すぎると十分な強度を得られないため、めっきで形成された金属層を転写する際に、金属が粘着層に密着せず、転写不良が発生することがある。したがって、粘着層の厚みは、1μm以上であることが好ましく、量産時の転写信頼性を確保するためには3μm以上であることが更に好ましい。また、粘着層の厚さが厚いと、粘着層の製造コストが高くなるとともに、ラミネートした際に、粘着層の変形量が多くなるため、粘着層の厚みは30μm以下が好ましく、15μm以下がさらに好ましい。
別の基材に粘着剤を塗布して形成した粘着層を有するフィルムを、金属層が形成されている面に貼り合わせる際には、粘着剤の特性に応じて、必要ならば加熱される。
本発明おける導体層パターン付き基材の導体層パターン(本発明では、片面は少なくとも黒化処理されている)をディスプレイ前面の電磁波遮蔽層として利用するときは、そのライン幅は、40μm以下、ライン間隔は50μm以上の範囲とすることが好ましい。また、導体層パターンの非視認性の観点からはライン幅は25μm以下、可視光透過率の点からライン間隔は120μm以上がさらに好ましい。ライン幅は、あまりに小さく細くなると表面抵抗が大きくなりすぎて遮蔽効果に劣るので1μm以上が好ましい。ライン間隔は、大きいほど開口率は向上し、可視光透過率は向上する。本発明によって得られる導体層パターンをディスプレイ前面に使用する場合、開口率は50%以上が必要であるが、60%以上がさらに好ましく、特に80%以上が好ましい。ライン間隔が大きくなり過ぎると、電磁波遮蔽性が低下するため、ライン間隔は1000μm(1mm)以下とするのが好ましい。なお、ライン間隔は、幾何学図形等の組合せで複雑となる場合、繰り返し単位を基準として、その面積を正方形の面積に換算してその一辺の長さをライン間隔とする。可視光透過率の点からライン間隔は、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、120μm以上が特に好ましい。ライン間隔は、大きいほど開口率は向上し、可視光透過率は向上する。
また、導体層パターン(本発明では、少なくとも片面は黒化処理されている)の厚みは100μm以下が好ましい。ディスプレイ前面の電磁波遮蔽シートとして適用した場合、厚みが薄いほどディスプレイの視野角が広がり電磁波遮蔽材料として好ましく、また、金属層をめっきにより形成させるのにかかる時間を短縮することにもなるので40μm以下とすることがより好ましく、18μm以下であることがさらに好ましい。あまりに厚みが薄いと表面抵抗が大きくなりすぎて電磁波遮蔽効果に劣るようになり、また、導体層パターンの強度が劣り、転写時の導電性基材からの剥離が困難になるため0.5μm以上が好ましく、さらに1μm以上がさらに好ましい。
上記のめっき用導電性基材を用いた導体層パターン付き基材の作製例を次に示す。
図8は、導体層パターン付き基材の作製例の前半を示す断面図である。また、図9はその後半を示す断面図である。
上記のめっき用導電性基材1上に、前記しためっき工程により、凹部4内にめっきを施し、導体層パターン13を形成する(図8(e))。ついで、別個に準備された転写用基材14、これは、別の基材(透明基材)15に粘着剤層16が積層されている。導体層パターン13が形成されためっき用導電性基材1に転写用基材14を粘着剤層16を向けて圧着する準備を行う(図8(f))。
ついで、導体層パターンが形成されためっき用導電性基材1に転写用基材13を粘着剤層16を向けて圧着する(図9(g))。このとき、粘着剤層16が絶縁層7に接触してもよい。
ついで、転写用基材14を引きはがすと導体層パターン13は、その粘着剤層16に接着してめっき用導電性基材1の凹部4から剥離され、この結果、導体層パターン付き基材17が得られる(図9(h))。
図10は、めっき用導電性基材の凹部内にめっきにより導体層パターンを形成した状態を示す断面図、図11は、その凹部内の導体層パターンを転写して得られた導体層パターン付き基材の断面図を示す。
めっき用導電性基材にめっきした際、めっきは等方的に生長するため、導電性基材の露出部分から始まっためっきの析出は、それが進むと凹部からあふれて絶縁層に覆い被さるように突出して析出する。転写用基材への貼着の観点から、突出するようにめっきを析出させることが好ましい。しかし、このとき、めっきの析出を凹部4内に収まる程度に施しても良い。この状態を図10に示す。この場合でも、図11に示すように、転写用基材を圧着することにより、導体層パターン13を粘着剤層16を介して別の基材(透明基材)15に転写して、めっき用導電性基材1から導体層パターン13を剥離して、導体層パターン付き基材17を作製することができる。
本発明により得られる導体層パターン付き基材の導体層パターンを、さらに、黒化処理して、両面が黒化処理された導体層パターンを有する導体層パターン付き基材とすることができる。このためには、上記図9(h)又は図11に示すような導体層パターン付き基材17の導体層パターン13を黒化処理する方法がある。
黒化処理された導体層パターンを有する導体層パターン付き基材を電磁波遮蔽部材としてディスプレイの前面において利用するときは、一般に、黒色層を設けた方の面がディスプレイの視聴者側に向くようにして用いられるが、両面が黒化処理された導体層パターンを有する導体層パターン付き基材であれば、そのどちらの面であっても黒化処理された面が視聴者側に向くようになるので、電磁波遮蔽部材としての製品設計の幅が広がる。
上記の黒化処理の方法は、金属パターンに黒色層を形成する手法であるが、このためには、金属層にめっきや酸化処理、印刷などの様々な手法を用いることができる。
別の基材に転写した後に黒化処理工程を行うときの黒化処理としては、黒色ニッケルめっきなどの黒色めっきを行うことが望ましい。
黒色ニッケルめっきは硫化ニッケルを主成分とする黒色合金を被めっき体表面に電着で形成するめっき法であるが、VIII族元素の鉄、コバルトもいずれも硫化物としたとき黒色を呈すので用いることができる。同じVIII族元素の中でも硫化ニッケルは目的にかなった黒色を呈し、さらに下地金属とも良好な密着性を有する。VIII族元素以外の硫化物では銀、水銀、銅、鉛などを、用いることが可能である。またスズとニッケル、スズとコバルトなどの合金めっきや黒色クロムめっきを用いても粉落ちが無く、金属層のみに良好な密着性を有する黒化処理層(黒色層)を形成することができる。
黒色ニッケルめっき層を形成するに際しては、硫酸ニッケル60〜100g/L、硫酸ニッケルアンモニウム30〜50g/L、硫酸亜鉛20〜40g/L、チオシアン酸ナトリウム10〜20g/Lを含有するめっき液を用いることができる。このめっき浴を用い、pH:4〜7、温度:45〜55°C、電流密度0.5〜3.0A/dmの条件で、ステンレスアノード又はニッケルアノード、攪拌には循環ポンプ並びにエアー攪拌を使用することにより、プラズマディスプレイパネル用として好適な黒色ニッケルめっき層を形成することができる。黒色ニッケルめっきの前処理としては下地となる金属層との密着性を高めるために適切なアルカリ脱脂、酸洗浄を行うことがより好ましい。各成分の濃度範囲を超えたところでめっきを行うとめっき液が分解しやすく、良好な黒色を得ることが困難になる。また、温度に関しても55℃を超える温度でめっきを行うとめっき液が分解しやすくなる。逆に45℃未満では1.0A/dm以上のめっきを行うと、製品にざらつきが生じて粉落ちしやすくなり、やはりめっき液寿命が短くなる。45℃未満で1.0A/dm以下の電流密度でめっきを行うことは可能であるが、望む黒色を得るのに長時間のめっきが必要となり、生産性を低下させてしまう。それゆえ、上の濃度組成のめっき液を使用して短時間で黒色ニッケルめっきを行う際の温度範囲は45〜55℃が最適である。また、電流密度に関しては温度範囲内で0.5A/dm以下でも可能であるが、望む黒色を得るのに長時間のめっきが必要となる。3.0A/dm以上でめっきを行うとめっき液が分解しやすく、粉落ちしやすい黒色皮膜が形成される。黒色ニッケルめっきではステンレスアノードを使用した場合、めっき液寿命が短くなるので、通常ニッケルアノードを使用するのが望ましい。
本発明における導体層パターン付き基材を電磁波遮蔽体として用いる場合は、そのまま、ディスプレイ画面に適宜別の接着剤を介して又は介さないで貼着して使用することができるが、他の基材に貼着してからディスプレイに適用してもよい。他の基材は、ディスプレイの前面からの電磁波を遮断するために使用するには透明であることが必要である。
図12に導体層パターン付き基材が他の基材に貼着されて得られた電磁波遮蔽部材の断面図を示す。図12において、基材(別の基材)15に積層されている粘着剤層16上に銅からなる導体層パターン13が貼り付けられ、この上に他の基材18が積層されており、導体層パターン13は、粘着剤層16に埋設されている。これは、導体層パターン付き基材の導体層パターン13側を他の基材18に加熱又は非加熱下に加圧することにより作製することができる。この場合、粘着剤層16が十分な流動性を有するものであるか十分な流動性を有するうちに、適度な圧力を加えることにより導体層パターンを粘着剤層16に埋設する。基材(別の基材)15及び基材(他の基材)18として、透明性を有し、しかもその表面の平滑性が優れるものを使用することにより、透明性が高い電磁波遮蔽部材を得ることができる。
図13に導体層パターン付き基材が保護樹脂で覆われた電磁波遮蔽部材の断面図を示す。基材(別の基材)15に積層されている粘着剤層16上に金属からなる導体層パターン13が貼り付けられており、これらは、透明な保護樹脂19によって被覆されている。
図14は、別の態様の電磁波遮蔽体の断面図を示す。この電磁波遮蔽体は、図13の電磁波遮蔽部材が、基材15の導体層パターン13がある面とは反対の面で、接着剤層20を介して他の基材21が貼り合わされたものである。
図15は、さらに、別の態様の電磁波遮蔽体の断面図を示す。図14において、基材(別の基材)15に粘着剤層16を介して金属からなる導体層パターン13が接着されており、その上を透明樹脂からなる接着剤又は粘着剤22により被覆され、さらにその上に保護フィルム23が積層されている。基材15のもう一方の面には接着剤層20を介してガラス板等の他の基材21が貼着されている。この電磁波遮蔽部材では、基材(別の基材)15に粘着剤16を介して接着されている導体層パターン13を有する導体層パターン付き基材の導体層パターン13が存在する面を、透明な接着剤または粘着材22によりコーティングし、さらに保護フィルム23を積層し、ついで、得られた積層物の基材15のもう一方の面(何も積層されていない面)に接着剤を塗布して接着剤層16を形成し、これを他の基材21に押しつけて接着することにより作製することができる。上記の透明樹脂22としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のほかに活性エネルギー線で硬化する樹脂をを主成分とする接着剤または粘着剤を用いることもできる。活性エネルギー線で硬化する樹脂を用いることは、それが瞬時に又は短時間に硬化することから、生産性が高くなるので好ましい。
本発明における導体層パターン付き基材において、導体層パターンの開口率を高くすることができ、これにより透光性を優良にできる。本発明における導体層パターン付き基材は、透光性電磁波遮蔽部材として使用することができる。
また、本発明における導体層パターン付き基材を電磁波遮蔽部材として、ディスプレイ等の前面に用いる場合には、反射防止等を含む視認性確保を図るために導電層パターンは、表面が黒化処理されたものであることが好ましい。電磁波遮蔽部材はその前面が黒色であることがハイコントラストの実現及びディスプレイの電源切断時に画面が黒いこと等の要求を満たすことから好ましいとされている。
表面が黒化処理された導体層パターンの防錆処理としては公知の手段としてクロメート処理、ベンゾトリアゾールなどを使用することができる。また、市販されている防錆剤を使用することもできる。また、表面が黒化処理された導電層を別の基材に転写した後に再度黒化処理を施す場合に、防錆処理を行うことが望ましい。防錆処理としては公知の手段としてクロメート処理、ベンゾトリアゾールなどを使用することができる。また、市販されている防錆剤を使用することもできる。また、黒化処理層つき導体層パターンを別の基材に転写した後に再度同じ方法で黒化処理層を形成する場合も同様に防錆処理を行うことが望ましい。
回転体を用いることにより電解めっきにより形成されたパターンを連続的に剥離しながら、構造体を巻物として得ることができる。すなわち、図16において電解浴槽101内の電解液(メッキ液)102が陽極103とドラム電極などの回転体104の間のスペースに配管105とポンプ106により供給されるようにする。陽極103と回転体104の間に電圧をかけ、回転体104を一定速度で回転させると回転体104の表面に導体層が電解析出し、さらに、陽極103とは別の陽極107と回転体104の間に陽極103と回転体104の間よりも大きな電圧をかけることにより、析出した導体層パターンの上に黒色の皮膜を析出させることができる。陽極107は一つに限らず、二つもしくはそれ以上取り付け、段階的に電圧を変化させて黒化皮膜として析出する粒子の大きさを制御してもよい。
なお、図16に示す状態では、第1の電流密度の下に導電性金属層を形成する導電層形成工程を行うための陽極103と、第2の電流密度の下に導電性金属層の表面にその表面が黒色になるように金属を析出させる黒化処理工程を行うための陽極107とが、互いに離れてメッキ液の中に浸漬されているが、さらに、各陽極(電極)103、107の間に、絶縁体で構成された遮断部材151を設けてもよい。遮断部材151を設けることにより、第1の電流密度と第2の電流密度とを維持しやすくなる。
導電性基材が回転体からなる電性基材又は回転体に取り付けた導電性基材である場合、遮断部材151は板状に形成されて各電極103、107の間に設けられており、遮断部材151の基端部側は、電解浴槽101の内壁に一体的に固定されており、遮断部材151の先端部側は、導電性基材(回転体104)の近傍に位置している。したがって、導電性基材104と遮断部材151の先端部との間では、メッキ液が通じている。
また、陽極103、107の材質はチタニウム金属を基体とした表面に白金族金属又はその酸化物の薄膜を構成した不溶性陽極などであることが好ましい。さらにその形状としては特に限定されるわけではないが、平板状、棒状、多孔質状、メッシュ状等が挙げられる。
すなわち、たとえば、図17に示すように、長手方向に垂直な断面が長方形状である複数の陽極103a(陽極103に対応する陽極)と、長手方向に垂直な断面が長方形状である単数もしくは複数の陽極107b(陽極107に対応する陽極)とを、回転体104の回転中心軸CL1の円周上に配置した構成であってもよい。
黒化処理された導体層パターンは、電解液102の外で、形成された導体層パターン108に接着性支持体109を圧接ロール110によって圧接させながら、連続的に回転体104から剥離しつつ接着性支持体109に転写させ、導体層パターン付き接着支持体111をロールに巻き取ることができ、このようにして導体層パターンを製造することができる。なお、回転中の回転体から導体層パターンが剥離された後に、電解液に再び浸漬される前に回転体又は回転体に固定された導電性基材の表面をブラシロールで清掃するようにしてもよい。図示していないが、陽極の上端には高速で循環している電解液が上方へ噴出するのを防ぐために水きりロールを設置してもよい。水切りロールによってせき止められた電解液は陽極の外部から下の電解液の浴槽へと戻り、ポンプにより循環される。また、図示しないがこの循環の間には消費された金属イオン源や添加剤等を必要に応じて追加する工程、また各成分の分析を行う工程を追加することが望ましい。
上記において、導体層パターンは、導体層パターン付き接着支持体111として、得られるようになっているが、接着性支持体109を使用することなく、導体層パターンを回転体から剥離して回収するようにしても良い。
さらには、前記第1の電流密度の下に導電性金属層を形成する導電層形成工程を行うための第1の陽極と、前記第2の電流密度の下に前記導電性金属層の表面にその表面が黒色になるように金属を析出させる黒化処理工程を行うための第2の陽極とを兼用し、前記第1の電流密度の下で前記導電層形成工程の形成後、前記第2の電流密度の下で前記黒化処理工程を行うようにしてもよい。
以上で詳細に説明しためっき部として凹部のパターン有するめっき用導電性基材において、その凹部パターンは、適当な広さで作製される。
その領域を領域Aとすると、本発明に係るめっき用導電性基材には、そのまわりに、電磁波遮蔽部材のアース部に対応する領域(領域Bという)を備えることができる。このとき、領域Aと領域Bは同一のパターンでもよい。また、領域Aにおける凹部の面積比率を、領域Bにおける凹部の面積比率と同じ又はそれよりも大きくすることが好ましく、10%以上大きくすることはさらに好ましい。凹部の面積比率は、平面図で見たときに、ただし、各領域の全面積に対する各領域の凸部における露出部分を除いた部分の面積の比率をいう。また、領域Bの凹部比率を0としてもよいが、この場合には、めっき用導電性基材上にめっきによりベタの金属膜が周辺に形成される。ベタの金属膜は転写に際し、割れやすいので、望ましくは、領域Bの凹部の面積率は40%以上とすることが好ましく、また、97%未満であることが好ましい。
領域Bにおいて、凹部のパターンによって描かれる幾何学図形状は、前記説明したものが使用できるが、改めて例示すると、
(1)メッシュ状幾何学的模様
(2)所定間隔で規則的に配列された方形状幾何学的模様
(3)所定間隔で規則的に配列された平行四辺形模様
(4)円模様又は楕円模様
(5)三角形模様
(6)五角形以上の多角形模様
(7)星形模様
等がある。
また、領域Bにおける絶縁層及び凹部の形成等は、前述した領域Aと同様に行うことができる。
本発明において、透光性の電磁波シールド部の外側をアース部として、使用することが好ましい。このアース部は、透光性の電磁波シールド部と同様のパターンを有していてもよく、異なったパターンを有していてもよい。また、アース部は、前述したようなパターン又は全くベタ状の膜であってもよい。アース部は、その内側の透光性の電磁波シールド部と導通していることが好ましい。
めっき用導電性基材の少なくとも透光性の電磁波シールド部の導体層パターンに対応した部分が矩形体又は回転体である場合、その外側で、透光性の電磁波シールド部の導体層パターンに対応した部分を囲むように、または、対向する2片にそって、連続した帯状に前記凸部の上面と同じ高さの部分(絶縁層がない)を設けることができる。これにより、導電性基材へのめっき後、導体層パターンの部分に連続した帯状のめっき箔を有する導体層パターン金属層を形成することができる。例えば、そのパターンの平面図を図18に示す。図18(a)中、黒い部分がめっきにより形成された導体層パターンとそれに連続した箔部分である。この箔部分があることにより、箔自体が支持体代わりとなり導体層パターンを導電性基材から剥離しやすくなる。得られた導体層パターンをその後の工程中に両端部分で十分支えることができるため、取扱に優れる。場合により、接着性支持体を用いず剥離することもできる。箔部分は後で不要分を切り落とすことができ、また、箔部分をある程度の幅で残してアース部として利用することもできる。前記のパターンの別の例を図18(b)に示す。これは、導電性基材として回転体を使用した場合、回転体に導電性支持体を取り付けた場合などに作製できる導体層パターン金属層の一部の平面図である。これにより、透光性の電磁波シールド部の四辺にアース部を形成することができる。本発明で得られる導体層パターンにおいては、電磁波遮蔽部材を作製したときに、遮蔽した電磁波を電流としてアースするために網目状の導体層パターンの周囲に帯状の導体層(額縁部分)が導通状態で連続しているパターンがより好ましい。
本発明において、めっき用導電性基材上に作製された導体層パターンは、前述したのと同様の転写法により、中間の接着性支持体を使用して導電性支持体から導体層パターンを転写剥離し、さらに、この中間の接着性支持体から最終の接着性支持体に前記転写法と同様にして導体層パターンを転写してもよい。また、転写された導体層パターンを有する中間の接着性支持体と最終の接着性支持体を導体層パターンを挟んで重ねて圧着して電磁波遮蔽体を作製することもできる。この場合の圧着方法としては、常温下又は加熱下にプレス機により加圧する方法、常温下又は加熱下に加圧ロール間を通過させる方法等がある。
本発明における導体層パターン付き基材を遮蔽体として用いる場合には、反射防止層、近赤外線遮蔽層等をさらに積層してもよい。めっき用導電性基材上に析出した金属を転写する基材そのものが反射防止層、近赤外線遮蔽層等の機能層を兼ねていてもよい。さらに、導体層パターン層に樹脂をコーティングする際に用いられるカバーフィルムに、反射防止層、近赤外線遮蔽層等の機能層を兼ねていてもよい。
(凸部パターンの形成)
レジストフィルム(フォテックRY3315、15μm厚、日立化成工業株式会社製)を150mm角のステンレス板(SUS316L、鏡面研磨仕上げ、厚さ300μm、日新製鋼(株)製)の両面に貼り合わせた(図3(a)に対応する)。貼り合わせの条件は、ロール温度105℃、圧力0.5MPa、ラインスピード1m/minで行った。次いで、光透過部のライン幅が15μm、ラインピッチが300μm、バイアス角度が45°(正四角形のなかに、ラインが正四角形の辺に対して45度の角度になるように配されている)で、格子状にパターンが120mm角のサイズで形成されているネガフィルムを、ステンレス板の片面に静置した。紫外線照射装置を用いて、600mmHg以下の真空下において、ネガフィルムを載置したステンレス板の上下から、紫外線を120mJ/cm照射した。さらに1%炭酸ナトリウム水溶液で現像することで、SUS板の上にライン幅16〜19μm、ラインピッチ300μm、バイアス角度45度のレジスト膜からなる格子状パターンを形成した。突起部の導電性基材との接触部の幅(d)は、この最大幅より0〜約1μm小さかった。また、突起部の最小幅は、最大幅(d)より0〜約2μm小さく、突起部の導電性基材との接触部からわずかに高い箇所の幅である。これらは、倍率3000倍で断面を走査型電子顕微鏡(SEM)観察することにより実測した。測定点は5点以上とした。
なお、凸部パターンが形成された面の反対面は、全面露光されているため、現像されず、全面にレジスト膜が形成されている(図3(b)に対応する)。
(絶縁層の形成)
PBII/D装置(TypeIII、株式会社栗田製作所製)によりDLC膜を形成する。チャンバー内にレジスト膜が付いたままのステンレス基板を入れ、チャンバー内を真空状態にした後、アルゴンガスで基板表面のクリーニングを行った。次いで、チャンバー内にヘキサメチルジシロキサンを導入し、膜厚0.1μmとなるように中間層を成膜した。次いで、トルエン、メタン、アセチレンガスを導入し、膜厚が2μmとなるように、中間層の上にDLC層を形成した(図3(c)に対応する)。そのときレジスト膜により形成された凸部両側のDLC膜の厚さは、2μmであった。境界面の角度は45〜51度であった。なお、絶縁層の厚さ及び境界面の角度の測定は導電性基材の一部を切り取って樹脂で注型し、倍率は3000倍で断面をSEM観察することにより実測した。測定点は5点で、レジスト膜の両側を測定したので計10点の最大値と最小値を採用した。
(凹部の形成;絶縁層の付着した凸部パターンの除去)
絶縁層が付着したステンレス基板を水酸化ナトリウム水溶液(10%、50℃)に浸漬し、時々揺動を加えながら8時間放置した。凸部パターンを形成するレジスト膜とそれに付着したDLC膜が剥離してきた。一部剥がれにくい部分があったため、布で軽くこすることにより全面剥離し、めっき用導電性基材を得た(図3(d)に対応する)。
凹部の形状は、開口方向に向かって幅広になっており、その凹部側面の傾斜角は、前記境界面の角度と同じであった。凹部の深さは2μmであった。また、凹部の底部での幅は、16〜19μm、開口部での幅(最大幅)は21〜27μmであった。凹部のピッチは300μmであった。
(銅めっき)
さらに、上記で得られためっき用導電性基材のパターンが形成されていない面に粘着フィルム(ヒタレックスK−3940B、日立化成工業(株)製)を貼り付けた。この粘着フィルムを貼り付けためっき用導電性基材を陰極として、回転ドラム電極にテフロン(登録商標)テープを使用して固定し、電解銅めっきを行った。電解銅めっき浴の浴組成及び電解条件は次の通りである。
ピロリン酸銅の濃度:100g/L
ピロリン酸カリウムの濃度:250g/L
アンモニア水(30%)使用量:2mL/L
pH:8〜9
浴温:30℃
陽極:銅板
めっき浴の攪拌は穏やかな液循環のみとした。導電性基材の凹部の金属面上に、析出した金属の厚さが5μmになるまで電流密度10A/dmでめっきした。この段階での析出した金属は、赤色であり、導電度は、表面抵抗率で0.1Ω/□(オーム・パー・スクエア)であった。この後、電流密度を50A/dmに変更して引き続き5秒間めっきを行い、表面を黒化した。表面が黒化処理された導体パターンがついた導電性基材をめっき浴から取り出し、水洗し、乾燥した。
(転写用粘着フィルムの作製)
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(A−4100、東洋紡績株式会社製)の表面にプライマー(HP―1、日立化成工業株式会社製)を厚さ1μm)に、粘着層としてアクリルポリマー(HTR−280、長瀬ケムテック(株)製)を厚さ10μmに順次塗布して転写用粘着フィルムを作製した。
(転写)
上記転写用粘着フィルムの粘着層の面と、上記めっき用導電性基材の銅めっきを施した面を、ロールラミネータを用いて貼り合わせた。ラミネート条件は、ロール温度25℃、圧力0.1MPa、ラインスピード1m/minとした。次いで、めっき転写用版に貼り合わせた粘着フィルムを剥離したところ、上記めっき用導電性基材上に析出した銅が粘着フィルムに転写されていた。これにより、ライン幅20〜25μm、ラインピッチ300±2μm、導体層厚さが平均で5μmの格子状金属パターンからなる導体層パターン付き基材が得られた。導体層の形状は、凹部の形状を反映して、図5(h)に示されるように下部から上部(粘着層)に向かって幅広になっており、さらに凹部からあふれた部分が傘のように広がっていた。
転写後のめっき用導電性基材の表面を観察した結果、絶縁層が剥離している箇所はなかった。ライン幅、導体層厚さの測定は、得られた導体層パターン付き基材を一部切り取って樹脂で注型し、倍率は3000倍で断面をSEM観察することにより実測した。測定点は5点で、凹部の両側を測定したので計10点の値の最大値と最小値を採用した(以下も同様)。ラインピッチの測定は、顕微鏡(デジタルマイクロスコープVHX−500、キーエンス(株)製)を用いて、倍率200倍で観察して測定し、測定は、無作為の5点で行った(以下も同様)。
(保護膜の形成)
上記で得られた導体層パターン付き基材の導体層パターンが存在する面に、UV硬化型樹脂ヒタロイド7983AA3(日立化成工業(株)製)をコーティングし、ポリカーボネートフィルム(マクロホールDE、バイエル株式会社製、75μm)でラミネートして導体層パターンをUV硬化型樹脂中に埋没させた後、紫外線ランプを用いて1J/cmの紫外線を照射してUV硬化型樹脂を硬化させて、保護膜を有する導体層パターン付き基材を得た。
(繰り返し使用)
次いで、上記のめっき用導電性基材を用いて、銅めっき転写の工程を上記と同様にして500回繰り返した結果、銅めっきの転写性に変化が無く、絶縁層の剥離箇所も観測されなかった。
(明度及び色度の測定)
得られた導体層パターン付き基材の明度及び色度を分光測色計CM−508d(コニカミノルタホールディングス(株)製)を用いて測定した。測定は基材の下側に明度L*が25の黒色紙を敷いて反射モードで行った。
測定対象は、表面が黒化処理された導体層パターンとし、開口面積は約85%であった。測定したところ、明度L*は40であり好適な値の範囲内であった。また、色度はa*は2.22、b*は1.74であり、いずれも色相の低い値が得られた。
実施例1の凸部パターンの形成時に使用したレジストフィルムとして、フォテックRY3415(15μm厚、日立化成工業株式会社製)を、導電性基材として、SUS316Lの代わりに、JFE443CT(鏡面研磨仕上げ、厚さ0.8mm、JFEスチール(株)製)を使用した以外はすべて実施例1と同様にして導体層パターン付き基材を製造した。得られた導体層パターン付き基材に、実施例1と同様にして赤色、続いて黒色の電解めっきを施し、実施例1と同様にして転写用粘着フィルムに転写後、保護膜を形成した。
また、本めっき用導電性基材を用いて、銅めっき転写の工程を1000回繰り返した結果が、銅めっきの転写性に変化が無く、絶縁層の剥離箇所も観測されなかった。
得られた導体層パターンの明度と色度を実施例1と同様に測定した。測定対象は、表面が黒化処理された導体層パターンとし、開口面積は約85%であった。測定したところ、明度L*は47であり好適な値の範囲内であった。また、色度はa*は0.75、b*は2.54であり、いずれも色相の低い値が得られた。
実施例1の凸部パターンの形成時に使用したレジストフィルムとして、フォテックRY3525(25μm厚、日立化成工業株式会社製)を、導電性基材として、SUS316Lの代わりに、チタン板(鏡面研磨仕上げ、厚さ0.5mm、日本ステンレス工材(株)製)を使用した以外はすべて実施例1と同様にして導体層パターン付き基材を製造した。得られた導体層パターン付き基材に、実施例1と同様にして赤色、続いて黒色の電解めっきを施し、実施例1と同様にして転写用粘着フィルムに転写後、保護膜を形成した。
また、本めっき用導電性基材を用いて、銅めっき転写の工程を1000回繰り返した結果が、銅めっきの転写性に変化が無く、絶縁層の剥離箇所も観測されなかった。
得られた導体層パターンの明度と色度を実施例1と同様に測定した。測定対象は、表面が黒化処理された導体層パターンとし、開口面積は約80%であった。測定したところ、明度L*は39であり好適な値の範囲内であった。また、色度はa*は1.72、b*は1.82であり、いずれも色相の低い値が得られた。
実施例1と同様にして作製した導体層パターン付き基材に、金属の厚さが5μmになるまで赤色、引き続いて黒色めっきを施した。その後、実施例1と同様にして転写用の紫外線硬化型粘着フィルム(商品名KH−1510X、日立化成工業(株)製)に転写後、カバーフィルムをラミネートして、紫外線を0.5J/cm照射した。その後実施例1と同様にして、保護膜を形成した。
また、本めっき用導電性基材を用いて、銅めっき転写の工程を1000回繰り返した結果が、銅めっきの転写性に変化が無く、絶縁層の剥離箇所も観測されなかった。
得られた導体層パターンの明度と色度を実施例1と同様に測定した。測定対象は、表面が黒化処理された導体層パターンとし、開口面積は約85%であった。測定したところ、明度L*は46であり好適な値の範囲内であった。また、色度はa*は0.92、b*は1.1であり、いずれも色相の低い値が得られた。
本発明のめっき用導電性基材の一例を示す斜視図。 図1のA−A断面図。 めっき用導電性基材の製造方法を示す工程の一例を断面図。 中間層を有するめっき用導電性基材とその前駆体の断面図を示す。 パターン化銅金属層の一例である穴あき銅箔の一部を示す底面図。 図5中のA−A′断面図(ただし、めっき用導電性基材上に存在する状態)。 パターン化銅金属層の別の例を示す断面図(ただし、めっき用導電性基材上に存在する状態)。 導体層パターン付き基材の作製例の前半を示す断面図。 導体層パターン付き基材の作製例の後半を示す断面図。 めっき用導電性基材の凹部内にめっきにより導体層パターンを形成した状態を示す断面図。 図10に示す凹部内の導体層パターンを転写して得られた導体層パターン付き基材の断面図。 導体層パターン付基材が他の基材に貼着された電磁波遮蔽部材の一例を示す断面図。 導体層パターン付基材が他の基材に貼着された電磁波遮蔽部材の一例を示す断面図。 導体層パターン付基材が他の基材に貼着された電磁波遮蔽部材の一例を示す断面図。 導体層パターン付基材が他の基材に貼着された電磁波遮蔽部材の一例を示す断面図。 回転体を用いて導体層パターン付き基材を連続的に作製するための装置の概念断面図。 回転体を用いて導体層パターン付き基材を連続的に作製するための装置の変形例の概念断面図。 導体層パターンの平面図。
符号の説明
1:めっき用導電性基材
2:導電性基材
3:絶縁層
4:凹部
5:感光性レジスト層(感光性樹脂層)
6:突起部
7:DLC膜
8:中間層
9:パターン化銅金属
10:穴(貫通孔)
11:段差部
12:傾斜部
13:導体層パターン
14:転写用基材
15:別の基材
16:粘着剤層
18:他の基材
19:保護樹脂
20:接着剤
21:他の基材
22:接着剤又は粘着剤
23:保護フィルム
101:電解浴槽
102:電解液
103:陽極
104:回転体
105:配管
106:ポンプ
107:陽極
108:導体層パターン
109:接着性支持体
110:圧接ロール
111:導体層パターン付き接着支持体
151:遮断部材

Claims (48)

  1. めっき用導電性基材を用いて、表面が黒化処理されたパターン化銅金属層を製造する方法において、めっき用導電性基材が、導電性基材の表面に絶縁層が形成されており、その絶縁層に開口方向に向かって幅広であってめっきを形成するための凹部のパターンが形成されている導電性基材であり、そのめっき用導電性基材の凹部に第1電流密度の下に銅金属を析出させて銅金属層を形成する導電層形成工程、及び、第1の電流密度よりも大きい第2の電流密度の下に上記銅金属層の表面に、その表面が黒色になるように銅金属を析出させる黒化処理工程を、一つのピロリン酸銅めっき浴中にて行うことを特徴とする表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
  2. 導電層形成工程を第1の電流密度を含む第1の電着領域において行い、黒化処理工程を第2の電流密度を含む第2の電着領域において行う請求項1記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
  3. 黒化処理工程において、明度25の黒色を背景にして、開口率が50%の光透過部の明度が25〜50、又は色度a*及びb*が共に5以下になるように銅金属を析出させる請求項1又は2記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
  4. 黒化処理工程において、明度25の黒色を背景にして、開口率が40%以上光透過部の色度a*及びb*が共に2.8以下になるように金属を析出させる請求項1又は2記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
  5. 黒化処理工程において、開口率が40%未満であって、明度25の黒色を背景にした光透過部又は光未透過部の色度a*及びb*が共に5以下になるように金属を析出させる請求項1又は2記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
  6. ピロリン酸銅メッキ浴が添加剤としてモリブデン等VI族元素、及びコバルト、ニッケル等VIII族元素のうち一つ又はそれ以上を含む合金めっき浴である請求項1〜5のいずれかに記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
  7. 第1の電流密度が0.5〜40A/dmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
  8. めっき用導電性基材において、めっきを形成するための凹部が絶縁層に幾何学図形を描くように又はそれ自身幾何学図形を描くように形成されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
  9. めっき用導電性基材において、絶縁層が、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)又は無機材料からなる請求項1〜8のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
  10. めっき用導電性基材において、絶縁層が、DLC、Al又はSiOである請求項9に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
  11. めっき用導電性基材において、絶縁層が、硬度が10〜40GPaのDLCからなる請求項10に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
  12. めっき用導電性基材において、導電性基材と絶縁層の間に、Ti、Cr、W、Siまたはそれらの窒化物又は炭化物のいずれか1以上を含む中間層を介在させている請求項1〜11のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
  13. めっき用導電性基材において、凹部の最小幅が1〜40μm、凹部の最大幅が2〜60μm及び凹部の間隔が50〜1000μmである請求項1〜12のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
  14. めっき用導電性基材において、凹部側面の角度が絶縁層側で30度以上90度未満である請求項1〜13のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
  15. めっき用導電性基材において、凹部側面の角度が絶縁層側で30度以上60度以下である請求項1〜14のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
  16. めっき用導電性基材において、絶縁層の厚さが、0.5〜20μmである請求項1〜15のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
  17. めっき用導電性基材において、導電性基材の表面が、鋼又はTiからなる請求項1〜16のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
  18. めっき用導電性基材が回転体、または回転体に取り付けられた平板である請求項1〜17のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
  19. 導電性基材として、回転体からなる導電性基材又は回転体に取り付けた導電性基材を使用し、その一部をメッキ液に浸漬させ、回転体を回転させつつ、金属パターン作製工程及び転写工程を行う請求項1〜17のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属の製造方法。
  20. 銅金属層形成工程において、銅金属の厚さが0.1〜20μmになるように銅金属を析出させる請求項1〜19のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
  21. 前記第1の電流密度の下に銅金属層を形成する導電層形成工程を行うための第1の陽極と、前記第2の電流密度の下に前記銅金属層の表面にその表面が黒色になるように金属を析出させる黒化処理工程を行うための第2の陽極とが、互いに離れて前記メッキ液の中に浸漬されており、前記各陽極の間には、絶縁体で構成された遮断部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項に記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
  22. 前記第1の電流密度の下に銅金属層を形成する導電層形成工程を行うための第1の陽極と、前記第2の電流密度の下に前記銅金属層の表面にその表面が黒色になるように金属を析出させる黒化処理工程を行うための第2の陽極とが兼用されており、前記第1の電流密度の下で前記導電層形成工程の形成後、前記第2の電流密度の下で前記黒化処理工程を行うことを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法。
  23. 請求項1〜22のいずれかに記載の表面が黒化処理されたパターン化銅金属層の製造方法を行った後、表面が黒化処理された銅金属層をめっき用導電性基材から剥離することを特徴とする表面が黒化処理されたパターン化銅金属の製造方法。
  24. 導電性基材の表面に絶縁層が形成されており、その絶縁層に開口方向に向かって幅広なめっきを形成するための凹部が形成されているめっき用導電性基材のめっき部に電気めっきにより銅金属を析出させる金属パターン作製工程及び導電性基材上に析出した銅金属を接着性支持体に転写する転写工程を含む導体層パターン付き基材の製造方法において、
    金属パターン作製工程が第1の電流密度の下に銅金属層を形成する導電層形成工程、及び、前記第1の電流密度よりも大きい第2の電流密度の下に前記銅金属層の表面に、その表面が黒色になるように金属を析出させる黒化処理工程を、一つのピロリン酸銅メッキ浴中にて行うことを特徴とする導体層パターン付き基材の製造方法。
  25. 導電層形成工程を第1の電流密度を含む第2の電着領域において行い、黒化処理工程を第2の電流密度を含む第2の電着領域において行う請求項24記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
  26. 黒化処理工程において、明度25の黒色を背景にして、開口率が50%の光透過部の明度が25〜50、又はa*及びb*が共に5以下になるように銅金属を析出させる請求項24又は25記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
  27. 黒化処理工程において、明度25の黒色を背景にして、開口率が40%以上光透過部の色度a*及びb*が共に2.8以下になるように金属を析出させる請求項24又は25記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
  28. 黒化処理工程において、開口率が40%未満であって、明度25の黒色を背景にした光透過部又は光未透過部の色度a*及びb*が共に5以下になるように金属を析出させる請求項24又は25記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
  29. ピロリン酸銅メッキ浴が添加剤としてモリブデン等VI族元素、及びコバルト、ニッケル等VIII族元素のうち一つ又はそれ以上を含む合金めっき浴である請求項24〜28のいずれかに記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
  30. 第1の電流密度が0.5〜40A/dmである請求項24〜29のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
  31. めっきを形成するための凹部が絶縁層に幾何学図形を描くように又はそれ自身幾何学図形を描くように形成されている請求項24〜30のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
  32. 絶縁層が、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)又は無機材料からなる請求項24〜31のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
  33. 絶縁層が、DLC、Al又はSiOである請求項32に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
  34. 絶縁層が、硬度が10〜40GPaのDLCからなる請求項33に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
  35. 導電性基材と絶縁層の間に、Ti、Cr、W、Siまたはそれらの窒化物又は炭化物のいずれか1以上を含む中間層を介在させている請求項24〜34のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
  36. 凹部の最小幅が1〜40μm、凹部の最大幅が2〜60μm及び凹部の間隔が50〜1000μmである請求項24〜35のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
  37. 凹部側面の角度が絶縁層側で30度以上90度未満である請求項24〜36のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
  38. 凹部側面の角度が絶縁層側で30度以上60度以下である請求項37記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
  39. 絶縁層の厚さが、0.5〜20μmである請求項24〜38のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
  40. 導電性基材の表面が、鋼又はTiからなる請求項24〜39のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
  41. 導電性基材が回転体、または回転体に取り付けられた平板である請求項24〜40のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
  42. 導電性基材として、回転体からなる導電性基材又は回転体に取り付けた導電性基材を使用し、その一部をメッキ液に浸漬させ、回転体を回転させつつ、金属パターン作製工程及び転写工程を行う請求項24〜41のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
  43. 導電層形成工程において、導電性基材の凸部の上面において金属の厚さが0.1〜20μmになるように金属を析出させる請求項24〜42のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法。
  44. 請求項24〜請求項43のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法において、
    前記第1の電流密度の下に銅金属層を形成する導電層形成工程を行うための第1の陽極と、前記第2の電流密度の下に前記銅金属層の表面にその表面が黒色になるように金属を析出させる黒化処理工程を行うための第2の陽極とが、互いに離れて前記メッキ液の中に浸漬されており、前記各陽極の間には、絶縁体で構成された遮断部材が設けられていることを特徴とする導体層パターン付き基材の製造方法。
  45. 請求項24〜請求項43のいずれか1項に記載の導体層パターン付き基材の製造方法において、
    前記第1の電流密度の下に銅金属層を形成する導電層形成工程を行うための第1の陽極と、前記第2の電流密度の下に前記銅金属層の表面にその表面が黒色になるように金属を析出させる黒化処理工程を行うための第2の陽極とが兼用されており、前記第1の電流密度の下で前記導電層形成工程の形成後、前記第2の電流密度の下で前記黒化処理工程を行うことを特徴とする導体層パターン付き基材の製造方法。
  46. 請求項24〜45のいずれか1項に記載の方法により製造された導体層パターン付き基材。
  47. 請求項46記載の導体層パターン付き基材の導体層パターンを有する面を透明基板に貼りあわせてなる透光性電磁波遮蔽部材。
  48. 請求項46に記載の導体層パターン付き基材の導体層パターンを樹脂で被覆してなる透光性電磁波遮蔽部材。
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