JP2009019166A - 生分解性洗剤用ビルダー - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、生分解性に優れ、環境低付加であり、経済性に優れ、かつビルダー性能に優れる材料を含有する生分解性洗剤用ビルダーを提供することにある。
【解決手段】アスパラギン酸単位−ヒドロキシカルボン酸共重合体を含有する洗剤用ビルダーであることを特徴とする生分解性洗剤用ビルダー。
【選択図】なし

Description

本発明は、アスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体を含有し、生分解性に優れ、産業上の生産性良好である洗剤用ビルダーに関する。
水を使用する洗浄の際は界面活性剤を主として使用する。従来から通常は、界面活性剤の界面活性作用が水溶性イオンであるアルカリ土類金属類によって不活性化するのを防止するために、ビルダーとしてトリポリリン酸ナトリウムなどの縮合リン酸系化合物や、ベントナイト、ゼオライトなどの鉱物系化合物などを併用することが知られている。しかし、縮合リン酸系化合物は排水が環境中へ排出された後に水環境の富栄養化を招く。また、鉱物系化合物は水の濁度を増大させる。
これらの代替として、金属イオン捕捉性、分散性、凝集性、増粘性、吸湿性などに優れるポリアクリル酸ナトリウムが広く用いられるようになった。しかしポリアクリル酸ナトリウムは、生分解性に著しく劣ることが指摘されている。さらに代替として、近年、アクリル酸とマレイン酸との共重合体をビルダーとして用いることが各種提案されてきている(特許文献1、2)。これらの他に、エチレンジアミン4酢酸塩(EDTA)は優れたキレート性能を有するため、洗浄剤を含めた幅広い分野で用いられている。
しかし、アクリル酸とマレイン酸との共重合体からなるビルダーもまた生分解性が劣る。また、エチレンジアミン4酢酸塩(EDTA)は分解が容易でなく自然環境に戻すことが困難で、過度の使用が抑制されつつある。
これに代わる生分解性ビルダー材料として、ポリアスパラギン酸系重合体(特許文献3)およびα,β−不飽和ジカルボキシ化合物(特許文献4)も提案されている。ポリアスパラギン酸系重合体は合成時の反応性に劣るため、製造時のエネルギー負荷が大きい。また吸湿性を持つことが知られている上、分子量が高いためビルダーとして使用した際に自己凝集する可能性も指摘される。この場合、ビルダーとしての性能が低下することが懸念される。さらに、α,β−不飽和ジカルボキシ化合物は合成時にラジカル重合開始剤を使用するため、環境への負荷が懸念される。また、洗剤用ビルダーとして最適な重合度となるポリマーを選択的に合成することは難しく、経済性に劣ることが指摘される。
特開2001−081133号公報 特開2000−143737号公報 特開平11−092787号公報 特開2004−107248号公報
本発明の目的は、上記問題点を解決し、かつ洗浄剤の優れた洗浄性能を発現させるため、入手容易な原料を使用して容易に合成することが可能であり、かつ優れた生分解性を有する洗剤用ビルダーおよびそれを含む洗浄剤を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、有することを見出した。
すなわち、本発明は下記[1]〜[4]を提供するものである。
[1]重量平均分子量が1000以上10万以下であるアスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体を含有することを特徴とする生分解性洗剤用ビルダー。
[2]繰り返し構造単位として下記構造式(1)で表されるコハク酸イミド単位を7〜33モル%および下記構造式(2)で表されるヒドロキシカルボン酸単位を67〜93モル%とを併せ持つ、重量平均分子量1000以上10万以下の共重合体を含有する、生分解性洗剤用ビルダー。
[3][2]記載の共重合体の上記構造式(1)で表されるコハク酸イミド単位の一部または全てが下記構造式(3)で置換されたアスパラギン酸単位である共重合体を含有する、生分解性洗剤用ビルダー。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の生分解性洗剤用ビルダーを含有する洗浄剤。
式(1)
Figure 2009019166
式(2)
(式中、Rはメチル基または水素原子である。)
Figure 2009019166
式(3)
(式中、Mは金属または水素である。)
Figure 2009019166
本発明によれば、構成するすべての成分が生分解性を有する材料から、経済性に優れる生分解性洗剤用ビルダーが得られる。本発明により提供される共重合体は優れた生分解性
を有し、洗剤用ビルダーとして水に溶解したたまま環境中に放出された際も環境に負荷をかけることなく使用することが出来る。また、本発明による共重合体は合成が容易で経済性に優れ、かつ分散力に優れる材料であるため、生分解性洗剤用ビルダーおよびそれを含む洗浄剤を提供することが可能となる。
次に本発明について具体的に説明する。
本発明は、アスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体を含有する洗浄用ビルダーに関するものであり、共重合体の重量平均分子量としては1000以上10万以下であるものが好ましい。
[アスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体]
本発明におけるアスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体とは、下記構造式(1)で表されるコハク酸イミド単位、または下記構造式(1)で表されるコハク酸イミド単位の一部または全てが下記構造式(3)で置換されたアスパラギン酸単位と、ヒドロキシカルボン酸単位とからなる共重合体であり、ブロック又はグラフト共重合体である生分解性共重合体である。
より具体的には、繰り返し構造単位として下記構造式(1)で表されるコハク酸イミド単位
式(1)
Figure 2009019166
および下記構造式(2)で表されるヒドロキシカルボン酸単位とを併せ持つ共重合体であり、さらに上記構造式(1)で表されるコハク酸イミド単位を7〜33モル%、上記構造式(2)で表されるヒドロキシカルボン酸単位を67〜93モル%であることが好ましい。
式(2)
(式中、Rはメチル基または水素原子である。)
Figure 2009019166
また、上記構造式(1)で表されるコハク酸イミド単位の一部または全てが下記構造式(3)で置換されたアスパラギン酸単位である共重合体である。
式(3)
(式中、Mは金属または水素である。)
Figure 2009019166
本発明の共重合体は、コハク酸イミド単位とヒドロキシカルボン酸単位を併せ持つ共重合体であることを特徴とする。すなわち、本発明に適用される共重合体は、上記構造式(1)で表されるコハク酸イミド単位及び構造式(2)で表されるヒドロキシカルボン酸単位を必須構成単位として有する共重合体である。
本発明にかかる、繰り返し構造単位として、少なくともコハク酸イミド単位およびヒドロキシカルボン酸単位をもつ共重合体は、例えば核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定や赤外吸収(IR)スペクトル測定等の公知の分析手法によって構造を確認することができる。例えばIRスペクトル測定では、コハク酸イミド単位のカルボニル結合と同時に、乳酸単位および/またはグリコール酸単位のカルボニル結合の特徴的な吸収がみられる。
また、例えばNMRスペクトル測定では、コハク酸イミド単位のメチレンプロトンやメチンプロトンに由来するピークと同時に、乳酸単位のメチルプロトンやメチンプロトン、および/またはグリコール酸単位のメチレンプロトンに由来するピークが明確に確認できる。高分解能のNMR測定装置を用いれば、わずかながら、アミド基のプロトンや、アミド基に隣接するメチンプロトンに由来するピークや、その他、枝分かれや連鎖シーケンス(コハク酸イミド単位、アスパラギン酸単位、乳酸および/またはグリコール酸単位との隣接基関与)によるピーク等の細かなピークが認められる。
本発明に係る共重合体の一つは、当該高分子化学分野の研究者等がブロックポリマー、グラフトポリマー、グラフトブロックポリマー、ハイパーブランチ(hyper branched)ポリマーと呼ぶ高次構造をもつ。繰り返し構造単位として主にコハク酸イミド単位をもつポリコハク酸イミドセグメントと、繰り返し構造単位としてヒドロキシカルボン酸単位をもつポリヒドロキシカルボン酸セグメントとがブロック状、枝分かれ状につながった構造をもっている。
本発明にかかる共重合体は、例えば一例として下記構造式(4)で表される構造をもつポリマーである。
式(4)
Figure 2009019166
(式中、p、r、sは同時に0になることのない0を含む正の整数である。qは正の整数である。Rは水素またはメチル基を表す。)
この場合、基本的に、コハク酸イミド単位からなる連鎖、乳酸および/またはグリコール酸単位からなる連鎖は、それぞれブロック性をもつ。コハク酸イミド単位がつながったポリコハク酸イミド連鎖(PSIセグメント)は、その連鎖中の一部のコハク酸イミド単位が開環していてもよく、下記構造式(5)または(6)のような構造のアスパラギン酸単位が混在しても良い。
式(5)
Figure 2009019166
式(6)
Figure 2009019166
(上記式(5)および式(6)において、p、q、r、sは0を含む正の整数であり、R
は水素またはメチル基である。)
また、分子鎖末端のカルボキル基は必ずしもCOOH基である必要はなく、アルカリ金属、アルカリ土類金属やアミン等の塩基との塩を形成していてもよい。
本発明の共重合体の分子量は特に制限はないが、共重合体の物性等を考慮すると、重量平均分子量にしておよそ1000以上10万以下である。
本発明の共重合体中のアスパラギン酸由来単位とヒドロキシカルボン酸単位とのモル組成比は、1:2〜1:10である。
次に本発明にかかる共重合体の製造方法について述べる。
本発明に係る共重合体の製造方法の具体的な例の1つとしては、アスパラギン酸と、環状エステル化合物またはその加水分解体であるヒドロキシカルボン酸化合物との混合物を加熱することを特徴とする、繰り返し構造単位としてコハク酸イミド単位とヒドロキシカルボン酸単位とを有する、重量平均分子量1000以上10万以下の共重合体の製造方法、が挙げられる。
上記製造方法において使用するアスパラギン酸は、光学活性のL−体やD−体であっても、DL−体であってもよい。高分子量の共重合体を得るためには、好ましくは、フマル酸やマレイン酸等の不純物の含有量が1重量%以下の高純度のものが好ましい。
環状エステル化合物としては特に制限はないが、好ましくはラクチド、グリコリド、カプロラクトン、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトンであり、特に好ましくはラクチドおよびグリコリドである。
ラクチドとしては、L−ラクチド、D−ラクチド、DL−ラクチド、ラセミ体のラクチドのいずれも使用することができる。
使用する環状エステル化合物にはヒドロキシカルボン酸や水分が含まれていてもよい。反応の際、反応速度や生成共重合体分子量調節を目的として、環状エステル化合物に対して所定量のヒドロキシ酸や水、アルコール類を添加しても良い。その量が多いと反応速度が低下する可能性があるため、反応を阻害しない程度の任意量でよい。
また、環状エステル化合物の代わりにヒドロキシカルボン酸化合物を使用しても良い。ヒドロキシカルボン酸化合物としては特に制限はないが、例えば、α-ヒドロキシモノカ
ルボン酸類(例えば、グリコール酸、乳酸、2-ヒドロキシ酪酸、2-ヒドロキシ吉草酸、2-ヒドロキシカプロン酸、2-ヒドロキシカプリン酸)、ヒドロキシジカルボン酸類(例えば、リンゴ酸)、ヒドロキシトリカルボン酸類(例えば、クエン酸)などが挙げられる。特に好ましくは乳酸、グリコール酸である。
アスパラギン酸に対する、環状エステル化合物またはヒドロキシカルボン酸化合物の仕込組成比が高すぎると、アスパラギン酸がポリマー中に取り込まれにくく、PLA(ポリ乳酸)、PGA(ポリグリコール酸)、PLGA(乳酸−グリコール酸共重合体)、ポリカプロラクトン等のポリヒドロキシカルボン酸のみが生成しやすく、本発明の目的である共重合体を得ることが困難になる場合がある。一方、アスパラギン酸の仕込組成が高すぎると、乳酸単位および/またはグリコール酸単位のブロック連鎖長が伸長しにくく、好ましくない場合がある。さらに、本共重合体を洗剤用ビルダーとして使用する際、その性能を発揮するためにはアスパラギン酸単位の効果が大きい。そのため、かかる点を考慮すると、アスパラギン酸と、環状エステル化合物およびヒドロキシカルボン酸化合物との仕込モル組成は、およそ1:2〜1:10程度である。
本発明の製造方法では、反応時に触媒を使用しなくとも、十分にポリマーを得ることが
可能であるが、反応時間の短縮や、生成ポリマーの高分子量化を目的として、触媒を用いても良い。好ましい触媒には、例えば、錫や亜鉛、チタン等の金属類、オクタン酸錫、四塩化錫等の金属塩化合物、有機酸、無機酸等が用いられる。
本共重合体はアスパラギン酸と環状エステル化合物またはヒドロキシカルボン酸化合物を加熱混練することによって得られる。その反応機構は環状エステル化合物を原料とする場合は環状エステル化合物の開環重合および脱水重縮合からなり、原料をヒドロキシカルボン酸化合物とすると脱水重縮合からなる。
本共重合体の分子量については、洗剤用ビルダーとしてできる点および室温でべたつかない程度のガラス転移点(Tg)を有する点から、重量平均分子量がおよそ1000以上10万以下であることが好ましい。
本明細書における他の発明の一つは、アスパラギン酸と、ラクチドおよび/またはグリコリドとの混合物を加熱することにより得られるポリマーのコハク酸イミド単位を加水分解により開環して得られる、繰り返し構造単位として、少なくともアスパラギン酸単位と、乳酸単位および/またはグリコール酸単位とをもつ共重合体である。(以降、この共重合体を加水分解型共重合体という。)この加水分解型共重合体は例えば一例として下記構造式(7)で表される構造をもつポリマーである。
式(7)
Figure 2009019166
(式中、p、r、sは、3つ同時に0になることのない0を含む正の整数であり、qは0を含む正の整数である。また、(p+r+s)/(q+1)=2〜100である。Rは水素又はメチル基を表す。Mは金属または水素を表す。)
この場合、基本的に、アスパラギン酸単位からなる連鎖、乳酸および/またはグリコール酸単位からなる連鎖はそれぞれブロック性をもつ。
また、分子鎖末端のカルボキル基は必ずしもCOOH基である必要はなく、アルカリ金属、アルカリ土類金属やアミン等の塩基との塩を形成していてもよい。
前記構造式(4)と上記構造式(7)との違いはイミド環の開環の有無である。加水分解の程度によって、開環構造と未開環構造との組成比を変えることができ、そのいずれの組成比の共重合体も本発明の範囲内である。
なお、本発明にかかる共重合体の構造に含まれるアスパラギン酸単位は、α−アミド型単量体単位およびβ−アミド型単量体単位が混在し得るものであり、両者の比は特に限定されない。
本発明の加水分解型共重合体の分子量は特に制限はないが、共重合体の物性等を考慮すると、重量平均分子量にしておよそ1000以上10万以下である。
本発明の加水分解型共重合体中のアスパラギン酸単位とヒドロキシカルボン酸由来単位(乳酸単位およびグリコール酸単位)とのモル組成比は、1:99〜1:2である。
加水分解型共重合体を製造する場合、上記製造法で得られたコハク酸イミド単位をもつ共重合体を水又は水易溶性溶媒と水との混合溶媒の中に懸濁又は溶解させ、単に加温するか、アルカリ水溶液等を加えることによって製造すればよい。水易溶性溶媒とは、少なくとも水を5重量%以上溶かすことのできる溶媒のことで、例えばメタノールやエタノール等のアルコール類、アセトン、アセトニトリル等が挙げられる。アルカリを加える場合、過剰のアルカリを加えすぎると共重合体の分子量が低下するので注意が必要である。
加水分解に用いるアルカリ水溶液には公知のものが使用できる。例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等が挙げられる。
加水分解は酸性条件下では進みにくい。一方強アルカリ条件下ではポリマー鎖の切断が起こりやすく好ましくない。係る点を考慮すると、およそpH6〜11の範囲であることが好ましい。
また本発明の共重合体は、低分子量でも室温(常温)でべたつきの少ない固体であり扱い易い。ガラス転移点(Tg)は40℃以上(およそ40〜60℃程度)であり、比較的低温(例えば100℃以下)で容易に溶融する。その溶融粘度は低く、溶融して他成分と混合するのに都合がよい。
[洗剤用ビルダー]
洗剤用ビルダーとは、そのもの自身では洗浄力がないか、またあってもそれほど著しくないものであるが、洗剤組成中に配合されると著しく性能を向上し、主要活性成分濃度を低下させることができるものである。具体的な作用としては、積極的作用として、分散、乳化、可溶化の性質を著しく増大させることが挙げられ、二次的作用として硬水軟化や再汚染防止などが挙げられる。ビルダーとして働くための要素として、アルカリ緩衝作用、硬水軟化作用(キレート作用)、分散作用の3点が挙げられる。
アスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体は分子鎖中にカルボキシル基を複数含有しているためキレート作用を有し、また分散力を有する。さらにアスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体は親水基−疎水基を併有するため、界面活性効果向上も期待できる。
また、本発明の共重合体は、種々の有機溶剤に容易に溶解し、比較的低温で溶融成形が容易なため、所望の形状に成形することやマイクロスフェアやマイクロカプセル等とすることも可能であるため、様々な形状の洗剤用ビルダーとしても有用である。
また、洗剤用ビルダーは主に水環境下で使用することが一般的であり、使用後は水に溶解したまま排水として環境中へ放出されるため、回収して廃棄処理することや再利用することは不可能である。そのため、その成分は環境低負荷であることが好ましく、生分解性材料であることはさらに好ましい。
[洗浄剤]
洗浄剤は一般的に界面活性剤を主成分とし、上記ビルダーやアルカリ剤を含有し、また洗浄対象物の種類によっては酵素や蛍光増白剤を含有し、さらに洗浄剤として製剤化された
ものである。その形態は固形状、粒状、液状などがあり、本発明におけるアスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体は、いずれの形態にも使用することができる。また、アスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体は熱可塑性を有しているため、腑形剤を伴って加熱加工することにより、棒状を含む固形状、フィルム上、タブレット状、その他熱可塑性材料との混合物など、所望の形状とした洗浄剤に展開することも可能である。また、アスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体は種々の溶媒に溶解性を有しているため、水や溶媒を使用して界面活性剤などの必要成分との混合粒子とした洗浄剤とすることもできる。
すなわち、本発明の共重合体を含有しその他必要成分とから構成される洗浄剤を得ることができる。この洗浄剤は、共重合体によりビルダー効果を得、洗浄能力を向上させた洗浄剤であってもよい。
以下、実施例を示して本発明についてさらに詳細に説明する。この実施例における評価方法は、以下の通りである。
[1]ポリマーの重量平均分子量(Mw)
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下「GPC」という)により、ポリマーの重量平均分子量(以下「Mw」という)を求めた。標準物質にはポリスチレンを用いた。
[2]赤外吸収(IR)スペクトル
ポリマー試料粉体をKBr粉末とよく混合し、脱気しながら加圧することにより錠剤を成形し、FT−IR装置(フーリエ変換型積算型赤外分光装置)にてスペクトルを測定した。
[3]分散力
二酸化マンガン:120℃で3時間減圧乾燥を行った。
6N硫酸、0.6N硫酸:濃硫酸を蒸留水で希釈して調整した。
硫酸アンモニウム鉄(II)水溶液:硫酸アンモニウム鉄(II)・六水和物40gを0.6N
硫酸に溶解し、1 Lとした。
50mL目盛り付共栓試験管(内径2.3cm、高さ17cm)に二酸化マンガン1.0gと試料ポリマー25mgをはかりとり、蒸留水を加え50mLとした。試料溶液のpHは7となるようにあらかじめ調整した。この試験管を手で上下に30回激しく振とうした後、25℃の恒温槽に15分間静置し、さらに上下に100回激しく振とうした後、25℃にて4時間静置した。その後、試験管の上部から分散液15mLを静かに吸引した。これを100mL三角フラスコにとり、6N硫酸9mLおよび硫酸アンモニウム鉄(II)水溶液10mLを加えることにより、二酸化マンガンを完全に溶解させ、0.02moL/L 過マンガン酸カリウム溶液で滴定を行った。
二酸化マンガンは次式のように、FeSO4と反応し、MnSO4となって溶解する。このとき残存しているFeSO4をKMnO4で滴定し、二酸化マンガンの分散量を求めた。MnO2 + 2FeSO4 + 2H2SO4 → MnSO4 + Fe2(SO43 + 2H2
10FeSO4 + 2KMnO4 + 8H2SO4 → K2SO4 + 2MnSO4 + 5Fe
SO43 + 8H2
二酸化マンガンの分散力は、ブランク滴定量B(mL)と滴定量A(mL)の差から、0.05%試料溶液100mL中に分散する二酸化マンガンのミリグラム数を次式により計算した。
Dispersion cap.(mgMnO/100mL)=(B−A)×f×86.94/10×100/15×1/2
[4]生分解性の評価
BODの測定は、OECD化学品テストガイドライン302C LEVELIIに従い、試料濃度30mg/L、汚泥濃度100mg/LにてBOD TESTERを用いて実施
した。BOD値は、活性汚泥を含む植種希釈水中、25℃、攪拌条件下において、試験サンプル1gが分解されることで消費される系内の酸素量を酸素のmg数(mgO/g)で示した。また、サンプル1gが完全に炭酸ガスと水とに分解されたときに消費される理論酸素量を理論酸素要求量としてThOD値として算出した。これらの値より
生分解率[%]=BOD/ThOD×100
として生分解率を算出した。
なお、この測定で用いた活性汚泥が生分解性を有していることを確認するため、アニリンの生分解性を測定した。アニリン5mgをBOD TESTER用フラン瓶に取り、さらに植種希釈水200mLを測り取った。これに、攪拌子を入れ、炭酸ガス吸収液0.7mLを入れた受け皿、専用ゴム栓およびマノメーターを取り付け、25℃の恒温槽中に浸し、マノメーターの目盛を2.0に合わせ測定を開始した。この後24時間ごとに、マノメーターの目盛を測定し生分解率を算出した。測定は28日間実施した。
[実施例1]
撹拌装置、脱気口をつけたガラス製反応器にL-アスパラギン酸13.3g(0.1モ
ル)および90%L-乳酸水溶液50g(乳酸0.5モル)を装入し、窒素気流下、18
0℃で25時間反応させた。生成物を取り出して冷却固化させ、得られた固体を粉砕し、粉末状ポリマーとしてアスパラギン酸−乳酸共重合体(PAL15)を得た。クロロホルム系GPCによるMwは9000であった。
得られたポリマーの生分解性を評価した結果、28日で生分解率は87.6%に達し、本ポリマーは易分解性であることを確認した。
[実施例2]
実施例1で得られたポリマーの粉末4.21gを、蒸留水150mlに懸濁した。液のpHは4であった。撹拌し、液のpHを見ながら、そこへ1Nの水酸化ナトリウム水溶液をゆっくり滴下していった。水酸化ナトリウム水溶液を滴下する度に、液のpHは4から9に上がり、すぐに4に低下した。水酸化ナトリウム水溶液の滴下量が増すにつれ、pHの戻りが遅くなる傾向を示した。液中に懸濁していたポリマー粒子が次第に可溶化していき、水酸化ナトリウム水溶液の滴下量が0.4gに達したとき、ポリマー粒子はほとんど消滅し、液は微黄色透明となった。pHは6.2であった。この液を濃縮乾固し、得られた黄褐色固体をメタノールに溶解し、アセトニトリル中に投入して再沈澱させて白色ポリマー固体(PAL15−Na)を回収した。得られたポリマーのMwは9000、Mw/
Mnは1.2であった。
このポリマーのIRスペクトルには、実施例1のポリマーのIRスペクトルに見られた吸収ピークに加え、1620cm-1にアミド基構造に特徴的な強い吸収ピークが観察された。
得られたポリマーの分散力を測定した結果を[表1]に示した。
[実施例3]
90%L-乳酸水溶液の仕込み量を100g(1.0モル)とした以外は実施例1と同
様にしてアスパラギン酸−乳酸共重合体(PAL110)を得た。クロロホルム系GPCによるMwは8000であった。
得られたポリマー粉末を実施例2と同様にしてナトリウム塩とし、白色ポリマー固体(PAL110−Na)を得た。得られたポリマーの分散力を測定した結果を[表1]に
示した。
[参考例]
90%L-乳酸水溶液の仕込み量を200g(2.0モル)とした以外は実施例1と同
様にしてアスパラギン酸−乳酸共重合体(PAL120)を得た。クロロホルム系GPCによるMwは12000であった。
得られたポリマー粉末を実施例2と同様にしてナトリウム塩とし、白色ポリマー固体(PAL120−Na)を得た。得られたポリマーの分散力を測定した結果を[表1]に示し
た。
[比較例1]
ポリコハク酸イミド(分子量9.5万)105gを蒸留水300gに懸濁した。攪拌し、液のpHが9〜11程度を超えないことを確認しながら、そこへ20%の水酸化ナトリウム水溶液をゆっくり滴下した。イミド環を開環させるための当量滴下後、ポリマーは完全に水に可溶化し、ポリマー粒子は消滅した。生成した水溶液をメタノール/アセトン=1L/3L中に投入し、ポリマーを晶析させて白色のポリマー固体(Pasp−Na)を回収した。得られたポリマーのMwは81000、Mw/Mnは2.1であった。このポリマーの分散力を測定した結果を[表1]に示した。
Figure 2009019166
上記実施例より、本発明にて得られるアスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体は生分解性に優れ、また分散性に優れる。また本共重合体は、植物由来であり、かつ入手容易な材料から合成可能であるため経済性に優れ、かつ人体にも無害な材料である。このため、本共重合体を含有する洗剤用ビルダーを使用すると洗剤の洗浄性能を向上し、使用後に環境中へ放置しても速やかに崩壊および生分解が進行するため、また分解物は環境に対して無害であるため、環境低負荷な材料である。従って、衣類用、人体用、食器用を含む家庭用のみならず、工業用等を含むあらゆる洗浄剤向けの生分解性ビルダーとして、極めて有用である。

Claims (4)

  1. 重量平均分子量が1000以上10万以下であるアスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体を含有することを特徴とする生分解性洗剤用ビルダー。
  2. 繰り返し構造単位として下記構造式(1)で表されるコハク酸イミド単位を7〜33モル%および下記構造式(2)で表されるヒドロキシカルボン酸単位を67〜93モル%とを併せ持つ、重量平均分子量1000以上10万以下の共重合体を含有する、生分解性洗剤用ビルダー。
    式(1)
    Figure 2009019166
    式(2)
    (式中、Rはメチル基または水素原子である。)
    Figure 2009019166
  3. 請求項2記載の共重合体の上記構造式(1)で表されるコハク酸イミド単位の一部または全てが下記構造式(3)で置換されたアスパラギン酸単位である共重合体を含有する、生分解性洗剤用ビルダー。
    式(3)
    (式中、Mは金属または水素である。)
    Figure 2009019166
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の生分解性洗剤用ビルダーを含有する洗浄剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016536430A (ja) * 2013-09-16 2016-11-24 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 食器洗浄用洗剤での変性ポリアスパラギン酸の使用方法

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