JP2009018228A - 石綿含有建材の非石綿化処理方法及びそれから得られる石膏組成物 - Google Patents

石綿含有建材の非石綿化処理方法及びそれから得られる石膏組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】石綿含有建築材料を石綿を分別することなく少ないエネルギー量で無害化し、同時に石綿含有建築材料を吸放湿性に優れた石膏を主とする組成物に変換して再利用する。
【解決手段】石綿含有建材を該建材から石綿を分別することなく粉砕し、その粉砕物を硫酸で処理して該硫酸により前記石綿を分解した後に、硫酸処理物をカルシウム化合物で中和処理することにより、前記石綿を無害化することことを特徴とする石綿含有建材の非石綿化処理方法。石綿含有建材を該建材から石綿を分別することなく粉砕し、その粉砕物を硫酸で処理して該硫酸により前記石綿を分解した後に、硫酸処理物をカルシウム化合物で中和処理することにより得られたものであることを特徴とする石膏組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、建築物などに使用されている建材が建築廃材として廃棄された場合、そのうちの石綿含有建材の無害化を行うとともに、再生利用できる吸放湿性に優れた石膏を主とする組成物に変換する方法、及びその方法で得られる石膏組成物に関する。
従来、石綿含有建築材料は、主なものとして石綿とセメントを主原料とした、波型石綿スレート、石綿スレートボード、押出成形セメント板などが建築材料として利用されてきた。石綿スレートは、石綿とポルトランドセメントを主原料とするが、石綿スレートに含まれる石綿は殆どクリソタイルであり、補強材として石綿が10〜20重量%程度配合されている。しかしながら、石綿は呼吸器への吸入により長年の潜伏期間を経て、肺がんや中皮腫を発症する恐れがあることから、現在は石綿を配合する製品の製造及び使用が禁止されている。
石綿含有建築材料は長年使用されてきており、既に解体、処分されたものもあるが、約4000万トンと推計される膨大な量が建築物にストックとして存在しており、今後、建築物の老朽化等により解体され、年間100万トン以上の廃棄物となって発生することが予測されている。このようなことから、今後、建築物の解体、改修により発生する大量の廃棄物の処理は、杜会的に大きな問題になると考えられる。石綿を含有する建築廃材は、従来から行われている処分場での埋立てや溶融処理によるだけでは、処理が円滑に進まず不法投棄が懸念されることから、安全かつ迅速に無害化できる処理技術の開発が望まれている。
しかしながら、石綿を無害化する技術は種々開発されているものの、処分場へ最終処分することなく、それを有用な資材として有効に再生利用することを可能とする方法は少ないのが現状である。
「特許文献1」には、電気ガラス溶融炉の中に、アスベストの分解温度より高い温度で溶融ガラスの本体を維持し、アスベストを炉に供給し、少なくとも1000℃の温度で炉から溶融ガラスを取り出す廃棄アスベストのガラス化方法が記載されている。
溶融処理方法としては、前記の他に、「特許文献2」、「特許文献3」、「特許文献4」など多数の技術が出願されている。
「特許文献5」には、石綿セメント製品を600〜1450℃の温度で、15分〜2時間加熱処理した石綿セメント製品の加熱処理品であって、X線回折による石綿のピークが不在であり、且つガラス状固化物が不在であることを特徴とする水硬性粉体組成物が記載されている。
また、「特許文献6」には、石綿スレートを粗粉砕処理し、粗粉砕処理した石綿スレートにカルシウム質粉末及び/又はシリカ質粉末を添加してCa/Siモル比が2.0以上2.8以下となるように調整し、次いで目開き45μmふるい通過量が85質量%以上になるように微粉砕処理した後、600℃以上1100℃以下で焼成することにより、β−CSを主成分とするセメントを生成させることを特徴とする石綿スレートの非石綿化処理方法が記載されている。
「特許文献7」には、焼成ではなく酸分解により繊維形状をしたシリカ質フィラーとそのフィラーを用いた硬化体を得ることが記載されている。この場合には、クリソタイル若しくはクリソタイルを含有した蛇紋岩を処理することを目的としている。従って、石綿含有建築廃材を処理する場合には、そのままでは処理できず石綿含有建築廃材中から石綿繊維を分別する工程が必要となる。
特公平4−28648号公報 特開昭62−237984号公報 特開平2−303585号公報 特開平3−60789号公報 特許第3198148号公報 特開2004−137139号公報 特開2004−75531号公報
しかしながら、前記の溶融処理を含め、溶融・焼成により石綿又は石綿含有建材を無害化することは、多量の化石エネルギーを必要とし、処理時に二酸化炭素を排出するなど、石綿又は石綿含有建材の無害化と引き換えに環境面において非常に大きな影響を及ぼすことが避けられない。また、溶融によるものは溶融し固化したものを安全に廃棄することが目的であり、得られた廃棄物の再利用まで想定しているものは少なかった。
また、特許第3198148号公報、特開2004−137139号公報は、石綿セメント製品廃棄物から得られる水硬性の組成物を得ることを目的としており、廃棄物の有効利用を図るものであるが、焼成処理により大量のエネルギーが必要であることを考えれば、溶融処理と同じように有効なリサイクル手段とは言いがたい。
本発明は、このような問題点を解決し、建築物などに使用されている石綿含有建築材料の無害化を行うとともに、吸放湿性に優れた石膏を主とする組成物に変換して有用な資材とし、再生利用(リサイクル)を行うことを目的とする。
また、本発明のもうひとつの目的は、少ないエネルギー量で石綿含有建築材料の無害化を行うことである。さらに本発明では、石綿含有建材から石綿を分別することなく、処理することを目的とする。
本発明では、石綿含有建材を粉砕し、硫酸で分解した後に、カルシウム塩で中和処理し、石綿含有建材を無害化処理することにより、前記問題点を解決した。
さらに、石綿含有建材を粉砕し、硫酸で分解した後に、カルシウム塩で中和処理することにより得られる石膏組成物を得ることにより、石綿含有建材の有効活用を図ることも可能となった。
すなわち、本発明は、下記の手段により上記の課題を解決した。
(1)石綿含有建材を該建材から石綿を分別することなく粉砕し、その粉砕物を硫酸で処理して該硫酸により前記石綿を分解した後に、硫酸処理物をカルシウム化合物で中和処理することにより、前記石綿を無害化することことを特徴とする石綿含有建材の非石綿化処理方法。
(2)石綿含有建材を該建材から石綿を分別することなく粉砕し、その粉砕物を硫酸で処理して該硫酸により前記石綿を分解した後に、硫酸処理物をカルシウム化合物で中和処理することにより、前記石綿含有建材を石膏組成物に変換することを特徴とする石綿含有建材の非石綿化処理方法。
(3)石綿含有建材を該建材から石綿を分別することなく粉砕し、その粉砕物を硫酸で処理して該硫酸により前記石綿を分解した後に、硫酸処理物をカルシウム化合物で中和処理することにより得られたものであることを特徴とする石膏組成物。
(4)前記石膏組成物が、石膏を主成分とし、少なくとも非晶質シリカ、水酸化マグネシウムを含有することを特徴とする前記(3)記載の石膏組成物。
本発明の方法により石綿含有建材を処理することにより、石綿を無害化すると同時に機能性の高い石膏組成物を得て、有用な資材として再利用することが可能となる。さらに、少ないエネルギー量で石綿含有建材の無害化を行うことができ、石綿含有建材から石綿を分別することなく、処理することが可能となるので、処理費用も大幅に節約することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
石綿含有建材の主原料は、セメント、石綿より成るが、経年で炭酸化が進行し、製造直後に存在する消石灰やセメント水和物のかなりの割合は、炭酸カルシウムに変化している。セメント水和物、石綿、炭酸カルシウム等はいずれも酸と容易に反応することから、石綿含有建材を酸処理することにより、無害化することとが可能である。
本発明においては、硫酸を使用して、石綿含有建材を分解する。硫酸は石綿含有建材に含まれる酸化物換算のCaO、MgOそれぞれのモル数の合計に対して、少なくとも同量のモル数以上、好ましくは1.1倍以上のモル数に相当する量を添加する。硫酸の濃度は特に限定されず、攪拌を効率良く行うため、スラリー濃度として固液比1:2.5〜1:4の範囲となるよう、水と所定量の硫酸を添加すればよい。カルシウム化合物(セメント水和物、炭酸カルシウム等)は、硫酸と反応して石膏が生成する。
石綿(クリソタイル)は、硫酸と反応させることによりMgOが溶脱し、非晶質シリカが固形物として残る(特開2004−75531号公報)。MgOが選択的に脱離した非晶質シリカは比表面積が大きくなり、珪藻土岩より高い吸着性を有することから、調湿機能・脱臭機能・各種有害物質吸着機能に優れた、石膏組成物の成分として利用することができる。
石綿が酸により分解される過程で生成し、得られる上記のシリカ質フィラーの毒性は、分析のため単離して、生体への影響が試験したところ、無害化されていることが確認されている(特開2004−75531号公報)。例えば、ハムスター培養細胞を用いる乳酸脱水素酵素の放出量及びコロニー形成能についての試験による細胞毒性、また、同じハムスター培養細胞を用いた染色体異常試験、更に、シリカ質フィラーの呼吸器への影響について急性及び亜慢性の肺傷害の程度はすでに確認されている。
硫酸の酸分解により生成したシリカ質フィラーは、これらの試験方法により調べたところ、酸分解する前の石綿(クリソタイル)のフィラーに比して、いずれも細胞毒性が低減し、染色体異常誘発性が消失し、亜慢性の肺傷害が低減しており、さらに体液溶解性が高まっていることが認められている。
更に、硫酸で分解した後のスラリー中には、余剰の硫酸と溶脱したMg塩が存在するので、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等のカルシウム化合物で中和処理することにより、石膏と水酸化マグネシウムとして回収する。
本発明による処理により、石綿含有建材は、石膏を主体とし、非晶質シリカ、水酸化マグネシウムを含む石膏組成物に変換される。
本発明の石綿含有建材を処理して得られる石膏組成物の組成は、原料である石綿含有建材の材質により決まるが、通常質量%で、石膏が、35〜75%、非晶質シリカが、5〜15%、水酸化マグネシウムが、3〜10%の範囲である。(配合例は下記の第1表のとおり。配合は酸化物換算のCaOとMgOで記載している)その他、建材の種類によっては、結晶質シリカや微量成分としてセメント中に含まれているアルミナ、酸化チタンあるいは酸化鉄由来の化合物も石膏組成物には含まれる。
製品によってはパルプ等有機繊維が含まれる場合もあるが、これらは酸分解に影響しない。また、通常、石綿含有建材には、その他酸分解に影響を与える物質は含まれないと考えてよい。
Figure 2009018228
本発明の石膏組成物中の非晶質シリカは、特開2004−75531号公報に記載されているとおり、吸放湿性に優れた材料であり、水酸化マグネシウムは難燃材として作用することから、主として内装に使用する不燃性の調湿機能を有する石膏組成物として再利用することが可能である。
本発明による石綿含有建材に対する酸分解による無害化処理工程について説明すると、この工程の概要は下記のとおりである。
(1)石綿含有建材を破砕・粉砕する。
*粉砕工程の排ガスは、集塵機(バッグフィルター)通して排出する。
*バッグフィルター回収物は全量、酸分解設備に投入する。
(2)酸性液中に粉砕物を投入し、加熱攪拌して、中和処理する。
*酸分解工程の排ガスはベンチュリースクラバーで中和洗浄した後に排出する。
(3)分解工程後のスラリーに中和剤を投入して、中和処理する。
(4)中和スラリーを固液分離し、乾燥して、無害化再生品を回収する。(スラリー中の固形分濃度が高い場合には、固液分離を省く。)
*固液分離した排水は循環使用する。
本発明の石綿含有建材に対する酸分解による無害化処理工程の概要を図1に示す。
石綿含有建材の酸処理を効果的に行うためには、石綿含有建材を5mm全通以下、好ましくは3mm全通の粒度に粉砕しておくことが望ましい。5mmを超える粒度、例えば7mmにすると、酸処理が不完全になる可能性があり、粒度を小粒径にするほど、酸処理時間を短縮でき、反応温度も下げることができる。
粉砕手段は特に限定はないが、乾式粉砕では、二軸破砕機やハンマーミル等が使用できる。また、粉砕時の石綿の飛散を防止するためには、湿式ボールミル等を使用して粉砕し、スラリー化することが好ましい。なお、粉砕時には、石綿含有建材に散水したり、投入口に集じんフードを設けること、また、粉じんは、バッグフィルターやHEPAフィルターを使用して捕集、排気することが必要である。
石綿含有建材の酸処理を確実に行うためには、石綿含有建材の粉砕物を水でスラリー化し、石綿含有建材の乾燥質量に等しい質量以上の濃硫酸を添加して、スラリー全体を撹絆しながら、60〜100℃の温度で、1〜3時間反応させる。反応温度が高いほど、分解に要する時間は短くなるが、例えば100℃では、1時間反応させることで、分解が可能である。酸処理後のスラリーを直接石膏組成物として使用するときは、スラリー濃度を高く設定する必要があるが、撹拌効率を考慮すると、通常、固液比で1:2.5〜1:4の範囲が好ましい。
分解後のスラリーには、余剰の硫酸があるので、炭酸カルシウムもしくは消石灰を添加して、中和を行う。中和に要するカルシウム化合物の量は、分解する建材の種類により異なり、pHの変化を見ながら添加量を制御する。酸処理を行う設備としては、特に限定はないが、耐酸性の反応容器(グラスライングした反応缶)を用いることが好ましい。
中和処理後のスラリーは、遠心分離機等でろ過し、固形分を170℃以上で乾燥して半水石膏とする。ろ液は、次の反応の希釈水に用いることで、排水を有効利用する。
得られた石膏系組成物には適宜、硬化を制御する添加剤や繊維、骨材、樹脂等を混合した上で加水し、石膏系の内装仕上材として活用することができる。添加剤としては、硬化遅延剤として、ふのり、つのまた、アラビヤゴム、ゼラチン、ペプトン、デンプン等の有機物、ほう砂、リン酸ナトリウム等の無機塩類、酒石酸、クエン酸、コハク酸などの有機酸及びそのアルカリ塩類を用いることができる。繊維としては、ガラス繊維、ロックウール、グラスウール、スラグウール,スチール繊維、シリカ−アルミナ繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ポリアミド繊維、炭素繊維、セピオライト、ワラストナイト、パルプなどを用いることができる。骨材としては、川砂、珪砂、オリビンサンド、炭酸カルシウム、高炉スラグ、汚泥溶融スラグ、パーライト、シラスバルーン、発泡ポリスチレン等の軽量骨材を用いることができる。樹脂としては、増粘用として、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース系樹脂、バインダー用として、アクリル樹脂、酢酸ビニール樹脂、エチレン酢酸ビニール樹脂等のエマルジョン樹脂、流動性改善用として、ナフタレンスルホン酸塩、メラミンスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩等を用いることができる。また、流し込みやプレス、抄造、押出成形等により成形し、硬化体を得ることも可能である。
本発明により得られる石膏組成物中には、吸放湿性に優れた非晶質シリカや難燃剤として機能する水酸化マグネシウムが含まれるため、不燃性や調湿性の高い石膏系材料として活用することができる。
すでに述べたように、本発明の処理により、石綿は繊維状形態の非晶質シリカとなる。この繊維状非晶質シリカは、細胞毒性試験、動物実験等により、無機繊維状物質としては最も低毒性であり、繊維状物質の発がんに関係するとされる線維化が発生しないことを確認しており、再生利用を行う上での安全性が高い。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
施工後約30年を経過したフレキシブルボード(石綿含有率18%、1000℃加熱後の酸化物換算のCaO、MgO量はそれぞれ24%、7%)を二軸破砕機で粗砕したのち、ハンマーミルで7mm全通、5mm全通、3mm全通の粒度に粉砕した。その後、粉砕物100kgをグラスライニングした反応槽に入れ、水を加えてスラリー濃度が固液比で1:2.8のスラリーとし、スラリーを攪拌しながら、98%濃硫酸37リットルを添加し、第2表に示す条件で反応させた。
反応後、スラリーを室温まで冷却し、攪拌しながら消石灰4.5kgを加えて中和した。中和スラリーを遠心分離し脱水した固形物を180℃の乾燥機で乾燥を行った。得られた生成物は102kgで、生成物の組成は、石膏/水酸化マグネシウム/シリカ/他成分=73/11/8/8であった。乾燥後の生成物中に石綿が検出されるかどうかについて、JIS A−1418に規定された方法で分析を行った。
Figure 2009018228
(分析結果)
その分析結果等を第2表に示した。その結果、粒度が7mm全通の場合、処理温度が100℃では処理時間が60分では石綿が残存することが分かる。しかし、粒度を5mm全通にすると前記処理条件で石綿は消失する。
粒度が3mm全通になると、処理温度が60℃では処理時間が60分で石綿が残存し、処理時間を180分に延長すると石綿は消失することが確認された。又、処理温度を80℃にすると処理時間を120分にすれば石綿は完全に分解することが確認された。それ故、石綿含有建材の粉砕粒度を細かくした方が、一定の処理時間内で処理温度を下げることが可能となる。
実施例2
次に、石綿含有率の異なる石綿含有廃材(石膏ストレートボードであるフレキシブルボード)A、B、Cの3種類を二軸破砕機で粗砕したのち、ハンマーミルで3mm全通の粒度に粉砕した。
A;石綿含有率 4.8%
B;石綿含有率 11.5%
C;石綿含有率 18.9%
次に粉砕物に水を加えてスラリー化し、実施例1と同様の条件で、処理を行い、石膏組成物を得た。3種類の石膏組成物にパルプ3%、メチルセルロース0.2wt%を混合し加水して、石膏ボードに約3mm厚となるよう、コテ塗りにより塗布した。
コテ塗りしたサンプルは、順次下記条件で測定し、下記2項での測定値と下記3項での測定値の差を吸放湿性の尺度とした。
1.105℃で24時間乾燥し絶乾状態にする。
2.20℃90RH%雰囲気に置き、重量を測定する。
3.24時間後に雰囲気を20℃50RH%にし、重量を測定する。
付着強度はJIS A 6909の条件で測定した。
また、同条件で塗布した材料にて発熱性試験とガス有害性試験を(財団法人建材試験センター「防耐火性能試験・評価業務方法書」による)を実施し、建築基準法に基づく不燃性能の基準を満たすものを合格とした。
コテ塗りした後、2週間乾燥後に付着強度、吸放湿性を測定し、以下の結果を得た。
Figure 2009018228
それらの結果を第3表に示した。その結果、石綿含有率の大きい石綿含有建築廃材を再利用した石膏ボードの方が高い吸放湿性を示し、機能性の高い建築用材料となる可能性を示した。
実験例1
更に、本発明の石膏組成物自体の変異原性を調べるため、以下の方法により染色体異常誘発性を評価した。
・使用細胞;チャイニーズハムスター培養細胞
・試験方法;連続処理法24時間および48時間
上記の試験法により本発明の石膏組成物の変異原性を試験したが、陰性であった。
本発明の硫酸分解とよるカルシウム塩の中和処理による石綿含有建築廃材の非石綿化処理方法は、焼成工程を含まないので処理工程における熱消費エネルギーを大幅に節約することができる。又、本発明の石綿含有建材から得られる石膏を主成分とする石膏組成物は、高い吸放湿性を有する機能性建築材料として、通常の石膏組成物以上に応用範囲が拡大すると思われるので、石綿スレート及び石綿スレートボード等の石綿含有建築材料の解体処理施設での本発明の処理方法の導入が期待される。
本発明の酸分解による無害化処理工程のフローシートを示す。

Claims (4)

  1. 石綿含有建材を該建材から石綿を分別することなく粉砕し、その粉砕物を硫酸で処理して該硫酸により前記石綿を分解した後に、硫酸処理物をカルシウム化合物で中和処理することにより、前記石綿を無害化することことを特徴とする石綿含有建材の非石綿化処理方法。
  2. 石綿含有建材を該建材から石綿を分別することなく粉砕し、その粉砕物を硫酸で処理して該硫酸により前記石綿を分解した後に、硫酸処理物をカルシウム化合物で中和処理することにより、前記石綿含有建材を石膏組成物に変換することを特徴とする石綿含有建材の非石綿化処理方法。
  3. 石綿含有建材を該建材から石綿を分別することなく粉砕し、その粉砕物を硫酸で処理して該硫酸により前記石綿を分解した後に、硫酸処理物をカルシウム化合物で中和処理することにより得られたものであることを特徴とする石膏組成物。
  4. 前記石膏組成物が、石膏を主成分とし、少なくとも非晶質シリカ、水酸化マグネシウムを含有することを特徴とする請求項3記載の石膏組成物。
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