JP2009016569A - ファイバアンプ装置とその発熱抑制方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 アライメント精度が必要なファイバ先端部の発熱を抑制し、線膨張係数による影響を受けず、アライメント精度を確保する。
【解決手段】 光増幅機能を持つようにイオンドープされたファイバ12の先端に、ドープされていない、つまり、光増幅機能のない光ファイバ131,132を融着する。これにより、高い入射位置・入射角度精度が必要なファイバ先端部は、光増幅機能を持たないため、発熱をほとんどしなくなり、線膨張係数による影響を受けず、アライメント精度が確保される。
【選択図】 図1
【解決手段】 光増幅機能を持つようにイオンドープされたファイバ12の先端に、ドープされていない、つまり、光増幅機能のない光ファイバ131,132を融着する。これにより、高い入射位置・入射角度精度が必要なファイバ先端部は、光増幅機能を持たないため、発熱をほとんどしなくなり、線膨張係数による影響を受けず、アライメント精度が確保される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光ファイバによって伝送されるレーザ光を光増幅するファイバアンプ装置とその発熱抑制方法に関する。
ファイバアンプ装置は、例えばTmやHo等のイオンを光ファイバの母剤(例えば石英)にドープ(添加)すると、励起光の光エネルギーを吸収してシード光に吐き出す効果が得られることを利用し、そのイオンドープ光ファイバの両端または片側より励起光を入射し、合わせて、シード光という“種光”を片端より入射して、伝送中に増幅されるシード光を光ファイバのもう片端から出射するようにしたものである。
上記ファイバアンプ装置には、ダブルクラッド型の光ファイバが使用される。この光ファイバは、種光を導光するコア部の周りに、エネルギーを貯める励起光を導光するための第1クラッド部を形成し、その周りにさらに第1クラッド部と屈折率が異なる第2クラッド部を形成してなる。第2クラッド部は、第1クラッド部との境界で励起光を反射させるためのものである。
励起光の入射方式には、イオンドープ光ファイバの両端から入射する方式と片側から入射する方式があるが、イオンドープ光ファイバの両端から入射する方が片側から入射するときより励起光を多く入射できるので、増幅率を高くとれる。このため、高出力化を目的とするファイバアンプ装置では、両端励起光入射方式が採用される。ところが、この両端励起方式の場合は、励起光が入射される両端部で発熱するため、線膨張係数による影響を受けやすい。尚、ファイバアンプ装置は、増幅時の損失のため、発熱して効率が落ちてくるので、通常は装置全体を冷却するようにしている。
一方で、上記ファイバアンプ装置において、光ファイバへ励起光やシード光を入射する方法として、比較的低出力の場合は、イオンドープ光ファイバの端部にシード光と励起光を合わせて入射することのできるカプラを装着する方法がある(例えば特許文献1、2参照)。しかしながら、このカプラは、出力が高くなると、装着部分に発熱が生じて熱膨張の影響を受けてしまい、使用することができなくなる。このため、比較的高出力の場合は、光を直接光ファイバの端面に入射することになる。ところが、光ファイバの径は数十ミクロンから数百ミクロンという非常に小さいため、非常に高い入射位置・入射角度精度(アライメント精度)が必要とされる。
すなわち、入射位置・入射角度精度は、一般的に、その部材の温度変化が大きいと、線膨張係数の影響を受けて熱歪みを発生してしまい、精度が劣化する。このため、高出力のファイバアンプ装置では、高い励起入射による温度上昇の影響を受けないような、高い入射位置・入射角度精度を持つことが課題となっている。
また、従来のファイバアンプ装置では、冷却部分が通常、アルミ等の冷却ブロックで覆われることが多いが、アンプ出力が大きくなると、冷却用アルミブロックが大型になることが多い。この場合、励起光・シード光の入射位置・入射角度、出射光の出射位置・出射角度それぞれの調整機構をファイバアンプ側に持たせることが困難となる。
特開平08−018137号公報
特開平11−168255号公報
以上述べたように、従来のファイバアンプ装置では、高出力化に伴う発熱量の増大が励起光、シード光の入射位置、入射角度、出力光の出射位置、出射角度それぞれのアライメント精度に大きく影響し、その低下が高出力化阻害の要因となっている。
本発明は上記の課題を解決すべく、アライメント精度が必要なファイバ先端部の発熱を抑制し、これによって線膨張係数による影響を受けず、アライメント精度が確保され、高出力化に寄与することのできるファイバアンプ装置とその発熱抑制方法を提供することを目的とする。
上記問題を解決するために、本発明に係るファイバアンプ装置は、光増幅用のイオンドープ光ファイバと、前記イオンドープ光ファイバの一方端に一方端が融着される第1の非ドープ光ファイバと、前記イオンドープ光ファイバの他方端に一方端が融着される第2の非ドープ光ファイバとを具備し、前記第1及び第2の非ドープ光ファイバの少なくとも一方の他方端を励起光の入射端とし、前記第1の非ドープ光ファイバの他方端をシード光の入射端とし、前記第2の非ドープ光ファイバの他方端を増幅光の出射端とすることを特徴とする。
また、本発明に係るファイバアンプ装置の発熱抑制方法は、光増幅用のイオンドープ光ファイバに対し、その一方端に第1の非ドープ光ファイバの一方端を融着し、他方端に第2の非ドープ光ファイバの一方端を融着し、前記第1及び第2の非ドープ光ファイバの少なくとも一方の他方端から励起光を入射し、前記第1の非ドープ光ファイバの他方端からシード光を入射し、前記第2の非ドープ光ファイバの他方端から増幅光を出射させることを特徴とする。
すなわち、上記構成によるファイバアンプ装置では、光増幅用としてイオンドープされた光ファイバの両端に、イオンドープされていない、つまり、光増幅機能のない、通常の光ファイバを融着するようにしている。この構成によれば、入射位置、入射角度精度が必要なファイバ先端部で光増幅機能を持たない。このため、発熱がほとんどしなくなり、線膨張係数による影響を受けず、アライメント精度の確保が可能となる。
本発明によれば、アライメント精度が必要なファイバ先端部の発熱を抑制し、これによって線膨張係数による影響を受けず、アライメント精度が確保され、高出力化に寄与することのできるファイバアンプ装置とその発熱抑制方法を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明に係るファイバアンプ装置の基本構成を示すブロック図である。図1において、11は冷却ブロック、12は光増幅機能を有するイオンドープ光ファイバ(以下、ドープファイバ)であり、この光ファイバ12の両端部はそれぞれイオンがドープされていない第1及び第2の光ファイバ(以下、非ドープファイバ)131,132の端部と融着される。ドープファイバ12は、その発熱を抑制するため、冷却ブロック11に収容される。このとき、ドープファイバ12と非ドープファイバ131,132の融着箇所は、冷却ブロック11の内部あるいは境界部分とし、ドープファイバ12の端部が冷却ブロック11から外部に出ないようにする。
図2は上記ファイバアンプ装置の具体的な構成を示す外観図である。上記冷却ブロック11は、循環パイプ151,152を内部に収容して冷却液を循環させることで、ドープファイバ12の発熱を放熱する。また、冷却ブロック11から引き出される非ドープファイバ131,132の先端には、励起光及びシード光の入射光ポート、増幅光の出射光ポートと接続するための光コネクタ141,142が結合される。
すなわち、上記構成によるファイバアンプ装置では、光増幅機能を持つようにイオンドープされたファイバ12の先端に、ドープされていない、つまり、光増幅機能のない光ファイバ131,132を融着する。これにより、高い入射位置・入射角度精度が必要なファイバ先端部は、光増幅機能を持たないため、発熱をほとんどしなくなり、線膨張係数による影響を受けず、アライメント精度が確保される。
上記の構造をとることにより、冷却ブロック11は、発熱するドープファイバ12の箇所だけでよくなる。そして、アライメント精度が必要なファイバアンプ先端は、非ドープファイバ131,132の端部となるため、フレキシブルに冷却ブロック11(つまり、ファイバアンプ装置本体)に接続されることになる。以前は、ファイバアンプ先端部は、冷却ブロックに埋め込まれていたので、調整することができなかった。これが、調整機構を複雑にしていた。これに対し、上記構造によれば、入射側では、励起光、シード光、ファイバアンプ先端部、出射側では、励起光、出射光、ファイバアンプ先端部のどれを位置調整してもよい。このため、調整機構の簡素化が可能となる。
また、従来では、ファイバ先端が冷却ブロックと一体で、その冷却ブロック内へ、励起光、シード光、出射光を導光することが必要であった。これに対し、上記構造のファイバアンプ装置では、ファイバアンプ本体となる冷却ブロック11からフレキシブルに伸びる非ドープファイバ131,132が延設されて、冷却ブロック11の外部にファイバ先端部をもつことになるので、その先端部を直接、励起光、シード光、出射光のインタフェースに接続可能となる。その接続部分は発熱しないため、光コネクタ141,142を用いることが可能である。
上記構成によれば、ファイバアンプ装置を、ドープファイバ12の両端に非ドープファイバ131,132を結合することで、発熱するドープファイバ12に対するアライメント精度を不要とし、アライメント精度が必要な部分には発熱しない非ドープファイバ131,132を用いているので、熱歪みによるアライメント精度の劣化を防止することができる。
特に、非ドープファイバ131,132は、発熱しないため、冷却ブロックを必要としない。したがって、フレキシブルに相手部品と接続することができる。このため、励起光、シード光、出射光のファイバアンプ本体への導光系が不要となり、ファイバアンプ本体側から延設される非ドープファイバ131,132の先端コネクタ141,142で、励起光、シード光、出射光それぞれのポートと接続することが可能となる。また、アライメント精度は、非ドープファイバ先端のコネクタ141,142で光軸再現性よく接続できるため、ファイバアンプ本体の取り付け取り外しによるアライメント精度への影響をなくすことができる。
ところで、図2に示すファイバアンプ装置では、冷却液の循環による冷却機構を採用した場合について説明したが、冷却機構はこれに限定されるものではなく、例えば図3に示すように、冷却ブロック11に複数の冷却ブロア16を設けて、ブロック内部の熱を冷気の送風によって排出する機構を採用することも可能である。
その他、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
11…冷却ブロック、12…ドープファイバ、131,132…非ドープファイバ、141,142…光コネクタ、151,152…循環パイプ、16…冷却ブロア。
Claims (5)
- 光増幅用のイオンドープ光ファイバと、
前記イオンドープ光ファイバの一方端に一方端が融着される第1の非ドープ光ファイバと、
前記イオンドープ光ファイバの他方端に一方端が融着される第2の非ドープ光ファイバとを具備し、
前記第1及び第2の非ドープ光ファイバの少なくとも一方の他方端を励起光の入射端とし、
前記第1の非ドープ光ファイバの他方端をシード光の入射端とし、
前記第2の非ドープ光ファイバの他方端を増幅光の出射端とすることを特徴とするファイバアンプ装置。 - さらに、少なくとも前記イオンドープ光ファイバ全体を覆って冷却する冷却ブロックを備えることを特徴とする請求項1記載のファイバアンプ装置。
- 前記イオンドープ光ファイバと前記第1及び第2の非ドープ光ファイバとの融着箇所は、前記冷却ブロックの内部あるいは境界部分に位置することを特徴とする請求項2記載のファイバアンプ装置。
- 前記第1及び第2の非ドープ光ファイバそれぞれの他方端には、光入出射用コネクタが装着されることを特徴する請求項1記載のファイバアンプ装置。
- 光増幅用のイオンドープ光ファイバに対し、その一方端に第1の非ドープ光ファイバの一方端を融着し、他方端に第2の非ドープ光ファイバの一方端を融着し、前記第1及び第2の非ドープ光ファイバの少なくとも一方の他方端から励起光を入射し、前記第1の非ドープ光ファイバの他方端からシード光を入射し、前記第2の非ドープ光ファイバの他方端から増幅光を出射させることを特徴とするファイバアンプ装置の発熱抑制方法。
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