JP2009016014A - 磁性塗料の製造方法、製造装置及び磁気記録媒体 - Google Patents

磁性塗料の製造方法、製造装置及び磁気記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】超微粒子磁性粉末が良好に分散された磁性塗料の製造方法を提供すること、またこの方法で得られた磁性塗料を用いて高密度記録特性にすぐれた磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】平均粒子径が50nm未満の磁性粉末とバインダ樹脂とを含む磁性塗料の製造方法において、分散用メディアを使用して分散を行う工程の前に遠心分離機で処理することを特徴とする磁性塗料の製造方法、ならびに上記の製造方法で得られた磁性塗料を用いて製造された磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁性塗料の製造方法および製造装置と、この方法により得られた磁性塗料を用いて製造された磁気記録媒体に関するものであり、とくに、超微粒子磁性粉末を含む磁性塗料の製造方法および製造装置と、この方法により得られた磁性塗料を用いて製造された、磁気特性や電磁変換特性に優れる磁気記録媒体に関するものである。
磁気記録媒体のひとつである磁気テープには、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピユータテープなどの種々の用途があるが、とくにデータバックアップ用のコンピュータテープの分野では、バックアップ対象となるハードディスクの大容量化に伴い、1巻あたり数100GB以上の記憶容量のものが商品化されており、今後ハードディスクのさらなる大容量化に対応するため、バックアップテープの高容量化は不可欠である。
また、磁気記録媒体の高容量化のためには、記録波長をますます短くすること、およびトラック幅を小さくすることが必要不可欠である。
高容量コンピュータテープとしては、一般に、磁性粉末をバインダ樹脂中に分散させた磁性塗料を、可撓性支持体上に塗布して作製される、いわゆる塗布型テープが用いられている。磁気記録媒体の高密度化に対応して、使用される磁性粉末の粒子径は小さくなり、飽和磁化σsで代表される磁気エネルギーの大きな強磁性金属粉未を使用するようになってきている。ところが、磁性粉末は、微粒子化や高磁気エネルギー化するほど、個々の粒子の凝集力が強まることが知られている。
また、磁気記録媒体は、表面平滑化によるスペーシングロスの低減、磁性層の薄層化、表面欠陥によるドロップアウトの低減、磁性粉末の保磁力分布の均一化、長時間かつ多数回の使用に耐えうる高耐久性のいずれをも兼ね備えていることが求められている。これらの要件を満たすには、磁性塗料が十分に分散されていることが必要となってくる。
一般に、磁性塗料は、磁性粉末、バインダ樹脂、有機溶剤およびその他の必要成分からなる塗料組成物を、分散槽内に金属、セラミックス、ガラスなどの分散用メディアを充填したボールミルやサンドミルのようなメディア型分散機を使用して分散され、製造される。とくに、最近の高容量磁気テープ用の磁性塗料は、分散槽内に内設した攪拌装置で分散用メディアを強制攪拌するサンドミルを使用して製造されている。
しかしながら、前述したように、磁気記録媒体の高容量化に伴う磁性粉末の微粒子化と高磁気エネルギー化により、磁性粉末の凝集力が大きくなり、磁性粉末などを磁性塗料中に均一に分散させることが困難になってきた。
このような問題に対して、サンドミルの分散条件を検討して良好な磁性塗料を得る試み(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)や、サンドミルによる分散終了後、塗布工程の直前に超音波分散工程を設ける試み(たとえば、特許文献3、特許文献4および特許文献5参照)、サンドミルによる分散前にフィルタを用いて磁性塗料を濾過し、粗大な凝集物を予め除去し、高精度な分散塗料を得る試み(特許文献6)、塗料作製過程の中で段階的にフィルタを用いて磁性塗料、樹脂溶液などを濾過し、凝集物を強制的に排除して分散性の優れた塗料を得る試み(特許文献7)、塗布工程前にフィルタを用いて強磁性粉末の未分散物あるいは再凝集などの異物を除去する試み、(特許文献8)、塗布工程前に遠心分離機を用いて異物、凝集物を除去する試み(特許文献9)、などがなされている。
特開平5−182194号公報 特開2001−81406号公報 特開平7−153074号公報 特開平10−251561号公報 特開2000−136328号公報 特開2000−173053号公報 特開平7―287844号公報 特開昭61−229236号公報 特開平5−54380号公報
しかし、前記のサンドミルの分散条件、超音波の分散条件などの検討(特許文献1〜5)では、平均粒子径が50nm未満の超微粒子磁性粉末の分散には不十分であり、また、塗料の未分散物である凝集体を濾過手段の強化により除去(特許文献6〜8)するには、濾過寿命が短く生産性の観点からは好ましくない。さらに、塗布工程前に遠心分離機を用いて異物、凝集物を除去(特許文献9)するのは、分散工程における分散効率および分散品質の向上には効果がなく、平均粒子径が50nm未満の超微粒子磁性粉末を含む磁性塗料の分散品質を向上させるのには不十分であった。
本発明は、このような事情に照らして、超微粒子磁性粉末が良好に分散され、生産性に優れた磁性塗料の製造方法を提供すること、またこの方法で得られた磁性塗料を用いて高密度記録特性にすぐれた磁気記録媒体を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記の課題を達成するために、磁性塗料の分散工程、分散装置について鋭意検討した結果、超微粒子磁性粉末を用いた磁性塗料の分散に際し、メディア型分散機を使用して分散を行う分散工程の前に予め、遠心分離機により粗大な凝集体(粗大な二次粒子)を除去しておくことで、塗料の分散を良好に行えること、またこの方法で得られた磁性塗料を用いて製造された磁気記録媒体によると、磁気特性や電磁変換特性にすぐれて、高密度記録特性に適したものとなることを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、平均粒子径が50nm未満の磁性粉末とバインダ樹脂とを含む磁性塗料の製造方法であって、遠心分離機を用いた塗料凝集物を除去する凝集物除去工程を経て、分散用メディアを使用した塗料分散工程を行うことを特徴とする。
前記遠心分離機が、連続式遠心分離機であることを特徴とする
前記凝集物除去工程にて除去された塗料凝集物を再処理する再処理工程を含むことを特徴とする。
平均粒子径が50nm未満の磁性粉末とバインダ樹脂とを含む磁性塗料の製造装置であって、遠心分離機を用いた塗料凝集物を除去する凝集物除去手段と、分散用メディアを使用した塗料分散手段とを備えることを特徴とする。
前記凝集物除去手段にて除去された塗料凝集物を再処理する再処理手段を備えることを特徴とする。
このように、本発明は、磁性塗料の分散に際し、遠心分離機を用いた塗料凝集物を除去する凝集物除去工程を経て、分散用メディアを使用した塗料分散工程を行うことにより分散が良好な磁性塗料を提供することができ、この磁性塗料を用いることにより、粗さが平滑で磁気特性のすぐれた磁性層を形成することができ、その結果、高密度記録特性に適した磁気記録媒体を提供することができる。さらに、前記、凝集物除去工程により除去された塗料凝集物を再処理する再処理手段を備えることで、凝集物を廃棄することがなくなるため、生産性に優れた磁性塗料を提供することができる。
本発明に係る一例の磁性塗料の製造方法のフローチャートを図1に示す。
本発明においては、図示した塗料製造方法のうち、分散工程の前に予め遠心分離機による凝集物除去工程を設けること、さらには、除去した凝集物を再処理する再処理工程を設けることにより、超微粒子磁性粉末を良好に分散でき、生産性に優れた磁性塗料を得、またこの方法で得られた磁性塗料を用いて高密度記録特性にすぐれた磁気記録媒体を得ることができる。
メディア型分散機で微粒子の磁性粉末を分散するにあたっては、メディアの粒子径を小さく、密度を大きくする方法が有効であり、粒子径が2mm以下のジルコニアビーズが好ましく用いられる。しかし、メディアの粒子径を小さくすると、粒子径の小さな磁性粉末の分散に対しては有効であるが、メディア型分散機による分散工程を行う前の磁性塗料中の磁性粉末やその他の非磁性粉末の二次粒子(粗大粒子)に対して、その粒子径が大きい場合には、分散能力が低下する傾向がある。また、前記分散能力の低下を補うため、分散エネルギーを強化(例えば周速を増加したり、分散時間の延長)するなどの手段では、本発明にある微粒子磁性粉では、磁性粉の損傷、磁性粉表面の変化などを招き、磁気特性が劣化したり、分散安定性が悪化する問題が発生した。
したがって、微粒子分散メディアを使用して有効に塗料分散を行うためには、分散前の磁性塗料の二次粒子径を十分小さくしておくことが好ましい。このために、図1に示した磁性粉前処理工程(解砕・混合工程)、混練工程およびミキシング工程が設けられるが、平均粒子径が50nm未満の微粒子磁性粉末を分散する場合には、分散前の磁性塗料の二次粒子径を十分小さくすることが困難であり、メディア型分散機による分散が十分有効に行えているとはいえなかった。
本発明者らの検討によると、メディア型分散機による分散工程の前に遠心分離機、特に連続式遠心分離機による凝集物除去工程を設けることで、粗大な凝集物を除去できれば、分散工程で過剰な分散ネルギーを必要とせずに均一でしかも微細な分散が可能となり、分散安定性においても優れた磁性塗料が得られることが分かった。また、この磁性塗料を用いて製造された磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体は、粗さが平滑で、磁気特性や電磁変換特性に優れたものが得られる。
一方、凝集物を除去するだけであれば、濾過などの手段を用いることも可能であるが、濾過の目詰まりにより生産性が低下し、歩留りを大きく低下させる。そこで本発明では、遠心分離機により凝集物を除去する工程を設け、さらには、除去された凝集物を廃棄することなく、後述する再処理工程により再処理することで、生産性や塗料の歩留りを向上させることができる。
なお、除去する粗大な凝集物(二次粒子)の粒子径は、20μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましい。
本発明では、前記除去された粗大な凝集物については、再処理工程により微細化された後、磁性粉前処理工程、混練工程、ミキシング工程の何れかに戻される循環ラインを設けることが好ましい。通常ミキシング工程に戻すことで十分な特性が得られるが、磁性粉前処理工程、混練工程に戻すことで、さらに特性の向上を図ることができる。再処理工程における微細化設備としては、石臼の原理を利用したメディアレス型分散機としてT.K.マイコロイダー(プライミクス社製)、コーンミル(シンマルエンタープライゼス社製)、トルネード(浅田鉄工社製)などが好ましく、圧縮や剪断力が強い処理手段であれば、記載した以外の分散機を再処理手段として用いてもよい。
また、新たな再処理手段を設けず、前記除去された粗大な凝集物を磁性粉前処理工程または混練工程にもどして再処理を行ってもよい。通常混練工程に戻すことで十分な特性が得られるが、磁性粉前処理工程に戻すことで、さらに特性の向上を図ることができる。
本発明の磁性塗料の製造方法においては、図1に示すように遠心分離機による処理の前に、解砕・混合工程等の磁性粉前処理工程、混練工程および、ミキシング工程を設けるのが好ましい。これらの工程のうち、磁性粉前処理工程では、混練工程の前工程として、磁性粉末の顆粒を高速攪拌混合機にて解砕し、その後、引き続き、高速攪拌混合機にてリン酸系やスルホン酸系の有機酸などやバインダ樹脂、有機溶媒と混合して、磁性粉末の表面処理やバインダ樹脂との混合を行う。
上記の高速攪拌混合機としては、ホソカワミクロン社製のアグロマスタのような転動流動効果を利用したガス吹上げ式攪拌機、同社製のサイクロミックスやメカノフュージョンシステム、杉山重工社製のアキシャルミキサのような回転式混合機、三井鉱山社製のヘンシェルミキサなどを用いることができる。
つぎに、混練工程では、連続式2軸混練機や加圧混練機により、通常、固形分濃度が80〜85重量%、磁性粉末に対するバインダ樹脂の割合が17〜30重量%となる状態で、高粘度、高せん断力下で、混練を行うものである。
上記の連続式2軸混練機には、栗本鐵工所製のKEX−30、KEX−40、KEX−50、KEX−65、KEX−80、日本製鋼所製のTEX30aII、TEX44aII、TEX65aII、TEX77aII、TEX90aII、加圧式混練機には、モリヤマ製の(DS.DX20、55、75,110型)、トーシン製のTD20、TDS35、TDS55、TDS75、TDS110などを用いることができる。
ミキシング工程では、上記した混練工程の後工程として、連続式2軸混練機または加圧混練機を用いて、少なくとも1回以上のバインダ樹脂溶液および/または有機溶媒、潤滑剤等を加えて、希釈し、さらに、高速攪拌ディスパーにより固形分濃度が25〜40重量%の状態で攪拌、混合を行うものである。
本発明においては、このような前工程を経たのち、遠心分離機による処理を施し粗大な凝集物を除去する。通常、前記処理時の塗料としては、固形分濃度が25〜40重量%、磁性粉末に対するバインダ樹脂の割合が17〜30重量%で行うのが好ましい。また、塗料粘度としては、通常、0.5〜5.0Pa・s(500〜5000cP)であるのが好ましい。
本発明の磁性塗料の製造方法で用いる遠心分離機は従来公知のものを用いることができるが、例えば特開平10−43626に提案されているような、図2に示した連続式遠心分離機1を用いることができる。この連続式遠心分離機は、不図示のモータにより駆動され回転する円筒部101と錐状部102を備えたボウル10と前記モータとは別の不図示のモータにより駆動され回転するスクリュー軸20に支柱211により取り付けられているスクリュー羽根212からなる回転排出機構21が設けられており、連続式遠心分離機1に導入された磁性塗料M´は、不図示の供給ポンプにより供給管22を通り、先端の供給口23より、スクリュー軸20とボウル10の空間に連続して供給され、ボウル10およびスクリュー軸21の回転による遠心力により磁性塗料M´中で比重の高い粗大な凝集物Cと、それ以外の磁性塗料Mとに分離される。
前記凝集物Cは前記ボウル10の内周壁に集められ、ボウル10より少し低い回転数で回転しているスクリュー羽根212にかき取られて、ボウル10の錐状部102の右端に設けられた沈下物排出口12より排出される。粗大な凝集物が排除された磁性塗料Mは同じくボウル10に設けられた液体排出口11より排出され次の工程に送られる。
磁性塗料中からの磁性粉の粗大な凝集物の分離の効率は、磁性塗料の粘度、送液ポンプの送液量、ボウルの回転数、ボウルとスクリュー軸との回転数の差などによってきまる。磁性塗料の粘度が0.1〜5Pa・sの範囲にあるとき、ボウルの回転数すなわち磁性塗料中からの粗大な凝集物を分離するのに必要な重力の加速度の値は2000−10000Gの範囲が望ましい。そのときのボウルの回転数はおよそ2000−6000rpmとなる。またそのときの送液ポンプ2の輸送量は5−50リットル/分の範囲が望ましい。ボウルの内周壁に集められた粗大な凝集物を効率的にかきとるためには、ボウルとスクリュー軸との回転数の差を5−50rpmの範囲とすることが望ましい。
その後、メディア型分散機にて分散工程を行う。通常、メディア型分散機で塗料を分散すると粘度が上昇するが、本発明の磁性塗料の製造方法では分散粒度が極めてシャープになっているため、塗料の粘度上昇を抑えることもできる。また、高エネルギーで分散させるため短時間での分散が可能である。さらに、微細分散されることで磁気特性の大幅な向上が得られる。メディア型分散機としては攪拌軸にディスク(穴開き、切り込み入り、溝付などを含む)、ピン、リングが設けられたものや、ロータが回転するもの、例えば、ナノミル、ピコミル、サンドミル、ダイノミルなど、従来公知のものを用いることができる。
分散用メディアの粒子径は、0.05〜2.0mmが好ましく、0.2〜1.6mmがより好ましい。この範囲が好ましいのは、粒子径が0.05mm未満では、塗料との分離が難しくなり、2.0mmを超えると、微粒子に対する分散能力が低下するからである。
分散用メディアは、ガラス、セラミック、金属(表面が樹脂で覆われたものも含む)など、従来公知のものを使用できるが、特に微粒子の磁性粉末に対しては、密度の大きい(3g/cm以上)材質のものが好ましい。分散用媒体のミル容器への充填量は、ミル内容量に対して見掛け容量比率で50〜90%が好ましい。この範囲が好ましいのは、50%未満では、分散効率が低下し、90%を超えると、分散用メディアの動きが悪くなるばかりか、発熱量が多くなるためである。
攪拌軸の回転速度は、回転部の外周の速度(周速)で6〜15m/sが好ましい。この範囲が好ましいのは、6m/s未満では、分散用メディアの分散エネルギーが小さく、15m/sを超えると、分散用メディアが破壊されたりするからである。
塗料分散時の滞留時間は、磁性塗料の構成成分、用途により異なるが、通常30〜90分が好ましい。2連以上のメディア型分散機を用いて塗料分散を行う場合に、各連の分散条件を変えてもよい。たとえば、始めに大粒径分散用メディアを使用し、最後に小粒径分散メディアを使用すると、より好ましい。
分散工程の後、硬化剤、有機溶媒などを配合する配合工程、濾過工程を経て、磁性塗料は塗布工程へ供される。また、必要に応じて、塗布工程の前に超音波分散、高圧衝突型分散などの、再分散工程、濾過工程を加えてもよい。
以下、本発明の他の構成要素について詳述する。
<磁性粉>
本発明において磁性塗料の製造に使用される磁性粉末は強磁性鉄系金属磁性粉、窒化鉄磁性粉、板状の六角晶フェライト磁性粉などが好ましく用いられる。平均粒子径50nm未満のもの、通常は、平均粒子径が10nm以上のものが好ましく、15〜40nmの範囲のものがより好ましい。この範囲が好ましいのは、平均粒子径が50nm以上になると、粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなり、また平均粒子径が10nm未満では、保磁力の低下や粒子の表面エネルギーが増大し、塗料中での分散が困難になるためである。
<結合剤>
結合剤樹脂としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種と、ポリウレタン樹脂とを組み合わせたものなどが挙げられる。
これらの樹脂の中でも、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体樹脂とポリウレタン樹脂を併用するのが好ましい。
ポリウレタン樹脂には、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリエステルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン樹脂などがある。
このような結合剤樹脂は、官能基として、−COOH、−SOM、−OSOM、−P=O(OM)、−O−P=O(OM)〔これらの式中、Mは水素原子、アルカリ金属塩基またはアミン塩を示す〕、−OH、−NR、−N〔これらの式中、R、R、R、R、Rは水素または炭化水素基を示す〕、エポキシ基などを有しているものが、好ましく用いられる。
このような結合剤樹脂を使用すると、磁性粉末などの分散性が向上するためである。2種以上の樹脂を併用する場合には、官能基の極性を一致させるのが好ましく、中でも、−SOM基同士の組み合わせが好ましい。
これらの結合剤樹脂は、磁性粉末100重量部に対して、通常は、7〜50重量部、好ましくは10〜35重量部の範囲で使用するのがよい。とくに、塩化ビニル系樹脂とポリウレタン樹脂を併用する場合は、塩化ビニル系樹脂5〜30重量部とポリウレタン樹脂2〜20重量部とを併用するのが好ましい。
また、これらの結合剤樹脂とともに、結合剤樹脂中に含まれる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤を併用するのが好ましい。
このような架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソシアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ましく用いられる。
これらの架橋剤は、結合剤樹脂100重量部に対して、通常1〜50重量部の割合で用いられる。より好ましくは15〜35重量部である。
また、上記のような熱硬化性の結合剤樹脂の代わりに、放射線硬化性樹脂を用いてもよい。放射線硬化性樹脂としては、上記熱硬化性樹脂をアクリル変性し放射線感応性二重結合を持たせたものや、アクリルモノマー、アクリルオリゴマーが用いられる。
<有機溶剤>
本発明において、磁性塗料の製造に使用される有機溶剤としては、たとえば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル系溶剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール系溶剤、などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独でまたは混合して使用され、またトルエンなどと混合して使用される。
本発明において、磁性塗料の製造に使用される添加剤には、研磨材、潤滑剤、分散剤が使用できる。
<研磨剤>
研磨剤としては、α−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素など、主としてモース硬度6以上のものが単独または組み合わせて使用できる。これらの研磨剤の粒子サイズとしては、通常、平均粒子径で10〜200nmであるのが好ましい。
また、磁性塗料には、必要により、導電性と表面潤滑性の向上を目的に、従来公知のカーボンブラックを添加してもよい。カーボンブラックには、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックなどを使用できる。平均粒子径が10〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、平均粒子径が10nm未満になると、カーボンブラックの分散が難しく、100nmを超えると、多量のカーボンブラックを添加する必要があり、いずれも表面が粗くなり、出力低下の原因になるためである。また、必要により、平均粒子径の異なるカーボンブラックを2種以上用いてもよい。
<潤滑剤>
磁性塗料には、塗料中に含まれる全粉体100重量部に対して、0.5〜5重量部の高級脂肪酸、0.2〜3重量部の高級脂肪酸のエステル、0.5〜5.0重量部の脂肪酸アミドを含有させることが好ましい。上記範囲の高級脂肪酸の添加が好ましいのは、0.5重量部未満では、摩擦係数低減効果が小さく、5重量部を超えると、強靭性が失われるおそれがあるからである。上記範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.2重量部未満では、摩擦係数低減効果が小さく、3重量部を超えると、磁性層への移入量が多すぎるため、テープとヘッドが貼り付くなどの副作用を生じるおそれがあるためである。上記の範囲の脂肪酸アミド添加が好ましいのは、0.5重量部未満ではヘッド/磁性層界面での直接接触が起こり焼き付き防止効果が小さく、5重量部を超えるとブリードアウトしてドロップアウトなどの欠陥が発生する恐れがあるからである。高級脂肪酸としては、炭素数10以上の脂肪酸を用いるのが好ましい。炭素数10以上の脂肪酸は、直鎖、分岐、シス・トランスなどの異性体のいずれでもよいが、潤滑性能にすぐれる直鎖型が好ましい。この脂肪酸には、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸などがある。これらの中でも、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸などが好ましい。
高級脂肪酸エステルとしては、前記高級脂肪酸のエステルを用いるのが好ましい。脂肪酸アミドとしては、パルミチン酸、ステアリン酸などの炭素数が10以上の脂肪酸アミドが使用可能である。
<分散剤>
磁性粉末、研磨材やカーボンブラックなどの添加剤を良好に分散させるために分散剤を使用することができる。このような分散剤としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸などの炭素数12〜18個の脂肪酸〔RCOOH(Rは炭素数11〜17個のアルキル基またはアルケニル基)〕、上記脂肪酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属からなる金属石けん、上記脂肪酸エステルのフッ素を含有した化合物、上記脂肪酸のアミド、ポリアルキレンオキサイドアルキルリン酸エステル、レシチン、トリアルキルポリオレフィンオキシ第四級アンモニウム塩(アルキルは炭素数1〜5個、オレフィンはエチレン、プロピレンなど)、硫酸塩、スルホン酸塩、りん酸塩、銅フタロシアニンなどの従来公知の各種の分散剤を、いずれも使用することができる。これらは、単独でも組み合わせて使用してもよい。分散剤は、いずれの層でも、結合剤樹脂100重量部に対し、通常0.5〜20重量部の範囲で添加される。
本発明においては、上記した磁性粉末および結合剤樹脂とともに、有機溶剤や上記の添加剤成分などを使用して、前記方法で分散処理して磁性塗料を製造したのち、この磁性塗料を使用して、常法に準じて、非磁性支持体上に塗布し、乾燥して、磁性層を形成し、所要の処理工程を経ることにより、磁気記録媒体を製造する。
ここで、磁性層の厚さは、0.01μm以上、0.15μm以下が好ましい。この範囲が好ましいのは、0.01μm未満では得られる出力が小さいのと、均一な磁性層を塗布するのが困難であり、0.15μmを超えると、短波長信号の解像度が悪くなるからである。短波長記録特性をさらに向上させるには、磁性層の厚さは0.01〜0.1μmであるのがより好ましく、0.02〜0.06μmが最も好ましい。
本発明において、上記の磁性層は、非磁性支持体上に直接形成することもできるが、通常は、下塗り層を介して形成するのが望ましい。また、この磁性層の上に、必要により、磁性層の保護などのため、トップコート層(最上層非磁性層)を設けてもよい。さらに、上記の磁性層は、磁気記録媒体の容量を大きくするために、非磁性支持体の両面側に形成してもよい。一方、非磁性支持体の片面にのみ磁性層を形成する場合は、通常は、その背面側にバックコート層を形成するのが望ましい。
<非磁性支持体>
非磁性支持体の厚さは、用途によって異なるが、通常は、1.5〜11μmのものが使用される。非磁性支持体の厚さは、より好ましくは2〜7μmである。この範囲の厚さの非磁性支持体が使用されるのは、1.5μm未満となると、製膜が難しくなり、またテープ強度が小さくなるためであり、11μmを超えると、テープ全厚が厚くなり、テープ1巻あたりの記録容量が小さくなるためである。
非磁性支持体の長手方向のヤング率としては、5.8GPa(590kg/mm)以上が好ましく、7.1GPa(720kg/mm)以上がより好ましい。非磁性支持体の長手方向のヤング率が5.8GPa以上がよいのは、長手方向のヤング率が5.8GPa未満では、テープ走行が不安定になるためである。
ヘリキャルスキャンタイプでは、長手方向のヤング率(MD)/幅方向のヤング率(TD)は、0.6〜0.8の範囲が好ましく、0.65〜0.75の範囲がより好ましい。長手方向のヤング率/幅方向のヤング率が、上記範囲がよいのは、0.6未満または0.8を超えると、メカニズムは現在のところ不明であるが、磁気ヘッドのトラックの入り側から出側間の出力のばらつき(フラットネス)が大きくなるためである。このばらつきは、長手方向のヤング率/幅方向のヤング率が0.7付近で最小になる。
また、リニアレコーディングタイプでは、長手方向のヤング率/幅方向のヤング率は、理由は明らかではないが、0.7〜1.3が好ましい。
非磁性支持体の幅方向の温度膨張係数は、−10〜10×10−6、湿度膨張係数は、0〜10×10−6が好ましい。この範囲が好ましいのは、この範囲をはずれると、温度・湿度の変化によりオフトラックが生じエラーレートが大きくなるからである。
以上のような特性を満足する非磁性支持体としては、たとえば、二軸延伸のポリエチレンテレフタレートフイルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、芳香族ポリアミドフィルム、芳香族ポリイミドフィルムなどが挙げられる。
<下塗り層>
高記録密度の磁性層を得るためには、磁性層の厚さを薄くすることが望ましく、耐久性のある薄層の磁性層を安定して得るためには、磁性層と非磁性支持体との間に下塗り層(非磁性層)を設けることが好ましい。下塗り層の厚さは、0.2μm以上、1.5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.8μm以下がさらに好ましい。この範囲が好ましい理由は、0.2μm未満では、磁性層の厚さむら低減効果や、耐久性の向上効果が小さくなり、また1.5μmを超えると、磁気テープの全厚が厚くなりすぎて、テープ1巻あたりの記録容量が小さくなるためである。この下塗り層に使用するバインダ樹脂(ないし架橋剤)や下塗り層形成のための塗料溶剤には、磁性塗料の場合と同様のものが用いられる。
下塗り層に使用する非磁性粉末には、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウムなどがあるが、酸化鉄単独または酸化鉄と酸化アルミニウムの混合系が好ましい。非磁性粉末の粒子形状は、球状、板状、針状、紡錘状のいずれでもよいが、針状、紡錘状の場合は、通常、長軸長が20〜200nm、短軸長が5〜200nmのものが好ましい。非磁性粉末を主成分とし、これに必要により粒子径が0.01〜0.1μmのカーボンブラック、粒子径が0.05〜0.5μmの酸化アルミニウムを補助的に含有させることが多い。下塗り層を平滑にかつ厚みムラを少なく塗布するには、上記の非磁性粒子およびカーボンブラックは、とくに粒度分布がシャープなものを用いるのが好ましい。下塗り層には、平均粒子径が10〜100nmの非磁性板状粉末を添加することもできる。非磁性板状粉末の成分としては、セリウムなどの希土類元素、ジルコニウム、珪素、チタン、マンガン、鉄などの元素の酸化物または複合酸化物が用いられる。
導電性改良の目的で、平均粒子径が10〜100nmのグラファイトのような板状炭素性粉末や平均粒子径が10〜100nmの板状ITO(インジウム・スズ複合酸化物)粉末などを添加してもよい。上記の非磁性板状粉末を添加することにより、膜厚の均一性、表面平滑性、剛性、寸法安定性が改善される。
<バックコート層>
本発明において、磁気テープを構成する非磁性支持体の他方の面(磁性層が形成されている面とは反対側の面)には、走行性の向上などを目的として、バックコート層を設けることができる。このバックコート層に磁性があると、磁気記録層の磁気信号が乱れる場合があるため、通常、バックコート層は非磁性である。
バックコート層の厚さは、0.2〜0.8μmが好ましい。この範囲が良いのは、0.2μm未満では、走行性向上効果が不十分で、0.8μmを超えると、テープ全厚が厚くなり、1巻あたりの記録容量が小さくなるためである。バックコート層の中心線平均表面粗さRaは、3〜8nmが好ましく、4〜7nmがより好ましい。
バックコート層には、通常、カーボンブラックを含ませる。カーボンブラックには、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックなどを使用できる。通常は、小粒子径カーボンブラックと大粒子径カーボンブラックを使用する。小粒子径カーボンブラックと大粒子径カーボンブラック合計の添加量は、無機粉体重量を基準にして、60〜100重量%が好ましく、70〜100重量%がより好ましい。
小粒子径カーボンブラックには、平均粒子径5〜200nmのものが使用されるが、平均粒子径10〜100nmのものがより好ましい。この範囲がより好ましいのは、平均粒子径が10nm未満では、カーボンブラックの分散が難しくなり、平均粒子径が100nmを超えると、多量のカーボンブラックを添加する必要があり、いずれも表面が粗くなり磁性層への裏移り(エンボス)の原因になるためである。大粒子径カーボンブラックとして、小粒子径カーボンブラックの5〜15重量%、平均粒子径200〜400nmの大粒子径カーボンブラックを使用すると、表面も粗くならず、走行性向上効果も大きくなる。
バックコート層には、強度、温度・湿度寸法安定性などの向上を目的に、平均粒子径が10〜100nmの非磁性板状粉末を添加することができる。非磁性板状粉末の成分は、酸化アルミニウムのほか、セリウムなどの希土類元素、ジルコニウム、珪素、チタン、マンガン、鉄などの元素の酸化物または複合酸化物が用いられる。
導電性改良の目的で、平均粒子径が10〜100nmの板状炭素性粉末や平均粒子径が10〜100nmの板状ITO粉末などを添加してもよい。また、必要に応じて、平均粒子径が0.1〜0.6μmの粒状酸化鉄粉末を添加してもよい。添加量としては、バックコート層中の全無機粉体の重量を100重量部として、2〜40重量部が好ましく、5〜30重量部がより好ましい。また、平均粒子径が0.1〜0.6μmのアルミナを添加すると、耐久性がさらに向上するので、好ましい。
バックコート層には、バインダ樹脂として、磁性塗料の場合と同様のものを使用できる。これらの中でも、摩擦係数を低減し走行性を向上させるため、セルロース系樹脂とポリウレタン系樹脂とを複合して併用するのが好ましい。
バインダ樹脂の含有量は、通常、カーボンブラックと無機非磁性粉末との合計量100重量部に対して、40〜150重量部、好ましくは50〜120重量部、より好ましくは60〜110重量部、さらに好ましくは70〜110重量部である。上記範囲が好ましいのは、40重量部未満では、バックコート層の強度が不十分であり、150重量部を超えると、摩擦係数が高くなりやすいためである。セルロース系樹脂を30〜70重量部、ポリウレタン系樹脂を20〜50重量部使用するのが好ましい。
バックコート層には、バインダ樹脂を硬化するために、ポリイソシアネート化合物などの架橋剤を用いるのが好ましい。架橋剤には、磁性層の場合と同様のものを使用できる。架橋剤の量は、バインダ樹脂100重量部に対して、通常10〜50重量部、好ましくは10〜35重量部、より好ましくは10〜30重量部である。上記範囲が好ましいのは、10重量部未満では、バックコート層の塗膜強度が弱くなりやすく、50重量部を超えると、SUSに対する動摩擦係数が大きくなるためである。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の部は、重量部である。また、実施例および比較例中の平均粒子径は、数平均粒子径である。
<下塗り塗料成分>
(1)成分
針状酸化鉄 68部
カーボンブラック 20部
粒状アルミナ粉末 12部
メチルアシッドフォスフェート 1部
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 9部
(含有−SONa基:0.7×10−4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂 5部
(ガラス転移温度:40℃、含有−SONa基:1×10−4当量/g)
テトラヒドロフラン 13部
シクロヘキサノン 63部
メチルエチルケトン 137部
(2)成分
ステアリン酸ブチル 2部
シクロヘキサノン 50部
トルエン 50部
(3)成分
ポリイソシアネート 6部
シクロヘキサノン 9部
トルエン 9部

<磁性塗料成分>

(1)混練工程成分
粒状窒化鉄磁性粉 100部
(Al−Y−Fe−N)〔σs:85Am/kg(85emu/g)
Hc:214.9kA/m(2700Oe)平均粒子径14.5nm〕
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 17部
ポリエステルポリウレタン樹脂 6部
アルミナ粉末 10部
メチルアシッドフォスフェート 4部
メチルエチルケトン 17部
トルエン 17部
(2)ミキシング工程成分
パルミチン酸アミド 1部
ステアリン酸ブチル 1部
シクロヘキサノン 180部
トルエン 140部
(3)配合工程成分
ポリイソシアネート 6部
メチルエチルケトン 10部
シクロヘキサノン 16部
トルエン 16部
上記の下塗り成分において(1)を回分式ニーダで混練し、(2)を加えて撹拌の後、サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これに(3)を加え撹拌・ろ過した後、下塗り塗料(下塗り用塗料)とした。
これとは別に、上記の磁性塗料のうち、まず、(1)混練工程成分を、磁性粉前処理工程として、高速攪拌混合機にて、予め高速混合しておき、その混合粉末を加圧式ニーダで混練する。次に、(2)ミキシング工程成分を加えて撹拌しながら希釈を行った(未分散塗料)。続いて、凝集物除去工程として、図2で示した連続式遠心分離機にて、重力加速度10000G、円筒4とコンベヤー5との回転数の差を30rpmの条件にて、塗料凝集物の除去を実施した。これにより粒子径が15μm以上の凝集物が除去された。なお、除去された塗料凝集物は、再処理工程として、T.K.マイコロイダー(プライミクス社製)にて再処理(クリアランス0.1mm、砥石回転数4000rpm)を行い、ミキシング工程に戻した。
凝集物を除去された塗料は、分散工程として、ナノミル(浅田鉄工社製)で滞留時間60分にて分散処理したのち、(3)配合工程成分を加えて撹拌し、配合工程を行い、孔径0.8μmのフィルタにて濾過工程を行い、磁性塗料を調整した。なお、磁性塗料の作製に際して投入した、材料の総重量に対する、濾過後に得られた磁性塗料の重量の割合を、塗料歩留まり(%)とした。
上記下塗り塗料を、厚さ8μmのポリエチレンナフタレートフィルムからなる非磁性支持体上に、乾燥、カレンダ後の厚さが0.9μmになるように塗布し、下塗り層上に、上記の磁性塗料をエクストルージョン型コータにてウエット・オン・ウエットで、乾燥、カレンダ後の厚さが0.08μmになるように塗布し、磁場配向(N−N対向磁石(398kA/m)+ソレノイドコイル(398kA/m))処理後、ドライヤおよび遠赤外線を用いて乾燥し、磁気シートを作製した。
<バックコート層用塗料成分>
カーボンブラック(平均粒子径25nm) 80部
カーボンブラック(平均粒子径350nm) 10部
粒状酸化鉄(平均粒子径50nm) 10部
ニトロセルロース 45部
ポリウレタン樹脂 30部
シクロヘキサノン 260部
トルエン 260部
メチルエチルケトン 525部
上記のバックコート層用塗料成分をサンドミルで分散した後、ポリイソシアネート15部を加えてバック層用塗料を調整し、ろ過後、上記で作製した磁気シートの磁性層の反対面に塗布し乾燥させた。
このようにして得られた磁気シートを金属ロールからなる7段カレンダで、温度100℃、線圧196kN/mの条件で鏡面化処理(カレンダ処理)し、磁気シートをコアに巻いた状態で60℃、48時間エージングして評価用の磁気シートを作製した。
再処理工程として、T.K.マイコロイダーを使用する代わりに、塗料凝集物を混練工程に戻して再処理を行った以外は、実施例1と同様にして評価用の磁気シートを作製した。
分散工程の滞留時間を60分から45分に変更した以外は、実施例2と同様にして評価用の磁気シートを作製した。
凝集物除去工程の遠心分離機の重力加速度を10000Gから7000Gに変更し、20μm以上の凝集物を除去した以外は、実施例3と同様にして評価用の磁気シートを作製した。
再処理工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして評価用の磁気シートを作製した。
連続式遠心分離機の条件を重力加速度7000Gとして粒子径が20μm以上の凝集物を除去し、再処理工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして評価用の磁気シートを作製した。
(比較例1)
凝集物除去工程を行わなかった以外は、実施例5と同様にして評価用の磁気シートを作製した。
得られた評価用の磁気シートを下記の方法で評価した。
〈磁性層の表面粗さ〉
磁気シートの磁性層をZYGO社製汎用三次元表面構造解析装置NewView5000による走査型白色光干渉法にてScan Lengthを5μmで測定した。測定視野は、350μm×260μmである。磁性層の中心線平均表面粗さをRaとして求めた。
〈C/N測定〉
磁気シートの電磁変換特性測定には、ドラムテスターを用いた。ドラムテスターには電磁誘導型ヘッド(トラック幅25μm、ギャップ0.1μm)とMRヘッド(トラック幅8μm)を装着し、誘導型ヘッドで記録、MRヘッドで再生を行った。両ヘッドは回転ドラムに対して異なる場所に設置されており、両ヘッドを上下方向に操作することで、トラッキングを合わせることができる。磁気シートから長手方向に60cmを切り出し、更に4mm幅に加工して回転ドラムの外周に巻き付けた。
出力及びノイズは、ファンクションジェネレータにより波長0.2μmの矩形波を書き込み、MRヘッドの出力をスペクトラムアナライザーに読み込んだ。0.2μmのキャリア値を媒体出力Cとした。また0.2μmの矩形波を書き込んだときに、出力及びシステムノイズを差し引いた値の積分値をノイズ値Nとして用いた。更に両者の比をとってC/Nとし、C、C/Nともにリファレンスとして用いている比較例1の磁気シートの値との相対値を求めた。
〈磁気特性〉
磁気特性は、試料振動型磁束計を使用して、25℃、外部磁場1273.3kA/mで定法に従って測定した値である。測定試料の調整は磁気シートを20枚を張り合わせ、これを直径8mmに打ち抜いて行った。


Figure 2009016014

表1から明らかなように、本発明に係る、連続式遠心分離機による凝集物除去工程を経て、分散用メディアを使用した塗料分散工程を行った実施例1〜6は、凝集物除去工程を行わなかった比較例1に比較して、磁気特性が良好で磁性層の表面も平滑になるので、高いC/Nが得られる。さらに、除去した凝集物を再処理手段により再処理したり、混練工程に戻して再処理することにより、さらに高いC/Nが得られたり、分散時間を短くすることができたり、塗料歩留りを高くすることができる。
本発明に係る一例の磁性塗料の製造方法のフローチャートである。 本発明の塗料製造方法で使用する一例の連続式遠心分離機の構造を示す断面図である。
符号の説明
1 連続式遠心分離機
10 ボール
11 液体排出口
12 沈下物排出口
20 スクリュー軸
M´ 磁性塗料
M 凝集物が排除された磁性塗料
C 凝集物

Claims (6)

  1. 平均粒子径が50nm未満の磁性粉末とバインダ樹脂とを含む磁性塗料の製造方法であって、遠心分離機を用いた塗料凝集物を除去する凝集物除去工程を経て、分散用メディアを使用した塗料分散工程を行うことを特徴とする磁性塗料の製造方法。
  2. 前記遠心分離機が、連続式遠心分離機である磁性塗料の製造方法。
  3. 前記凝集物除去工程にて除去された塗料凝集物を再処理する再処理工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁性塗料の製造方法。
  4. 平均粒子径が50nm未満の磁性粉末とバインダ樹脂とを含む磁性塗料の製造装置であって、連続式遠心分離機を用いた塗料凝集物を除去する凝集物除去手段と、分散用メディアを使用した塗料分散手段とを備えることを特徴とする磁性塗料の製造装置。
  5. 前記凝集物除去手段にて除去された塗料凝集物を再処理する再処理手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の磁性塗料の製造装置。
  6. 請求項1ないし3のいずれかに記載の製造方法で得られた磁性塗料を用いて製造された磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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