JP2009099201A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高出力、高S/N比を有する磁気記録媒体を作成するために必要な製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 非磁性支持体の一方の面に、厚さが0.1μm以下の磁性層を少なくとも有する磁気記録媒体の製造方法であって、前記磁性層は、磁性粉末と結合剤樹脂と有機溶剤とを含む磁性塗料を塗布することにより形成され、前記磁性粉末は平均粒子径が10〜40nmであり、前記磁性塗料が、前記磁性粉末をメディア型分散機によって結合剤樹脂中に分散させて磁性液を得る分散工程と、前記磁性液が有機溶剤を含む希釈液にて希釈される希釈工程とを含む製造方法で製造され、前記希釈工程が前記磁性液と前記希釈液とを衝突型分散機によって混合・分散することによりなされることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気抵抗効果型の再生ヘッド(MRヘッド)を用いる磁気記録再生システムに好適な高記録密度特性に優れつつも耐久性に優れた塗布型の磁気記録媒体の製造方法に関する。
磁気テープは、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピュータ用テープなど種々の用途があるが、特にデータバックアップ用テープの分野では、バックアップの対象となるハードディスクの大容量化にともない、1巻当たり数10〜800GBの記録容量のものが商品化されている。また、今後1TBを超える大容量バックアップテープが提案されており、その高記録密度化は不可欠である。
高記録容量化のための手段として、記録再生装置からのアプローチでは,記録信号の短波長化やトラックピッチの狭幅化が用いられるが、これにより磁気テープからの漏れ磁束が小さくなるため、再生ヘッドに微小磁束でも高い出力が得られるMRヘッドを使用することが主流となってきている。
媒体からのアプローチでは、磁性粉末の微粒子化とともに、磁気特性の改善がはかられており、従来は、オーディオ用や家庭用のビデオテープに使用されていた強磁性酸化鉄、Co変性強磁性酸化鉄、酸化クロムなどの磁性粉末が主流であったが、現在では、コンピュータ用テープとして、粒子サイズが25〜65nm程度の針状の強磁性鉄系金属粉が提案されている。
また、短波長記録時の減磁による出力低下を防止するために、磁性粉末の高保磁力化がはかられ、鉄−コバルトの合金化により、198.9kA/m程度の保磁力が実現されている。
また低ノイズ化を実現するための磁性粉末として、粒子形状が板状で、粒子サイズ(粒子径)が10〜40nm程度の微粒子のバリウムフェライト磁性粉末や、結晶磁気異方性を有することで、微粒子化と高保磁力化を両立できる磁性粉末として、形状が球状乃至粒状で、粒子サイズが5〜50nm程度の窒化鉄磁性粉(特許文献1など)が提案されている。
一方、媒体製造技術側からのアプローチでは、微粒子磁性粉末を含む磁性層成分に対する混練・分散処理、有機溶剤による磁性塗料の希釈(特許文献2など)、磁性層の下に非磁性の下塗り層を設ける同時重層塗布(特許文献3など)などの技術の改善により、磁性層の充填性、表面平滑性の向上、磁性層の薄層化による短波長記録特性の向上が図られている。特に磁性層の薄層化については、近年0.1μm以下のものが要求されつつある。
特許第3886968号公報 特開2000−136328号公報 特開昭63−187418号公報
しかしながら、高密度磁気記録媒体(たとえば1TB/巻以上の容量に対応)を作製するにあたり、上記のような従来公知の技術では、略粒状で平均粒子径が10〜40nmの微粒子磁性粉末を、均一に分散して磁性塗料を作製し、かつその状態を維持させたまま、厚さが0.1μm以下の磁性層を設けることは困難で、その結果テープの磁気特性、および平滑度が悪化するため、出力、出力対ノイズ比(S/N)、分解能を満足させることができなかった。
例えば、特許文献2では、二軸型連続混練混合機を用いて、強磁性粉末と、結合剤樹脂と有機溶剤とを含む結合剤樹脂溶液L1とを混練し、固形分濃度65〜90wt%の混練物R1を調合する第一工程、混練物R1に結合剤樹脂溶液L1および/または有機溶剤を加え高速攪拌機を用いて攪拌し固形分濃度25〜45wt%の希釈物D1を調合する第二工程、希釈物D1をそのまま、または有機溶剤を加えた後セラミックビーズを充填した湿式媒体分散機により微分散処理を行い固形分濃度20〜45wt%の分散物を調合し、そのまままたは有機溶剤を加えて混合分散し固形分濃度10〜20wt%の分散物D2を調合するする第三工程、分散物D2を超音波分散機で再分散を行う第四工程、によって磁性塗料を製造する方法が開示されているが、このような方法では、上記の課題に対して十分な効果が得られない。
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、1TB/巻以上の容量に対応するための出力、S/N比を有する磁気記録媒体を作成するために必要な製造方法を提供することを目的としている。
非磁性支持体の一方の面に、厚さが0.1μm以下の磁性層を少なくとも有する磁気記録媒体の製造方法について、鋭意検討した結果、下記構成とすれば高記録密度特性に優れる磁気記録媒体を提供することができることを見出し、本発明をなすにいたった。
非磁性支持体の一方の面に、厚さが0.1μm以下の磁性層を少なくとも有する磁気記録媒体の製造方法であって、前記磁性層は、磁性粉末と結合剤樹脂と有機溶剤とを含む磁性塗料を塗布することにより形成され、前記磁性粉末は平均粒子径が10〜40nmであり、前記磁性塗料が、前記磁性粉末をメディア型分散機によって結合剤樹脂中に分散させて磁性液を得る分散工程と、前記磁性液が有機溶剤を含む希釈液にて希釈される希釈工程とを含む製造方法で製造され、前記希釈工程が前記磁性液と前記希釈液とを衝突型分散機によって混合・分散することによりなされることを特徴とする。
非磁性支持体の一方の面に、厚さが0.1μm以下の磁性層を少なくとも有する磁気記録媒体の製造方法であって、前記磁性層は、磁性粉末と結合剤樹脂と有機溶剤とを含む磁性塗料を塗布することにより形成され、前記磁性粉末は平均粒子径が10〜40nmであり、前記磁性塗料が、前記磁性粉末をメディア型分散機によって結合剤樹脂中に分散させて磁性液を得る分散工程と、前記磁性液が有機溶剤を含む希釈液にて希釈される希釈工程とを含む製造方法で製造され、前記希釈工程が前記磁性液と前記希釈液とを衝突型分散機によって混合・分散することによりなされると、前記磁性粉末は略粒状で、平均粒子径が10〜40nmであるために、ノイズが小さく、磁性塗料がメディア型分散機によって分散処理された後、この分散塗料と有機溶剤を含む希釈液とが衝突型分散機によって混合・分散される希釈工程を経て調整されるために、希釈工程が好適に行え、均一に分散した磁性塗料が得られる。その結果、高記録密度特性に優れた磁気記録媒体を提供することが可能となる。
高記録密度特性に優れる磁気記録媒体を得るには、磁性層の薄層化が有効である。磁性層の厚さは、0.1μm以下が好ましく、0.01μm以上0.1μm以下がより好ましい。0.1μmを超えると自己減磁や厚み損失が大きくなりすぎ、短波長記録再生特性が悪くなるからである。また、0.01μm未満では得られる出力が小さくなったり、均一な磁性層を塗布し難い場合があるからである。
磁性層を薄層化する手段としては、磁性塗料の塗布量を低減したり、磁性塗料の固形分濃度を低下させたりすることなどが一般的に行われる。しかし、塗布量を低減させると塗料のレベリングが悪化し塗布スジが発生したり、塗布ムラが生じたりする問題があり均一な薄層塗布が困難である。一方、固形分濃度を低下させると塗料の分散安定性が悪くなり、磁性粉末が再凝集しやすくなる問題がある。
磁性塗料の固形分濃度を低下させる、すなわち、磁性粉末をメディア型分散機によって結合剤樹脂中に分散させた磁性液を有機溶剤にて希釈して固形分濃度の低い磁性塗料を得る方法としては、(1)撹拌型の混合装置であるディスパを用いる方法が一般的であるが、この方法は、せん断力が小さいために、ミクロにみれば磁性塗料中に有機溶剤が液滴状で存在し、有機溶剤は磁性粉に吸着した結合剤樹脂の一部を脱着させ、磁性粉末同士を凝集させてしまう。
そのために、(2)ディスパで希釈・混合した後で、さらに大きなせん断力を有する超音波分散機や衝突型分散機を用いて、磁性液中の磁性粉より細かく分散させようとする試みも提案されているが、十分な効果を発揮するにいたっていない。また、(3)ディスパで希釈・混合した後で、メディア型分散機で磁性液を細かく分散させようとする試みも提案されているが、メディアの磨耗成分が混入したり、磁性粉末が損傷したりして磁気特性が低下し、電磁変換特性が低下する問題がある。
本発明者らの検討によれば、前記磁性液と希釈溶剤とをディスパ等の比較的小さなせん断力の装置で予備混合して、しかるのちに他の比較的高せん断力の混合・分散装置を用いる従来の混合・分散方法では、後段の高せん断力の混合・分散装置の性能を効果的に発揮させることが困難であることを見出した。
すなわち、磁性粉末を結合剤樹脂中に分散させた磁性液と希釈用の有機溶剤(以下希釈溶剤ともいう)を含む希釈液とを直接高圧で衝突させることにより、均一に混合・分散できることを見出したのである。
磁性液と希釈液とを高圧で衝突させるのは、市販の衝突型分散機を使用することができる。衝突分散機とは、高圧加圧手段により被分散塗料を高圧に加圧し、この塗料を狭い隙間から噴出させ被分散塗料同士あるいは被分散塗料と装置内壁との衝突による、せん断、摩砕作用を利用して微細分散する装置であり分散メデイアを使用しないために、分散に伴うコンタミの混入のないことが特徴である。
衝突型分散機としては、(株)スギノマシン製のアルティマイザ―、吉田機械興業(株)製のナノマイザー、三和機械(株)製のホモゲナイザー、マイクロフルイディックス社製のマイクロフルイダイザー等の市販の装置を、そのままあるいは改造して用いることができる。衝突型分散機を用いて2液を混合する技術に関しては、特開2000−153142号公報、特開平8−103642号公報、特開平7−144122号公報に開示されている。
通常の衝突型分散機は1液をプランジャーポンプで高圧に加圧し、狭い隙間から噴出して、装置内壁に衝突させたり、加圧後2経路に分岐させて、狭い隙間(オリフイス)から対向するように噴出して液同士を衝突させて分散させるようになっている。
前述の衝突型分散機を本発明に用いるためには、少なくとも磁性液を加圧するためのプランジャーポンプが必要となる。オリフイスから高圧、高速で噴出される磁性液と、別のオリフイスから噴出される希釈液とを衝突させて磁性液の希釈・混合・分散を行う。この場合、希釈液は必ずしも高圧に加圧する必要はなく供給した希釈液に磁性液を噴出して衝突させ、混合・分散を行うことができる。また、磁性液と希釈液との混合比率に応じて、液を加圧する圧力の大きさ、液を噴出する隙間(オリフィス)の内径を適宜調整することが好ましい。
以下、図面に基づいて、本発明の磁気記録媒体の製造方法に用いる一例の混合・分散装置について説明する。
図1は、本例の混合・分散装置に用いる一例の衝突型分散機の要部断面図である。本例の衝突型分散機10は、磁性液を導入する第1供給ノズル1、希釈液を導入する第2供給ノズル2、2液を混合・分散する混合室4、混合・分散された2液を排出する排出ノズル3から構成される。
第1供給ノズルは不図示のプランジャーポンプを介して磁性液を供給する不図示の磁性液供給タンクに連通している。第1供給ノズル1の混合室4側出口には、第1供給ノズル1のノズル径より径の小さな第1オリフイスが配設されており小さな隙間から磁性液を噴出するようになっている。
第2供給ノズル2は不図示のプランジャーポンプまたは、通常の供給ポンプを介して希釈液を供給する不図示の希釈液供給タンクに連通している。第2供給ノズル2の混合室4側出口には、第2供給ノズル2のノズル径より径の小さな第2オリフイス12が配設されており小さな隙間から希釈液を噴出するようになっている。
排出ノズル3は、混合室4からの入り口には、排出ノズル3のノズル径より径の小さな第3オリフイス13が配設されており、混合室4内を一定の圧力に保ちつつ、混合液を排出できるようになっている。混合室4の壁面は、耐摩耗性の良好な超鋼、セラミック材料などで覆われていることが好ましい。
図2は、本発明の磁気記録媒体の製造方法に用いる一例の混合・分散装置の概略構成図である。第1タンク20に入った磁性液は、第1ポンプ21(プランジャーポンプ)を介して、圧力P1に加圧されて衝突型分散機10の第1供給ノズル1に送られる。第2タンク30に入った希釈液は、第2ポンプ31(例えばプランジャーポンプまたはモーノポンプなどの通常の供給ポンプ)を介して、圧力P2に加圧されるか、または、とくに加圧されずに衝突型分散機10の第2供給ノズル2に送られる。第1ポンプ21で加圧された磁性液は、内径がD1の第1オリフイス11から混合室4に噴出される。第2ポンプ31により送られる希釈液は、内径がD2の第2オリフイス12から混合室4に噴出される。磁性液の噴出方向と希釈溶剤の噴出方向はθの角度をなすように各供給ノズル1、2が配設されている。各供給ノズル1、2から噴出された磁性液および希釈溶剤はθの角度をなして衝突し、混合室4内で瞬時に混合・分散される。混合・分散された磁性液および希釈溶剤は、内径がD3の第3オリフイス13を介して磁性塗料となって排出ノズル3から排出される。
尚、第1タンクに入った磁性液が第1ポンプから受ける圧力P1と、第2タンクに入った希釈液が第2ポンプから受ける圧力P2は、それぞれ第1圧力計22、第2圧力計32で計測可能になっている。
磁性液の加圧力P1は、50〜250MPaが好ましく、50〜200MPaがより好ましく、50〜150MPaが最も好ましい。この範囲が好ましいのは、50MPa未満では圧力が小さすぎで均一な混合が得られず、250MPaを超えると衝突時に発生する熱が大きすぎて、塗料が高温になりすぎて変質する場合があるからである。磁性液を噴出する第1オリフイス11の内径D1は、所望する磁性液の処理量に応じて適宜選択すればよいが、通常0.01〜1mmが好ましく、0.05〜0.8mmがより好ましく、0.1〜0.6mmが最も好ましい。この範囲が好ましいのは、0.01mm未満であると、処理量が少なくなすぎたり、1mmを超えると加圧に要するポンプの能力が大きくなりすぎるからである。
希釈液は、とくに加圧しなくても、磁性液の噴出流により生じる負圧により、混合室4内に引き込まれ磁性液と混合されるが、加圧することにより、より均一に磁性液と希釈液とを混合することができる。加圧する場合は、加圧力P2は、50〜250MPaが好ましく、50〜200MPaがより好ましく、50〜150MPaが最も好ましい。この範囲が好ましいのは、50MPa未満では圧力が小さすぎて加圧の効果が得られず、250MPaを超えると衝突時に発生する熱が大きすぎて、塗料が高温になりすぎて変質する場合があるからである。希釈液を噴出する第2オリフイス12の内径D2は、所望する希釈溶剤の処理量に応じて適宜選択すればよいが、通常0.01〜1mmが好ましく、0.05〜0.8mmがより好ましく、0.1〜0.6mmが最も好ましい。この範囲が好ましいのは、0.01mm未満であると、処理量が少なくなりすぎたり、1mmを超えると加圧に要するポンプの能力が大きくなりすぎるからである。
混合室4から混合液を排出する第3オリフイス13の内径D3は、所望する磁性塗料の処理量に応じて適宜選択すればよいが、通常0.5〜5mmが好ましく、1〜3mmがより好ましく、1〜2mmが最も好ましい。この範囲が好ましいのは、0.05mm未満であると、処理量が少なくなりすぎたり、5mmを超えると噴出流の圧力が逃げて混合が不十分になる場合があるからである。
磁性液の噴出流と希釈液の噴出流とのなす角度θは、5〜175°が好ましく、45〜135°がより好ましく、70〜110°が最も好ましい。この範囲が好ましいのは、角度θが5°未満では、噴出流同士の衝突効果が不十分となり、均一な混合が行われなくなり、175°を超えると噴出流同士が、対向しすぎて、希釈液の噴出流が磁性液の噴出流に押し戻される形になり、却って、混合効果が低下するからである。
磁性塗料は、通常以下の工程を経て製造される。図3を用いてこれらの磁性塗料の製造工程を説明する。まず、、高速攪拌混合機を用いて磁性粉末と固形添加剤と結合剤樹脂と分散剤と有機溶剤、とが、固形分濃度80〜95wt%にて混合される(混合工程41)。得られた混合粉末を二軸型連続混練機またはバッチ型混練機に投入し、少量の有機溶剤、もしくは樹脂溶液を添加して混練ペースト化したのち、排出可能となる粘度まで樹脂溶液や有機溶剤などで希釈する。(混練工程42)次に潤滑剤、有機溶剤等を加えて、攪拌型混合機を用いて攪拌し固形分濃度25〜45wt%の混合液が作製される(ミキシング工程43)。混合液がセラミックビーズなどの分散メディアを充填したメディア型分散機により微細分散処理され固形分濃度25〜45wt%の磁性液が作製される(分散工程44)。磁性液に硬化剤、希釈溶剤を加えて混合分散し固形分濃度10〜25wt%の磁性塗料を作製し(希釈工程45)、その後塗布工程に供する。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、上記希釈工程に衝突型分散機を使用して混合分散することが好ましい。すなわち、分散工程を経た磁性液に硬化剤、必要に応じて他の添加剤、希釈溶剤を混合し、塗布適性の良好な固形分濃度にまで塗料を希釈して、好適な磁性塗料を得ることができる。
希釈工程においては、架橋剤、必要に応じて他の添加剤、希釈溶剤を混合して希釈液を作製し、この希釈液と磁性液とを前述の衝突型分散機にて混合してもよいし、希釈に用いる各成分を別々に段階的に衝突型分散機を用いて磁性液と混合してもよい。
<磁性粉末>
本発明において磁性塗料の製造に使用される磁性粉末は、従来公知の磁性粉末を用いることができるが、例えば、強磁性鉄系金属磁性粉末、窒化鉄磁性粉末、板状の六方晶フェライト磁性粉末などが好ましく用いられる。平均粒子径50nm未満のもの、通常は、平均粒子径が10nm以上のものが好ましく、15〜40nmの範囲のものがより好ましい。この範囲が好ましいのは、平均粒子径が50nm以上になると、粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなり、また平均粒子径が10nm未満では、保磁力の低下や粒子の表面エネルギーが増大し、塗料中での分散が困難になるためである。
本願でいう粒子径とは、粒子が針状の場合は平均長軸径を指し、板状の場合は板径の大きい方の長さを指し、長軸長と短軸長の比が1〜3.5である球状ないし楕円状の場合は最大差し渡し径を指す。平均粒子径とは透過型電子顕微鏡(TEM)にて撮影した写真の粒子サイズを実測し、300個の数平均値により求められる。
<結合剤樹脂>
結合剤樹脂としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種と、ポリウレタン樹脂とを組み合わせたものなどが挙げられる。
これらの樹脂の中でも、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体樹脂とポリウレタン樹脂を併用するのが好ましい。
ポリウレタン樹脂には、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリエステルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン樹脂などがある。
このような結合剤樹脂は、官能基として、−COOH、−SOM、−OSOM、−P=O(OM)、−O−P=O(OM)〔これらの式中、Mは水素原子、アルカリ金属塩基またはアミン塩を示す〕、−OH、−NR、−N〔これらの式中、R、R、R、R、Rは水素または炭化水素基を示す〕、エポキシ基などを有しているものが、好ましく用いられる。
このような結合剤樹脂を使用すると、磁性粉末などの分散性が向上するためである。2種以上の樹脂を併用する場合には、官能基の極性を一致させるのが好ましく、中でも、−SOM基同士の組み合わせが好ましい。
これらの結合剤樹脂は、磁性粉末100重量部に対して、通常は、7〜50重量部、好ましくは10〜35重量部の範囲で使用するのがよい。とくに、塩化ビニル系樹脂とポリウレタン樹脂を併用する場合は、塩化ビニル系樹脂5〜30重量部とポリウレタン樹脂2〜20重量部とを併用するのが好ましい。
また、これらの結合剤樹脂とともに、結合剤樹脂中に含まれる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤を併用するのが好ましい。
このような架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソシアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ましく用いられる。
これらの架橋剤は、結合剤樹脂100重量部に対して、通常1〜50重量部の割合で用いられる。より好ましくは15〜35重量部である。
また、上記のような熱硬化性の結合剤樹脂の代わりに、放射線硬化性樹脂を用いてもよい。放射線硬化性樹脂としては、上記熱硬化性樹脂をアクリル変性し放射線感応性二重結合を持たせたものや、アクリルモノマー、アクリルオリゴマーが用いられる。
<有機溶剤>
本発明において、磁性塗料の製造に使用される有機溶剤としては、たとえば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル系溶剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール系溶剤、などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独でまたは混合して使用され、またトルエンなどと混合して使用される。
本発明において、磁性塗料の製造に使用される添加剤には、研磨剤、潤滑剤、分散剤が使用できる。
<研磨剤他>
磁性層に含ませる研磨剤としては、α−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素など、主としてモース硬度6以上のものが単独または組み合わせて使用できる。これらの研磨剤の粒子サイズとしては、通常、平均粒子径で10〜200nmであるのが好ましい。
また、磁性塗料には、必要により、導電性と表面潤滑性の向上を目的に、従来公知のカーボンブラックを添加してもよい。カーボンブラックには、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックなどを使用できる。平均粒子径が10〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、平均粒子径が10nm未満になると、カーボンブラックの分散が難しく、100nmを超えると、多量のカーボンブラックを添加する必要があり、いずれも表面が粗くなり、出力低下の原因になるためである。また、必要により、平均粒子径の異なるカーボンブラックを2種以上用いてもよい。
<潤滑剤>
磁性塗料には、塗料中に含まれる全粉体に対して、0.5〜5重量%の脂肪酸、0.2〜3重量%の脂肪酸のエステル、0.5〜5.0重量%の脂肪酸アミドを含有させることが好ましい。上記範囲の脂肪酸の添加が好ましいのは、0.5重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、5重量%を超えると、強靭性が失われるおそれがあるからである。
上記範囲の脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.2重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、3重量%を超えると、磁性層への移入量が多すぎるため、テープとヘッドが貼り付くなどの副作用を生じるおそれがあるためである。上記の範囲の脂肪酸アミド添加が好ましいのは、0.5重量%未満ではヘッド/磁性層界面での直接接触が起こり焼き付き防止効果が小さく、5.0重量%を超えるとブリードアウトしてドロップアウトなどの欠陥が発生する恐れがあるからである。脂肪酸としては、炭素数10以上の脂肪酸を用いるのが好ましい。炭素数10以上の脂肪酸は、直鎖、分岐、シス・トランスなどの異性体のいずれでもよいが、潤滑性能にすぐれる直鎖型が好ましい。この脂肪酸には、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸などがある。これらの中でも、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸などが好ましい。
脂肪酸エステルとしては、前記脂肪酸のエステルを用いるのが好ましい。脂肪酸アミドとしては、パルミチン酸、ステアリン酸などの炭素数が10以上の脂肪酸アミドが使用可能である。
<分散剤>
磁性粉末、研磨材やカーボンブラックなどの添加剤を良好に分散させるために分散剤を使用することができる。このような分散剤としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸などの炭素数12〜18個の脂肪酸〔RCOOH(Rは炭素数11〜17個のアルキル基またはアルケニル基)〕、上記脂肪酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属からなる金属石けん、上記脂肪酸エステルのフッ素を含有した化合物、上記脂肪酸のアミド、ポリアルキレンオキサイドアルキルリン酸エステル、レシチン、トリアルキルポリオレフィンオキシ第四級アンモニウム塩(アルキルは炭素数1〜5個、オレフィンはエチレン、プロピレンなど)、硫酸塩、スルホン酸塩、りん酸塩、銅フタロシアニンなどの従来公知の各種の分散剤を、いずれも使用することができる。これらは、単独でも組み合わせて使用してもよい。分散剤は、いずれの層でも、結合剤樹脂100重量部に対し、通常0.5〜20重量部の範囲で添加される。
本発明においては、上記した磁性粉末および結合剤樹脂とともに、有機溶剤や上記の添加剤成分などを使用して、前記方法で分散処理して磁性塗料を製造したのち、この磁性塗料を使用して、常法に準じて、非磁性支持体上に塗布し、乾燥して、磁性層を形成し、所要の処理工程を経ることにより、磁気記録媒体を製造する。
ここで、磁性層の厚さは、0.01μm以上、0.1μm以下が好ましい。この範囲が好ましいのは、0.01μm未満では得られる出力が小さいのと、均一な磁性層を塗布するのが困難であり、0.1μmを超えると、短波長信号の分解能が悪くなる場合があるからである。短波長記録特性をさらに向上させるには、磁性層の厚さは0.01〜0.08μmであるのがより好ましく、0.02〜0.06μmが最も好ましい。
本発明において、上記の磁性層は、非磁性支持体上に直接形成することもできるが、通常は、下塗り層を介して形成するのが好ましい。また、この磁性層の上に、必要により、磁性層の保護などのため、トップコート層(最上層非磁性層)を設けてもよい。さらに、上記の磁性層は、磁気記録媒体の容量を大きくするために、非磁性支持体の両面側に形成してもよい。一方、非磁性支持体の片面にのみ磁性層を形成する場合は、通常は、その背面側にバックコート層を形成するのが好ましい。
<非磁性支持体>
非磁性支持体の厚さは、用途によって異なるが、通常は、1.5〜11μmのものが使用される。非磁性支持体の厚さは、より好ましくは2〜7μmである。この範囲の厚さの非磁性支持体が使用されるのは、1.5μm未満となると、製膜が難しくなり、またテープ強度が小さくなるためであり、11μmを超えると、テープ全厚が厚くなり、テープ1巻あたりの記録容量が小さくなるためである。
非磁性支持体の長手方向のヤング率としては、5.8GPa(590kg/mm)以上が好ましく、7.1GPa(720kg/mm )以上がより好ましい。非磁性支持体の長手方向のヤング率が5.8GPa以上がよいのは、長手方向のヤング率が5.8GPa未満では、テープ走行が不安定になるためである。
ヘリキャルスキャンタイプでは、長手方向のヤング率(MD)/幅方向のヤング率(TD)は、0.6〜0.8の範囲が好ましく、0.65〜0.75の範囲がより好ましい。長手方向のヤング率/幅方向のヤング率が、上記範囲がよいのは、0.6未満または0.8を超えると、メカニズムは現在のところ不明であるが、磁気ヘッドのトラックの入り側から出側間の出力のばらつき(フラットネス)が大きくなるためである。このばらつきは、長手方向のヤング率/幅方向のヤング率が0.7付近で最小になる。
また、リニアレコーディングタイプでは、長手方向のヤング率/幅方向のヤング率は、理由は明らかではないが、0.7〜1.3が好ましい。
非磁性支持体の幅方向の温度膨張係数は、−10〜10×10−6、湿度膨張係数は、0〜10×10−6が好ましい。この範囲が好ましいのは、この範囲をはずれると、温度・湿度の変化によりオフトラックが生じエラーレートが大きくなるからである。
以上のような特性を満足する非磁性支持体としては、たとえば、二軸延伸のポリエチレンテレフタレートフイルム、ポリエチレンナフタレートフイルム、芳香族ポリアミドフィルム、芳香族ポリイミドフィルムなどが挙げられる。
<下塗り層>
高記録密度の磁性層を得るためには、磁性層の厚さを薄くすることが好ましく、耐久性のある薄層の磁性層を安定して得るためには、磁性層と非磁性支持体との間に下塗り層(非磁性層)を設けることが好ましい。下塗り層の厚さは、0.2μm以上、1.5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.8μm以下がさらに好ましい。この範囲が好ましい理由は、0.2μm未満では、磁性層の厚さむら低減効果や、耐久性の向上効果が小さくなり、また1.5μmを超えると、磁気テープの全厚が厚くなりすぎて、テープ1巻あたりの記録容量が小さくなるためである。この下塗り層に使用する結合剤樹脂(ないし架橋剤)や下塗り層形成のための塗料溶剤には、磁性塗料の場合と同様のものが用いられる。
下塗り層に使用する非磁性粉末には、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウムなどがあるが、酸化鉄単独または酸化鉄と酸化アルミニウムの混合系が好ましい。非磁性粉末の粒子形状は、球状、板状、針状、紡錘状のいずれでもよいが、針状、紡錘状の場合は、通常、長軸長が20〜200nm、短軸長が5〜200nmのものが好ましい。非磁性粉末を主成分とし、これに必要により粒子径が0.01〜0.1μmのカーボンブラック、粒子径が0.05〜0.5μmの酸化アルミニウムを補助的に含有させることが多い。下塗り層を平滑にかつ厚みムラを少なく塗布するには、上記の非磁性粒子およびカーボンブラックは、とくに粒度分布がシャープなものを用いるのが好ましい。
下塗り層には、平均粒子径が10〜100nmの非磁性板状粉末を添加することもできる。非磁性板状粉末の成分としては、セリウムなどの希土類元素、ジルコニウム、珪素、チタン、マンガン、鉄などの元素の酸化物または複合酸化物が用いられる。
導電性改良の目的で、平均粒子径が10〜100nmのグラファイトのような板状炭素性粉末や平均粒子径が10〜100nmの板状ITO(インジウム・スズ複合酸化物)粉末などを添加してもよい。上記の非磁性板状粉末を添加することにより、膜厚の均一性、表面平滑性、剛性、寸法安定性が改善される。
<バックコート層>
本発明において、磁気テープを構成する非磁性支持体の他方の面(磁性層が形成されている面とは反対側の面)には、走行性の向上などを目的として、バックコート層を設けることができる。
バックコート層の厚さは、0.2〜0.8μmが好ましい。この範囲が良いのは、0.2μm未満では、走行性向上効果が不十分で、0.8μmを超えると、テープ全厚が厚くなり、1巻あたりの記録容量が小さくなるためである。バックコート層の中心線平均表面粗さRaは、3〜8nmが好ましく、4〜7nmがより好ましい。
バックコート層には、通常、カーボンブラックを含ませる。カーボンブラックには、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックなどを使用できる。通常は、小粒子径カーボンブラックと大粒子径カーボンブラックを使用する。小粒子径カーボンブラックと大粒子径カーボンブラック合計の添加量は、無機粉体重量を基準にして、60〜100重量%が好ましく、70〜100重量%がより好ましい。
小粒子径カーボンブラックには、平均粒子径5〜200nmのものが使用されるが、平均粒子径10〜100nmのものがより好ましい。この範囲がより好ましいのは、平均粒子径が10nm未満では、カーボンブラックの分散が難しくなり、平均粒子径が100nmを超えると、多量のカーボンブラックを添加する必要があり、いずれも表面が粗くなり磁性層への裏移り(エンボス)の原因になるためである。大粒子径カーボンブラックとして、小粒子径カーボンブラックの5〜15重量%、平均粒子径200〜400nmの大粒子径カーボンブラックを使用すると、表面も粗くならず、走行性向上効果も大きくなる。
バックコート層には、強度、温度・湿度寸法安定性などの向上を目的に、平均粒子径が10〜100nmの非磁性板状粉末を添加することができる。非磁性板状粉末の成分は、酸化アルミニウムのほか、セリウムなどの希土類元素、ジルコニウム、珪素、チタン、マンガン、鉄などの元素の酸化物または複合酸化物が用いられる。
導電性改良の目的で、平均粒子径が10〜100nmの板状炭素性粉末や平均粒子径が10〜100nmの板状ITO粉末などを添加してもよい。また、必要に応じて、平均粒子径が0.1〜0.6μmの粒状酸化鉄粉末を添加してもよい。添加量としては、バックコート層中の全無機粉体の重量を基準にして、2〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。また、平均粒子径が0.1〜0.6μmのアルミナを添加すると、耐久性がさらに向上するので、好ましい。
バックコート層には、結合剤樹脂として、磁性塗料の場合と同様のものを使用できる。これらの中でも、摩擦係数を低減し走行性を向上させるため、セルロース系樹脂とポリウレタン系樹脂とを複合して併用するのが好ましい。
結合剤樹脂の含有量は、通常、カーボンブラックと無機非磁性粉末との合計量100重量部に対して、40〜150重量部、好ましくは50〜120重量部、より好ましくは60〜110重量部、さらに好ましくは70〜110重量部である。上記範囲が好ましいのは、40重量部未満では、バックコート層の強度が不十分であり、150重量部を超えると、摩擦係数が高くなりやすいためである。セルロース系樹脂を30〜70重量部、ポリウレタン系樹脂を20〜50重量部使用するのが好ましい。
バックコート層には、結合剤樹脂を硬化するために、ポリイソシアネート化合物などの架橋剤を用いるのが好ましい。架橋剤には、磁性層の場合と同様のものを使用できる。架橋剤の量は、結合剤樹脂100重量部に対して、通常10〜50重量部、好ましくは10〜35重量部、より好ましくは10〜30重量部である。上記範囲が好ましいのは、10重量部未満では、バックコート層の塗膜強度が弱くなりやすく、35重量部を超えると、SUSに対する動摩擦係数が大きくなるためである。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の部は、重量部である。また、実施例および比較例中の平均粒子径は、数平均粒子径である。
[実施例1]
<下塗り塗料成分>
(1)成分
針状酸化鉄 68部
カーボンブラック 20部
粒状アルミナ粉末 12部
メチルアシッドフォスフェート 1部
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 9部
(含有−SONa基:0.7×10−4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂 5部
(ガラス転移温度:40℃、含有−SONa基:1×10−4当量/g)
テトラヒドロフラン 13部
シクロヘキサノン 63部
メチルエチルケトン 137部
(2)成分
ステアリン酸ブチル 2部
シクロヘキサノン 50部
トルエン 50部
(3)成分
ポリイソシアネート 6部
シクロヘキサノン 9部
トルエン 9部
<磁性塗料成分>
(1)成分
粒状窒化鉄磁性粉 100部
(Al−Y−Fe−N)〔σs:85Am/kg(85emu/g)
Hc:214.9kA/m(2700Oe)平均粒子径17nm〕
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 19.2部
アルミナ粉末 10部
カーボンブラック 2部
メチルアシッドフォスフェート 4部
メチルエチルケトン 6部
テトラヒドロフラン 12部
(2)成分
ポリエステルポリウレタン樹脂 6部
メチルエチルケトン 59部
トルエン 50部
(3)成分
パルミチン酸アミド 1部
ステアリン酸ブチル 1部
シクロヘキサノン 163部
トルエン 124部
(4)成分
ポリイソシアネート 3.4部
シクロヘキサノン 285部
上記の下塗り成分において(1)を回分式ニーダで混練し、(2)を加えて撹拌の後、サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これに(3)を加え撹拌・ろ過した後、下塗り塗料(下塗り層用塗料)とした。
これとは別に、上記の磁性塗料成分のうち上記(1)成分を混合工程41として、高速攪拌混合機にて予め高速混合した。続いて混練工程42としてその混合粉末に(2)成分を加えて加圧式ニーダで混練し、その後分散しやすい粘度まで希釈した。次に、ミキシング工程43として、(3)成分を加えて撹拌しながら希釈を行った。
更に分散工程44として、ナノミル(浅田鉄工社製)で滞留時間60分にて分散処理を行った。次に希釈工程45としては、図2のタンク20に分散後に得られた磁性液を、タンク30に希釈液となる(4)成分を入れ、第1ポンプ21(プランジャーポンプ)の圧力P1は100Mpa、第1オリィフィス11の内径D1は0.18mm、第2ポンプ31(プランジャーポンプ)の圧力P2は100Mpa、第2オリィフィス12の内径D2は0.14mmに設定し、図1で示した衝突分散機(θ=90°)を用いて混合・分散し、孔径0.8μmのフィルタにて濾過し、磁性塗料を調整した。
上記下塗り塗料を、厚さ8μmのポリエチレンナフタレートフィルムからなる非磁性支持体上に、乾燥、カレンダ後の厚さが0.8μmになるように塗布し、下塗り層上に、上記の磁性塗料をエクストルージョン型コータにてウエット・オン・ウエットで、乾燥、カレンダ後の厚さが0.08μmになるように塗布し、磁場配向(N−N対向磁石(398kA/m)+ソレノイドコイル(398kA/m))処理後、ドライヤおよび遠赤外線を用いて乾燥し、磁気シートを作製した。
<バックコート層用塗料成分>
カーボンブラック(平均粒子径25nm) 80部
カーボンブラック(平均粒子径350nm) 10部
粒状酸化鉄(平均粒子径50nm) 10部
ニトロセルロース 45部
ポリウレタン樹脂 30部
シクロヘキサノン 260部
トルエン 260部
メチルエチルケトン 525部
上記のバックコート層用塗料成分をサンドミルで分散した後、ポリイソシアネート15部を加えてバック層用塗料を調整し、ろ過後、上記で作製した磁気シートの磁性層の反対面に塗布し乾燥させた。
このようにして得られた磁気シートを金属ロールからなる7段カレンダで、温度100℃、線圧196kN/mの条件で鏡面化処理(カレンダ処理)し、磁気シートをコアに巻いた状態で60℃48時間エージングして評価用の磁気シートを作製した。得られた磁気シートの磁性層厚みは0.08μmであった。
[実施例2〜5]
混合・分散装置の条件を表1示した条件に変えた以外は、実施例1と同様にして、評価用の磁気シートを作製した。尚、実施例2、4、5では、第2ポンプ31はモーノポンプを使用した。
[実施例6]
磁性粉末を、強磁性鉄系金属磁性粉末(Al−Y−Fe−Co)(σs:110Am/kg(110emu/g,Hc:148.4kA/m(1865Oe),平均粒子径:35nm)に変えた以外は、実施例1と同様にして、評価用の磁気シートを作製した。
[比較例1]
衝突型分散機による磁性液と希釈液との希釈工程を行わず、撹拌型混合機のディスパにより希釈工程を行った以外は、実施例1と同様にして、評価用の磁気シートを作製した。
[比較例2]
希釈工程の後に撹拌軸及び容器内面をセラミック被覆したサンドミルにて、滞留時間20分混合・分散処理を行った以外は、比較例1と同様にして、評価用の磁気シートを作製した。尚分散メディアとして0.1μmのジルコニアビーズを使用した。
[比較例3]
磁性層の厚さを0.11μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、評価用の磁気シートを作製した。
[比較例4]
磁性粉末を、強磁性鉄系金属磁性粉末(Al−Y−Fe−Co)(σs:120Am/kg(120emu/g,Hc:177.5kA/m(2230Oe),平均粒子径:45nm)に変えた以外は、実施例1と同様にして、評価用の磁気シートを作製した。
得られた評価用の磁気シートを下記の方法で評価した。
〈磁性層の表面粗さ〉
評価用の磁気シートの磁性層をZYGO社製汎用三次元表面構造解析装置NewView5000による走査型白色光干渉法にてScan Lengthを5μmで測定した。測定視野は、350μm×260μmである。磁性層の中心線平均表面粗さをRaとして求めた。
〈C/N測定〉
評価用の磁気シートの電磁変換特性測定には、ドラムテスターを用いた。ドラムテスターには電磁誘導型ヘッド(トラック幅25μm、ギャップ0.1μm)とMRヘッド(トラック幅8μm)を装着し、誘導型ヘッドで記録、MRヘッドで再生を行った。両ヘッドは回転ドラムに対して異なる場所に設置されており、両ヘッドを上下方向に操作することで、トラッキングを合わせることができる。磁気シートから長手方向に60cmを切り出し、更に4mm幅に加工して回転ドラムの外周に巻き付けた。
出力及びノイズは、ファンクションジェネレータにより波長0.2μmの矩形波を書き込み、MRヘッドの出力をスペクトラムアナライザーに読み込んだ。0.2μmのキャリア値を媒体出力Cとした。また0.2μmの矩形波を書き込んだときに、出力及びシステムノイズを差し引いた値の積分値をノイズ値Nとして用いた。更に両者の比をとってC/Nとし、C、C/Nともにリファレンスとして用いている比較例1の磁気シートの値との相対値を求めた。
上記実施例1〜6、比較例1〜4で得られた磁気シートの評価を、表1、表2に示す。
Figure 2009099201
Figure 2009099201

本発明の磁気記録媒体の製造方法に用いる一例の衝突型分散機の要部断面図である。 本発明の磁気記録媒体の製造方法に用いる一例の混合・分散装置の概略構成図である。 本発明の磁気記録媒体の製造方法の一例を示したフローチャートである。
符号の説明
1 第1供給ノズル
2 第2供給ノズル
3 排出ノズル
4 混合室
10 衝突型分散機
11 第1オリフイス
12 第2オリフイス
13 第3オリフイス

Claims (1)

  1. 非磁性支持体の一方の面に、厚さが0.1μm以下の磁性層を少なくとも有する磁気記録媒体の製造方法であって、
    前記磁性層は、磁性粉末と結合剤樹脂と有機溶剤とを含む磁性塗料を塗布することにより形成され、
    前記磁性粉末は平均粒子径が10〜40nmであり、
    前記磁性塗料が、前記磁性粉末をメディア型分散機によって結合剤樹脂中に分散させて磁性液を得る分散工程と、前記磁性液が有機溶剤を含む希釈液にて希釈される希釈工程とを含む製造方法で製造され、前記希釈工程が前記磁性液と前記希釈液とを衝突型分散機によって混合・分散することによりなされることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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