JP2009015137A - 定着部材、定着装置、及び、画像形成装置 - Google Patents

定着部材、定着装置、及び、画像形成装置 Download PDF

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孝之 吉井
Tomohito Tokai
智史 東海
Koji Kamiya
公二 神谷
Haruaki Kondo
玄章 近藤
Hidenori Machida
秀則 町田
Michitaka Higaki
道隆 樋垣
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Abstract

【課題】最外層が耐屈曲性・耐摩耗性に優れ、かつ、潤滑性を兼ね備えることで、高画質を可能とし、かつ、長寿命な定着部材、このような定着部材を用いた定着装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数層により形成されており、かつ、その最外層がフッ素樹脂により形成されているフッ素樹脂層である定着部材において、前記フッ素樹脂層が、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60以上のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体にポリテトラフルオロエチレンが配合されてなる樹脂組成物から構成されている定着部材。
【選択図】図3

Description

本発明は、定着部材、この定着部材を用いた定着装置および画像形成装置に関するものである。
転写材上のトナー像に定着ベルトや定着ローラなどの定着部材を圧接させて、トナー像を定着させる定着装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の定着装置は、ベルト曲率の小さい定着ローラと加熱ローラに張架されて、加熱ローラによって加熱されながら無端移動する定着ベルトを備え、転写材上のトナー像に定着ベルトを圧接させて、転写材上のトナー像を加熱定着している。この定着ベルトは、ポリイミド等の耐熱性樹脂や金属からなる基体、耐熱性を有するゴム、エラストマーからなる弾性層、及び、フッ素樹脂からなる離型層(最外層)の3層構造となっているのが一般的である。
上記フッ素樹脂からなる離型層は、押し出し成形によって形成されたフッ素樹脂チューブを上記弾性層に被覆した後、フッ素樹脂を加熱溶融(以下、焼成)して形成している。また、弾性層にフッ素樹脂の粒子をスプレーなどで塗布した後、焼成して離型層を形成することもある。このように、離型層をフッ素樹脂から形成することで、離型性、耐熱性に優れた定着ベルトとすることができる。しかしながら、上記フッ素樹脂は、屈曲性に乏しいため、このような定着ベルトをベルト曲率の小さい定着ローラと加熱ローラとに張架されて長時間使用すると、離型層にクラックが生じてしまい、充分なベルト耐久性を得ることができなかった。
このような問題を解決するために、種々の提案がされてきた。例えば、特許文献2には、上記離型層を溶融粘度(MFR(メルトフローレート))が3g/10分以下のフッ素樹脂から構成することにより、長時間使用してもクラックの発生しない定着ベルトとする技術が記載されている。また、特許文献3には、離型層に対し耐屈曲性に加え、対摩耗性を向上させるものとして、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60以上のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)の使用が提案されている。
しかしながら、特許文献2や特許文献3に記載されたフッ素樹脂からなる離型層では、定着ベルトの外周面がサーミスタや分離爪などの部材によって摺擦されることで摺擦部分が局所的に摩耗したり、表面に微小な傷を生じ、転写紙上の定着画像に光沢のムラとなって現れるという不具合があった。
さらに上記問題は、定着ベルトだけではなく、定着ローラにおいても同様に発生する。
特開2002−268436号公報 特開2003−167462号公報 特開2005−301199号公報
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、最外層が耐屈曲性・耐摩耗性に優れ、かつ、潤滑性を兼ね備えることで、高画質を可能とし、かつ、長寿命な定着部材、このような定着部材を用いた定着装置および画像形成装置を提供することを目的としている。
本発明の定着部材は上記課題を解決するため、請求項1に記載の通り、複数層により形成されており、かつ、その最外層がフッ素樹脂により形成されているフッ素樹脂層である定着部材において、前記フッ素樹脂層が、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60以上のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体にポリテトラフルオロエチレンが配合されてなる樹脂組成物から構成されていることを特徴とする定着部材である。
また、本発明の定着部材は請求項2に記載の通り、請求項1に記載の定着部材において、前記フッ素樹脂層のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の少なくとも一部が、372℃での5kgf荷重におけるメルトフローレートが2g/10分以下のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体であることを特徴とする。
また、本発明の定着部材は請求項3に記載の通り、請求項1または請求項2に記載の定着部材において、前記フッ素樹脂層中のポリテトラフルオロエチレンの配合量が1重量%以上35重量%以下であることを特徴とする。
本発明の定着装置は請求項4に記載の通り、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の定着部材を備えたことを特徴とする定着装置である。
本発明の画像形成装置は請求項5に記載の通り、請求項4に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
本発明の定着部材によれば、フッ素樹脂層が、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60以上のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体にポリテトラフルオロエチレンが配合されてなる樹脂組成物から構成されているために、定着部材の離型層の耐屈曲性(曲げ寿命)及び、耐摩耗性が向上し、長期の使用にわたって異常画像の発生することのない定着部材となる。
また、請求項2に記載の本発明の定着部材によれば、フッ素樹脂層のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の少なくとも一部が、372℃での5kgf荷重におけるメルトフローレートが2g/10分以下のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体であるために、定着ベルトの離型層の耐屈曲性(曲げ寿命)、耐摩耗性をさらに向上することができ、長期の使用にわたって異常画像の発生することのない定着部材となる。
また、請求項3に記載の本発明の定着部材によれば、フッ素樹脂層中のポリテトラフルオロエチレンの配合量が1重量%以上35重量%以下であるために、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の持つ耐屈曲性を損なうことなく、定着部材の表面に潤滑性を付与することが可能で、耐摩耗性と潤滑性との両立が図れる。
また、請求項4に記載の本発明の定着装置によれば、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の定着部材を備えているために、長期間の使用でも異常画像の発生することのない定着装置となる。
また、請求項5に記載の本発明の画像形成装置によれば、請求項4に記載の定着装置を備えているために、長期間の使用でも異常画像の発生することのない画像形成装置となる。
以下、本発明に係る画像形成装置の一例を図1に示す。この画像形成装置は、記録媒体としての転写紙Pを搬送する搬送ベルト20に沿って、その移動方向の上流側から順に、複数個の画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Bkが配列された、所謂タンデム型の画像形成装置である。
この画像形成装置における各画像形成ユニットは、周知の電子写真プロセスにより、10Yがイエロー、10Mがマゼンタ、10Cがシアン、10Bkが黒の画像を順次形成するように構成されている。なお、これらの各画像形成ユニットは、形成する画像の色が異なるだけで、それぞれ共通した内部構成を有している。このため、各画像形成ユニットの構成は、図1に示すように、それぞれに共通の構成要素を示す符号の末尾にY、M、C、Bkの文字を付して、各画像形成ユニットを区別する。そして、以下の説明では、主に画像形成ユニット10Yの構成について示し、この画像形成ユニット10Yの構成を示すが、符号の末尾YをM、C、あるいは、Bkとして読み替えることにより他の画像形成ユニットの構成の説明を兼ねる。
図1において、搬送ベルト20は、無端状のエンドレスベルトで構成されている。この搬送ベルト20は、駆動回転される駆動ローラ7と、従動回転される従動ローラ8とによって回転自在に張架されており、駆動ローラ7の回転により矢印の向きに回転する。搬送ベルト20の下方には、転写紙束が収納された給紙トレイ50が配設されている。給紙トレイ50に収納された転写紙束のうち、最上位置にある転写紙Pは、画像形成時に送り出され、静電吸着により搬送ベルト20の外周面に吸着される。この搬送ベルト20の外周面に吸着された転写紙Pは、まず、搬送ベルト20の回転方向の最上流側に配置された画像形成ユニット10Yに搬送される。
この画像形成ユニット10Yは、像担持体としての感光体ドラム1Y、感光体ドラム1Yの周囲に配置された帯電器2Y、露光器3Y、現像器4Y、感光体クリーナ6Yなどから構成されている。
上記露光器3Yは、レーザスキャナからなり、レーザ光源からのレーザ光をポリゴンミラーで反射させ、fθレンズや偏向ミラー等を用いた光学系を介してレーザ光を出射するように構成されている。
上記感光体ドラム1Yの周面は、画像形成に際し、暗中にて上記帯電器2Yにより一様に帯電される。その後、この帯電された感光体ドラム1Yの周面に、上記露光器3Yからのイエロー画像に対応した画像光からなるレーザ光が露光される。この露光により、感光体ドラム1Yの周面に、イエロー画像に対応した静電潜像が形成される。この静電潜像は、上記現像器4Yから供給されるイエロートナーにより可視像化される。これにより、感光体ドラム1Y上にイエロートナー像が形成される。
このイエロートナー像は、感光体ドラム1Yと搬送ベルト20上の転写紙Pとが接する転写位置で、搬送ベルト20を挟んで感光体ドラム1Yに対向配置された転写器5Yにより転写紙P上に転写される。この転写により、転写紙P上にイエロートナー像が形成される。この転写を終えた感光体ドラム1Yは、その周面に残留した不要なトナーが上記感光体クリーナ6Yにより除去されて、次の画像形成に備えられる。
このようにして、画像形成ユニット1Yでイエロー色のトナー像を転写された転写紙Pは、搬送ベルト20によって次の画像形成ユニット10Mに搬送される。この画像形成ユニット10Mでは、画像形成ユニット10Yの場合と同様のプロセスにより感光体ドラム1M上にマゼンタトナー像が形成される。このマゼンタトナー像は、感光体ドラム1Mと搬送ベルト20上の転写紙Pとが接する転写位置で、転写器5Mにより転写紙P上のイエロートナー像に重ね合わせて転写される。
このイエロートナー像及びマゼンタトナー像を転写された転写紙Pは、搬送ベルト20によって次の画像形成ユニット10Cに搬送される。この画像形成ユニット10Cでは、画像形成ユニット10Y,10Mの場合と同様のプロセスにより感光体ドラム1C上にシアントナー像が形成される。このシアントナー像は、感光体ドラム1Cと搬送ベルト20上の転写紙Pとが接する転写位置で、転写器5Cにより転写紙P上のイエロートナー像及びマゼンタトナー像に重ね合わせて転写される。
このイエロー、マゼンタ、及びシアンの各色のトナー像を転写された転写紙Pは、搬送ベルト20によって次の画像形成ユニット10Bkに搬送される。この画像形成ユニット10Bkでは、画像形成ユニット10Y,10M,10Cの場合と同様にして感光体ドラム1Bk上に黒トナー像が形成される。この黒トナー像は、感光体ドラム1Bkと搬送ベルト20上の転写紙Pとが接する転写位置で、転写器5Bkにより転写紙P上の各色のトナー像に重ね合わせて転写される。
これにより、転写紙P上に、イエロー、マゼンタ、シアン、及び黒の各色のトナー像が合成されたフルカラーのカラー画像が形成される。そして、このフルカラーの合成画像が形成された転写紙Pは、画像形成ユニット10Bkを通過した後、搬送ベルト20から剥離されて定着装置40にて定着された後、排紙される。
図2は、ベルト方式の定着装置40の説明図である。図2に示されているように、この定着装置40は、加熱ローラ44と定着ローラ41とによって回転可能に設けた定着ベルト(定着部材)45を備えている。定着ローラ41は、金属製の芯金の外周に耐熱性のスポンジゴム層を有している。加熱ローラ44は、金属製の芯金にハロゲンランプ46等の加熱手段を内蔵しており、この輻射熱によって定着ベルト45を内側から加熱している。また、加熱ローラ44と対向する位置には、温度センサ素子であるサーミスタ49を配置し、定着ベルト45の中央部に接触して定着ベルト45の表面温度を検知する。加熱ローラ44は制御設定温度が設定されており、サーミスタ49の温度検知に基づき、その設定温度になるように図示されていない温度制御装置によってハロゲンランプ46の点灯を制御する。また、定着ベルト45を介して定着ローラ41に接するように設けた加圧ローラ42を備えている。加圧ローラ42は、バネ43によって定着ローラ41を加圧している。また、加圧ローラ42は、図示しない駆動手段によって回転しており、これにより、定着ローラ41が従動回転するようになっている。定着ベルトの移動方向に対して加圧ローラ42が接触する定着ニップより上流側に、定着ベルト45の中央部付近に接触するテンションローラ47が設けられている。このテンションローラ47は、バネ48によって図中左側に加圧され、これにより、定着ベルト45にテンションが付与されている。なお、この実施形態においては、駆動手段を加圧ローラ42に設けているが、定着ローラ41に設け、加圧ローラ42を従動回転させてもよい。また、加圧ローラ42と定着ローラをギヤで噛み合わせ、加圧ローラ42と定着ローラ41両方に駆動手段の駆動力をギヤを介して伝達するようにして、加圧ローラ42と定着ローラ41両方を回転駆動させても良い。
このようなベルト方式の定着装置40は、加熱ローラ44で加熱された定着ベルト45と加圧ローラ42との間に転写紙Pを通過させて、転写紙Pの上に付着しているトナーを定着ベルト45の熱により軟化させつつ加圧ローラ42で加圧して転写紙P上に定着させる。
図3は、本発明に係る定着部材の1例である定着ベルト45の断面図である。図3に示すように、ポリイミドなどの耐熱性樹脂からなる円筒状(無端ベルト状)のフィルム基体451の外周に、プライマーを介してシリコーンゴムからなる弾性層452を有している。さらに弾性層452の外周にプライマーを介してフッ素樹脂からなる離型層453を有している。フィルム基体451は、耐熱性と機械的強度を備えた材料であればよく、ポリイミドなどの耐熱性樹脂の他に、例えば、NiやSUSなどの金属でも良い。弾性層452は、安定した定着性能を得るため、トナーおよび転写紙Pに対して熱と圧力を均一に与える材質であれば良く、弾性を有し、耐熱性のある材料であれば良い。
最外層である離型層(フッ素樹脂層)453を構成するフッ素樹脂は、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60以上のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が配合されてなるものである。耐屈曲性に優れるテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体に、潤滑性に優れるポリテトラフルオロエチレンをブレンドすることで、耐久性のよい定着ベルトとすることができる。
また、上記のような材質からなる離型層453は、例えば弾性層452上にプライマーを介して塗布・焼成することで得ることができる。ここで、焼成温度は、用いるポリテトラフルオロエチレンの融点以下で、かつ、用いるテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の融点以上である必要がある。このような温度で焼成することにより、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の中にポリテトラフルオロエチレンが分散する構造が形成され、高い潤滑効果が得られる。
ここで用いられるテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体としては、パーフルオロアルキルビニルエーテル成分を増やし、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体である。
図4は、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60のPFAと、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/150のPFAの耐屈曲性について調べたグラフである。
図中の実線は、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体で得られた結果であり、図中の点線は、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/150のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体での結果である。
一方、メルトフローレートは372℃で、5kgf荷重におけるにおいてJIS K 7210に準じて評価した値である。
図4から理解されるように、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体は、同じメルトフローレート値のもので比較すると、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/150のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体に比べて、耐屈曲性が向上していることがわかる。これは、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体は、その結晶化が抑制されて、その結果、耐屈曲性(曲げ寿命)が向上したと考えられる。
さらに、図4から、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率にかかわらず、メルトフローレートの値の小さいテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体が、耐屈曲性に優れていることがわかる。これは、メルトフローレートの小さいテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体は分子量が大きく、そのために、耐屈曲性が向上したと考えられる。
上記のような耐屈曲性に優れたテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体にポリテトラフルオロエチレンをブレンドすることで、表面の潤滑性を向上(摩擦係数を低減)し、耐摩耗性の向上、サーミスタ49や分離爪などの摺擦による傷を防止することができる。ポリテトラフルオロエチレンの添加量としては、ポリテトラフルオロエチレンの持つ潤滑効果が発現し、かつ、主成分となるテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の持つ耐屈曲性を損なわない程度の量として、1重量%以上35重量%以下の範囲が望ましい。さらに好ましくは5重量%以上15重量%以下の範囲で潤滑効果と耐屈曲性をさらに良く両立することができる。
上述では、離型層453を弾性層452上にプライマーを介して塗布・焼成することで形成しているが、これに限らず、例えば、フッ素樹脂を押し出し成形してフッ素樹脂のチューブを作製し、このチューブを、プライマーを介して弾性層452に被覆し焼成することで離型層453を形成することもできる。
定着ベルト45の耐久性、平滑性を考慮した場合、離型層453の厚みは、10μm以上であることが好ましい。
また、上述の定着ベルト45は、フィルム基体451と弾性層452と離型層453の3層構造であるが、フィルム基体451と離型層453の2層構造であっても良い。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
定着ベルトの耐屈曲性(クラックによる異常画像)、耐摩耗性(サーミスタによる摺擦部分での光沢ムラ)について調べた結果について説明する。
[実施例1]
実施例1の定着ベルトは次のようにして作製した。ポリイミドからなる厚さが90μmの円筒状のエンドレスフィルム基体の外周面に、プライマー(東レ・ダウコーニングシリコーン社製DY39−067)をスプレーコートにて厚さが4μmとなるよう成膜し、室温で充分に乾燥した。その後、2液付加型液状シリコーンゴム(東レ・ダウコーニングシリコーン社製DY35−2083)を2液混合後、トルエンにて適量希釈した。この溶液をスプレーコートにて厚さが200μmとなるよう塗布、120℃で10分間硬化処理後、さらに200℃で4時間、2次硬化させて弾性層を形成した。次に、プライマー(三井・デュポンフロロケミカル社製PR−990CL)を厚さが4μmとなるようにスプレーコートした後、150℃で30分間乾燥させた。その後、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60で、372℃で、5kgf荷重におけるMFR(JIS K 7210に準拠)が14g/10分のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(”PFA”とも云う)(三井・デュポンフロロケミカル社製PFA−940HP Plus。)を樹脂成分とするディスパージョン(樹脂分散液)と、ポリテトラフルオロエチレン(”PTFE”とも云う)(三井・デュポンフロロケミカル社製PTFE−31−JR。)ディスパージョンを、ポリテトラフルオロエチレンの添加量がこれらフッ素樹脂の固形分比で10重量%になるよう所定量混合し、厚さが20μmとなるようでスプレーコートした。その後350℃で30分間焼成して離型層を形成し、実施例1の定着ベルトを得た。
[実施例2]
実施例2の定着ベルトは、実施例1と同様に作製した弾性層上に、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60で、372℃で5kgf荷重におけるMFR(測定規格JIS K 7210)が2g/10分のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(三井・デュポンフロロケミカル社製PFA−950HP Plus。)と、ポリテトラフルオロエチレン(三井・デュポンフロロケミカル社製PTFE−31JR)とを、ポリテトラフルオロエチレンの配合量が樹脂成分の10重量%となるように調整した混合ディスパージョンを用いて厚さが20μmの離型層を形成した。
[比較例1]
比較例2の定着ベルトは、実施例1と同様に作製した弾性層上に、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60で、372℃で5kgf荷重におけるメルトフローレートが14g/10分のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(三井・デュポンフロロケミカル社製PFA−940HP Plus)をフッ素樹脂成分とするディスパージョンを単独で用いた以外は実施例1と同様にして離型層を形成した。
[比較例2]
比較例2の定着ベルトは、実施例1と同様に作製した弾性層上に、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/150で、372℃で、5kgf荷重におけるメルトフローレートが14g/10分のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(三井・デュポンフロロケミカル社製PFA−340J。)と、ポリテトラフルオロエチレン(三井・デュポンフロロケミカル社製PTFE−31JR)の混合ディスパージョンを用いて離型層を形成した。ポリテトラフルオロエチレン添加量、離型層の厚みなど、その他の条件は、実施例1と同じである。ここで、これら定着ベルトの構成を表1にまとめた。
Figure 2009015137
耐屈曲性は、次のように評価した。実施例1、2および比較例1、2の定着ベルトをそれぞれ上述した定着装置40に組み込み、30万枚出力後、および60万枚出力後の離型層のクラックを目視で確認することで評価した。クラックのないものを「○」、異常画像にならないレベル、すなわち、実用上問題のない、軽微なクラックのあるものを「△」、異常画像になるレベルのクラックが出たものを「×」とした。
また、耐摩耗性、潤滑性は、実施例および比較例の定着ベルトをそれぞれ上述した定着装置40に組み込み、画像を出力し、画像の光沢むらを目視で確認することで評価した。光沢むらのないものを「○」とし、実用上問題とならない軽微な光沢むらが確認されたものを「△」、光沢むらが顕著に現れたものを「×」とした。その結果を表2に示す。
Figure 2009015137
表2から理解されるように、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60以上のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を主成分とする離型層を形成した定着ベルトは、耐屈曲性に優れている。また、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率の増加により、結晶化が抑制され、耐屈曲性(曲げ寿命)が向上したと考えられる。また、メルトフローレートの小さいテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を用いることで、さらに効果は高まることがわかる。
また、離型層にポリテトラフルオロエチレンをブレンドすることで、耐摩耗性が向上していることがわかる。これはポリテトラフルオロエチレンの特徴である低摩擦係数化により、定着ベルト表面の潤滑性が向上したものと考えられる。
本発明に係る定着部材(定着ベルト)を用いる画像形成装置を示す概略図である。 本発明に係る定着部材(定着ベルト)を用いる定着装置を示す概略図である。 本発明に係る定着部材(定着ベルト)の断面図である。 分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の耐屈曲性と、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/150のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の耐屈曲性とについて調べた結果を示すグラフである。
符号の説明
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット
20 搬送ベルト
40 定着装置
41 定着ローラ
42 加圧ローラ
44 加熱ローラ
45 定着ベルト
451 フィルム基体
452 弾性層
453 分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60以上のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体にポリテトラフルオロエチレンが配合されてなる樹脂組成物から構成されている離型層(フッ素樹脂層)
49 サーミスタ

Claims (5)

  1. 複数層により形成されており、かつ、その最外層がフッ素樹脂により形成されているフッ素樹脂層である定着部材において、前記フッ素樹脂層が、分子鎖中の酸素原子数/炭素原子数の比率が1/60以上のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体にポリテトラフルオロエチレンが配合されてなる樹脂組成物から構成されていることを特徴とする定着部材。
  2. 前記フッ素樹脂層のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の少なくとも一部が、372℃での5kgf荷重におけるメルトフローレートが2g/10分以下のテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の定着部材。
  3. 前記フッ素樹脂層中のポリテトラフルオロエチレンの配合量が1重量%以上35重量%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着部材。
  4. 前記請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の定着部材を備えたことを特徴とする定着装置。
  5. 前記請求項4に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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