JP2009014003A - シリンダヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】オイル通路およびヘッドボルト挿入孔ボス部が過熱するのを阻止する。
【解決手段】隣接する気筒#2,#3の排気ポート5を仕切るための仕切壁8がこれら隣接する気筒#2,#3間から排気集合部6まで延びており、仕切壁8内にヘッドボルト挿入孔11cが形成されている。排気集合部6に面する仕切壁8の先端部8aとヘッドボルト挿入孔11c間の仕切壁8内に断熱層23が形成されている。断熱層22の中央部にはオイル通路23が形成されており、この断熱層22は仕切壁先端部8a側のヘッドボルト挿入孔ボス部17の外周縁のほぼ半周に沿ってヘッドボルト挿入孔11cの軸線回りに円弧状に延びている。
【選択図】図4

Description

本発明はシリンダヘッドに関する。
隣接する気筒の排気ポートがシリンダヘッド内の排気集合部において集合せしめられており、これら隣接する気筒の排気ポートを仕切るための仕切壁がこれら隣接する気筒間から排気集合部まで延びており、仕切壁内にヘッドボルト挿入孔が形成されており、排気集合部に面する仕切壁の先端部とヘッドボルト挿入孔間の仕切壁内にオイル通路を形成するようにしたシリンダヘッドが公知である(特許文献1を参照)。このシリンダヘッドを備えた内燃機関では各気筒から排出された排気ガスの集まる排気集合部の温度が特に高くなるためにこの排気集合部に面している仕切壁先端部付近の温度が最も高くなる。従ってこの内燃機関では仕切壁内に形成されたオイル通路の内周面の温度が高くなるために低温時にオイル通路内を流れるオイルがすみやかに昇温せしめられる。
一方、このシリンダヘッドを備えた内燃機関ではオイルが過熱される危険性がある。そこで仕切壁内にオイル通路に隣接して冷却水通路を形成したシリンダヘッドが公知である(特許文献2を参照)。このシリンダヘッドを備えた内燃機関ではオイル通路が冷却水通路内を流れる冷却水によって冷却されるのでオイルが過熱するのが阻止される。
特許第3605521号公報 特開2002−70641号公報
このように特許文献1に記載されたシリンダヘッドを用いた場合にはオイル通路内を流れるオイルが過熱され、オイルがオイル通路の内周面上に焼付いてしまうという問題を生ずる。また、特許文献2に記載されたシリンダヘッドを用いた場合には冷却水通路側に位置するオイル通路の内周面の温度は低下するが、冷却水通路と反対側に位置するオイル通路の内周面と仕切壁先端部との間には熱伝達を抑制する手段が何ら設けられていないので冷却水通路と反対側に位置するオイル通路の内周面は過熱され、斯くしてオイルがオイル通路の内周面上に焼付いてしまうという問題を生ずる。
また、特許文献1および2に記載されたシリンダヘッドでは仕切壁内に形成されたヘッドボルト挿入孔ボス部への熱伝達を抑制することに関して特に注意が払われていないので仕切壁内に形成されたヘッドボルト挿入孔ボス部の温度が他のヘッドボルト挿入孔ボス部に比べてかなり高くなる。その結果、仕切壁内に形成されたヘッドボルト挿入孔ボス部が他のヘッドボルト挿入孔ボス部に比べて大きく熱膨張するために仕切壁内に形成されたヘッドボルト挿入孔ボス部に大きな圧縮応力が発生し、斯くして仕切壁内に形成されたヘッドボルト挿入孔ボス部の耐久性が低下するという問題がある。
上記問題を解決するために本発明によれば、隣接する気筒の排気ポートがシリンダヘッド内の排気集合部において集合せしめられており、これら隣接する気筒の排気ポートを仕切るための仕切壁がこれら隣接する気筒間から排気集合部まで延びており、この仕切壁内にヘッドボルト挿入孔が形成されており、排気集合部に面する仕切壁の先端部とヘッドボルト挿入孔間の仕切壁内にオイル通路が形成されているシリンダヘッドにおいて、仕切壁の先端部とオイル通路間の仕切壁内に断熱層を形成し、断熱層の中央部にはオイル通路が形成されており、断熱層は仕切壁先端部側のヘッドボルト挿入孔ボス部の外周縁のほぼ半周に沿ってヘッドボルト挿入孔の軸線回りに円弧状に延びている。
仕切壁の先端部とオイル通路間に断熱層が形成されているので仕切壁先端部からオイル通路に向けての熱の伝達が断熱層によって遮断又は抑制され、斯くしてオイル通路内のオイルがオイル通路の内周面上に焼付くのを阻止することができる。また、シリンダヘッド側からみるとオイル通路は伝達熱吸収層を形成している。従って本発明では仕切壁先端部とヘッドボルト挿入孔間に断熱層と伝達熱吸収層とが直列に配置されている形となるので仕切壁先端部からヘッドボルト挿入孔周りへの熱の伝達が抑制され、斯くしてヘッドボルト挿入孔ボス部の耐久性を向上することができる。
図1は例えばアルミ合金により一体的に鋳造されたシリンダヘッド1の平面断面図を示している。なお、図1において破線で示される各円は夫々1番気筒#1、2番気筒#2、3番気筒#3、4番気筒#4の位置を示しており、従って図1に示されるシリンダヘッド1を備えた内燃機関は直列4気筒内燃機関であることがわかる。図1において2は吸気弁によって開閉される弁ポートを示しており、3は排気弁によって開閉される弁ポートを示している。従って各気筒#1,#2,#3,#4は夫々一対の吸気弁と一対の排気弁とを備えていることがわかる。
なお、シリンダヘッド1には実際には複雑な経路に沿って延びる冷却水通路、動弁機構の支持部、点火栓の挿入部、燃料噴射弁の挿入部等が形成されているが図1ではこれらについて省略している。
シリンダヘッド1内には各気筒#1,#2,#3,#4に対する吸気ポート4と各気筒#1,#2,#3,#4に対する排気ポート5が形成されている。図1からわかるように各吸気ポート4および各排気ポート5はシリンダヘッド1の長手軸線の中心を通りかつシリンダヘッド1の長手軸線に対し垂直をなす対称平面K−Kに関して対称に配置されており、更に全ての排気ポート5は排気集合部6に集合している。
図1に示されるように隣接する第1気筒#1と第2気筒#2間からはこれら隣接する気筒#1および#2の排気ポート5を仕切るための仕切壁7が排気集合部6まで延びており、隣接する第2気筒#2と第3気筒#3間からはこれら隣接する気筒#2および#3の排気ポート5を仕切るための仕切壁8が排気集合部6まで延びており、隣接する第3気筒#3と第4気筒#4間からはこれら隣接する気筒#3および#4の排気ポート5を仕切るための仕切壁9が排気集合部6まで延びている。
吸気ポート4側については5個のヘッドボルト挿入孔10が各吸気ポート4の両側に位置するように一直線上に整列してシリンダヘッド1に形成されており、排気ポート5側についても5個のヘッドボルト挿入孔11a,11b,11c,11d,11eが各排気ポート5の両側に位置するように一直線上に整列してシリンダヘッド1に形成されている。排気ポート5側の5個のヘッドボルト挿入孔のうちの3個のヘッドボルト挿入孔11b,11c,11dは夫々対応する仕切壁7,8,9に形成されており、2個のヘッドボルト挿入孔11a,11eは吸気ポート群の外側に形成されている。
吸気ポート群の外側に形成されているヘッドボルト挿入孔11a,11eの近傍には夫々オイル通路12が形成されており、仕切壁8に形成されたヘッドボルト挿入孔11cの近傍にもオイル通路13が形成されている。このようにヘッドボルト挿入孔11a,11c,11eの近傍に夫々オイル通路12,13を形成しているのは、ヘッドボルト挿入孔10,11a〜11e内に挿入されたヘッドボルトによってシリンダヘッド1をシリンダブロック上に固締したときにシリンダヘッド1とシリンダブロック間からオイル通路12,13内のオイルが漏洩しないようにしているためである。即ち、ヘッドボルト周りのシリンダヘッド1とシリンダブロックの圧接面は隙間が生じることがないのでヘッドボルト近傍のシリンダヘッド1内とシリンダブロック内に夫々互いに整列するオイル通路を形成しておけばこれらオイル通路の連結部からオイルが漏洩することがないからである。
さて、前述したようにオイル通路の温度が上昇するとオイルがオイル通路の内周面上に焼付いてしまう。また、ヘッドボルト挿入孔周りの温度が上昇するとヘッドボルト挿入孔周りに大きな圧縮応力が発生するためにヘッドボルト挿入孔周りの耐久性が低下してしまう。ところで各気筒#1,#2,#3,#4からは一サイクルの間に順次排気ガスが排出され、各気筒から順次排出される排気ガスと接触する回数が多いほど温度が上昇することになる。
このような観点からみると、仕切壁7は1番気筒#1から排出される排気ガスおよび2番気筒#2から排出される排気ガスと接触するので仕切壁7は一サイクルの間に2回排気ガスと接触する。同様に仕切壁9も一サイクルの間に2回排気ガスと接触する。これに対し、仕切壁8の先端部は全ての気筒#1,#2,#3,#4から排出される排気ガスと接触するので一サイクルの間に4回排気ガスと接触する。従ってシリンダヘッド1の中で仕切壁8の先端部の温度が最も高くなる。
従ってオイル通路の中では仕切壁8内に形成されたオイル通路13内のオイルがオイル通路13の内周面上に最も焼付きやすくなり、ヘッドボルト挿入孔の中では仕切壁8内に形成されたヘッドボルト挿入孔11c周りの強度が最も劣化しやすくなる。従って本発明では特に仕切壁8内に形成されたオイル通路13およびヘッドボルト挿入孔11c周りの温度が高くなるのを抑制するようにしている。
図2は図1の仕切壁8周りの拡大図を示しており、図3は図2のIII−III線に沿ってみた断面図を示している。図2および図3を参照するとシリンダヘッド1はシリンダブロック14上に載置されており、このシリンダヘッド1はヘッドボルト挿入孔11c内に挿入されたヘッドボルト15によってシリンダブロック14上に固締されている。なお、他のヘッドボルト挿入孔10,11a,11b,11d,11e内にも図3に示されるヘッドボルト15と同様なヘッドボルトが挿入されている。
図2および図3に示されるように本発明によれば排気集合部6に面する仕切壁8の先端部8aとオイル通路13との間に断熱層16が形成されている。具体的に言うと、ヘッドボルト挿入孔11c周りにはヘッドボルト挿入孔11cのボス部が形成されており、仕切壁先端部8a側のボス部17はヘッドボルト挿入孔11cの軸線回りにほぼ半周に亘って延びる中空円筒状をなしている。
図2に示されるようにボス部17の周りにはボス部17の半円筒状外周面18から一定の間隔を隔ててヘッドボルト挿入孔11cの軸線回りに円弧状に延びる薄肉隔壁19が形成されており、図2および図3に示す実施例ではこの薄肉隔壁19はシリンダヘッド1と一体的に形成されている。オイル通路13はボス部17の半円筒状外周面18と薄肉隔壁19との間に形成されており、このオイル通路13はボス部17の半円筒状外周面18に沿ってヘッドボルト挿入孔11cの軸線回りをほぼ半周に亘って円弧状に延びている。
一方、断熱層16は仕切壁先端部8a側のオイル通路13の外周縁に沿ってヘッドボルト挿入孔11cの軸線回りに延びている。具体的に言うと断熱層16はヘッドボルト挿入孔11cの軸線回りに薄肉隔壁19の外周面に沿って延びている。
図3に示されるように薄肉隔壁19の上端部はシリンダヘッド1上に導びかれたオイルをオイル通路13内に捕獲しうるようにシリンダヘッド1の上壁面から上方に突出しており、オイル通路13の下端部はシリンダブロック14に形成されたオイル通路20に連通している。一方、図2および図3に示される実施例では断熱層16はブローバイガス通路からなり、このブローバイガス通路16はシリンダブロック14のブローバイガス通路21に連通している。
図1から図3に示されるように本発明によれば、仕切壁8の先端部8aとオイル通路13間にオイル通路13の仕切壁先端部8a側を完全に覆う断熱層16が形成されているので仕切壁先端部8aからオイル通路13に向けての熱の伝達が断熱層16によって遮断又は抑制され、斯くしてオイル通路13内のオイルがオイル通路13の内周面上に焼付くのを阻止することができる。
また、シリンダヘッド1側からみるとオイル通路13は伝達熱吸収層を形成している。従って本発明では仕切壁先端部8aとヘッドボルト挿入孔11c間に断熱層16と伝達熱吸収層13とが直列に配置されている形となるので仕切壁先端部8aからヘッドボルト挿入孔11c周りへの熱の伝達が抑制される。しかもこれら断熱層16と伝達熱吸収層13はボス部17の排気集合部6側を完全に覆うように延びているので仕切壁先端部8aからヘッドボルト挿入孔11c周りへの熱の伝達が大巾に抑制され、斯くしてヘッドボルト挿入孔11cのボス部17の耐久性を向上することができる。
図4および図5に別の実施例を示す。この実施例ではボス部17の半円筒状外周面に沿ってヘッドボルト挿入孔11cの軸線回りにほぼ半周に亘って円弧状に延びる断熱層22が形成されており、この断熱層22の中央部にオイル通路23が形成されている。従ってこの実施例においても仕切壁8の先端部8aとオイル通路23間に断熱層22が形成されていることになる。
図4および図5からわかるように断熱層22内には断熱材料が充填されており、オイル通路23は断熱材料内に形成されている。また、シリンダヘッド1上にはオイルを捕獲するために断熱層22の外周縁に沿って延びる直立リブ24が形成されている。
この実施例においても仕切壁8の先端部8aとオイル通路23間に断熱層22が形成されているので仕切壁先端部8aからオイル通路23に向けての熱の伝達が断熱層22によって遮断又は抑制され、斯くしてオイル通路23内のオイルがオイル通路23の内周面上に焼付くのを阻止することができる。またこの実施例でも仕切壁先端部8aとヘッドボルト挿入孔11c間に断熱層22と伝達熱吸収層23とが直列に配置されている形となるので仕切壁先端部8aからヘッドボルト挿入孔11c周りへの熱の伝達が抑制され、斯くしてボス部17の耐久性を向上することができる。
図6および図7に更に別の実施例を示す。この実施例でもボス部17の半円筒状外周面18に沿ってヘッドボルト挿入孔11cの軸線回りにほぼ半周に亘って円弧状に延びる断熱層25が形成されており、この断熱層25の中央部にオイル通路26が形成されている。従ってこの実施例においても仕切壁8の先端部8aとオイル通路26間に断熱層25が形成されていることになる。
図6および図7に示されるようにこの実施例ではオイル通路26は断熱層25の中央部を延びるパイプ27内に形成されており、パイプ27周りの断熱層25は空間からなる。この実施例においても仕切壁8の先端部8aとオイル通路26間に断熱層25が形成されているので仕切壁先端部8aからオイル通路26に向けての熱の伝達が断熱層25によって遮断又は抑制され、斯くしてオイル通路26内のオイルがオイル通路26の内周面上に焼付くのを阻止することができる。また、この実施例でも仕切壁先端部8aとヘッドボルト挿入孔11c間に断熱層25と伝達熱吸収層26とが直列に配置されている形となるので仕切壁先端部8aからヘッドボルト挿入孔11c周りへの熱の伝達が抑制され、斯くしてボス部17の耐久性を向上することができる。
シリンダヘッドの平面断面図である。 図1の仕切壁8周りの拡大図である。 図2のIII−III線に沿ってみた断面図である。 仕切壁8周りを示すシリンダヘッド1の別の実施例の平面断面図である。 図4のV−V線に沿ってみた断面図である。 仕切壁8周りを示すシリンダヘッド1の更に別の実施例の平面断面図である。 図6のVII−VII線に沿ってみた断面図である。
符号の説明
1 シリンダヘッド
4 吸気ポート
5 排気ポート
6 排気集合部
7,8,9 仕切壁
10,11a,11b,11c,11d,11e ヘッドボルト挿入孔
12,13,23,26 オイル通路
16,22,25 断熱層

Claims (3)

  1. 隣接する気筒の排気ポートがシリンダヘッド内の排気集合部において集合せしめられており、該隣接する気筒の排気ポートを仕切るための仕切壁が該隣接する気筒間から該排気集合部まで延びており、該仕切壁内にヘッドボルト挿入孔が形成されており、該排気集合部に面する該仕切壁の先端部とヘッドボルト挿入孔間の該仕切壁内にオイル通路が形成されているシリンダヘッドにおいて、該仕切壁の先端部とオイル通路間の該仕切壁内に断熱層を形成し、該断熱層の中央部には上記オイル通路が形成されており、該断熱層は上記仕切壁先端部側のヘッドボルト挿入孔ボス部の外周縁のほぼ半周に沿ってヘッドボルト挿入孔の軸線回りに円弧状に延びているシリンダヘッド。
  2. 上記断熱層内には断熱材料が充填されており、上記オイル通路は断熱材料内に形成されている請求項1に記載のシリンダヘッド。
  3. 上記オイル通路は上記断熱層の中央部を延びるパイプ内に形成されており、該パイプ周りの断熱層は空間からなる請求項1に記載のシリンダヘッド。
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