JP2009013638A - 盛土構造、盛土工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】軟弱地盤に敷設されたパイプラインなどの埋設物に悪影響が出ないような盛土構造、盛土工法を得る。
【解決手段】軟弱地盤に埋設されたパイプライン3に沿って、該パイプライン3を挟むようにしてGLよりも上方に延出するように支持地盤上に構築された一対の鋼矢板7と、一対の鋼矢板7の対向する内側に設置されて該一対の鋼矢板7を支持する支保工9と、前記一対の鋼矢板7の外側に施工された盛土11と、前記一対の鋼矢板7に架設された蓋体13と、を備えた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、パイプライン等の地中に埋設された埋設物に影響を与えることのない盛土構造及び盛土工法に関する。
埋設物、例えばパイプライン等が埋設されている軟弱地盤地域に盛土する場合、盛土による土荷重の増加により軟弱地盤に圧密沈下が発生し、パイプラインに有害な変形等を引き起こす可能性がある。
そこで、盛土によってパイプライン等に悪影響がでないようにするための工夫が必要となる。このような場合の一般的な方法として、パイプラインの下方の地盤を地盤改良することによって沈下しない地盤に改良することが行われている。
また、盛土直下の埋設物への影響をなくするという趣旨ではないが、軟弱地盤上に盛土する場合において周辺の地盤への影響を防止するための技術として以下のものが提案されている。
軟弱地盤上に盛土を施工し、盛土の重量により圧密沈下を生じさせて前記軟弱地盤を改良処理する軟弱地盤処理工法において、盛土施工箇所の周囲の地中に水膨脹性繊維を打設することにより水膨脹性繊維からなる遮断層を造成し、該遮断層をすべり層として、盛土施工箇所の沈下による周辺地盤の引込みを防止することを特徴とする軟弱地盤処理工法における周辺地盤の沈下防止方法(特許文献1参照)。
特開平6-88326号公報
しかしながら、地盤改良を行う方法では、パイプラインのように長く延びる埋設物の場合、地盤改良を行う範囲や深さが膨大なものとなる。
また、パイプラインの下方の地盤を地盤改良するとしても、地盤改良をしていない周辺地盤の沈下により、いわゆる突出土圧が作用するため、この土圧からパイプラインを防護する必要がある。そのため、パイプラインをコンクリートなどによって覆うことが必要となる。
このように地盤改良による方法では、膨大な手間とコストがかかるという問題がある。
また、特許文献1に開示された方法は、盛土の周辺地盤への影響を回避するための技術であり、盛土によって盛土直下の埋設物に対する悪影響を防止するための技術ではない。
したがって、特許文献1に開示された技術を本願が対象としている盛土直下の埋設物への悪影響を防止するという目的を達成するようにするには、さらなる具体的な工夫が必要となる。
以上のように、軟弱地盤にパイプラインのような埋設物がある場合において、軟弱地盤上に盛土をした場合に、パイプライン等に悪影響がでないようにするための簡易な技術は知られていない。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、軟弱地盤に敷設されたパイプラインなどの埋設物に悪影響が出ないような盛土構造、盛土工法を得ることを目的としている。
軟弱地盤に敷設されているパイプライン等の埋設物は、軟弱地盤上に盛土をすれば軟弱地盤に土荷重が作用するため、当然にその影響を受ける。このことは、埋設物が埋設されている地盤が軟弱地盤でなくても、埋設物が埋設されている地盤の下方の地盤が軟弱地盤の場合も同様である。
このように、軟弱地盤に埋設された埋設物には悪影響が生ずることから、この悪影響を防止するために軟弱地盤の地盤改良が行われる。
従来一般的に行われていた地盤改良等の方法は、盛土をすることで軟弱地盤に影響があることを前提として、この影響をどのようにして緩和すべきか、という発想であった。
しかしながら、このような方法では、前述したように膨大な手間とコストがかかるという問題がある。
そこで、発明者はこのような埋設物に影響があることを前提としてその影響を緩和するという従来の発想を、盛土をしながらも、パイプライン等の埋設物には盛土の前後で作用する力の大きさが変わらない状態にするという発想に転換して、このような新たな発想を基に本発明を完成させたものである。
このような発想の転換によって完成された本発明は、具体的には以下のような構成を備えたものである。
(1)本発明に係る盛土構造は、軟弱地盤に埋設された埋設物の両側に配置され、かつ上端部をGLよりも上方に延出させて支持地盤上に構築された一対の壁体と、一対の壁体の対向する内側に設置されて該一対の壁体を支持する支保工と、前記一対の壁体の外側に施工された盛土と、前記一対の壁体に架設された蓋体と、を備えたことを特徴とするものである。
支持地盤とは、一般的には明確な定義はないが、本明細書における支持地盤は発明の目的を達成できる支持力が得られる地盤であればよく、N値が15以上の地盤をいう。
また、軟弱地盤についても一般的にはその定義はかならずしも明確ではないが、例えば建造物の基礎地盤として十分な地耐力を有しない地盤で、一般に、軟らかい粘土、シルト、有機質土、あるいは緩い砂質土などの土層で構成される。本明細書においては、N値が0〜4のものをいう。
壁体としては、例えば後述する鋼矢板の他、鉄筋コンクリート壁、鉄骨・鉄筋コンクリート壁等の種々の材質からなるものを含む。ただし、盛土をすることによって発生する水平力を遮断する抵抗力のある部材であることを要する。
(2)また、軟弱地盤に埋設された埋設物の両側に配置され、かつ上端部をGLよりも上方に延出させて支持地盤上に構築された一対の壁体と、一対の壁体の上端部に設けられて該一対の壁体を支持する支保工としての機能と蓋としての機能とを備えてなる蓋体と、前記一対の壁体の外側に施工された盛土と、を備えたことを特徴とするものである。
蓋体が支保工としての機能を備えるための具体的な構造の例としては、蓋体に垂下部を設け、該垂下部が壁体の内面側に当接するような構造が挙げられる。
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、壁体は鋼矢板であることを特徴とするものである。
(4)本発明に係る盛土工法は、軟弱地盤に埋設された埋設物の両側に配置され、かつ上端部をGLよりも上方に延出させて一対の壁体を支持地盤上に構築する工程と、一対の壁体の対向する内側に該一対の壁体を支持する支保工を設置する工程と、前記一対の壁体の外側に盛土する工程と、一対の壁体に蓋体を架設する工程と、を備えたことを特徴とするものである。
(5)また、軟弱地盤に埋設された埋設物の両側に配置され、かつ上端部をGLよりも上方に延出させて一対の壁体を支持地盤上に構築する工程と、一対の壁体の上端部に、該一対の壁体を支持する支保工としての機能と蓋としての機能とを備えた蓋体を架設する工程と、前記一対の壁体の外側に盛土する工程と、を備えたことを特徴とするものである。
(6)また、上記(4)又は(5)に記載のものにおいて、壁体は鋼矢板であることを特徴とするものである。
本発明においては、埋設物が敷設された地域の上方は盛土されない空間になるので、盛土による鉛直方向の土荷重が作用せず、また水平方向の力は壁体によって遮断され、盛土の前後において埋設物に作用する土荷重に変化がないので、埋設物に盛土による悪影響がでることがない。しかも、簡易な施工方法なので、手間とコストが低減できる。
[実施の形態1]
図1は本発明の一実施の形態に係る盛土構造の説明図であり、既設のパイプラインの軸方向に直交する断面を示している。
本実施の形態に係る盛土構造は、図1に示すように、軟弱地盤1に敷設されたパイプライン3に沿ってパイプライン3の両側に配置され、上端部をGL5よりも上方に延出させて打設された一対の鋼矢板7と、一対の鋼矢板7の対向する内側に設置されて該一対の鋼矢板7を支持する支保工9と、一対の鋼矢板7の外側に施工された盛土11と、一対の鋼矢板7に架設された蓋体13と、を備えている。
以下、本実施の形態の盛土構造の構成をさらに詳細に説明する。
<パイプライン>
本実施の形態では、埋設物として、軟弱地盤1に敷設されたパイプライン3を例示している。もっとも、本発明の盛土構造は、埋設物がパイプライン3に限られるものではなく、軟弱地盤1に設置された種々の埋設物に対して適用できる。
<鋼矢板>
鋼矢板7は、軟弱地盤1を貫通して支持地盤15(N値≧15)まで打設され、支持地盤15に立設されている。
鋼矢板7は、後述する盛土工法において説明するように、GL5から上方に盛土計画高さ17(図2参照)まで延出している。盛土計画高さ17とは、盛土11の最終的な高さとして計画される高さであって、軟弱地盤1上に盛土をしたときに、所定の期間経過後、軟弱地盤1の圧密沈下によって盛土11の高さが低くなった状態での高さをいう。
なお、鋼矢板7を支持地盤15に立設することにより、鋼矢板7の外方からの土圧に対して抵抗することができる。
本実施の形態では、パイプライン3を挟むように設置された壁体として、鋼矢板7を例示しており、鋼矢板7の場合には施工が容易であるという利点がある。
もっとも、本発明における壁体は鋼矢板7に限られず、例えば鉄筋コンクリートの壁体であってもよいし、あるいは鉄骨、鉄筋コンクリートの壁体であってもよい。鉄筋コンクリートや鉄骨、鉄筋コンクリートの壁体の場合には、鉛直荷重に対する支持力があるので、壁体の上方に種々の埋設物を構築できるという利点がある。
<支保工>
鋼矢板7の外側に盛土をすると、盛土11による土荷重によって軟弱地盤1が圧密沈下することにより、水平方向の力が鋼矢板7に作用する。支保工9は、この水平方向の力によって鋼矢板7が内側に倒れ込むのを防止するためのものである。支保工9としては、腹起、切梁等が一般的である。
<盛土>
盛土11は、一対の鋼矢板7の外側に施工される。計画高さ17よりも圧密沈下を想定した分だけ高く盛土し、最終的な高さが計画高さ17になるようにする。
<蓋体>
蓋体13は、一対の鋼矢板7に架設される。蓋体13は、例えば鉄筋コンクリートや、鋼板などから形成される。
なお、蓋体13は、図1に示すように、鋼矢板7の内側への倒れこみを防止するための、垂下部19を設けるのが望ましい。
このように垂下部19を設けると、鋼矢板7の高さが低い場合には、蓋体13が支保工の役割を兼用するので、支保工9を不要とすることも可能である。
以上のように構成された盛土構造によれば、パイプライン3が敷設された地域の上方は盛土されない空間になるので、盛土による鉛直方向の土荷重が作用しない。また、鋼矢板7の外側の盛土11による土荷重によって軟弱地盤1が圧密沈下することにより、水平方向の力が作用するが、この力は鋼矢板7によって遮断され、水平方向の力もパイプライン3が施工された軟弱地盤1には作用しない。
このように、本実施の形態においては、パイプライン3が敷設された軟弱地盤1には、盛土11による鉛直力や水平力が作用せず、盛土の前後で作用する力に変化がなく、盛土11によるパイプライン3の悪影響を確実に防止できる。
しかも、地盤改良などに比較して、施工の手間が少なく、悪影響の防止効果は高い。
[実施の形態2]
本実施の形態は、盛土工法に関するものである。図2〜図4は盛土工法の施工手順を説明する説明図であり、図1と同一部分には同一の符号を付してある。以下、図2〜図4に基づいて施工手順を説明する。
本実施の形態に係る盛土工法は、鋼矢板打設工程(図2参照)、支保工施工工程(図3参照)、蓋体架設工程(図3参照)、盛土工程(図3、図4参照)、を備えている。以下、各工程について図面を参照しながら詳細に説明する。
<鋼矢板打設工程>
鋼矢板打設工程は、図2に示すように、既設のパイプライン3に沿ってパイプライン3を挟むようにパイプライン3の両側に一対の鋼矢板7を打設する工程である。一対の鋼矢板7とは、パイプライン3を挟んで鋼矢板7が対向配置されていることを意味しているのであって、対向配置された鋼矢板7の連結方向でずれがあってもよい。
鋼矢板打設工程においては、鋼矢板7は軟弱地盤1を貫通して支持地盤15(N値≧15)まで打設される。したがって、鋼矢板7は支持地盤15に支持されることになる。
鋼矢板7の上端部の位置は、この例では、蓋体13を架設した状態で計画高さ17になるように設定されている。
もっとも、鋼矢板7の上端部の位置は、計画高さ17よりも高くなるようにしておいて、盛土した後で計画高さ17より高い部分を切断するようにしてもよい。
<支保工施工工程>
支保工施工工程は、鋼矢板7を打設した後、図3に示すように、一対の鋼矢板7の対向する内側にこれら一対の鋼矢板7の倒れこみを防止するため、腹おこし、切梁等の支保工9を設置する工程である。
支保工9は、鋼矢板7のGL5からの延出高さが高い場合には、上下方向複数段にしてもよい。
<蓋体架設工程>
蓋体架設工程は、一対の鋼矢板7の上端部に蓋体13を架設する工程である。なお、蓋体架設工程は、盛土工程の後に行なってもよいし、あるいは盛土工程の途中で行なってもよい。
蓋体13は、例えば鉄筋コンクリートや、鋼板などから形成される。
蓋体13は、図3に示すように、鋼矢板7の内側への倒れこみを防止するため、垂下部19を設けることにより、鋼矢板7の倒れ込みを防止する支保工としての機能を備えることができる。
上述したように、蓋体架設工程は、盛土工程の前後いずれでもよいが、鋼矢板7のGL5からの延出高さを計画高さ17よりも高くした場合には、盛土11が軟弱地盤1の圧密沈下により計画高さ17にまで沈下した後、計画高さ17よりも上方に延出している部分を切断して、蓋体13を架設するようにする。
<盛土工程>
盛土工程は、図4に示すように、一対の鋼矢板7の外側に盛土する工程である。盛土11の高さは、軟弱地盤1の圧密沈下分を考慮して、計画高さ17よりも一定の高さだけ高い位置とする。
軟弱地盤1の圧密沈下により、盛土11の高さが計画高さ17よりも低くなった場合には、適宜盛土を行って、図5に示すように、最終的に計画高さ17になるようにする。
以上のように、本実施の形態によれば、鋼矢板7によってパイプライン3の敷設された軟弱地盤1が、盛土が行われる地盤と縁切りされているので、盛土の前後によってパイプライン3が敷設された軟弱地盤1に作用する土圧に変化がなく、パイプライン3に悪影響が出るのを確実に防止できる。
なお、本実施の形態では、壁体として鋼矢板7を例に挙げて説明したが、本発明の壁体はこれに限られず、例えば鉄筋コンクリートの壁体であってもよいし、あるいは鉄骨、鉄筋コンクリートの壁体であってもよい点は実施の形態1と同様である。
本発明の一実施の形態に係る盛土構造の説明図である。 本発明の一実施の形態に係る盛土工法の工程の説明図である。 本発明の一実施の形態に係る盛土工法の工程の説明図である。 本発明の一実施の形態に係る盛土工法の工程の説明図である。 本発明の一実施の形態に係る盛土工法の工程の説明図である。
符号の説明
1 軟弱地盤
3 パイプライン
5 GL
7 鋼矢板
9 支保工
11 盛土
13 蓋体
15 支持地盤
17 計画高さ
19 垂下部

Claims (6)

  1. 軟弱地盤に埋設された埋設物の両側に配置され、かつ上端部をGLよりも上方に延出させて支持地盤上に構築された一対の壁体と、該一対の壁体の対向する内側に設置されて該一対の壁体を支持する支保工と、前記一対の壁体の外側に施工された盛土と、前記一対の壁体に架設された蓋体と、を備えたことを特徴とする盛土構造。
  2. 軟弱地盤に埋設された埋設物の両側に配置され、かつ上端部をGLよりも上方に延出させて支持地盤上に構築された一対の壁体と、一対の壁体の上端部に設けられて該一対の壁体を支持する支保工としての機能と蓋としての機能とを備えてなる蓋体と、前記一対の壁体の外側に施工された盛土と、を備えたことを特徴とする盛土構造。
  3. 壁体は鋼矢板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の盛土構造。
  4. 軟弱地盤に埋設された埋設物の両側に配置され、かつ上端部をGLよりも上方に延出させて一対の壁体を支持地盤上に構築する工程と、一対の壁体の対向する内側に該一対の壁体を支持する支保工を設置する工程と、前記一対の壁体の外側に盛土する工程と、一対の壁体に蓋体を架設する工程と、を備えたことを特徴とする盛土工法。
  5. 軟弱地盤に埋設された埋設物の両側に配置され、かつ上端部をGLよりも上方に延出させて一対の壁体を支持地盤上に構築する工程と、一対の壁体の上端部に、該一対の壁体を支持する支保工としての機能と蓋としての機能とを備えた蓋体を架設する工程と、前記一対の壁体の外側に盛土する工程と、を備えたことを特徴とする盛土工法。
  6. 壁体は鋼矢板であることを特徴とする請求項4又は5に記載の盛土工法。
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