JP2009013589A - 建築用壁材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】容易にリサイクルできる建築用壁材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】建築用壁材を、主材と主材中に分散保持されている補強材と主材および補強材を一体的に結合するバインダとを含む基材層と、基材層の少なくとも一面に一体的に固定されている表皮層とで構成し、主材として珪藻土からなるものを用い、補強材として植物繊維からなるものを用い、バインダとしてポリ乳酸樹脂およびデンプンからなるものを用いる。
【選択図】図2
【解決手段】建築用壁材を、主材と主材中に分散保持されている補強材と主材および補強材を一体的に結合するバインダとを含む基材層と、基材層の少なくとも一面に一体的に固定されている表皮層とで構成し、主材として珪藻土からなるものを用い、補強材として植物繊維からなるものを用い、バインダとしてポリ乳酸樹脂およびデンプンからなるものを用いる。
【選択図】図2
Description
本発明は、ビルや住居の壁材として使用できる建築用壁材およびその製造方法に関する。
建築用壁材としては、安価であり耐火性に優れる石膏ボードを使用するのが一般的である。石膏ボードは耐火性に優れるため、廃棄された石膏ボードは埋め立て処理する一般的であった。しかし近年では、老朽化したビルや住宅の解体時などに石膏ボードが多量に廃棄されるため、埋め立て処理では対応できなくなっている。
廃棄された石膏ボードをリサイクルする技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)が、石膏ボードはリサイクル性に劣る。すなわち、石膏ボード中の石膏は、焼石膏(硝酸カルシウム半水和物)が水と反応して固まったものである。このため石膏ボード中の石膏は、二水石膏(硝酸カルシウム二水和物)の状態で存在する。二水石膏に水を加えても固まらないため、石膏ボードをリサイクルするためには石膏ボード中の二水石膏を焼成して焼石膏にする必要がある。
ところで、石膏ボードの表皮層としては紙製のものを使用するのが一般的である。このため、通常の石膏ボードをそのまま焼いて二水石膏を焼成する際には、紙製の表皮層が燃焼し、表皮層付近の二水石膏が分解して多量のSOXが発生する問題がある。したがって、石膏ボードをリサイクルするためには、石膏ボード中の二水石膏のみを取り出す必要があった。このように石膏ボードのリサイクルには非常に煩雑な工程を要するため、近年では、容易にリサイクルできる建築用壁材の開発が望まれている。
特開2000−306460号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、容易にリサイクルできる建築用壁材およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の建築用壁材は、主材と該主材中に分散保持されている補強材と該主材および該補強材を一体的に結合するバインダとを含む基材層と、該基材層の少なくとも一面に一体的に固定されている表皮層とを持つ建築用壁材であって、該主材は珪藻土からなり、該補強材は植物繊維からなり、該バインダはポリ乳酸樹脂およびデンプンからなることを特徴とする。
本発明の建築用壁材は、下記の(1)〜(3)の少なくとも一つを備えるのが好ましい。
(1)前記デンプンが、前記ポリ乳酸樹脂100質量部に対して90質量部〜700質量部配合されている。
(2)前記バインダが、前記主材100質量部に対して35質量部〜75質量部配合されている。
(3)前記補強材が、前記主材100質量部に対して15質量部〜45質量部配合されている。
(1)前記デンプンが、前記ポリ乳酸樹脂100質量部に対して90質量部〜700質量部配合されている。
(2)前記バインダが、前記主材100質量部に対して35質量部〜75質量部配合されている。
(3)前記補強材が、前記主材100質量部に対して15質量部〜45質量部配合されている。
上記課題を解決する本発明の建築用壁材の製造方法は、主材と該主材中に分散保持されている補強材と該主材および該補強材を一体的に結合するバインダとを含む基材層と、該基材層の少なくとも一面に一体的に固定されている表皮層とを持つ建築用壁材であって、該主材は珪藻土からなり、該補強材は植物繊維からなり、該バインダはポリ乳酸樹脂およびデンプンからなる建築用壁材を製造する方法であって、該バインダと水とを混合して液状バインダを得る液状バインダ準備工程と、該液状バインダと該主材と該補強材とを混合して混合物を得る混合工程と、該混合物を該表皮層上に積層して積層物を得る積層工程と、該積層物を加熱し、冷却して、該表皮層と該基材層とを持つ建築用壁材を得る成形工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の建築用壁材の製造方法は、下記の(4)〜(9)の少なくとも一つを備えるのが好ましい。
(4)前記液状バインダ準備工程において、前記水を前記バインダ100質量部に対して300質量部〜3500質量部配合する。
(5)前記混合工程において、前記液状バインダを前記主材100質量部に対して200質量部〜270質量部配合する。
(6)前記混合工程において、前記補強材を前記主材100質量部に対して15質量部〜40質量部配合する。
(7)前記積層工程で使用する前記混合物は、前記混合工程で前記液状バインダと前記主材と前記補強材との混合を開始した後5分以上経過したものである。
(8)前記液状バインダ準備工程において、前記デンプンとしてα化しているものを用いる。
(9)前記液状バインダ準備工程において、前記デンプンとしてβ化しているものを用い、前記成形工程において、β化している前記デンプンを加熱することでα化する。
(4)前記液状バインダ準備工程において、前記水を前記バインダ100質量部に対して300質量部〜3500質量部配合する。
(5)前記混合工程において、前記液状バインダを前記主材100質量部に対して200質量部〜270質量部配合する。
(6)前記混合工程において、前記補強材を前記主材100質量部に対して15質量部〜40質量部配合する。
(7)前記積層工程で使用する前記混合物は、前記混合工程で前記液状バインダと前記主材と前記補強材との混合を開始した後5分以上経過したものである。
(8)前記液状バインダ準備工程において、前記デンプンとしてα化しているものを用いる。
(9)前記液状バインダ準備工程において、前記デンプンとしてβ化しているものを用い、前記成形工程において、β化している前記デンプンを加熱することでα化する。
本発明の建築用壁材は、表皮層と基材層とを持つ。このうち基材層は、珪藻土からなる主材と、植物繊維からなる補強材と、ポリ乳酸樹脂およびデンプンからなるバインダとを含む。
珪藻土は耐火性に優れる。このため主材として珪藻土を用いることで、建築用壁材に優れた耐火性を付与できる。
また、本発明の建築用壁材における基材層は、バインダによって固められている。したがって、本発明の建築用壁材における珪藻土は、上述した石膏のように焼成しなくてもリサイクル可能である。
また、バインダとして用いたポリ乳酸樹脂は熱可塑性樹脂であるため、加熱すれば溶融するため、再度バインダとして使用できる。またバインダとして用いたデンプンは、水を加えて加熱すればα化するため、再度バインダとして使用できる。このため、本発明の建築用壁材は、水を加えて加熱するだけでリサイクル可能である。よって、本発明の建築用壁材はリサイクル性に優れる。
さらに本発明の建築用壁材は、バインダとしてポリ乳酸樹脂とデンプンとを併用したことで、安価に製造でき、かつ、基材層からの主材や補強材の脱離を抑制できる。以下、基材層からの主材や補強材の脱離を抑制する性能を形状保持性と呼ぶ。
ポリ乳酸樹脂は接着強さおよび柔軟性に優れるが、比較的高価である。デンプンは安価であり接着強さにも優れるが、ポリ乳酸樹脂に比べると柔軟性に劣る。バインダの一部としてデンプンを使用したことで、建築用壁材の製造コストを低減できる。また、バインダとしてポリ乳酸樹脂とデンプンとを用いたことで、ポリ乳酸樹脂およびデンプンに由来する接着強さを建築用壁材に付与できる。さらに、バインダの一部としてポリ乳酸樹脂を用いたことで、ポリ乳酸樹脂に由来する柔軟性を建築用壁材に付与できる。柔軟性に優れた建築用壁材は外力が加わった時にも破損し難いため、主材や補強材が基材層から脱離し難い。これらの協働によって、本発明の建築用壁材は安価に製造でき、かつ形状保持性に優れる。
さらに、本発明の建築用壁材の材料として用いられている植物繊維、ポリ乳酸樹脂およびデンプンは、生分解性に優れる。このため、本発明の建築用壁材は埋め立て処理する際にも環境に及ぼす影響が小さい。
さらに、珪藻土は多孔質であるため、主材として珪藻土を用いることで建築用壁材に優れた調湿性、消臭性および吸音性を付与できる利点もある。
本発明の建築用壁材は、基材層と表皮層とを含む。表皮層としては、和紙やクラフト紙、再生紙等に代表される紙材や、樹脂材等を使用できる。このうち紙材は生分解性に優れ安価であるため好ましく使用できる。紙材のなかでも和紙は、強度に優れるため特に好ましく使用できる。表皮層は、基材層の一面のみに固定しても良いし、対向する二面に固定しても良い。
基材層は、珪藻土と補強材とバインダとを含む。珪藻土としては、加熱処理や化学処理等をしたものを用いても良いし、未処理のものを用いても良い。また、不純物を含まない珪藻土を用いても良いし、何らかの不純物を含むものを用いても良い。
本発明の建築用壁材における植物繊維としては、安価であり強度に優れるものを用いるのが好ましい。例えば、サトウキビの搾り滓、ケナフ繊維、ヤシ繊維、竹繊維、ジュート繊維、パルプ繊維から選ばれる少なくとも一種を用いるのが好ましい。このうちサトウキビの搾り滓(バガス)は、砂糖やエタノールを製造する際にでる廃棄物であるため非常に安価であり、かつ強度にも優れるため、特に好ましく用いられる。
ポリ乳酸樹脂としては、ポリ乳酸ホモポリマーの他、乳酸モノマーまたはラクチノイドと他の成分とが共重合したもの(ポリ乳酸コポリマー)を用いても良い。ポリ乳酸樹脂の分子量等は特に限定しない。また、他種類のポリ乳酸樹脂を混合して用いても良い。
デンプンとしては、未処理のものを用いても良いし化学処理等を施したものを用いても良い。例えば、酸変性デンプン、酸化デンプン、デンプンエステル、メチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、アミノアルキルデンプン、架橋デンプン等を用いても良い。未処理のデンプンとしては、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン等の一般的なものを使用できる。
本発明の建築用壁材は、主材の配合量を多くすることで耐火性を高めることができ、補強材の配合量を多くすることで強度を高めることができ、バインダの配合量を多くすることで形状保持性を高めることができる。またバインダ中のポリ乳酸樹脂の配合量を多くすることで形状保持性をさらに高めることができ、バインダ中のデンプンの配合量を多くすることで製造コストを低減できる。
本発明の建築用壁材の製造コストを低減しかつ形状保持性を高めるためには、デンプンをポリ乳酸樹脂100質量部に対して90質量部〜700質量部配合するのが良い。より好ましくは、デンプンをポリ乳酸樹脂100質量部に対して92質量部〜600質量部配合するのが良い。
本発明の建築用壁材の形状保持性と耐火性とをともに高めるためには、主材100質量部に対してバインダを35質量部〜75質量部配合するのが良い。より好ましくは、主材100質量部に対してバインダを40質量部〜70質量部配合するのが良い。
本発明の建築用壁材の強度と耐火性とをともに高めるためには、主材100質量部に対して補強材を15質量部〜45質量部配合するのが良い。より好ましくは、主材100質量部に対して補強材を25質量部〜35質量部配合するのが良い。
なお、本明細書においては、ポリ乳酸樹脂の質量とは固体状での質量を指す。主材、補強材およびデンプンの質量とは、乾燥状態での質量を指す。
さらに、本発明の建築用壁材における基材層は、上述した主材、補強材、バインダ以外の成分を含んでも良い。主材、補強材、バインダ以外の成分としては、難燃材、充填材、不燃材等が挙げられる。
本発明の建築用壁材の製造方法は、液状バインダ準備工程と、混合工程と、積層工程と、成形工程とを持つ。液状バインダ準備工程は、バインダと水とを混合して液状バインダを得る工程である。混合工程は、液状バインダと主材と補強材とを混合して混合物を得る工程である。積層工程は、混合物を表皮層上に積層して積層物を得る工程である。成形工程は、積層物を加熱し、冷却して、表皮層と基材層とを持つ建築用壁材を得る工程である。
本発明の建築用壁材の製造方法によると、本発明の建築用壁材を容易に製造できる。これは、以下の理由による。
本発明の建築用壁材の製造方法では、バインダと水とを混合したもの(すなわち液状バインダ)を、主材および補強材に混合している。バインダをそのまま主材および補強材に混合する場合には、主材、補強材およびバインダを含む混合物中に、バインダが均一に分散しない可能性がある。また、バインダが主材および補強材の表面に充分に付着しない可能性もある。本発明の建築用壁材の製造方法においては、液状バインダを主材および補強材に混合することで、バインダを混合物中に均一または略均一に分散させ、かつ主材および補強材の表面に充分に付着させ得る。
ところで、混合工程において、バインダを主材および補強材の表面に均一に付着させるためには、液状バインダの流動性は高い方が好ましい。一方、積層工程および成形工程において混合物に所望の形状を付与するためには、混合物の流動性は低い方が好ましい。
液状バインダの流動性は、水の含有量によって左右される。すなわち、水の含有量が多ければ液状バインダの流動性は高くなり、水の含有量が少なければ液状バインダの流動性は低くなる。
本発明の建築用壁材における主材は珪藻土からなるため、多孔質であり、水を吸収し易い。したがって、混合物中の水は主として主材に吸収される。このため液状バインダとして流動性の高いものを用いても、混合物の流動性は低くなる。よって、本発明の建築用壁材の製造方法によると、建築用壁材を容易に製造できる。
本発明の建築用壁材の製造方法における液状バインダ準備工程では、ポリ乳酸樹脂としては、溶融しているものを用いても良いし、固体状のものを用いても良い。デンプンとしてはα化(糊化)しているものを用いても良いし、β化(老化)しているものを用いても良い。
溶融したポリ乳酸樹脂は接着力が高くなる。このため、液状バインダ準備工程において溶融したポリ乳酸樹脂を用いる場合には、混合工程において液状バインダを主材および補強材の表面に付着させ易い利点がある。
液状バインダ準備工程において固体状のポリ乳酸樹脂を用いる場合には、液状バインダの流動性を低くできるため、液状バインダを混合物中に均一に分散させ易い利点がある。
α化したデンプンは粘度が高くなる。このため、液状バインダ準備工程においてα化したデンプンを用いる場合には、混合工程において液状バインダを主材および補強材の表面に付着させ易い利点がある。
混合工程においてβ化したデンプンを用いる場合には、液状バインダの流動性を高くできるため、液状バインダを混合物中に均一に分散させ易い利点がある。
上述したように、混合工程においてバインダを主材および補強材の表面に均一に付着させるためには、液状バインダの流動性は高い方が好ましい。一方、積層工程および成形工程において混合物に所望の形状を付与するためには、混合物の流動性は低い方が好ましい。液状バインダの流動性を大きくするためには、液状バインダ準備工程における水の配合量を多くするのが良い。混合物の流動性を大きくするためには、混合工程における液状バインダの配合量を多くするか、混合工程における補強材の配合量を少なくするのが良い。
液状バインダの流動性を高くし、かつ混合物の流動性を低くするためには、液状バインダ準備工程において、バインダ100質量部に対して水を300質量部〜3500質量部配合するのが良い。より好ましくは、液状バインダ準備工程において、バインダ100質量部に対して水を450質量部〜3000質量部配合するのが良い。
あるいは、液状バインダの流動性を高くし、かつ混合物の流動性を低くするためには、混合工程において、主材100質量部に対して液状バインダを200質量部〜270質量部配合するのが良い。より好ましくは、混合工程において、主材100質量部に対して液状バインダを230質量部〜250質量部配合するのが良い。
あるいは、液状バインダの流動性を高くし、かつ混合物の流動性を低くするためには、混合工程において、主材100質量部に対して補強材を15質量部〜40質量部配合するのが良い。より好ましくは、混合工程において、主材100質量部に対して補強材を25質量部〜30質量部配合するのが良い。
さらに、混合物の流動性を低くするためには、液状バインダ中の水を主材に多く吸収させるのがよい。積層工程で使用する混合物として、混合工程で液状バインダと主材と補強材との混合を開始した後5分以上経過したものを用いる場合には、混合物に含まれる水の多くが主材に吸収されるため、積層工程に供する混合物の流動性が小さくなる。より好ましくは、積層工程で使用する混合物として、混合工程で液状バインダと主材と補強材との混合を開始した後10分以上経過したものを用いるのが良い。
(発明の効果)
(発明の効果)
本発明の建築用壁材は、耐火性とリサイクル性とに優れ、安価に製造できる。
上記(1)を備える本発明の建築用壁材は形状保持性に優れる。
上記(2)を備える本発明の建築用壁材は、形状保持性と耐火性とに優れる。
上記(3)を備える本発明の建築用壁材は、強度と耐火性とに優れる。
本発明の建築用壁材の製造方法は、耐火性とリサイクル性とに優れた建築用壁材を、容易かつ安価に製造できる。
上記(4)〜(6)の少なくとも一つを備える本発明の建築用壁材の製造方法は、混合工程においてバインダを主材および補強材の表面に均一に付着させることができ、かつ、積層工程および成形工程において混合物に所望の形状を付与することができる。このため、上記(4)〜(6)の少なくとも一つを備える本発明の建築用壁材の製造方法によると、建築用壁材を容易かつ精度高く製造できる。
上記(7)を備える本発明の建築用壁材の製造方法は、混合物中の水を主材に多く吸収させ得るため、混合工程においてバインダを主材および補強材の表面に均一に付着させることができ、かつ、積層工程および成形工程において混合物に所望の形状を付与することができる。このため、上記(7)を備える本発明の建築用壁材の製造方法によると、建築用壁材を容易かつ精度高く製造できる。
上記(8)を備える本発明の建築用壁材の製造方法は、液状バインダを主材および補強材の表面に付着させ易い。
上記(9)を備える本発明の建築用壁材の製造方法は、液状バインダを混合物中に均一に分散させ易い。
以下、本発明の建築用壁材を例を挙げて説明する。
(実施例1)
実施例1の建築用壁材は、上記(1)〜(3)を備える。また、実施例1の建築用壁材の製造方法は、上記(4)〜(7)および(9)を備える。実施例1の建築用壁材を模式的に表す断面図を図1に示す。図1の要部拡大図を図2に示す。
実施例1の建築用壁材は、上記(1)〜(3)を備える。また、実施例1の建築用壁材の製造方法は、上記(4)〜(7)および(9)を備える。実施例1の建築用壁材を模式的に表す断面図を図1に示す。図1の要部拡大図を図2に示す。
図1に示すように、実施例1の建築用壁材1は、基材層2の対向する二面に表皮層3が固定された所謂サンドイッチ構造をなす。
実施例1の建築用壁材1では、表皮層3として厚さ0.2mmの和紙を用いた。基材層2は、珪藻土からなる主材4と、植物繊維の一種であるバガスからなる補強材5と、ポリ乳酸樹脂6およびデンプン7からなるバインダとからなる。基材層2の厚さは11.1mmであった。
珪藻土としては昭和化学工業(株)製のラジオライトSPFを用いた。この珪藻土は、灰色の細粉体であった。
バガスとしては波照間精糖社製のものを用いた。このバガスは、直径約0.1〜10mm、長さ約10mm〜50mmのものであった。
ポリ乳酸樹脂としては、第一工業製薬(株)製のプラセマL110Gを用いた。このポリ乳酸樹脂は、トウモロコシを材料としてなり、乳白色の液状であった。
デンプンとしては、日本コーンスターチ(株)製のコーンスターチ特級を用いた。このデンプンは食品用の細粉体であった。
図2に示すように、実施例1の建築用壁材1における基材層2は、デンプン7およびポリ乳酸樹脂6が主材4および補強材5を一体に結合してなる。
実施例1の建築用壁材は、180質量部の主材と、45質量部の補強材と、40質量部のポリ乳酸樹脂と、37質量部のデンプンとを含む。換言すると、デンプンはポリ乳酸樹脂100質量部に対して92.5質量部配合されている。また、バインダは主材100質量部に対して42.8質量部配合されている。補強材は主材100質量部に対して25質量部配合されている。
実施例1の建築用壁材の製造方法を以下に説明する。
(液状バインダ準備工程)
ポリ乳酸樹脂40質量部と、デンプン37質量部と、水370質量部とを撹拌装置に投入した。この撹拌装置によって、1800rpm、常温で1分間、ポリ乳酸樹脂とデンプンと水を混合して、液状バインダを得た。なお、ポリ乳酸樹脂としては、液体状のものを用いた。デンプンとしては、β化している細粉体を用いた。
ポリ乳酸樹脂40質量部と、デンプン37質量部と、水370質量部とを撹拌装置に投入した。この撹拌装置によって、1800rpm、常温で1分間、ポリ乳酸樹脂とデンプンと水を混合して、液状バインダを得た。なお、ポリ乳酸樹脂としては、液体状のものを用いた。デンプンとしては、β化している細粉体を用いた。
(混合工程)
液状バインダ準備工程で得た液状バインダ447質量部と、主材180質量部と、補強材45質量部とを撹拌装置に投入した。そして、1800rpm、常温で5分間、液状バインダと主材と補強材を混合して混合物を得た。混合工程終期における混合物の流動性は、混合工程初期における混合物の流動性よりも小さかった。
液状バインダ準備工程で得た液状バインダ447質量部と、主材180質量部と、補強材45質量部とを撹拌装置に投入した。そして、1800rpm、常温で5分間、液状バインダと主材と補強材を混合して混合物を得た。混合工程終期における混合物の流動性は、混合工程初期における混合物の流動性よりも小さかった。
(積層工程)
混合工程で得た混合物627質量部を0.3m×0.35mの表皮層3上に積層し、その上層にさらに0.3m×0.35mの表皮層3を積層して積層物を得た。
混合工程で得た混合物627質量部を0.3m×0.35mの表皮層3上に積層し、その上層にさらに0.3m×0.35mの表皮層3を積層して積層物を得た。
(成形工程)
積層工程で得た積層物を加熱装置(最大シリンダ圧力600tの熱プレス機)に入れて、積層物に150Paの圧力を加えつつ80℃で10分間加熱した。加熱されたポリ乳酸樹脂は溶融した。また、水とともに加熱されたβデンプンはα化した。溶融したポリ乳酸樹脂とα化したデンプンとは、主材同士の間、主材と補強材の間、および補強材同士の間を繋いだ。そして、積層体を冷却すると、ポリ乳酸樹脂が固化しかつデンプンがβ化して、主材同士、主材と補強材、および補強材同士を固めた。
積層工程で得た積層物を加熱装置(最大シリンダ圧力600tの熱プレス機)に入れて、積層物に150Paの圧力を加えつつ80℃で10分間加熱した。加熱されたポリ乳酸樹脂は溶融した。また、水とともに加熱されたβデンプンはα化した。溶融したポリ乳酸樹脂とα化したデンプンとは、主材同士の間、主材と補強材の間、および補強材同士の間を繋いだ。そして、積層体を冷却すると、ポリ乳酸樹脂が固化しかつデンプンがβ化して、主材同士、主材と補強材、および補強材同士を固めた。
以上の液状バインダ準備工程〜成形工程で、表皮層3と基材層2とを持つ実施例1の建築用壁材を得た。
実施例1の建築用壁材は、主材として珪藻土を含むため、耐火性に優れる。また、実施例1の建築用壁材は、珪藻土と補強材(バガス)とをバインダで固めている。このため、実施例1の建築用壁材は、水を加えて加熱するだけでリサイクルできる。よって、実施例1の建築用壁材はリサイクル性に優れる。なお、本発明の建築用壁材をリサイクルする際には、水を加えて加熱する前に破砕処理することで、リサイクルに要する時間を短縮できる。
実施例1の建築用壁材は、バインダとしてポリ乳酸樹脂とデンプンとを併用したことで、製造コストを低減できた。
なお、実施例1の建築用壁材の端面(表皮層が固定されていない面)に触れても、主材や補強材が基材層2から脱離しなかった。この結果からも、実施例1の建築用壁材が形状保持性に優れることがわかる。これはバインダとしてポリ乳酸樹脂を用いたためであると考えられる。
実施例1の建築用壁材の製造方法によると、液状バインダ中にデンプンと水とがバランス良く配合されている。また、混合物中に液状バインダと主材、補強材がバランス良く配合されている。このため、実施例1の建築用壁材の製造方法は、混合工程においてバインダを主材および補強材の表面に均一に付着させることができ、かつ、積層工程および成形工程において混合物に所望の形状を付与することができる。よって、実施例1の建築用壁材の製造方法によると、建築用壁材を容易かつ精度高く製造できる。
また、実施例1の建築用壁材の製造方法では、珪藻土からなる主材が混合物中の水を吸収するために、混合物の流動性は液状バインダの混合開始直後には大きく、その後小さくなる。したがって、実施例1の建築用壁材の製造方法では、混合工程における混合物の流動性は充分に高く、また、積層工程および成形工程における混合物の流動性は充分に低くなり、実施例1の建築用壁材を容易に製造できる。
また、実施例1の建築用壁材の製造方法における液状バインダ準備工程では、デンプンとしてβ化したものを用いている。このため、液状バインダ中のデンプンを混合物中に均一に分散させることができ、主材や補強材をデンプンによって確実に固定できる利点もある。
(比較例1)
比較例1の建築用壁材は、バインダとしてデンプンのみを用い、ポリ乳酸樹脂を用いなかったことと、デンプンの配合量以外は実施例1の建築用壁材と同じものである。また、比較例1の建築用壁材の製造方法は、液状バインダ準備工程においてデンプンのみを用いポリ乳酸樹脂を用いなかったことと、デンプンの配合量以外は実施例1の建築用壁材の製造方法と同じである。
比較例1の建築用壁材は、バインダとしてデンプンのみを用い、ポリ乳酸樹脂を用いなかったことと、デンプンの配合量以外は実施例1の建築用壁材と同じものである。また、比較例1の建築用壁材の製造方法は、液状バインダ準備工程においてデンプンのみを用いポリ乳酸樹脂を用いなかったことと、デンプンの配合量以外は実施例1の建築用壁材の製造方法と同じである。
比較例1の建築用壁材は、180質量部の主材と、45質量部の補強材と、75質量部のデンプンとを含む。
比較例1の建築用壁材の端面に触れると、主材や補強材が基材層2から脱離した。このため比較例1の建築用壁材は、実施例1の建築用壁材に比べて形状保持性に劣る。これは、比較例1の建築用壁材がポリ乳酸樹脂を含まないためだと考えられる。
(比較例2)
比較例2の建築用壁材は、バインダとしてポリ乳酸樹脂のみを用い、デンプンを用いなかったことと、ポリ乳酸樹脂の配合量以外は実施例1の建築用壁材と同じものである。また、比較例1の建築用壁材の製造方法は、液状バインダ準備工程においてポリ乳酸樹脂のみを用いデンプンを用いなかったことと、ポリ乳酸樹脂の配合量以外は実施例1の建築用壁材の製造方法と同じである。
比較例2の建築用壁材は、バインダとしてポリ乳酸樹脂のみを用い、デンプンを用いなかったことと、ポリ乳酸樹脂の配合量以外は実施例1の建築用壁材と同じものである。また、比較例1の建築用壁材の製造方法は、液状バインダ準備工程においてポリ乳酸樹脂のみを用いデンプンを用いなかったことと、ポリ乳酸樹脂の配合量以外は実施例1の建築用壁材の製造方法と同じである。
比較例2の建築用壁材は、180質量部の主材と、45質量部の補強材と、75質量部のポリ乳酸樹脂とを含む。
比較例2の建築用壁材の製造コストは、実施例1の建築用壁材の製造コストの16倍程度であった。すなわち比較例2の建築用壁材の製造コストは、実施例1の建築用壁材の製造コストよりも高かった。これは、高価なポリ乳酸樹脂を多く使用したためである。
また、比較例2の建築用壁材は、ポリ乳酸樹脂を多く含みデンプンを含まないために、形状保持性が極めて高い。このため、比較例2の建築用壁材は破砕処理し難く、実施例1の建築用壁材に比べてリサイクル性に劣っていた。
1:建築用壁材 2:基材層 3:表皮層
4:主材 5:補強材 6:ポリ乳酸樹脂
7:デンプン
4:主材 5:補強材 6:ポリ乳酸樹脂
7:デンプン
Claims (11)
- 主材と該主材中に分散保持されている補強材と該主材および該補強材を一体的に結合するバインダとを含む基材層と、該基材層の少なくとも一面に一体的に固定されている表皮層とを持つ建築用壁材であって、
該主材は珪藻土からなり、
該補強材は植物繊維からなり、
該バインダはポリ乳酸樹脂およびデンプンからなることを特徴とする建築用壁材。 - 前記デンプンが、前記ポリ乳酸樹脂100質量部に対して90質量部〜700質量部配合されている請求項1に記載の建築用壁材。
- 前記バインダが、前記主材100質量部に対して35質量部〜75質量部配合されている請求項1または請求項2に記載の建築用壁材。
- 前記補強材が、前記主材100質量部に対して15質量部〜45質量部配合されている請求項1〜請求項3の何れか一つに記載の建築用壁材。
- 主材と該主材中に分散保持されている補強材と該主材および該補強材を一体的に結合するバインダとを含む基材層と、該基材層の少なくとも一面に一体的に固定されている表皮層とを持つ建築用壁材であって、該主材は珪藻土からなり、該補強材は植物繊維からなり、該バインダはポリ乳酸樹脂およびデンプンからなる建築用壁材を製造する方法であって、
該バインダと水とを混合して液状バインダを得る液状バインダ準備工程と、
該液状バインダと該主材と該補強材とを混合して混合物を得る混合工程と、
該混合物を該表皮層上に積層して積層物を得る積層工程と、
該積層物を加熱し、冷却して、該表皮層と該基材層とを持つ建築用壁材を得る成形工程と、
を含むことを特徴とする建築用壁材の製造方法。 - 前記液状バインダ準備工程において、前記水を前記バインダ100質量部に対して300質量部〜3500質量部配合する請求項5に記載の建築用壁材の製造方法。
- 前記混合工程において、前記液状バインダを前記主材100質量部に対して200質量部〜270質量部配合する請求項5または請求項6に記載の建築用壁材の製造方法。
- 前記混合工程において、前記補強材を前記主材100質量部に対して15質量部〜40質量部配合する請求項5〜請求項7の何れか一つに記載の建築用壁材の製造方法。
- 前記積層工程で使用する前記混合物は、前記混合工程で前記液状バインダと前記主材と前記補強材との混合を開始した後5分以上経過したものである請求項5〜請求項8の何れか一つに記載の建築用内装材の製造方法。
- 前記液状バインダ準備工程において、前記デンプンとしてα化しているものを用いる請求項5〜請求項9の何れか一つに記載の建築用壁材の製造方法。
- 前記液状バインダ準備工程において、前記デンプンとしてβ化しているものを用い、
前記成形工程において、β化している前記デンプンを加熱することでα化する請求項5〜請求項9の何れか一つに記載の建築用壁材の製造方法。
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JP2007173179A JP2009013589A (ja) | 2007-06-29 | 2007-06-29 | 建築用壁材およびその製造方法 |
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CN112679176A (zh) * | 2020-12-29 | 2021-04-20 | 常州雅彩装饰材料有限公司 | 一种新型植物纤维泥及其制备方法 |
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2007
- 2007-06-29 JP JP2007173179A patent/JP2009013589A/ja active Pending
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