JP2009013512A - ゴム補強用炭素繊維コードの製造方法およびゴム補強用炭素繊維コード - Google Patents

ゴム補強用炭素繊維コードの製造方法およびゴム補強用炭素繊維コード Download PDF

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暁 植島
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Abstract

【課題】製造工程において炭素繊維の損傷を大幅に抑制しつつ、炭素繊維の保有する各特性を十分に発現できるゴム補強用炭素繊維コードの製造方法とゴム補強用炭素繊維コードを提供する。
【解決手段】炭素繊維束1を樹脂組成物処理液4の含浸浴槽5内の含浸ロール6に通して、炭素繊維束1に樹脂組成物処理液4を含浸し、次いで、含浸した直後の湿潤状態にある炭素繊維束1の周囲に、第1カバーリング部7において、炭素繊維以外の他の繊維として例えばポリアミド繊維8を一方向に巻き付け、次いで、第2カバーリング部15において、ポリアミド繊維8’を反対方向の他方向に巻き付け、しかる後、乾燥炉20、熱処理炉21において、乾燥および熱処理を行なう。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤ、ベルト、ホースなどの分野で使用されているゴム補強用炭素繊維コードに関し、炭素繊維束をベース素材とし、特に炭素繊維自身の保有する各特性を十分に発現することのできるゴム補強用炭素繊維コードの製造方法とゴム補強用炭素繊維コードに関するものである。
ゴム補強用繊維コードは、その発展過程の中でレーヨン繊維、ポリアミド繊維、そしてスチール繊維と進化を遂げ現在に至っている。近年、これまでのゴム補強繊維とは異なるアラミド繊維(芳香族ポリアミド繊維)や炭素繊維などへの展開が図られている。その中でも炭素繊維は、一般に出発原料の違いからPAN系炭素繊維とピッチ系炭素繊維に大別され、それぞれの特性も繊維も大きく異なり、補強用材料として活用する場合はその特性面からPAN系炭素繊維の使用が主である。そのPAN系炭素繊維は、高強度、高弾性、耐疲労特性等の点で極めて優れた特性を有する。以下の記述で炭素繊維と表示するのはPAN系炭素繊維を指すこととする。しかしながら、この炭素繊維は、極めて小さい伸び特性や単繊維が非常に脆くて製造工程中におけるガイドロール、ガイドピン等との接触によって非常に損傷を受けやすいことなどの点や、固有の強度特性の発現が難しいことから、汎用性のあるゴム補強用コードとしては実際の使用に至っていないのが実情である。
炭素繊維をゴム補強用繊維として活用することを目指した研究としては、炭素繊維の界面における改質(例えば接着性)に絞られたものが大部分を占めてきた(例えは、特許文献1参照)。
加工面の研究においては、炭素繊維から成る糸にポリマーを含浸して、ポリマーを含浸した糸をノズルに通して、糸を全長にわたって一様な横断面積とし、糸の横断面にポリマーを均質に分散させた高負荷に耐える糸を得る方法が知られている(特許文献2)。しかしながら、ノズルを通すことによって単繊維の損傷を招き、コード特性の発現に悪影響を及ぼし、また、損傷により欠落した単繊維の一部がノズルに詰まるといった製造上の問題もある。
特開2006−89877号公報 特表2002−540300号公報
本発明者は、このような状況の下で、炭素繊維の界面における問題はこれまでの研究開発で一定の水準にまで達しているものと考え、加工面から炭素繊維束のコードの構造に工夫を加えることによって、ゴム補強用繊維コードとしての高強度の発現、耐久性の向上を目指して研究を重ねた。その結果、本発明者は、加工方法の工夫によって、単繊維の損傷を抑制しつつ、炭素繊維の有する高強度、高弾性、耐疲労特性などの機械的特性を高いレベルに引き上げることに成功し、本発明の完成に至ったものである。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、炭素繊維の損傷を大幅に抑制しながら、炭素繊維の有する各特性を十分に発現することのできるゴム補強用炭素繊維コードの製造方法とゴム補強用炭素繊維コードを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係るゴム補強用炭素繊維コードの製造方法は、樹脂組成物処理液を含浸した後の湿潤状態にある炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維を巻き付け、しかる後熱処理を行なうことを特徴とするものである。ここで炭素繊維はPAN系炭素繊維を指す。樹脂組成物処理液としては、例えば、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス(以下、「RFL」と略する)処理液が用いられる。また、炭素繊維以外の他の繊維としては、レーヨン、ナイロン、ポリエステルなどの合成繊維又は天然繊維を用いることができる。
炭素繊維束は、通常1000本〜数万本の炭素繊維の単繊維が束の形で一つにまとめられたものである。炭素繊維の固有の特性の向上を図る1つ目の要因は、炭素繊維束の内部の単繊維間に、樹脂組成物をいかに均一に含浸させるかである。また、2つ目の要因は、単繊維毎に掛かる応力負荷を等しく一様にすることである。3つ目の要因は、加工時の単繊維の損傷をできるだけ抑制することである。
炭素繊維の破断伸度は、1.7%程度と極めて小さい。このことは、炭素繊維束の内部で応力の単繊維間伝播が適切に行なわれなければ、炭素繊維束内部で応力が大きく掛かった単繊維から順に徐々に破壊していくことを意味し、本体炭素繊維束が全体として発揮すべき強度の発現まで至らないことになる。これを言い換えると、単繊維にある応力が掛かった場合、各単繊維に等しく同程度の伸びが発生すれば、炭素繊維束全体の破断強度が飛躍的に向上することになる。
請求項1に係るゴム補強用炭素繊維コードの製造方法によれば、樹脂組成物処理液を含浸した後の湿潤状態にある炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維を巻き付け、同巻き付け力によって、炭素繊維束中に含浸した樹脂組成物処理液を単繊維間に均一に充填することができる。すなわち、同単繊維間に存在する空間を樹脂組成物処理液で埋め尽くすことができる。また、余分の樹脂組成物処理液は炭素繊維束の内部から外皮表面へ絞出して除去することができる。これによって、適正量の樹脂組成物処理液を炭素繊維束の内部の単繊維間に均一に充填配置することができる。これによって、コード内部における単繊維間にかかる応力負荷を等しく一様にし、応力伝播を理想の形に近付けることができる。
また、炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維を巻き付けることで、コードの製造工程中において、ガイドロール、ガイドピン等との接触から炭素繊維束を保護し、炭素繊維の損傷を抑制することができる。
さらには、炭素繊維束を芯材としてその周囲に、炭素繊維以外の他の繊維を巻き付けることで、同巻き付け力によって炭素繊維束を実質的に断面真円状に整えることができる。そして、その後の熱処理によって、単繊維間に樹脂組成物が均一に充填配置され、かつ、断面が実質的に真円状の炭素繊維コードが得られる。得られた炭素繊維コードは、ゴムとの接着性が良好であると共に、ゴムとの一体加硫成形により、炭素繊維が保有する高強度、高弾性、耐疲労特性などの固有の特性を最大限に発現させることができる。
巻き付けに必要な繊維の太さは、当該繊維そのものが最終的にコードとしての強度に寄与する必要はなく、炭素繊維束中の単繊維がガイドローラ等との接触による脱落あるいは折損などから保護する観点と、炭素繊維束を周囲から巻き締めるに要する力に耐えられる太さを有すれば良い。例えば、繊度が10dtex(デシテックス)程度の繊維であれば良い。
本発明の請求項2に係るゴム補強用炭素繊維コードの製造方法は、炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維を所定の張力で巻き付けることを特徴とするものである。
所定の張力で巻き付けることで、炭素繊維束を外周からより締め付ける力が発生し、含浸した樹脂組成物処理液が炭素繊維束の内部を移動して、単繊維間の未含浸部分へ確実に浸透する。これにより樹脂組成物処理液が隙間なく充填される。また、余分の樹脂組成物処理液をより効果的に炭素繊維束の内部から表面へ絞出できる。これらによって、より適正量の樹脂組成物処理液を炭素繊維束の内部の単繊維間に均一に充填配置し、また、炭素繊維束全体の断面をより真円状とする。
巻き付け時の張力は、0.1〜5mg/dtex、好ましくは0.2〜1mg/dtexである。ここで使用する張力の単位は、糸の大きさで影響を受けるため、糸にその長手方向に掛る張力荷重(mg)を糸の繊度(dtex)で割った値を使用した。
本発明の請求項3に係るゴム補強用炭素繊維コードの製造方法は、炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維を巻き付け密度が粗になるように巻き付けることを特徴とするものである。巻き付け密度が粗になるように巻き付けることで、炭素繊維束コードとゴムとの接着性がより向上する。
巻き付け方向は、左巻き、右巻きのいずれか一方のみの巻き付けと、互いに反対方向の二重巻き付けがあるが、好ましくは反対方向二重巻き付けが良い。なお、二重巻き付けとする場合には、2番目の巻き付け張力を1番目の巻き付け張力と同等とする。
本発明の請求項4に係るゴム補強用炭素繊維コードの製造方法は、炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維を巻き付け密度が200〜2000回/mとなるように巻き付けることを特徴とするものである。
巻き付ける繊維は最終的にコードとしての強度に寄与する必要はないことから、一方向のみの巻き付けの場合は、巻き付け密度を500〜2000回/mとすること、二方向の巻き付けの場合は、片側の巻き付け密度を200〜1000回/mとすることが好ましい。
本発明の請求項5に係るゴム補強用炭素繊維コードの製造方法は、炭素繊維以外の他の繊維としてポリアミド繊維を用いることを特徴とするものである。ポリアミド繊維には、使用実績に優れたナイロンなどが含まれる。
本発明の請求項6に係るゴム補強用炭素繊維コードの製造方法は、炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維を一方向に巻き付けた後、その上から炭素繊維以外の他の繊維を他方向に巻き付けることを特徴とするものである。
本発明の請求項7に係るゴム補強用炭素繊維コードの製造方法は、炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維を巻き付けた後に炭素繊維束の表面に絞出される余分の樹脂組成物処理液を高圧空気で除去することを特徴とするものである。余分の樹脂組成物処理液を高圧空気で除去することにより、単繊維を損傷させることなく、余分の樹脂組成物処理液を効率よく除去することができる。
本発明の請求項8に係るゴム補強用炭素繊維コードは、樹脂組成物が含浸された炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維が巻き付けられていることを特徴とするものである。
樹脂組成物が含浸された炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維が巻き付けられていることにより、炭素繊維束の一体性が向上し、炭素繊維の保有する高強度、高弾性率、耐疲労強度などの固有の特性を最大限に発現することができる。樹脂組成物の含浸量は、炭素繊維束100重量部に対し、5〜40重量部、好ましくは10〜30重量部の範囲で選択される。
本発明の請求項9に係るゴム補強用炭素繊維コードは、炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維が粗に巻き付けられていることを特徴とするものである。炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維が粗に巻き付けられることにより、炭素繊維とゴムとの接着性、一体性がより一層良好なものとなる。
本発明の請求項10に係るゴム補強用炭素繊維コードは、炭素繊維束の断面が実質的に真円状であることを特徴とするものである。炭素繊維束の断面が実質的に真円状であることにより、炭素繊維束の一体性が向上し、炭素繊維の保有する高強度、高弾性率、耐疲労強度などの固有の特性を最大限に発現することができる。
本発明の請求項11に係るゴム補強用炭素繊維コードは、請求項9記載のゴム補強用炭素繊維コードの複数本をそれぞれ下撚りし、下撚りした前記複数本のゴム補強用炭素繊維コードを上撚りしながら合糸して得られることを特徴とするものである。
以上説明したように、本発明に係るゴム補強用炭素繊維コードの製造方法によれば、樹脂組成物処理液を含浸した後の湿潤状態にある炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維を巻き付けるようにしたから、同巻き付け力によって炭素繊維束が外周から締め付けられ、炭素繊維束中に含浸した樹脂組成物処理液を単繊維間に均一に充填すると共に余分な樹脂組成物を炭素繊維束の表面へ絞出して除去することができ、また、同巻き付け力によって炭素繊維束を実質的に断面真円状に形を整え、その後の熱処理によって、単繊維間に樹脂組成物が均一に充填配置され、かつ、断面が実質的に真円状のゴム補強用炭素繊維コードを得ることができる。これによって、コード内部における単繊維間にかかる応力伝播を理想の形に近付けることができ、炭素繊維の保有する高強度、高弾性、耐疲労特性等の固有の特性を最大限に発現させることのできるゴム補強用炭素繊維コードを得ることができる。
また、本発明に係るゴム補強用炭素繊維コードの製造方法によれば、樹脂組成物処理液を含浸した後の湿潤状態にある炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維を巻き付けることによって、炭素繊維コードの製造工程中における単繊維の損傷を飛躍的に抑制することができる。これによって、炭素繊維コードとゴムとの接着性を良好なものとすることができる。さらに、単繊維の損傷を抑制するから、損傷した単繊維部分が粉塵となって飛散したり、作業環境が悪化することを良好に防止できる。
また、本発明に係るゴム補強用炭素繊維コードによれば、樹脂組成物が含浸された炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維が巻き付けられるので、炭素繊維コードとゴムとの接着性が飛躍的に高まり、炭素繊維コードのもつ固有の特性を最大限に発現できる効果を奏する。
以下に、本発明に係る実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は本発明に係るゴム補強用炭素繊維コードを得るための製造ラインを示す説明図である。
本発明に係るゴム補強用炭素繊維コードは、樹脂組成物処理液を含浸した後の湿潤状態にある炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維を巻き付けることによって、樹脂組成物処理液を炭素繊維束の内部の単繊維間および炭素繊維束の外皮に対し均一にして最適量を付与せしめ、その後に熱処理を加えることで、高強度と高弾性および耐疲労特性を最大限に発現せんとするものである。
まず、炭素繊維束について説明すると、炭素繊維束1は、図2に示すように、極細状の炭素繊維(単繊維)2を数千本単位で束状にしたもので、RFL処理剤(樹脂組成物処理液)を含浸させて、熱処理を加えて一体化させるようになっている。本実施形態の場合、繊度が10dtex(デシテックス)程度の炭素繊維を3000本束状にしたものが用いられる。炭素繊維束1には全体に10回/m程度の撚りが掛けられている。かかる炭素繊維束1は、図1に示すように、ボビン(図示せず)に巻かれた状態でクリールスタンド3にセットされる。そして、ボビン巻きされた炭素繊維束1は、一定張力でボビンから引き出され、RFL処理剤4が充填された含浸処理浴槽5内の含浸ロール6に導かれ、炭素繊維束1の内部にRFL処理剤4が含浸される。
含浸ロール6の凹状のガイド溝6aに導かれる炭素繊維束1は、含浸ロール6にガイドされる間、断面が扁平状になる。ガイド溝6aの炭素繊維束1と接触する内周面をフラット面とすることにより、炭素繊維束1中に含まれる各炭素繊維がRFL処理剤4と十分に接触して、RFL処理剤4が炭素繊維束1中に十分に含浸するように工夫されている。
RFL処理剤4が含浸された直後の炭素繊維束1は、含浸ロール6により進行方向を上向きに変え、最初の第1カバーリング部7に導かれる。第1カバーリング部7は、炭素繊維以外の他の繊維(図示例ではポリアミド繊維)8をカバーリング糸として炭素繊維束1を中心にしてその周囲に一定の張力および一定のピッチで一方向(図1のA方向)に巻き付けるもので、図4に示すように、支持部の上に中空なスピンドル11が回転自在に支持され、このスピンドル11にはボビン(いわゆるHボビン)12が取り付けられ、ベルト13によってスピンドル11およびボビン12が同時に同一方向に回転するようになっている。ボビン12にはポリアミド繊維8が巻回されている。そして、スピンドル11の貫通孔(直径5mm程度)11aを通って炭素繊維束1が上向きに進行するのに合わせて、ボビン12のポリアミド繊維8がボビン12の回転と共に炭素繊維束1の周囲に360°回転して、炭素繊維束1の周囲にポリアミド繊維8が一定の張力および一定のピッチで一方向に巻き付くようになっている。
図6の(イ)に、炭素繊維束1にポリアミド繊維8が一定のピッチで一方向に巻き付けられた例を示す。本実施形態では、ポリアミド繊維8の、炭素繊維束1に対する巻き付け密度を1000回/mとした。なお、同巻き付け密度は、炭素繊維束1の供給速度、ボビン12の回転速度のいずれか一方又は両方の設定を変更することによって、自由に変更可能である。
湿潤状態にある炭素繊維束は、加工工程中にガイドローラあるいはガイドピンを経由する度に、ローラ面に炭素繊維束がRFL処理液を介して付着しやすいことから、繊維束表面において多くの単繊維の損傷が生じるおそれがある。これに対し、本実施形態においては、炭素繊維束1の周囲をポリアミド繊維8により一定のピッチでカバーリングすることから、炭素繊維と次の第1ガイド部14のローラ面との間にポリアミド繊維8が介在して、第1ガイド部14のローラ面が炭素繊維そのものに直接接触することが少なくなる。また、炭素繊維束1をカバーリングするポリアミド繊維8が炭素繊維束1の結束力を高めるので、これらの相乗作用によって、炭素繊維束1に含まれる各炭素繊維2を損傷から防護する機能を付与する。この点で、炭素繊維束1の最終のコード特性に大きな利点をもたらすことになる。
なお、RFL処理剤4の含浸処理前に炭素繊維束1の各単繊維の表面処理(RFL処理剤との接着性を高めるような粗面処理など)を行なう場合は、含浸処理浴槽5内に浸漬する前の工程として、単独で表面処理を完了させておく。あるいは、表面処理とRFL処理液の含浸処理を同一工程内で連続的に行なうようにすることも可能である。
第1ガイド部14の直上には、第2カバーリング部15が配置されている。第2カバーリング部15は、第1カバーリング部7とは反対方向(図1のB方向)に、炭素繊維以外の他の繊維(図示例ではポリアミド繊維)8’をカバーリング糸として炭素繊維束1を中心にしてその周囲に一定の張力および一定のピッチで他方向に巻き付けるようになっている。第2カバーリング部15の構造は、第1カバーリング部7で説明したように、図4に示すような中空のスピンドル11、ボビン12、ベルト13から構成され、スピンドル11の貫通孔11aを通って炭素繊維束1が図1の上向きに進行するのに合わせて、ボビン12のポリアミド繊維8’がボビン12の回転と共に炭素繊維束1の周囲に一定の張力および一定のピッチで、ポリアミド繊維8とは反対方向(図1のB方向)に巻き付くようになっている。
図6の(ロ)に、炭素繊維束1にポリアミド繊維8’が一定のピッチで他方向に巻き付けられた例を示す。本実施形態では、ポリアミド繊維8’の、炭素繊維束1に対する巻き付け密度を1000回/mとした。なお、同巻き付け密度は、炭素繊維束1の供給速度、ボビン12の回転速度のいずれか一方又は両方の設定を変更することによって、自由に変更可能である。また、ポリアミド繊維8’に掛る張力は、炭素繊維束1に含浸されたRFL処理剤4の残存量に合わせて調整する。
炭素繊維束1に2つのポリアミド繊維8、8’を互いに反対方向に巻き付けることにより、炭素繊維束1の中心に向けて炭素繊維束1を絞る力が均等に作用し、含浸処理浴槽5内で多量に含浸されたRFL処理剤4の余分な量を炭素繊維束1の表皮に適切に絞出して、図5に示すように、RFL処理剤4を炭素繊維束1の内部の単繊維間および外皮に対し均一にして最適量に付与することができる。絞出された余分なRFL処理剤4は、直上の第2ガイド部16とその上方のガイドローラ18との間に配置された高圧空気吹付ノズル17からの高圧空気の吹き付けにより吹き飛ばされ、炭素繊維束1から除去される。炭素繊維束1の表皮に絞出された余分なRFL処理剤4をこすり取ろうとすれば、表皮の単繊維に損傷を与えるので、接触せずに、高圧空気を吹き付けて、同余分なRFL処理剤4を、表皮の単繊維に損傷を与えることなく、除去するようにした。
高圧空気吹付ノズル17の直上のガイドローラ18により、炭素繊維束1は、進行方向を水平に変え、乾燥炉19に導かれる。乾燥炉19内は、炉内温度が100〜120℃の範囲に設定され、炉内に約1分間滞留させることにより、炭素繊維束1の内部に存在する水分を除去する。その後、引き続き、炭素繊維束1の内部のRFL処理剤4の熱処理を行なうため、ガイドローラ18、18で反転し、熱処理炉20に導かれる。熱処理炉20内は、炉内温度が200〜240℃の範囲に保たれ、炉内に約30秒間滞留させることにより、炭素繊維束1の内部のRFL処理剤4の熱処理を十分に行なう。
熱処理を終えた炭素繊維束1は、ガイドローラ18を経て反転し、ゴム補強用炭素繊維コード21として、巻取りボビン22に巻取りされる。
かくして、本製造方法によって、RFL処理剤4が炭素繊維束1の内部の単繊維間および外皮に対し均一にして最適量に付与され、高強度と高弾性および耐疲労特性を最大限に発現し得るゴム補強用炭素繊維コード21が得られる。
本製造方法によって得られたゴム補強用炭素繊維コード21は、最終的にゴムと一体加硫成型することによって、空気入りタイヤやベルトに供される。
最終的にゴムと一体成型されるゴム補強用炭素繊維コードの太さは、本製造方法によって得られたゴム補強用炭素繊維コードを複数本合糸して使用することが考えられる。その場合、各々の炭素繊維コードを予め下撚りを与えて、その後に、下撚りした各々の炭素繊維コードに上撚りを加えて合糸し、コードとすることが考えられる。
また、本製造方法で得られたゴム補強用炭素繊維コードの使用形態としては、これを高次加工した織物や編物の形で使用されることも想定される。
本発明の製造方法で製造されたゴム補強用炭素繊維コードは、タイヤ、ベルト、ホースなどの分野で使用されているゴム補強用の炭素繊維コードとして、あるいは高次加工した織物や編物用の炭素繊維コードとしても、幅広く利用可能である。
本発明の一実施形態を示すもので、ゴム補強用炭素繊維コードの製造ラインを示す説明図である。 炭素繊維束を示す要部拡大図である。 図1の製造ラインにおける含浸処理浴槽内の含浸ロールの断面を示す要部断面図である。 ゴム補強用炭素繊維コードの製造ラインに用いられるカバーリング部を示す正面図である。 図1の製造ラインで製造されたゴム補強用炭素繊維コードの要部拡大断面図である。 (イ)は炭素繊維束に炭素繊維以外の他の繊維を一方向に巻き付けた状態を示す要部拡大斜視図、(ロ)は炭素繊維束に炭素繊維以外の他の繊維を一方向およびこれと反対方向にそれぞれ巻き付けた状態を示す要部拡大斜視図である。
符号の説明
1 炭素繊維束
2 炭素繊維(単繊維)
3 クリールスタンド
4 RFL処理剤(樹脂組成物処理液)
5 含浸処理浴槽
6 含浸ロール
6a ガイド溝
7 第1カバーリング部
8,8’ ポリアミド繊維(炭素繊維以外の他の繊維)
11 スピンドル
12 ボビン
13 スピンドルの貫通孔
14 第1ガイド部
15 第2カバーリング部
16 第2ガイド部
17 高圧空気吹付ノズル
18 ガイドローラ
19 乾燥炉
20 熱処理炉
21 ゴム補強用炭素繊維コード
22 巻取りボビン

Claims (11)

  1. 樹脂組成物処理液を含浸した後の湿潤状態にある炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維を巻き付け、しかる後熱処理を行なうことを特徴とするゴム補強用炭素繊維コードの製造方法。
  2. 炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維を所定の張力で巻き付けることを特徴とする、請求項1記載のゴム補強用炭素繊維コードの製造方法。
  3. 炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維を巻き付け密度が粗になるように巻き付けることを特徴とする、請求項1または請求項2記載のゴム補強用炭素繊維コードの製造方法。
  4. 炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維を巻き付け密度が200〜2000回/mとなるように巻き付けることを特徴とする、請求項1ないし請求項3記載のゴム補強用炭素繊維コードの製造方法。
  5. 炭素繊維以外の他の繊維としてポリアミド繊維を用いることを特徴とする、請求項1ないし請求項4記載のゴム補強用炭素繊維コードの製造方法。
  6. 炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維を一方向に巻き付けた後、その上から炭素繊維以外の他の繊維を他方向に巻き付けることを特徴とする、請求項1ないし請求項5記載のゴム補強用炭素繊維コードの製造方法。
  7. 炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維を巻き付けた後に、炭素繊維束の表面に絞出される余分の樹脂組成物処理液を高圧空気で除去することを特徴とする、請求項1ないし請求項6記載のゴム補強用炭素繊維コードの製造方法。
  8. 樹脂組成物が含浸された炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維が巻き付けられていることを特徴とするゴム補強用炭素繊維コード。
  9. 炭素繊維束の周囲に、炭素繊維以外の他の繊維が粗に巻き付けられていることを特徴とする請求項9記載のゴム補強用炭素繊維コード。
  10. 炭素繊維束の断面が実質的に真円状であることを特徴とする請求項8または請求項9記載のゴム補強用炭素繊維コード。
  11. 請求項8記載のゴム補強用炭素繊維コードの複数本をそれぞれ下撚りし、下撚りした前記複数本のゴム補強用炭素繊維コードを上撚りしながら合糸して得られることを特徴とするゴム補強用炭素繊維コード。
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