JP2009009877A - プラズマディスプレイ用部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】膜厚が薄くても耐電圧のばらつきが小さく、透過率が高いディスプレイ用誘電体層の生産性に優れた形成方法を提供する。
【解決手段】基板上に電極パターン、該電極パターンを覆う第一の誘電体層、該第一の誘電体層を覆う第二の誘電体層、および該第二の誘電体層を覆う第三の誘電体層を有するプラズマディスプレイ用部材の製造方法であって、電極パターンまたは電極前駆体パターンが設けられた基板上に、有機成分と無機成分からなり、軟化点400℃以上600℃以下のガラス粉末を全無機成分中90体積%以上含む第一の誘電体前駆体層、該第一の誘電体前駆体層を覆い、有機成分と無機成分からなり、軟化点650℃以上の金属酸化物粉末を全無機成分中15体積%以上含む第二の誘電体前駆体層、および該第二の誘電体前駆体層を覆い、有機成分と無機成分からなり、軟化点400℃以上600℃以下のガラス粉末を全無機成分中90体積%以上含む第三の誘電体前駆体層を形成した後、該三層の誘電体前駆体層を同時焼成する。
【選択図】図1
【解決手段】基板上に電極パターン、該電極パターンを覆う第一の誘電体層、該第一の誘電体層を覆う第二の誘電体層、および該第二の誘電体層を覆う第三の誘電体層を有するプラズマディスプレイ用部材の製造方法であって、電極パターンまたは電極前駆体パターンが設けられた基板上に、有機成分と無機成分からなり、軟化点400℃以上600℃以下のガラス粉末を全無機成分中90体積%以上含む第一の誘電体前駆体層、該第一の誘電体前駆体層を覆い、有機成分と無機成分からなり、軟化点650℃以上の金属酸化物粉末を全無機成分中15体積%以上含む第二の誘電体前駆体層、および該第二の誘電体前駆体層を覆い、有機成分と無機成分からなり、軟化点400℃以上600℃以下のガラス粉末を全無機成分中90体積%以上含む第三の誘電体前駆体層を形成した後、該三層の誘電体前駆体層を同時焼成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下PDPとする)に用いる誘電体層の製造方法に関するものである。
近年、PDP、電界放射ディスプレイ、蛍光表示管、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、発光ダイオードなどの平面ディスプレイの開発が急速に進められている。このうち、PDPは、前面ガラス基板と背面ガラス基板との間に備えられた放電空間内で対向するアノード電極とカソード電極間にプラズマ放電を生じさせ、上記放電空間内に封入されているガスから発生した紫外線を、放電空間内に設けた蛍光体に照射することにより表示を行うものである。PDPや蛍光表示管などのガス放電タイプのディスプレイは、各駆動電極(走査・維持電極、アドレス電極)間、及び、電極と放電空間を絶縁し、放電を維持するための誘電体層を必要とする。この誘電体層においては、電極間及び、電極と放電空間を絶縁するために高い耐電圧特性が要求される。また、PDP前面板の誘電体層においては、輝度向上のために高い透明性を実現することが要求される。
従来、このような誘電体層を形成する方法として、ガラス粉末と有機バインダーを主成分とする誘電体ガラスペーストを、ダイコーター、スクリーン印刷などにより所定の膜厚に塗布した後、焼成する方法が知られている。本手法には、焼成時に大きな気泡を生じやすいという問題がある。誘電体層中に大きな気泡が発生すると、局所的に耐電圧が低下し、ディスプレイ中の耐電圧のばらつきが大きくなったり、極端に耐電圧の低い欠陥が多く発生するという問題を生じる。
これを防ぐため、高軟化点ガラスを下層、低軟化点ガラスを上層とした二層構造の誘電体層を各層別々に焼成し、PDP前面板誘電体層を形成する方法が提案されている(特許文献1、2、3参照)。この手法では、膜厚を40μm程度と厚くする必要があるため、PDP前面板用としては透明性が十分でなく、また材料コストが高くなってしまうという問題があった。さらに、焼成プロセス数の増大により生産性が良くない。特許文献1、2には、焼成温度の等しい誘電体ガラス粉末を用い、二層構造の誘電体層を同時焼成する方法も記載されているが、この手法では、巨大気泡による欠陥の発生を十分に抑えることができず、耐電圧のばらつきが大きいという問題があった。
特開2005−314128号公報
特開2005−317247号公報
特開2004−079248号公報
そこで本発明は、上記従来技術の問題点に着目し、高性能なディスプレイ部材を実現、提供することにある。具体的には、基板上に形成した電極パターン上に、膜厚が薄くても耐電圧のばらつきが小さく、透過率が高いディスプレイ用誘電体層の生産性に優れた形成方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明は以下の構成を有する。
1.基板上に電極パターン、該電極パターンを覆う第一の誘電体層、該第一の誘電体層を覆う第二の誘電体層、および該第二の誘電体層を覆う第三の誘電体層を有するプラズマディスプレイ用部材の製造方法であって、電極パターンまたは電極前駆体パターンが設けられた基板上に、有機成分と無機成分からなり、軟化点400℃以上600℃以下のガラス粉末を全無機成分中90体積%以上含む第一の誘電体前駆体層、該第一の誘電体前駆体層を覆い、有機成分と無機成分からなり、軟化点650℃以上の金属酸化物粉末を全無機成分中15体積%以上含む第二の誘電体前駆体層、および該第二の誘電体前駆体層を覆い、有機成分と無機成分からなり、軟化点400℃以上600℃以下のガラス粉末を全無機成分中90体積%以上含む第三の誘電体前駆体層を形成した後、該三層の誘電体前駆体層を同時焼成することを特徴とするプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
2.前記第一の誘電体層の厚さd1、前記第三の誘電体層の厚さd3が下式(1)を満たすことを特徴とする前記1項記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
0.25≦d3/d1≦4 (1)
3.前記第二の誘電体層の厚さd2が下式(2)を満たすことを特徴とする前記1項または2項に記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
0.1μm≦d2≦5μm (2)
4.支持フィルム上に、前記第三の誘電体前駆体層、前記第二の誘電体前駆体層および前記第一の誘電体前駆体層を設けた転写シートを用い、電極パターンまたは電極前駆体パターンが設けられた基板上に該三層の誘電体前駆体層を転写する工程を含む前記1〜3項のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
5.電極パターンまたは電極前駆体パターンが設けられた基板上に、ダイコーターを用いてペーストを塗布し、乾燥することによって前記第一の誘電体層、前記第二の誘電体層および前記第三の誘電体層を設ける前記1〜3項のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
6.二層以上のペースト層を同時に塗布可能な多層ダイコーターを用いることを特徴とする前記5項に記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
1.基板上に電極パターン、該電極パターンを覆う第一の誘電体層、該第一の誘電体層を覆う第二の誘電体層、および該第二の誘電体層を覆う第三の誘電体層を有するプラズマディスプレイ用部材の製造方法であって、電極パターンまたは電極前駆体パターンが設けられた基板上に、有機成分と無機成分からなり、軟化点400℃以上600℃以下のガラス粉末を全無機成分中90体積%以上含む第一の誘電体前駆体層、該第一の誘電体前駆体層を覆い、有機成分と無機成分からなり、軟化点650℃以上の金属酸化物粉末を全無機成分中15体積%以上含む第二の誘電体前駆体層、および該第二の誘電体前駆体層を覆い、有機成分と無機成分からなり、軟化点400℃以上600℃以下のガラス粉末を全無機成分中90体積%以上含む第三の誘電体前駆体層を形成した後、該三層の誘電体前駆体層を同時焼成することを特徴とするプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
2.前記第一の誘電体層の厚さd1、前記第三の誘電体層の厚さd3が下式(1)を満たすことを特徴とする前記1項記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
0.25≦d3/d1≦4 (1)
3.前記第二の誘電体層の厚さd2が下式(2)を満たすことを特徴とする前記1項または2項に記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
0.1μm≦d2≦5μm (2)
4.支持フィルム上に、前記第三の誘電体前駆体層、前記第二の誘電体前駆体層および前記第一の誘電体前駆体層を設けた転写シートを用い、電極パターンまたは電極前駆体パターンが設けられた基板上に該三層の誘電体前駆体層を転写する工程を含む前記1〜3項のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
5.電極パターンまたは電極前駆体パターンが設けられた基板上に、ダイコーターを用いてペーストを塗布し、乾燥することによって前記第一の誘電体層、前記第二の誘電体層および前記第三の誘電体層を設ける前記1〜3項のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
6.二層以上のペースト層を同時に塗布可能な多層ダイコーターを用いることを特徴とする前記5項に記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
本発明によれば、基板上に形成した電極パターン上に、膜厚が薄くても耐電圧のばらつきが小さく、透過率が高い誘電体層を形成できる。それゆえ、高性能なディスプレイ用部材を生産性良く実現、提供できる。
本発明に用いる基板としては、ソーダガラスや耐熱ガラスである“PP8”(日本電気硝子株式会社製)、“PD200”(旭硝子株式会社製)を用いることができる。ガラス基板のサイズは特に限定はなく、厚みは1〜5mmのものを用いることができる。
本発明では、電極パターンまたは電極前駆体パターンが設けられた基板上に、ペーストあるいは転写シートを用いて三層の誘電体前駆体層を形成し、焼成することによって三層の誘電体層を形成することが必須である。
誘電体前駆体層を三層とし、最下層である第一の誘電体前駆体層および最上層である第三の誘電体前駆体層を、有機成分と無機成分からなり、軟化点400℃以上600℃以下のガラス粉末を全無機成分中90体積%以上含むようにすることによって、焼成後に透明な誘電体層を得ることができる。
また、中間層である第二の誘電体前駆体層を、有機成分と無機成分からなり、軟化点650℃以上の金属酸化物粉末を多く全無機成分中15体積%以上含むようにすることによって、焼成時に第一の誘電体前駆体層または第三の誘電体前駆体層に気泡が発生した場合でも、第二の誘電体前駆体層は軟化点の高い金属酸化物粉末を多く含むため第一の誘電体前駆体層および第三の誘電体前駆体層に比べて焼成時の流動性が低く、層間における気泡の融合、成長を抑制することができ、第一の誘電体層から第三の誘電体層に及ぶような大きな気泡が発生するのを防ぐことができ、その結果、極端に耐電圧の低い欠陥の発生を防止することができる。
さらに、軟化点の高い金属酸化物粉末を多く含む誘電体前駆体層を最上層のみ、あるいは、最下層のみに設ける場合は、他の二層間における気泡の融合、成長を抑制することができないという問題があり、または、軟化点の高い金属酸化物粉末を多く含む誘電体前駆体層を三層のうち二層以上設ける場合は、焼成後の透過率が低下しやすいという問題があるが、本発明においては、軟化点400℃以上600℃以下のガラス粉末を多く含む第一の誘電体前駆体層と第三の誘電体前駆体層の間に設けることによって、透明性の高い誘電体層を得ることができる。
本発明における電極パターンについて説明する。PDP前面板における電極パターンは、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化錫、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物からなる幅広の透明電極上に、細幅の銀またはクロム−銅−クロム電極を積層させた構成を有する。銀電極パターンの形成方法の例としては、銀粉末およびバインダーポリマーなどからなる銀ペーストを印刷法、スラリー法、ダイコーター法、スピンコーティング法等で塗布し、フォトリソグラフィー法により所望のパターンを加工した後に、焼成する方法が挙げられる。前記電極パターンの形成において、パターン加工後かつ未焼成のものを電極前駆体パターンと称する。クロム−銅−クロム電極パターンの形成方法の例としては、蒸着法、スパッタリング法により成膜後、エッチング法で所望のパターンを得る方法が挙げられる。
次に、ペーストを用いた誘電体前駆体層の形成について説明する。
本発明で用いるペーストとは、無機成分として金属酸化物粉末、有機成分としてバインダーポリマー、有機溶媒を含むものである。ペーストには、さらに必要に応じてフィラー粉末、ゲル化防止剤、酸化防止剤、分散剤、可塑剤、有機あるいは無機の沈殿防止剤やレベリング剤等の添加成分を加えても良い。本発明において、無機成分がガラス粉末である場合を特にガラスペーストと表記する。
本発明における金属酸化物粉末とは、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ストロンチウム、シリカ−チタニアなどのセラミックス粉末、あるいは、ガラス粉末を指す。
ガラス粉末としては、低軟化点ガラス粉末であることが好ましく、公知のガラス絶縁材料が適用できるが、例えば鉛ホウ珪酸系ガラスや、ビスマスホウ珪酸系ガラス、亜鉛ホウ珪酸系ガラスなどの高い透明性を示すガラスを用いることができる。本発明において低軟化点ガラス粉末とは、軟化点が400〜600℃の範囲であるガラス粉末を指す。具体的には、ガラス粉末が少なくとも酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化ホウ素のいずれかを含有し、その合計量が酸化物換算で50〜90重量%の組成範囲からなるものが挙げられる。ガラス粉末の軟化点(荷重軟化点)は、例えば、TMA(熱機械分析)により測定することができる。
バインダーポリマーとしては、焼成時に酸化または/および分解または/および気化し、炭化物が無機物中に残存しない特性をもつことが好ましい。この特性を満たす物として、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース化合物、高分子量ポリエーテル、アクリル系樹脂などを用いることができる。セルロース化合物とは、例えばメチルセルロース、エチルセルロースなどをさし、アクリル系樹脂とは、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタアクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレートなどの重合体もしくは共重合体からなる樹脂をさす。
有機溶媒は、ガラスペーストを基板に塗布する時の粘度を塗布方法に応じて調整するために使用される。このとき使用される有機溶媒としては、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テルピネオール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸などやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が挙げられる。
本発明のガラスペーストには、フィラー粉末を添加することができる。本発明におけるフィラー粉末とは、誘電体層の強度を改善するため、あるいは、焼成時におけるガラスの流動性を調整するために添加されるものであり、焼成温度でも溶融流動しにくい無機粉末を指す。具体的には、600℃以下で軟化点や融点、分解温度を有さず、600℃において固体として存在するような無機粉末をいう。本発明においては、フィラー粉末として軟化点650℃以上の金属酸化物粉末を用いることができる。本発明において、軟化点650℃以上の金属酸化物とは、650℃以上に軟化点を有する金属酸化物だけではなく、明確な軟化点を有しない場合であっても、650℃未満に軟化点を有しない金属酸化物も含まれる。具体的には、軟化点が650〜1200℃である高軟化点ガラス粉末や、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ストロンチウム、シリカ−チタニアなどの金属酸化物粉末から選ばれた少なくとも1種を添加することができる。
本発明における第一、第三の誘電体前駆体層を形成するためのペーストにおいては、軟化点400℃以上600℃以下のガラス粉末を全無機成分中90体積%以上含むことが必須である。好ましくは、無機成分がガラス粉末とフィラー粉末からなり、ガラス粉末とフィラー粉末の割合が、ガラス粉末90〜97体積%、フィラー粉末3〜10体積%であることが好ましい。フィラー粉末を3体積%以上含有することで、焼成による収縮を抑制し、焼成後に突起異物がなく、表面平滑性に優れ、強度に優れた誘電体層を形成できる。フィラー粉末が10体積%より多いと、厚膜とした場合に透過率が低下する場合があるため好ましくない。
本発明における第二の誘電体前駆体層を形成するペーストにおいては、フィラー粉末、すなわち軟化点650℃以上の金属酸化物粉末を全無機成分中15体積%以上含むことが必須である。無機成分がフィラー粉末のみからなる場合であっても良いが、透過率の高い誘電体層を得るためには、無機成分がガラス粉末とフィラー粉末からなり、ガラス粉末とフィラー粉末の割合が、ガラス粉末35〜85体積%、フィラー粉末15〜65体積%であることが好ましい。フィラー粉末が65体積%より多いと、フィラー粉末の粒径分布、形状等にもよるが、誘電体層の緻密性が低下する場合があるため好ましくない。
誘電体層を形成するフィラー粉末の全無機成分中の割合(体積%)は、ペースト調製時にガラス粉末およびフィラー粉末の比重を考慮して、添加量(重量%)で制御できる。また、誘電体層からフィラー粉末の全無機成分中の割合を分析する方法としては、透過型電子顕微鏡(TEM)観察像の画像解析により求める方法が挙げられる。TEM観察により含有割合を求めるには、誘電体層の膜面に垂直な断面を、TEM(例えば、日本電子株式会社製JEM−4000EX)により観察し、像の濃淡によりガラスとフィラーを区別し、画像解析を行えばよい。TEMの評価エリアとしては、例えば、20μm×100μm程度の面積を対象とし、1000〜3000倍程度で観察し、無作為に選んだ10箇所程度の解析結果の平均値を取ればよい。
さらに、無機成分がガラス粉末とフィラーからなるペーストを用いる場合、ガラス粉末の屈折率Naとフィラー粉末の屈折率Nbの差、|Na−Nb|が、小さいほうが好ましい。ここで、屈折率とは、波長400nm〜800nmから選ばれる特定波長における屈折率を指す。|Na−Nb|が小さいほうが好ましいのは、ガラス粉末とフィラー粉末の屈折率差に起因する光散乱を抑制することができるからである。特に、|Na−Nb|<0.05とすることで、フィラー粉末の含有割合が大きい場合にも、光散乱抑制効果を得やすい。さらに、好ましいのは、|Na−Nb|<0.02である。
ペーストを用いた誘電体前駆体層の形成方法は特に限定されないが、例えば、スクリーン印刷、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーター、スピンコーターなどにより、第一の誘電体前駆体層の場合は電極パターンまたは電極前駆体パターンが設けられた基板上に、第二の誘電体前駆体層の場合は第一の誘電体前駆体層上に、第三の誘電体前駆体層の場合は第二の誘電体前駆体層上に、ガラスペーストを塗布した後、通風オーブン、ホットプレート、赤外線乾燥炉、真空乾燥など任意なものを用いて、ペースト中の有機溶媒に応じて異なるが、一般的には、70〜250℃で5〜60分間乾燥する方法が挙げられる。
本発明において、ペーストを塗布、乾燥して誘電体前駆体層を形成する場合は、電極パターンまたは電極前駆体パターンが設けられた基板上に、ダイコーターを用いてペーストを塗布し、乾燥することによって第一の誘電体層、第二の誘電体層および第三の誘電体層を設けることが好ましい。ダイコーターを用いることによって、高粘度のペーストを用いても均一な厚さの誘電体前駆体層を得ることができる。
また、ダイコーターを用いる場合、二層以上のペースト層を同時に塗布可能な多層ダイコーターを用いることもでき、少ない工程数で三層の誘電体前駆体層を形成することができる。例えば三層のペースト層を同時に塗布可能なダイコーターを用いれば、1回の塗布、乾燥操作を行うことによって三層の誘電体前駆体層を設けることができる。
三層の誘電体層は、上述の三層の誘電体前駆体層を焼成することにより形成できる。
本発明における焼成は焼成炉で行う。焼成雰囲気や温度は、ペーストや基板の種類により異なるが、空気中や窒素、水素等の雰囲気下で焼成する。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やローラー搬送式の連続型焼成炉を用いることができる。焼成温度は、使用する樹脂が十分に脱バインダーする温度で行うのがよい。一般的には、430〜650℃で焼成を行う。焼成温度が低すぎると樹脂成分が残存しやすく、高すぎるとガラス基板に歪みが生じ割れてしまうことがあり好ましくない。
本発明において転写シートを用いる場合、支持フィルム上に、第三の誘電体前駆体層、第二の誘電体前駆体層および第一の誘電体前駆体層を設けた転写シートを用い、電極パターンまたは電極前駆体パターンが設けられた基板上に三層の誘電体前駆体層を転写することができる。この転写シートは、支持フィルム上に有機成分と無機成分からなるペーストを塗布、乾燥することで三層の誘電体前駆体層を形成して得ることができる。
転写シートの支持フィルム(カバーフィルムやベースフィルム)の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ナイロンなどが使用でき、必要に応じて離型処理を施したものを用いることができる。
本発明においてペーストをフィルム上へ塗布する方法は特に限定されないが、ダイコーター、ブレードコーター、コンマコーター、リバースロールコーター、スプレーコーターなどを用いることができる。
次に、転写シート上の三層の誘電体前駆体層を電極パターンまたは電極前駆体パターンが設けられた基板上に転写する。その際、ガラス基板側を下として、第一の誘電体前駆体層が下側の層、第三の誘電体前駆体層が上側の層となるように転写する。本発明の転写シートは、転写シートの支持フィルムの反対側の面が保護フィルムで覆われていることが好ましい。転写後に第一の誘電体前駆体層が下側の層、第三の誘電体前駆体層が上側の層となるように保護フィルムを剥離し、剥離によってむき出しになった第一の誘電体前駆体層と基板が接触するように転写シートを重ね合わせ、この転写シートを加熱ローラーなどにより熱圧着することで基板の表面に、三層の誘電体前駆体層が転写されて密着した状態となる。ここで、転写条件としては、例えば加熱ローラーの表面温度が80〜100℃、加熱ローラーによるロール圧が1〜5kg/cm2、加熱ローラーの移動速度が0.5〜10m/minを示すことができる。また、使用する樹脂にもよるが、必要であれば50〜100℃程度の温度で基板を加熱しておき、転写してもよい。
本発明における三層の誘電体前駆体層を形成する際、組成の異なるペーストを用いて各層を形成しても良いが、第一の誘電体前駆体層と第三の誘電体前駆体層の形成において、同一のガラスペーストを用いることができる。また、第一の誘電体前駆体層と第三の誘電体前駆体層を同一のガラスペーストかつ同一の塗布装置を用いて形成することで、誘電体層生産設備をコンパクトにできること、あるいは、既存の生産設備を利用できることなどの利点がある。さらに、同一のガラスペーストを用いる利点として、ペースト生産設備をコンパクトにできること、材料コストを抑えられることなども挙げられる。
本発明において、第三の誘電体層の厚さd3、第一の誘電体層の厚さd1の比d3/d1が0.25以上4以下であることが好ましい。より好ましくは、0.33以上3以下、さらに好ましくは、0.5以上2以下である。焼成後の誘電体層の厚さの比d3/d1が0.25より小さいと、第三の誘電体層が薄いため、第一の誘電体層内に発生した巨大気泡による耐電圧低下を第三の誘電体層が十分に補えないため好ましくない。焼成後の誘電体層の厚さの比d3/d1が4より大きいと、第一の誘電体層が薄いため、第三の誘電体層内に発生した巨大気泡による耐電圧低下を第一の誘電体層が十分に補えないため好ましくない。
本発明における第二の誘電体層の焼成後の厚さは、0.1μm以上5μm以下であることが好ましい。より好ましくは、0.5μm以上3μm以下、さらに好ましくは、0.6μm以上2μm以下である。第二の誘電体層は、第一の誘電体層中の気泡と、第三の誘電体層中の気泡を隔絶するために存在している。第二の誘電体層の焼成後の厚さが、0.1μmより薄いと、第一と第三の誘電体層を十分に隔絶できないため好ましくない。第二の誘電体層の焼成後の厚さが、5μmより厚いと、透過率が低下するため好ましくない。
本発明においては、三層の誘電体層としたが、本発明の第二の誘電体層に相当する各層の気泡を隔絶する層を形成すれば、四層以上の構造としても良い。
PDP前面板は、上述の方法で基板上に形成した電極を覆う透明な誘電体層を形成し、その上に保護膜として酸化マグネシウム層を形成することで、PDP前面板を作製する。
以下に本発明について実施例を用いて具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。耐電圧測定用基板の作製方法、形成した誘電体層の評価方法について説明する。
(耐電圧測定用基板の作製方法)
耐電圧測定用として、銀ペーストを用いて下地電極を形成した。銀ペーストの組成は、次の通りとした。
(耐電圧測定用基板の作製方法)
耐電圧測定用として、銀ペーストを用いて下地電極を形成した。銀ペーストの組成は、次の通りとした。
銀粉末:三井金属鉱業株式会社製SPN10J、77.5重量%
ガラス粉末:ガラス転移点460℃、軟化点495℃のビスマスホウ珪酸系ガラス、3.0重量%
バインダーポリマー:スチレン/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体のカルボキシル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレートを付加反応し、重量平均分子量43000、酸価95のポリマー、17.0重量%
分散剤:ソルスパース20000、0.5重量%
有機溶媒:ガンマブチロラクトン、2.0重量%
スクリーン印刷法(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)により5インチ角のガラス基板上に銀ペーストを塗布し、120℃で10分乾燥した。その後、最高温度590℃(最高温度保持時間18分)で焼成することにより、耐電圧測定用銀電極付き基板を作製した。
(形成した誘電体層の評価方法)
(耐電圧の測定方法)
実施例及び比較例で得た誘電体層上に、銀ペースト(昭栄化学工業株式会社製 N−2051)を用いて、5mm×9mmの長方形の銀電極パターンを16箇所スクリーン印刷にて塗布し、乾燥、焼成することで耐電圧評価試料を作製した。耐電圧/絶縁抵抗試験器(菊水電子工業株式会社製、TOS9201)を用いて、試料のITO電極と銀電極間に交流電圧を2秒間印加し耐電圧を評価した。電圧印加時に流れる電流値が0.5mA未満である限り印加する電圧を徐々に上げていき、その電流値が0.5mA以上になる直前の電圧を形成した誘電体層の耐電圧とした。測定結果を表1に示す。平均耐電圧が2.0kV以上である場合を耐電圧が十分高いとし、平均耐電圧が2.0kV未満である場合を耐電圧が不十分であるとした。また、耐電圧が1.0kV以下である箇所を欠陥とし、欠陥個所の数が多いほど耐電圧のばらつきが大きいとした。
(全光線透過率の測定方法)
実施例及び比較例で得た誘電体層の全光線透過率(以下、透過率と略記する)を分光光度計(日立製作所株式会社製、U−3410)により測定した。透過率が85%以上である場合を透過率が高いとし、透過率が85%未満である場合を透過率が不十分であるとした。
(実施例1)
以下の手順により誘電体層を形成した。
(a)第一、第三の誘電体層用ガラスペーストの作製
バインダーポリマー、有機溶媒を混合、溶解し、その後、ガラス粉末を添加し、3本ローラーで混練することによってガラス粉末および有機成分からなるペーストを作成した。各成分は、以下の組成を用いた。
ガラス粉末:ガラス転移点460℃、軟化点495℃のビスマスホウ珪酸系ガラス、3.0重量%
バインダーポリマー:スチレン/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体のカルボキシル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレートを付加反応し、重量平均分子量43000、酸価95のポリマー、17.0重量%
分散剤:ソルスパース20000、0.5重量%
有機溶媒:ガンマブチロラクトン、2.0重量%
スクリーン印刷法(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)により5インチ角のガラス基板上に銀ペーストを塗布し、120℃で10分乾燥した。その後、最高温度590℃(最高温度保持時間18分)で焼成することにより、耐電圧測定用銀電極付き基板を作製した。
(形成した誘電体層の評価方法)
(耐電圧の測定方法)
実施例及び比較例で得た誘電体層上に、銀ペースト(昭栄化学工業株式会社製 N−2051)を用いて、5mm×9mmの長方形の銀電極パターンを16箇所スクリーン印刷にて塗布し、乾燥、焼成することで耐電圧評価試料を作製した。耐電圧/絶縁抵抗試験器(菊水電子工業株式会社製、TOS9201)を用いて、試料のITO電極と銀電極間に交流電圧を2秒間印加し耐電圧を評価した。電圧印加時に流れる電流値が0.5mA未満である限り印加する電圧を徐々に上げていき、その電流値が0.5mA以上になる直前の電圧を形成した誘電体層の耐電圧とした。測定結果を表1に示す。平均耐電圧が2.0kV以上である場合を耐電圧が十分高いとし、平均耐電圧が2.0kV未満である場合を耐電圧が不十分であるとした。また、耐電圧が1.0kV以下である箇所を欠陥とし、欠陥個所の数が多いほど耐電圧のばらつきが大きいとした。
(全光線透過率の測定方法)
実施例及び比較例で得た誘電体層の全光線透過率(以下、透過率と略記する)を分光光度計(日立製作所株式会社製、U−3410)により測定した。透過率が85%以上である場合を透過率が高いとし、透過率が85%未満である場合を透過率が不十分であるとした。
(実施例1)
以下の手順により誘電体層を形成した。
(a)第一、第三の誘電体層用ガラスペーストの作製
バインダーポリマー、有機溶媒を混合、溶解し、その後、ガラス粉末を添加し、3本ローラーで混練することによってガラス粉末および有機成分からなるペーストを作成した。各成分は、以下の組成を用いた。
バインダーポリマー: エチルセルロース樹脂、2.2重量%
有機溶媒:テルピネオール、33.8重量%
ガラス粉末:ガラス転移点459℃、軟化点561℃の亜鉛ホウ珪酸系ガラス、64.0重量%
(b)第二の誘電体層用金属酸化物ペーストの作製
バインダーポリマー、有機溶媒を混合、溶解し、その後、ガラス粉末、フィラー粉末としてシリカーチタニア粉末を添加し、3本ローラーで混練することによってガラス粉末、フィラー粉末および有機成分からなるペーストを作成した。各成分は、以下の組成を用いた。
有機溶媒:テルピネオール、33.8重量%
ガラス粉末:ガラス転移点459℃、軟化点561℃の亜鉛ホウ珪酸系ガラス、64.0重量%
(b)第二の誘電体層用金属酸化物ペーストの作製
バインダーポリマー、有機溶媒を混合、溶解し、その後、ガラス粉末、フィラー粉末としてシリカーチタニア粉末を添加し、3本ローラーで混練することによってガラス粉末、フィラー粉末および有機成分からなるペーストを作成した。各成分は、以下の組成を用いた。
バインダーポリマー: エチルセルロース樹脂、4.0重量%
有機溶媒:テルピネオール、47.0重量%
ガラス粉末:ガラス転移点459℃、軟化点561℃の亜鉛ホウ珪酸系ガラス、41.1重量%(無機成分中80体積%)
フィラー粉末:シリカ−チタニア粉末、7.9重量%(無機成分中20体積%)
(c)誘電体層の形成
銀電極付き基板上に、第一の誘電体層用ガラスペーストを焼成後の厚みが7μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で20分熱風乾燥機(タバイ株式会社製)を用いて乾燥した。さらに、第一の誘電体前駆体層上に第二の誘電体層用金属酸化物ペーストを焼成後の厚みが5μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で10分熱風乾燥機を用いて乾燥した。さらに、第二の誘電体前駆体層上に第三の誘電体層用ガラスペーストを焼成後の厚みが14μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で20分熱風乾燥機を用いて乾燥した。その後、焼成炉にて580℃で15分間焼成し、三層の誘電体層を形成した。
(比較例1)
以下の手順により誘電体層を形成した。
(a)ガラスペーストの作製
バインダーポリマー、有機溶媒を混合、溶解し、その後、ガラス粉末を添加し、3本ローラーで混練することによってガラス粉末および有機成分からなるペーストを作成した。各成分は、以下の組成を用いた。
有機溶媒:テルピネオール、47.0重量%
ガラス粉末:ガラス転移点459℃、軟化点561℃の亜鉛ホウ珪酸系ガラス、41.1重量%(無機成分中80体積%)
フィラー粉末:シリカ−チタニア粉末、7.9重量%(無機成分中20体積%)
(c)誘電体層の形成
銀電極付き基板上に、第一の誘電体層用ガラスペーストを焼成後の厚みが7μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で20分熱風乾燥機(タバイ株式会社製)を用いて乾燥した。さらに、第一の誘電体前駆体層上に第二の誘電体層用金属酸化物ペーストを焼成後の厚みが5μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で10分熱風乾燥機を用いて乾燥した。さらに、第二の誘電体前駆体層上に第三の誘電体層用ガラスペーストを焼成後の厚みが14μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で20分熱風乾燥機を用いて乾燥した。その後、焼成炉にて580℃で15分間焼成し、三層の誘電体層を形成した。
(比較例1)
以下の手順により誘電体層を形成した。
(a)ガラスペーストの作製
バインダーポリマー、有機溶媒を混合、溶解し、その後、ガラス粉末を添加し、3本ローラーで混練することによってガラス粉末および有機成分からなるペーストを作成した。各成分は、以下の組成を用いた。
バインダーポリマー: エチルセルロース樹脂、2.0重量%
有機溶媒:テルピネオール、43.2重量%
ガラス粉末:ガラス転移点459℃、軟化点561℃の亜鉛ホウ珪酸系ガラス、54.8重量%
(b)誘電体層の形成
銀電極付き基板上に、第一の誘電体層用ガラスペーストを焼成後の厚みが26μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で30分熱風乾燥機を用いて乾燥した。その後、焼成炉にて580℃で15分間焼成し、単層構造の誘電体層を形成した。
(比較例2)
以下の手順により誘電体層を形成した。
(a)第一の誘電体層用ガラスペーストの作製
バインダーポリマー、有機溶媒を混合、溶解し、その後、ガラス粉末を添加し、3本ローラーで混練することによってガラス粉末および有機成分からなるペーストを作成した。各成分は、以下の組成を用いた。
有機溶媒:テルピネオール、43.2重量%
ガラス粉末:ガラス転移点459℃、軟化点561℃の亜鉛ホウ珪酸系ガラス、54.8重量%
(b)誘電体層の形成
銀電極付き基板上に、第一の誘電体層用ガラスペーストを焼成後の厚みが26μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で30分熱風乾燥機を用いて乾燥した。その後、焼成炉にて580℃で15分間焼成し、単層構造の誘電体層を形成した。
(比較例2)
以下の手順により誘電体層を形成した。
(a)第一の誘電体層用ガラスペーストの作製
バインダーポリマー、有機溶媒を混合、溶解し、その後、ガラス粉末を添加し、3本ローラーで混練することによってガラス粉末および有機成分からなるペーストを作成した。各成分は、以下の組成を用いた。
バインダーポリマー: エチルセルロース樹脂、4.0重量%
有機溶媒:テルピネオール、48.0重量%
ガラス粉末:軟化点570℃の亜鉛ホウ珪酸系ガラス、48.0重量%
(b)第二の誘電体層用金属酸化物ペーストの作製
バインダーポリマー、有機溶媒を混合、溶解し、その後、ガラス粉末を添加し、3本ローラーで混練することによってガラス粉末および有機成分からなるペーストを作成した。各成分は、以下の組成を用いた。
有機溶媒:テルピネオール、48.0重量%
ガラス粉末:軟化点570℃の亜鉛ホウ珪酸系ガラス、48.0重量%
(b)第二の誘電体層用金属酸化物ペーストの作製
バインダーポリマー、有機溶媒を混合、溶解し、その後、ガラス粉末を添加し、3本ローラーで混練することによってガラス粉末および有機成分からなるペーストを作成した。各成分は、以下の組成を用いた。
バインダーポリマー: エチルセルロース樹脂、4.0重量%
有機溶媒:テルピネオール、48.0重量%
ガラス粉末:軟化点565℃の鉛ホウ珪酸系ガラス、48.0重量%
(c)誘電体層の形成
基板及び銀電極付き基板上に、第一の誘電体層用ガラスペーストを焼成後の厚みが9μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で20分熱風乾燥機を用いて乾燥した。さらに、第一の誘電体前駆体層上に第二の誘電体層用金属酸化物ペーストを焼成後の厚みが17μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で20分熱風乾燥機を用いて乾燥した。その後、焼成炉にて580℃で15分間焼成し、二層の誘電体層を形成した。
(比較例3)
以下の手順により誘電体層を形成した。
(a)第一、第三の誘電体層用ガラスペーストの作製
バインダーポリマー、有機溶媒を混合、溶解し、その後、ガラス粉末を添加し、3本ローラーで混練することによってガラス粉末および有機成分からなるペーストを作成した。各成分は、以下の組成を用いた。
有機溶媒:テルピネオール、48.0重量%
ガラス粉末:軟化点565℃の鉛ホウ珪酸系ガラス、48.0重量%
(c)誘電体層の形成
基板及び銀電極付き基板上に、第一の誘電体層用ガラスペーストを焼成後の厚みが9μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で20分熱風乾燥機を用いて乾燥した。さらに、第一の誘電体前駆体層上に第二の誘電体層用金属酸化物ペーストを焼成後の厚みが17μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で20分熱風乾燥機を用いて乾燥した。その後、焼成炉にて580℃で15分間焼成し、二層の誘電体層を形成した。
(比較例3)
以下の手順により誘電体層を形成した。
(a)第一、第三の誘電体層用ガラスペーストの作製
バインダーポリマー、有機溶媒を混合、溶解し、その後、ガラス粉末を添加し、3本ローラーで混練することによってガラス粉末および有機成分からなるペーストを作成した。各成分は、以下の組成を用いた。
バインダーポリマー: エチルセルロース樹脂、4.0重量%
有機溶媒:テルピネオール、48.0重量%
ガラス粉末:軟化点570℃の亜鉛ホウ珪酸系ガラス、48.0重量%
(b)第二の誘電体層用金属酸化物ペーストの作製
バインダーポリマー、有機溶媒を混合、溶解し、その後、ガラス粉末を添加し、3本ローラーで混練することによってガラス粉末および有機成分からなるペーストを作成した。各成分は、以下の組成を用いた。
有機溶媒:テルピネオール、48.0重量%
ガラス粉末:軟化点570℃の亜鉛ホウ珪酸系ガラス、48.0重量%
(b)第二の誘電体層用金属酸化物ペーストの作製
バインダーポリマー、有機溶媒を混合、溶解し、その後、ガラス粉末を添加し、3本ローラーで混練することによってガラス粉末および有機成分からなるペーストを作成した。各成分は、以下の組成を用いた。
バインダーポリマー: エチルセルロース樹脂、4.0重量%
有機溶媒:テルピネオール、48.0重量%
ガラス粉末:軟化点565℃の鉛ホウ珪酸系ガラス、48.0重量%
(c)誘電体層の形成
銀電極付き基板上に、第一の誘電体層用ガラスペーストを焼成後の厚みが7μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で20分熱風乾燥機を用いて乾燥した。さらに、第一の誘電体前駆体層上に第二の誘電体層用金属酸化物ペーストを焼成後の厚みが5μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で10分熱風乾燥機を用いて乾燥した。さらに、第二の誘電体前駆体層上に第三の誘電体層用ガラスペーストを焼成後の厚みが14μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で20分熱風乾燥機を用いて乾燥した。その後、焼成炉にて580℃で15分間焼成し、三層の誘電体層を形成した。
(比較例4)
以下の手順により誘電体層を形成した。
(a)第一、第三の誘電体層用ガラスペーストの作製
バインダーポリマー、有機溶媒を混合、溶解し、その後、ガラス粉末を添加し、3本ローラーで混練することによってガラス粉末および有機成分からなるペーストを作成した。各成分は、以下の組成を用いた。
有機溶媒:テルピネオール、48.0重量%
ガラス粉末:軟化点565℃の鉛ホウ珪酸系ガラス、48.0重量%
(c)誘電体層の形成
銀電極付き基板上に、第一の誘電体層用ガラスペーストを焼成後の厚みが7μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で20分熱風乾燥機を用いて乾燥した。さらに、第一の誘電体前駆体層上に第二の誘電体層用金属酸化物ペーストを焼成後の厚みが5μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で10分熱風乾燥機を用いて乾燥した。さらに、第二の誘電体前駆体層上に第三の誘電体層用ガラスペーストを焼成後の厚みが14μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で20分熱風乾燥機を用いて乾燥した。その後、焼成炉にて580℃で15分間焼成し、三層の誘電体層を形成した。
(比較例4)
以下の手順により誘電体層を形成した。
(a)第一、第三の誘電体層用ガラスペーストの作製
バインダーポリマー、有機溶媒を混合、溶解し、その後、ガラス粉末を添加し、3本ローラーで混練することによってガラス粉末および有機成分からなるペーストを作成した。各成分は、以下の組成を用いた。
バインダーポリマー: エチルセルロース樹脂、2.3重量%
有機溶媒:テルピネオール、37.2重量%
ガラス粉末:ガラス転移点459℃、軟化点561℃の亜鉛ホウ珪酸系ガラス、51.8重量%(無機成分中82体積%)
フィラー粉末:シリカ−チタニア粉末、8.7重量%(無機成分中18体積%)
(b)第二の誘電体層用金属酸化物ペーストの作製
バインダーポリマー、有機溶媒を混合、溶解し、その後、ガラス粉末を添加し、3本ローラーで混練することによってガラス粉末および有機成分からなるペーストを作成した。各成分は、以下の組成を用いた。
有機溶媒:テルピネオール、37.2重量%
ガラス粉末:ガラス転移点459℃、軟化点561℃の亜鉛ホウ珪酸系ガラス、51.8重量%(無機成分中82体積%)
フィラー粉末:シリカ−チタニア粉末、8.7重量%(無機成分中18体積%)
(b)第二の誘電体層用金属酸化物ペーストの作製
バインダーポリマー、有機溶媒を混合、溶解し、その後、ガラス粉末を添加し、3本ローラーで混練することによってガラス粉末および有機成分からなるペーストを作成した。各成分は、以下の組成を用いた。
バインダーポリマー: エチルセルロース樹脂、4.0重量%
有機溶媒:テルピネオール、47.0重量%
ガラス粉末:ガラス転移点459℃、軟化点561℃の亜鉛ホウ珪酸系ガラス、41.1重量%(無機成分中80体積%)
フィラー粉末:シリカ−チタニア粉末、7.9重量%(無機成分中20体積%)
(c)誘電体層の形成
銀電極付き基板上に、第一の誘電体層用ガラスペーストを焼成後の厚みが7μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で20分熱風乾燥機を用いて乾燥した。さらに、第一の誘電体前駆体層上に第二の誘電体層用金属酸化物ペーストを焼成後の厚みが5μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で10分熱風乾燥機を用いて乾燥した。さらに、第二の誘電体前駆体層上に第三の誘電体層用ガラスペーストを焼成後の厚みが14μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で20分熱風乾燥機を用いて乾燥した。その後、焼成炉にて580℃で15分間焼成し、三層の誘電体層を形成した。
(実施例2)
第二の誘電体層用のガラスペーストの組成を以下のとおりとし、各層の焼成後の膜厚を第一の誘電体層12μm、第二の誘電体層1μm、第三の誘電体層13μmとし、第二の誘電体前駆体層をスピンコーターにより形成した以外は、実施例1と同様に実施し、三層の誘電体層を形成した。
有機溶媒:テルピネオール、47.0重量%
ガラス粉末:ガラス転移点459℃、軟化点561℃の亜鉛ホウ珪酸系ガラス、41.1重量%(無機成分中80体積%)
フィラー粉末:シリカ−チタニア粉末、7.9重量%(無機成分中20体積%)
(c)誘電体層の形成
銀電極付き基板上に、第一の誘電体層用ガラスペーストを焼成後の厚みが7μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で20分熱風乾燥機を用いて乾燥した。さらに、第一の誘電体前駆体層上に第二の誘電体層用金属酸化物ペーストを焼成後の厚みが5μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で10分熱風乾燥機を用いて乾燥した。さらに、第二の誘電体前駆体層上に第三の誘電体層用ガラスペーストを焼成後の厚みが14μmになるように乾燥後厚みを調整してスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)し、100℃で20分熱風乾燥機を用いて乾燥した。その後、焼成炉にて580℃で15分間焼成し、三層の誘電体層を形成した。
(実施例2)
第二の誘電体層用のガラスペーストの組成を以下のとおりとし、各層の焼成後の膜厚を第一の誘電体層12μm、第二の誘電体層1μm、第三の誘電体層13μmとし、第二の誘電体前駆体層をスピンコーターにより形成した以外は、実施例1と同様に実施し、三層の誘電体層を形成した。
バインダーポリマー: エチルセルロース樹脂、5.0重量%
有機溶媒:テルピネオール、50.0重量%
フィラー:酸化アルミニウム粉末、45.0重量%
実施例1、2および比較例1〜4の誘電体層の評価結果を表1に示す。
有機溶媒:テルピネオール、50.0重量%
フィラー:酸化アルミニウム粉末、45.0重量%
実施例1、2および比較例1〜4の誘電体層の評価結果を表1に示す。
なお、表中のP1は、軟化点400℃以上600℃以下のガラス粉末の全無機成分中の割合(体積%)を指し、P2は、軟化点650℃以上の金属酸化物粉末の全無機成分中の割合(体積%)を指す。
実施例1、2の誘電体層は高い透過率、高い耐電圧を示し、耐電圧のばらつきも小さく、耐電圧が極端に小さい欠陥もなかった。
比較例1の単層構成の誘電体層は、十分高い透過率を示し、十分高い耐電圧を示したが、耐電圧のばらつきは大きく、耐電圧が極端に小さい欠陥が発生した。
比較例2の二層構成の誘電体層は、十分高い透過率を示し、十分高い耐電圧を示したが、耐電圧のばらつきは大きく、耐電圧が極端に小さい欠陥が発生した。
比較例3の三層構成の誘電体層は、十分高い透過率を示し、十分高い耐電圧を示したが、耐電圧のばらつきは大きく、耐電圧が極端に小さい欠陥が発生した。
比較例4の三層構成の誘電体層は、十分高い耐電圧を示し、耐電圧のばらつも小さかったが透過率は不十分であった。
(実施例3)
以下の製造方法により、PDPを製造し、評価を実施した。
(実施例3)
以下の製造方法により、PDPを製造し、評価を実施した。
1.前面板および背面板の作製
前面板は以下のように作製した。まず、5インチ角のガラス基板(PD−200;旭硝子株式会社製)上に、ITOを用いて、走査電極のストライプパターンと維持電極のストライプパターンの対からなる透明電極パターンを形成した。走査電極と維持電極の線幅はそれぞれ、300μm、厚みは100nmとした。走査電極と維持電極のギャップは80μmとした。透明電極パターンのピッチは1080μmとした。透明電極パターンおよび以下に記載するバス電極パターン、誘電体層、MgO保護膜は、基板の中央部8cm角四方でパネルとして同駆動条件で点灯できるように形成し、電極については、適宜、基板端面まで引き出し部を形成した。
前面板は以下のように作製した。まず、5インチ角のガラス基板(PD−200;旭硝子株式会社製)上に、ITOを用いて、走査電極のストライプパターンと維持電極のストライプパターンの対からなる透明電極パターンを形成した。走査電極と維持電極の線幅はそれぞれ、300μm、厚みは100nmとした。走査電極と維持電極のギャップは80μmとした。透明電極パターンのピッチは1080μmとした。透明電極パターンおよび以下に記載するバス電極パターン、誘電体層、MgO保護膜は、基板の中央部8cm角四方でパネルとして同駆動条件で点灯できるように形成し、電極については、適宜、基板端面まで引き出し部を形成した。
次に透明電極パターン上にバス電極のストライプパターンの対からなるバス電極パターンを形成した。バス電極のストライプパターンの厚みは3μm、幅は100μm、隣り合うストライプパターンのギャップは440μmとした。実施例3のPDPの前面板の構成を示した模式図を図1に示す。バス電極3は、透明電極2の端部に沿って、透明電極2と平行になるように形成した。バス電極ペーストを乾燥後の厚みが5μmとなるように、スクリーン印刷法(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)により、塗布し、90℃、10分間乾燥した。乾燥後、ピッチ1080μm、線幅105μmのストライプパターンを有するネガ型クロムマスクをセットして露光した。露光後、0.5%エタノールアミン水溶液中で現像し、その後、熱風乾燥機を用いて、200℃、15分の加熱を行い、その後、580℃、15分間焼成することで所望のパターンを得た。
次に、実施例1記載の方法に従い、透明電極2およびバス電極3を覆うように、第一の誘電体層4a、第二の誘電体層4b、第三の誘電体層4cを形成した。
次に、三層の誘電体層上に、電子ビーム蒸着法により厚み0.8μmのMgO保護膜を形成することで、前面板を完成させた。
背面板は以下のようにして作製した。5インチ角のガラス基板(PD−200;旭硝子株式会社製)上に、前面板の電極ペーストの形成と同様の手法により、ピッチ240μm、線幅80μm、厚み3μmのアドレス電極のストライプパターンを形成した。アドレス電極パターンおよび以下に記載する誘電体層、隔壁パターン、蛍光体パターンは、基板の中央部8cm角四方でパネルとして同駆動条件で点灯できるように形成し、電極については、適宜、基板端面まで引き出し部を形成した。
次に、誘電体ペーストを用いて、焼成後厚み10μmの誘電体層を形成した。誘電体ペーストを乾燥後厚みが20μmとなるように、スクリーン印刷法(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)により、塗布し、90℃、10分間乾燥した。乾燥後、580℃、15分間焼成することにより誘電体層を形成した。なお、誘電体ペーストに用いる無機成分は、焼成後に光散乱で白色を呈すようなガラス粉末を組み合わせて用いた。
次に、厚み120μm、線幅(底部幅)100μm、ピッチ240μmのストライプ状の隔壁パターンを形成し、隣り合う隔壁の中間にアドレス電極を配した。隔壁の形成には感光性の隔壁ペーストを用いた。隔壁ペーストを乾燥後厚みが180μmになるようにダイコート塗布し、100℃、30分乾燥した。乾燥後、線幅70μm、ピッチ240μmのストライプ状を有するネガ型クロムマスクを用いて露光した。露光後、0.5%エタノールアミン水溶液中で現像した後に、590℃、30分焼成を行うことにより所望の隔壁パターンを得た。
隔壁のストライプパターンの溝部および内壁部に、焼成後の厚みが10〜15μmとなるように赤、緑、青の蛍光体層を形成して背面板を完成した。蛍光体ペーストをディスペンス法で塗布し、その後、乾燥、焼成することで蛍光体層を得た。
2.前面板および背面板の張り合わせ
前記で製造した背面板の周縁部に封着ペーストを設置し、仮焼成を390℃で10分行った後、150℃に保持した状態で前面板と背面板の位置を合わせた。位置合わせにおいて、バス電極とアドレス電極が直交し、かつ、基板中央部の8cm角のエリアで同駆動条件で点灯できるようにした。なお、前記保持温度は、本焼成を行うまで保持し続けた。その後、480℃で30分間、本焼成を行い、前面板と背面板を貼り合わせた。封着ペーストは、軟化点398℃のビスマス系ガラス粉末を主成分とするものを用いた。
前記で製造した背面板の周縁部に封着ペーストを設置し、仮焼成を390℃で10分行った後、150℃に保持した状態で前面板と背面板の位置を合わせた。位置合わせにおいて、バス電極とアドレス電極が直交し、かつ、基板中央部の8cm角のエリアで同駆動条件で点灯できるようにした。なお、前記保持温度は、本焼成を行うまで保持し続けた。その後、480℃で30分間、本焼成を行い、前面板と背面板を貼り合わせた。封着ペーストは、軟化点398℃のビスマス系ガラス粉末を主成分とするものを用いた。
3.PDPの製造および評価
前記の前面板および背面板の貼り合わせ、封着を行った後、Xe5%−Nebal.ガスを66.5kPaまで封入した。最後に、駆動回路を実装し、24時間のエージングを行い、PDPを完成した。
前記の前面板および背面板の貼り合わせ、封着を行った後、Xe5%−Nebal.ガスを66.5kPaまで封入した。最後に、駆動回路を実装し、24時間のエージングを行い、PDPを完成した。
前記の製造方法により得られたPDPを評価した。前面板誘電体の黄変は観察されず、輝度が明るく、表示不良のない、駆動電圧が安定したディスプレイを得ることができた。
(実施例4)
前面板作製工程において、実施例2記載の方法に従い、透明電極パターンおよびバス電極パターンを覆うように透明誘電体層を形成した以外は、実施例3と同様の方法にてPDPを製造した。
(実施例4)
前面板作製工程において、実施例2記載の方法に従い、透明電極パターンおよびバス電極パターンを覆うように透明誘電体層を形成した以外は、実施例3と同様の方法にてPDPを製造した。
前記の製造方法により得られたPDPを評価した。前面板誘電体の黄変は観察されず、輝度が明るく、表示不良のない、駆動電圧が安定したディスプレイを得ることができた。
1:前面ガラス基板
2:透明電極
3:バス電極
4a:第一の誘電体層
4b:第二の誘電体層
4c:第三の誘電体層
5:保護膜
2:透明電極
3:バス電極
4a:第一の誘電体層
4b:第二の誘電体層
4c:第三の誘電体層
5:保護膜
Claims (6)
- 基板上に電極パターン、該電極パターンを覆う第一の誘電体層、該第一の誘電体層を覆う第二の誘電体層、および該第二の誘電体層を覆う第三の誘電体層を有するプラズマディスプレイ用部材の製造方法であって、電極パターンまたは電極前駆体パターンが設けられた基板上に、有機成分と無機成分からなり、軟化点400℃以上600℃以下のガラス粉末を全無機成分中90体積%以上含む第一の誘電体前駆体層、該第一の誘電体前駆体層を覆い、有機成分と無機成分からなり、軟化点650℃以上の金属酸化物粉末を全無機成分中15体積%以上含む第二の誘電体前駆体層、および該第二の誘電体前駆体層を覆い、有機成分と無機成分からなり、軟化点400℃以上600℃以下のガラス粉末を全無機成分中90体積%以上含む第三の誘電体前駆体層を形成した後、該三層の誘電体前駆体層を同時焼成することを特徴とするプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
- 前記第一の誘電体層の厚さd1、前記第三の誘電体層の厚さd3が下式(1)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
0.25≦d3/d1≦4 (1) - 前記第二の誘電体層の厚さd2が下式(2)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
0.1μm≦d2≦5μm (2) - 支持フィルム上に、前記第三の誘電体前駆体層、前記第二の誘電体前駆体層および前記第一の誘電体前駆体層を設けた転写シートを用い、電極パターンまたは電極前駆体パターンが設けられた基板上に該三層の誘電体前駆体層を転写する工程を含む請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
- 電極パターンまたは電極前駆体パターンが設けられた基板上に、ダイコーターを用いてペーストを塗布し、乾燥することによって前記第一の誘電体層、前記第二の誘電体層および前記第三の誘電体層を設ける請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
- 二層以上のペースト層を同時に塗布可能な多層ダイコーターを用いることを特徴とする請求項5に記載のプラズマディスプレイ用部材の製造方法。
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JP2007171612A JP2009009877A (ja) | 2007-06-29 | 2007-06-29 | プラズマディスプレイ用部材の製造方法 |
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