JP2009007404A - カチオン重合性組成物および該組成物を硬化して得られる硬化物 - Google Patents
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Abstract
【課題】低硬化収縮性および低誘電率の硬化物を与える低粘度の組成物を提供すること。
【解決手段】下記成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)を含有する組成物。成分(A):分子内に脂環構造を有するエポキシ基含有化合物 成分(B):数平
均分子量(Mn)が400以上のポリオール化合物 成分(C):ヒドロキシル基を有
するオキセタン化合物 成分(D):カチオン重合開始剤
【選択図】なし
【解決手段】下記成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)を含有する組成物。成分(A):分子内に脂環構造を有するエポキシ基含有化合物 成分(B):数平
均分子量(Mn)が400以上のポリオール化合物 成分(C):ヒドロキシル基を有
するオキセタン化合物 成分(D):カチオン重合開始剤
【選択図】なし
Description
本発明は、硬化性組成物および該組成物を硬化してなる硬化物に関するものである。さらに詳しくは、低粘度の組成物であり、硬化物が低硬化収縮性であるために、例えば、ビルドアップ配線基板用の内部電子部品埋込用の硬化性組成物に使用されるような低誘電性を有する絶縁封止剤、あるいは密接な位置精度を要求される光部品や電子部品の組み立てなどに使用される接着剤や絶縁封止剤として有用な素材に関するものである。
現在、重合性組成物は主に、インキ、塗料、接着剤、レジストおよび製版材などの多くの分野で用いられている。この重合性組成物の主剤としては、アクリル系モノマーおよび多官能アクリレートが最も一般的である。
ところが、アクリル系モノマーには、皮膚刺激性、臭気性および酸素による重合抑制作用に付随する諸問題があった。そこで最近、皮膚低刺激性、低臭気性および酸素の影響が少ない脂環式エポキシ含有化合物を用いた、カチオン重合系モノマーが注目されるようになった。
ところが、脂環式エポキシ含有化合物をカチオン重合して得られた硬化物には、硬化収縮が生じ、この硬化収縮によって発生する内部応力のために、反り、クラックまたは剥離等を生じやすいという問題が生じていた。
このエポキシ基含有化合物のカチオン重合におけるこれらの硬化収縮を改善するために、エポキシ基含有化合物、ポリカーボネートジオールおよび光カチオン重合開始剤からなる組成物が特許文献1に開示されている。しかし、この硬化性組成物では硬化物の硬化収縮性は多少改善されるものの未だ不十分であった。また、エポキシ基含有化合物、ポリオール、ポリブタジエン骨格を有する化合物および光カチオン重合開始剤からなる接着剤が特許文献2に開示されている。しかし、この接着剤は、該接着剤組成物の低粘度、可撓性、接着性および硬化性等のバランスがうまくとれていない。
特許文献3には、芳香族エポキシ基を水素化して得られたエポキシ樹脂、炭素数16〜60の脂肪族ポリオール化合物および脂環式ポリオール化合物からなる少なくとも1種のポリオールと、カチオン重合開始剤とを含有する組成物が開示されている。しかし、この組成物は、組成物の低粘度化が十分に達成されておらず、また、硬化物の誘電率に関しても開示されていない。
また、特許文献4には、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートのエステル結合間にカプロラクトンが開環付加した構造の化合物と、カチオン重合開始剤とを含有する組成物が開示されている。しかし、この組成物は、主鎖内にエステル結合を多数有していることから、加水分解により絶縁性が低下するという問題があった。
特開平9−71636号公報
特開平10−102026号公報
特開2002−69155号公報
特開2004−210932号公報
本発明は、低硬化収縮性および低誘電率の硬化物を与える低粘度の組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記問題を解決して、分子内に脂環構造を有するエポキシ基含有化合物、数平均分子量が400以上のポリオール化合物、ヒドロキシル基を有するオキセタン化合物およびカチオン重合開始剤を含む組成物が低粘度であり、該組成物を熱カチオン重合して得られる硬化物が、低硬化収縮性で、かつ、低誘電率であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の事項を含む。
[1]下記成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)を含有する組成物。
成分(A):分子内に脂環構造を有するエポキシ基含有化合物
成分(B):数平均分子量(Mn)が400以上のポリオール化合物
成分(C):ヒドロキシル基を有するオキセタン化合物
成分(D):カチオン重合開始剤
[2]成分(A)のエポキシ基含有化合物100質量部に対し、成分(B)のポリオール化合物が5〜100質量部、成分(C)のオキセタン化合物が5〜100質量部、成分(D)のカチオン重合開始剤が0.1〜10質量部の量で含有することを特徴とする[1]に記載の組成物。
[3]成分(A)が、エポキシ当量が150〜1000の範囲内のビスフェノールA型エポキシ樹脂を水素化して得られたエポキシ基含有化合物および/または下記一般式(1)で表されるエポキシ基含有化合物であることを特徴とする[1]または[2]に記載の組成物。
[1]下記成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)を含有する組成物。
成分(A):分子内に脂環構造を有するエポキシ基含有化合物
成分(B):数平均分子量(Mn)が400以上のポリオール化合物
成分(C):ヒドロキシル基を有するオキセタン化合物
成分(D):カチオン重合開始剤
[2]成分(A)のエポキシ基含有化合物100質量部に対し、成分(B)のポリオール化合物が5〜100質量部、成分(C)のオキセタン化合物が5〜100質量部、成分(D)のカチオン重合開始剤が0.1〜10質量部の量で含有することを特徴とする[1]に記載の組成物。
[3]成分(A)が、エポキシ当量が150〜1000の範囲内のビスフェノールA型エポキシ樹脂を水素化して得られたエポキシ基含有化合物および/または下記一般式(1)で表されるエポキシ基含有化合物であることを特徴とする[1]または[2]に記載の組成物。
[4]成分(B)が、炭素数8以上のジオールから誘導される数平均分子量(Mn)が400以上のポリカーボネートポリオール化合物であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]成分(C)が、下記式(2)で表される化合物であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
本発明の組成物は、分子内に脂環構造を有するエポキシ基含有化合物、特定の化学構造を有するポリオール化合物およびヒドロキシル基を有するオキセタン化合物を含有するため、低粘度で、熱分解または加水分解を起こしにくい。また、本発明の組成物を硬化して得られる硬化物は、低硬化収縮性で、低誘電率であるため、内部電子部品埋込用の硬化性組成物、あるいは、密接な位置精度を要求される光部品および電子部品の組み立てなどに使用される接着剤や絶縁封止剤として好適に用いることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の組成物(以下、「本発明(I)」ともいう。)は、分子内に脂環構造を有するエポキシ基含有化合物(成分(A))、数平均分子量(Mn)が400以上のポリオール化合物(成分(B))、ヒドロキシル基を有するオキセタン化合物(成分(C))およびカチオン重合開始剤(成分(D))を含有する。
本発明の組成物(以下、「本発明(I)」ともいう。)は、分子内に脂環構造を有するエポキシ基含有化合物(成分(A))、数平均分子量(Mn)が400以上のポリオール化合物(成分(B))、ヒドロキシル基を有するオキセタン化合物(成分(C))およびカチオン重合開始剤(成分(D))を含有する。
本発明(I)の構成成分である成分(A)としては、例えば、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]プロパン、ビス[o,o−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]メタン、ビス[o,p−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]メタン、ビス[p,p−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]メタン等の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、水添フェノールノボラック型エポキシ樹脂、水添クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の水添ノボラック型エポキシ樹脂、水添ナフタレン型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタンから得られるエポキシ樹脂の水添エポキシ樹脂等の芳香族エポキシ樹脂を水素化して得られるエポキシ基含有化合物、下記式(1)および(3)〜(7)で表される化合物などが挙げられる。
水素原子、アルキル基、アリ−ル基、m=2のときアルキレン基またはアリーレン基を表す。)
本発明の組成物における粘度や硬化収縮率の適正化の観点から前記成分(A)の中で、エポキシ当量が150〜1000g/eqの範囲のビスフェノールA型エポキシ樹脂を水素化したエポキシ基含有化合物、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を水素化したエポキシ基含有化合物、あるいは式(1)で表される化合物が好ましく用いられ、エポキシ当量が150〜1000g/eqの範囲のビスフェノールA型エポキシ樹脂を水素化したエポキシ基含有化合物、あるいは式(1)で表される化合物がより好ましく用いられる。本願におけるエポキシ当量は、1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数<g/eq>を表す。
式(1)で表される化合物としては、以下の2つの化合物を例示することができる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂を水素化したエポキシ基含有化合物、またはビスフェノールF型エポキシ樹脂を水素化したエポキシ基含有化合物を得る方法としては、芳香族エポキシ樹脂を無溶剤、テトラヒドロフランまたはジオキサン等のエーテル系の有機溶剤を用いて、ロジウムまたはルテニウムをグラファイト(六方晶結晶の黒鉛)に担持した触
媒の存在下で、芳香環を選択的に水素化反応を行う方法が挙げられる。
本発明(I)の構成成分である成分(B)は、1分子内にヒドロキシル基を2個以上有する化合物であり、好ましくは、1分子内にヒドロキシル基を2個有する化合物である。
本発明の組成物が硬化する際に、前記成分(A)、成分(B)および後述するヒドロキシル基を有するオキセタン化合物(成分(C))は、カチオン重合により、共重合体(硬化物)を形成する。前記共重合体のポリオール成分の主鎖にエーテル結合が含まれる場合には、硬化物が熱分解しやすくなり、また、エステル結合が含まれる場合には、加水分解が起こりやすくなるため、硬化物を高温高湿の環境下で使用する場合、安定性が低下する。このため、本発明で用いられる数平均分子量(Mn)が400以上のポリオール化合物は、主鎖にエーテル結合またはエステル結合などを含まない構造であることが好ましい。このようなポリオール化合物としては、主鎖に酸素原子を有していても加水分解などを受けにくい、ポリカーボネートポリオールを用いることが好ましい。さらに、吸湿性を抑えるために、炭素数8以上のジオールから誘導されるポリカーボネートポリオール化合物を用いることが好ましい。
本発明の組成物が硬化する際に、前記成分(A)、成分(B)および後述するヒドロキシル基を有するオキセタン化合物(成分(C))は、カチオン重合により、共重合体(硬化物)を形成する。前記共重合体のポリオール成分の主鎖にエーテル結合が含まれる場合には、硬化物が熱分解しやすくなり、また、エステル結合が含まれる場合には、加水分解が起こりやすくなるため、硬化物を高温高湿の環境下で使用する場合、安定性が低下する。このため、本発明で用いられる数平均分子量(Mn)が400以上のポリオール化合物は、主鎖にエーテル結合またはエステル結合などを含まない構造であることが好ましい。このようなポリオール化合物としては、主鎖に酸素原子を有していても加水分解などを受けにくい、ポリカーボネートポリオールを用いることが好ましい。さらに、吸湿性を抑えるために、炭素数8以上のジオールから誘導されるポリカーボネートポリオール化合物を用いることが好ましい。
本発明で用いられるポリオール化合物の数平均分子量(Mn)は、400以上(例えば、400〜10000)であり、好ましくは480〜10000、より好ましくは800〜5000、特に好ましくは800〜3000である。ポリオール化合物の分子量が400未満である場合には、エポキシ基含有化合物のエポキシ基に対するヒドロキシル基の量が相対的に多くなるため、親水化し、水分をとりこみやすくなる。この水分が硬化阻害を引き起こし、硬化度を低下させると、硬化後に粘着性が残り、生産性が低下したり、耐熱性、弾性率または曲げ強度を低下させるため、用途によっては使用できなくなる場合がある。また、分子量が10000を超える場合には、液状でなくなったり、粘性が高くなりすぎて取り扱い性が低下する場合がある。また、エポキシ基含有化合物のエポキシ基に対するヒドロキシル基の量が相対的に少なくなるため、組成物の硬化反応の速度が遅くなる場合がある。
なお、本願における数平均分子量(Mn)は、JIS K 0070に準じて水酸基価を測定し、その水酸基価をもとに求めた平均分子量である。
成分(B)の配合割合は、分子内に脂環構造を有するエポキシ基含有化合物100質量部に対し、5〜100質量部の量であり、より好ましくは7〜50質量部の量である。数平均分子量(Mn)が400以上のポリオール化合物の配合割合が5重量部未満であると、硬化収縮率が大きくなり、好ましくない。一方、100重量部を越えると、耐熱性が低下するため、好ましくない。
成分(B)の配合割合は、分子内に脂環構造を有するエポキシ基含有化合物100質量部に対し、5〜100質量部の量であり、より好ましくは7〜50質量部の量である。数平均分子量(Mn)が400以上のポリオール化合物の配合割合が5重量部未満であると、硬化収縮率が大きくなり、好ましくない。一方、100重量部を越えると、耐熱性が低下するため、好ましくない。
本発明(I)の構成成分である成分(C)は、分子中に1個以上のヒドロキシル基と1個以上のオキセタニル基を有する化合物であれば、特に制限はない。前記条件を満たすヒドロキシル基を有するオキセタン化合物で好ましいものとしては、例えば、下記式(2)で表される化合物を挙げることができる。
成分(C)の配合割合は、成分(A)100質量部に対し、5〜100質量部の量であり、より好ましくは、5〜50質量部の量である。成分(C)の配合割合が5重量部未満であると、組成物の粘度が高くなり、好ましくない。一方、100重量部を越えると、硬化速度が低下するため、好ましくない。
本発明(I)の構成成分である成分(D)は、熱によりカチオン種またはルイス酸を発生する熱カチオン重合開始剤である。
熱カチオン重合開始剤としては、トリフル酸塩、三フッ化ホウ素エーテル錯体化合物および三フッ化ホウ素等のようなカチオン系またはプロトン酸触媒が挙げられる。なかでも、トリフル酸塩が好ましく、例えば、3M社からFC−520として入手できるトリフル酸ジエチルアンモニウム、トリフル酸トリエチルアンモニウム、トリフル酸ジイソプロピルアンモニウムおよびトリフル酸エチルジイソプロピルアンモニウム等(これらの多くはR.R.Almによって1980年10月発行のモダン・コーティングスに記載されている。)が挙げられる。
熱カチオン重合開始剤としては、トリフル酸塩、三フッ化ホウ素エーテル錯体化合物および三フッ化ホウ素等のようなカチオン系またはプロトン酸触媒が挙げられる。なかでも、トリフル酸塩が好ましく、例えば、3M社からFC−520として入手できるトリフル酸ジエチルアンモニウム、トリフル酸トリエチルアンモニウム、トリフル酸ジイソプロピルアンモニウムおよびトリフル酸エチルジイソプロピルアンモニウム等(これらの多くはR.R.Almによって1980年10月発行のモダン・コーティングスに記載されている。)が挙げられる。
活性エネルギー線カチオン重合開始剤としては、芳香族オニウム塩が挙げられるが、芳香族オニウム塩には、熱によりカチオン種を発生するものがあり、熱カチオン重合開始剤として用いることもできる。例えば、サンエイドSI−60L、SI−80LおよびSI−100L(三新化学工業(株)製)等の芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
これらのカチオン重合開始剤の中で、芳香族オニウム塩が、取り扱い性、潜在性および硬化性のバランスに優れるという点で好ましく、なかでも、スルホニウム塩が取り扱い性および潜在性のバランスに特に優れるという点で好ましい。カチオン重合開始剤は、分子内に脂環構造を有するエポキシ基含有化合物100質量部に対して、0.01〜20質量
部、より好ましくは0.1〜10質量部の量で添加する。上記範囲を外れると、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性および耐湿性のバランスが悪くなるため、好ましくない。
部、より好ましくは0.1〜10質量部の量で添加する。上記範囲を外れると、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性および耐湿性のバランスが悪くなるため、好ましくない。
また、本発明の組成物中には、必要に応じて、次の成分を添加することができる。
本発明の組成物中には、任意成分として、公知のエポキシ樹脂を添加することができる。添加することができる公知のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、3,3’ ,5,5’−テトラメチルビスフェノールAのジグリシジルエーテル、3,3’ ,5,5’−テトラメチルビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテル、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラックエポキシ樹脂およびブロム化エポキシ樹脂等が挙げられる。前記エポキシ樹脂は、成分(A)100質量部に対し、30質量部以下の量で添加するのが好ましい。
本発明の組成物中には、任意成分として、公知のエポキシ樹脂を添加することができる。添加することができる公知のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、3,3’ ,5,5’−テトラメチルビスフェノールAのジグリシジルエーテル、3,3’ ,5,5’−テトラメチルビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテル、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラックエポキシ樹脂およびブロム化エポキシ樹脂等が挙げられる。前記エポキシ樹脂は、成分(A)100質量部に対し、30質量部以下の量で添加するのが好ましい。
また、本発明(I)の組成物中には、任意成分として、粉末状の補強剤または充填剤、例えば、酸化アルミニウムおよび酸化マグネシウムなどの金属酸化物、微粉末シリカ、溶融シリカおよび結晶シリカなどのケイ素化合物、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、その他、カオリン、マイカ、石英粉末、グラファイトおよび二硫化モリブデン等、さらに繊維質の補強剤または充填剤、例えば、ガラス繊維、セラミック繊維、カ−ボンファイバ−、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、ボロン繊維、ポリエステル繊維およびポリアミド繊維等を添加することができる。これらの成分は、本発明の組成物の総量100質量部に対し、500質量部以下の量で添加するのが好ましい。
また、本発明の組成物中には、その他の任意成分として、例えば、二酸化チタン、鉄黒、モリブデン赤、紺青、群青、カドミウム黄およびカドミウム赤のような着色剤または顔料、三酸化アンチモン、赤燐、ブロム化合物およびトリフェニルホスフェイト等の難燃剤、スメクタイトのようなイオン吸着体、シランカップリング剤およびチタンカップリング剤のようなカップリング剤 酸化劣化防止剤、ならびに紫外線吸収剤等を、本発明の組成物の総量100質量部に対し、合計30質量部以下の量で添加することができる。
本発明の組成物の粘度は、硬化温度以下で注型重合ができる粘度であることが好ましい。硬化可能な粘度は、成分(D)であるカチオン重合開始剤の分解温度に依存するが、一般には、硬化開始温度で2000mPa・s以下を達成できることが望ましい。さらに望ましくは、1000mPa・s以下である。なお、粘度の測定方法は後述の通りである。
本発明の組成物の硬化物(以下、「本発明(II)」ともいう。)は、本発明(I)の組成物を硬化してなる硬化物である。
本発明(II)の硬化物を得るための硬化方法としては、使用するカチオン重合開始剤の種類に依存する。熱によりカチオン種またはルイス酸を発生する熱カチオン重合開始剤を使用する場合には加熱により硬化させ、活性エネルギー線カチオン重合開始剤を使用する場合にはUV等の活性エネルギー線の照射により硬化させる。本発明(II)の硬化物を得るための硬化方法としては、加熱による硬化および/または近赤外線、可視光線、紫外線、電子線による硬化が好ましく、加熱による熱硬化および/または可視光線、紫外線による硬化がより好ましく、最も好ましいのは、加熱による硬化である。また、異なる硬化方法を二種以上組み合わせて硬化物を得ることもできる。
本発明(II)の硬化物を得るための硬化方法としては、使用するカチオン重合開始剤の種類に依存する。熱によりカチオン種またはルイス酸を発生する熱カチオン重合開始剤を使用する場合には加熱により硬化させ、活性エネルギー線カチオン重合開始剤を使用する場合にはUV等の活性エネルギー線の照射により硬化させる。本発明(II)の硬化物を得るための硬化方法としては、加熱による硬化および/または近赤外線、可視光線、紫外線、電子線による硬化が好ましく、加熱による熱硬化および/または可視光線、紫外線による硬化がより好ましく、最も好ましいのは、加熱による硬化である。また、異なる硬化方法を二種以上組み合わせて硬化物を得ることもできる。
加熱による硬化の場合には、重合温度は、使用する熱カチオン重合開始剤の分解温度に依存するが、一般には、20℃〜200℃、好ましくは、50℃〜180℃の範囲で硬化させることが望ましい。20℃以下の温度で硬化させる場合には、熱重合開始剤を混合後
すぐに重合反応が進行することになり、組成物をハンドリングする上で好ましいことではない。また、200℃以上での硬化は、消費エネルギー的に不利であり好ましいことではない。
すぐに重合反応が進行することになり、組成物をハンドリングする上で好ましいことではない。また、200℃以上での硬化は、消費エネルギー的に不利であり好ましいことではない。
また、活性エネルギー線の硬化の場合には、活性エネルギー線のうち、可視光線または紫外線による硬化の光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、重水素ランプ、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、ガリウムランプ、カーボンアーク灯、白熱電球、蛍光灯、エキシマランプ、レーザーなどを用いることができる。これらの光源のうち、高圧水銀灯、メタルハライドランプが特に好ましい。
可視光線または紫外線硬化の光源の波長としては通常200nm〜750nm、好ましくは200nm〜450nmであり、照射量としては通常50mJ/cm2〜2000m
J/cm2、好ましくは100mJ/cm2〜1500mJ/cm2である。
J/cm2、好ましくは100mJ/cm2〜1500mJ/cm2である。
電子線を用いた硬化では、その照射方式として、スキャニング方式、ブロードビーム方式、カーテンビーム方式、イオンプラズマ方式等を挙げることができ、その照射量としては通常0.1Gy〜200kGyであり、1Gy〜100kGyが好ましい。
[実施例]
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例にのみ制限されるものではない。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例にのみ制限されるものではない。
[実施例1]
ビスフェノールAジグリシジルエーテルを水素化して得られた水素化エポキシ基含有化合物(商品名:YX−8000、エポキシ当量:205g/eq、ジャパンエポキシレジン(株)製)を80質量部、炭素数9のアルキレンジオールから誘導されたポリカーボネートジオール(商品名:C−1015N、数平均分子量:1000、(株)クラレ製)を10質量部、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(商品名:EHO、宇部興産(株)製)10質量部およびカチオン性重合開始剤として芳香族スルホニウム塩(商品名:SI−60L、有効成分濃度:約33%、三新化学工業(株)製)を3質量部、室温下で加えた後、混合し、脱泡後、均一な溶液の組成物を得た。次いで、前記組成物を、厚さ3mmの型および厚さ2mmの型にそれぞれ流し込み、70℃で1時間、80℃で1時間、さらに100℃で1.5時間、オーブン中で硬化を行い、硬化物を得た。この硬化物の物性を表1に示す。
ビスフェノールAジグリシジルエーテルを水素化して得られた水素化エポキシ基含有化合物(商品名:YX−8000、エポキシ当量:205g/eq、ジャパンエポキシレジン(株)製)を80質量部、炭素数9のアルキレンジオールから誘導されたポリカーボネートジオール(商品名:C−1015N、数平均分子量:1000、(株)クラレ製)を10質量部、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(商品名:EHO、宇部興産(株)製)10質量部およびカチオン性重合開始剤として芳香族スルホニウム塩(商品名:SI−60L、有効成分濃度:約33%、三新化学工業(株)製)を3質量部、室温下で加えた後、混合し、脱泡後、均一な溶液の組成物を得た。次いで、前記組成物を、厚さ3mmの型および厚さ2mmの型にそれぞれ流し込み、70℃で1時間、80℃で1時間、さらに100℃で1.5時間、オーブン中で硬化を行い、硬化物を得た。この硬化物の物性を表1に示す。
[実施例2]〜[実施例4]
表1に記した組成を用いた以外は、実施例1と同様に硬化物を得た。これらの硬化物の物性を表1に示す。
表1に記した組成を用いた以外は、実施例1と同様に硬化物を得た。これらの硬化物の物性を表1に示す。
[実施例5]
ビスフェノールAジグリシジルエーテルを水素化して得られた水素化エポキシ基含有化合物(商品名:YX−8000、エポキシ当量:205g/eq、ジャパンエポキシレジン(株)製)を60質量部、下記構造式の化合物(商品名:セロキサイド2021P、ダイセル化学工業(株)製)を10質量部、炭素数9のアルキレンジオールから誘導されたポリカーボネートジオール(商品名:C−1015N、数平均分子量:1000、(株)クラレ製)を15質量部、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(商品名:EHO、宇部興産(株)製)15質量部およびカチオン性重合開始剤として芳香族スルホニウム塩(商品名:SI−60L、有効成分濃度:約33%、三新化学工業(株)製)を3質量部、室温下で加えた後、混合し、脱泡後、均一な溶液の組成物を得た。次いで、前記組
成物を、厚さ3mmの型および厚さ2mmの型にそれぞれ流し込み、70℃で1時間、80℃で1時間、さらに100℃で1.5時間、オーブン中で硬化を行い、硬化物を得た。この硬化物の物性を表1に示す。
ビスフェノールAジグリシジルエーテルを水素化して得られた水素化エポキシ基含有化合物(商品名:YX−8000、エポキシ当量:205g/eq、ジャパンエポキシレジン(株)製)を60質量部、下記構造式の化合物(商品名:セロキサイド2021P、ダイセル化学工業(株)製)を10質量部、炭素数9のアルキレンジオールから誘導されたポリカーボネートジオール(商品名:C−1015N、数平均分子量:1000、(株)クラレ製)を15質量部、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(商品名:EHO、宇部興産(株)製)15質量部およびカチオン性重合開始剤として芳香族スルホニウム塩(商品名:SI−60L、有効成分濃度:約33%、三新化学工業(株)製)を3質量部、室温下で加えた後、混合し、脱泡後、均一な溶液の組成物を得た。次いで、前記組
成物を、厚さ3mmの型および厚さ2mmの型にそれぞれ流し込み、70℃で1時間、80℃で1時間、さらに100℃で1.5時間、オーブン中で硬化を行い、硬化物を得た。この硬化物の物性を表1に示す。
[比較例1]
ビスフェノールAジグリシジルエーテルを水素化して得られた水素化エポキシ基含有化合物(商品名:YX−8000、エポキシ当量:205g/eq、ジャパンエポキシレジン(株)製)を100質量部およびカチオン性重合開始剤として芳香族スルホニウム塩(商品名:SI−60L、有効成分濃度:33%、三新化学工業(株)製)を3質量部、室温下で加えた後、混合し、脱泡後、均一な溶液の組成物を得た。次いで、前記組成物を、厚さ3mmの型および厚さ2mmの型にそれぞれ流し込み、70℃で1時間、80℃で1時間、さらに100℃で1.5時間、オーブン中で硬化を行い、硬化物を得た。この硬化物の物性を表1に示す。
[比較例2]〜[比較例3]
表1に記した組成を用いた以外は、比較例1と同様に硬化物を得た。これらの硬化物の物性を表1に示す。
表1に記した組成を用いた以外は、比較例1と同様に硬化物を得た。これらの硬化物の物性を表1に示す。
物性測定は以下の方法に従って行った。
<組成物の粘度>
E型粘度計(商品名:DV―II+Pro、ブルックフィールド(株)製)を用いて25℃の粘度を測定した。
<組成物の粘度>
E型粘度計(商品名:DV―II+Pro、ブルックフィールド(株)製)を用いて25℃の粘度を測定した。
<硬化収縮率の求め方>
まず、硬化前の組成物および硬化物の密度を以下の方法により測定し、下記の算出方法に従って、硬化収縮率を算出した。
まず、硬化前の組成物および硬化物の密度を以下の方法により測定し、下記の算出方法に従って、硬化収縮率を算出した。
密度の測定
硬化前の組成物: JIS K 7112に従い、比重瓶を用いて測定した。
硬化物: JIS K 7112に従い、水中置換法により測定した。
硬化前の組成物: JIS K 7112に従い、比重瓶を用いて測定した。
硬化物: JIS K 7112に従い、水中置換法により測定した。
算出方法
硬化収縮率(%)= (D2−D1)/D2×100
D1:硬化前の組成物の密度
D2:硬化物
測定条件
圧縮モード
昇温速度:5℃/min
測定温度範囲:−100℃〜250℃
荷重:2gf
雰囲気:窒素気流中 50ml/min
試験機:TMA8310(Seiko Instruments Inc.製)
<誘電率の測定>
厚さ2mmの試験片を用い、RFインピーダンス/マテリアルアナライザ(商品名:E4991A、アジレント・テクノロジー(株)製)を使用して、周波数10MHz、100MHzおよび1GHzの時の誘電率を測定した。
硬化収縮率(%)= (D2−D1)/D2×100
D1:硬化前の組成物の密度
D2:硬化物
測定条件
圧縮モード
昇温速度:5℃/min
測定温度範囲:−100℃〜250℃
荷重:2gf
雰囲気:窒素気流中 50ml/min
試験機:TMA8310(Seiko Instruments Inc.製)
<誘電率の測定>
厚さ2mmの試験片を用い、RFインピーダンス/マテリアルアナライザ(商品名:E4991A、アジレント・テクノロジー(株)製)を使用して、周波数10MHz、100MHzおよび1GHzの時の誘電率を測定した。
表1より、本発明の組成物は、低粘度であり、該組成物を硬化して得られた硬化物は、低硬化収縮率で、かつ低誘電率であることが分かる。
Claims (8)
- 下記成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)を含有する組成物。
成分(A):分子内に脂環構造を有するエポキシ基含有化合物
成分(B):数平均分子量(Mn)が400以上のポリオール化合物
成分(C):ヒドロキシル基を有するオキセタン化合物
成分(D):カチオン重合開始剤 - 成分(A)のエポキシ基含有化合物100質量部に対し、成分(B)のポリオール化合物が5〜100質量部、成分(C)のオキセタン化合物が5〜100質量部、成分(D)のカチオン重合開始剤が0.1〜10質量部の量で含有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
- 成分(B)が、炭素数8以上のジオールから誘導される数平均分子量(Mn)が400以上のポリカーボネートポリオール化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
- 成分(D)のカチオン重合開始剤が、芳香族オニウム塩であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
- 成分(D)の芳香族オニウム塩が、芳香族スルホニウム塩であることを特徴とする請求項6に記載の組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の組成物を硬化して得られる硬化物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007167662A JP2009007404A (ja) | 2007-06-26 | 2007-06-26 | カチオン重合性組成物および該組成物を硬化して得られる硬化物 |
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JP (1) | JP2009007404A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102030885A (zh) * | 2010-10-20 | 2011-04-27 | 中科院广州化学有限公司 | 一种含羟基脂环族环氧树脂及其制备方法 |
EP2468835A4 (en) * | 2009-08-21 | 2017-11-01 | DIC Corporation | Cationically polymerizable adhesive and polarizing plate obtained using same |
JP2017206613A (ja) * | 2016-05-18 | 2017-11-24 | 凸版印刷株式会社 | 脂環式エポキシ化合物および樹脂組成物ならびに硬化物 |
JP2018058233A (ja) * | 2016-10-03 | 2018-04-12 | 凸版印刷株式会社 | 透明導電性フィルム |
JP2019023316A (ja) * | 2013-06-03 | 2019-02-14 | 株式会社ダイセル | 硬化性エポキシ樹脂組成物 |
-
2007
- 2007-06-26 JP JP2007167662A patent/JP2009007404A/ja active Pending
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CN102030885A (zh) * | 2010-10-20 | 2011-04-27 | 中科院广州化学有限公司 | 一种含羟基脂环族环氧树脂及其制备方法 |
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