JP2009006834A - 路面傾斜角推定装置、自動車、路面傾斜角推定方法および車両制御装置 - Google Patents

路面傾斜角推定装置、自動車、路面傾斜角推定方法および車両制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】路面傾斜角をより高精度に推定すること。
【解決手段】自動車1Aは、水平面とほぼ平行な車体フロア面に対し、設定されたピッチ角γだけ前後に傾けられた前後加速度センサ4によって、車両に作用する前後加速度を検出する。そして、制駆動力センサ3FR,3FL,3RR,3RLの検出値の合計と前後加速度センサ4の出力値を用い、(1)式に従って路面傾斜角θを算出する。したがって、通常の車両走行状態において、(1)式における分母sinγがゼロとなることを防止しつつ、積分を用いることなく路面傾斜角θを推定するため、路面傾斜角θをより高精度に推定できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、路面の傾斜角を推定する路面傾斜角推定装置、それを備えた自動車、路面傾斜角推定方法および車両制御装置に関する。
従来、車両が走行している路面の傾斜角を推定する技術が知られている。
例えば、特許文献1に記載された技術は、自動車に上下方向加速度センサおよび前後方向加速度センサを備え、(上下方向加速度αz/車体速v)の値を積分した値に路面傾斜角の初期値θ0を加えることにより、路面傾斜角θを求めている。
特開平8−327378号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術においては、路面傾斜角θを算出する際に、(上下方向加速度αz/車体速v)の値を積分しているため、センサノイズ等によって(上下方向加速度αz/車体速v)の値に誤差が生じると、その誤差が時間と共に蓄積されることとなり、路面傾斜角θの推定精度を低下させる要因となる。
したがって、従来の技術においては、路面傾斜角を高精度に推定することが困難であった。
本発明の課題は、路面傾斜角をより高精度に推定することである。
以上の課題を解決するため、本発明に係る路面傾斜角推定装置は、
路面平行面に対して検出軸がピッチ角を有する状態で車体に設置された前後加速度センサと、路面と車輪との間に発生する制駆動力を取得する制駆動力取得手段と、前記前後加速度センサによって検出された検出軸方向の加速度と、前記制駆動力取得手段によって取得された制駆動力とに基づいて、路面傾斜角を推定する路面傾斜角推定手段とを備えることを特徴としている。
また、本発明に係る自動車は、
車体と、車体に設置された複数の車輪と、路面平行面に対して検出軸がピッチ角を有する状態で前記車体に設置された前後加速度センサと、路面と車輪との間に発生する制駆動力を取得する制駆動力取得手段と、前記前後加速度センサによって検出された検出軸方向の加速度と、前記制駆動力取得手段によって取得された制駆動力とに基づいて、路面傾斜角を推定する路面傾斜角推定手段と、前記路面傾斜角推定手段によって推定された路面傾斜角を用いて、車両の制御を行う車両制御手段とを備えることを特徴としている。
また、本発明に係る路面傾斜角推定方法は、
路面平行面に対して検出軸がピッチ角を有する状態で車体に設置された前後加速度センサによって検出軸方向の加速度を検出し、その検出軸方向の加速度と、路面と車輪との間に発生する制駆動力とに基づいて、車両が走行している路面の傾斜角を推定することを特徴としている。
また、本発明に係る車両制御装置は、
路面平行面に対して検出軸がピッチ角を有する状態で車体に設置された前後加速度センサと、路面と車輪との間に発生する制駆動力を取得する制駆動力取得手段と、前記前後加速度センサによって検出された検出軸方向の加速度と、前記制駆動力取得手段によって取得された制駆動力とに基づいて、路面傾斜角を推定する路面傾斜角推定手段と、前記路面傾斜角推定手段によって推定された路面傾斜角を用いて、車両の制御を行う車両制御手段とを備えることを特徴としている。
本発明に係る路面傾斜角推定装置によれば、路面平行面に対してピッチ角を有する方向に設置された前後加速度センサによって加速度を検出し、その加速度と、制駆動力取得手段によって取得された制駆動力とから、路面傾斜角推定手段が路面傾斜角を推定する。
したがって、路面傾斜角の算出過程におけるゼロ除算を防ぎつつ、積分を用いることなく路面傾斜角を推定できるため、より高精度に路面傾斜角を推定することができる。
また、本発明に係る自動車によれば、路面平行面に対してピッチ角を有する方向に設置された前後加速度センサによって加速度を検出し、その加速度と、制駆動力取得手段によって取得された制駆動力とから、路面傾斜角推定手段が路面傾斜角を推定する。そして、このように推定された路面傾斜角を用いて、車両制御手段が車両の制御を行う。
したがって、より高精度に路面傾斜角を推定することができ、また、その推定値を用いて、適切な車両制御を行う自動車とすることができる。
また、本発明に係る路面傾斜角推定方法によれば、路面平行面に対してピッチ角を有する方向に設置された前後加速度センサによって加速度を検出し、その加速度と、制駆動力取得手段によって取得された制駆動力とから、路面傾斜角を推定する方法としたため、路面傾斜角の算出過程におけるゼロ除算を防ぎつつ、積分を用いることなく路面傾斜角を推定できるため、より高精度に路面傾斜角を推定することができる。
また、本発明に係る車両制御装置によれば、路面平行面に対してピッチ角を有する方向に設置された前後加速度センサによって加速度を検出し、その加速度と、制駆動力取得手段によって取得された制駆動力とから、路面傾斜角推定手段が路面傾斜角を推定する。そして、このように推定された路面傾斜角を用いて、車両制御手段が車両の制御を行う。
したがって、より高精度に路面傾斜角を推定することができ、また、その推定値を用いて、適切な車両制御を行う車両制御装置とすることができる。
以下、図を参照して本発明を適用した自動車の実施の形態を説明する。
(第1実施形態)
(構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る自動車1Aの構成を示す概略図である。
図1において、自動車1Aは、車体2と、制駆動力センサ3FR,3FL,3RR,3RLと、前後加速度センサ4と、演算ユニット5と、車輪6FR,6FL,6RR,6RLとを備えている。
これらのうち、制駆動力センサ3FR,3FL,3RR,3RLは、右前輪6FR、左前輪6FL、右後輪6RR、左後輪6RLにそれぞれ備えられており、各車輪と路面との間に発生する制動力および駆動力を検出する。これら制駆動力センサ3FR,3FL,3RR,3RLの出力信号は、演算ユニット5に入力される。
この制駆動力センサ3FR,3FL,3RR,3RLは、制駆動力が発生されることにより、ハブやサスペンションに生じる歪みを検出することで実現でき、また、電動車両であれば、駆動モータに供給される電流を検出することで実現できる。
図2は、制駆動力センサ3FR,3FL,3RR,3RLが設置されるハブユニット10の構成例を示す図であり、図2(a)は上面図、図2(b)は(a)におけるa−a’断面図、図2(c)は(a)におけるb−b’断面図である。
なお、制駆動力センサ3FR,3FL,3RR,3RLが設置されるハブユニット10の構成はそれぞれ同様であるため、制駆動力センサ3FRが設置される車輪6FRのハブユニット10を例に挙げて説明する。
図2において、ハブユニット10は、車体側軌道部材11と、車輪側軌道部材12と、複数の転動体13と、歪みセンサ14a〜14dとを備えている。
車体側軌道部材11は、車体2に固定されており、中空状のハブホイールにおいて転動体13を介して車輪側軌道部材12を回転可能に支持している。
車輪側軌道部材12は、車輪6FRに固定されており、車体側ハブホイールの中空部内に挿通された軸部において、転動体13を介して車体側軌道部材11に回転可能に支持されている。
転動体13は、車体側軌道部材11の中空状のハブホイール内周面を周回するように複数並べられており、車軸方向の内側および外側の2列並列に転動体13の列が形成されている。これら転動体13は、接触角φを設けて車体側軌道部材11に設置され、荷重作用点が車輪側軌道部材12における車軸中心線上およびハブセンタで車軸と直交する直線(図2(c)の車軸直交線)上に設定された構成となっている。
歪みセンサ14a〜14dは、車体側軌道部材11のハブホイール外周面において、ハブセンタで車軸に直交する平面上の位置に設置されている。また、歪みセンサ14a〜14dは、ハブホイール外周面において、転動体13の接触角φによって規定される荷重作用点上に設置されており、具体的には、歪みセンサ14aは、ハブホイール外周面の車両上下方向最上部、歪みセンサ14bは車両上下方向最下部、歪みセンサ14cは前後方向最前部、歪みセンサ14dは前後方向最後部に設置されている。
これら歪みセンサ14a〜14dは、車軸方向から45度の角度で歪みゲージ2枚をそれぞれ異なる向きに貼付した構成を有し、各設置点における応力の向きおよび大きさを検出する。
このような制駆動力センサ3FR,3FL,3RR,3RLの構成により、各車輪6FR,6FL,6RR,6RLそれぞれにおける制駆動力fxFR,fxFL,fxRR,fxRL(ただし、駆動時をプラスとする)が求められ、これらの合計として、制駆動力fxが求められる。
図1に戻り、前後加速度センサ4は、自動車1Aにおける前後方向の加速度を検出するセンサであり、路面平行面に対し、設定されたオフセット角γだけピッチ角を持たせて車体2に設置されている。この前後加速度センサ4の出力信号は、演算ユニット5に入力される。
図3は、前後加速度センサ4の設置状態を示す図である。
図3において、前後加速度センサ4は、センターコンソール付近の車体フロアに設置されており、水平面とほぼ平行な車体フロア面に対し、設定されたピッチ角だけ前後に傾けた状態で設置されている。
このとき設定されるピッチ角のオフセット値γは、例えば、水平面からπ/4(rad)とすることができる。
このように前後加速度センサ4が水平から傾けて設置されていることにより、後述するように、路面傾斜角を算出する上で有利となる。
図1に戻り、演算ユニット5は、制駆動力センサ3FR,3FL,3RR,3RLによって検出された各車輪の制駆動力と、前後加速度センサ4によって検出された前後方向の加速度とから、次式に従って路面傾斜角θを算出する。
θ=cos-1((S−fx/m・cosγ)/(−g・sinγ)) (1)
ただし、Sは前後加速度センサ4の出力値、fxは車輪6FR,6FL,6RR,6RLそれぞれにおける制駆動力の合計値、mは車両の質量、γは前後加速度センサ4のオフセット角、gは重力加速度である。
(路面傾斜角θの算出式)
次に、演算ユニット5において路面傾斜角θを算出する際の算出式(1)について説明する。
図4は、路面傾斜角θの定義を示す図である。
図4に示すように、水平面に対する路面の傾きを傾斜角θとして定義すると、この路面を走行する車両において、前後加速度センサ4に作用する加速度は、図5に示す関係となる。
図5は、前後加速度センサ4に作用する加速度の関係を示す図である。
図5に示すように、前後加速度センサ4には、重力加速度gと、車両の制駆動力による加速度αが図示する方向に作用する。なお、車両に制動力が働く場合には、加速度αは車両前方の向き、車両に駆動力が働く場合には、加速度αは車両後方の向きに作用する。
すると、前後加速度センサ4の出力S、制駆動力による進行方向の加速度α、前後加速度センサ4のオフセット角γおよび路面傾斜角θの間には、次式が成立する。
S=α・cosγ−g・sin(θ+γ) (2)
また、図6は、車両に作用する力を示す図である。
図6に示すように、車両には重力m×gと制駆動力fxが働き、これらに関する運動方程式は次式の通りとなる。
m・α=m・g・sinθ+fx (3)
(2)式および(3)式を連立させて路面傾斜角θを算出する。
まず、(3)式の両辺を車両の質量mで除すと、
α=g・sinθ+fx/m (4)
(4)式の両辺にcosγを乗ずると、
α・cosγ=g・sinθ・cosγ+fx/m・cosγ (5)
(2)式に(5)式を加算すると、
S+α・cosγ=α・cosγ−g・sin(θ+γ)+g・sinθ・cosγ
+fx/m・cosγ (6)
(6)式に加法定理を適用して整理すると、
Figure 2009006834
(7)式の両辺についてアークコサインを取ると、(1)式が得られる。
(前後加速度センサ4のオフセット角γ)
前後加速度センサ4が水平に設置されている場合、即ち、オフセット角γ=0度である場合、上記算出プロセスを用いて路面傾斜角θを算出することができないこととなる。
即ち、オフセット角γ=0であったとすると、(2)式は、
S=α・cosγ−g・sin(θ+γ)=α−g・sinθ (8)
となる。
進行方向の加速度α、路面傾斜角θ、重力加速度g、制駆動力fxおよび車両の質量mの間には、(4)式が成立することから、(8)式と(4)式とを連立させて進行方向の加速度αを消去すると、
Figure 2009006834
となる。
(9)式においては、加速度αを消去すると同時に路面傾斜角θの項が消去され、路面傾斜角θの解を得られないことがわかる。
ところで、車両の進行方向加速度αは、以下の(10)式、(11)式を基に算出される。
Figure 2009006834
なお、(9)式と(10)式は、互いに等価な式である。
(9)式および(10)式は、平坦路でθ=0であるとすると、以下のように変形できる。
α=fx/m (12)
α=(S+g・sinγ)/cosγ (13)
上記の式を比較すると、(10)式および(12)式は、制動力fxに基づいて進行方向加速度αを推定する手法、(11)式および(13)式は、前後加速度センサ4の出力値Sに基づいて進行方向加速度αを推定する手法であると言える。
仮に、前後加速度センサ4を設置する際のオフセット角γをπ/2(rad)とすると、(11)式および(13)式ではcosγ=0となり、ゼロ除算が発生するため、進行方向加速度αを算出することができない。
そのため、センサノイズや検出周期等を考慮すると、前後加速度センサ4の出力値Sに基づいて進行方向加速度αを算出する場合には、オフセット角γをπ/2(rad)から離して設定することが適当である。
したがって、前後加速度センサ4を設置する際のオフセット角γは、π/4(rad)とすることが妥当であると考えられる。
(演算ユニット5の制御処理)
次に、演算ユニット5が実行する制御処理について説明する。
図7は、演算ユニット5が実行する制御処理のフローチャートを示す図である。
図7に示す制御処理は、自動車1Aのイグニションオンと共に開始され、イグニションオフとされるまで繰り返し実行される。
処理が開始されると、演算ユニット5は、前後加速度センサ4によって検出された加速度Sを取得し(ステップS1)、続いて、制駆動力センサ3FR,3FL,3RR,3RLによって検出された各車輪における制駆動力fxFR,fxFL,fxRR,fxRLを取得する(ステップS2)。
そして、演算ユニット5は、各車輪における制駆動力を加算して得た制動力fxと、前後加速度センサ4によって検出された前後加速度Sとを用いて、(1)式に従い、路面傾斜角θを算出する(ステップS3)。
ステップS3の後、演算ユニット5は、図7に示す処理を繰り返す。
(動作)
次に、動作を説明する。
自動車1Aの走行中に、運転者がアクセルペダルあるいはブレーキペダルを踏み込み、加減速操作を行ったとする。
すると、その加減速操作による制駆動力が車輪6FR,6FL,6RR,6RLと路面との間に発生し、それらの制駆動力fxFR,fxFL,fxRR,fxRLを制駆動力センサ3FR,3FL,3RR,3RLが検出する。
また、このとき車両に発生する前後方向の加速度により、オフセット角γだけ路面平行面から傾けられた前後加速度センサ4において、出力値Sが検出される。
そして、演算ユニット5が、制駆動力センサ3FR,3FL,3RR,3RLが検出した制駆動力の合計値fxと、前後加速度センサ4の出力値Sとを(1)式に代入し、路面傾斜角θを算出する。
この後、自動車1Aは、算出された路面傾斜角θを用いて、車体速度を推定したり、ABS(Anti-lock Brake System)やACC(Auto Cruise Control)に基づく制御を行ったりする。
以上のように、本実施形態に係る自動車1Aは、水平面とほぼ平行な車体フロア面に対し、設定されたピッチ角γだけ前後に傾けられた前後加速度センサ4によって、車両に作用する前後加速度を検出する。そして、制駆動力センサ3FR,3FL,3RR,3RLの検出値の合計と前後加速度センサ4の出力値を用い、(1)式に従って路面傾斜角θを算出する。
したがって、通常の車両走行状態において、(1)式における分母sinγがゼロとなることを防止しつつ、積分を用いることなく路面傾斜角θを推定するため、路面傾斜角θをより高精度に推定できる。
また、各車輪の制駆動力を高精度に把握するために備えられる制駆動力センサ3FR,3FL,3RR,3RLの検出値を用いて路面傾斜角θを推定するため、路面傾斜角θの推定に要するコストを抑制することができる。
なお、電動車両の場合には、モータに流入させる電流の値から制駆動力を推定することができるため、特にセンサを設置することなく、より高精度に路面傾斜角θを推定することができる。
また、積分を用いることなく進行方向加速度αを推定しているため、積分誤差の蓄積を回避することができ、より正確な推定値を得ることができる。
なお、本実施形態においては、前後加速度センサ4が前後加速度センサを構成し、制駆動力センサ3FR,3FL,3RR,3RLが制駆動力取得手段を構成し、演算ユニット5が路面傾斜角推定手段を構成する。
(第1実施形態の効果)
(1)路面平行面に対してピッチ角を有する方向に設置された前後加速度センサによって加速度を検出し、その加速度と、制駆動力取得手段によって取得された制駆動力とから、路面傾斜角推定手段が路面傾斜角を推定する。
したがって、路面傾斜角の算出過程におけるゼロ除算を防ぎつつ、積分を用いることなく路面傾斜角を推定できるため、より高精度に路面傾斜角を推定することができる。
(2)重力による制駆動力成分および検出軸方向の加速度成分を反映した関係式を基に、路面傾斜角を推定するので、より正確に路面傾斜角を推定することができる。
(3)(1)式あるいはその近似式に従って路面傾斜角を推定するため、通常の走行状態においてゼロ除算を発生することなく、路面傾斜角を推定することができる。
(4)制駆動力センサによって、各車輪と路面との間で発生する力の作用を検出し、その検出された制駆動力を用いて路面傾斜角が推定されるので、より正確に路面傾斜角を推定することができる。
(5)前後加速度センサのピッチ角がπ/4[rad]とされているため、ゼロ除算が発生する可能性を少なくし、より正確に路面傾斜角を推定することができる。
(第2実施形態)
(構成)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図8は、本発明の第2実施形態に係る自動車1Bの構成を示す概略図である。
自動車1Bは、車体2と、前後加速度センサ4と、演算ユニット5と、車輪6FR,6FL,6RR,6RLと、エンジンコントロールユニット21と、変速機コントロールユニット22と、ブレーキペダル23と、マスタシリンダ24と、ブレーキディスク25と、ホイールシリンダ26と、油圧配管27と、油圧計28と、車輪速センサ29とを備えている。なお、ブレーキディスク25、ホイールシリンダ26、油圧配管27、油圧計28および車輪速センサ29は、4輪分それぞれ備えられているが、図示を省略して1輪分のみを示している。
これらのうち、車体2、前後加速度センサ4および車輪6FR,6FL,6RR,6RLの構成は、第1実施形態における場合と同様である。
演算ユニット5は、油圧計28によって検出されたマスタシリンダ圧Pmから、各車輪のホイールシリンダ圧Pzzを推定する。ここで、zzは4輪を表す識別子であり、zz=FR,FL,RR,RLである(以下、同様とする)。
なお、ABS制御が行われていない場合には、マスタシリンダ圧Pmとホイールシリンダ圧Pzzは等しいものとすることができ、ABS制御が行われている場合には、マスタシリンダ圧Pmと、ホイールシリンダ26の増減圧特性を表すモデルと、ABS制御における増圧、保持、減圧の各モードのいずれであるかを示す情報とから、ホイールシリンダ圧Pzzを推定することができる。
また、演算ユニット5は、推定したホイールシリンダ圧Pzzから、以下の(14)式に従い、ブレーキパッドがブレーキディスク25に押し当てられるときのトルク(制動トルクtbzz)を算出する。
tbzz=Kzz・Pzz (14)
なお、Kzzは、比例定数であり、ホイールシリンダ26の構造やブレーキパッドとブレーキディスク25との摩擦係数等によって決定される。
また、演算ユニット5は、エンジンコントロールユニット21から入力されたエンジントルクteと、変速機コントロールユニット22から入力されたギヤ位置情報とを用いて、以下の(15)式に従い、車輪まわりの駆動トルクtazzを算出する。
tazz=Ngzz・te (15)
なお、Ngzzは、変速機のギヤ位置によって定まる比例定数であり、左右に駆動力配分される機能を有する場合には、そのユニットからの情報によってNgzzが補正される。
そして、演算ユニット5は、算出した制動トルクtbzzおよび駆動トルクtazzと、車輪速センサ29から入力された各車輪の車輪速ωzzと、車輪の回転運動方程式とを基に、以下の(16)式に従い、各車輪の制駆動力fxzzを算出する。
Figure 2009006834
なお、Izzは車輪の回転に関する慣性モーメント、Rzzは各車輪の半径である。
さらに、演算ユニット5は、(16)式によって算出した4輪分の制駆動力fxを加算し、合計の制駆動力fxを算出する。
そして、演算ユニット5は、前後加速度センサ4の出力値Sと、制駆動力fxと、車両の質量mと、重力加速度gと、前後加速度センサ4のオフセット角γとから、第1実施形態における以下の(1)式に従って、路面傾斜角θを算出する。
θ=cos-1((S−fx/m・cosγ)/(−g・sinγ))
エンジンコントロールユニット21は、エンジンの出力トルクを制御し、現在のエンジントルクteを示す信号を演算ユニット5に出力する。
変速機コントロールユニット22は、変速機のギヤ位置を制御し、現在のギヤ位置を示す信号を演算ユニット5に出力する。
マスタシリンダ24は、ブレーキペダル23が運転者によって踏み込まれた場合に、その踏力を油圧に変換する油圧シリンダであり、ブレーキペダル23の踏み込みによって発生された油圧を、油圧配管27に出力する。
ホイールシリンダ26は、車輪と一体に回転するブレーキディスク25にブレーキパッドを押し当てるための油圧シリンダであり、油圧配管27を介して流入した油圧によって、ブレーキディスク25にブレーキパッドを押し当てる。
油圧配管27は、マスタシリンダ24とホイールシリンダ26との間における油圧経路を構成し、マスタシリンダ24において発生された油圧をホイールシリンダ26に伝達する。
油圧計28は、マスタシリンダ24からホイールシリンダ27に出力される油圧(マスタシリンダ圧Pm)を検出し、検出したマスタシリンダ圧Pmを演算ユニット5に出力する。
車輪速センサ29は、車輪6FR,6FL,6RR,6RLそれぞれに設置されており、各車輪の回転速度ωzzを検出する。そして、車輪速センサ29は、検出した車輪の回転速度ωzzを演算ユニット5に出力する。
(演算ユニット5の制御処理)
次に、演算ユニット5が実行する制御処理について説明する。
図9は、演算ユニット5が実行する制御処理のフローチャートを示す図である。
図9に示す制御処理は、自動車1Bのイグニションオンと共に開始され、イグニションオフとされるまで繰り返し実行される。
処理が開始されると、演算ユニット5は、前後加速度センサ4によって検出された加速度Sを取得し(ステップS101)、続いて、ホイールシリンダ圧Pzzを推定する(ステップS102)。
そして、演算ユニット5は、推定したホイールシリンダ圧Pzzから(14)式に従って制動トルクtbzzを算出する(ステップS103)。
次に、演算ユニット5は、車輪速センサ29によって検出された各車輪の車輪速ωzzを取得し(ステップS104)、さらに、エンジンコントロールユニット21からエンジントルクteを取得する(ステップS105)。
続いて、演算ユニット5は、エンジントルクteと変速機のギヤ位置情報とを用いて、各車輪の駆動トルクtazzを算出する(ステップS106)。
そして、演算ユニット5は、制動トルクtbzzおよび駆動トルクtazzと、車輪速センサ29から入力された各車輪の車輪速ωzzと、車輪の回転運動方程式とを基に、4輪分を合計した制駆動力fxを算出する(ステップS107)。
さらに、演算ユニット5は、前後加速度センサ4の出力値Sと、制駆動力fxと、車両の質量mと、重力加速度gと、前後加速度センサのオフセット角とを用いて、(1)式に従い、路面傾斜角θを算出する(ステップS108)。
ステップS108の後、演算ユニット5は、図9に示す処理を繰り返す。
(動作)
自動車1Bの走行中に、運転者がアクセルペダルあるいはブレーキペダルを踏み込み、加減速操作を行ったとする。
すると、その加減速操作による制駆動力が車輪6FR,6FL,6RR,6RLと路面との間に発生し、車両に前後加速度が発生する。
そして、このとき車両に発生する前後方向の加速度により、オフセット角γだけ路面平行面から傾けられた前後加速度センサ4において、出力値Sが検出される。
また、演算ユニット5によって、マスタシリンダ圧Pmからホイールシリンダ圧Pzzが推定され、さらに、ホイールシリンダ圧Pzzから制動トルクtbzzが算出される。
さらに、演算ユニット5によって、車輪速ωzzとエンジントルクteとが取得され、エンジントルクteとギヤ位置情報とから駆動トルクtazzが算出される。
そして、演算ユニット5が、制動トルクtbzzおよび駆動トルクtazzを用いて制駆動力fxを算出し、その制駆動力Fxと、前後加速度センサ4の出力値Sとを(1)式に代入し、路面傾斜角θを算出する。
この後、自動車1Aは、算出された路面傾斜角θを用いて、車体速度を推定したり、ABSやACCに基づく制御を行ったりする。
以上のように、本実施形態に係る自動車1Bは、水平面とほぼ平行な車体フロア面に対し、設定されたピッチ角γだけ前後に傾けられた前後加速度センサ4によって、車両に作用する前後加速度を検出する。そして、マスタシリンダ圧に基づいて推定した制動トルクおよびエンジントルクとギヤ位置情報とに基づいて推定した駆動トルクを用いて、制駆動力を推定する。さらに、推定した制駆動力と前後加速度センサ4の出力値とを用い、(1)式に従って路面傾斜角θを算出する。
したがって、通常の車両走行状態において、(1)式における分母sinγがゼロとなることを防止しつつ、積分を用いることなく路面傾斜角θを推定するため、路面傾斜角θをより高精度に推定できる。
また、通常、自動車において検出されていることが多いマスタシリンダ圧およびエンジントルクを用いて制駆動力を推定し、推定した制駆動力を用いて路面傾斜角θを推定するため、路面傾斜角θの推定に要するコストをより低いものとすることができる。
また、積分を用いることなく進行方向加速度αを推定しているため、積分誤差の蓄積を回避することができ、より正確な推定値を得ることができる。
なお、本実施形態においては、前後加速度センサ4が前後加速度センサを構成し、油圧計28、エンジンコントロールユニット21、変速機コントロールユニット22および演算ユニット5が制駆動力取得手段を構成し、演算ユニット5が路面傾斜角推定手段を構成する。また、油圧計28がマスタシリンダ圧検出手段を構成し、エンジンコントロールユニット21がエンジントルク取得手段を構成する。
(第2実施形態の効果)
(1)マスタシリンダの油圧と、エンジントルクとを用いて、制駆動力を推定し、前後加速度センサによって検出された加速度と、推定した制駆動力とに基づいて、路面傾斜角を推定する。
そのため、自動車に通常備えられるセンサを用いて制駆動力を推定しつつ、路面傾斜角を推定できる。
したがって、より低コストな構成で、路面傾斜角の算出過程におけるゼロ除算を防ぎつつ、積分を用いることなく路面傾斜角を推定でき、より高精度に路面傾斜角を推定することができる。
(2)(16)式に従って制駆動力を推定するため、制駆動トルクと車輪速とから制駆動力を取得することができ、これを用いて、より正確に路面傾斜角を推定することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図10〜図13は、本発明の第3実施形態に係る自動車1Cの構成を示す図である。
なお、図10は、第2実施形態に示す図8と同様であり、図11〜図13は、図10の構成に加えて備えられる構成を示している。具体的には、図11はナビゲーション機能の構成を示す図、図12はACC機能の構成を示す図、図13は、ABS機能の構成を示す図である。
図10〜図13において、自動車1Cは、車体2と、前後加速度センサ4と、演算ユニット5と、車輪6FR,6FL,6RR,6RLと、エンジンコントロールユニット21と、変速機コントロールユニット22と、ブレーキペダル23と、マスタシリンダ24と、ブレーキディスク25と、ホイールシリンダ26と、油圧配管27と、油圧計28と、車輪速センサ29と、ヨーレートセンサ30と、ナビゲーションユニット31と、ACCユニット32と、負圧コントロールアクチュエータ33と、ABSコントロールユニット34と、油圧アクチュエータ35とを備えている。なお、ブレーキディスク25、ホイールシリンダ26、油圧配管27、油圧計28および車輪速センサ29は、4輪分それぞれ備えられているが、図示を省略して1輪分のみを示している。
これらのうち、車体2、前後加速度センサ4、車輪6FR,6FL,6RR,6RL、変速機コントロールユニット22、ブレーキペダル23、マスタシリンダ24、ブレーキディスク25、ホイールシリンダ26、油圧配管27、油圧計28および車輪速センサ29は、第1実施形態および第2実施形態における場合と同様である。
演算ユニット5は、油圧計28によって検出されたマスタシリンダ圧Pmから、各車輪のホイールシリンダ圧Pzzを推定する。
また、演算ユニット5は、推定したホイールシリンダ圧Pzzから、(14)式に従い、ブレーキパッドがブレーキディスク25に押し当てられるときのトルク(制動トルクtbzz)を算出する。
さらに、演算ユニット5は、エンジンコントロールユニット21から入力されたエンジントルクteと、変速機コントロールユニット22から入力されたギヤ位置情報とを用いて、(15)式に従い、車輪まわりの駆動トルクtazzを算出する。
そして、演算ユニット5は、算出した制動トルクtbzzおよび駆動トルクtazzと、車輪速センサ29から入力された各車輪の車輪速ωzzと、車輪の回転運動方程式とを基に、(16)式に従い、各車輪の制駆動力fxzzを算出する。
また、演算ユニット5は、(16)式によって算出した4輪分の制駆動力fxを加算し、合計の制駆動力fxを算出する。
そして、演算ユニット5は、前後加速度センサ4の出力値Sと、制駆動力fxと、車両の質量mと、重力加速度gと、前後加速度センサ4のオフセット角γとから、第1実施形態における以下の(1)式に従って、路面傾斜角θを算出する。
θ=cos-1((S−fx/m・cosγ)/(−g・sinγ))
また、演算ユニット5は、前後加速度センサ4の出力値Sと、制駆動力fxと、前後加速度センサ4のオフセット角γと、重力加速度gと、車両の質量mとから、(11)式に従い、進行方向加速度αを算出する。
さらに、演算ユニット5は、車輪速センサ29によって検出された各車輪の車輪速ωと、算出した進行方向加速度αとから、以下の(17)〜(19)式に従い、車体速vを算出する。
Figure 2009006834
ただし、v0は車体速vの初期値、Rは車輪半径、ssは時刻0からt秒までの進行方向加速度αの積分値である。
即ち、(17)〜(19)式においては、制動開始時に車体速が車輪速と車輪半径の乗算値に等しいことを利用し、まず、(17)式によって、車輪速ωに車輪半径Rを乗算している。
また、車体速の変化は、進行方向加速度αの積分値となるため、(18)式によって、積分値ssを算出している。
そして、現在の車体速vは、車体速の初期値v0と、進行方向加速度αの積分値ssの和となるため、(19)式によって、これらを加算し、車体速vを算出している。
また、演算ユニット5は、車輪速センサ29によって検出された各車輪の車輪速ωと、算出した車体速vとから、以下の(20)式に従い、スリップ率λを算出する。
λ=(v−R・ω)/v=1−R・ω/v (20)
さらに、演算ユニット5は、GPS信号と、進行方向加速度αと、ヨーレートφとを用いて、自車両の存在位置を示す座標(x、y)を算出する。
エンジンコントロールユニット21は、エンジンの出力トルクを制御し、現在のエンジントルクteを示す信号を演算ユニット5、ACCユニット32およびABSコントロールユニット34に出力する。
また、エンジンコントロールユニット21は、ACCユニット32によって入力される目標制駆動力Ftとなるように、エンジンの駆動力およびエンジンブレーキによる制動力を制御する。
ヨーレートセンサ30は、路面平面内における車体2の回転角速度(ヨーレート)を検出し、検出したヨーレートφをナビゲーションユニット31に出力する。
ナビゲーションユニット31は、演算ユニット5によって算出された自車両の座標(x、y)と、自車両の向きとから、画面に表示する地図を更新する。
ACCユニット32は、演算ユニット5によって算出される車体速vを、目標車体速Vtに追従させる目標制駆動力Ftを算出し、算出した目標制駆動力Ftをエンジンコントロールユニット21あるいは負圧コントロールアクチュエータ33に出力する。
なお、目標車体速Vtは、運転者によって入力された値にセットすることや、前方走行車両との距離によって定めた値にセットすることが可能である。
負圧コントロールアクチュエータ33は、ACCユニット32によって入力される目標制駆動力Ftとなるように、マスタシリンダ24に加える負圧を制御する。この負圧は、運転者によるブレーキ操作とは別に制御してマスタシリンダ圧を調整するものであり、これにより、4輪に共通して入力されるマスタシリンダ圧を目的に応じて変化させることができる。
ABSコントロールユニット34は、演算ユニット5によって算出されたスリップ率λを基に、各車輪の目標ホイールシリンダ圧Ptを算出し、演算ユニット5によって算出された各車輪のホイールシリンダ圧Pzzが目標ホイールシリンダ圧となるように、油圧アクチュエータ35にバルブの開閉指令を出力することにより、各車輪のスリップ率を制御する。
油圧アクチュエータ35は、ABSコントロールユニット34から入力されるバルブの開閉指令に応じて、各車輪のホイールシリンダ26に繋がる油圧配管27のバルブを開閉し、ホイールシリンダ圧を変化させる。
(自動車1Cの全体制御処理)
次に、自動車1Cにおける全体制御処理について説明する。
図14は、自動車1Cの演算ユニット5、ACCユニット32およびABSコントロールユニット34が実行する全体制御処理のフローチャートを示す図である。
図14に示す制御処理は、自動車1Cのイグニションオンと共に開始され、イグニションオフとされるまで繰り返し実行される。
処理が開始されると、演算ユニット5は、前後加速度センサ4の出力値Sと、制駆動力fxと、車両の質量mと、重力加速度gと、前後加速度センサ4のオフセット角γとから、第1実施形態における(1)式に従って、路面傾斜角θを算出する(ステップS201)。なお、路面傾斜角θを算出する際の詳細な処理は、図9に示す第2実施形態の制御処理と同様である。
次に、演算ユニット5は、前後加速度センサ4の出力値Sと、制駆動力fxと、前後加速度センサ4のオフセット角γと、重力加速度gと、車両の質量mとから、(11)式に従い、進行方向加速度αを算出する(ステップS202)。
続いて、演算ユニット5は、車輪速ωおよび進行方向加速度αから、車体速vを算出するための車体速算出処理を実行し(ステップS203)、さらに、車輪速ωおよび車体速vから、各車輪のスリップ率λを算出する(ステップS204)。
次いで、演算ユニット5は、GPS信号と、進行方向加速度αと、ヨーレートφとを用いて、自車両の存在位置を示す座標(x、y)を算出するための位置座標算出処理を実行する(ステップS205)。
また、ACCユニット32は、路面傾斜角θと、設定された目標車体速Vtと、車体速vとを用いて、目標制駆動力Ftを算出し、演算ユニット5によって算出された制駆動力fxが目標制駆動力Ftに追従するように、エンジンコントロールユニット21および負圧コントロールアクチュエータ33に指令信号を出力するためのACC制御処理を実行する(ステップS206)。
さらに、ABSコントロールユニット34は、演算ユニット5によって算出されたスリップ率λを基に、各車輪の目標ホイールシリンダ圧を算出し、演算ユニット5によって算出された各車輪のホイールシリンダ圧が目標ホイールシリンダ圧となるように、油圧アクチュエータ35にバルブの開閉指令を出力するためのABS制御処理を実行する(ステップS207)。
ステップS207の後、演算ユニット5、ACCユニット32およびABSコントロールユニット34は、図14に示す処理を繰り返す。
(車体速算出処理)
次に、図14に示す全体制御処理のステップS203において実行される車体速算出処理について説明する。
図15は、演算ユニット5が実行する車体速算出処理のフローチャートを示す図である。
図15において、車体速算出処理が開始されると、演算ユニット5は、(17)式に従い、車体速の初期値v0を算出する(ステップS301)。
次に、演算ユニット5は、(18)式に従い、車体速の初期値v0を取得した時間から現在までの進行方向加速度αの積分値ssを算出する(ステップS302)。
さらに、演算ユニット5は、車体速の初期値v0と進行方向加速度αの積分値ssを加算し、現在の車体速vを算出する(ステップS303)。
続いて、演算ユニット5は、制駆動力fxがほぼゼロであるか否かの判定を行う(ステップS304)。即ち、制駆動力fxの絶対値がゼロに近い場合、車輪速×車輪半径が車体速に等しいと判断できるため、このように判断できる閾値を制駆動力fxの絶対値に設定し、ステップS304では、制駆動力fxの絶対値がこの閾値より小さいか否かを判定する。
ステップS304において、制駆動力fxがほぼゼロであると判定した場合、演算ユニット5は、ステップS301の処理に移行する。なお、複数の車輪のうち、1つでもステップS304の条件を充足している場合には、ステップS301の処理に移行し、車体速の初期化を行うものとする。
一方、ステップS304において、制駆動力fxがほぼゼロではないと判定した場合、演算ユニット5は、直前のステップS301の後(即ち、最後に初期値v0を算出した後)、設定された基準時間Tbが経過していないか否かの判定を行う(ステップS305)。
ステップS305において、直前のステップS301の後、基準時間Tbが経過していないと判定した場合、演算ユニット5は、ABSコントロールユニット34による制御等、車体速vを用いる制御を許可する通常状態に設定し(ステップS306)、ステップS302に戻る。
また、ステップS305において、直前のステップS301の後、基準時間Tbが経過していると判定した場合、演算ユニット5は、設定された時間Tzの間、制駆動力ゼロを示す指令値を出力し(ステップS307)、ステップS301に戻る。
ステップS307の処理は、一旦制駆動を中断することにより、車体速×車輪半径の値を車体速vに一致させるためのものである。このとき、複数の車輪全てについて行う必要はないため、車両挙動に影響が少ない車輪を1つ選択して、制駆動力をゼロとすれば良い。
(位置座標算出処理)
次に、図14に示す全体制御処理のステップS205において実行される位置座標算出処理について説明する。
図16は、演算ユニット5が実行する位置座標算出処理のフローチャートを示す図である。
図16において、位置座標算出処理が開始されると、演算ユニット5は、地図上における自車両の位置(x、y)を初期化する(ステップS401)。
次に、演算ユニット5は、GPSが利用可能な状態であるか否かの判定を行い(ステップS402)、GPSが利用可能な状態であると判定した場合、GPSの受信信号から自車両の位置座標を取得する(ステップS403)。
次いで、演算ユニット5は、地図上のx−y座標における進行方向の方位角βをGPSから取得する(ステップS404)。
図17は、x−y座標における進行方向βの定義を示す図である。
自車両の進行方向βは、地図上に設定されているx−y座標において、車両を上方から見たときに、x軸から反時計回りを正とする角度として表される。
ステップS404の後、演算ユニット5は、自車両の速度における水平成分VmをGPSから取得する(ステップS405)。この水平成分Vmは、車体速vを水平面に投影した速度に相当する。
ステップS405の後、演算ユニット5は、ステップS402に戻る。
また、ステップS402において、GPSが利用可能な状態でないと判定した場合、演算ユニット5は、ヨーレートセンサ30の出力(ヨーレートφ)を取得し(ステップS406)、取得したヨーレートφを用いて、次式に従い、方位角βを更新する(ステップS407)。ただし、Δtは、時間変化を表す。
β=β+φ・Δt (21)
次に、演算ユニット5は、自車両の速度における水平成分Vmを更新する(ステップS408)。
ここで、自車両の速度における水平成分Vmは、路面傾斜角θを用いて、次のように取得することができる。
図18は、路面傾斜角θと水平方向の加速度成分αmとの関係を示す図である。
図18において、自車両の進行方向加速度αと路面傾斜角θに対し、水平方向の加速度成分αmは、次式のように表される。
αm=α・cosθ (22)
さらに、水平方向の加速度成分αmから、速度の水平成分Vmは、次式のように取得される。
Vm=Vm+αm・Δt (23)
ステップS408の後、演算ユニット5は、方位角βおよび速度の水平成分Vmを用いて、自車両の位置(x、y)を次式に従って更新する。
(x、y)=(x、y)+(Vm・cosβ、Vm・sinβ)・Δt (24)
ステップS409の後、演算ユニット5は、ステップS402に戻る。
(ACC制御処理)
次に、図14に示す全体制御処理のステップS206において実行されるACC制御処理について説明する。
図19は、ACCユニット32が実行するACC制御処理のフローチャートを示す図である。
図19において、ACC制御処理が開始されると、ACCユニット32は、次式に従い、路面傾斜角θによる制駆動力成分Ft1を算出する(ステップS501)。この路面傾斜角θによる制駆動力成分Ft1は、車両に加わる重力の路面に平行な成分を打ち消すように算出される。
Ft1=−m・g・sinθ (25)
なお、(25)式における負記号(−)は、制動側である状態を意味する。
次に、ACCユニット32は、次式に従い、目標車体速Vtと車体速vとの偏差分の制駆動力Ft2を算出する(ステップS502)。
Ft2=(Kp+Kd・s+Ki・1/s)(Vt−v) (26)
なお、(26)式は、PID制御を用いた場合の算出式の例であり、sは微分演算子、1/sは積分演算子、Kpは比例ゲイン、Kdは微分ゲイン、Kiは積分ゲインを表している。
そして、ACCユニット32は、次式に従い、目標制駆動力Ftを算出する(ステップS503)。
Ft=Ft1+Ft2 (27)
続いて、ACCユニット32は、目標制駆動力Ftがゼロより大きいか否かを判定する(ステップS504)。これは、目標制駆動力Ftの正負に応じて、制駆動力制御の指令先を切り換えるための処理であり、目標制駆動力Ftが正であればエンジンコントロールユニット21への指令、負であれば負圧コントロールアクチュエータ33への指令が行われる。ただし、軽度の制動であれば、エンジンブレーキによる制御が可能であることから、判定の閾値をゼロから負側に補正することができる。
ステップS504において、目標制駆動力Ftが正であると判定した場合、ACCユニット32は、エンジンコントロールユニット21に対し、目標制駆動力Ftとなるようにエンジンの出力トルクを制御させる指令信号を出力する(ステップS505)。なお、エンジンブレーキを用いる場合、ACCユニット32は、エンジンコントロールユニット21に対し、目標とする制動力Ftとなるように、エンジントルクを制御させる指令信号を出力する。
一方、ステップS504において、目標制駆動力Ftが負であると判定した場合、ACCユニット32は、負圧コントロールアクチュエータ33に対し、目標制駆動力Ftとなるようにマスタシリンダに加える負圧を制御させる指令信号を出力する(ステップS506)。
ステップS505およびステップS506の後、ACCユニット32は、ACC制御処理を繰り返す。
(ABS制御処理)
次に、図14に示す全体制御処理のステップS207において実行されるABS制御処理について説明する。
図20は、ABSコントロールユニット34が実行するABS制御処理のフローチャートを示す図である。
図20において、ABS制御処理が開始されると、ABSコントロールユニット34は、次式に従い、目標スリップ率λtと実際のスリップ率λとの偏差から目標ホイールシリンダ圧Ptを算出する(ステップS601)。
Pt=(Kp1+Ki1・1/s)(λt−λ) (28)
なお、(28)式は、PI制御を用いた場合の算出式の例であり、sは微分演算子、1/sは積分演算子、Kp1は比例ゲイン、Ki1は積分ゲインを表している。また、目標ホイールシリンダ圧Ptは、各車輪ごとに算出される実際のスリップ率λを基に、それぞれの車輪の状態に対応する値が算出される。
次に、ABSコントロールユニット34は、各車輪のホイールシリンダ圧Pzzが目標ホイールシリンダ圧Ptに追従するように、油圧アクチュエータ35を制御する(ステップS602)。
ステップS602の後、ABSコントロールユニット34は、ABS制御処理を繰り返す。
(油圧系統の構成例)
次に、ABS制御機能を有する油圧系統の具体的構成例について説明する。
図21は、自動車1Cにおける油圧系統の具体的構成例を示す図である。
図21において、自動車1Cの油圧系統は、マスタシリンダ24と、主油圧配管101と、インレットバルブ102と、ABS用流出配管103と、アウトレットバルブ104と、ホイールシリンダ26と、アキュムレータ105と、還流用油圧配管106と、モータ107と、ポンプ108と、ABSコントロールユニット34とを有している。なお、図21において、主油圧配管101、ABS用流出配管103および還流用油圧配管106が油圧配管27を構成し、インレットバルブ102およびアウトレットバルブ104が油圧アクチュエータ35を構成している。
これらのうち、主油圧配管101は、マスタシリンダ24とホイールシリンダ26とを連結する油圧配管であり、油圧経路上にインレットバルブ102を備えている。また、主油圧配管101は、インレットバルブ102aとホイールシリンダ26との中間点(以下、「連結点A」と言う。)に、後述するABS用流出配管103の一端が連結されている。
このインレットバルブ102は、電磁切り換え弁(ON−OFF弁)によって構成されている。そして、インレットバルブ102は、非通電時に開状態、通電時に閉状態となると共に、ABSコントロールユニット34によって、ABSの非作動時には通電されず、ABSの作動時に通電されるよう制御が行われている。
したがって、ブレーキペダル23が踏み込まれた場合、ABSの非作動時には、インレットバルブ102が開状態(アウトレットバルブ104は閉状態)となる。そのため、ブレーキオイルは、主油圧配管101を介して、マスタシリンダ24からホイールシリンダ26に流れ、マスタシリンダ101から出力された油圧がホイールシリンダ26に伝達される。一方、ABSの作動時には、インレットバルブ102が閉状態となり、主油圧配管101による上記のような油圧の増圧は行われない状態となる。
ABS用流出配管103は、主油圧配管101における連結点Aに一端が連結されていると共に、アキュムレータ105に他端が連結されており、その油圧系路上にアウトレットバルブ104を備えている。
このアウトレットバルブ104は、電磁切り換え弁(ON−OFF弁)によって構成されている。そして、アウトレットバルブ104は、非通電時に閉状態、通電時に開状態となると共に、ABSコントロールユニット34によって、ABSの作動時における減圧モード時に通電され、ABSの作動時における減圧モード時以外およびABSの非作動時には通電されないよう制御が行われている。
したがって、ブレーキペダル23が踏み込まれている場合、ABSの作動時における減圧モード時には、アウトレットバルブ104が開状態となり、ホイールシリンダ26からABS用流出配管103を介してブレーキオイルがアキュムレータ105に流れ、ホイールシリンダ26の油圧が減少する。一方、ABSの作動時における減圧モード時以外およびABSの非作動時には、アウトレットバルブ104が閉状態となり、ABS用流出配管103による上記のような油圧の減圧は行われない状態となる。
アキュムレータ105は、ABSが作動した際の減圧モード時にホイールシリンダ26から流出したブレーキオイルを蓄積すると共に、ブレーキオイルの圧力を調節する機能を有している。
還流用油圧配管106は、アキュムレータ105に一端を連結されていると共に、主油圧配管101におけるマスタシリンダ24とインレットバルブ102との中間点(以下、「連結点B」と言う。)に他端が連結されている。
また、還流用油圧配管106は、アキュムレータ105に蓄積されたブレーキオイルをマスタシリンダ24に還流させるためのポンプ107を備えている。このポンプ107は、マスタシリンダ24からアキュムレータ105の方向にブレーキオイルが流れない構造(逆流防止機構)を備えている。
モータ108は、ポンプ107を駆動するものであり、ABSコントロールユニット34によって動作が制御されている。
このような構成により、油圧系統においてABS機能が実現されており、具体的には、ABS制御における昇圧モード、保持モード、減圧モードがそれぞれ切り換えて実行される。
図22は、ABS制御における昇圧モード時の油圧系統の状態を示す図である。
図22において、昇圧モード時には、インレットバルブ102およびアウトレットバルブ104が共に非通電状態、即ち、インレットバルブ102が開状態、アウトレットバルブ104が閉状態とされている。
したがって、ブレーキペダル23が踏み込まれることにより発生したマスタシリンダ圧Pmは、ホイールシリンダ26にそのまま伝達される。
図23は、ABS制御における保持モード時の油圧系統の状態を示す図である。
図23において、保持モード時には、インレットバルブ102が通電状態、アウトレットバルブ104が非通電状態、即ち、インレットバルブ102およびアウトレットバルブ104共に閉状態とされている。
したがって、ホイールシリンダ26からブレーキオイルが移動されない状態となり、ホイールシリンダ26における油圧が保持される。
図24は、ABS制御における減圧モード時の油圧系統の状態を示す図である。
図24において、減圧モード時には、インレットバルブ102およびアウトレットバルブ104共に通電状態、即ち、インレットバルブ102が閉状態、アウトレットバルブ104が開状態とされている。
したがって、ホイールシリンダ26からアキュムレータ105にブレーキオイルが流出し、ホイールシリンダ圧Pzzが減少される。
そして、ABS制御時には、車輪のスリップ率λに応じて、増圧モード、保持モードおよび減圧モードが適宜繰り返されることにより、ホイールシリンダ圧Pzzが目標ホイールシリンダ圧Ptに追従される。
図25は、ABS制御時にブレーキ圧が増圧される場合の油圧系統の状態を示す図である。
図25において、ブレーキ圧の増圧時には、昇圧モードと保持モードが繰り返される結果、アウトレットバルブ104が常に閉状態となる一方、インレットバルブ102は、開状態と閉状態とを繰り返している。そして、インレットバルブ102が開状態である間に、ホイールシリンダ圧Pzzが目標ホイールシリンダ圧Ptに近づき、継続時間Δt秒の後、インレットバルブ102が閉状態とされて、ホイールシリンダ圧Pzzは保持される。
このような動作を繰り返す結果、ホイールシリンダ圧Pzzは目標ホイールシリンダ圧Ptに追従することとなる。
図26は、ABS制御時にブレーキ圧が減圧される場合の油圧系統の状態を示す図である。
図26において、ブレーキ圧の減圧時には、減圧モードと保持モードが繰り返される結果、インレットバルブ102が常に閉状態となる一方、アウトレットバルブ104は、開状態と閉状態とを繰り返している。そして、アウトレットバルブ104が開状態である間に、ホイールシリンダ圧Pzzが目標ホイールシリンダ圧Ptに近づき、継続時間Δt秒の後、アウトレットバルブ104が閉状態とされて、ホイールシリンダ圧Pzzは保持される。
このような動作を繰り返す結果、ホイールシリンダ圧Pzzは目標ホイールシリンダ圧Ptに追従することとなる。
なお、図25および図26における時間twは制御周期を表している。また、増圧時にインレットバルブ102を開状態とする継続時間Δtは、マスタシリンダ圧Pmおよびホイールシリンダ圧Pzzによって決まり、減圧時にアウトレットバルブ104を開状態とする継続時間Δtは、ホイールシリンダ圧Pzzによって決まる。
(動作)
自動車1Cの走行中に、運転者がアクセルペダルあるいはブレーキペダルを踏み込み、加減速操作を行ったとする。
すると、その加減速操作による制駆動力が車輪6FR,6FL,6RR,6RLと路面との間に発生し、車両に前後加速度が発生する。
そして、このとき車両に発生する前後方向の加速度により、オフセット角γだけ路面平行面から傾けられた前後加速度センサ4において、出力値Sが検出される。
また、演算ユニット5によって、マスタシリンダ圧Pmからホイールシリンダ圧Pzzが推定され、さらに、ホイールシリンダ圧Pzzから制動トルクtbzzが算出される。
さらに、演算ユニット5によって、車輪速ωzzとエンジントルクteとが取得され、エンジントルクteとギヤ位置情報とから駆動トルクtazzが算出される。
そして、演算ユニット5が、制動トルクtbzzおよび駆動トルクtazzを用いて制駆動力fxを算出し、その制駆動力fxと、前後加速度センサ4の出力値Sとを(1)式に代入し、路面傾斜角θを算出する。
さらに、自動車1Cは、演算ユニット5によって、前後加速度センサ4の出力値S、制駆動力fx、前後加速度センサ4のオフセット角γ、重力加速度gおよび車両質量mとを基に、(11)式に従い、車両の進行方向加速度αを算出する。
以上のように、本実施形態に係る自動車1Cは、水平面とほぼ平行な車体フロア面に対し、設定されたピッチ角γだけ前後に傾けられた前後加速度センサ4によって、車両に作用する前後加速度を検出する。そして、マスタシリンダ圧に基づいて推定した制動トルクおよびエンジントルクとギヤ位置情報とに基づいて推定した駆動トルクを用いて、制駆動力を推定する。さらに、推定した制駆動力と前後加速度センサ4の出力値とを用い、(1)式に従って路面傾斜角θを算出する。
したがって、通常の車両走行状態において、(1)式における分母sinγがゼロとなることを防止しつつ、積分を用いることなく路面傾斜角θを推定するため、路面傾斜角θをより高精度に推定できる。
また、通常、自動車において検出されていることが多いマスタシリンダ圧およびエンジントルクを用いて制駆動力を推定し、推定した制駆動力を用いて路面傾斜角θを推定するため、路面傾斜角θの推定に要するコストをより低いものとすることができる。
さらに、積分を用いることなく進行方向加速度αを推定しているため、積分誤差の蓄積を回避することができ、より正確な推定値を得ることができる。
また、本実施形態に係る自動車1Cは、進行方向加速度αを基に車体速vを推定しているため、路面傾斜による重力の影響を受けることなく、より正確な車体速を推定することができる。
さらに、このように推定した車体速vによってスリップ率λを推定しているため、路面傾斜による重力の影響を受けることなく、より正確なスリップ率を推定することができる。
また、本実施形態に係る自動車1Cは、ナビゲーションを行う上で、ピッチレートセンサを備えることなく、路面傾斜角θを推定できるため、ナビゲーションユニット31を低コストなものとすることができる。
さらに、ピッチレートを積分して路面傾斜角θを推定する方法と異なり、積分を用いることなく路面傾斜角θを推定しているため、より高い精度で路面傾斜角θが推定される。これにより、速度の水平成分Vmの推定精度が向上すると共に、位置座標(x、y)をより正確に推定することができる。
加えて、路面傾斜角の影響を受け難い方法で推定した進行方向加速度αを用いて位置座標(x、y)を推定しているため、より高精度な推定値とすることができる。
また、本実施形態に係る自動車1Cは、ACC制御を行う上で、上記の通り高精度に推定された路面傾斜角θを用いて制駆動力fxの推定および制駆動力制御を行うため、制御のロバスト性を向上させることができる。
さらに、路面傾斜角の影響を受け難い方法で推定された車体速vを用いるため、この点においても、制御のロバスト性を向上させることができる。
また、本実施形態に係る自動車1Cは、ABS制御を行う上で、路面傾斜による重力の影響を受け難い方法で推定したスリップ率λを用いて制御を行うため、ABSの性能を向上させることができる。
なお、本実施形態においては、前後加速度センサ4が前後加速度センサを構成し、油圧計28、エンジンコントロールユニット21、変速機コントロールユニット22および演算ユニット5が制駆動力取得手段を構成し、演算ユニット5が路面傾斜角推定手段を構成する。また、油圧計28がマスタシリンダ圧検出手段を構成し、エンジンコントロールユニット21がエンジントルク取得手段を構成する。さらに、ナビゲーションユニット31、ACCユニット32、負圧コントロールアクチュエータ33、ABSコントロールユニット34および油圧アクチュエータ35が車両制御手段を構成する。また、前後加速度センサ4と、油圧計28、エンジンコントロールユニット21、変速機コントロールユニット22および演算ユニット5とによって、車両制御装置を構成している。
(第3実施形態の効果)
(1)路面平行面に対してピッチ角を有する方向に設置された前後加速度センサによって加速度を検出し、その加速度と、制駆動力取得手段によって取得された制駆動力とから、路面傾斜角推定手段が路面傾斜角を推定する。
したがって、路面傾斜角の算出過程におけるゼロ除算を防ぎつつ、積分を用いることなく路面傾斜角を推定できるため、より高精度に路面傾斜角を推定することができる。
(2)重力による制駆動力成分および検出軸方向の加速度成分を反映した関係式を基に、路面傾斜角を推定するので、より正確に路面傾斜角を推定することができる。
(3)(1)式あるいはその近似式に従って路面傾斜角を推定するため、通常の走行状態においてゼロ除算を発生することなく、路面傾斜角を推定することができる。
(4)前後加速度センサのピッチ角がπ/4[rad]とされているため、ゼロ除算が発生する可能性を少なくし、より正確に路面傾斜角を推定することができる。
(5)マスタシリンダの油圧と、エンジントルクとを用いて、制駆動力を推定し、前後加速度センサによって検出された加速度と、推定した制駆動力とに基づいて、路面傾斜角を推定する。
そのため、自動車に通常備えられるセンサを用いて制駆動力を推定しつつ、路面傾斜角を推定できる。
したがって、より低コストな構成で、路面傾斜角の算出過程におけるゼロ除算を防ぎつつ、積分を用いることなく路面傾斜角を推定でき、より高精度に路面傾斜角を推定することができる。
(6)(16)式に従って制駆動力を推定するため、制駆動トルクと車輪速とから制駆動力を取得することができ、これを用いて、より正確に路面傾斜角を推定することができる。
(7)路面平行面に対してピッチ角を有する方向に設置された前後加速度センサによって加速度を検出し、その加速度と、制駆動力取得手段によって取得された制駆動力とから、路面傾斜角推定手段が路面傾斜角を推定する。そして、このように推定された路面傾斜角を用いて、車両制御手段が車両の制御を行う。
したがって、より高精度に路面傾斜角を推定することができ、また、その推定値を用いて、適切な車両制御を行う自動車とすることができる。
(8)路面平行面に対してピッチ角を有する方向に設置された前後加速度センサによって加速度を検出し、その加速度と、制駆動力取得手段によって取得された制駆動力とから、路面傾斜角を推定する方法としたため、路面傾斜角の算出過程におけるゼロ除算を防ぎつつ、積分を用いることなく路面傾斜角を推定できるため、より高精度に路面傾斜角を推定することができる。
(9)路面平行面に対してピッチ角を有する方向に設置された前後加速度センサによって加速度を検出し、その加速度と、制駆動力取得手段によって取得された制駆動力とから、路面傾斜角推定手段が路面傾斜角を推定する。そして、このように推定された路面傾斜角を用いて、車両制御手段が車両の制御を行う。
したがって、より高精度に路面傾斜角を推定することができ、また、その推定値を用いて、適切な車両制御を行う車両制御装置とすることができる。
第1実施形態に係る自動車1Aの構成を示す概略図である。 制駆動力センサ3FR,3FL,3RR,3RLが設置されるハブユニット10の構成例を示す図である。 前後加速度センサ4の設置状態を示す図である。 路面傾斜角θの定義を示す図である。 前後加速度センサ4に作用する加速度の関係を示す図である。 車両に作用する力を示す図である。 演算ユニット5が実行する制御処理のフローチャートを示す図である。 第2実施形態に係る自動車1Bの構成を示す概略図である。 演算ユニット5が実行する制御処理のフローチャートを示す図である。 第3実施形態に係る自動車1Cの構成を示す図である。 第3実施形態に係る自動車1Cの構成(主としてナビゲーション機能)を示す図である。 第3実施形態に係る自動車1Cの構成(主としてACC機能)を示す図である。 第3実施形態に係る自動車1Cの構成(主としてABS機能)を示す図である。 全体制御処理のフローチャートを示す図である。 演算ユニット5が実行する車体速算出処理のフローチャートを示す図である。 演算ユニット5が実行する位置座標算出処理のフローチャートを示す図である。 x−y座標における進行方向βの定義を示す図である。 路面傾斜角θと水平方向の加速度成分αmとの関係を示す図である。 ACCユニット32が実行するACC制御処理のフローチャートを示す図である。 ABSコントロールユニット34が実行するABS制御処理のフローチャートを示す図である。 自動車1Cにおける油圧系統の具体的構成例を示す図である。 ABS制御における昇圧モード時の油圧系統の状態を示す図である。 ABS制御における保持モード時の油圧系統の状態を示す図である。 ABS制御における減圧モード時の油圧系統の状態を示す図である。 ABS制御時にブレーキ圧が増圧される場合の油圧系統の状態を示す図である。 ABS制御時にブレーキ圧が減圧される場合の油圧系統の状態を示す図である。
符号の説明
1A,1B,1C 自動車、2 車体、3FR,3FL,3RR,3RL 制駆動力センサ、4 前後加速度センサ、5 演算ユニット、6FR,6FL,6RR,6RL 車輪、10 ハブユニット、11 車体側軌道部材、12 車輪側軌道部材、13 転動体、14a〜14d 歪みセンサ、21 エンジンコントロールユニット、22 変速機コントロールユニット、23 ブレーキペダル、24 マスタシリンダ、25 ブレーキディスク、26 ホイールシリンダ、27 油圧配管、28 油圧計、29 車輪速センサ、30 ヨーレートセンサ、31 ナビゲーションユニット、32 ACCユニット、33 負圧コントロールアクチュエータ、34 ABSコントロールユニット、35 油圧アクチュエータ、101 主油圧配管、102 インレットバルブ、103 ABS用流出配管、104 アウトレットバルブ、105 アキュムレータ、106 還流用油圧配管、107 モータ、108 ポンプ

Claims (10)

  1. 路面平行面に対して検出軸がピッチ角を有する状態で車体に設置された前後加速度センサと、
    路面と車輪との間に発生する制駆動力を取得する制駆動力取得手段と、
    前記前後加速度センサによって検出された検出軸方向の加速度と、前記制駆動力取得手段によって取得された制駆動力とに基づいて、路面傾斜角を推定する路面傾斜角推定手段と、
    を備えることを特徴とする路面傾斜角推定装置。
  2. 前記路面傾斜角推定手段は、重力による制駆動力成分と、前記検出軸方向の加速度成分とを含む関係式に従って、前記路面傾斜角を推定することを特徴とする請求項1記載の路面傾斜角推定装置。
  3. 前記路面傾斜角推定手段は、次式あるいはその近似式に従って、前記路面傾斜角を推定することを特徴とする請求項1または2記載の路面傾斜角推定装置。
    θ=cos-1((S−fx/m・cosγ)/(−g・sinγ))
    ただし、Sは前後加速度センサの出力値、fxは各車輪における制駆動力の合計値、mは車両の質量、γは前後加速度センサのピッチ角、gは重力加速度である。
  4. 前記制駆動力取得手段は、各車輪において路面との間で発生した力の作用を検出する制駆動力センサによって構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の路面傾斜角推定装置。
  5. ブレーキ踏力を油圧に変換するマスタシリンダにおける油圧を検出するマスタシリンダ圧検出手段と、
    エンジンが発生するトルクを取得するエンジントルク取得手段とを備え、
    前記制駆動力取得手段は、前記マスタシリンダ圧検出手段によって検出された油圧と、前記エンジントルク取得手段によって検出されたエンジンのトルクとを用いて、前記制駆動力を推定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の路面傾斜角推定装置。
  6. 前記制駆動力取得手段は、次式に従って、前記制駆動力を推定することを特徴とする請求項5記載の路面傾斜角推定装置。
    fx=(t−I・dω/dt)/R
    ただし、tは制駆動トルク(駆動時を正とする)、ωは車輪の回転速度、Iは車輪の回転に関する慣性モーメント、Rは車輪の半径である。
  7. 前記前後加速度センサは、前記ピッチ角をπ/4[rad]とされていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の路面傾斜角推定装置。
  8. 車体と、
    車体に設置された複数の車輪と、
    路面平行面に対して検出軸がピッチ角を有する状態で前記車体に設置された前後加速度センサと、
    路面と車輪との間に発生する制駆動力を取得する制駆動力取得手段と、
    前記前後加速度センサによって検出された検出軸方向の加速度と、前記制駆動力取得手段によって取得された制駆動力とに基づいて、路面傾斜角を推定する路面傾斜角推定手段と、
    前記路面傾斜角推定手段によって推定された路面傾斜角を用いて、車両の制御を行う車両制御手段と、
    を備えることを特徴とする自動車。
  9. 路面平行面に対して検出軸がピッチ角を有する状態で車体に設置された前後加速度センサによって検出軸方向の加速度を検出し、その検出軸方向の加速度と、路面と車輪との間に発生する制駆動力とに基づいて、車両が走行している路面の傾斜角を推定することを特徴とする路面傾斜角推定方法。
  10. 路面平行面に対して検出軸がピッチ角を有する状態で車体に設置された前後加速度センサと、
    路面と車輪との間に発生する制駆動力を取得する制駆動力取得手段と、
    前記前後加速度センサによって検出された検出軸方向の加速度と、前記制駆動力取得手段によって取得された制駆動力とに基づいて、路面傾斜角を推定する路面傾斜角推定手段と、
    前記路面傾斜角推定手段によって推定された路面傾斜角を用いて、車両の制御を行う車両制御手段と、
    を備えることを特徴とする車両制御装置。
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