JP2009004421A - 半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】格子不整合の小さいエンハンスメント型特性を有する半導体装置を提供すること。
【解決手段】基板と、前記基板上に設けられた半導体層とを備え、前記半導体層は、前記基板上に設けられ、Ga面成長した、組成AlGa1−xN(0<x≦1)またはInGa1−yN(0<y≦1)を有するバッファ層と、前記バッファ層上に設けられ、前記バッファ層の組成と異なる組成、In1−z−tAlGaN(0<z≦1,0≦t<1)を有する障壁層と、を備えることを特徴とする半導体装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体装置に関する。より詳細には、III族窒化物半導体からなり、ヘテロ接合を有する半導体装置に関する。
図8は、従来のヘテロ接合電界効果トランジスタ(以下、HJFET)のゲート電極下の半導体構造を模式的に示した図である。このようなHJFETは、例えば、非特許文献1(テクニカル・ダイジェスト・オブ・インターナショナル・エレクトロン・デバイス・ミーティング(Technical Digest of International Electron Device Meeting)、安藤(Y.Ando)、第381−384頁、2001年)に報告されている。この構造においては、GaNバッファ層101の上に同一組成のGaNチャネル層102があり、その上にAlGaN障壁層103が配置されている。GaNチャネル層102には自発分極Psp102が発生している。AlGaN障壁層103はGaNと比較して格子定数が小さいため、ピエゾ分極Ppz103が自発分極Psp103と同じ方向に発生している。アンバシャー(O.Ambacher)らによる非特許文献2(ジャーナル・オブ・フィジクス(Journal of Physics)、第14巻、第3399−3434頁、2002年)、によれば、AlGaN障壁層103とGaNチャネル層102の界面に生じる電荷密度σは、以下の式(1)で表される。
σ=Psp103−Psp102+Ppz103・・・・・・・(1)
従来技術においてはAlGaNの格子定数は必ずGaNの格子定数より小さいため、Ga面成長を行った場合Psp103とPpz103は必ず同一符号であり、界面に負の電荷として二次元電子ガス105が発生する。このため、このようなヘテロ接合を用いて電界効果トランジスタを構成すると、ゲートに負のバイアスをかけない状態ではゲート下にキャリアが存在するため、エンハンスメント型のデバイスを作製するのが困難であった。
特許文献1(特開2000−223697)には、基板に接して、少なくとも1層のGaNを含む構造からなるバッファ層、チャネル層、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極を有すヘテロ接合電界効果トランジスタが記載されている。特許文献1において、バッファ層には、GaNが使用される。障壁層としては、InAlGaNが用いられ、これにより、障壁層の格子定数を、バッファ層のGaNより大きくすることも、小さくすることも可能になる。この技術を応用すれば、障壁層の格子定数をGaNより大きくすることで、自発分極を打ち消す方向にピエゾ分極を発生させることができる。図9は、このような半導体構造を模式的に示したものである。この構造において、GaNバッファ層101の上に、このGaNバッファ層101と同一組成のGaNチャネル層102が設けられ、このGaNチャネル層102の上にInAlGaN障壁層104が配置されている。
図10は、このような半導体構造において、障壁層をInAlNとした場合の障壁層のAl組成と分極電荷密度σと、障壁層とGaNバッファ層との格子不整合(%)との関係を示したものである。電荷密度σは、各層の自発分極の差分(Psp104−Psp102)と障壁層のピエゾ分極(Ppz104)の和である。したがって、電荷密度σは、以下の式(2)で表される。
σ=Psp104−Psp102+Ppz104・・・・・・・(2)
InAlNは、Al組成0.83においてGaNと格子整合するため、この組成を境に、Ppz104の極性が反転する。この組成では自発分極により界面に負電荷が生じているが、更にAl組成を減じるとPpz104の増加により自発分極が打ち消され、Al組成0.7において電荷密度σはゼロになる。
この組成よりAlを減じた半導体構造により、エンハンスメント型の特性を実現できる。
その他の従来の半導体装置としては、例えば、特許文献2に記載されたものがある。同文献には、GaNバッファ層と、第一のAlGaN層と、GaNあるいはInGaNとGaNを組み合わせたチャネル層と、第二のAlGaN層とが基板上に順次形成された構造を有する半導体装置が記載されている。
特許文献3には、半導体基板と、この半導体基板上に形成されたバッファ層、このバッファ層よりも上層に形成されたチャネル層とを備える半導体装置が記載されている。同文献において、バッファ層にはAlGaNが使用され、障壁層には、AlGaNが使用される。
特許文献4には、基板上に積層されたアンドープAlN層と、このアンドープAlN層上に積層されたSiドープn型AlN層と、このSiドープn型AlN層上に、高濃度Siドープn型AlN層を介して形成されたオーミック電極と、このSiドープn型AlN層上に形成されたショットキー電極とを備えるショットキーダイオードが記載されている。
特開2000−223697号公報 特開2001−196575号公報 特開2001−326232号公報 特開2006−278570号公報 テクニカル・ダイジェスト・オブ・インターナショナル・エレクトロン・デバイス・ミーティング(Technical Digest of International Electron Device Meeting)、安藤(Y.Ando)、第381−384頁、2001年 ジャーナル・オブ・フィジクス(Journal of Physics)、第14巻、第3399−3434頁、2002年
上記の従来の半導体構造によりエンハンスメント型特性を実現しようとすると、障壁層の組成をバッファ層に格子整合する条件から大きくずらす必要が生じる。図10に示した例では、障壁層の電荷密度がゼロになる場合の格子不整合は1.6%以上である。この様に大きな格子不整合条件では、GaNバッファ上に成長できる臨界膜厚は6nmであり、障壁層として十分な膜厚を確保するのが困難であった。
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、格子不整合の小さいエンハンスメント型特性を有する半導体装置を提供するものである。
上記課題を解決する本発明によれば、基板と、前記基板上に設けられた半導体層とを備え、前記半導体層は、前記基板上に設けられ、Ga面成長した、組成AlGa1−xN(0<x≦1)またはInGa1−yN(0<y≦1)を有するバッファ層と、前記バッファ層上に設けられ、前記バッファ層の組成と異なる組成、In1−z−tAlGaN(0<z≦1,0≦t<1)を有する障壁層と、を備えることを特徴とする半導体装置が提供される。
この半導体装置においては、バッファ層としてInGaNまたはAlGaNが用いられ、障壁層としてInAlGaNが用いられる。これにより、障壁層とバッファ層の界面の、障壁層側に発生する電荷密度がゼロとなる組成と、障壁層とバッファ層とが格子整合する組成を近づけることができ、障壁層とバッファ層との格子不整合を低減できる。このため、格子不整合の小さいエンハンスメント型特性を有する半導体装置が実現される。
また、本発明によれば、基板と、前記基板上に設けられた半導体層とを備え、前記半導体層は、前記基板上に設けられた、組成AlGa1−xN(0<x≦1)またはInGa1−yN(0<y≦1)を有するバッファ層と、前記バッファ層上に設けられ、前記バッファ層の組成と異なる組成、In1−zAlN層(0<z≦1)を有する障壁層と、を備えることを特徴とする半導体装置が提供される。
この半導体装置においては、バッファ層としてInGaNまたはAlGaNが用いられ、障壁層としてはInAlNが用いられる。これにより、障壁層とバッファ層の界面の障壁層側に発生する電荷密度がゼロとなる組成と、障壁層とバッファ層とが格子整合する組成を近づけることができ、障壁層とバッファ層との格子不整合を低減できる。このため、格子不整合の小さいエンハンスメント型特性を有する半導体装置が実現される。
本発明によれば、格子不整合の小さいエンハンスメント型特性を有する半導体装置が実現される。
図面を参照しつつ、本発明の半導体装置について以下に詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
以下、本発明の実施形態に即して発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1〜3を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る半導体装置の断面構造を示す。この半導体装置は、ヘテロ接合電界効果トランジスタ(HJFET)であり、基板10と、この基板10上に設けられた半導体層とを備え、この半導体層は、基板10上に設けられた、組成InGa1−yN(0<y≦1)を有するバッファ層11と、このバッファ層11上に設けられ、バッファ層11と異なる組成、In1−z−tAlGaN(0<z≦1,0≦t<1)を有する障壁層13とを備える。
本実施形態において、このHJFETはSiCなどの基板10上に形成される。基板10上にはInGa1−yNバッファ層11が形成されている。このバッファ層11上に同一組成のInGa1−yNチャネル層12が形成されている。チャネル層の上にIn1−zAlN障壁層13が形成され、この障壁層13に接してソース電極1とドレイン電極3が形成され、いずれも、障壁層13とオーム性接触がとられている。ソース電極1とドレイン電極3の間の障壁層13に接してショットキー接触したゲート電極2が形成されている。ソース電極1およびドレイン電極3の直下からゲート電極2の近傍にかけて、表面から障壁層13とチャネル層12の境界を越える形でn型領域21が形成されている。In1−zAlN障壁層13の組成はピエゾ分極により自発分極を打ち消すように決定され、この結果ゲート電極2の直下に二次元電子ガスが発生しないため、エンハンス型の特性が実現されている。
In1−zAlN障壁層の組成は以下のように決定される。
非特許文献2によれば、InAlN、InGaN、AlGaNの格子定数aおよび自発分極Pspはそれぞれ、
a(AlGa1−xN)=3.1986−0.0891x Å・・・・(3)
a(InGa1−yN)=3.1986+0.3862y Å・・・・(4)
a(In1−zAlN)=3.5848−0.4753z Å・・・・(5)
Psp(AlGa1−xN)=−0.090x−0.031(1−x)+0.021x(1−x)Cm−2・・・・(6)
Psp(InGa1−yN)=−0.042y−0.034(1−y)+0.037y(1−y)Cm−2・・・・(7)
Psp(In1−zAlN)=−0.090z−0.042(1−z)+0.070z(1−z)Cm−2・・・・(8)
また、バッファ層に対してεの歪がある時、AlN、GaN、InNのピエゾ分極は、以下のように表される。
Ppz(AlN)=−1.808ε+5.624εCm−2ε<0 ・・・・(9)
Ppz(AlN)=−1.808ε−7.888ε Cm−2ε>0 ・・・・(10)
Ppz(GaN)=−0.918ε+9.541εCm−2 ・・・・(11)
Ppz(InN)=−1.373ε+7.559εCm−2 ・・・・(12)
ここでεは、バッファ層の格子定数をabuffer、障壁層の格子定数をaesとすると、
ε=(abuffer−aes)/aes ・・・・(13)
である。
また、バッファ層に対する歪がεであるIn1−zAlNのピエゾ分極は、
Ppz(In1−zAlN)=zPpz(AlN)+(1−z)Ppz(InN) ・・・・(14)
と表せるから、本発明ではabuffer<aesであるので、ε<0であり、(9)、(12)式より
Ppz(In1−zAlN)=−1.373ε+7.559ε−(0.435ε+1.935ε)zCm−2ε<0 ・・・・(15)
ここでバッファ層がInGa1−yNの場合の歪は、(4)、(5)、(13)式より、
ε(In1−zAlN/InGa1−yN)=(0.3862y+0.4753z−0.3862)/(3.5848−0.4753z)・・・・(17)
である。
また、この構造において自発分極を起源とする界面電荷は、(7)、(8)式より、
Psp(In1−zAlN/InGa1−yN)=Psp(In1−zAlN)−Psp(InGa1−yN)=−0.076−z(0.118+0.070z)+y(0.029−0.037y)・・・・(18)
In1−zAlN障壁層とInGa1−yNバッファ層の界面の、この障壁層側に発生する電荷密度σは、
σ(In1−zAlN/InGa1−yN)=Ppz(In1−zAlN/InGa1−yN)+Psp(In1−zAlN/InGa1−zN)・・・・(19)
であり、この値を0以上とすることでエンハンス型の特性を実現する。
すなわち、以下の式(19')を満たすことにより、エンハンス型の特性が得られる。
−1.373ε+7.559ε−(0.435ε+1.935ε)z−0.076−z(0.118+0.070z)+y(0.029−0.037y)>0
(ただしε=(0.3862y+0.4753z−0.3862)/(3.5848−0.4753z)) ・・・・(19')
y=0.2の場合のこの関係を示したのが図2である。また、先に示した図10は、y=0の場合のこの関係を示したものである。図2によれば、In0.2Ga0.8Nに対して分極電荷がゼロとなるIn1−zAlNのAl組成は0.57であり、この時の格子不整合は1.28%である。これにより成長可能な膜厚は10nmとなり、障壁層として十分な厚みが得られる。
図3はInGaNバッファ層のIn組成と、InAlN障壁層の分極電荷がゼロとなる組成における格子不整合の関係を示したものである。バッファ層11のIn組成を増やすことで、障壁層13とバッファ層11の格子不整合が解消されることを示している。
上記のHJFETは以下のように形成される。まず絶縁性SiCからなる基板10上に、例えば分子線エピタキシ(Molecular Beam Epitaxy:MBE)成長法によって半導体層を成長させる。このようにして形成した半導体層は、基板側から順に、アンドープIn0.2Ga0.8Nバッファ層11(膜厚1.5μm)、アンドープのIn0.2Ga0.8Nチャネル層12(膜厚0.5μm)、アンドープIn0.43Al0.57Nからなる障壁層13(膜厚10nm)である。
次いで、エピタキシャル層構造の一部をInGaNチャネル層12が露出するまでエッチング除去することにより、素子間分離メサを形成する。続いて総ドーズ量2×1014cm−2のSiイオンを注入しn型領域21を形成する。続いてInAlN障壁層13上に、例えばTi/Alなどの金属を蒸着することにより、ソース電極1およびドレイン電極3を形成し、650℃でアニールを行うことによりオーム性接触を取る。InAlN障壁層13上に例えばNi/Auなどの金属を蒸着して、ショットキー接触のゲート電極2を形成する。このようにして図1に示したHJFETを作製する。
本実施形態は電極形成前に半導体層を加工しないプレーナ構造としているが、ソース電極1とドレイン電極3との間の半導体層の一部を除去し、露出した面上にゲートを形成するリセス構造としてもよい。また、ソース電極1およびドレイン電極3を障壁層13の上に形成しているが、コンタクト抵抗を低減するためのキャップ層(図示せず)を介してソース電極1およびドレイン電極3を形成しても良い。
(第2の実施形態)
図4を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。
図4は、本実施形態に係る半導体装置の断面図を示す。この半導体装置は、ヘテロ接合電界効果トランジスタ(HJFET)であり、基板10と、この基板10上に設けられた半導体層とを備え、この半導体層は、基板10上に設けられた、組成AlGa1−xN(0<x≦1)有するバッファ層14と、このバッファ層14上に設けられ、バッファ層14と異なる組成、In1−z−tAlGaN(0<z≦1,0≦t<1)を有する障壁層13とを備える。
本実施形態において、このHJFETはSiCなどの基板10上に形成される。基板10上にはAlGa1−xNバッファ層14が形成されている。このバッファ層14上に同一組成のAlGa1−xNチャネル層15が形成されている。チャネル層の上にIn1−zAlN障壁層13が形成され、この障壁層13に接してソース電極1とドレイン電極3が形成され、いずれも障壁層13とオーム性接触がとられている。ソース電極1とドレイン電極3の間の障壁層13に接してショットキー接触したゲート電極2が形成されている。ソース電極1およびドレイン電極3の直下からゲート電極2の近傍にかけて、表面から障壁層13とチャネル層12の境界を越える形でn型領域21が形成されている。In1−zAlN障壁層13の組成はピエゾ分極により自発分極を打ち消すように決定され、この結果ゲート電極2の直下に二次元電子ガスが発生しないため、エンハンス型の特性が実現されている。
In1−zAlN障壁層の組成は以下のように決定される。
この構造において、バッファ層に対する歪がεであるIn1−zAlNのピエゾ分極は(15)式で表される。
ここでバッファ層がAlGa1−xNの場合の歪は、(3)、(5)、(13)式より、
ε(In1−zAlN/AlGa1−xN)=(−0.0891x+0.4753z−0.3862)/(3.5848−0.4753z)・・・・(20)
である。
また、この構造において自発分極を起源とする界面電荷は、(6)、(8)式より、
Psp(In1−zAlN/AlGa1−xN)=Psp(In1−zAlN)−Psp(AlGa1−xN)=−0.011+z(0.022−0.070z)+x(0.038+0.021y)・・・・(21)
In1−zAlN障壁層とAlGa1−xNバッファ層の界面の、この障壁層側に発生する電荷密度σは、
σ(In1−zAlN/AlGa1−xN)=Ppz(In1−zAlN/AlGa1−xN)+Psp(In1−zAlN/AlGa1−xN)・・・・(22)
であり、この値を0以上とすることでエンハンス型の特性を実現する。
すなわち、以下の式(22')を満たすことにより、エンハンス型の特性が得られる。
−1.373ε+7.559ε−(0.435ε+1.935ε)z−0.011+z(0.022−0.070z)+x(0.038+0.021x)>0
(ただしε=(−0.0891x+0.4753z−0.3862)/(3.5848−0.4753z)) ・・・・(22')
x=0.2とすると。In1−zAlN障壁層13の分極電荷がゼロになるAl組成は0.77であり、この時の格子不整合は1.33%である。これにより成長可能な膜厚は10nmとなり、障壁層として十分な厚みが得られる。
本実施形態は電極形成前に半導体層を加工しないプレーナ構造としているが、ソース電極1とドレイン電極3との間の半導体層の一部を除去し、露出した面上にゲート電極2を形成するリセス構造としてもよい。また、ソース電極1およびドレイン電極3を障壁層13の上に形成しているが、コンタクト抵抗を低減するためのキャップ層(図示せず)を介してソース電極1およびドレイン電極3を形成しても良い。
(第3の実施形態)
図5を参照して本発明の第3の実施形態を説明する。
図5は、本実施形態に係るHJFETの断面構造を示す。このHJFETはSiCなどの基板10上に形成される。基板10上にはInGa1−yNバッファ層11が形成されている。このバッファ層11上に同一組成のInGa1−yNチャネル層12が形成されている。チャネル層12の上にIn1−zAlN障壁層13が形成され、この障壁層13に接してソース電極1とドレイン電極3が形成され、いずれもオーム性接触がとられている。障壁層13に接して保護膜31が形成されており、ソース電極1とドレイン電極3の間の保護膜31の一部が除去され、露出した障壁層13に接してショットキー接触のゲート電極2およびゲート電極と一体で保護膜31上に庇状に乗り上げたフィールドプレート5が形成されている。ソース電極1およびドレイン電極3の直下からゲート電極2の近傍にかけて、表面から障壁層13とチャネル層12の境界を越える形でn型領域21が形成されている。In1−zAlN障壁層13の組成はピエゾ分極により自発分極を打ち消すように決定され、この結果ゲート電極2の直下に二次元電子ガスが発生しないため、エンハンス型の特性が実現されている。
上記のHJFETは以下のように形成される。まず絶縁性SiCからなる基板10上に、例えば分子線エピタキシ(Molecular Beam Epitaxy:MBE)成長法によって半導体を成長させる。このようにして形成した半導体層は、基板側から順に、アンドープIn0.2Ga0.8Nバッファ層11(膜厚1.5μm)、アンドープのIn0.2Ga0.8Nチャネル層12(膜厚0.5μm)、アンドープIn0.43Al0.57Nからなる障壁層13(膜厚10nm)である。
次いで、エピタキシャル層構造の一部をInGaNチャネル層12が露出するまでエッチング除去することにより、素子間分離メサを形成する。続いて総ドーズ量2×1014cm−2のSiイオンを注入しn型領域21を形成する。続いてInAlN障壁層13上に、例えばTi/Alなどの金属を蒸着することにより、ソース電極1およびドレイン電極3を形成し、650℃でアニールを行うことによりオーム性接触を取る。InAlN障壁層13上に例えばプラズマCVD法によりSiNなどの絶縁膜を保護膜31として形成する。ソース電極1とドレイン電極3との間の保護膜31を一部ドライエッチングなどを用いて開口し、障壁層13を露出させた後に、例えばNi/Auなどの金属を蒸着して、ショットキー接触のゲート電極2と保護膜31上にドレイン電極3側に庇状に伸びたフィールドプレート5を形成する。このようにして図5に示したHJFETを作製する。
本実施形態ではフィールドプレートの働きにより、ゲート耐圧の改善と電流コラプスの抑制が両立でき、高電圧におけるスイッチング動作に適した特性を実現できる。
本実施形態ではバッファ層をInGaNとしているが、第2の実施形態で示したようにバッファ層およびチャネル層をAlGaNとしても同様の効果が得られる。
本実施形態は電極形成前に半導体層を加工しないプレーナ構造としているが、ソース電極1とドレイン電極3との間の半導体層の一部を除去し、露出した面上にゲート電極2を形成するリセス構造としてもよい。また、ソース電極1およびドレイン電極3を障壁層13の上に形成しているが、コンタクト抵抗を低減するためのキャップ層(図示せず)を介してソース電極1およびドレイン電極3を形成しても良い。
(第4の実施形態)
図6を参照して本発明の第4の実施形態を説明する。
図6は、本実施形態に係るHJFETの断面構造を示す。このHJFETはSiCなどの基板10上に形成される。基板10上にはInGa1−yNバッファ層11が形成されている。このバッファ層11上に同一組成のInGa1−yNチャネル層12が形成されている。チャネル層の上にIn1−zAlN障壁層13が形成され、この障壁層13に接してソース電極1とドレイン電極3が形成され、いずれもオーム性接触がとられている。障壁層13に接してゲート絶縁膜32が形成されており、ソース電極1とドレイン電極3の間のゲート絶縁膜32に接して金属−絶縁膜−半導体(MIS)構造を有するゲート電極2が形成されている。ソース電極1およびドレイン電極3の直下からゲート電極2の近傍にかけて、表面から障壁層13とチャネル層12の境界を越える形でn型領域21が形成されている。In1−zAlN障壁層13の組成はピエゾ分極により自発分極を打ち消すように決定され、この結果ゲート電極2の直下に二次元電子ガスが発生しないため、エンハンス型の特性が実現されている。
上記のHJFETは以下のように形成される。まず絶縁性SiCからなる基板10上に、例えば分子線エピタキシ(Molecular Beam Epitaxy:MBE)成長法によって半導体を成長させる。このようにして形成した半導体層は、基板側から順に、アンドープIn0.2Ga0.8Nバッファ層11(膜厚1.5μm)、アンドープのIn0.2Ga0.8Nチャネル層12(膜厚0.5μm)、アンドープIn0.43Al0.57Nからなる障壁層13(膜厚10nm)である。
次いで、エピタキシャル層構造の一部をInGaNチャネル層12が露出するまでエッチング除去することにより、素子間分離メサを形成する。続いて総ドーズ量2×1014cm−2のSiイオンを注入しn型領域21を形成する。続いてInAlN障壁層13上に、例えばTi/Alなどの金属を蒸着することにより、ソース電極1およびドレイン電極3を形成し、650℃でアニールを行うことによりオーム性接触を取る。InAlN障壁層13上に例えばプラズマCVD法によりSiNなどの絶縁膜をゲート絶縁膜32として形成する。その上に、例えばNi/Auなどの金属を蒸着して、MIS構造のゲート電極2を形成する。このようにして図6に示したHJFETを作製する。
本実施形態ではゲート電極2をMIS構造としているため、ゲート−ドレイン間の逆方向ゲート電流を抑制し、高電圧動作を実現できる。
本実施形態ではバッファ層11をInGaNとしているが、第2の実施形態で示したようにバッファ層及びチャネル層をAlGaNとしても同様の効果が得られる。
本実施形態は電極形成前に半導体層を加工しないプレーナ構造としているが、ソース電極1とドレイン電極3との間の半導体層の一部を除去し、露出した面上にゲート絶縁膜32を形成するリセス構造としてもよい。また、ソース電極およびドレイン電極を障壁層13の上に形成しているが、コンタクト抵抗を低減するためのキャップ層(図示せず)を介してソース電極1およびドレイン電極3を形成しても良い。
(第5の実施形態)
図7を参照して本発明の第5の実施形態を説明する。
図7は、本実施形態に係るHJFETの断面構造を示す。このHJFETはSiCなどの基板10上に形成される。基板10上にはInGa1−yNバッファ層11が形成されている。このバッファ層11上に同一組成のInGa1−yNチャネル層12が形成されている。チャネル層の上にIn1−zAlN障壁層13が形成され、この障壁層13に接してソース電極1とドレイン電極3が形成され、いずれもオーム性接触がとられている。障壁層13に接して保護膜31が形成されており、ソース電極1とドレイン電極3の間の保護膜31を除去し、露出した障壁層13に接してゲート絶縁膜32が形成されている。障壁層13とゲート絶縁膜32が接した部分の上部にMIS構造を有するゲート電極2と、ゲート電極2と一体でゲート絶縁膜32に接してドレイン電極3側に伸びた庇状のフィールドプレート5が形成されている。ソース電極1およびドレイン電極3の直下からゲート電極2の近傍にかけて、表面から障壁層13とチャネル層12の境界を越える形でn型領域21が形成されている。In1−zAlN障壁層13の組成はピエゾ分極により自発分極を打ち消すように決定され、この結果ゲート電極2の直下に二次元電子ガスが発生しないため、エンハンス型の特性が実現されている。
上記のHJFETは以下のように形成される。まず絶縁性SiCからなる基板10上に、例えば分子線エピタキシ(Molecular Beam Epitaxy:MBE)成長法によって半導体を成長させる。このようにして形成した半導体層は、基板側から順に、アンドープIn0.2Ga0.8Nバッファ層11(膜厚1.5μm)、アンドープのIn0.2Ga0.8Nチャネル層12(膜厚0.5μm)、アンドープIn0.43Al0.57Nからなる障壁層13(膜厚10nm)である。
次いで、エピタキシャル層構造の一部をInGaNチャネル層12が露出するまでエッチング除去することにより、素子間分離メサを形成する。続いて総ドーズ量2×1014cm−2のSiイオンを注入しn型領域21を形成する。続いてInAlN障壁層13上に、例えばTi/Alなどの金属を蒸着することにより、ソース電極1およびドレイン電極3を形成し、650℃でアニールを行うことによりオーム性接触を取る。InAlN障壁層13上に例えばプラズマCVD法によりSiNなどの絶縁膜を保護膜31として形成する。ソース電極1とドレイン電極3との間の保護膜31の一部を除去して障壁層13を露出させ、障壁層13と接して例えばプラズマCVD法を用いてSiNなどの絶縁膜をゲート絶縁膜32として形成する。その上に、例えばNi/Auなどの金属を蒸着して、MIS構造のゲート電極2と、ゲート電極と一体でドレイン電極3側に伸びた庇状のフィールドプレート5を形成する。このようにして図7に示したHJFETを作製する。
本実施形態ではゲート電極2をMIS構造としているため、ゲート−ドレイン間の逆方向ゲート電流を抑制し、高電圧動作を実現でき、更にフィールドプレート5を適用することにより電流コラプス抑制の効果があるため、高電圧動作するスイッチングデバイスに適した特性が実現される。
本実施形態ではバッファ層11をInGaNとしているが、第2の実施形態で示したようにバッファ層及びチャネル層をAlGaNとしても同様の効果が得られる。
本実施形態は電極形成前に半導体層を加工しないプレーナ構造としているが、ソース電極1とドレイン電極3との間の半導体層の一部を除去し、露出した面上にゲート絶縁膜32を形成するリセス構造としてもよい。また、ソース電極1およびドレイン電極3を障壁層13の上に形成しているが、コンタクト抵抗を低減するためのキャップ層を介してソース電極1およびドレイン電極3を形成しても良い。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
第1の実施形態に係るトランジスタの構造を示す図である。 第1の実施形態に係る障壁層の組成と、障壁層−チャネル界面に発生する電荷およびバッファ層との格子不整合の関係を示す図である。 第1の実施形態に係るバッファ層の組成と、界面電荷が発生しない障壁層の組成における格子不整合の関係を示す図である。 第2の実施形態に係るトランジスタの構造を示す図である。 第3の実施形態に係るトランジスタの構造を示す図である。 第4の実施形態に係るトランジスタの構造を示す図である。 第5の実施形態に係るトランジスタの構造を示す図である。 従来技術1によるトランジスタのゲート下の構造を示す模式図である。 従来技術2によるトランジスタのゲート下の構造を示す模式図である。 従来技術2によるトランジスタのバッファ層の組成と、界面電荷が発生しない障壁層の組成における格子不整合の関係を示す図である。
符号の説明
1 ソース電極
2 ゲート電極
3 ドレイン電極
5 フィールドプレート
10 基板
11 InGaNバッファ層
12 InGaNチャネル層
13 InAlN障壁層
14 AlGaNバッファ層
15 AlGaNチャネル層
21 n型領域
31 保護膜
32 ゲート絶縁膜
101 GaNバッファ層
102 GaNチャネル層
103 AlGaN障壁層
104 InAlGaN障壁層
105 二次元電子ガス

Claims (9)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられた半導体層とを備え、
    前記半導体層は、
    前記基板上に設けられ、Ga面成長した、組成AlGa1−xN(0<x≦1)またはInGa1−yN(0<y≦1)を有するバッファ層と、
    前記バッファ層上に設けられ、前記バッファ層の組成と異なる組成、In1−z−tAlGaN(0<z≦1,0≦t<1)を有する障壁層と、
    を備えることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記障壁層において、自発分極とピエゾ分極の極性が反対方向であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記障壁層において、自発分極がピエゾ分極で打ち消されることで前記障壁層と前記バッファ層の界面の、前記障壁層側に発生する電荷密度がゼロまたは負となり、前記障壁層と前記バッファ層の界面に二次元電子ガスが発生しないことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  4. 基板と、
    前記基板上に設けられた半導体層とを備え、
    前記半導体層は、
    前記基板上に設けられた、組成AlGa1−xN(0<x≦1)またはInGa1−yN(0<y≦1)を有するバッファ層と、
    前記バッファ層上に設けられ、前記バッファ層の組成と異なる組成、In1−zAlN層(0<z≦1)を有する障壁層と、
    を備えることを特徴とする半導体装置。
  5. 前記障壁層において、自発分極がピエゾ分極で打ち消されることで前記障壁層と前記バッファ層の界面の、前記障壁層側に発生する電荷密度がゼロまたは負となり、前記障壁層と前記バッファ層の界面に二次元電子ガスが発生しないことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
  6. 前記バッファ層の組成がAlGa1−xN(0<x≦1)であり、前記障壁層の前記バッファ層に対する歪がεである場合、
    −1.373ε+7.559ε−(0.435ε+1.935ε)z−0.011+z(0.022−0.070z)+x(0.038+0.021x)>0(ただしε=(−0.0891x+0.4753z−0.3862)/(3.5848−0.4753z))、
    であることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
  7. 前記バッファ層の組成がInGa1−yN(0<y≦1)であり、前記障壁層の前記バッファ層に対する歪がεである場合、
    −1.373ε+7.559ε−(0.435ε+1.935ε)z−0.076−z(0.118+0.070z)+y(0.029−0.037y)>0(ただしε=(0.3862y+0.4753z−0.3862)/(3.5848−0.4753z))、
    であることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
  8. 前記半導体層上に設けられた、ソース電極と、ドレイン電極と、ゲート電極をさらに備え、
    前記ゲート電極は前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に設けられ、
    前記ソース電極およびドレイン電極は前記半導体層とオーム性接触し、
    前記ゲート電極は前記半導体層とショットキー性接触しているか、または前記ゲート電極はMIS構造を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体装置。
  9. 前記ソース電極およびドレイン電極と、前記半導体層との間に、コンタクト抵抗を低減するためのキャップ層をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
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