以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施の形態における部品実装装置の斜視図、図2は本発明の一実施の形態における部品実装装置の側面図、図3は本発明の一実施の形態における部品供給装置の手差しトレイの斜視図、図4は本発明の一実施の形態における部品供給装置の手差しトレイの側面図、図5は本発明の一実施の形態における部品実装装置の手差しトレイの平面図、図6(a),(b)は本発明の一実施の形態における部品実装装置の手差しトレイの部分側面図、図7は本発明の一実施の形態における部品実装装置の手差しトレイの平面図、図8(a),(b),(c)は本発明の一実施の形態における部品実装装置の手差しトレイの部分側面図、図9は本発明の一実施の形態における部品実装装置の制御系等を示すブロック図、図10は本発明の一実施の形態における部品実装装置が備える表示パネルの表示部の一例を示す図、図11は本発明の一実施の形態における部品実装装置が備える空きスペース検出手段の構成を示す図である。
図1及び図2において、部品実装装置1は、基台2上に基板3の搬送と基台2上の所定位置への位置決めを行う基板搬送路4を有しており、基台2の上方には下方に延びた複数のノズル5aを備えた移載ヘッド5を備えている。移載ヘッド5は基板搬送路4の延びる方向(X軸方向)と直交する水平面内の方向(Y軸方向)延び、X軸方向に対向して設け
られた一対のY軸テーブル6a、両端部が一対のY軸テーブル6aに支持されてX軸方向に延びて設けられたX軸テーブル6b、X軸テーブル6bに沿ってX軸方向に移動自在に設けられて移載ヘッド5を保持する移動ステージ6cから成る移載ヘッド移動機構6によって基板搬送路4により位置決めされた基板3に対して相対移動自在になっている。基板搬送路4の側方領域の一方側には複数のテープフィーダ7が着脱自在に設けられており、基板搬送路4の側方領域の他方側には手差しトレイ8が着脱自在に設けられている。
基台2の上方領域は固定カバー9aによって覆われており、基台2に取り付けられた状態のテープフィーダ7及び手差しトレイ8の直上領域は固定カバー9aに対して開閉自在(図2中に示す矢印A)な可動カバー9bによって覆われている。
テープフィーダ7及び手差しトレイ8は、基板搬送路4を挟んで基台2上に対向設置されたフィーダベース2aに着脱自在に取り付けられる。これらフィーダベース2aはもともとテープフィーダ7を取り付けるための既存の設備であるが、この部品実装装置1では、手差しトレイ8がこのテープフィーダ取り付け用のフィーダベース2aに取り付けることができるようになっている。
テープフィーダ7はリール7aに巻回されたテープに収容されている部品を部品供給口7bに連続的に供給する。このテープフィーダ7は、フィーダベース2aに取り付けたときに、その部品供給口7bが移載ヘッド5の可動領域R内にセットされるようになっている。
図3、図4及び図5において、手差しトレイ8は、フィーダベース2aに着脱自在に取り付けられるパレット台10と、パレット台10を介して基台2に互いに独立して挿抜される複数(本実施の形態では2つ)のパレット40とを備える。各パレット40の上面には、多数の部品が収容された複数のトレイ50が載置される。
パレット台10は、フィーダベース2aに取り付けられる下段部材11と、この下段部材11の上方に設けられた上段部材12から成る。フィーダベース2aの上面には断面がT字状でフィーダベース2aの前後方向(基板搬送路4と直交する水平面内方向)に延びた複数のガイド2bがフィーダベース2aの左右方向(基板搬送路4の延びる方向)に並んで設けられており、下段部材11の下面には、これらガイド2b同士の間に形成されたT字状のスロットに嵌合する断面T字状の複数の突起11a(図3参照)が手差しトレイ8の前後方向に延びて設けられている。
パレット台10の下段部材11の後部にはロック部材取り付け部15が下方に延びて設けられており、このロック部材取り付け部15にはロック部材16が水平に延びた揺動軸17まわりに揺動自在に取り付けられている。ロック部材16はロック部材取り付け部15との間に跨設された付勢ばね18によって前端部が上動する方向に常時付勢されている。ロック部材取り付け部15にはロック部材16の前端部の上動を規制するストッパ19が設けられており、ロック部材16は付勢ばね18により前端部が上動する方向に付勢されて、ストッパ19に下方から当接した状態となっている。ロック部材16の前端部には前下方に傾斜する傾斜面を有した鉤状部16aが形成されている。
パレット台10の突起11aをフィーダベース2aの隣接するガイド2bの間に嵌合させ、パレット台10をフィーダベース2aの前方にスライドさせていくと(図6(a)中に示す矢印B)、パレット台10の前端部に設けられた図示しないピンがフィーダベース2aの上面に形成された図示しないピン嵌合部に嵌合してパレット台10のフィーダベース2aに対する位置決めがなされる。このとき、ロック部材16の鉤状部16aは、その傾斜面がフィーダベース2aに設けられた棒状の被係止部材2cに当接して下方に押圧さ
れ、下動される(図6(a)中に示す矢印C。ロック部材16の後端部を上動させて鉤状部16aを下動させるようにしてもよい)。そして、パレット台10のフィーダベース2aに対する位置決めがなされたときにロック部材16の鉤状部16aは被係止部材2cを乗り越え、付勢ばね18により付勢されて上動し、被係止部材2cに下方から係止する(図6(b)中に示す矢印D)。これによりパレット台10がフィーダベース2aにロックされる。このロックを解除するには、ロック部材16の後端部を上動させて鉤状部16aを被係止部材2cから下方に離間させればよい。
パレット台10がフィーダベース2aに取り付けられた状態では、パレット台10は下段部材11の下面をフィーダベース2aのガイド2bの上面に上方から接触させており、上段部材12は下段部材11よりも前方に突出してその前端部が基板3側に近づいた状態となっている(図2及び図7参照)。なお、各テープフィーダ7の下面にも突起11aと同様の突起が設けられるとともに、ロック部材16と同様に被係止部材2cに係止されるロック部材16b(図2参照)が設けられており、パレット台10と同様の要領でフィーダベース2aに取り付けることができる。
パレット40は磁性材料から成る矩形盆状の容器から成り、その上面には上方に開口したトレイ50が載置される。各トレイ50には格子状に区切られた多数の部品収容スペース51が設けられており(図3及び図5)、各部品収容スペース51には部品実装装置1により基板3に実装しようとする部品が1つずつ収容されている。トレイ50はパレット40の周囲を囲む壁41(図5)や、パレット40の上面に着脱自在に取り付けられる磁石42を利用してパレット40上に固定される。なお、図中には8つのトレイ50が示されているが、このうちの1つ(図5における最も左側の手前側のもの)は基板3へ搭載されることなく回収される部品(以下、回収部品と称する)が載置される部品回収用のトレイ(以下、部品回収トレイ50aと称する)である。
パレット台10の上段部材12にはその前部を左右方向に延びた前壁21、左右両端部を前後方向に延びた左右壁22、中央を前後方向に延びた中央壁23が設けられており、前壁21と中央壁23及び一方の左右壁22に三方を囲まれた領域はパレット40を受容するパレット受容部24となっている。この実施の形態では2つのパレット受容部24がパレット40の左右方向に並んで設けられているが、パレット受容部24は3つ以上であってもよい。各パレット受容部24の後部は外部に開口したパレット挿入口25となっている。
パレット40はその上面にトレイ50を載置・固定させた状態で、外部に開口したパレット挿入口25からパレット受容部24内に手動でスライド挿入される。パレット挿入口25から挿入されたパレット40は、そのパレット40に載置されたトレイ50が移載ヘッド5の可動領域R内に入る位置に、固定手段26(後述)によってパレット台10に固定される。
図7において、各パレット40がパレット台10に固定された時点で、移載ヘッド5の可動領域R内に入っているパレット40上の領域はそのまま移載ヘッド5による部品のピックアップ(及び回収)対象領域S1となる。逆に、このピックアップ対象領域S1以外のパレット40上の領域S2は移載ヘッド5による部品のピックアップができない領域であるので、作業者は予め、ピックアップ対象領域S1となるパレット40上の領域を把握しておき、実装対象とする部品が全てピックアップ対象領域S1内に収まるようにパレット40に対するトレイ50の位置決め及びトレイ50内における部品の位置決めを行う。
固定手段26は、パレット台10に挿入されたパレット40に載置されたトレイ50が移載ヘッド5の可動領域R内に入る位置においてパレット40の前端を当接させてパレッ
ト40の位置決めを行う位置決め部27(図4及び図5)と、位置決め部27に前端を当接させたパレット40の後端を係脱自在に係止する係止部29(図3〜図5)から成っており、位置決め部27はパレット台10の前壁21と、この前壁21の後面に取り付けられた複数の弾性部材28から成っている。
図8において、係止部29は、パレット台10の上段部12を上下に貫通して設けられた孔部30内をパレット台10の横方向に延びた揺動軸31まわりに揺動自在に設けられた揺動部材32、揺動部材32の前端部に水平軸まわりに回転自在に設けられたローラ33及び揺動部材32を常時ローラ33が上昇する方向に付勢する付勢ばね34から成る。揺動部材32は、付勢ばね34によって前端部を上動させる方向に付勢されつつ、下方に延出した延出部32aをパレット台10の下面に設けられたストッパ部材35のストッパ部35aに下方から当接させた位置でその上動が規制されるようになっている。揺動軸31はストッパ部材35に保持されており、ストッパ部材35のパレット台10に対する位置を変更することにより、揺動部材32の位置調整を行うことができるようになっている。
揺動部材32は通常、延出部32aをストッパ部35aに当接させた位置(初期位置とする)に位置しているが(図8(a))、パレット挿入口25からパレット40が挿入され(図8(b)中に示す矢印E)、パレット40の下面によってローラ33が下方に押圧されると、前端部を下動させる方向に揺動して孔部30内に隠れ(図8(b)中に示す矢印F)、パレット40がローラ33の上方を通り過ぎると付勢ばね34の付勢力によって初期位置に復帰する(図8(c)中に示す矢印G)。そして、その復帰した位置でパレット40の後壁41aにローラ33を当接させて、パレット40をパレット受容部24内に係止する。
図4及び図5において、パレット台10の前壁21に取り付けられた弾性部材28は、例えばばねやゴムから成り、係止部29によってパレット受容部24内に係止(固定)されたパレット40を係止部29側に付勢する。従って、係止部29によってパレット40の後端部が係止された状態においては、パレット40は弾性部材28と揺動部材32によって挟持される。一方、パレット台10からパレット40を取り外すには、揺動部材32を下方に押圧してローラ33を孔部30内に押し込み、揺動部材32によるパレット40の係止を解除すればよい。この際、パレット40は弾性部材28によって後方に排出されるので、パレット40をパレット台10から容易に引き抜くことができる。
パレット挿入口25の近傍には、パレット40をパレット台10に対して挿入する方向(パレット台10の前後方向)と直交する水平方向に横架された高さ規制部材37が設けられている。この高さ規制部材37は、トレイ50に収容された部品のうち規定高さ以上の高さを有する部品の通過を規制し、ひいては、そのような部品を収容したトレイ50及びパレット40の通過を規制するものである。これにより、本来供給してはならないサイズの部品や、トレイ50内に収まらずに浮いていた部品等を誤って部品実装装置1に供給することが未然に防止される。また、この高さ規制部材37は、パレット受容部24内にパレット40が挿入されていない状態で、誤って作業者がパレット挿入口25から指を挿入してしまい、その指が移載ヘッド5の可動領域R内に達してしまうのを防止する機能も有する。
パレット台10の前端部にはパレット台10の横方向に延びた断面L字状の第1パレット抑え部材38が取り付けられており、パレット台10の左右壁22及び中央壁23には平板状の第2パレット抑え部材39が取り付けられている。これら第1及び第2パレット抑え部材38,39はパレット台10のパレット受容部24の一部を覆うように延びており、パレット受容部24に受容されたパレット40が上方に抜け出ることがないようにな
っている。
パレット台10を部品実装装置1のフィーダベース2aに取り付けた後、部品が収容されたトレイ50をパレット40に載置し、そのパレット40を外部に開口したパレット挿入口25からパレット受容部24内に手動で挿入すると、パレット40はその前壁41bがパレット台10の位置決め部27(弾性部材28)に後方から当接した後、係止部29によって係止され、パレット受容部24内に固定(係止)されるが、このときパレット40がパレット台10に固定される位置は、前述のように、パレット40に載置されたトレイ50が移載ヘッド5の可動領域R内に入る位置となっている。このため、前述のように、パレット40をパレット台10に固定した時点で移載ヘッド5の可動領域R内に入るトレイ50内に実装対象とする部品を収容しておけば、トレイ50を載置したパレット40をパレット台10に挿入するだけで、8つのトレイ50(部品回収トレイ50aを含む)を移載ヘッド5の可動領域R内に供給することができる。
ここで、移載ヘッド5が、何らかの誤作動により、部品が収容されていない部品収容スペース51から部品を吸着しようとした場合であっても、トレイ50は前述のように磁石42によってパレット40に固定されており、またパレット40は第1及び第2パレット抑え部材38,39によってパレット台10のパレット受容部24から抜け出ることがないようになっているので、移載ヘッド5がトレイ50を直接吸着してしまった場合であっても、トレイ50及びパレット40がそのまま上方に引き上げられてしまうことはない。
この部品実装装置1には、図9に示すように、基板搬送路4を駆動する搬送路駆動機構61、X軸テーブル7bをY軸テーブル7aに沿って移動させるX軸テーブル移動機構62、移動ステージ7cをX軸テーブル7bに沿って移動させる移動ステージ移動機構63、各ノズル5aを昇降及び上下軸回りに回転させるノズル駆動機構64、各ノズル5aに部品の吸着動作を行わせるノズル吸着機構65及び各テープフィーダ7を駆動するテープフィーダ駆動機構66が備えられており、これらの機構61〜66は部品実装装置1が備える制御装置60によって作動制御がなされる。また、移載ヘッド5には撮像面を下に向けた基板カメラ67(図11も参照)が設けられており、基台2には撮像面を上に向けた部品カメラ68(図7も参照)が設けられている。これら基板カメラ67及び部品カメラ68は制御装置60によって作動制御がなされ、これら基板カメラ67及び部品カメラ68の撮像結果の情報は制御装置60に入力される。
図9において、制御装置60と繋がる記憶装置69には予め実装プログラムが記憶されており、制御装置60は記憶装置69に記憶された実装プログラムを実行して部品の基板3への実装を行う。1つの基板3に対して行う部品実装のサイクルでは、先ず、部品実装の対象となる基板3を基板搬送路4によって所定位置へ搬送・位置決めし、移載ヘッド5を基板3の上方に移動させて基板カメラ67により基板3の隅に設けられた位置決めマーク(図示せず)を視認する。このとき視認される位置ずれ検出用マークが予め定められた基準の位置からどれだけずれているかによって基板3の位置ずれが検出される。
制御装置60は、基板3の位置ずれを検出したら移載ヘッド5を移動させて部品の搭載動作を繰り返す。各部品の基板3への搭載動作は、テープフィーダ7或いは手差しトレイ8によって移載ヘッド5の可動領域R内に供給された部品を各ノズル5aによりピックアップ(吸着)した後、そのピックアップした部品が部品カメラ68の視野内を通過するようにして部品カメラ68による部品の撮像を行わせ、部品のノズル5aに対する位置ずれを検出する。そして、基板3の位置ずれと部品の位置ずれが補正されるようにしてその部品を基板3に搭載する。
1つの基板3について搭載すべき部品を全て実装し終えたら、その部品実装の終わった
基板3を基板搬送路4によって先の工程に送るとともに、次に部品実装を行うべき基板3を基板搬送路4によって搬送・位置決めし、同様の部品実装を実行する。
手差しトレイ8の各トレイ50内には、基板3へ実装される前の(すなわちピックアップ前の)部品が所定の配置で整列配置されている。このため、制御装置60は各トレイ50における各部品の位置を正確に把握することができ、移載ヘッド5を各部品の上方に移動させて部品を順次ピックアップしていくことができる。
制御装置60は各トレイ50からピックアップした部品の数をカウントすることによって、各トレイ50内の部品の残数を常時認識(検出)しており、各トレイ50内の(すなわち各パレット40内の)部品の残存状況を、基台2の手差しトレイ8側に設けられた表示パネル70(図1)を介して視覚的(及び聴覚的)にオペレータに報知する。制御装置60は、上記各パレット40内の部品の残存状況の報知として、各トレイ50内の部品の残数の表示や、残数が所定数(通常0個とするが、1、2個であってもよい)に達して部品の補給が必要となった旨の表示等を行う。
図10は基台2の手差しトレイ8側に設けられた表示パネル70の表示部71一例を示しており、基台2に挿着された2つのパレット40内の8つのトレイ50(部品回収トレイ50aを含む)に対応する8つのランプ72が、8つのトレイ50と同じ配列(パレット台10を上方から見たときの配列。図7参照)になるように設けられている。なお、図10では、部品回収トレイ50aに対応するランプには符号72aを付している。
8つのランプ72は制御装置60によって点灯・消灯・点滅制御がなされ、部品回収トレイ50aを除く7つのトレイ50に対応する7つのランプ72については、その部品の残数が上記所定数に達していないときには点灯状態が保持され、部品の残数が所定数に達したときには消灯(或いは点滅)される。このため部品実装装置1のオペレータは、表示パネル70の表示部71を見れば、各トレイ50内、ひいては各パレット40内に部品が残存しているかどうか、各パレット40について部品の補給を行うべきかどうかの判断を容易に行うことができる。この例では、ランプ72(部品回収トレイ50aに対応するランプ72aを除く)が全て消灯しているパレット40については部品の補給作業が必要であることが分かり、オペレータはそのパレット40のみを基台2から(パレット台10から)抜去し、部品を補給したうえでそのパレット40を基台2に挿着する。なお、前述のように、制御装置60は各トレイ50内の部品の残数を常時認識しており、部品の残数が0個に達したパレット40の上方に移載ヘッド5を移動させることはないので、そのパレット40を基台2から引き抜いても移載ヘッド5の部品の実装動作に悪影響を与えることはない。
一方、テープフィーダ7については、テープフィーダ7自身に部品の残存数を検出する図示しない部品残存数検出手段が備え付けられており、その情報は制御装置60を介して基台2のテープフィーダ7側に設けられた表示パネル(図示せず)によりオペレータに報知される。
このように本実施の形態の部品実装装置1は、基台2上の所定位置に基板3を位置決めする基板搬送路4、供給された部品をピックアップして基板搬送路4により位置決めされた基板3に搭載する移載ヘッド5及び基台2に対して手動で挿着され、載置された部品を移載ヘッド5の可動領域R内に供給する複数のパレット40(皿状部材)を備えるものであり、各パレット40は互いに独立して基台2に対して挿抜自在になっている。
また、この部品実装装置1における部品供給方法は、複数のパレット40を手動で基台2に挿着し、各パレット40に載置された部品を移載ヘッド5の可動領域R内に供給する
工程と、部品の補給が必要となり部品の補給をするパレット40を基台2から抜去し、部品を補給したうえでそのパレット40を基台2に挿着する工程とを含むものである。
本実施の形態における部品実装装置1及びこの部品実装装置1における部品供給方法では、基台2に対して挿抜自在な複数のパレット40(皿状部材)を基台2に挿着して各パレット40に載置された部品を移載ヘッド5の可動領域R内に供給するようになっているので、各パレット40に異なる種類の部品を収容しておけば、安価な構成でありながら、従来のトレイフィーダと同様な多様な部品供給が可能である。また、各パレット40は互いに独立して基台2に対して挿抜できるようになっているので、部品の補給が必要となったときには、その補給が必要となり部品の補給をするパレット40を基台2から抜去し、部品を補給したうえでそのパレット40を基台2に挿着すればよい。このため、部品の補給の際に部品実装装置1のカバー(可動カバー9b)を開ける必要はなく、安全装置は働かないので、実装動作を停止させることがない。また、パレット40は基台2の外部から挿抜することができるので、装置1内に体を差し入れる必要はなく、容易に部品の補給作業を行うことができる。
また、この部品実装装置1では、基台2に挿着された各パレット40内の部品の残数を検出する部品残数検出手段(制御装置60)及びこの部品残数検出手段が検出する各パレット40内の部品の残数に基づいて各パレット40内の部品の残存状況の報知を行う報知手段(制御装置60及び表示パネル70)を備えているので、オペレータは報知手段によって報知された各パレット40内の部品の残存状況に基づいて、適切な時期にパレット40内の部品の補給作業を行うことができる。
なお、この部品実装装置1では、パレット台10を介して基台2に挿着された各パレット40を基台2に対して抜去不能にロックし、パレット40内の部品の残数が補給作業を行うべき所定の数量(通常0個)に達したパレット40についてはそのロックが解除される構成のロック手段を備えた構成とすることができる。このようなロック手段としては、例えば、各パレット40をパレット台10に係脱自在に固定する前述の揺動部材32の揺動を、別途設けた空圧シリンダの伸縮動によって規制できる構成とし、パレット40内の部品の残数が補給作業を行うべき所定の数量に達したときのみ揺動部材32が下方に揺動されるのが許容されるように空圧シリンダの動作を制御装置60から制御するようにしたものが考えられる。或いは、別途設けたセンサにより揺動部材32が下方に揺動される動作を検知して所要の場合にその揺動部材32の動作を抑制したりエラー警告を発したりする機構を設けるようにしてもよい。
ところで、上記部品の実装中には、移載ヘッド5がピックアップした部品が基板3へ搭載される前、部品カメラ68による画像認識等によって基板3への搭載が不適であると判断されるものが出てくる(例えば部品が部分的な変形を起こしているような場合)。このような判断は部品カメラ68の撮像結果に基づいて制御装置60が行うが、制御装置60は、その実装不適であると判断した部品を移載ヘッド5により基板3に搭載させることなく、移載ヘッド5を部品回収トレイ50aの上方に移動させて、その回収すべき部品(以下、回収部品Pと称する。図11参照)を部品回収トレイ50aに載置する。
制御装置60は、回収した回収部品Pが、部品回収トレイ50a上に設定した基準位置73(図1参照)から順番に所定の配列で載置されるように移載ヘッド5の作動制御を行う。ここで、基準位置73は、回収する部品のサイズ等によらない定位置として部品回収トレイ50a上に設定され、2番目以降に回収した回収部品Pが載置される載置場所73a,73a,・・・(図11参照)は、基準位置73を基準とする所定の配列になるように部品回収トレイ50a上に設定される。載置位置73a同士の間隔は、回収部品Pのサイズ等に応じて定められる。
制御装置60は、部品の実装動作中、回収部品Pを部品回収トレイ50aに載置する動作の回数等から、部品回収トレイ50a内に載置されている部品数(以下、回収部品数と称する)を常時把握しており、この回収部品数が部品回収トレイ50aに対する部品のサイズ等によって定まる回収可能な部品数(以下、回収可能部品数と称する)に達するまでは、部品回収トレイ50aに対応するランプ72aを点灯状態にして、回収部品Pの回収動作(回収部品Pを部品回収トレイ50aに載置する動作)を実行する。一方、回収部品数が回収可能部品数に達したときには、ランプ72aを点滅状態にして、「回収部品撤去待ちモード」に入る。この「回収部品撤去待ちモード」とは、次に回収部品Pを回収する動作を行うべき状況になるまでは実装動作を継続するが、次に回収動作を行うべき状況になったときには、その回収動作を行わずに、部品の実装動作を中断するモードをいう。
このように、回収部品数が回収可能部品数に達して制御装置60が「回収部品撤去モード」に入ると、部品回収トレイ50aに対応するランプ72aが点灯状態から点滅状態に転じるので、オペレータは部品回収トレイ50aから回収部品Pを撤去する作業を行うべき時期を的確に把握できる。オペレータは、部品回収トレイ50aに対応するランプ72aが点滅を始めたら、速やかに部品回収トレイ50aが載置されているパレット40(そのパレット40のみ)を基台2から(パレット台10から)抜去し、部品回収トレイ50aから回収部品Pを撤去する。そして、空になった部品回収トレイ50aが載置されたパレット40を基台2に挿着し直したうえで、制御装置60に対して所定の操作を行い、制御装置60が記憶している回収部品数のデータを初期値(0個)にリセットする。
回収部品数が初期値にリセットされると、制御装置60は回収部品Pの部品回収トレイ50aへの載置動作を再開し、リセット後に最初に回収した回収部品Pを部品回収トレイ50aの基準位置73に載置し、以降に回収した回収部品Pを所定の(基準位置73を基準とする所定の配列になるように設定された)載置位置73a,73a,・・・に順番に載置する。
ここで、部品回収トレイ50aに対応するランプ72aが点灯状態から点滅状態に転じたとき、部品回収トレイ50aが載置されているパレット40と同じパレット40内の他のトレイ50から部品がピックアップされている状況であった場合には、制御装置60に対する所定の操作を行って部品の実装動作を中断させたうえで、部品回収トレイ50aからの回収部品Pの撤去作業を行うようにする。
上記のように、回収部品数が回収可能部品数に達したときは、オペレータが部品回収トレイ50aから回収部品Pを撤去し、制御装置60が記憶している回収部品数のデータを初期値にリセットする必要があるが、生産対象とする基板3(以下、生産基板と称する)の種類の変更を行った場合など、実装プログラムの実行そのものをリセットした場合には、制御装置60が記憶している回収部品数のデータも自動的に初期値にリセットされてしまうので、このようなときにはオペレータは部品回収トレイ50a内の回収部品Pの撤去作業を行う必要がある。そのようにしなければ、リセット後に最初に回収した回収部品Pが部品回収トレイ50a内に残存している回収部品Pの上に載置されてしまい、回収部品P同士を接触させて傷つけたり、移載ヘッド5を破損させたりするなどの不都合が生じるからである。
しかし、実際には、オペレータは実装プログラムの実行そのものをリセットした場合に、本来行わなければならない部品回収トレイ50a内の回収部品Pの撤去作業を忘れることもあるので、本実施の形態の部品実装装置1では、そのような状況でも上記不都合が生じないようになっている。以下、その構成について説明する。
図11において、部品回収トレイ50aの基準位置73には、基準位置73に回収部品Pが載置されていないときには上方から視認可能であるが、基準位置73に回収部品Pが載置されているときにはその回収部品Pによって隠れて上方から視認不能となるマーク74が設けられている。
制御装置60は、回収部品数のデータのリセット操作後、或いは実装プログラムのリセット操作後には、最初に回収した回収部品Pを部品回収トレイ50aの基準位置73に載置するが、この際、部品回収トレイ50aの上方に位置させた基板カメラ67に上記マーク74を視認させ、基準位置73が空きスペースとなっているか否かの検出を行わせる。
ここで、制御装置60は、基板カメラ67がマーク74を視認したときには、基準位置73に回収部品Pが載置されておらず、基準位置73が空きスペースとなっていることが検出されたと判断し、基板カメラ67がマーク74を視認しなかったときには、基準位置73に回収部品Pが載置されており、基準位置73が空きスペースとなっていないことが検出されたと判断する。このように部品回収トレイ50aの基準位置73に設けられたマーク74及びこれを上方から視認する基板カメラ67は、基準位置73に回収部品Pを載置させる際に基準位置73が空きスペースとなっているか否かの検出を行う空きスペース検出手段となっている。
制御装置60は、上記空きスペース検出手段により基準位置73が空きスペースとなっていることが検出されたときには、部品回収トレイ50aは回収部品Pの撤去済み状態であると判断し、空きスペース検出手段により基準位置73が空きスペースとなっていないことが検出されているときには、部品回収トレイ50aは回収部品Pの未撤去状態であると判断する。そして、制御装置60は、部品回収トレイ50aが回収部品Pの撤去済み状態であると判断したときには、回収部品Pを部品回収トレイ50aに載置する動作を実行し、部品回収トレイ50aが回収部品Pの未撤去状態であると判断したときには、部品回収トレイ50aに既に回収されている回収部品Pの上に更に回収部品Pが載置されてしまう不都合を防止するため、移載ヘッド5による回収部品Pの部品回収トレイ50aへの載置を実行せず、表示パネル70等を介してその旨をオペレータに伝える所定の報知動作を行う。
このように制御装置60は、基準位置73に回収部品Pを載置させる際、空きスペース検出手段に基準位置73が空きスペースとなっているか否かの検出を行わせ、空きスペース検出手段により基準位置73が空きスペースとなっていることが検出されたならば、回収部品Pの部品回収トレイ50aへの載置を実行するようになっている。そして、部品回収トレイ50aが回収部品Pの未撤去状態であると判断したときには、移載ヘッド5による回収部品Pの部品回収トレイ50aへの載置を実行しないだけでなく、その旨(部品回収トレイ50aが回収部品Pの未撤去状態である旨)をオペレータに伝えるので、オペレータは本来行うべき部品回収トレイ50aからの回収部品のPの撤去作業をまだ行っていないことを認識することができ、部品回収トレイ50aからの回収部品Pの撤去という、必要な処置をとることができる。
また、制御装置60は、部品回収トレイ50aが回収部品Pの未撤去状態であると判断したときには、回収部品Pの部品回収トレイ50aへの載置を実行しないが、その後、オペレータが部品回収トレイ50aからの回収部品Pの撤去を実行した場合には、基板カメラ67を部品回収トレイ50aの上方に移動させて、マーク74を視認させるようにする。その結果、基板カメラ67によってマーク74が視認されなかったとき(すなわち、空きスペース検出手段によって基準位置73が空きスペースになっていることが検出されたとき)には、部品回収トレイ50a内の回収部品Pが撤去済み状態になったと判断し、回収部品Pを部品回収トレイ50aに載置する動作を実行する。
このように本実施の形態における部品実装装置1は、移載ヘッド5がピックアップした部品が基板3へ搭載される前に搭載不適であると判断されて回収される回収部品Pが整列載置される部品回収トレイ50aを備えるほか、回収部品Pが部品回収トレイ50a上に設定した基準位置73から順番に所定の配列で載置されるように移載ヘッド5の作動制御を行う回収作動制御手段(制御装置60)及び基準位置73に回収部品Pを載置させる際、基準位置73が空きスペースとなっているか否かの検出を行う空きスペース検出手段(マーク74及び基板カメラ67)を備え、回収作動制御手段としての制御装置60は、空きスペース検出手段により基準位置73が空きスペースとなっていることが検出されたならば、回収部品Pの部品回収トレイ50aへの載置を実行するようになっている。
また、この部品実装装置1における部品回収方法は、移載ヘッド5がピックアップした部品が基板3へ搭載される前に搭載不適であると判断された場合に、その部品を基板3に搭載することなく回収して部品回収トレイ50aに整列載置するようにするものであり、回収部品Pは部品回収トレイ50a上に設定した基準位置73から順番に所定の配列で載置するとともに、基準位置73に回収部品Pを載置させる際、基準位置73が空きスペースとなっているか否かの検出を行い、基準位置73が空きスペースとなっていることが検出されたならば、回収部品Pの部品回収トレイ50aへの載置を実行するようにしたものである。
本実施の形態における部品実装装置1及びこの部品実装装置1における部品回収方法では、回収部品Pは部品回収トレイ50a上に設定した基準位置73から順番に所定の配列で載置するとともに、基準位置73に回収部品Pを載置させる際、基準位置73が空きスペースとなっているか否かの検出を行い、基準位置73が空きスペースとなっていることが検出されたならば(このとき、その部品回収トレイ50a内の回収部品は撤去済みであるといえる)、回収部品Pの部品回収トレイ50aへの載置を実行するようになっているので、生産基板の種類の変更等を行った後など、本来行うべき部品回収トレイ50a内の回収部品Pの撤去作業を忘れたような場合であっても回収部品Pを傷つけたり、移載ヘッド5を破損させたりするおそれがない。
また、部品回収トレイ50aの基準位置73が空きスペースとなっているか否かの判断は、基準位置73に設けたマーク74が、部品回収トレイ50aの上方に移動させた基板カメラ67によって視認されるか否かによって行われるようになっており、非常に簡単な構成でありながら、その判断(ひいては部品回収トレイ50aが回収部品Pの撤去済み状態であるか否かの判断)を極めて確実に行うことができるようになっている。
マーク74は前述のように、部品回収トレイ50aの基準位置73に設けられ、基準位置73に回収部品Pが載置されていないときには上方から視認可能であるが基準位置73に回収部品Pが載置されているときにはその回収部品Pによって隠れて上方から視認不能となるものであればよく、部品回収トレイ50aの底面に貼り付けた(或いは描いた)印のほか、部品回収トレイ50aの底面に穿設した小孔(ピンホール等)であってもよい。
部品回収トレイ50aの基準位置73が空きスペースになっているかどうかは、部品回収トレイ50aの上方に移動させた基板カメラ67によって、基準位置73に回収部品Pが存在するかどうかを直接視認するようにしてもよい。このような構成を採るときには、空きスペース検出手段は基板カメラ67のみとなる。しかし、基板カメラ67は本来、基板3に設けた非常に小さい位置ずれ検出用マーク(前述)を視認するために設けられていることから、その視野は非常に狭いものであり、回収部品Pを直接視認するようにした場合、その視野の全域が回収部品Pによって占められてしまうと、基準位置73に回収部品Pが存在しているかどうかの判別は難しくなるので、本実施の形態に示したように、部品
回収トレイ50aの基準位置73にマーク74を設けるとともに、部品回収トレイ50aの上方に移動させた基板カメラ67によってそのマークが視認されるか否かによって基準位置73が空きスペースであるか否かの判断を行うようにすることが好ましく、このような構成であれば、基板カメラ67の視野が狭小な場合であっても精度のよい判別を行うことができる。なお、マーク74を小孔とする場合、部品回収トレイ50aの底面が暗色である場合においてもその認識が容易になるという利点がある。
また、上述の実施の形態では、互いに独立して基台2に対して挿抜できる皿状部材(パレット40)の数は2つであったが、この皿状部材の数は複数であればよく、必ずしも2つでなくてもよい。また、上述の実施の形態では、基台2に挿着された各パレット40内の部品の残数を検出する部品残数検出手段は、制御装置60が各トレイ50からピックアップした部品の数をカウントすることによって各トレイ50内の部品の残数を認識(検出)するものであったが、これは他の構成を有するもの、例えば部品カメラ68の視野を通過した部品の数をカウントするなどによって各トレイ50内の残数を検出するもの等であってもよい。また、上述の実施の形態では、部品残数検出手段が検出する各パレット40内の部品の残数に基づいて各パレット40内の部品の残存状況の報知を行う報知手段が、制御装置60及び制御装置60によって動作制御がなされる表示パネル70から成るものであったが、表示パネル70に変えて液晶ディスプレイ等を用いるようにしてもよい。