JP2009003998A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】遷移ノイズを低減させ、高い生産性を有する磁気記録媒体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】基板に、マイクロコンタクトプリンティングにより重合開始剤を固定化する重合開始剤固定化工程と、前記基板に固定化された前記重合開始剤に重合性不飽和結合を有する化合物を接触させてグラフト重合を行うことによりグラフトポリマーのパターンを形成するパターン形成工程と、前記パターンに、CuAu型またはCuAu型強磁性規則合金を形成し得る合金粒子を含有する合金粒子含有液を塗布し、更にアニール処理をすることにより、物理的に独立した複数の磁性領域を形成する磁性領域形成工程と、を有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、磁気記録媒体およびその製造方法に関する。
磁気記録媒体は、磁性体のサイズを小さくすることにより高密度化が図られてきたが、磁性体を小さくすると、熱揺らぎにより、磁性体が強磁性体ではなくなるという懸念が生じている。また、高密度化に伴い、遷移ノイズの発生が問題となってきている。
前記熱揺らぎを抑える方法として、CuAu型強磁性規則合金あるいはCuAu型強磁性規則合金を用いることが提案されている。
また、前記遷移ノイズに対する有力な対策としては、パターンドメディアを用いることが提案されている。パターンドメディアとしては、まず、磁性体からなるパターンを、基板に対し凸様に形成する態様が提案されている(例えば、特許文献1、参照)。しかし、この態様では、基板表面に突起が形成されることとなるため、フライングヘッドが走行する際に不都合があると考えられる。
そこで、基板上に形成した凹状のトレンチに、磁性層薄膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2、参照)。当該方法は、(1)基板をマスクパターンで覆い、(2)エッチング処理にて基板に凹状のトレンチを形成した後、(3)当該凹状のトレンチに磁性層薄膜をスパッタ等で形成し、(4)マスクパターンを除去することでパターンドメディアを作製するものである。当該方法は、平滑な表面が形成される点で優れているといえる。
特許第1888363号 特開2001−110050号公報
しかし、基板上に形成した凹状のトレンチに、磁性層薄膜を形成する方法は、マスクパターンが基板に対し凸状に設けられているため、スパッタで磁性層薄膜を形成する際、当該凸部に優先的に磁性層薄膜が形成される。そして、該凸部に形成された磁性層薄膜は、マスクパターンと共に除去することから、生産効率の点で不都合な問題を有している。
また、ステッパーによるマスクパターンの加工は、一露光で露光する領域での加工精度は高いが、例えば、2.5インチ径のディスク全面にパターンを形成することは、精度上の問題が存在する。すなわち、2.5インチ径全面にパターンを形成する場合、異なる原板を用いて、数回露光する必要があり、露光ごとのパターンの境界でずれが生じてしまう。
さらに、ステッパーは、高価な装置であり、半導体のように一露光した領域から多数の製品が取出せる場合には経済的なプロセスといえるが、パターンドメディアは、一製品当り、複数の露光が必要であり、経済的なプロセスとはなりえない。
以上から、本発明は、上記従来の課題を解決することを目的とする。すなわち、本発明は、遷移ノイズを低減させ、高い生産性を有する磁気記録媒体およびその製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 基板に、マイクロコンタクトプリンティングにより重合開始剤を固定化する重合開始剤固定化工程と、前記基板に固定化された前記重合開始剤に重合性不飽和結合を有する化合物を接触させてグラフト重合を行うことによりグラフトポリマーのパターンを形成するパターン形成工程と、前記パターンに、CuAu型またはCuAu型強磁性規則合金を形成し得る合金粒子を含有する合金粒子含有液を塗布し、更にアニール処理をすることにより、物理的に独立した複数の磁性領域を形成する磁性領域形成工程と、を有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法である。
<2> 前記<1>に記載の磁気記録媒体の製造方法により製造された磁気記録媒体である。
本発明によれば、遷移ノイズを低減させ、高い生産性を有する磁気記録媒体およびその製造方法を提供することができる。
<磁気記録媒体の製造方法>
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、基板に、マイクロコンタクトプリンティングにより重合開始剤を固定化する重合開始剤固定化工程と、前記基板に固定化された前記重合開始剤に重合性不飽和結合を有する化合物を接触させてグラフト重合を行うことによりグラフトポリマーのパターンを形成するパターン形成工程と、前記パターンに、CuAu型またはCuAu型強磁性規則合金を形成し得る合金粒子を含有する合金粒子含有液を塗布し、更にアニール処理をすることにより、物理的に独立した複数の磁性領域を形成する磁性領域形成工程と、を有することを特徴とする。
磁性領域形成の際には、グラフトポリマーからなる凸部のみならず凹部にも合金粒子含有液が塗布された場合等に、必要に応じて研摩を行う。また、空気中で加熱する等の酸化処理をすることが好ましい。さらに、必要に応じて磁性領域と磁性領域の間を非磁性物で埋めたり、保護層や潤滑剤層を形成することが好ましい。
以下、前記各工程を詳述する。
−重合開始剤固定化工程−
重合開始剤固定化工程では、基板に、マイクロコンタクトプリンティングにより重合開始剤を固定化する。
マイクロコンタクトプリンティング(マイクロコンタクトプリント法)は、1993年G.M.Whitesidesらによって報告されたソフトリソグラフィーと呼ばれる ナノ構造構築法のひとつである。従来法の光リソグラフィーや電子線リソグラフィーによって作製したナノスケールからマイクロメートルスケールの構造の形状パターン(スタンプ)をゴム状プラスチックスに写し取り作製する。マイクロコンタクトプリンティングは、このスタンプの凸部表面に、分子を塗布し、基板に密着 (コンタクト)することで、パターン化した分子の膜を基板上に作製する方法である。このスタンプの使用により、マイクロパターンを安価で簡便にコピーすることができる。
この際、分子と基板表面との化学反応を利用することにより、安定した単分子厚さの膜(自己組織化膜:SAM)を基板上にパターン化することができる。例えば、チオール分子と金表面の組み合わせ(S原子−Au)や、シラン分子と酸化物、つまり、OH−を持つ絶縁体表面の組み合わせ(Si原子−O−)を挙げることができる。
これらの技術は、Xia,Y.;Whitesides,G.M.Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.1998,37,550−575.に詳細に記載されている。
具体的には、前記スタンプとしては、シリコンゴム、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)が用いられる。また、スタンプの作成方法は、所望のパターン画像部が凸部となるように、予め凹凸パターンを形成した型枠を作製し、凸部が所望のパターン画像部となるように型枠に、加熱溶融したPDMSを流し込み、冷却硬化させた後に、はがしとる方法が挙げられる。このようにして、パターン画像様の凹凸スタンプを作る。
次に、スタンプに、SAMを作る分子、例えば、チオール末端重合開始剤、クロロシラン末端重合開始剤、または、アルコキシシラン末端重合開始剤などの溶液を塗布または、当該溶液中にスタンプを浸漬して、スタンプの凸部に付着した重合開始剤を基板に密着させることにより、パターン画像様の重合開始層が基板上に形成(固定化)される。
(基板)
本発明における基板としては、磁気記録媒体に使用される基板であれば、無機物および有機物のいずれでもよく、重合開始剤の種類や用途によって適宜選択すればよい。
無機物の基板としては、Al、Al−Mg、Mg−Al−Zn等のMg合金、ガラス、石英、カーボン、シリコン、セラミックス等が用いられる。これらの基板は耐衝撃性に優れ、また薄型化や高速回転に適した剛性を有する。また、有機物の基板と比較して、熱に強い特徴を有している。
有機物の基板としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類;ポリオレフィン類;セルロ−ストリアセテート、ポリカ−ボネート、ポリアミド(脂肪族ポリアミドやアラミド等の芳香族ポリアミドを含む)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリベンゾオキサゾール;等を用いる事ができる。
(重合開始剤)
マイクロコンダクトプリンティングに用い得る好適な重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)活性エステル化合物、(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(k)ピリジウム類化合物等の光重合開始剤が挙げられる。以下に、上記(a)〜(k)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(a)芳香族ケトン類
本発明において、重合開始剤として好ましい(a)芳香族ケトン類としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J.P.Fouassier,J.F.Rabek(1993),p77−117に記載のベンゾフェノン骨格或いはチオキサントン骨格を有する化合物が挙げられる。例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2009003998
中でも、好ましい(a)芳香族ケトン類の例を以下に列記する。
特公昭47−6416号公報に記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報に記載のベンゾインエーテル化合物、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2009003998
特公昭47−22326号公報に記載のα−置換ベンゾイン化合物、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2009003998
特公昭47−23664号公報に記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報に記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報に記載のジアルコキシベンゾフェノン、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2009003998
特公昭60−26403、特開昭62−81345号公報に記載のベンゾインエーテル類、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2009003998
特公平1−34242、米国特許第4,318,791号、ヨーロッパ特許0284561A1号に記載のα−アミノベンゾフェノン類、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2009003998
特開平2−211452号公報に記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2009003998
特開昭61−194062号公報に記載のチオ置換芳香族ケトン、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2009003998
特公平2−9597号公報に記載のアシルホスフィンスルフィド、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2009003998
特公平2−9596号公報に記載のアシルホスフィン、例えば、下記化合物が挙げられる。
Figure 2009003998
特公昭63−61950号公報に記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報に記載のクマリン類等を挙げることもできる。
(b)オニウム塩化合物
本発明において、重合開始剤として好ましい(b)オニウム塩化合物としては、下記一般式(1)〜一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009003998
一般式(1)中、ArとArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。(Zはハロゲンイオン、過塩素酸イオン、カルボン酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
一般式(2)中、Arは、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基又は、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。(Zは(Zと同義の対イオンを表す。
一般式(3)中、R23、R24及びR25は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。(Zは(Zと同義の対イオンを表す。
本発明において、好適に用いることのできる(b)オニウム塩化合物の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落番号[0030]〜[0033]、特開2001−305734号公報の段落番号[0048]〜[0052]、及び、特開2001−343742公報の段落番号[0015]〜[0046]に記載されたものなどを挙げることができる。
(c)有機過酸化物
本発明において、重合開始剤として好ましい(c)有機過酸化物としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)ブタン、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ターシャリーブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(ターシャリーブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−キサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、メタ−トルオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシアセテート、ターシャリーブチルパーオキシピバレート、ターシャリーブチルパーオキシネオデカノエート、ターシャリーブチルパーオキシオクタノエート、ターシャリーブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ターシャリーブチルパーオキシラウレート、ターシャリーカーボネート、3,3’4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
これらの中でも、3,3’4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましく用いられる。
(d)チオ化合物
本発明において、重合開始剤として好ましい(d)チオ化合物としては、下記一般式(4)で示される構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2009003998
一般式(4)中、R26は、水素原子、アルキル基、アリール基又は置換アリール基を示し、R27は水素原子又はアルキル基を示す。また、R26とR27は、互いに結合して酸素、硫黄及び窒素原子から選ばれたヘテロ原子を含んでもよい5員ないし7員環を形成するのに必要な非金属原子群を示す。
上記一般式(4)におけるアルキル基としては炭素原子数1〜4個のものが好ましい。また、アリール基としてはフェニル、ナフチルのような炭素原子数6〜10個のものが好ましく、置換アリール基としては、上記のようなアリール基に塩素原子のようなハロゲン原子、メチル基のようなアルキル基、メトシキ基、エトキシ基のようなアルコキシ基で置換されたものが含まれる。R27は、好ましくは炭素原子数1〜4個のアルキル基である。一般式(4)で示されるチオ化合物の具体例としては、下記に示すような化合物が挙げられる。
Figure 2009003998
(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物
本発明において、重合開始剤として好ましい(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、特公昭45−37377号、特公昭44−86516号公報に記載のロフィンダイマー類、例えば、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
(f)ケトオキシムエステル化合物
本発明において、重合開始剤として好ましい(f)ケトオキシムエステル化合物としては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
(g)ボレート化合物
本発明において、重合開始剤として好ましい(g)ボレート化合物の例としては、下記一般式(5)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2009003998
(一般式(5)中、R28、R29、R30及びR31は互いに同一でも異なっていてもよく、各々置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアルキニル基、又は置換若しくは非置換の複素環基を示し、R28、R29、R30及びR31はその2個以上の基が結合して環状構造を形成してもよい。ただし、R28、R29、R30及びR31のうち、少なくとも1つは置換若しくは非置換のアルキル基である。(Zはアルカリ金属カチオン又は第4級アンモニウムカチオンを示す。)
上記R28〜R31のアルキル基としては、直鎖、分枝、環状のものが含まれ、炭素原子数1〜18のものが好ましい。具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ステアリル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれる。また置換アルキル基としては、上記のようなアルキル基に、ハロゲン原子(例えば、−Cl、−Brなど)、シアノ基、ニトロ基、アリール基(好ましくは、フェニル基)、ヒドロキシ基、−COOR32(ここでR32は、水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、又はアリール基を示す)、−OCOR33又は−OR34(ここでR33、R34は炭素数1〜14のアルキル基、又はアリール基を示す)、及び下記式で表されるものを置換基として有するものが含まれる。
Figure 2009003998
(式中、R35、R36は独立して水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、又はアリール基を示す)
上記R28〜R31のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などの1〜3環のアリール基が含まれ、置換アリール基としては、上記のようなアリール基に前述の置換アルキル基の置換基又は、炭素数1〜14のアルキル基を有するものが含まれる。上記R28〜R31のアルケニル基としては、炭素数2〜18の直鎖、分枝、環状のものが含まれ、置換アルケニル基の置換基としては、前記の置換アルキル基の置換基として挙げたものが含まれる。上記R28〜R31のアルキニル基としては、炭素数2〜28の直鎖又は分枝のものが含まれ、置換アルキニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の置換基として挙げたものが含まれる。また、上記R28〜R31の複素環基としてはN、S及びOの少なくとも1つを含む5員環以上、好ましくは5〜7員環の複素環基が挙げられ、この複素環基には縮合環が含まれていてもよい。更に置換基として前述の置換アリール基の置換基として挙げたものを有していてもよい。一般式(5)で示される化合物例としては具体的には米国特許3,567,453号、同4,343,891号、ヨーロッパ特許109,772号、同109,773号に記載されている化合物及び以下に示すものが挙げられる。
Figure 2009003998
(h)アジニウム化合物
本発明において、重合開始剤として好ましい(h)アジニウム塩化合物としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号並びに特公昭46−42363号公報に記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
(i)活性エステル化合物
本発明において、重合開始剤として好ましい(i)活性エステル化合物としては、特公昭62−6223号公報に記載のイミドスルホネート化合物、特公昭63−14340号、特開昭59−174831号に記載の活性スルホネート類を挙げることができる。
(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物
本発明において、重合開始剤として好ましい(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物としては、下記一般式(6)〜一般式(12)のものを挙げることができる。
Figure 2009003998
上記一般式(6)で表される化合物。
(一般式(6)中、Xはハロゲン原子を表わし、Yは−C(X、−NH、−NHR38、−NR38、−OR38を表わす。ここでR38はアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基を表わす。また、R37は−C(X、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換アルケニル基を表わす。)
Figure 2009003998
上記一般式(7)で表される化合物。
(一般式(7)中、R39は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基、置換アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシル基、ニトロ基又はシアノ基であり、Xはハロゲン原子であり、nは1〜3の整数である。)
Figure 2009003998
上記一般式(8)で表される化合物。
(一般式(8)中、R40は、アリール基又は置換アリール基であり、R41は、以下に示す基又はハロゲンであり、Zは−C(=O)−、−C(=S)−又は−SO−である。また、Xはハロゲン原子であり、mは1又は2である。)
Figure 2009003998
(式中、R42、R43はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基又は置換アリール基であり、R44は一般式(6)中のR38と同じである。)
Figure 2009003998
上記一般式(9)で表される化合物。
(一般式(9)中、R45は置換されていてもよいアリール基又は複素環式基であり、R46は炭素原子1〜3個を有するトリハロアルキル基又はトリハロアルケニル基であり、pは1、2又は3である。)
Figure 2009003998
上記一般式(10)で表わされるトリハロゲノメチル基を有するカルボニルメチレン複素環式化合物。
(一般式(10)中、Lは水素原子又は式:CO−(R47)q(C(X)rの置換基であり、Qはイオウ、セレン又は酸素原子、ジアルキルメチレン基、アルケン−1,2−イレン基、1,2−フェニレン基又はN−R基であり、Mは置換又は非置換のアルキレン基又はアルケニレン基であるか、又は1,2−アリーレン基であり、R48はアルキル基、アラルキル基又はアルコキシアルキル基であり、R47は炭素環式又は複素環式の2価の芳香族基であり、Xは塩素、臭素又はヨウ素原子であり、q=0及びr=1であるか又はq=1及びr=1又は2である。また、Rは、直鎖、分岐または環状の飽和、不飽和の炭化水素である。)
Figure 2009003998
上記一般式(11)で表わされる4−ハロゲノ−5−(ハロゲノメチル−フェニル)−オキサゾール誘導体。
(一般式(11)中、Xはハロゲン原子であり、tは1〜3の整数であり、sは1〜4の整数であり、R49は水素原子又はCH3−t 基であり、R50はs価の置換されていてもよい不飽和有機基である)
Figure 2009003998
上記一般式(12)で表わされる2−(ハロゲノメチル−フェニル)−4−ハロゲノ−オキサゾール誘導体。
(一般式(12)中、Xはハロゲン原子であり、vは1〜3の整数であり、uは1〜4の整数であり、R51は水素原子又はCH3−v 基であり、R52はu価の置換されていてもよい不飽和有機基である。)
このような炭素−ハロゲン結合を有する化合物の具体例としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)に記載の化合物、例えば、2−フェニル4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(2’,4’−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン等が挙げられる。その他、英国特許1388492号明細書に記載の化合物、例えば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等、特開昭53−133428号公報に記載の化合物、例えば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン)、2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン等、独国特許3337024号公報の明細書に記載の化合物、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
Figure 2009003998
また、F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.29、1527(1964)に記載の化合物、例えば、2−メチル−4,6−ビス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロムメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4−メチル−6−トリブロムメチル−S−トリアジン、2−メトキシ−4−メチル−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等を挙げることができる。更に特開昭62−58241号公報に記載の、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
Figure 2009003998
更に、特開平5−281728号公報に記載の、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
Figure 2009003998
或いは更に、M.P.Hutt、E.F.Elslager及びL.M.Herbel著「Journalof Heterocyclic chemistry」第7巻(No.3)、第511頁以降(1970年)に記載されている合成方法に準じて、当業者が容易に合成することができる次のような化合物群、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
Figure 2009003998
(k)ピリジウム類化合物
本発明において、重合開始剤として好ましい(k)ピリジウム類化合物の例としては、例えば、特開2001−305734号公報に記載のピリジウム類化合物を挙げることができ、中でも、下記に示す構造であることがより好ましい。
Figure 2009003998
Figure 2009003998
これらの重合開始剤の中でも、下記に示す構造を有する芳香族ケトン類やトリアジン類が好ましい。また、芳香族ケトン類としては、イルガキュア184などの市販品も好ましく使用することができる。
Figure 2009003998
上記(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)活性エステル化合物、(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(k)ピリジウム類化合物等の光重合開始剤の中でも、SAM(自己組織化膜)を作る分子であるという点で、チオール末端、クロロシラン末端、または、アルコキシシラン末端を有する上記(a)〜(k)の各化合物であることが、特に好ましい。
具体的には、クロロシラン末端を有する炭素ハロゲン結合を有する化合物(例えば、下記P1)や、クロロシラン末端を有する芳香族ケトン類(例えば、下記P2)が挙げられる。
Figure 2009003998
Figure 2009003998
また、上述した重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の塗布量は、乾燥後の質量で、0.1〜15g/m2が好ましく、2〜8g/m2がさらに好ましい。塗布量が0.1g/m2以上あれば、重合開始剤が十分にグラフト重合に寄与し、十分なグラフトポリマーを生成することができ、所望のグラフト構造が得られ、15g/m2以内であれば、膜性が低下を防止し、膜剥がれを起こしにくい。
−パターン形成工程−
パターン形成工程では、前記基板に固定化された前記重合開始剤に重合性不飽和結合を有する化合物を接触させてグラフト重合を行うことによりグラフトポリマーのパターンを形成する。
本発明において、前記基板に固定化した前記重合開始剤の層(以下、「重合開始層」ともいう)の表面にグラフトポリマーを生成させる方法としては、一般的に表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いる。グラフト重合とは重合開始層上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に結合及び重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法で、特に活性種を与える重合開始剤が固体表面を形成する時には表面グラフト重合と呼ばれる。また、本発明において生成されるグラフトポリマーは、重合開始層上の活性種に、所望のポリマーを結合させてなるものも含む。なお、本発明においては、活性種が与えられる重合性不飽和結合を有する化合物は、上述の固定化したグラフトポリマー層を構成する高分子化合物となる。
グラフト重合を用いてグラフトポリマーを生成し、基板上にグラフトポリマー層を設ける方法としては、例えば、パターン画像様の重合開始層が設けられた基板を、重合性不飽和結合を有する化合物を含む組成物(以下、「グラフトポリマー層組成物」と称する)の溶液に浸漬、あるいは前記基板上にグラフトポリマー層組成物溶液を塗布し、その後、光照射を行い、活性種を生成させ、その活性種に対し該化合物をグラフト重合させる方法が挙げられる。
かかるグラフト重合を用いたグラフトポリマーの生成方法において用いられる重合性不飽和結合を有する化合物および、パターン形成に有用なその他の成分について以下に述べる。
(重合性不飽和結合を有する化合物)
本発明に用いられる、重合性不飽和結合を有する化合物としては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物の中から任意に選択することができる。例えば、モノマー、プレポリマー、即ち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつものである。
モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタアクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
更に、前述のエステルモノマーは、混合物しても用いることができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の例としては、特公昭48−41708号公報中に記載されている、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記の一般式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加せしめた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
一般式(A)
CH=C(R)COOCHCH(R)OH
(ただし、一般式(A)中、R及びRは、それぞれH或いはCHを示す。)
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、特公昭52−30490号公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。更に、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。なお、これらの使用量は、全成分に対して5〜70質量%、好ましくは10〜50質量%である。
更に、例えば、米国特許第2,760,863号、同第3,060,023号、特開昭62−121448号公報等に記載の2個またはそれ以上の末端エチレン基を有する付加重合性不飽和化合物をも好適に用いられ、更に、かかる特許文献における光重合開始剤も、本発明の重合開始剤として好適である。
重合開始層が固定されている基板として、疎水的表面を有する基板を用いた場合は、重合性不飽和結合を有する化合物には、親水性のモノマー又はポリマーを使用することが好ましい。また、磁性粒子との相互作用のし易さの点からも、親水性のモノマー又はポリマーを使用することが好ましく、疎水性であっても極性のモノマー又はポリマーを使用することが好ましい。
かかる親水性のモノマー又はポリマー、もしくは、疎水性であっても極性のモノマー又はポリマーとしては、以下に示す重合性不飽和結合を有する親水性モノマー、重合性不飽和結合を有する親水性マクロモノマー、および、重合性不飽和結合を有する親水性ポリマーが挙げられ、これらを重合(又は結合)させて、親水性に優れたグラフトポリマーが生成される。
(重合性不飽和結合を有する親水性モノマー)
本発明に用いることができる重合性不飽和結合を有する親水性モノマー(以下、重合性基含有親水性モノマーと称する。)とは、分子内に、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基が導入され、かつ、親水性官能基を有するモノマーである。
この重合性基含有親水性モノマーが有する親水性官能基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基、アミノ基及びその塩、アミド基、水酸基、エーテル基、ポリオキシエチレン基などを挙げることができる。
本発明において特に有用な重合性基含有親水性モノマーの具体例としては、次のモノマーを挙げることができる。例えば、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、スチレンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチレン(メタ)アクリレート、3−スルホプロピレン(メタ)アクリレート若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート若しくはそれらの塩、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリレート、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)アンモニウムクロライド、などを使用することができる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなども有用である。
また疎水性であっても極性のモノマーとしては2−ビニルビリジン,4−ビニルピリジン,N−ビニルイミダゾールなどを挙げることができる。
(重合性不飽和結合を有する親水性マクロモノマー)
本発明に用いることができる重合性不飽和結合を有する親水性マクロモノマー(以下、重合性基含有親水性マクロモノマーと称する。)とは、分子内に、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基が導入され、かつ、親水性官能基を有するマクロモノマーである。
本発明において特に有用な重合性基含有親水性マクロモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、及びその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロモノマー、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド系マクロモノマー、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどのN−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマクロモノマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアルコキシ基若しくはエチレンオキシド基含有モノマーから誘導されるマクロモノマーである。またポリエチレングリコール鎖若しくはポリプロピレングリコール鎖を有するモノマーも本発明のマクロモノマーとして有用に使用することができる。
これらのマクロモノマーの製造方法は、例えば、平成1年9月20日にアイピーシー出版局発行の「マクロモノマーの化学と工業」(編集者 山下雄也)の第2章「マクロモノマーの合成」に各種の製法が提案されている。
これらの重合性基含有親水性マクロモノマーのうち有用なものの分子量は、250〜10万の範囲で、特に好ましい範囲は400〜3万である。
(重合性不飽和結合を有する親水性ポリマー)
また、本発明に用いることができる重合性不飽和結合を有する親水性ポリマー(以下、重合性基含有親水性ポリマーと称する。)とは、分子内に、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基が導入され、かつ、親水性官能基を有するポリマーである。
本発明に用いることができる重合性基含有親水性ポリマーの具体例としては、例えば、上述の重合性基含有親水性モノマーや重合性基含有親水性マクロモノマーの具体例から選ばれる少なくとも一種を用いて得られる親水性ホモポリマー若しくはコポリマーが挙げられる。
なお、重合性不飽和結合を有する化合物として、重合性基含有親水性ポリマーを用いる場合には、重合開始層表面にグラフト重合する際に、必ずしも連鎖重合反応を必要とするものではなく、少量の重合性基が反応するだけでもよい。
また、重合開始層が固定されている基板として、親水性の表面を有する基板を用いた場合は、重合性不飽和結合を有する化合物には、疎水性の化合物を使用することが好ましい。かかる疎水性の化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、スチレンなどの疎水性モノマーが用いられ、これら疎水性の化合物を重合(又は結合)させて、疎水性グラフトポリマーが生成される。
本発明において、重合性不飽和結合を有する化合物の含有量は、グラフトポリマー層組成物の全固形分に対して、5〜95質量%程度が好ましく、5〜80質量%がより好ましい。
(アルカリ可溶性高分子化合物)
本発明におけるグラフトポリマー層組成物には、膜性向上のため、アルカリ可溶性高分子化合物が含まれることが好ましい。かかるアルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、ポリヒドロキシスチレン類、ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、ヒドロキシスチレン−無水マレイン酸共重合体、アルカリ可溶性基を有するアクリル系ポリマー、アルカリ可溶性基を有するウレタン型ポリマー等が挙げられる。ここでアルカリ可溶性基としてはカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、イミド基等が挙げられる。
また、ポリ−p−ヒドロキンスチレン、ポリ−m−ヒドロキンスチレン、p−ヒドロキシスチレン−N−置換マレイミド共重合体、p−ヒドロキシスチレン−無水マレイン酸共重合体等のヒドロキシスチレン系ポリマーを用いる場合には質量平均分子量が2,000〜500,000、更に、4,000〜300,000のものが好ましい。
アルカリ可溶性基を有するアクリル系ポリマーの例としては、メタクリル酸−ベンジルメタクリレート共重合体、ポリ(ヒドロキシフェニルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシエチルアクリレート)、ポリ(2、4−ジヒドロキシフェニルカルボニルオキシエチルアクリレート)や、特願平8−211731明細書に記載のポリマー等が挙げられる。これらのアクリル系ポリマーは質量平均分子量が2,000〜500,000、好ましくは4,000〜300,000のものが好ましい。
アルカリ可溶性基を有するウレタン型ポリマーの例としては、ジフェニルメタンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネート、テトラエチレングリコール、2、2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸を反応させて得られる樹脂等が挙げられる。
これらのアルカリ可溶性ポリマーのうち、ヒドロキシスチレン系ポリマー及びアルカリ可溶性基を有するアクリル系共重合体は現像性の点で好ましい。
本発明において、アルカリ可溶性高分子化合物は、酸分解性基で保護されていてもよく、該酸分解性基としては、エステル基、カーバメイト基等が挙げられる。
本発明において、これらのアルカリ可溶性高分子化合物の含有量は、グラフトポリマー層組成物の全固形分中、10〜90質量%程度が好ましく、20〜85質量%がより好ましく、30〜80質量%が更に好ましい。アルカリ可溶性高分子化合物の含有量が10質量%以上あれば、グラフトポリマー層の耐久性に優れ、また、90質量%以下であれば感度の低下を防止し、またグラフトポリマー層の耐久性の低下を抑えることができる。
また、これらのアルカリ可溶性高分子化合物は、1種類のみで使用してもよいし、或いは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、アルカリ可溶性高分子化合物としては、線状有機高分子重合体を用いてもよい。このような「線状有機高分子重合体」としては、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像或いは弱アルカリ水現像を可能とする水或いは弱アルカリ水可溶性又は膨潤性である線状有機高分子重合体が選択される。線状有機高分子重合体は、組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水或いは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性線状有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。
このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、即ち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。また同様に、側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体をも用いることができる。この他に水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
特に、これらの中で、〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体及び〔アリル(メタ)アクリレート(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体が、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、アルカリ可溶性高分子化合物として好適である。
また、特開平11−171907号公報に記載のアミド基を有し、アルカリ水に可溶性である高分子バインダーも、優れた現像性と膜強度を併せ持ち、アルカリ可溶性高分子化合物として好適である。
好ましい実施態様において、アルカリ可溶性高分子化合物としては、実質的に水不溶で、かつ、アルカリ可溶なものが用いられる。そうすることで、現像液として、環境上好ましくない有機溶剤を用いないか、若しくは、非常に少ない使用量に制限できる。このような使用法においてはアルカリ可溶性高分子化合物の酸価(ポリマー1gあたりの酸含率を化学等量数で表したもの)と分子量は、膜強度と現像性の観点から適宜選択される。好ましい酸価は、0.4〜3.0meq/gであり、好ましい分子量は、3000から50万の範囲で、より好ましくは、酸価が0.6〜2.0であり、分子量が、1万から30万の範囲である。
(その他の成分)
本発明におけるグラフトポリマー層組成物には、種々の特性を付与するため、必要に応じて上記以外に種々の化合物を添加してもよい。
〔熱重合禁止剤〕
本発明におけるグラフトポリマー層組成物には、グラフトポリマー層の製造中或いは保存中において、重合性不飽和結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合禁止剤の添加量は、グラフトポリマー層組成物中の不揮発性成分の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、グラフトポリマー層組成物中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
上述の重合性不飽和結合を有する化合物を溶解するための溶媒としては、該重合性不飽和結合を有する化合物や、必要に応じて添加される添加剤が溶解可能ならば特に制限はなく、例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、水等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。
中でも、水、水溶性溶剤などの水性溶剤が好ましく、これらの混合物や、溶剤に更に界面活性剤を添加したものなどが好ましい。
水溶性溶剤は、水と任意の割合で混和しうる溶剤を言い、そのような水溶性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリンの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトンの如きケトン系溶剤、ホルムアミドの如きアミド系溶剤、などが挙げられる。
これらの溶媒は、単独或いは、2種以上を混合して使用される。溶媒中の上記グラフトポリマー層組成物(全固形分)の濃度は、重合の速度を制御する観点から、1〜50質量%であることが好ましい。
〔界面活性剤〕
また、本発明におけるグラフトポリマー層組成物には、グラフトポリマー層組成物を重合開始層上へのグラフトポリマー層組成物溶液の塗布性を良化するため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
両面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工業社製)等が挙げられる。上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の重合開始層(全固形分)に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
また、フッ素系界面活性剤の具体例としては、i)3〜20の炭素原子を有しかつ40wt%以上のフッ素を含有し、末端部分が少なくとも3つの十分にフッ素化された炭素原子を有するフルオロ脂肪族基(以下Rf基という)を含有するアクリレートまたはRf基を含有するメタクリレートとii)ポリ(オキシアルキレン)アクリレートまたはポリ(オキシアルキレン)メタクリレートとの共重合体等が挙げられる。フッ素系界面活性剤の好ましい添加量は、グラフトポリマー層組成物溶液の全固形分中、0.01〜1質量%、更に好ましくは0.05〜0.5質量%である。
〔可塑剤〕
更に、本発明におけるグラフトポリマー層組成物には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられることが好ましい。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジへキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタアクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
〔その他の添加剤〕
これら以外にも、本発明におけるグラフトポリマー層組成物には、前述のオニウム塩やハロアルキル置換されたs−トリアジン、及びエポキシ化合物、ビニルエーテル類、更には特願平7−18120号公報に記載のヒドロキシメチル基を持つフェノール化合物、アルコキシメチル基を有するフェノール化合物等を添加してもよい。
ここで、上述したグラフトポリマーを構成するグラフトポリマー構成単位の例(G1〜G8)を下記に示すが、本発明におけるグラフトポリマーの構成単位は、これらに限定されるものではない。
Figure 2009003998
前記グラフトポリマー層組成物溶液の塗布量は、乾燥後の質量が、0.1〜20g/mとなる量が好ましく、更に、2〜15g/mが好ましい。塗布量が0.lg/m以上あれば、重合開始能を十分に発現でき、グラフト重合を十分に行うことができるため、所望の強固なグラフト構造を得ることができる。また、塗布量が20g/m以内であれば、膜剥がれを起こしにくく、膜性の低下を防止することができる。
〔重合開始層に活性種を与えるためのエネルギー付与〕
重合開始層に、活性種を与えるためのエネルギー付与方法には特に制限はなく、重合開始層中の重合開始剤を分解させ得るエネルギーを付与できる方法であれば、例えば、露光等の活性光線照射などが、コスト、装置の簡易性の観点から好ましい。
即ち、エネルギー付与に使用し得る活性光線としては、紫外線、可視光、赤外光が挙げられるが、これらの活性光線の中でも、紫外線、可視光が好ましく、重合速度に優れるという点から紫外線が特に好ましい。活性光線の主たる波長が250nm以上800nm以下であることが好ましい。
光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、蛍光ランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、タングステン白熱ランプ、太陽光などが挙げられる。
活性光線の照射の所要時間は目的とする親/疎水化度及び使用する光源により異なるが、通常数秒〜24時間である。
上述のようにして生成したグラフトポリマーにより形成されるグラフトポリマー層の厚さは、0.001〜10g/mの範囲であることが好ましく、0.01〜5g/mの範囲であることがより好ましい。このパターンの厚さが0.001g/m以上であると、親水性の特性を効果的に発現することができ、このパターンの厚さが10g/m以下であれば、作製されたパターン形成材料を光透過型の画像形成材料として用いる場合、透過度の減少を抑えることができる。
上述のようにして生成したグラフトポリマーは、重合開始層と直接結合しているものであるため、耐久性に優れたものとなる。
本発明において、グラフトポリマーが「親水性に優れた」とは、水との接触角に換算して20゜以下の水濡れ性を呈する状態をいう。接触角の測定方法は、公知の方法が適用でき、例えば、協和界面科学(株)製、CA−Zなどの市販の装置を用いて接触角(空中水滴)を測定する方法などを適用することができる。この方法で、接触角に換算して20゜以下であれば、本発明の好ましい親水性が達成されていると判断することができる。
上述した本発明のパターン形成工程によれば、基板上に、予め重合開始層をパターン画像様に設け、その重合開始層上に、グラフトポリマーを生成させるという工程を用いている。この工程により形成されたパターンは、親水性領域と疎水性領域との間に明確な境界を付与することができるため、緻密さや精細さを求められるような、種々の用途に応用することが容易になる。
−磁性領域形成工程−
磁性領域形成工程では、前記パターンに、CuAu型またはCuAu型強磁性規則合金を形成し得る合金粒子を含有する合金粒子含有液を塗布し、更にアニール処理をすることにより、物理的に独立した複数の磁性領域を形成する。
このように、基板上のパターン(グラフトポリマー層)に、CuAu型またはCuAu型強磁性規則合金を形成し得る合金粒子を含有する合金粒子含有液を塗布して、物理的に独立した複数の磁性領域を形成することで、遷移ノイズを低減させることができる。
本発明において、「物理的に独立した複数の磁性領域」とは、図1に示すように、実質的に非磁性のもの(非磁性領域20)が磁性領域10間に存在することをいう。例えば、磁性領域10が基板から凸の形で形成される場合は、非磁性のもの(以下、非磁性物ともいう)は空気であり、基板中に埋め込まれた場合は、非磁性物は基板あるいは、後述のマトリックス層である。以下、符号を略して説明する。
磁性領域は、内部で磁性粒子が自己組織化していることが望ましい。これにより磁性領域内が均一となり、ノイズ低減効果が期待できる。磁性粒子は、通常、球状であることから、磁性粒子を自己組織化させるためには、磁性領域は、正三角形、正三角形を基本とする多角形、すなわち、正三角形を二つ組み合わせたひし形、正三角形を奇数個組合わせた台形、偶数個組合わせた平行四辺形あるいは正三角形を6つ組合わせた6角形であることが好ましい態様である。
磁性領域の大きさは、その形状が点状あるいは線状の場合において、最短距離(例えば、短辺や対角線)が好ましくは20〜1000nmであり、より好ましくは25〜500nmである。磁性領域は遷移ノイズをより低下させるために磁気的に独立していることが好ましい。このため、複数の磁性領域が存在する場合、磁性領域間が離れていることが望ましい。離し過ぎると記録密度が低くなってしまうので、この間隔(最小間隔)は5〜200nmが好ましく、より好ましくは10〜100nmである。
次に、前記磁性領域を構成する磁性粒子(CuAu型またはCuAu型強磁性規則合金の粒子)について説明する。
(合金粒子の作製)
後述するアニール処理により磁性粒子(CuAu型またはCuAu型強磁性規則合金の粒子)となる、合金相が不規則相の合金粒子は、気相法や液相法により製造することができる。量産性に優れることを考慮すると、液相法が好ましい。液相法としては、従来から知られている種々の方法を適用することができるが、これらに改良を加えた還元法を適用することが好ましく、還元法のなかでも粒径が制御しやすい逆ミセル法が特に好ましい。
〔逆ミセル法〕
上記逆ミセル法は、少なくとも、(1)2種の逆ミセル溶液を混合して還元反応を行う還元工程と、(2)還元反応後に所定温度で熟成する熟成工程と、を有する。
以下、各工程について説明する。
(1)還元工程:
まず、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と還元剤水溶液とを混合した逆ミセル溶液(I)を調製する。
前記界面活性剤としては、油溶性界面活性剤が用いられる。具体的には、スルホン酸塩型(例えば、エーロゾルOT(和光純薬社製))、4級アンモニウム塩型(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)、エーテル型(例えば、ペンタエチレングリコールドデシルエーテル)などが挙げられる。
非水溶性有機溶媒中の界面活性剤量は、20〜200g/リットルであることが好ましい。
前記界面活性剤を溶解する非水溶性有機溶媒として好ましいものは、アルカン、エーテルおよびアルコール等が挙げられる。
アルカンとしては、炭素数7〜12のアルカン類であることが好ましい。具体的には、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン等が好ましい。
エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等が好ましい。
アルコールとしては、エトキシエタノール、エトキシプロパノール等が好ましい。
還元剤水溶液中の還元剤としては、アルコール類;ポリアルコール類;H;HCHO、S 2−、HPO 、BH 、N 、HPO などを含む化合物;を単独で使用、または2種以上を併用することが好ましい。
水溶液中の還元剤量は、金属塩1モルに対して、3〜50モルであることが好ましい。
ここで、逆ミセル溶液(I)溶液中の水と界面活性剤との質量比(水/界面活性剤)は、20以下となるようにすることが好ましい。質量比を20以下とすることで、沈殿の発生を抑えることができ、粒径を揃えやすい利点がある。質量比は、15以下とすることが好ましく、0.5〜10とすることがより好ましい。
上記とは別に、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と金属塩水溶液とを混合した逆ミセル溶液(II)を調製する。
界面活性剤および非水溶性有機溶媒の条件(使用する物質、濃度等)については、逆ミセル溶液(I)の場合と同様である。
なお、上記条件の範囲内であれば、逆ミセル溶液(I)と同種のものまたは異種のものを使用することができる。また、逆ミセル溶液(II)溶液中の水と界面活性剤との質量比も逆ミセル溶液(I)の場合と同様であり、逆ミセル溶液(I)の質量比と同一としてもよく、異なっていてもよい。
金属塩水溶液に含有される金属塩としては、作製しようとする合金粒子がCuAu型あるいはCuAu型強磁性規則合金を形成し得るように、適宜選択することが好ましい。
ここで、当該CuAu型強磁性規則合金としては、FeNi、FePd、FePt、CoPt、CoAuなどが挙げられ、なかでも、高Ku(磁気異方性)、高Ms(飽和磁化)の点で、FePd、FePt、CoPtであることが好ましい。
CuAu型強磁性規則合金としては、NiFe、FePd、FePt、FePt、CoPt、NiPt、CrPt、NiMnが挙げられる。
金属塩の具体例としては、HPtCl、KPtCl、Pt(CHCOCHCOCH、NaPdCl、Pd(OCOCH、PdCl、Pd(CHCOCHCOCH、HAuCl、Fe(SO、Fe(NO、(NHFe(C、Fe(CHCOCHCOCH、NiSO、CoCl、Co(OCOCHなどが挙げられる。
金属塩水溶液中の濃度(金属塩濃度として)は、0.1〜1000μmol/mlであることが好ましく、1〜100μmol/mlであることがより好ましい。
前記金属塩を適宜選択することで、卑な金属と貴な金属とが合金を形成したCuAu型もしくはCuAu型強磁性規則合金を形成し得る合金粒子が作製される。
合金粒子は後述するアニール処理によって合金相を不規則相から規則相へ変態させる必要があるが、当該変態温度を下げるために、前記2元系合金に、Sb、Pb、Bi、Cu、Ag、Zn、Inなどの第三元素を加えることが好ましい。これらの第三元素は、それぞれの第三元素の前駆体を、前記金属塩溶液に予め添加しておくことが好ましい。添加量としては、2元系合金に対し、1〜30at%であることが好ましく、5〜20at%であることがより好ましい。
以上のようにして調製した逆ミセル溶液(I)と(II)とを混合する。混合方法としては、特に限定されるものではないが、還元の均一性を考慮して、逆ミセル溶液(I)を撹拌しながら、逆ミセル溶液(II)を添加していって混合することが好ましい。混合終了後、還元反応を進行させることになるが、その際の温度は、−5〜30℃の範囲で、一定の温度とすることが好ましい。
還元温度を−5℃〜30℃とすることで、水相が凝結して還元反応が不均一になることを防止することが可能となり、また、凝集または沈殿の発生を抑制することができる利点がある。好ましい還元温度は0〜25℃であり、より好ましくは5〜25℃である。
ここで、前記「一定温度」とは、設定温度をT(℃)とした場合、当該TがT±3℃の範囲にあることをいう。なお、このようにした場合であっても、当該Tの上限および下限は、上記還元温度(−5〜30℃)の範囲にあるものとする。
還元反応の時間は、逆ミセル溶液の量等により適宜設定する必要があるが、1〜30分とすることが好ましく、5〜20分とすることがより好ましい。
還元反応は、粒径分布の単分散性に大きな影響を与えるため、できるだけ高速攪拌しながら行うことが好ましい。
好ましい攪拌装置は高剪断力を有する攪拌装置であり、詳しくは、攪拌羽根が基本的にタービン型あるいはパドル型の構造を有し、さらに、その羽根の端もしくは、羽根と接する位置に鋭い刃を付けた構造であり、羽根をモーターで回転させる攪拌装置である。具体的には、ディゾルバー(特殊機化工業社製)、オムニミキサー(ヤマト科学社製)、ホモジナイザー(SMT社製)などの装置が有用である。これらの装置を用いることにより、単分散な合金粒子を安定な分散液として合成することができる。
前記逆ミセル溶液(I)および(II)の少なくともいずれかに、アミノ基またはカルボキシ基を1〜3個有する少なくとも1種の分散剤を、作製しようとする合金粒子1モル当たり、0.001〜10モル添加することが好ましい。
かかる分散剤を添加することで、より単分散で、凝集の無い合金粒子を得ることが可能となる。
添加量を0.001〜10モルとすることで、合金粒子の単分散性をより向上させることが可能となり、また、凝集の発生を防ぐことができる。
前記分散剤としては、合金粒子表面に吸着する基を有する有機化合物が好ましい。具体的には、アミノ基、カルボキシ基、スルホン酸基またはスルフィン酸基を1〜3個有するものであり、これらを単独または併用して用いることができる。
構造式としては、R−NH、NH−R−NH、NH−R(NH)−NH、R−COOH、COOH−R−COOH、COOH−R(COOH)−COOH、R−SOH、SOH−R−SOH、SOH−R(SOH)−SOH、R−SOH、SOH−R−SOH、SOH−R(SOH)−SOHで表される化合物であり、式中のRは直鎖、分岐または環状の飽和、不飽和の炭化水素である。
分散剤として特に好ましい化合物はオレイン酸である。オレイン酸はコロイドの安定化において周知の界面活性剤であり、鉄等の金属粒子を保護するのに用いられてきた。オレイン酸の比較的長い(たとえば、オレイン酸は18炭素鎖を有し長さは〜20オングストローム(〜2nm)である。オレイン酸は脂肪族ではなく二重結合が1つある)鎖は粒子間の強い磁気相互作用を打ち消す重要な立体障害を与える。
エルカ酸やリノール酸など類似の長鎖カルボン酸もオレイン酸同様に(たとえば、8〜22の間の炭素原子を有する長鎖有機酸を単独でまたは組み合わせて用いることができる)用いられる。オレイン酸は(オリーブ油など)容易に入手できる安価な天然資源であるので好ましい。また、オレイン酸から誘導されるオレイルアミンもオレイン酸同様有用な分散剤である。
以上のような還元工程では、CuAu型あるいはCuAu型強磁性規則合金相中のCo、Fe、Ni、Cr等の酸化還元電位が卑な金属(−0.2V(vs.N.H.E)程度以下の金属)が還元され、極小サイズで単分散な状態で析出するものと考えられる。その後、昇温段階および後述する熟成工程において、析出した卑な金属を核とし、その表面で、Pt、Pd、Rh等の酸化還元電位が貴な金属(−0.2V(vs.N.H.E)程度以上の金属)が卑な金属で還元されて置換、析出する。イオン化した卑な金属は還元剤で再度還元されて析出すると考えられる。このような繰返しによって、CuAu型あるいはCuAu型強磁性規則合金を形成し得る合金粒子が得られる。
(2)熟成工程:
還元反応終了後、反応後の溶液を熟成温度まで昇温する。
前記熟成温度は、30〜90℃で一定の温度とすることが好ましく、その温度は、前記還元反応の温度より高くする。また、熟成時間は、5〜180分とすることが好ましい。熟成温度および時間が上記範囲より高温長時間側にずれると、凝集または沈殿が起きやすく、逆に低温短時間側にずれると、反応が完結しなくなり組成が変化することがある。好ましい熟成温度および時間は40〜80℃および10〜150分であり、より好ましい熟成温度および時間は40〜70℃および20〜120分である。
ここで、前記「一定温度」とは、還元反応の温度の場合と同義(但し、この場合、「還元温度」は「熟成温度」となる)であるが、特に、上記熟成温度の範囲(30〜90℃)内で、前記還元反応の温度より5℃以上高いことが好ましく、10℃以上高いことがより好ましい。5℃以上高くすることで、処方通りの組成が得られやすくなる。
以上のような熟成工程では、還元工程で還元析出した卑な金属上に貴な金属が析出する。
すなわち、卑な金属上でのみ貴な金属の還元が起こり、卑な金属と貴な金属とが別々に析出することが無いため、効率良くCuAu型あるいはCuAu型強磁性規則合金を形成し得る合金粒子を、高収率で処方組成比どおりに作製することが可能で、所望の組成に制御することができる。また、熟成の際の温度の撹拌速度を適宜調製することで、得られる合金粒子の粒径を所望なものとすることができる。
前記熟成を行った後は、水と1級アルコールとの混合溶液で前記熟成後の溶液を洗浄し、その後、1級アルコールで沈殿化処理を施して沈殿物を生成させ、該沈殿物を有機溶媒で分散させる洗浄・分散工程を設けることが好ましい。
かかる洗浄・分散工程を設けることで、不純物が除去され、パターン上に合金粒子含有液を塗布する際の塗布性をより向上させることができる。
上記洗浄および分散は、少なくともそれぞれ1回、好ましくは、それぞれ2回以上行う。
洗浄で用いる前記1級アルコールとしては、特に限定されるものではないが、メタノール、エタノール等が好ましい。体積混合比(水/1級アルコール)は、10/1〜2/1の範囲にあることが好ましく、5/1〜3/1の範囲にあることがより好ましい。
体積混合比を10/1〜2/1の範囲とすることで、界面活性剤が除去されやすくなり、凝集の発生を抑制することができる。
以上のようにして、溶液中に分散した合金粒子(合金粒子含有液)が得られる。
当該合金粒子は、単分散であるため、基板に塗布しても、これらが凝集することなく均一に分散した状態を保つことができる。従って、アニール処理を施しても、それぞれの合金が凝集することがないため、効率良く強磁性化することが可能で、塗布適性に優れる。
後述する酸化処理前の合金粒子の粒径は、ノイズを下げる観点から小さいことが好ましい。酸化処理前の合金粒子の粒径が小さいとアニール後に超常磁性となることを抑制し、磁気記録に不適当となることを防止することができる。一般に、1〜100nmであることが好ましく、1〜20nmであることがより好ましく、3〜10nmであることがさらに好ましい。
(還元法)
還元法でCuAu型あるいはCuAu型強磁性規則合金を形成し得る合金粒子を作製するには種々の方法があるが、少なくとも、酸化還元電位が卑な金属(以下、単に「卑な金属」ということがある)と、酸化還元電位が貴な金属(以下、単に「貴な金属」ということがある)と、を有機溶剤もしくは水、または有機溶剤と水との混合溶液中で還元剤等を使用して還元する方法を適用することが好ましい。
卑な金属と貴な金属との還元順序は、特に限定されず、同時に還元してもよい。
前記有機溶剤としては、アルコール、ポリアルコール等を使用することが可能で、アルコールとしては、メタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられ、ポリアルコールとしては、エチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
なお、CuAu型あるいはCuAu型強磁性規則合金の例としては、既述の逆ミセル法の場合と同様である。
また、貴な金属を先に析出させて合金粒子を調製する方法としては、特願2001−269255号公報の段落18〜30等に記載の方法等を適用することができる。
酸化還元電位が貴な金属としては、Pt、Pd、Rh等が好ましく用いることができ、HPtCl・6HO、Pt(CHCOCHCOCH、RhCl・3HO、Pd(OCOCH、PdCl、Pd(CHCOCHCOCH等を溶媒に溶解して用いることができる。溶液中の金属の濃度は、0.1〜1000μmol/mlが好ましく、0.1〜100μmol/mlがより好ましい。
また、酸化還元電位が卑な金属としては、Co、Fe、Ni、Crを好ましく用いることができ、特に好ましくは、Fe、Coである。このような金属は、FeSO・7HO、NiSO・7HO、CoCl・6HO、Co(OCOCH・4HO等を溶媒に溶解して用いることができる。溶液中の金属の濃度は、0.1〜1000μmol/mlが好ましく、0.1〜100μmol/mlがより好ましい。
また、既述の逆ミセル法と同様に2元系合金に、第三元素を加える事で強磁性規則合金への変態温度を下げる事が好ましい。添加量としては逆ミセル法と同様である。
例えば、還元剤を用いて卑な金属と貴な金属とをこの順に還元して析出させる場合、−0.2V(vs.N.H.E)より卑な還元電位を持つ還元剤を用いて卑な金属あるいは卑な金属と貴な金属の一部を還元したものを、貴な金属源に加え酸化還元電位が−0.2V(vs.N.H.E)より貴な還元剤を用いて還元した後、−0.2V(vs.N.H.E)より卑な還元電位を持つ還元剤を用いて還元する事が好ましい。
酸化還元電位は系のpHに依存するが、酸化還元電位が−0.2V(vs.N.H.E)より貴な還元剤には、1,2−ヘキサデカンジオール等のアルコール類、グリセリン類、H、HCHOが好ましく用いられる。
−0.2V(vs.N.H.E)より卑な還元剤にはS 2−、HPO 、BH 、N 、HPO が好ましく用いる事ができる。
なお、卑な金属の原料として、Feカルボニル等の0価の金属化合物を用いる場合は、特に卑な金属の還元剤は必要ない。
貴な金属を還元析出させる際に吸着剤を存在させる事で合金粒子を安定して調製することができる。吸着剤としてはポリマーや界面活性剤を使用することが好ましい。
前記ポリマーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリN−ビニル−2ピロリドン(PVP)、ゼラチン等が挙げられる。なかでも、特に好ましくはPVPである。
また、分子量は2万〜6万が好ましく、より好ましくは3万〜5万である。ポリマーの量は生成する合金粒子の質量の0.1〜10倍であることが好ましく、0.1〜5倍がより好ましい。
吸着剤として好ましく用いられる界面活性剤は、一般式:R−X、で表される長鎖有機化合物である「有機安定剤」を含むことが好ましい。上記一般式中のRは、直鎖または分岐ハイドロカーボンまたはフルオロカーボン鎖である「テール基」であり、通常8〜22個の炭素原子を含む。また、上記一般式中のXは、合金粒子表面に特定の化学結合を提供する部分である「ヘッド基」であり、スルフィネート(−SOOH)、スルホネート(−SOOH)、ホスフィネート(−POOH)、ホスホネート(−OPO(OH))、カルボキシレート、およびチオールのいずれかであることが好ましい。
前記有機安定剤としては、スルホン酸(R−SOOH)、スルフィン酸(R−SOOH)、ホスフィン酸(RPOOH)、ホスホン酸(R−OPO(OH))、カルボン酸(R−COOH)、チオール(R−SH)等のいずれかであることが好ましい。これらのなかでも、逆ミセル法と同様のオレイン酸が特に好ましい。
ホスフィンと有機安定剤との組合せ(トリオルガノホスフィン/酸等)は、粒子の成長および安定化に対する優れた制御性を提供することができる。ジデシルエーテルおよびジドデシルエーテルも用いることができるが、フェニルエーテルまたはn−オクチルエーテルはその低コストおよび高沸点のため溶媒として好適に用いられる。
還元反応は必要な合金粒子および溶媒の沸点により80℃〜360℃の範囲の温度で行うことが好ましく、80℃〜240℃がより好ましい。80℃〜360℃とすることで、粒子の成長を促進することが可能となり、望ましくない副産物の生成を抑制することができる。
合金粒子の粒径は逆ミセル法と同様で、1〜100nmが好ましく、より好ましくは3〜20nmであり、さらに好ましくは3〜10nmである。
粒子サイズ(粒径)を大きくする方法としては種晶法が有効である。磁気記録媒体として用いるには合金粒子を最密充填することが記録容量を高くする上で好ましく、そのためには、合金粒子のサイズの標準偏差は10%未満が好ましく、より好ましくは5%以下である。粒子サイズの変動係数は10%未満が好ましく、5%以下がより好ましい。
粒子サイズが小さすぎると超常磁性となり好ましくない。そこで粒子サイズを大きくするため既述のように、種晶法を用いることが好ましい。その際、粒子を構成する金属より貴な金属を析出させるケースが出てくる。このとき、粒子の酸化が懸念されるため、予め粒子を水素化処理することが好ましい。
合金粒子の最外層は酸化防止の観点から貴な金属にすることが好ましいが、凝集しやすいため、本発明では貴な金属と卑な金属との合金であることが好ましい。かかる構成は、既述のような、液相法によれば容易かつ効率良く実現させることができる。
合金粒子合成後に溶液から塩類を除くことは、合金粒子の分散安定性を向上させる意味から好ましい。脱塩にはアルコールを過剰に加え、軽凝集を起こし、自然沈降あるいは遠心沈降させ塩類を上澄みと共に除去する方法があるが、このような方法では凝集が生じやすいため、限外濾過法を採用することが好ましい。
以上のようにして、溶液中に分散した合金粒子(合金粒子含有液)が得られる。
本工程では、CuAu型またはCuAu型強磁性規則合金を形成し得る合金粒子を含有する合金粒子含有液をパターン(グラフトポリマー層)上に塗布する。これにより、パターン上に合金粒子含有層が形成される。当該合金粒子含有層中の合金粒子に対して、後述するアニール処理等を行って、当該合金粒子含有層中の合金粒子が磁性粒子となることで、合金粒子含有層は磁性層となり、基板上に磁性領域が形成される。
前記合金粒子含有液には、必要に応じて、後述するマトリックス剤や、種々の添加剤を添加してもよい。マトリックス剤は、後述のものを1種以上添加し、その含有量が、0.007〜1.0μg/mlなるようにすることが好ましく、0.01〜0.7μg/mlとなるようにすることがより好ましい。
前記合金粒子含有液に添加してもよいマトリックス剤は公知のものを用いることができるが、耐熱性に優れる金属酸化マトリックス剤が好ましく用いられる。金属酸化マトリックス剤に耐熱性があると、後述するアニール処理等により高温処理をする際に、高熱によりグラフトポリマーが炭化、崩壊を生じたときに、磁性領域が耐熱性マトリックス剤と磁性体からなることから、磁性領域のパターンを維持することができるので好ましい。
金属酸化物マトリックスは非磁性であることが好ましい。非磁性とすることで、図1に示すように、非磁性のマトリックス層(非磁性領域20)が磁性領域10間に存在することとなるため、単磁区構造を持つ磁性粒子間の接触がなくなり、磁気記録したときの遷移ノイズをより減少させるといった効果が得られる。
非磁性の金属酸化物マトリックスは、シリカ、チタニアおよびポリシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種のマトリックス剤からなることが好ましく、具体的には、オルガノシリカゾル(例えば、日産化学製シリカゾル、シーアイ化成製ナノテックSiO2)、オルガノチタニアゾル(例えば、シーアイ化成製ナノテックTiO2)およびシリコーン樹脂(例えば、東レ製トレフィルR910)からなる群から選ばれる少なくとも1種のマトリックス剤からなることが好ましい。上記材料は、磁性層の耐傷性および密着性を高めるのに特に有効である。なお、上記マトリックス剤が主成分となっていれば、これらの他に種々の公知の添加剤が磁性層中に添加されていてもよい。
マトリックス層中に、上記磁性粒子を含有する層(磁性層)を磁性領域として点在させることで、高い保磁力を有しながら、当該磁性領域の耐傷性を高め、パターン(グラフトポリマー層)との密着性を高めることができる。
これは、強磁性規則合金とするためのアニール処理を施しても、金属酸化物マトリックスがバインダーとしての役割を果たすため、基板との密着性を高い状態に維持することが可能となるからである。また、アニール処理を行っても、金属酸化物マトリックスの構成が変化せずに、強固な磁性層が形成されるため、有機分散剤やポリマーの炭化による膜強度の低下が抑制され、耐傷性を向上させることができる。
さらに、金属酸化物マトリックスを始めとしたマトリックス剤中に含有された磁性粒子は、互いに凝集することがなく、高分散な状態を維持することができるので、強磁性を効率よく発揮することができる。
合金粒子の粒径評価には透過型電子顕微鏡(TEM)を用いることができる。合金粒子もしくは磁性粒子の結晶系を決めるにはTEMによる電子回折でもよいが、X線回折を用いた方が、精度が高いため好ましい。合金粒子もしくは磁性粒子の内部の組成分析には、電子線を細く絞ることができるFE−TEMにEDAXを付け評価することが好ましい。また、合金粒子もしくは磁性粒子の磁気的性質の評価はVSMを用いて行うことができる。
(酸化処理)
作製した合金粒子に酸化処理を施すことで、後述のアニール処理を施す際の温度を高くすることなく、強磁性を有する磁性粒子を効率よく製造することができる。これは、以下に説明する現象によると考えられる。
すなわち、まず、合金粒子を酸化することで、その結晶格子上に酸素が進入する。酸素が進入した状態でアニール処理を行うと、熱により酸素が結晶格子上から脱離する。酸素が脱離することで欠陥が生じ、かかる欠陥を通じて合金を構成する金属原子の移動が容易になるため、比較的低温でも相変態が起こりやすくなると考えられる。
かかる現象は、例えば、酸化処理後の合金粒子とアニール処理を行った磁性粒子とをEXAFS(広範囲X線吸収微細構造)測定することで、推察される。
例えば、Fe−Pt合金粒子で酸化処理を施さない合金粒子では、Fe原子と、Pt原子やFe原子との結合の存在が確認できる。
これに対し、酸化処理を施した合金粒子では、Fe原子と酸素原子との結合の存在を確認できる。しかし、Pt原子やFe原子との結合はほとんど見えなくなる。このことは、酸素原子によりFe−Pt、Fe−Feの結合が切られていることを意味する。これによりアニール時にPt原子やFe原子が動きやすくなったと考えられる。
そして、当該合金粒子にアニール処理を施した後は、酸素の存在を確認することができず、Fe原子の周りにはPt原子やFe原子との結合の存在が確認できる。
上記現象を考慮すれば、酸化しないと相変態が進行しにくくなりアニール処理温度を高くする必要が生じることがわかる。しかし、過度に酸化するとFe等の酸化されやすい金属と酸素との相互作用が強くなりすぎて金属酸化物が生成してしまうことも考えられる。
よって、合金粒子の酸化状態を制御することが重要となり、そのためには酸化処理条件を最適なものに設定する必要がある。
酸化処理は、例えば、既述の液相法などにより合金粒子を作製した場合は、作製した後の合金粒子含有液に少なくとも酸素を含有するガスを供給すればよい。
このときの酸素分圧は、全圧の10〜100%とすることが好ましく、15〜50%とすることが好ましい。
また、酸化処理温度は、0〜100℃とすることが好ましく、15〜80℃とすることが好ましい。
合金粒子の酸化状態は、EXAFS等で評価することが好ましく、Fe等の卑な金属と酸素との結合数は、酸素によりFe−Fe結合、Pt−Fe結合を切るという観点から、0.5〜4であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。
また、酸化処理は、上記合金粒子を基板上などに塗布もしくは固定した状態で、室温(0〜40℃)で空気中に暴露して行ってもよい。基板上等で塗布した状態で行うことで、合金粒子の凝集を防ぐことができる。当該酸化処理の時間としては、1時間〜48時間とすることが好ましく、3時間〜24時間とすることがより好ましい。
また、酸化処理は、磁性領域形成工程において、塗布液を塗布した後で、塗布膜を乾燥する際に施してもよい。このときの温度は、100〜300℃とすることが好ましい。雰囲気は、酸素が存在する雰囲気であれば特に制限はなく、空気中で行うことが簡便である点で好ましい。
(アニール処理)
磁性領域を形成した後の当該領域に存在する合金粒子は不規則相である。不規則相では強磁性は得られにくい。そこで、合金粒子を規則相とするために、熱処理(アニール)を施す。熱処理は、示差熱分析(DTA)を用い、合金粒子を構成する合金が規則不規則変態する変態温度を求め、その温度以上で行う事が好ましい。
上記変態温度は、通常500℃程度であるが、第三元素の添加により下がることがある。また、既述の酸化処理やアニール処理の雰囲気を適宜変えることで、上記変態温度を下げることができる。従って、アニール処理温度は150℃以上とすることが好ましく、150〜450℃とすることがより好ましい。
磁気記録媒体として代表的なものに磁気記録テープ、フロッピー(登録商標)ディスクがある。これらは有機物基板上にウェブ状態で磁性層を形成した後、前者ではテープ状に加工し、後者ではディスク状に打ち抜き製造する。本発明は強磁性への変態温度を下げることができるという点において、有機物基板を用いる際に有効であり、これらへの応用は好ましい対応である。
ウェブ状態でアニール処理を施すには、アニール時間は短い方が好ましい。これはアニール時間が長いと、装置が長大なものとなるためである。例えば、ウェブの搬送速度を50m/minでアニール時間を30分とした場合、ライン長は1500mmになってしまう。そこで、本発明において、好ましいアニール処理時間は10分以下とすることが好ましく、5分以下とすることがより好ましい。
アニール処理時間を上記のように短縮するため、アニール処理の雰囲気は、後述するように、還元雰囲気とすることが好ましい。これは、基板の変形を防止する上で有効であり、基板からの不純物の拡散を防止する上でも有効である。
また、粒子状態でアニール処理を施すと粒子の移動が起こりやすく融着が生じやすい。このため高い保磁力は得られるが粒子サイズが大きくなる欠点を有しやすい。従ってアニール処理は、合金粒子の凝集を防ぐ観点から、パターン(グラフトポリマー層)上などに塗布された状態で行うことが好ましい。
さらに、パターン(グラフトポリマー層)上で合金粒子をアニールして磁性粒子とすることで、かかる磁性粒子からなる層を磁性層とした磁気記録媒体に供することができる。
パターン(グラフトポリマー層)上に合金粒子を塗布するには、前記酸化処理を施した後の合金粒子含有液をパターン(グラフトポリマー層)上に塗布すればよい。
このときの合金粒子の含有量は所望の濃度(0.01〜0.1mg/ml)とすることが好ましい。
パターン(グラフトポリマー層)上に塗布する方法としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。
アニール処理を施す際の雰囲気としては、相変態を効率良く進行させ合金の酸化を防ぐため、H、N、Ar、He、Ne等の非酸化性雰囲気下とする。
特に、酸化処理により格子(磁性体を構成する結晶格子)上に存在する酸素を脱離させる観点から、メタン、エタン、H等の還元性雰囲気とすることが好ましい。さらに、粒径維持の観点から、還元性雰囲気下の磁場中でアニール処理を行うことが好ましい。なお、H雰囲気とする場合は防爆の観点から、不活性ガスを混合させることが好ましい。
また、アニール時に粒子の融着を防止するために、変態温度以下、不活性ガス中で一旦アニール処理を行い、分散剤を炭化した後、還元性雰囲気中で、変態温度以上でアニール処理を行うことが好ましい。このとき、必要に応じて変態温度以下の前記アニール処理後に、合金粒子からなる層上にSi系の樹脂等を塗布し、変態温度以上でアニール処理を行うことが最も好ましい態様である。
以上のようなアニール処理を施すことで、合金粒子が不規則相から規則相に相変態し、強磁性を有する磁性粒子が得られる。
以上のようにして製造される磁性粒子は、その保磁力が95.5〜398kA/m(1200〜5000Oe)であることが好ましく、磁気記録媒体に適用した場合、記録ヘッドが対応できることを考慮して95.5〜278.6kA/m(1200〜3500Oe)であることがより好ましい。
また、当該磁性粒子の粒径は1〜100nmであることが好ましく、3〜20nmであることがより好ましく、3〜10nmであることがさらに好ましい。
本工程では、表面平滑化の点から、必要に応じて、基板を研磨することが好ましい。
前記研磨に好ましく用いられる研磨スラリーは、セリア研磨材及びシリカ研磨材を水等の分散媒に分散させて得ることができる。
本発明で好ましく用いられる研磨スラリーのために使用できるセリア研磨材は、一般に商業的に入手可能であり、例えば0.1μm〜5μm、特に0.2μm〜1.5μmの平均粒径を有することができる。
本発明で好ましく用いられる研磨スラリーのために使用できるシリカ研磨材は、フュームドシリカ、沈降シリカ、コロイダルシリカ等として一般に商業的に入手可能であり、特にコロイダルシリカを用いることができる。このコロイダルシリカは、例えば0.01μm〜0.2μm、特に0.04μm〜0.2μmの平均粒径を有することができる。
本発明で好ましく用いられる研磨スラリーのために用いることができる分散媒としては、水、有機溶媒、例えば水溶性有機溶媒が挙げることができ、水は好ましい分散媒である。
本発明で好ましく用いられる研磨スラリーは随意に分散剤としての界面活性剤を含有することができ、この界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等や両性イオン界面活性剤、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。
本発明で好ましく用いられる研磨スラリーは特に、結晶質相部分と非晶質相部分とを有する結晶化ガラス基板の研磨のために有用である。これは、研磨スラリーのセリア研磨材が、結晶化ガラス基板の非晶質相部分に対して化学及び機械的な作用によって良好な研磨作用を発揮し、且つ本発明の研磨スラリーのシリカ研磨材が、セリア研磨材のみによっては迅速な研磨が達成できない結晶質相部分に対しても、機械的な作用によって良好な研磨作用を発揮することによる。また更に、研磨スラリーでは、研磨材を低濃度で用いて良好な研磨性能を発揮できるので、研磨スラリーのコストを低減させることができる。
本発明で好ましく用いられる研磨スラリーを用いて基板の研磨を行う場合、研磨布を張った上下定盤を研磨部材として用いて、キャリアによって保持された複数の基板をこれらの研磨部材の間に挟持させ、上下定盤を回転させることによって、基板の両面を同時に研磨加工することができる。また本発明の研磨スラリーは、ブラシ、研磨テープ、研磨パッド等を用いる任意の他の研磨方法に利用することもできる。
研磨工程は、1回又は複数段階に分けて行うこともできる。複数段階に分けて行う場合一般に、媒体表面の加工変質層及び傷を除去し、媒体の端部形状を制御する粗研磨工程と、媒体表面を平滑にし、表面欠陥を除去する最終研磨工程とを行う。
粗研磨工程では、比較的硬い発泡ウレタンなどからなる研磨パッド(硬質ポリシャ)を研磨部材として用い、最終研磨工程では、比較的柔らかい人工皮革スウェードなどからなる研磨パッド(軟質ポリシャ)を研磨部材として使用する。媒体の研磨のために本発明で好ましく用いられる研磨スラリーと組み合わせて用いる研磨部材は、本発明を限定するものではない。例えば硬質ポリシャとしてはウレタンパッド、不織布パッド、エポキシ樹脂パッド等を使用することができ、軟質ポリシャとしてはスウェードパッド、不織布パッド等を使用することができる。
(保護層)
また、基板上の少なくとも磁性層(磁性領域)上に保護層を形成することで、耐磨耗性を改善し、さらにその保護層上に潤滑剤を塗布して滑り性を高めることによって、十分な信頼性を有する磁気記録媒体とすることができる。
保護層の材質としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの酸化物;窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化物;炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化物;グラファイト、無定型カーボンなどの炭素(カーボン);等があげられるが、CおよびSiの少なくともいずれかを含有してなるものが好ましい。
CおよびSiの少なくともいずれかを含有してなるものとしては、シリカ、窒化ケイ素等のSi化合物;炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化物;グラファイト、無定型カーボンなどの炭素(カーボン)が挙げられる。特に好ましくは、ダイヤモンドライクカーボンと呼ばれる硬質の非晶質のカーボンである。また、SiあるいはCを含有するゾルゲル膜で構成しても良い。
カーボンからなるカーボン保護層は、非常に薄い膜厚で十分な耐磨耗性を有し、摺動部材に焼き付きを生じ難いため、保護層の材料としては好適である。
カーボン保護層の形成方法として、ハードディスクにおいては、スパッタリング法が一般的であるが、ビデオテープ等の連続成膜を行う必要のある製品ではより成膜速度の高いプラズマCVDを用いる方法が多数提案されている。従って、これらの方法を適用することが好ましい。
中でもプラズマインジェクションCVD(PI−CVD)法は成膜速度が非常に大きく、得られるカーボン保護層も硬質かつピンホールが少ない良質なものとなることが報告されている(例えば、特開昭61−130487号公報、特開昭63−279426号公報、特開平3−113824号公報等)。
このカーボン保護層は、ビッカース硬度で1000kg/mm以上であることが好ましく、2000kg/mm以上であることがより好ましい。また、その結晶構造はアモルファス構造であり、かつ、非導電性であることが好ましい。
そして、カーボン保護層として、ダイヤモンド状炭素(ダイヤモンドライクカーボン)膜を使用した場合、この構造はラマン光分光分析によって確認することができる。すなわち、ダイヤモンド状炭素膜を測定した場合には、1520〜1560cm−1にピークが検出されることによって確認することができる。炭素膜の構造がダイヤモンド状構造からずれてくるとラマン光分光分析により検出されるピークが上記範囲からずれるとともに、保護層としての硬度も低下する。
このカーボン保護層を形成するための炭素原料としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン等のアルカン;エチレン、プロピレン等のアルケン;アセチレン等のアルキン;をはじめとした炭素含有化合物を用いることが好ましい。また、必要に応じてアルゴンなどのキャリアガスや膜質改善のための水素や窒素などの添加ガスを加えることができる。
カーボン保護層の膜厚が厚いと、電磁変換特性の悪化や磁性層に対する密着性の低下が生じ、膜厚が薄いと耐磨耗性が不足する。従って、膜厚は、2.5〜20nmとすることが好ましく、5〜10nmとすることがより好ましい。
また、この保護層と基板となる磁性層の密着性を改善するために、あらかじめ磁性層表面を不活性ガスでエッチングしたり、酸素等の反応性ガスプラズマに曝して表面改質する事が好ましい。
さらに、磁気記録媒体の走行耐久性および耐食性を改善するため、保護層上に潤滑剤層を形成することが好ましい。潤滑剤層を形成するために添加する潤滑剤としては、公知の炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、極圧添加剤などが使用できる。潤滑剤層は、フッ素原子を有する化合物を用いて形成することが好ましい。
前記炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類;ステアリン酸ブチル等のエステル類;オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類;リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類;ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類;ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類;ステアリルアミン等のアミン類;などが挙げられる。
前記フッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑剤が挙げられる。
前記パーフルオロポリエーテル基としては、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CFCFCFO)、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF)CFO)またはこれらの共重合体等である。
本発明に用いられる潤滑剤層は主にフッ素系潤滑剤から構成されることが好ましく、その塗布厚は2〜20nmが好ましく、さらに好ましくは5〜10nmである。
また、摩擦力を低減する効果が高い点から、炭化水素系潤滑剤のアルキル基の末端や分子内に水酸基、エステル基、カルボキシル基などの極性官能基を有する化合物を用いることが好適である。
さらに、この分子量は、500〜5000、好ましくは1000〜3000である。500〜5000とすることで、揮発性を低く維持し、また潤滑性を高い状態に維持することが可能となり、また、スライダーとディスクと吸着を防ぎ、走行停止やヘッドクラッシュなどの発生を防ぐことができる。
前記パーフルオロポリエーテルは、具体例的には、アウジモンド社製のFOMBLIN、デュポン社製のKRYTOXなどの商品名で市販されている。
前記極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル等のリン酸エステル類;亜リン酸トリラウリル等の亜リン酸エステル類;トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチオ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類;二硫化ジベンジル等の硫黄系極圧剤;などが挙げられる。
前記潤滑剤は、単独もしくは複数を併用して使用することができる。これらの潤滑剤を保護層上に付与する方法としては、前記潤滑剤を有機溶剤に溶解し、ワイヤーバー法、グラビア法、スピンコート法、ディップコート法等で塗布するか、真空蒸着法によって付着させることにより付与することができる。
また、潤滑剤とともに、防錆剤を使用してもよい。防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、プリン、ピリミジン等の窒素含有複素環類およびこれらの母核にアルキル側鎖等を導入した誘導体;ベンゾチアゾール、2−メルカプトンベンゾチアゾール、テトラザインデン環化合物、チオウラシル化合物等の窒素および硫黄含有複素環類およびこの誘導体;等が挙げられる。
垂直磁気記録を行う点からは、基板と磁性層との間に軟磁性層を形成することが好ましい。軟磁性層としては公知のものを用いることができる。
軟磁性層と磁性層の間にMgO等の磁性体の垂直配向を促進する層を設けることは好ましい態様である。
磁気記録媒体が高密度記録用として用いられるためには、磁気記録媒体の表面を、極めて優れた平滑性を有する表面とすることが好ましい。このような表面を得る方法として、基板上に磁性層を形成した後に、カレンダー処理を施す方法が挙げられる。また、バーニッシュ処理を施してもよい。
<磁気記録媒体>
本発明の磁気記録媒体は、既述の本発明の磁気記録媒体の製造方法により製造されたものである。本発明の磁気記録媒体の製造方法により得られるため、本発明の磁気記録媒体は、遷移ノイズを低減させることができる。
本発明の磁気記録媒体は、表面の中心線平均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて、好ましくは0.1〜5nm、より好ましくは0.25〜2nmの範囲とする。このように、極めて優れた平滑性を有する表面とすることが、高密度記録用の磁気記録媒体として好ましい。
以下、実施例をもとに本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
(FePt合金粒子の作製)
高純度Nガス中で下記の操作を行った。
NaBH(和光純薬社製)0.76gを水(脱酸素:0.1mg/リットル以下)16mlに溶解した還元剤水溶液に、エーロゾルOT(和光純薬社製)10.8gとデカン(和光純薬社製)80mlとオレイルアミン(東京化成社製)2mlとを混合したアルカン溶液を添加、混合して逆ミセル溶液(I)を調製した。
三シュウ酸三アンモニウム鉄(Fe(NH(C)(和光純薬社製)0.46gと塩化白金酸カリウム(KPtCl)(和光純薬社製)0.38gとを水(脱酸素済み)12mlに溶解した金属塩水溶液に、エーロゾルOT5.4gとデカン40mlとを混合したアルカン溶液を添加、混合して逆ミセル溶液(II)を調製した。
逆ミセル溶液(I)を22℃でオムニミキサー(ヤマト科学社製)で高速攪拌しながら、逆ミセル溶液(II)を瞬時に添加した。10分後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃に昇温して60分間熟成した。
逆ミセル溶液(I)および(II)の混合液中に、オレイン酸(和光純薬社製)2mlを添加して、室温まで冷却した。冷却後大気中に取出した。逆ミセルを破壊するために、水100mlとメタノール100mlとの混合溶液を添加して水相と油相とに分離した。油相側に合金粒子が分散した状態が得られた。油相側を水600mlとメタノール200mlとの混合洗浄液で5回洗浄した。
その後、合金粒子が分散した前記混合洗浄液中に、メタノールを1100ml添加して合金粒子にフロキュレーションを起こさせて沈降させた。上澄み液を除去して、ヘプタン(和光純薬社製)20mlを添加して再分散した。
さらに、メタノール100ml添加による沈降とヘプタン20ml分散との沈降分散を2回繰り返して、最後にヘプタン5mlを添加して、水と界面活性剤との質量比(水/界面活性剤)が2のFePt合金粒子を含む界面活性剤溶液を調製した。
得られた合金粒子について、収率、組成、体積平均粒径および分布(変動係数)の測定を行ったところ、下記のような結果が得られた。
なお、組成および収率は、ICP分光分析(誘導結合高周波プラズマ分光分析)で測定により求めた。
体積平均粒径および分布は、TEM(透過型電子顕微鏡:日立製作所製 300kV)により撮影した粒子を計測して統計処理して求めた。測定用合金粒子は、調製した合金粒子含有液から合金粒子を捕集し、十分乾燥させ、電気炉で加熱した後のものを使用した。
組成:Pt44.5at%のFePt合金、
収率:85%、
平均粒径:4.2nm、
変動係数:5%、
(合金粒子含有液の調製)
得られた合金粒子を含む界面活性剤溶液に対し、合金粒子が12質量%となるように真空脱気を行って、前記界面活性剤溶液を濃縮した。これにデカンを加え希釈し、2質量%の合金粒子含有液を調製した。
(マイクロコンタクトプリンティング)
1.PDMSスタンプの作成
パターンが形成されたシリコン基板の型枠にポリジメチルシロキサン(Sylgard184, Dow Corning社製)を流し込み,80℃で2時間加熱し硬化させた。硬化の後、マスターから剥がし取ることにより型枠のパターンが模られたポリジメチルシロキサン(PDMS)のスタンプ(PDMSスタンプ)を得た。
2.PDMSスタンプへの重合開始剤の付着
重合開始剤としてクロロシラン末端を有する炭素ハロゲン結合を有する化合物の光重合開始剤(前記P1)を使用した。これの1質量%のトルエン溶液を調製し、この溶液にPDMSスタンプを浸漬した。スタンプを溶液から引き出した後、窒素気流で30秒間乾燥させた。その後、直ちにシリコン基板(外径65mm/内径20mm−0.635mm厚に押しつけそのまま10秒間保った。次に、スタンプを離し、重合開始剤が付着した基板を、オーブンで、80℃で30分間加熱乾燥することにより、基板上に、パターン状に重合開始剤を固定化した(重合開始層の形成)。
(グラフト重合)
重合開始層が形成された基板を、アクリル酸(10質量%、溶媒:水)溶液に浸漬し、取り出した後、アルゴン雰囲気下で400w高圧水銀灯を使用し15分間光照射した。光照射後、基板をイオン交換水でよく洗浄し、重合開始層表面にアクリル酸がグラフト重合されたグラフトポリマーを生成した。パターン(グラフトポリマー層)の高さ(層厚)は13nmであった。
このグラフトポリマー層上に、上記合金粒子含有液を空気中でスピンコート法にて塗布し、合金粒子含有層を形成した。
これを、250℃の空気中で加熱し、合金粒子含有層を硬化させると共に合金粒子含有層中の合金粒子を酸化した。
さらに、研磨機MA−200D(ムサシノ電子社製)でCOMPOL20(フジミインコーポレーテッド社製)を用い、基板表面を研摩した。
(アニール処理等)
昇温速度を50℃/minとし、HとArとの混合ガス(H:Ar=5:95)雰囲気下の電気炉(450℃)中で30分間加熱し、50℃/minで室温まで降温してアニール処理を施し、強磁性規則合金からなる磁性層(磁性領域)を形成した。磁性層の層厚は20nmであった。
その後、スパッタにて5nm厚のカーボン保護層を形成した。さらに、フォンブリンZゾル(アウジモント社製)を溶媒(フロリナートFC72)で1質量%とした溶液を調製し、ディップコータで10mm/minで当該溶液から引き上げながら塗布し、保護層上に潤滑剤層を形成し、磁気記録媒体を作製した。
〔実施例2〕
実施例1の磁気記録媒体の作製工程において、光重合開始剤(前記P1)を、クロロシラン末端を有する芳香族ケトン類の光重合開始剤(前記P2)に代えたほかは、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
〔比較例1〕
実施例1の磁気記録媒体の作製工程において、基板上に重合開始層およびグラフトポリマー層を設けずに、基板上に磁性領域を形成した。具体的には下記のとおりである。
(磁性領域の形成)
(1)実施例1の磁気記録媒体の作製に用いた基板と同じ基板上にスパッタにてマトリックス層として、カーボン層を製膜した。厚みは50nmであった。
(2)次に、旭硝子サイトップを100μmの厚さで塗設し、レジスト膜を形成した。
(3)ビットパターンにしたがって紫外線露光を行い、現像処理により、ビットパターン配列を有するパターンドマスクを形成した。パターンは500nm×500nmでパターン間の間隔は100nmであった。
(4)パターンドマスクで覆われていないマトリックス層を選択的にエッチングする反応性イオンエッチング法を用いて、レジストマスクに作り込んだビット配列パターンをマトリックス層に形成した。エッチングは、直径φ1cmのビームで、エッチングレートを1μm/hとして処理した。直径φ2.5インチのディスクを処理するのに約40分要した。
(5)実施例1の磁気記録媒体の作製工程において調製した合金粒子含有液を空気中でスピンコート法にて塗布した。
(6)これを200℃で、空気中で加熱し、合金粒子を含んだ合金粒子含有層を硬化させると共に合金粒子含有層中の合金粒子を酸化した。
(7)適当な溶剤(20ppm以上のオゾンを含む水)を用いて、レジストマスクとしてのパターンドマスクを溶解除去した。
(アニール処理等)
昇温速度を50℃/minとし、H2とArとの混合ガス(H2:Ar=5:95)雰囲気下の電気炉(450℃)中で30分間加熱し、50℃/minで室温まで降温してアニール処理を施し、強磁性体からなる領域を形成した。膜厚は50nmであった。
その後、スパッタにて5nm厚のカーボン保護層を形成した。フォンブリンZゾル(アウジモント社製)を溶媒(フロリナートFC72)で1質量%とした溶液を調製し、ディップコータで10mm/minで当該溶液から引き上げながら塗布し、保護層上に潤滑剤層を形成し、磁気記録媒体を作製した。
〔比較例2〕
比較例1の磁気記録媒体の作製工程において、マトリックス層を設けなかった(したがって、マトリックス層の選択的エッチング(前記(4)に相当)もない)以外は、比較例1と同様にして、磁気記録媒体を作製した。
(評価)
−磁気特性(保磁力の測定)−
実施例1、実施例2、比較例1および比較例2で作成した磁気記録媒体をFIB(Seiko Instruments社製 SMI2050)により端面を切り出し、透過電子顕微鏡(日立製作所製H9000)で加速電圧を300kVとし観察を行った。
磁気特性(保磁力の測定)は、磁性層を磁気記録媒体ごとに測定した。ソレノイドからなる着磁機(東英工業製MPM−04)にて面内方向に40kOeの磁場をかけた後、東英工業製の高感度磁化ベクトル測定機と同社製DATA処理装置を使用し、印加磁場79
0kA/m(10kOe)の条件で行った。保磁力は実施例1、2の磁気記録媒体および比較例1、2の磁気記録媒体とも約3000Oeであった。結果を表1に示す。
−生産性−
FePtを含有する合金粒子含有液を塗布する前のパターン形成に要した時間を比較することにより、実施例1、実施例2、比較例1および比較例2の磁気記録媒体の生産性(生産効率)を評価した。磁気記録媒体が完成するまで、実施例1および実施例2では、それぞれ30分、比較例1および比較例2ではそれぞれ約2時間を要した。結果を表1に示す。
Figure 2009003998
実施例1、2および比較例1、2においても磁性領域を孤立させることが出来ていることから低い遷移ノイズが実現できていることがわかった。
また、実施例1および実施例2では比較例1、2の約1/4の時間でパターンを形成できることから、磁気記録媒体の生産効率が優れていることがわかった。
本発明の磁気記録媒体の一部を例示した平面図である。
符号の説明
10・・・磁性領域
20・・・非磁性領域

Claims (2)

  1. 基板に、マイクロコンタクトプリンティングにより重合開始剤を固定化する重合開始剤固定化工程と、
    前記基板に固定化された前記重合開始剤に重合性不飽和結合を有する化合物を接触させてグラフト重合を行うことによりグラフトポリマーのパターンを形成するパターン形成工程と、
    前記パターンに、CuAu型またはCuAu型強磁性規則合金を形成し得る合金粒子を含有する合金粒子含有液を塗布し、更にアニール処理をすることにより、物理的に独立した複数の磁性領域を形成する磁性領域形成工程と、
    を有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法により製造された磁気記録媒体。
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