JP2009002472A - 直動案内機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】軌道の摩耗をできるだけ抑制して、軌道の交換作業を実質的に不要にした直動案内機構を提供する。
【解決手段】 転動体12として、ボルト部材13の先端部に嵌合された内輪14と、球体等の転動素子15を介して内輪14の外側を回転する外輪16とを備えた玉軸受タイプの転動体を用いる。外輪16を形成する金属材料の硬度を、軌道6を形成する金属材料の硬度よりも低くする。外輪16と軌道6との硬度に差を設けると、硬度が高い軌道6が摩耗することは実質的になく、転動体12の外輪16が摩耗する。したがって転動体12の交換だけをすればよく、軌道の交換作業が不要になる。
【選択図】図2

Description

本発明は、成型品取出機等のビームを移動させる用途等に使用される直動案内機構に関するものである。
特開2001−38778号公報(特許文献1)には、成型品取出機のビームを移動させる目的で使用される直動案内機構の一例が示されている。この直動案内機構は、横行ビーム(軌道取付部を備える)に取り付けられた金属製の軌道と、横行ビームに沿って進退動作をする引抜ビーム(ベース部材を備える)に回転自在に支持されて軌道上を転動する複数の転動体とを備えている。軌道は、摩耗を防ぐために、焼き入れ鋼で作られている。そして複数の転動体と軌道との間には、グリース等の潤滑剤を介在させている。
特開2001−38778号公報
潤滑剤は、転動体と軌道が摩耗することを防止するために、それなりの効果を発揮している。しかしながら長期間にわたって繰り返し直動案内機構を動作し続けると、潤滑剤を用いていても、転動体と軌道は摩耗する。摩耗が多くなると、引抜ビームが移動するたびに、振動と騒音が発生する。転動体と軌道が摩耗した場合、軌道の交換は大がかりな作業が必要となり、また交換費用もかなり高いものとなる。
本発明の目的は、軌道の摩耗をできるだけ抑制して、軌道の交換作業を実質的に不要にした直動案内機構を提供することにある。
本発明が改良の対象とする直動案内機構は、軌道取付部に取り付けられた金属製の軌道と、軌道取付部に沿って進退動作をするベース部材に回転自在に支持されて軌道上を転動する転動体とを備えている。本願明細書において転動とは、軸の回りを回転体が回転する場合及び球体が回転する場合のいずれの場合も含むものである。1本の軌道に対して少なくとも1個の転動体が用いられるが、通常は1本の軌道に対して2個以上の転動体が用いられる。転動体の構造は、任意である。例えば、転動体は、ベース部材に固定された軸部材に嵌合された内輪と、球体等の転動素子を介して内輪の外側を回転する外輪とを備えた玉軸受タイプの転動体を用いることができる。その他の構造の転動体を用いてもよいのは勿論である。
本発明においては、転動体の少なくとも軌道と接触する接触部を形成する金属材料の硬度を、軌道を形成する金属材料の硬度よりも低くする。このようにすると硬度の相違から、硬度が高い軌道が摩耗することは実質的になく、ほとんど転動体の接触部が摩耗することになる。転動体の交換は、いわゆる軸受けの交換と同様に簡単に行える。したがって、摩耗が発生しても、大がかりな交換作業を必要とすることなく、しかも交換費用を低減できる効果がある。
具体的には、軌道を形成する金属材料のロックウエル硬度がHRC63を超えるときには、転動体の接触部を形成する金属材料のロックウエル硬度はHRC60以下とするのが好ましい。このような硬度差があると、軌道が摩耗することは殆どなく、転動体の接触部が殆ど摩耗することになり、軌道は半永久的に交換の必要性がなくなる。
軌道を形成する金属材料が、焼き入れ鋼であるときには、転動体の接触部を形成する金属材料は、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、または高炭素クロム鋼とするのが好ましい。これらの金属材料であれば、必要な硬度差を得ることができるだけでなく、軌道と転動体の接触部との間の摩擦抵抗も小さいものとすることができる。
転動体として前述の内輪と外輪とを備えた玉軸受構造の転動体を用いる場合には、外輪が接触部となるため、外輪を前述の硬度を有する金属材料で形成すればよい。
本発明によれば、転動体の少なくとも軌道と接触する接触部を形成する金属材料の硬度を、軌道を形成する金属材料の硬度よりも低くしたので、硬度が高い軌道が摩耗することは実質的になく、ほとんど転動体の接触部が摩耗することになり、転動体を交換するだけで、摩耗に対象することができる。したがって摩耗が発生しても、大がかりな交換作業を必要とすることなく、しかも交換費用を従来よりも低減できる効果がある。
以下図面を参照して、本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は本発明が対象とする直動案内機構を備えた成形品取出機1と樹脂成形機2とを分解して示した斜視図である。また図2は、成形品取出機に設けられた直動案内機構の主要部分の一例を示す拡大図である。さらに図3は、直動案内機構の軌道と転動体との関係を示す拡大図である。図1及び図2において、成型品取出機1は、射出成形機(樹脂成形機)2の取付部2A上に取り付けられた横行ビーム3に沿って、引抜ビーム4を矢印X方向に往復移動させる。引抜ビーム4には、成形品取出機1の主要取り出し機構が実装されている。図2に示すように、矢印X方向に引抜ビーム4を往復移動させるための直動案内機構は、横行ビーム3の上面に固定された板状の一対の軌道取付部5,5を備えている。軌道取付部5,5は、横行ビーム3に沿って延びており、実際には図2に示すように横行ビーム3上にボルト止めされている。軌道取付部5,5の上面と下面には、それぞれ横断面形状が円形をなす円柱状の軌道6,6が、軌道取付部5の厚み方向に対向するように固定されている。軌道6は、ロックウエル硬度がHRC60〜63程度の焼き入れ鋼によって形成されている。図3に示すように、軌道6は、軌道取付部5に形成された横断面形状が半円弧状を呈する細長い溝7内に嵌合された状態で固定されている。
図2に示すように、引抜ビーム4の下部には、ベース部材8が固定されている。ベース部材8は横行ビーム3の両側面に沿って延びる一対の垂直壁部9,9を備えている。垂直壁部9,9には、上下方向に間隔を開けて複数の螺旋孔10及び11が形成されている。これらの螺旋孔は、使用する転動体12の数だけ設けられている。本実施の形態では、1本の軌道6上を8個の転動体12が転動する。8個の転動体12は、X方向に列をなすように配置されている。螺旋孔10及び11には、先端部が転動体12の軸部材を構成するボルト部材13が螺合されている。
本実施の形態では、図3に示すように、転動体12は、ボルト部材13の先端部に嵌合された内輪14と、球体等の転動素子15を介して内輪14の外側を回転する外輪16とを備えた玉軸受タイプの転動体を用いている。外輪16の外周面には、軌道6が嵌合される環状の溝17が形成されている。本実施の形態では、外輪16が軌道6と接触する接触部を構成しており、外輪16を形成する金属材料の硬度を、軌道6を形成する金属材料の硬度(ロックウエル硬度)よりも低くしている。具体的には、外輪をロックウエル硬度がHRC60より小さくなるクロム鋼、クロムモリブデン鋼、または高炭素クロム鋼、等の金属材料により形成している。このように外輪16と軌道6との硬度に差を設けると、硬度が高い軌道6が摩耗することは実質的になく、ほとんど転動体12の外輪16が摩耗することになる。転動体12の交換は、ボルト部材12を取り外すだけでよく、いわゆる軸受けの交換と同様に簡単に行える。したがって、摩耗が発生しても、大がかりな交換作業を必要とすることない。その結果、交換費用を低減できる。
なお軌道6を形成する金属材料のロックウエル硬度がHRC63を超えるときには、転動体の外輪(接触部)を形成する金属材料のロックウエル硬度はHRC60以下とするのが好ましい。このような硬度差があると、軌道6が摩耗することは殆どなく、転動体12の外輪16が殆ど摩耗することになり、軌道6は半永久的に交換の必要性がなくなる。
上記実施の形態の転動体は、ラジアル玉軸受タイプの転動体であるが、その他のタイプの転動体を用いる場合にも、本発明を適用できるのは勿論である。
以下本願明細書に記載した発明の構成を列記する。
(1) 成型品取出機の軌道取付部に取り付けられた一対の金属製の軌道と、
前記軌道取付部に沿って進退動作をするベース部材に回転自在に支持されて前記一対の軌道上を転動する複数の転動体とを備えてなる直動案内機構であって、
前記複数の転動体の少なくとも前記軌道と接触する接触部を形成する金属材料の硬度が、前記軌道を形成する金属材料の硬度よりも低いことを特徴とする直動案内機構。
(2) 前記軌道を形成する金属材料のロックウエル硬度がHRC63を超えるものであり、前記転動体の前記接触部を形成する金属材料のロックウエル硬度がHRC60以下である上記(1)に記載の直動案内機構。
(3) 前記軌道を形成する金属材料は、焼き入れ鋼であり、
前記転動体の前記接触部を形成する金属材料は、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、または高炭素クロム鋼である上記(1)に記載の直動案内機構。
(4) 前記転動体は、前記ベース部材に固定された軸部材に嵌合された内輪と、転動素子を介して前記内輪の外側を回転する外輪とを備えており、
前記外輪が前記接触部を構成している上位機(3)に記載の直動案内機構。
本発明が対象とする直動案内機構を備えた成形品取出機1と樹脂成形機2とを分解して示した斜視図である。 成形品取出機に設けられた直動案内機構の主要部分の一例を示す拡大図である。 直動案内機構の軌道と転動体との関係を示す拡大図である。
符号の説明
1 成形品取出機
2 射出成形機
3 横行ビーム
4 引抜ビーム
5 軌道取付部
6 軌道
7 溝
8 ベース部材
9 垂直壁部
10,11 螺旋孔
12 転動体
13 ボルト部材
14 内輪
15 転動素子
16 外輪

Claims (1)

  1. 軌道取付部に取り付けられた金属製の軌道と、
    前記軌道取付部に沿って進退動作をするベース部材に回転自在に支持されて前記軌道上を転動する転動体とを備えてなる直動案内機構であって、
    前記転動体の少なくとも前記軌道と接触する接触部を形成する金属材料の硬度が、前記軌道を形成する金属材料の硬度よりも低いことを特徴とする直動案内機構。
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