JP2009001642A - 熱硬化性樹脂組成物、これを用いたフレキシブル基板及び電子部品 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、これを用いたフレキシブル基板及び電子部品 Download PDF

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Masayuki Hama
真之 浜
Tomohiro Hirata
知広 平田
Hiroyuki Hayashi
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Abstract

【課題】結露環境を想定した吸湿処理条件下での信頼性に優れる熱硬化性樹脂組成物、これを用いたフレキシブル基板及び電子部品を提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂組成物は、(A)酸無水物基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂と、(B)エポキシ樹脂と、及び(C)無機フィラーとを含有してなり、前記(C)無機フィラーとして、(C1)平均粒径2〜10μmのタルクを含む。フレキシブル基板は前記熱硬化性樹脂組成物を用いてなり、電子部品は前記フレキシブル基板を用いてなる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物、これを用いたフレキシブル基板及び電子部品に関するものである。
近年、市場に急速に普及してきたプラズマ、液晶などの薄型テレビ、デジタルビデオカメラ、DVDレコーダー、携帯音響プレーヤーなどのいわゆるデジタル家電の分野においては、小型化、薄型化、高機能化への対応の必要性から、狭い空間に高密度に電子部品を実装する新規な技術の適用、検討が盛んになされている。鋭意検討が重ねられた結果、液晶駆動用のドライバICを、直接フレキシブル配線板上に実装し、液晶パネルに異方導電性フィルムを介して接続するCOF(Chip On Film)と呼ばれる実装方式が高密度実装に極めて有利であることがわかり、2000年以降、デジタル家電に採用されることが多くなってきた。
COF実装用途に用いられるフレキシブル配線板(COF基材)は、導体回路パターンが形成されたポリイミドフィルム上に、マザーボードであるリジッド配線板、ドライバIC、電子部品又は液晶パネルと接続される配線パターン部分を除いた箇所に熱硬化性樹脂組成物層(ソルダレジスト層)を形成し、所定の熱硬化処理を行なって製造されている。
導体回路パターンの形成されたポリイミドフィルム上に熱硬化性樹脂層(ソルダレジスト層)を形成する方法としては、液状の樹脂組成物をスクリーン印刷、ロールコート、カーテンコートする方法や、予め前記樹脂組成物を耐熱性樹脂フィルム上に塗布してフィルム化し、ラミネートにより貼り合せる方法がある。配線板の生産性という点では液状材料を基板に直接塗布する方式よりもフィルムをラミネートする方式の方が熱硬化性樹脂層を両面同時に形成できる、熱硬化性樹脂層形成時の気泡、異物の混入がない、有機溶剤による作業場の汚染がない等の点で有利である。しかしながら、COF基材においては、片面板が多いこと、材料コスト及び耐熱性と柔軟性の特性両立を考慮して、液状材料(液状ソルダレジスト)が使用されているケースが多い。
COF基材に用いられるソルダレジスト用の樹脂組成物としては、特許文献1に代表されるポリアミドイミド樹脂を主成分とする組成物、特許文献2に代表されるカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂を主成分とする組成物など数種類が提唱されている。しかし、特許文献2の組成物は異方導電性フィルムとの接着性に課題があることが知られており、レジスト塗膜の耐熱性、柔軟性、異方導電性フィルムとの接着性の特性バランスに優れる特許文献1の組成物が現在の主流となっている。
特開2001−302795号公報 特開2006−274258号公報
前述した特許文献1に代表されるポリアミドイミド樹脂を主成分とする組成物は、レジスト塗膜の耐熱性、柔軟性、異方導電性フィルムとの接着性の特性バランスに優れているが、近年のデジタル家電の急速な普及に伴い、新たな課題が指摘されるようになってきた。
その1つに、極地や寒冷地でデジタル家電を長期間使用した場合、すなわち結露環境下での長時間使用を想定した場合のソルダレジストと異方導電性フィルムとの接着性があり、結露環境を想定した吸湿処理条件下でもソルダレジストと異方導電性フィルムとの接着性が低下しないこと(接着力の低下が少ないこと)が要求されるようになってきた。調査の結果、特許文献1に代表されるポリアミドイミド樹脂組成物は、室温環境下におけるソルダレジストと異方導電性フィルムとの接着性は高いものの、吸湿処理条件下での接着性についてはその低下率が大きく、さらに改善が必要であるという問題点があった。
本発明は、以上のような従来の課題を解決するためになされたものであって、室温環境下だけでなく、結露環境を想定した吸湿処理条件下であってもソルダレジストと異方導電性接着フィルムとの接着力が良好な熱硬化性樹脂組成物、これを用いたフレキシブル基板及び電子部品を提供することを目的とする。
本発明による熱硬化性樹脂組成物は、(A)酸無水物基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂と、(B)エポキシ樹脂と、及び(C)無機フィラーとを含有してなる熱硬化性樹脂組成物であって、前記(C)無機フィラーとして、(C1)平均粒径2〜10μmのタルクを含むことを特徴とする。
また、本発明による熱硬化性樹脂組成物にあっては、前記(A)酸無水物基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂が、ウレタン結合を有する樹脂であることを特徴とする。
また、本発明による熱硬化性樹脂組成物にあっては、前記(A)酸無水物基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂が、ポリカーボネート骨格を有することを特徴とする。
また、本発明による熱硬化性樹脂組成物にあっては、前記(B)エポキシ樹脂の含有量が、前記(A)酸無水物基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂100重量部に対して、15〜50重量部であることを特徴とする。
また、本発明による熱硬化性樹脂組成物にあっては、前記(C1)タルク含有量が、前記(A)酸無水物基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂100重量部に対して、10〜40重量部であることを特徴とする。
また、本発明による熱硬化性樹脂組成物にあっては、前記熱硬化性樹脂組成物が、(D)架橋剤をさらに含むことを特徴とする。
また、本発明による熱硬化性樹脂組成物にあっては、前記熱硬化性樹脂組成物が、銅箔をポリイミド基材に積層したフレキシブルプリント基板の保護膜として用いられることを特徴とする。
また、本発明によるフレキシブル基板にあっては、前記熱硬化性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする。
また、本発明による電子部品にあっては、前記フレキシブル基板を用いてなることを特徴とする。
本発明によれば、結露環境を想定した吸湿処理条件下でも、異方導電性接着フィルムとの優れた接着力を有する熱硬化性樹脂組成物、これを用いたフレキシブル基板及び電子部品を提供することができるという効果を奏する。
以下、本発明による熱硬化性樹脂組成物、これを用いたフレキシブル基板及び電子部品を実施の形態により詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
[熱硬化性樹脂組成物]
本発明による熱硬化性樹脂組成物は、(A)酸無水物基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂と、(B)エポキシ樹脂と、及び(C)無機フィラーとを含有してなる熱硬化性樹脂組成物であって、前記(C)無機フィラーとして、(C1)平均粒径2〜10μmのタルクを含む。以下、各成分について説明する。
〔(A)成分:酸無水物基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂〕
酸無水物基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂(以下、(A)成分とする)のうち、少なくとも1つの酸無水物基を有する樹脂としては、ブタジエン構造やシリコーン構造を有するエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリブタジエン、水添加ポリブタジエン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリテトラフルオロ樹脂、ポリシリコーン、メラミン樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等の樹脂の主鎖及び/又は側鎖に酸無水物基を導入したものが挙げられる。これらは、単独又は2種類以上組み合わせて使用することができる。
また、酸無水物基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂と酸無水物を有さない樹脂とを併用することもできる。
酸無水物基及び/又はカルボキシル基を導入する方法としては、ブタジエン構造やシリコーン構造を有するエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリブタジエン、水添加ポリブタジエン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリテトラフルオロ樹脂、ポリシリコーン、メラミン樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド樹脂由来のエポキシ残基、イソシアネート残基、水酸基残基及びカルボキシル基等と下記一般式(I)及び/又は一般式(II)を反応させて得ることができる。
Figure 2009001642
(式中、Zは三価の有機基を表し、Wは、水酸基、イソシネート基、カルボキシル基、エポキシ基、又はグリシジル基を表す。)
Figure 2009001642
(式中、Zは四価の有機基を表す。Wは、水酸基、イソシネート基、カルボキシル基、エポキシ基、又はグリシジル基を表す。)
樹脂の末端及び又は側鎖に酸無水物基及び/又はカルボキシル基を導入することにより、後述する(B)成分であるエポキシ樹脂と反応性が高くなるため、吸湿処理条件下での異方導電性フィルムとフレキシブル基板の接着力の低下率が低くなる。
また、本発明の(A)成分は、主にフレキシブル基板又はフレキシブル配線板にも対応させるため、可撓性及び低弾性率であることが好ましい。(A)成分を可撓性及び低弾性率にするためには、樹脂の主鎖に可撓性を向上できる成分を導入することが挙げられ、例えば、ポリブタジエン骨格、シリコーン樹脂骨格、ポリカーボネート骨格及び/又はウレタン結合を有する樹脂が好ましい。
また、耐熱性、電気特性、耐湿性、耐溶剤性及び耐薬品性を向上させるためには、樹脂の主鎖中に耐熱性を向上できる成分を導入することが挙げられ、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド若しくはポリアミド又はこれらの骨格を有する樹脂が好ましい。中でも、可撓化、低弾性率化及び高耐熱性化の観点から、ポリカーボネート骨格及びイミド骨格を有する樹脂が好ましい。
本発明において、(A)成分として使用することができるポリカーボネート骨格を含む樹脂は、通常、1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートジオール等を、末端にカルボキシル基を有する化合物、酸無水物を有する化合物及び/又は末端にイソシアネート基を有する化合物と反応させることで得られる。
また、本発明において、例えば(A)成分として使用することができる樹脂は、通常、(a)酸無水物基を有する三価のポリカルボン酸及びその誘導体、並びに酸無水物基を有する四価のポリカルボン酸から選ばれる1種以上の化合物(以下、(a)成分とする)と、(b)イソシアネート化合物又はアミン化合物(以下、(b)成分とする)とを反応させて得られる。
(a)成分の酸無水物基を有する三価のポリカルボン酸及びその誘導体は、特に限定されないが、例えば、次の式(III)及び(IV):
Figure 2009001642
Figure 2009001642
(式(III)及び(IV)中、R′は、水素、炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を示し、Y1は、−CH2−、−CO−、−SO2−、又は−O−である。)
で示される化合物を使用することができる。
耐熱性、コスト面等から、トリメリット酸無水物が、特に好ましい。酸無水物基を有する四価のポリカルボン酸は、特に限定されないが、例えば、式(V):
Figure 2009001642
(式中、Y2は、次の式(VI)で示される基:
Figure 2009001642
である)で示されるテトラカルボン酸二無水物を使用することができる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、これらのほかに必要に応じて、酸成分として、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、デカン二酸、ドデカン二酸、ダイマー酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オキシジ安息香酸等)等を併用することができる。この場合、分子鎖中にアミド結合も形成される。
(b)成分のイソシアネート化合物は、例えば、式(VII):
Figure 2009001642
(式中、複数個のRは、それぞれ独立に炭素数1〜18のアルキレン基であり、Xは二価の有機基であり、m及びnは、それぞれ独立に1〜20の整数である。)
で示されるジイソシアネート類を用いることができる(以下、(b−1)化合物とする)。
上記式(VII)で示される化合物は、次の式(VIII):
Figure 2009001642
(式中、Rは炭素数1〜18のアルキレン基であり、mは1〜20の整数である。)
で示されるカーボネートジオール類と、式(IX):
OCN−X−NCO (IX)
(式中、Xは、二価の有機基である。)
で示されるジイソシアネート類を反応させることにより得られる。
上記の式(IX)で示されるジイソシアネート類のXは、例えば、炭素数1〜20のアルキレン基、又は非置換若しくはメチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基で置換されているフェニレン基等のアリーレン基、脂環式アルキレン基などが挙げられる。アルキレン基の炭素数は、より好ましくは1〜18である。ジフェニルメタン−4,4′−ジイル基、ジフェニルスルホン−4,4′−ジイル基等の芳香族環を2つ有する基も好ましい。
上記の式(VIII)で示されるカーボネートジオール類としては、例えば、α,ω−ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ジオール、α,ω−ポリ(3−メチル−ペンタメチレンカーボネート)ジオール等が挙げられ、市販されているものとしては、ダイセル化学(株)製の商品名:PLACCEL、CD−205、205PL、205HL、210、210PL、210HL、220、220PL、220HL等が挙げられる。これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、上記式(IX)で示されるジイソシアネート類としては、例えば、ジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネート;3,2′−、3,3′−、4,2′−、4,3′−、5,2′−、5,3′−、6,2′−又は6,3′−ジメチルジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネート;3,2′−、3,3′−、4,2′−、4,3′−、5,2′−、5,3′−、6,2′−又は6,3′−ジエチルジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネート;3,2′−、3,3′−、4,2′−、4,3′−、5,2′−、5,3′−、6,2′−又は6,3′−ジメトキシジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネート;ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート;ジフェニルメタン−3,3′−ジイソシアネート;ジフェニルメタン−3,4′−ジイソシアネート;ジフェニルエーテル−4、4′−ジイソシアネート;ベンゾフェノン−4,4′−ジイソシアネート;ジフェニルスルホン−4,4′−ジイソシアネート;トリレン−2,4−ジイソシアネート;トリレン−2,6−ジイソシアネート;m−キシリレンジイソシアネート;p−キシリレンジイソシアネート;ナフタレン−2,6−ジイソシアネート;4,4′−〔2,2ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン〕ジイソシアネート等が挙げられる。これらのジイソシアネート類において、式(IX)におけるXが芳香族環を有する芳香族ポリイソシアネートを使用することが好ましい。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、式(IX)で示されるジイソシアネート類としては、本発明の目的の範囲内で、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、水添m−キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式イソシアネート、あるいは三官能以上のポリイソシアネートを使用することができる。式(IX)で示されるジイソシアネート類は、経日変化を避けるために必要なブロック剤で安定化したものを使用してもよい。ブロック剤としては、アルコール、フェノール、オキシム等があるが、特に制限はない。
上記の式(VI)で示されるカーボネートジオール類と式(IX)で示されるジイソシアネート類との配合割合は、水酸基数とイソシアネート基数の比率が、イソシアネート基/水酸基=1.01以上になるようにすることが好ましい。
上記の式(VIII)で示されるカーボネートジオール類と式(IX)で示されるジイソシアネート類との反応は、無溶媒あるいは有機溶媒の存在下で行うことができる。反応温度は、60〜200℃とすることが好ましく、より好ましくは80〜180℃である。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件等により適宜選択することができる。例えば、1〜5L(リットル)のフラスコスケールで2〜5時間とすることができる。
このようにして得られる化合物(b−1)のイソシアネート化合物の数平均分子量は、500〜10,000であることが好ましく、1,000〜9,500であることがより好ましく、1,500〜9,000であることが特に好ましい。数平均分子量が500未満であると、反り性が悪化する傾向があり、10,000を超えると、イソシアネート化合物の反応性が低下する傾向がある。
なお、本明細書において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した値とする。また、本発明の数平均分子量及び分散度は、以下のように定義される。
a)数平均分子量(Mn
Figure 2009001642
b)重量平均分子量
Figure 2009001642
c)分子量分布(分散度)
分散度=Mw/Mn
(b)成分のイソシアネート化合物として、化合物(b−1)以外の化合物(以下、化合物(b−2)とする)を使用することもできる。化合物(b−2)としては、化合物(b−1)以外のイソシアネート化合物であれば特に限定されず、例えば、式(IX)で示されるジイソシアネート類、三価以上のポリイソシアネート類等が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。化合物(b−2)のイソシアネート化合物の数平均分子量の好ましい範囲は、上記の化合物(b−1)と同様である。
特に耐熱性の点から、化合物(b−1)と化合物(b−2)とを併用することが好ましい。なお、化合物(b−1)及び化合物(b−2)をそれぞれ単独で用いる場合は、フレキシブル基板用の保護膜としての柔軟性、反り性等の点から、化合物(b−1)を使用することが好ましい。
化合物(b−2)としては、その総量の50〜100重量%が芳香族ポリイソシアネートであることが好ましく、耐熱性、溶解性、機械特性、コスト面等のバランスを考慮すれば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートが特に好ましい。
化合物(b−1)と化合物(b−2)を併用する場合、化合物(b−1)/化合物(b−2)の当量比で0.1/0.9〜0.9/0.1とすることが好ましく、0.2/0.8〜0.8/0.2とすることがより好ましく、0.3/0.7〜0.7/0.3とすることが特に好ましい。当量比がこの範囲にあると、良好な反り性、密着性と良好な耐熱性等の膜特性をともに得ることができる。
(b)成分のうちアミン化合物としては、上記の(b)成分のイソシアネート化合物におけるイソシアナト基をアミノ基に転換した化合物が挙げられる。イソシアナト基のアミノ基への転換は、公知の方法により行うことができる。アミン化合物の数平均分子量の好ましい範囲は、上記の化合物(b−1)と同様である。
また、(a)成分の酸無水物基を有する三価のポリカルボン酸又はその誘導体及び/又は酸無水物基を有する四価のポリカルボン酸の配合割合は、(b)成分中のイソシアネート基の総数に対する(a)成分中のカルボキシル基と酸無水物基の総数の比が、0.6〜1.4となるようにすることが好ましく、0.7〜1.3となるようにすることがより好ましく、0.8〜1.2となるようにすることが特に好ましい。この比が0.6未満又は1.4を超えると、ポリイミド結合を含む樹脂の分子量を高くすることが困難となる傾向がある。
なお、(a)成分として式(I)で示される化合物、(b)成分として化合物(b−1)を用いた場合、次の式(X):
Figure 2009001642
(式中、R、X、m、nは、上記で定義した通りである。)
で示される繰り返し単位を有するポリアミドイミド樹脂を得ることができる。
また、(a)成分として上記の式(IV)で示される化合物、(b)成分として化合物(b−1)を用いた場合、次の式(XI):
Figure 2009001642
(式中、R、X、m、n、Y2は、上記で定義した通りである。)
で示される繰り返し単位を有するポリアミドイミド樹脂を得ることができる。
また、(a)成分として式(V)で示される化合物、(b)成分として化合物(b−1)を用いた場合、次の式(XII):
Figure 2009001642
(式中、R、X、m、n、Y2は、上記で定義した通りである。)
で示される繰り返し単位を有するポリイミド樹脂を得ることができる。
本発明において、(A)成分として使用されるイミド結合を含む樹脂の製造方法における(a)酸無水物基を有する三価のポリカルボン酸及びその誘導体、並びに酸無水物基を有する四価のポリカルボン酸から選ばれる1種以上の化合物と、(b)イソシアネート化合物又はアミン化合物との反応は、有機溶媒、好ましくは非含窒素系極性溶媒の存在下に、遊離発生してくる炭酸ガスを反応系より除去しながら加熱縮合させることにより行うことができる。
上記非含窒素系極性溶媒としては、エーテル系溶媒、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル;含硫黄系溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホラン;エステル系溶媒、例えば、γ−ブチロラクトン、酢酸セロソルブ;ケトン系溶媒、例えば、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン;芳香族炭化水素系溶媒、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられ、これらは単独で又は2種類以上組み合わせて使用することができる。
生成する樹脂を溶解する溶剤を、選択して使用するのが好ましい。合成後、そのままペーストの溶媒として好適なものを使用することが好ましい。高揮発性であって、低温硬化性を付与でき、かつ効率良く均一系で反応を行うためには、γ−ブチロラクトンが最も好ましい。溶媒の使用量は、生成するイミド結合を含む樹脂の0.8〜5.0倍(重量比)とすることが好ましい。0.8倍未満では、合成時の粘度が高すぎて、攪拌不能により合成が困難となる傾向があり、5.0倍を超えると、反応速度が低下する傾向がある。
反応温度は、80〜210℃とすることが好ましく、100〜190℃とすることがより好ましく、120〜180℃とすることが特に好ましい。80℃未満では反応時間が長くなり過ぎ、210℃を超えると反応中に三次元化反応が生じてゲル化が起こり易い。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件により適宜選択することができる。
また、必要に応じて、三級アミン類、アルカリ金属、アルカリ土類金属、スズ、亜鉛、チタニウム、コバルト等の金属又は半金属化合物等の触媒存在下に反応を行ってもよい。
前述のようにして得られる樹脂は、イソシアネート残基を有するものであり、前記イソシアネート残基を前記一般式(I)及び/又は前記一般式(II)の化合物でブロックすることにより、(B)成分であるエポキシ樹脂との反応性が向上し、吸湿処理条件下での異方導電性フィルムとフレキシブル基板の接着力を向上できる。また、前記一般式(I)及び/又は前記一般式(II)の化合物以外に、本発明の効果を損ねない程度にアルコール類、ラクタム類、オキシム類等のブロック剤を併用することもできる。
前記一般式(I)及び/又は前記一般式(II)の化合物としては、テトラカルボン酸二無水物である次の式(XIII)で示す無水ピロメリット酸が好ましい。
Figure 2009001642
このようにして得られた樹脂の数平均分子量は、4,000〜40,000であることが好ましく、5,000〜38,000であることがより好ましく、6,000〜36,000であることが特に好ましく、その時の分散度は1.5〜3.5が好ましく、2.0〜3.0がより好ましい。数平均分子量が4,000未満であると、耐熱性等の膜特性の低下及びポリイミドフィルムとの貼り付きが生じやすくなる傾向にあり、数平均分子量が40,000を超えると、樹脂の粘性が高くなり、無機フィラーの混合性やスクリーン印刷等の作業性が低下する傾向がある。
〔(B)成分:エポキシ樹脂〕
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性を向上させるために、エポキシ樹脂(以下、(B)成分とする)を含むものである。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製の商品名:エピコート828等)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成(株)製の商品名:YDF−170等)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)性の商品名:エピコート152、154;日本化薬(株)製の商品名:EPPN−201;ダウケミカル社製の商品名:DEN−438等)、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製の商品名:EOCN−125S、103S、104S等)、多官能エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製の商品名:Epon1031S;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の商品名:アラルダイト0163;ナガセ化成(株)製の商品名:デナコールEX−611、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−421、EX−411、EX−321等)、アミン型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製の商品名:エピコート604;東都化成(株)製の商品名:YH434;三菱ガス化学(株)製の商品名:TETRAD−X、TERRAD−C;日本化薬(株)製の商品名:GAN;住友化学(株)製の商品名:ELM−120等)、複素環含有エポキシ樹脂(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の商品名:アラルダイトPT810等)、脂環式エポキシ樹脂(UCC社製の商品名:ERL4234、4299、4221、4206等)等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上組合せて使用することができる。
これらのエポキシ樹脂のうち、1分子中にエポキシ基を3個以上有するアミン型エポキシ樹脂は、耐溶剤性、耐薬品性、耐湿性の向上の点で特に好ましい。
これらのエポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基を1個だけ有するエポキシ化合物を含んでいてもよい。このようなエポキシ化合物は、(A)成分である樹脂全量に対して0〜20重量%の範囲で使用することが好ましい。このようなエポキシ化合物としては、n−ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等がある。また、3,4−エポキシシクロヘキシル、メチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート等の脂環式エポキシ化合物を使用することができる。
これらのエポキシ樹脂の含有量は、(A)成分である樹脂100質量部に対して15〜50質量部であり、20〜45質量部であることが好ましく、25〜40質量部であることがより好ましい。エポキシ樹脂の含有量が15質量部未満では、耐PCT性及び耐湿絶縁信頼性が低下する傾向にあり、50重量部を超えると、耐熱性及び粘度安定性が低下する傾向にある。
エポキシ樹脂の添加方法としては、添加するエポキシ樹脂を(A)成分であるイミド結合を含む樹脂を溶解する有機溶剤と同一の有機溶剤に溶解してから添加してもよく、また、直接添加してもよい。
〔(C)成分:無機フィラー〕
本発明における無機フィラー(以下、(C)成分とする)は、平均粒径2〜10μmのタルクを含むものである(以下、(C1)成分とする)。タルク(3MgO・4SiO2・H2O)は、水酸化マグネシウムとケイ酸塩からなる偏平状のフィラーであり、熱硬化性樹脂組成物表面の機械強度を補強する効果がある。これにより、異方導電性フィルムとソルダレジスト界面への水の浸入が抑制され、結果として結露環境を想定した吸湿処理条件下でのソルダレジストと異方導電性接着フィルムとの接着力の低下を抑制する効果を得ることができる。
(C1)成分としては、平均粒径が2〜10μm、さらには平均粒径が2〜5μmのタルクを用いることが好ましい。平均粒径が2μm未満ではタルクによる疎水効果が十分でないため、結露環境を想定した吸湿処理条件下でのソルダレジストと異方導電性接着フィルムとの接着力が大幅に低下する。一方、平均粒径が10μmを超えると絶縁信頼性が大幅に低下する可能性がある。
前記(C1)成分であるタルクの含有量は、(A)成分の固形分100重量部に対して、10〜40重量部、更には15〜30重量部が好ましい。含有量が10重量部未満の場合、異方導電性フィルムとソルダレジスト界面への水の浸入を抑制する効果が十分でないため、結露環境を想定した吸湿処理条件下でのソルダレジストと異方導電性接着フィルムの接着力が大幅に低下する。一方、含有量が40重量部を超えると、熱硬化性樹脂組成物を塗布した際の流動性が低下し、レジスト塗布後の塗膜外観が低下したり、絶縁信頼性が低下する可能性がある。
この他、上記の(C1)成分であるタルク以外に、他の無機フィラー成分を併用することもできる。併用可能な無機フィラー成分としては(A)成分の樹脂又は(B)成分のエポキシ樹脂中に分散してレジストインキとなるものであれば、特に制限はない。無機フィラーとしては、例えば、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、チタニア(TiO2)、酸化タンタル(Ta25)、ジルコニア(ZrO2)、窒化ケイ素(Si34)、チタン酸バリウム(BaO・TiO2)、炭酸バリウム(BaCO3)、チタン酸鉛(PbO・TiO2)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、酸化ガリウム(Ga23)、スピネル(MgO・Al23)、ムライト(3Al23・2SiO2)、コーディエライト(2MgO・2Al23/5SiO2)、チタン酸アルミニウム(TiO2−Al23)、イットリア含有ジルコニア(Y23−ZrO2)、ケイ酸バリウム(BaO・8SiO2)、窒化ホウ素(BN)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸カルシウム(CaSO4)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸マグネシウム(MgO・TiO2)、硫酸バリウム(BaSO4)、有機ベントナイト、カーボン(C)等を使用することができ、これらの1種又は2種以上を使用することもできる。
(C)成分として用いられるタルクに他の無機フィラー成分を併用する場合、タルク及び他の無機フィラー成分の含有量の合計が、(A)成分である酸無水物基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂の固形分100重量部に対して、250重量部以下であることが好ましい。含有量が250重量部を超えると、熱硬化性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、無機フィラーを熱硬化性樹脂組成物中に均一に分散することが困難となり、塗膜外観、耐熱性、絶縁信頼性が低下する可能性がある。
〔(D)成分:架橋剤〕
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、架橋剤(以下、(D)成分とする)を含むことができる。(D)成分である架橋剤としては、COF基材の導体回路に用いられる錫や銅と錯体を形成し、接着性や絶縁信頼性を向上させる効果のあるメルカプト基を有するトリアジン化合物を用いることができる。メルカプト基を有するトリアジン化合物としては例えば、三協化成株式会社製の商品名:ジスネットDB、ジスネットAF、ジスネットF(TTCA)を用いることができる。
また、(D)成分である架橋剤の含有量は(A)成分の固形分100重量部に対して、1〜15重量部、さらには3〜10重量部が好ましい。含有量が1重量部未満では導体回路との錯体形成効果が低いため、結露環境を想定した吸湿処理条件下でのソルダレジストと異方導電性接着フィルムとの接着力低下を防止する効果が得られない上、十分な絶縁信頼性を確保できない可能性がある。一方、含有量が15重量部を超えると熱硬化性樹脂組成物の保存安定性が低下する傾向にある。
〔その他の添加成分〕
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。例えば、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ビスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の公知の着色剤、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等の重合禁止剤、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等の表面改質剤、シリコーン系、フッ素系、ビニル樹脂系の消泡剤及びレベリング剤、シラン系、チタネート系等の各種カップリング剤、ブロック型イソシアネート等のエポキシ硬化剤、ブロック酸触媒及びその解離剤、密着性付与剤、酸化防止剤、顔料分散剤等の公知慣用の各種添加剤を用いることができる。
[フレキシブル基板]
本発明によるフレキシブル基板は、フレキシブル配線板等を含み、上述した熱硬化性樹脂組成物を用いて製造される。例えば、COF実装用途に用いられるフレキシブル配線板(COF基材)は、導体回路パターンの形成されたポリイミドフィルム上に、マザーボードであるリジッド配線板、ドライバIC、電子部品又は液晶パネルと接続される配線パターン部分を除いた箇所に、上述した熱硬化性樹脂組成物の層(ソルダレジスト層)を形成し、所定の熱硬化処理を行なって製造される。また、上述した熱硬化性樹脂組成物は、銅箔をポリイミド基材に積層したフレキシブルプリント基板の保護膜として用いられる。特に、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、低温硬化(80℃〜140℃)が可能であるため、配線パターン部がめっき処理されたフレキシブル配線板の表面の保護膜用途に適している。熱硬化の条件は、めっき層の拡散を防ぎ、かつ保護膜としての好適な反り性、柔軟性を得る観点から、80℃〜140℃が好ましく、90℃〜130℃がより好ましく、100℃〜120℃が特に好ましい。前記の加熱時間は、10〜150分であることが好ましく、30〜120分がより好ましく、40〜110分が特に好ましい。
また、リール・トウ・リール工法では、COF基材はカプトン等のポリイミド材質のフィルム状のスペーサーを介して巻き取られることが多いが、ソルダレジスト熱硬化工程や電子部品実装工程中の高温の加熱処理時(又は加熱処理直後)にCOF基材を巻き取ると、スペーサーとソルダレジストが貼り付く場合がある。しかしながら、本発明による熱硬化性樹脂組成物を使用することにより、貼り付き性を改善することができる。
さらに、近年ではデジタル家電用のCOFにおいて、高電圧下での絶縁信頼性が重要であるが、本発明による熱硬化性樹脂組成物をソルダレジスト層として使用することにより、十分な絶縁信頼性が得られる。
[電子部品]
本発明による電子部品は、上述したフレキシブル基板を用いた各種の電子部品を含む。近年、市場に急速に普及してきたプラズマ、液晶などの薄型テレビ、デジタルビデオカメラ、DVDレコーダー、携帯音響プレーヤーなどのいわゆるデジタル家電の分野において、小型化、薄型化、高機能化への対応の必要性から、狭い空間に高密度に実装される電子部品として、好ましく使用できる。また、携帯電話、携帯音楽、画像再生機器など、各種の携帯用電子機器に搭載される電子部品としても、好ましく使用できる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
樹脂(A−1)の合成例
攪拌機、油水分離器付き冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた5リットルの四つ口フラスコに、PLACCEL CD−220(ダイセル化学(株)製1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートジオールの商品名)900.0g(0.45モル)を、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート140.32g(0.56モル)及び、トリレンジイソシアネート70.72g(0.40モル)を、有機溶媒としてγ−ブチロラクトン738.31gを仕込み、150℃まで昇温した。150℃で5時間反応させ、一般式(III)で表されるジイソシアネート化合物を得た。
この溶液を80℃まで冷却し、無水トリメリット酸105.6g(0.55モル)、(b−1)成分として4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート15.6g(0.06モル)及び、トリレンジイソシアネート7.86g(0.04モル)を仕込み、180℃まで昇温した後、6時間反応させた。次に得られた溶液を80℃まで冷却し、無水ピロメリット酸29.29g(0.13モル)を、有機溶媒としてγ−ブチロラクトン501.78gを仕込み、120℃で1時間反応させ、数平均分子量が約32,000、固形分が50重量%のポリアミドイミド樹脂(A−1)を得た。
樹脂(A−2)の合成例
攪拌機、油水分離器付き冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた5リットルの四つ口フラスコに、PLACCEL CD−220(ダイセル化学(株)製1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートジオールの商品名)700g(0.35モル)を、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート104.18g(0.42モル)、及びトリレンジイソシアネート48.62g(0.28モル)を、有機溶媒としてγ−ブチロラクトン569gを仕込み、150℃まで昇温した。次いで、得られた溶液を150℃で5時間反応させ、一般式(III)で表されるジイソシアネート化合物を得た。
この溶液を80℃まで冷却し、無水トリメリット酸124.51g(0.65モル)、(b−1)成分として4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート44.94g(0.18モル)、及びトリレンジイソシアネート20.76g(0.12モル)を仕込み、170℃まで昇温した後、6時間反応させた。次に、得られた溶液を80℃まで冷却し、無水ピロメリット酸29.29g(0.13モル)を、有機溶媒としてγ−ブチロラクトン276.56gを仕込み、120℃で1時間反応させ、数平均分子量が30,000、固形分が46重量%のポリアミドイミド樹脂(A−2)を得た。
以上のようにして得られたポリアミドイミド樹脂((A−1)及び(A−2))を用い、表1に示す配合(組成)に従って、実施例1〜6に対応する6種類の樹脂組成物を、三本ロールミルを用いて作製した。
(比較例)樹脂(A−3)の合成例
攪拌機、油水分離器付き冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた5リットルの四つ口フラスコに、PLACCEL CD−220(ダイセル化学(株)製1,6−ヘキサンジオール系ポリカーボネートジオールの商品名)900.0g(0.45モル)を、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート140.32g(0.56モル)及び、トリレンジイソシアネート70.72g(0.40モル)を、有機溶媒としてγ−ブチロラクトン738.31gを仕込み、150℃まで昇温した。次いで、得られた溶液を150℃で5時間反応させ、一般式(III)で表されるジイソシアネート化合物を得た。
この溶液を80℃まで冷却し、無水トリメリット酸105.6g(0.55モル)、(b−1)成分として4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート15.6g(0.06モル)、及びトリレンジイソシアネート7.86g(0.04モル)を仕込み、180℃まで昇温した後、6時間反応させた。次に、得られた溶液を80℃まで冷却し、分子末端のイソシアネート基をブロックすることを目的に2ブタノンオキシム 11.3g(0.13モル)を、有機溶媒としてγ−ブチロラクトン501.78gを仕込み、95℃で2時間反応させ、数平均分子量が約29,000、固形分が50重量%のポリアミドイミド樹脂(A−3)を得た。
以上のようにして得られた樹脂(A−3)及び実施例で用いた樹脂(A−1)を用い、表1に示す配合(組成)に従って、比較例1〜3に対応する3種類の樹脂組成物を、三本ロールミルを用いて作製した。
Figure 2009001642
表中、*1:ジャパンエポキシレジン株式会社製商品名、*2:東都化成株式会社製商品名、*3:富士タルク株式会社製商品名、*4:日本タルク株式会社製商品名、*5:日本タルク株式会社製商品名、*6:山陽色素株式会社製商品名、*7:信越シリコーン株式会社製商品名、*8:東亜合成株式会社製商品名、*9:住友バイエルウレタン株式会社製商品名、*10:三協化成株式会社製商品名
実施例1〜6、比較例1〜3の熱硬化性樹脂組成物(レジストインク組成物)の特性は、以下の項目で評価した。
異方導電性フィルムとの接着性
以下の方法で接着性評価用サンプルを作製して評価した。
(1)図1に示すように、ピッチ間距離30μm(ライン/スペース=10μm/20μm)の導体回路1(銅回路の表層に錫めっきを施したもの)を形成したメタライジング二層基材であるポリイミド基材2(COF基材、エスパーフレックス−S:住友金属鉱山株式会社製商品名)上の所定箇所に、熱硬化性樹脂組成物(ソルダレジスト層)3を、乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布した。
(2)次に、120℃/60分の熱硬化処理を実施し、レジスト硬化膜を作製した。
(3)圧着機を用いて、厚み15μm、幅1.5mmの異方導電性フィルム(AC−7246 日立化成工業株式会社製商品名)を、フィルム上の温度が80℃となるように圧力1MPa、圧着時間5秒の条件でガラス板上に仮圧着した。
(4)次いで、図2に示すような方式により、異方導電性フィルム4とポリイミド基材2(COF基材)の本圧着を行なう。すなわち、圧着機を用いて、フィルム上の温度が180℃となるように、圧力1MPa、 圧着時間15秒の条件で、ガラス板5上に異方導電性フィルム4を介してポリイミド基材2(COF基材)を本圧着した。
(5)オートグラフ(テンシロン、島津製作所社製)を用いてCOF基材を90°方向に引き剥がし、COF基材と異方導電性フィルムとの接着強度の評価を行った。評価は常態及び65℃/95%の環境に保たれた恒温恒湿槽内で、500時間放置した後の接着強度について行なった。接着強度の評価はn=5で行い、その値はn=5の平均値で表した。
反り特性
(1)厚みが25μm、大きさが50mm×50mmのポリイミドフィルム(カプトン100H:新日鐵化学株式会社製商品名)上に、上述のようにして得られた熱硬化性樹脂組成物を乾燥後の膜厚が10μmとなるように片面塗布した。
(2)以下、異方導電性フィルムとの接着性評価用サンプルと同様の熱硬化処理を実施してレジスト硬化膜を作製し、熱硬化処理後の反り量を評価した。反り量の評価は、ポリイミドフィルムの中心部を固定した時における頂点4箇所の浮き上がりの平均を算出した。反り性の評価はn=5で行ない、その値はn=5の平均値で表した。
耐折性
(1)異方導電性フィルムとの接着性評価用サンプルと同一の方法で作製したレジスト硬化膜を用いて、評価を実施した。JIS P 8115に準拠した135°対向折り曲げにより行ない、回路が断線するまでの曲げ回数を評価した。
耐電食性
(1)ピッチ間距離30μm(ライン/スペース=10μm/20μm)のくし形導体回路(銅回路の表層に錫めっきを施したもの)を形成したメタライジング二層基材(エスパーフレックス−S:住友金属鉱山株式会社製商品名)上に、熱硬化性樹脂組成物を乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布した。
(2)以下、異方導電性フィルムとの接着性評価用サンプルと同様の熱硬化処理を実施して、サンプルを作製した。評価は65℃/95%の環境に保たれた恒温恒湿槽内で40Vの電圧を500時間連続して印加し、回路間の絶縁抵抗値の変化を調べることにより行った。回路間の絶縁抵抗値が8乗オーダー未満となった場合を絶縁不良(耐電食性不十分:×)と判断した。
耐PCT(Pressure Cooker Test)性
異方導電性フィルムとの接着性評価用サンプルと同一の方法で作製したレジスト硬化膜を用いて、評価を実施した。評価は121℃/100%/2.3atmの条件下で100時間の吸湿処理を実施し、レジスト硬化膜の膨れ、剥離の有無を目視観察することにより行なった。
密着性
異方導電性フィルムとの接着性評価用サンプルと同一の方法で作製したレジスト硬化膜を用いて、評価を実施した。評価はJIS K 5400に準拠した碁盤目法により行なった。以上の評価結果のまとめを表2に示す。
Figure 2009001642
比較例1〜3における評価サンプルでは、吸湿処理条件下でのソルダレジストと異方導電性接着フィルムの接着力が非常に低下した。また、比較例1〜3では、吸湿処理後の接着強度が非常に低下した。
これに対して、実施例1〜6では、吸湿処理条件下でのソルダレジストと異方導電性接着フィルムの接着力が維持され、吸湿処理後の接着強度の低下率も低かった。さらに、耐電食性も良好な評価結果であった。従って、結露環境を想定した吸湿処理条件下でも異方導電性接着フィルムとの接着力が良好な熱硬化性樹脂組成物が得られたことが明らかとなった。
従来のCOF実装フレキシブル基板用のポリアミドイミド樹脂組成物では、結露環境を想定した吸湿処理条件下でのソルダレジストと異方導電性接着フィルムの接着力の低下が課題となっていたが、本発明により、結露環境を想定した吸湿処理条件下でも異方導電性接着フィルムとの接着力が良好な熱硬化性樹脂組成物を得ることができる。従って、本発明による熱硬化性樹脂組成物及びこれを用いたフレキシブル基板は、ソルダレジスト、プリント配線板や半導体用途などの電子部品における層間絶縁材料、積層板など多方面な用途に有用である。
本発明の実施例における評価用サンプルを示す概略平面図である。 本発明の実施例における評価用サンプルを示す部分側断面図である。
符号の説明
1 導体回路
2 ポリイミド基材(COF基材)
3 熱硬化性樹脂組成物(ソルダレジスト層)
4 異方導電性フィルム
5 ガラス板

Claims (9)

  1. (A)酸無水物基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂と、(B)エポキシ樹脂と、及び(C)無機フィラーとを含有してなる熱硬化性樹脂組成物であって、前記(C)無機フィラーとして、(C1)平均粒径2〜10μmのタルクを含むことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(A)酸無水物基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂は、ウレタン結合を有する樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 前記(A)酸無水物基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂は、ポリカーボネート骨格を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 前記(B)エポキシ樹脂の含有量は、前記(A)酸無水物基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂100重量部に対して、15〜50重量部であることを特徴とする請求項1から請求項3のうち、いずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 前記(C1)タルクの含有量は、前記(A)酸無水物基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂100重量部に対して、10〜40重量部であることを特徴とする請求項1から請求項4のうち、いずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 前記熱硬化性樹脂組成物は、(D)架橋剤をさらに含むことを特徴とする請求項1から請求項5のうち、いずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  7. 前記熱硬化性樹脂組成物は、銅箔をポリイミド基材に積層したフレキシブルプリント基板の保護膜として用いられることを特徴とする請求項1から請求項6のうち、いずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項1から請求項7のうち、いずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を用いてなることを特徴とするフレキシブル基板。
  9. 請求項8に記載のフレキシブル基板を用いてなることを特徴とする電子部品。
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